平成17年度における情報公開法の施行の状況について(概要)


 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「行政機関法」という。)及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号。以下「独立行政法人等法」という。)において、総務省は、毎年、それぞれの法の施行の状況について調査し、その概要を公表することとされています。
 今般、平成17年度におけるそれぞれの法の施行の状況について取りまとめましたので、公表します。




 対象機関
1)  行政機関については、行政機関法の対象である国のすべての行政機関
2)  独立行政法人等については、独立行政法人等法の対象であるすべての独立行政法人等(235法人)

 対象期間
 平成17年4月1日から18年3月31日までの状況について、平成18年3月31日現在で調査

 結果の概要
(1)  開示請求の件数
(単位:件)
  行政機関 独立行政法人等
   平成17年度
78,639 4,487
(参考) 16年度
87,123 6,594
      15年度
73,348 5,821
      14年度
59,887 5,567
      13年度
48,670
(注)  独立行政法人等法は、平成14年10月1日に施行されたため、14年度は6か月分の件数である。以下同じ。



(2)  開示決定等の件数

(単位:件、%)
  行政機関 独立行政法人等
       
うち、全部又は一部を開示する決定 うち、不開示の決定 うち、全部又は一部を開示する決定 うち、不開示の決定
平成17年度 74,676 71,012
(95.1)
3,664
(4.9)
4,307 3,892
(90.4)
415
(9.6)
(参考)16年度 76,743 74,119
(96.6)
2,624
(3.4)
6,818 6,265
(91.9)
553
(8.1)
15年度 68,867 66,275
(96.2)
2,592
(3.8)
5,484 5,011
(91.4)
473
(8.6)
14年度 59,203 56,651
(95.7)
2,552
(4.3)
4,600 3,963
(86.2)
637
(13.8)
13年度 44,734 39,653
(88.6)
5,081
(11.4)


年度別開示請求件数及び開示決定等の状況


開示請求件数の行政機関別内訳(平成17年度)
開示請求件数の行政機関別内訳(平成17年度)



(3)  開示決定等の期限(17年度に開示決定等されたものの内訳)
(単位:件、%)
    延長手続を採らなかったもの
(10条1項)
延長手続を採ったもの
(10条2項)
期限の特例規定を適用したもの
(11条)
行政機関 74,676
(100)
68,675
(91.9)
4,232
(5.7)
1,769
(2.4)
 
うち、期限までに開示決定等がされなかったもの 147
(0.2)
45
(0.06)
19
(0.03)
83
(0.11)
独立行政法人等 4,307
(100)
4,049
(94.0)
212
(4.9)
46
(1.1)
 
うち、期限までに開示決定等がされなかったもの 57
(1.3)
56
(1.3)
1
(0.02)
0
(注)  開示決定等の期限については、原則として、開示請求のあった日から30日以内にしなければならないとされており(法10条1項)、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは30日以内に限り延長することができる(法10条2項)。
 また、開示請求の対象となる行政文書が著しく大量であるため、事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合は、「相当の期間」(期限を相手に通知する)内に開示決定等をすれば足りるとする期限の特例が設けられている(法11条)。

期限までに開示決定等がされなかったもの(機関別内訳)
  30日以内に開示決定等がされなかったもの 延長した期限までに開示決定等がされなかったもの 11条を適用して通知した期限までに開示決定等がされなかったもの



宮内庁 0 0 3
法務省 2 0 0
外務省 17 19 79
国税庁 1 0 0
社会保険庁 1 0 0
資源エネルギー庁 0 0 1
国土交通省 24 0 0
45 19 83






国立病院機構 1 0 0
鉄道建設・運輸施設整備支援機構 26 0 0
日本原子力研究開発機構 10 0 0
琉球大学 18 0 0
自然科学研究機構 1 0 0
年金資金運用基金 0 1 0
56 1 0



(4)  不開示としたものの理由
(単位:件)
  行政機関 独立行政法人等
不開示情報に該当 行政文書の不存在 存否応答拒否 その他 不開示情報に該当 法人文書の不存在 存否応答拒否 その他
平成17年度 19,016 3,498 156 75 2,198 385 26 26
(参考) 16年度 17,568 2,173 365 43 4,491 500 21 5
15年度 18,229 2,059 202 32 3,702 393 26 0
14年度 16,950 1,749 390 18 3,037 574 16 0
13年度 16,409 3,151 278 37 - - - -



(5)  不服申立て
ア 不服申立て件数
(単位:件)
  行政機関 独立行政法人等
   平成17年度
743 121
(参考) 16年度
1,367 124
      15年度
1,158 77
      14年度
914 47
      13年度
1,359


