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電気通信事業紛争処理委員会(第70回)議事録

議事概要 議事録 会議資料


【香城委員長】  ただいまから第70回電気通信事業紛争処理委員会を開催いたします。委員5名全員が出席し、定足数を満たしておりますほか、特別委員2名にもお越しいただいております。
 それでは早速議事に入りますが、議題の1は電気通信事業分野における競争状況の評価結果(案)についてです。
 この件につきましては、総合通信基盤局事業政策課の今川企画官からご説明をお願いいたします。どうぞよろしく。
【今川企画官】  ご紹介いただきました今川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。着席させていただきます。
 我々は電気通信分野を対象とした競争評価というものをやっておりまして、実は先般、先週の金曜日に評価結果案を報道発表いたしまして、パブリックコメントにかけさせていただいております。今日お時間をちょうだいできるということでしたので、ごく簡単に概要を説明させていただきたいと思います。
 お手元の資料1というのがございますので、ご覧いただければと思います。評価を1年間かけてやっているものですから、内容がかなり分厚いものになっておりまして、ちょっと手元にお持ちしたのですが、昨年ですとこのオレンジ色の本で、このように分厚いものでございまして、今年もパブリックコメントにかけたものが結構このぐらいの分厚いものになっておりますので、本当に申し訳ありませんが、概要のみになってしまうことをお許しいただければと思います。
 まず、2ページに「競争評価の背景」とございますが、ご承知のとおりでございますが、事後規制に移ってきている中で、競争状況の評価が重要になってきています。電気通信事業法を抜本改正いたしまして、その後、利用者保護の充実などとあわせて、事後規制の中で情報を得るための一つの柱として、競争評価を実施しております。主に目的としまして2つございますが、評価結果を広く公表して、政策に反映をしていくということと、関連する様々なデータを収集して、公開をしていくというようなことが、我々の目的でございます。
 3ページに移らせていただきます。3ページで競争評価の簡単な手順というか、フローチャートのようなものを書かせていただいておりますが、毎回基本方針を定めまして、この考え方に基づいて、競争評価をやっていくということにしております。
 左下に小さく書いてございますが、評価対象領域というのが4つございまして、固定電話と移動体電話、それからブロードバンド等のインターネット接続、企業内ネットワーク──企業向け、法人向けに行われておりますデータ通信など、この4つの分野を対象としております。
 実は、この1)の固定電話以外は、昨年度までに既に評価をやってきているものですが、今年はその固定電話を新たに実施したということでございます。これは基本方針に基づきまして、実施細目というものを毎年定めまして、実施細目の中でこういったデータを各事業者の皆様から集めるというようなことですとか、分析の視点ですとか、そういったものをまとめておりまして、この実施細目もパブリックコメントにかけて決定した上で、情報収集を行います。
 このデータ収集に結構時間がかかるのでございますが、それを受けまして、市場画定を最初に前提として行います。市場画定というのは、ご承知かと存じますけれども、分析の対象となる市場の範囲というものを決めないと、その後の事業者のシェアにしても何にしても、決められません。通信の世界で言いますと、例えば携帯電話とPHSというのは非常に似たサービスでございますけれども、これを1つの市場として見るのか、別々の市場として見るのかということで、事業者のシェアの計算などもかなり変わってくるわけでございますので、まず市場の範囲を決めるということを、市場画定として行います。これもパブリックコメントにかけて決定した上で、競争状況の分析を行います。主に競争状況でございますので、申し上げました事業者シェアですとか、市場集中度のようなもののほかに、事業者の数ですとか、価格の動きですとか、利益率ですとか、そういったものを色々照らし合わせながら、競争状況の分析をいたしまして、最終的に評価結果、これは特に市場支配力を中心に評価を行いまして、結果を公表します。
