第2章 行政文書の開示第3 開示請求権何人も、この法律に定めるところにより、行政機関の長に対し、行政文書の 開示を請求することができるものとすること。 第4 開示請求の手続 行政文書の開示を請求しようとする者は、行政機関の長に対し、請求に係る 行政文書を特定するために必要な事項その他所定の事項を記載した書面を提出 しなければならないものとすること。 ※ 請求手続の詳細(住所、氏名、希望する開示の方法等を記載すること など)は、政令で定める。 ※ 行政文書の特定等は、日本語により記載するものとする。 第5 行政機関の開示義務 1 行政機関の長は、行政文書の開示の請求(以下「開示請求」という。)が あった場合は、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されているとき を除き、開示請求をした者(以下「開示請求者」という。)に対し、当該行 政文書を開示しなければならないものとすること。 2 開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合であっ て、当該部分が当該部分を除いた部分と容易に区分することができるときは 、行政機関の長は、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示し なければならない。ただし、当該部分を除いて開示することが制度の趣旨に 合致しないと認められるときは、この限りでないものとすること。 第6 不開示情報 第5に規定する不開示情報は、次の各号に掲げる情報とすること。 (1) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。 )であって、特定の個人が識別され又は他の情報と照合することにより 識別され得るもの。ただし、次に掲げる情報を除く。 イ 法人等に関する情報に含まれる当該法人等役員の肩書及び氏名 ロ 公務員の職務遂行に際して記録された情報に含まれる当該公務員(一定 の範囲の者)の官職及び氏名 ハ 行政機関により従来から公にされているもの又は公にすることが予定さ れているもの ニ 人の生命、身体、健康、財産又は生活を保護するため、開示することが より必要であると認められる情報 ※ ロの公務員の範囲については、引き続き検討する。 ※ 特定の個人が識別され得ない状態で開示することによっても個人の権 利利益を不当に侵害するおそれがある情報の取扱いについては、引き続 き検討する。 (2) 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」とい う。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であっ て、開示することにより当該法人等若しくは当該個人の競争上の地位、 財産権その他正当な利益を害するおそれがあるもの又は公にしないとの 約束の下に任意に提供され、現に公にされていないもの。ただし、当該 法人等又は当該個人の事業活動によって生ずる人の生命、身体若しくは 健康への危害又は財産若しくは生活の侵害から保護するため、開示する ことがより必要であると認められるものを除く。 (3) 開示することにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際 機関との信頼関係が損なわれるおそれ、通貨の安定が損なわれるおそれ 又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると認め られる相当の理由がある情報 ※ 「国の安全」とは、国家社会の基本的な秩序が平穏に維持されている 状態をいう。 (4) 開示することにより、犯罪の予防・捜査、公訴の維持、刑の執行、警 備その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認めら れる相当の理由がある情報 (5) 行政機関内部又は行政機関相互の審議、検討又は協議に関する情報で あって、開示することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中 立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民に誤解を与え若しくは混乱 を招くおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼす おそれがあるもの (6) 監査、検査、取締り、争訟、交渉、契約、試験、調査、研究、人事管 理、現業の事業経営その他行政機関の事務又は事業に関する情報であっ て、開示することにより、当該事務若しくは事業又は将来の同種の事務 若しくは事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの ※ (3)、(4)が「……おそれがあると認められる相当の理由がある 情報」とし、(5)、(6)が「……おそれがあるもの(情報)」とし ているのは、司法審査の程度等に相違があるとの趣旨である。 ※ 国会、裁判所及び地方公共団体に関する情報の取扱いについては、引 き続き検討する。 