イ 処理日数
 (ア) 不服申立てを受けてから裁決・決定をするまでの期間
    (17年度に裁決・決定を行った事案について)
(単位:件、%)
  90日以内 90日超
半年以内
半年超
9月以内
9月超
1年以内
1年超
2年以内
2年超
行政機関 1,062 261
(24.6)
138
(13.0)
107
(10.1)
133
(12.5)
300
(28.2)
123
(11.6)
  (参考)16年度 1,416 163
(11.5)
275
(19.4)
221
(15.6)
154
(10.9)
603
(42.6)
独立行政法人等 106 10
(9.4)
22
(20.8)
11
(10.4)
15
(14.1)
46
(43.4)
2
(1.9)
  (参考)16年度 46 10
(21.7)
7
(15.2)
12
(26.1)
7
(15.2)
10
(21.7)

不服申立てを受けてから裁決・決定をするまでの期間(平成17年度に行政機関の長が裁決・決定したもの)


 (イ) 不服申立てから審査会に諮問するまでの期間
    (17年度に審査会に諮問した事案について)
(単位:件、%)
  30日以内 30日超
90日以内
90日超
行政機関 682 109
(16.0)
301
(44.1)
272
(39.9)
  (参考)16年度 800 395
(49.4)
405
(50.6)
独立行政法人等 65 9
(13.8)
28
(43.1)
28
(43.1)
  (参考)16年度 83 53
(63.9)
30
(36.1)



 <90日超事案の機関別内訳>
行政機関 件数
人事院 4
内閣府 3
宮内庁 1
警察庁 4
防衛庁 124
金融庁 3
総務省 3
法務省 9
外務省 31
財務省 3
国税庁 11
厚生労働省 29
社会保険庁 1
経済産業省 14
資源エネルギー庁 5
国土交通省 16
海上保安庁 11
272
独立行政法人等 件数
自動車事故対策機構 1
都市再生機構 6
日本学術振興会 1
日本学生支援機構 1
水資源機構 1
日本郵政公社 4
日本銀行 1
自然科学研究機構 1
東日本高速道路株式会社 1
中日本高速道路株式会社 4
阪神高速道路株式会社 7
28
(注)  東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社及び阪神高速道路株式会社は、法の対象法人ではないが、旧道路公団関係の事案処理を承継し、経過措置に基づき処理しているものである。


 (ウ) 答申を受けてから裁決・決定をするまでの期間
    (審査会の答申を受けて17年度に裁決・決定をした事案について)
(単位:件、%)
  30日以内 30日超
60日以内
60日超
行政機関 782 454
(58.1)
167
(21.3)
161
(20.6)
独立行政法人等 88 53
(60.2)
24
(27.3)
11
(12.5)



 <60日超事案の機関別内訳>
行政機関 件数
人事院 3
警察庁 2
防衛庁 64
金融庁 1
法務省 2
外務省 9
財務省 1
国税庁 1
厚生労働省 40
社会保険庁 1
農林水産省 4
経済産業省 13
資源エネルギー庁 5
国土交通省 9
海上保安庁 4
会計検査院 2
161
独立行政法人等 件数
自動車事故対策機構 1
日本郵政公社 1
琉球大学 2
社会保険診療報酬支払基金 7
11
(注)  社会保険診療報酬支払基金は、平成15年10月1日に民間法人化され、法の対象法人ではなくなったが、対象法人であった時に処理中であった事案を、経過措置に基づき引き続き処理しているものである。


ウ 審査会における諮問・答申状況
(単位:件)
  行政機関 独立行政法人等
諮問件数 答申件数 諮問件数 答申件数
   平成17年度
646 645 65 71
(参考) 16年度
692 667 82 57
      15年度
885 784 51 45
      14年度
703 546 13 0
      13年度
384 178 - -
(注)  法では、不服申立てを受けた行政機関の長及び独立行政法人等は、却下等する場合を除き、情報公開・個人情報保護審査会に諮問することとされており、同審査会の答申を受けて、行政不服審査法に基づく裁決・決定を行うこととなる。
   行政機関の長が受付けた不服申立てについては複数の申立てをまとめて諮問しているものがあり、上記イ-(イ)の行政機関の「諮問件数」の「計」欄の件数と、本表の行政機関の平成17年度の「諮問件数」欄の件数とは一致しない。


(6) 訴訟(新規提訴件数)

(単位:件)
  平成17年度 (参考)
16年度
15年度 14年度 13年度
行政機関 28 21 15 39 15
独立行政法人等 2 2 3 1 -




 