 結果の公表についてもパブリックコメントにかけまして、それぞれパブリックコメントにかけた後には、公開のカンファレンスのようなものを行っておりまして、産・官・学でオープンに議論をした上で、最終的な内容を決めるということになっております。これが大体1年間をかけてのサイクルでございまして、それを適宜政策に反映し、また、翌年度の実施細目にフィードバックされていくということでございます。
 参考までに、4ページに今回のスケジュールでございますが、詳細は割愛させていただきますが、競争評価結果というのが一番右にございます。これを7月上旬にまとめる方向で進めており、昨日5月30日には事業者説明会を行いました。パブリックコメントは6月23日に終了いたしまして、6月27日に公開のカンファレンスを行った上で評価結果を決定する段取りでございます。
 5ページにまいりまして、これは対象領域、先ほどもちょっと触れましたけれども、基本方針で示しております4つの領域につきまして、17年度については、固定電話を新たに始めたということでございます。それ以外のものについては、昨年、一昨年と着手しておりますけれども、引き続き定点的に分析を行うということで、そういう意味ではすべての領域を今年はカバーしたということになります。
 市場画定でございますが、先ほど申し上げましたけれども、まず市場の対象を決めなければいけないということでございます。「需要の代替性」、「供給の代替性」、「共通価格設定」と3つの判断基準がございますが、主に需要の代替性、一方の価格を上げたときに、もう片方の需要にシフトするかというような代替性の観点から、2つの財を比べまして、非常に代替性が高いということであれば1つの市場、代替性があまり高くないということであれば別々の市場というような考え方で、市場の範囲を決めてまいります。これは利用者側の認識に基づくものがかなり多いものでございますので、アンケート調査などを行いまして、需要の代替性を測ります。これはアンケート調査による回答だけでなく、計量経済的な分析などもあわせて行いまして、市場画定を行うということでございます。
 それから7ページにまいりまして、これは今申し上げたとおりで、今後のスケジュールでございまして、カンファレンスも開催いたしますが、これは広くオープンに、大体100名から200名ぐらいの規模で行うようなものでございます。
 8ページに固定電話領域と書いてございます。これは今年初めて行った固定電話の市場分析の結果でございます。9ページに、市場画定の範囲というのが書かれております。申し上げましたとおり、利用者調査などを通じまして、固定電話の市場を決めるわけでございますが、結構、電話というのは簡単そうに見えて、意外と複雑になっておりまして、加入の部分につきましては、NTTの加入電話のほかにも色々あります。最近では、NTTの回線を借りて、例えばKDDI等が提供するような直収電話。それから、ケーブル事業者がケーブル放送の付加的なサービスとして行うケーブルテレビ電話。それから0ABJ−IP電話。これは光ファイバのインターネットを提供する事業者が、IP電話も提供するものです。NTTで言えば、ひかり電話というようなもので、0ABJと申しますのは、例えば03とか05とか、06とか、そういう地域番号を使える形でのIP電話ということになりますが、これがNTTの加入電話を代替し得るものでございまして、実は一昨日、加入電話の3月末の数字を出したのですが、NTTの加入電話が結構減っているところでございますが、それを相殺するぐらい、直収電話と0ABJ−IP電話が増えておりまして、やはりその関係は、代替性がかなり強くなってきております。といったことで、この4つを全部含めまして、固定電話の市場の範囲というふうに今回は定めております。
 ただ、加入と通話を分けるかどうかという議論がございまして、伝統的に加入と通話を分けるような考え方もあるかとは思いますけれども、利用者の方のアンケート調査などを踏まえますと、加入と通話を一体的にとらえている方が非常に多いということですので、加入と通話、特に直収電話、ケーブル電話、0ABJの光のIP電話については、加入した時点で通話の部分の事業者選択がほぼ自動的に決まってくるような、垂直統合されたような形もございますので、これを一体的に考えることといたしました。
