行政手続法の施行状況に関する調査結果(概要)
−地方公共団体−

平成15年12月25日
総務省




第1 調査の目的、調査対象機関等

   調査の目的: 国及び地方公共団体における行政手続法の施行状況を調査し、同法の円滑かつ的確な施行に資する。
   調査時点: 1) 審査基準、標準処理期間及び処分基準の設定状況−平成14年3月31日現在
2) 聴聞・弁明手続の実施状況−平成13年度
   調査対象機関: 1) 全都道府県(47団体)
2) 各都道府県の政令指定都市及び県庁所在市以外の市で人口の最も多い市並びにそれ以外の中核市(49団体)
   (注) 国の行政機関についての調査結果は、本年4月に公表済み。



第2 調査結果
1  申請に対する処分
   (1)   審査基準の設定状況
  行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準(審査基準)を定めることとされている(法第5条)。
  都道府県及び調査対象市における審査基準の設定状況(1団体当たりの平均値)を調査した結果、都道府県では、総数1,347種類の該当処分のうち1,100種類(81.7パーセント) について、また、調査対象市では、総数299種類の該当処分のうち214種類(71.6パーセント) について、審査基準が設定されていた。
  なお、都道府県、調査対象市のいずれにおいても、未設定の理由として多く挙げられているものは、1)「将来的に申請が見込まれるものの、過去に申請実績がなく又は稀であって、あらかじめ審査基準を設定することが困難」及び2)「事案ごとの裁量が大きく、審査基準を設定することが困難」であり、この2つで約9割を占めていた。

  (2)   標準処理期間の設定状況
  行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(標準処理期間)を定めるように努めることとされている(法第6条)。
  都道府県及び調査対象市における標準処理期間の設定状況(1団体当たりの平均値)を調査した結果、都道府県では、総数1,347種類の該当処分のうち899種類(66.7パーセント) について、また、調査対象市では、総数299種類の該当処分のうち143種類(47.8パーセント) について、標準処理期間が設定されていた。
  なお、未設定の理由として多く挙げられているものは、都道府県、調査対象市のいずれにおいても、1)「将来的に申請が見込まれるものの、過去に申請実績がなく又は稀であって、あらかじめ設定が困難」及び2)「事実関係の認定に難易差があり設定が困難」であり、この2つで全体の約9割を占めていた。

2  不利益処分
   (1)   処分基準の設定状況
  行政庁は、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準(処分基準)を定めるように努めることとされている(法第12条)。
  都道府県及び調査対象市における処分基準の設定状況(1団体当たりの平均値)を調査した結果、都道府県では、総数1,222種類の該当処分のうち884種類(72.3パーセント) について、また、調査対象市では、総数324種類の該当処分のうち189種類(58.3パーセント) について、処分基準が設定されていた。
  なお、未設定の理由として多く挙げられているものは、都道府県、調査対象市のいずれにおいても、1)「将来的に処分の対象が見込まれるものの、過去に処分実績がなく又は稀であって、あらかじめ処分基準を設定することが困難」又は2)「事案ごとの裁量部分が大きく、処分基準を設定することが困難」であり、この2つで全体の約9割以上を占めていた。

  (2)   聴聞及び弁明の手続の実施状況
  行政庁が不利益処分をしようとする場合、当事者の権利保護を図る観点から、行政手続法においては、処分の内容の特殊性から聴聞又は弁明の手続を執ることを要しないとされるケースを除き、聴聞又は弁明の手続を執ることとされている(法第13条)。
  平成13年度における聴聞又は弁明の実施状況をみると、聴聞通知件数は都道府県で25,703件、調査対象市で37件、弁明通知件数は都道府県で126,132件、調査対象市で37,498件となっている。





地方公共団体における審査基準等の設定率(平成14年3月31日現在)


審査基準設定状況

標準処理期間設定状況

処理基準設定状況