第7 公益上の理由による開示 開示請求に係る行政文書に第6第2号から第6号までに掲げる情報が記録さ れている場合において、これらの規定により保護される利益に優越する公益上 の理由があると認められるときは、行政機関の長は、第5及び第6の規定にか かわらず、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができるものとす ること。 ※ この規定の適用の当否に関しては、不服審査会の調査審議の対象とな る。 第8 行政文書の存否に関する情報 開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか、又は存在 していないかを答えるだけで、第5及び第6の規定により保護される利益が不 開示情報を開示した場合と同様に害されることとなるときは、行政機関の長は 、開示請求に係る行政文書の存否を明らかにしないことができるものとするこ と。 第9 著しく大量な行政文書の開示請求 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書が著しく大量であって、事務の適 正な遂行に著しい支障を生ずることその他やむを得ない事由があるときは、請 求に係る対象文書の相当な部分につき、第10に規定する決定をすれば足りる ものとすること。 第10 開示請求に対する措置 1 開示請求に係る行政文書を開示するときは、行政機関の長は、開示の決定 をし、開示請求者に対し、書面で、その旨及び開示の実施に関し必要な事項 を通知しなければならないものとすること。 ※ 開示の決定の通知の詳細(閲覧の日時・場所、写しの交付の方法等) は、政令で定める。 2 開示請求に係る行政文書を開示しないときは、行政機関の長は、請求拒否 の決定をし、その旨、書面で、開示請求者に通知しなければならないものと すること。 ※ 請求拒否の決定の理由の提示については、行政手続法の定めるところ による。 3 第8の規定により開示請求に係る行政文書の存否を明らかにしないとき及 び開示請求に係る行政文書が存在しないことその他の理由により請求を拒否 するときも、前項と同様とするものとすること。 第11 開示等決定の期限等 1 第10に規定する決定(以下「開示等決定」という。)は、開示請求があ った後30日以内にしなければならないものとすること。 2 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、事務処理上の困難その他正当 な理由により同項に規定する期間内に開示等決定をすることができないとき は、一定の期間、これを延長することができる。この場合において、行政機 関の長は、開示請求者に対し、同項の期間内に開示等決定ができない理由及 び延長する期間を通知しなければならないものとすること。 ※ 延長できる期間については、引き続き検討して、具体的な日数を決定 する。 第12 事案の移送 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書が他の行政機関により作成された ものであるときその他相当な理由があるときは、関係行政機関と協議の上、事 案を移送することができる。この場合においては、その旨、開示請求者に通知 しなければならないものとすること。 第13 第三者保護のための手続 1 開示請求に係る行政文書に国、地方公共団体及び開示請求者以外の者(以 下「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、行政機関の 長は、開示等決定をするに際し、当該第三者の意見を聞くことができるもの とすること。 2 開示請求に係る行政文書に第三者に関する情報が記録されている場合にお いて、第6第1号ニ、同第2号ただし書又は第7の規定によりこれを開示し ようとするときは、行政機関の長は、開示の決定に先立ち、当該第三者に対 し、所定の事項を通知して、意見を述べる機会を与えなければならないもの とすること。 3 前2項に定める手続がとられた場合において、当該行政文書を開示すると きは、行政機関の長は、開示の決定と開示を実施する期日との間に当該第三 者が不服申立手続を講ずるに相当な期間を確保するとともに、開示の決定後 速やかに、当該第三者に対し、所定の事項を通知するものとすること。 第14 開示の方法 行政文書の開示の方法は、政令で定めるものとすること。 ※ 録音テープ、ビデオテープの閲覧は視聴によること、文書は原本(支 障があるときは写し)を閲覧させること、電磁的記録物の開示は印字物 の交付によることができることその他媒体に応じた閲覧、写しの交付の 方法を具体的に定める。 第15 手数料 1 行政文書の開示に関する手数料は、実費を勘案し、政令で定めるところに よるものとすること。 ※ 利用しやすい金額とするとともに、不当に大量な行政文書の開示請求 を抑制するとの観点にも留意する。 2 行政機関の長は、経済的困難その他特別の理由のあるときは、その手数料 を免除し、又は減額することができるものとすること。 第16 権限の委任 行政機関の長は、政令で定めるところにより、この章に定める権限を当該行 政機関の職員に委任することができるものとすること。 ・目次へ戻る |