 ただし、NTTの加入電話につきましては、優先接続制度などによって、加入と通話の部分が明確にアンバンドルされておりますので、そこでは優先接続の中継電話ですとか、050−IP電話、これはADSLとか光ファイバでインターネット接続した上で利用する050で始まるIP電話ですね、あるいはスカイプのような、パソコンのソフトウエアを使って電話をするいわゆるソフトフォンですとか、この辺を別途、別々に部分的な市場として見ていくということでございます。ソフトフォンはちょっと十分なデータが入手できませんので、可能な範囲で分析をするということでございます。
 10ページに主な評価結果を示しております。2005年度の動向といたしましては、NTT東西のシェアというのが依然として圧倒的で94.1%に達しておりますけれども、直収電話ですとか、0ABJ−IP電話、こういったものが伸びてきていると、こういうような環境でございます。
 市場支配力につきましては、これは昨年から「存在」と「行使」と2つに分けて分析をするような形になっておりまして、それを踏襲しております。固定電話の加入部分につきましては、NTT東西の市場支配力が単独で存在するということで、シェアが90%を超えるというようなことですとか、メタルの加入者回線のシェアというのはほぼ100%で不可欠設備を保有しているというようなことで、市場支配力を持ち得るということでございます。ただし、実際に行使に及ぶかどうかということについては、行使する可能性は高くないという判断にしております。ただし、この固定電話における市場支配力を梃子にして、隣接市場、例えばブロードバンドの市場に影響を及ぼす懸念がある。具体的には例えば116といった番号のようなものを使って、固定電話の故障の連絡があったときに、光ファイバへの加入を勧めるといったことのないように、そういったことについては懸念があるというような判断をしてございます。
 それから中継電話の部分につきましては、これは市場支配力の存在が、単独については、NTT東西、またはNTTコミュニケーションズが行使し得る地位にある。これは、シェアがいずれも7割を超えるというようなことでございまして、そのほか、乗換費用が存在してマイライン、マイラインプラスを変更する際には変更手数料などがかかりますので、そういった意味で市場支配力が存在するという判断にしております。
 ただし国際通話につきましては、NTTコミュニケーションズのシェアが6割を超えておりますけれども、トラフィック、つまり通信量で見ますと、KDDIに次ぐシェア2位の存在ということですので、単独ではそういった市場支配力といったものは存在しないとしております。
 ただし、協調につきましては、上位3社のシェアがいずれも9割を超えるような環境でございますので、暗黙の協調等により市場支配力を行使し得る可能性はあるということでございます。ただし行使につきましては、単独にしろ、協調にしろ、いずれも実際に行使される可能性は低いという判断にしております。具体的には、マイラインというのは、事業者識別番号を付与すれば、契約先以外の事業者を選択するようなことも可能な制度でございますし、中継電話より安価な050−IP電話ですとか、ソフトフォンが競争圧力として出てきているということでございます。
 次のページにまいりまして、11ページでございます。050−IP電話ですが、市場支配力の存在につきましては、単独ではそういった事業者は存在しないと。シェア1位のBBテクノロジー──ソフトバンクですね──のシェアが49%ということでございますので、単独で価格などに影響を与える地位にはないというふうに判断をしておりますが、協調につきましては、上位3社で8割を超えるような状況でございまして、シェア上位の事業者が協調する可能性は潜在的にはあるとしています。ただし、支配力の行使については、協調によって実際に支配力を行使するという可能性は低いと考えておりまして、理由としましては、ADSL等インターネット接続の付加的な位置づけでございますので、非常に安い料金で通話ができるというのを特徴にしておりますし、加入者間では通話無料といった割引料金が定着しておりますので、050−IP電話の通話料を引き上げるというような誘因は低いだろうということでございます。
 今後の注視事項としましては、固定電話の中では加入部分、NTTの加入電話を代替する直収電話ですとか、0ABJ−IP電話などに注目をするということですし、通話部分につきましては、050−IP電話やソフトフォンなどの伸びに注目をしていきたいと考えています。
