「独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準の
公表方法等について(ガイドライン)」の策定に当たって



平成15年8月29日
独立行政法人の給与水準の公表に関する勉強会 座長
専修大学経済学部教授 宮本 光晴

 独立行政法人制度は、国の事前関与を必要最小限とし、法人が自律的な業務運営を行うことを可能とする仕組みです。これによって各法人が適正で効率的な業務運営を実現することを目的としています。そのためには、各法人の業務実績を厳格に事後評価し、透明性を確保することが必要とされます。
 給与水準に関しては、民間企業のように市場での競争力の観点から圧力が働くわけではなく、また人事院勧告の対象にもならないことが指摘できます。そこで、役職員の給与等についての状況を国民に対して分かりやすい形で公表し、説明責任を果たすことが特に重要となります。そうしなければ、法人が適正で効率的に運営されているかどうかが分からないおそれがあります。
 今般の公表ガイドラインは、独立行政法人の職員と国家公務員の給与水準を、地方公共団体の給与水準の比較の際などに使われてきたラスパイレス指数を使って比較するだけではなく、職員給与の年齢別の分布状況を公表し、勤務成績等が反映されているかどうかを確かめることにしています。さらに、法人の役員の場合は、退職手当の支給額とその考え方について一人ひとりの分を公表することとしています。このように、個人情報保護の観点から公表すべきでないと考えられる事項以外は、広く公表することをガイドラインといたします。
 このような役職員の給与等の情報開示は、これまで民間でもなかった徹底的かつ画期的なもので、独立行政法人の透明性の向上、さらには適正で効率的な業務運営の確保に大きく貢献すると考えています。
 なお、独立行政法人通則法では、役職員の給与等の支給基準は民間企業や社会情勢一般を考慮することとされています。そこで、その水準が妥当であるかどうかは、類似の業務を営む民間企業と比較する必要があります。このような趣旨から、それぞれの法人が類似の業務を行う民間企業と比較できるよう、給与データの提供等についての協力をよろしくお願いしたいと思います。特に、民間企業では役員報酬や退職金のデータについて、この基準に匹敵するような開示は行われていませんので、この分野では比較が十分にできるかどうかに懸念があります。今後、コーポレート・ガバナンス向上の観点等からも、この分野での情報開示が進むことを期待しています。

以上