情報公開法の制度運営に関する改善措置の実施状況


 行政機関法は平成13年4月1日に施行されたが、附則第2項に、法施行後4年を目途として施行の状況等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることが規定されていた。
 このため、総務省では、有識者による専門的な検討を実施するため、「情報公開法の制度運営に関する検討会」を16年4月より開催し、同検討会は17年3月29日に報告をとりまとめた。
 同報告の指摘を踏まえ、平成17年度において、以下のような情報公開法の制度運営に関する改善措置を講じた。
(注)  独立行政法人等法は平成14年10月1日に施行されたが、同法においても、行政機関法の検討状況を踏まえ、見直しを行い、必要な措置を講ずることとされており、上記検討会は両法を併せて検討を行った。

全体的な状況
 全体として、公正で民主的な行政の実現のための基盤としての情報公開法の仕組みが定着し機能しつつあるが、一部には、事案の処理に長期化を要しているもの等が見られる
主な改善措置等の指摘事項 指摘を受けての実施状況
(1)   的確な開示・不開示の判断の確保
   情報公開審査会の答申や判決の蓄積を活用し、審査基準の詳細化


 
審査会答申等の分析
   平成18年2月、先例となると考えられる主な事例を選定、整理した資料を作成
(2)   開示決定や審査会への諮問など処理の遅滞の解消
   進行管理の徹底等により、開示決定等の期限の遵守
   目標的な処理期間の設定、長期間を要した事案についての年1回公表等により、審査会への諮問の早期化

 
情報公開法の趣旨の徹底【注1】
   平成17年4月28日、総務省行政管理局長通知の発出
  不服申立て事案の事務処理の迅速化について各省申合せ
【注2】
   平成17年8月3日、不服申立てを受けてから審査会に諮問するまでの期間及び審査会の答申を受けてから裁決・決定するまでの期間等について申合せを実施
(3)   開示の方法・手数料の見直し
   カラー複写機、スキャナ等開示請求者のニーズを踏まえ政令を改正

 
行政機関法施行令等の改正【注3】
   平成17年12月21日、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令等の一部を改正する政令」(平成17年政令第371号)を公布、18年4月1日施行
(4)   適正な行政文書管理の徹底
   職員を対象とした研修等により、適正な文書管理の徹底
   膨大な行政文書を適正・効率的に管理するため、総合的な文書管理システムの整備を推進

 
情報公開法の趣旨の徹底【注1】
   平成17年4月28日、総務省行政管理局長通知の発出
  業務・システムの最適化
   文書管理を総合的に行うことができるシステムの整備を推進

注1 平成17年4月28日 総務省行政管理局長通知「行政機関の保有する情報の公開に関する法律
 及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の趣旨の徹底等について」
   検討会報告を受けて、各行政機関官房長及び各独立行政法人等に対し、それぞれの職員に情報公開法の趣旨の徹底を図るよう通知したもの。
  <主な事項>
    1)  開示請求者をしようとする者に対し、必要な情報提供を積極的に行い、対象文書の特定を徹底
    2)  管理部門等が事案処理状況を把握できる仕組みの整備等、的確な進行管理の徹底。特に、審査会への諮問について、なお一層の迅速化。
    3)  不開示決定に際しては、その根拠条文及びその条文に該当することの根拠を付記することについて、一層の徹底。
    4)  行政文書等の管理の適正化について、職員等を対象とした研修等の機会を通じて徹底。

注2 平成17年8月3日 情報公開に関する連絡会議申合せ
   検討会報告の指摘を踏まえ、情報公開に関する連絡会議において、公務員の氏名の取扱い及び不服申立て事案の事務処理の迅速化について申合わせを行ったもの。
  <主な申合せ内容>
    1)  各行政機関は、その所属する職員の職務遂行に係る情報に含まれる当該職員の氏名については、特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き、公にする。
    2)  不服申立て事案を審査会に諮問するに当たって改めて調査等を行う必要がない事案については、不服申立てがあった日から諮問するまで遅くとも30日を超えないようにし、その他の事案についても、特段の事情がない限り、遅くとも90日を超えないようにする。
    3)  原処分を妥当とする答申などにあっては、答申を受けてから裁決・決定までに遅くとも30日を超えないようにし、その他の事案についても、特段の事情がない限り、遅くとも60日を超えないようにする。