 固定電話の外との関係につきましては、固定電話全体の契約数は年々減少しておりますので、固定電話と移動体電話の代替関係、補完関係のようなものにつきましては、今後FMCが進展してまいりますので、そういったものを見ていきたいと思っておりますし、ブロードバンドとの関係もより密接になってきておりますので、いわゆる電話とインターネットと映像配信といったトリプルプレーの進展などによって、固定電話とブロードバンドの関係がどういうふうになっていくのか、そういう市場をまたぐ関係もよく見てまいりたいと考えています。これらにつきまして、特にNTT東西の市場支配力の行使の可能性は高くないとしておりましたが、この行使の可能性につきましては、競争政策の適切な運用によって、引き続き注意深く監視をするということと、先ほど指摘いたしました隣接市場への影響については、いわゆるレバレッジのようなものについて、よく注視をしてまいりたいということでございます。
 次に、隣接市場との相互関係でございます。13ページに絵がございますが、先ほど隣接市場への影響ということに触れておりましたが、具体的にどういうことかということでございますが、この絵で申します左下が固定電話の加入部分でございまして、94.1%のシェアをNTTが持っております。ここの市場支配力が圧倒的でございますので、これが中継電話ですとか、ADSLですとか、050−IP電話といったものにどういうふうに影響があるかというものを見る必要があるということでございますが、中継電話の部分についてはマイライン、マイラインプラスで制度的に明確に分離をされておりますので、ここはよろしいかと思いますが、それ以外の部分とどういう関係があるかを分析することが必要ということでございます。
 アンケート結果から何をやったかと申しますと、異なるサービスの間で、例えば、2)の加入から050−IP電話の部分について申しますと、加入電話の部分でNTTを選んでいる方とほかの事業者を選んでいる方を分けまして、それぞれごとに、050−IP電話でどういったISP事業者を選んでいるかというような分析をクロス集計しております。要するに、異なるサービスの間で、どういう事業者の選択がされていて、その事業者選択がどういう関係にあるか。簡単に言ってしまえば、固定電話の加入でNTTを選んでいる人は、ほかの方と比べて050−IP電話のISPでもNTT系のISPを選んでいる比率が高いというような結果が出ています。固定電話の加入でNTTを選んでいる人は、それ以外のサービスでもNTTを選んでいる人が多いというような関係が得られておりまして、それが大体すべてのほとんどの関係について言えている状況です。
 中継電話について言えば、4区分ございますので、NTT系の事業者を4区分すべてで選んでいる人、あるいは2区分または3区分で選んでいる方、1区分のみで選んでいる方、全くNTT系を選んでいない方、そういった形で分けてクロス集計をしますと、やはりNTT系の事業者を選んでいる比率が高いほど、ISPとかADSL等のほかのサービスでも、NTT系の事業者を選んでいる比率が高いと、そういうような結果が得られております。
 ただ、それ自体は、例えばセット料金の割り引きですとか、消費者の方のブランド志向ですとか、そういったものもございますので、競争政策上それが直ちに問題というわけではございません。評価結果は14ページに示しております。まず1として、申し上げたとおりですが、固定電話市場での事業者の選好とインターネット接続市場での事業者の選好には相関があるということでございます。
 それから2番目で、固定電話での事業者選好と移動体電話の事業者選好にも、一定の相関がある。これは上のページには示しておりませんでしたが、要するに、固定電話でNTTを選んでいる方は、携帯でもドコモを選んでいる方が多い。固定電話でKDDIを選んでいる方は、携帯ではauを選んでいる方が多い。これは比較の上での相対的な問題でございますが、そういうような傾向が見られました。
 3番目でございますが、今後、固定、インターネット、移動体と3つの市場についての相互関係が強まってまいりますので、そういったときに、囲い込みのようなものが起こってまいりますが、特に固定電話の市場支配力が、他のマーケットにどういうふうに及ぶかということについて、よく注視をしてまいりたいというような評価結果としております。
