第 |
二 |
解説 |
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一 |
行政機関法との調整措置 |
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1 |
) 開示について、商業登記簿等、特許原簿等、訴訟に関する書類等に記録された個人情報についての適用除外
商業登記簿等、特許原簿等、刑事訴訟法に基づく訴訟に関する書類等については、一般的な行政文書と異なり、独自の完結した体系的な開示の制度の下にある。これらの文書について認証のない写しの交付を認めることは、これらの文書に係る制度の趣旨を損なうことから、これらの文書については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)の制定時に情報公開法を適用除外とする措置を講じている。
行政機関法における開示請求権制度との関係についても、情報公開法における場合と同様の趣旨から、これらの文書に記録された個人情報について行政機関法に基づく開示の規定を適用除外とする措置を講じている。
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2 |
) 訂正・利用停止について、商業登記簿等、特許原簿等、訴訟に関する書類等に記録された個人情報についての適用除外
商業登記簿等及び特許原簿等については、一般的な行政文書と異なり、その内容の訂正については、商業登記簿等及び特許原簿等については変更事由が生じた際に申請すること、戸籍については家庭裁判所の許可を得て戸籍訂正の申請をすることといった、それぞれの法の趣旨から必要な体系的な訂正の制度が設けられており、これらの文書に記録された個人情報について、行政機関法に基づく訂正を認めることは、その必要性が乏しいのみならず、これらの文書に係る制度の趣旨を損なうこととなる。
また、これらの文書は特定の権利を公証することを目的としており、行政機関法による利用停止を認めることは、これらの文書に係る制度の趣旨を損なうものである。
刑事訴訟法に基づく訴訟に関する書類等についても、一般的な行政文書と異なり、司法部門における独自の完結した体系的な制度の下にあり、例えば、公判調書の記載の正確性につき、検察官、被告人又は弁護人は、裁判所に異議を申し立てることができる制度が設けられているなど、訴訟に関する書類等に記録された個人情報の取扱いについては、司法機関である裁判所の適正な関与の下になされるものである。
このような観点から、商業登記簿等、特許原簿等、訴訟に関する書類等に記録された個人情報については、行政機関法に基づく訂正及び利用停止の規定の適用除外とする措置を講じている。
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3 |
) 統計法等に基づく統計調査により集められる個人情報についての適用除外 |
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統計法及び統計報告調整法に基づく統計調査により集められる個人情報については、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(昭和63年法律第95号。以下「旧法」という。)において適用除外とされている。その理由としては、1)統計調査により集められる個人情報は、集計後は統計処理されることにより、個人を識別できない形で利用、提供されること、2)統計上の目的以外での調査票の使用が厳しく制限されていることなど、個人情報の取扱いに必要な制度上の規律が統計法等において整備されていること、3)統計調査については、国の行政機関のみでなく地方公共団体も調査実施者となっており、統計法等の体系に従って一体的な管理運営の下に行われていること、の三点が挙げられる。これらの理由は、行政機関法においても妥当することから、旧法と同様の理由から、行政機関法においても統計法等を適用除外とする措置を講じている。
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二 |
独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律との調整措置 |
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1 |
) 開示、訂正及び利用停止について、訴訟に関する書類等に記録された個人情報についての適用除外
刑事訴訟法に基づく訴訟に関する書類等に記録された個人情報について、行政機関法と同様の調整措置を講じている。
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2 |
) 統計法等に基づく統計調査により集められる個人情報についての適用除外
日本銀行が届出統計調査の実施者であること、独立行政法人統計センターが平成十五年四月に設立されたこと等を踏まえ、統計法及び統計報告調整法について、行政機関法と同様の調整措置を講じている。
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