注3 施行令の改正 平成17年12月21日公布、18年4月1日施行
   新たな技術の進展・普及状況や開示請求者のニーズを考慮し、行政文書等の開示の実施の方法の追加、手数料の改定等を行ったもの。
  <主な改定>
    1)  開示の実施方法として、文書・図画のカラーで複写したものの交付、スキャナで電子化して光ディスク等に複写したものの交付等を追加。
    2)
 開示請求手数料     オンラインによる開示請求手数料 220円→200円
 開示実施手数料 コピーによる交付 1枚20円→10円
(カラーコピーは1枚20円 新設)
電磁的記録のオンライン開示 1ファイル210円(新設)
 報告書

平成17年度における行政機関情報公開法の施行の状況について(PDF)


<資料(PDF)>  全体版(0.8MBメガバイト
  1.  行政機関別内訳表

    1- 1  開示請求の件数等
    1- 2  開示請求事案の処理状況
    1- 3  開示決定等の件数
    1- 4  延長手続の状況
    1- 5  法11条の規定を適用した事案に係る開示決定等の処理日数別の件数
    1- 6  不開示理由の内訳
    1- 7  不開示情報の内訳
    1- 8  存否応答拒否の内訳
    1- 9  不服申立ての新規申立て状況
    1-10  不服申立ての件数と処理状況
    1-11  不服申立てに対する裁決・決定の状況
    1-12  不服申立てを受けてから裁決・決定をするまでの期間
    1-13  不服申立てを受けてから諮問するまでの期間
    1-14  答申を受けてから裁決・決定をするまでの期間
    1-15  審査会における審査状況
    1-16  情報公開に関する訴訟の状況
    1-17  開示実施手数料の減免の状況

  2.  延長手続を採っておらず、30日以内に開示決定等がされなかったもの
  3.  延長手続を採って、延長した期限までに開示決定等がされなかったもの
  4.  法第11条を適用し、通知した期限までに開示決定等がされなかったもの
  5.  延長手続を採っていない事案で、30日を超過しているもの
  6.  延長手続を採っている事案で、延長した期限を過ぎているもの
  7.  法第11条を適用している事案で、開示請求者に通知した期限を過ぎているもの
  8.  法第11条を適用している事案で、開示決定等までに1年超を要したもの
  9.  今年度に審査会に諮問した事案のうち、不服申立てを受けてから諮問までに90日超を要したもの
  10.  調査日現在、審査会への諮問準備中等の事案のうち、不服申立てから90日超を経過しているもの
  11.  今年度に行った裁決・決定のうち、審査会の答申を受けた事案に係るものであって、答申を受けた日から裁決・決定までに60日超を要したもの
  12.  調査日現在、答申を受けて裁決・決定の準備中である事案のうち、答申を受けてから60日超を経過しているもの
  13.  情報公開に関する訴訟に係る判決の概要
  14.  申し合わせ(平成17年8月3日)に係る「特段の事情の公表」


平成17年度における独立行政法人等情報公開法の施行の状況について(PDF)


<資料(PDF)>  全体版(0.5MBメガバイト
  1.  独立行政法人等別内訳表

    1- 1  開示請求の件数等
    1- 2  開示請求事案の処理状況
    1- 3  開示決定等の件数
    1- 4  延長手続の状況
    1- 5  法11条の規定を適用した事案に係る開示決定等の処理日数別の件数
    1- 6  不開示理由の内訳
    1- 7  不開示情報の内訳
    1- 8  存否応答拒否の内訳
    1- 9  異議申立ての新規申立て状況
    1-10  異議申立ての件数と処理状況
    1-11  異議申立てに対する決定の状況
    1-12  異議申立てを受けてから決定をするまでの期間
    1-13  異議申立てを受けてから諮問するまでの期間
    1-14  答申を受けてから決定をするまでの期間
    1-15  審査会における審査状況
    1-16  情報公開法に関連する訴訟の状況
    1-17  開示実施手数料の減免状況

  2.  延長手続を採っておらず、30日以内に開示決定等がされなかったもの
  3.  延長手続を採って、延長した期限までに開示決定等がされなかったもの
  4.  法第11条を適用している事案で開示決定までに1年超を要したもの
  5.  今年度に審査会に諮問した事案のうち、異議申立てを受けてから諮問までに90日超を要したもの
  6.  調査日現在、審査会への諮問準備中等の事案のうち、異議申立てから90日超を経過しているもの
  7.  今年度に行った決定のうち、審査会の答申を受けた事案に係るものであって、答申を受けた日から決定までに60日超を要したもの
  8.  調査日現在、答申を受けて決定の準備中である事案のうち、答申を受けてから60日超を経過しているもの
  9.  情報公開に関する訴訟に係る判決の概要