 お時間のほうが十分ございませんので、以上が固定電話の部分の評価結果でございますが、あとは、すみません、ほんとうにさらっと触れさせて頂きます。
 ブロードバンド領域につきましては、ADSL、FTTH、ケーブルインターネットと3つのサービスがございますが、それぞれ昨年の評価結果を引き継いでおりまして、大きく変わる部分というものはございません。市場支配力の存在について、あるいは行使について、昨年の判断をほぼ引き継いでおります。
 それから、24ページでございますが、移動体電話、これについても26ページに評価結果を示しておりますが、市場支配力の存在・行使などについて、これも昨年の評価を引き継いでおります。少しだけ変わる部分は、市場支配力の行使について、3の2)で「協調」というのがございます。「複数の事業者が協調して、市場支配力を行使する懸念がある」というような表現に去年はなっておりましたが、それを「懸念は残る」というような表現に変えております。複数の事業者が協調する可能性はあるのですが、その懸念は番号ポータビリティの導入ですとか、新規参入などを控えまして、やや緩和されつつあるというような判断を加えております。
 それから、27ページ以降の法人向けのサービスについても、基本的には判断を変えてございません。市場支配力の存在・行使については、ほぼ同じような結果になっております。
 最後、30ページにマイグレーション分析というのを加えておりまして、これは今回新しく加えた部分でございます。その結果が31ページにございます。マイグレーションと勝手に名前をつけておるわけでございますが、これは光ファイバの普及がかなり本格化しておりますので、ADSLやケーブルインターネットといったブロードバンドの高速のユーザが超高速の光ファイバへ移行する動きがかなり本格化してきていますが、これをマイグレーションというふうに名づけております。ブロードバンドの中でもより高度なサービスに利用者が移ってきている訳です。もちろん、ナローバンドから移る方もいらっしゃるのですが、そういった移行を、マイグレーションと名づけて分析をいたしております。
 これもアンケート調査に基づいて、利用者に尋ねたところですが、NTT東西の光ファイバへ移行する傾向が、かなり顕著になってきております。アンケート結果によれば、過去にNTT東西のADSLを使っている利用者は、移行した後もNTT東西の光ファイバへ移行している傾向が強い。それから今後の希望について聞きましても、NTT東西のADSLの利用者につきましては、NTT東西のFTTHへ移りたいという希望が非常に強い。それぞれ7割とか、8割とか、そういうレベルでございます。
 それからNTT東西を使っていないADSLユーザやケーブルインターネットのユーザについても、5割近くがNTT東西へのFTTHへ移っている。要するに、NTTびいきの方の7〜8割がNTTの光ファイバに移っている一方で、必ずしもNTTびいきでない方も、5割近くの方がNTTの光ファイバに移っている。そもそもADSLでのNTTのシェアが4割、光ファイバでのNTTのシェアが6割でございますが、光ファイバへどんどん移行するに従いまして、NTT東西のシェアがどんどん上がっていくような構造的な要因になりつつあるということでございまして、この動向を注視して、分析することによりまして、競争政策に適宜反映させていきたいというふうに考えております。
 説明が長くなりまして恐縮でございますけれども、以上でございます。
【香城委員長】  ただいまのご説明に関して、何かご質問等がございましたら。
【富沢委員】  すみません、1つよろしいですか。
【香城委員長】  どうぞ。
【富沢委員】  最後のご説明で、NTT東西を利用していなかった人がNTTのFTTHに移っているという話がありましたよね。これはNTTの場合には家の近くまでファイバが敷設されているので工事代金が安いとか、そういう理由からなんですか。
【今川企画官】  端的に言ってしまいますと、ADSLで一番メジャーなソフトバンクさんが光ファイバをあまり提供していない。ソフトバンクのユーザの方が、「私はソフトバンクの光ファイバに移りたいんだけど」と言っても、その地域ではサービス提供がされていなくて、結局NTTを選んでしまったりするということございます。
 本格的にNTTさん以外に光ファイバを敷設している事業者は、電力系ぐらいしかございません。関西ではかなりケイ・オプティコムさんが頑張っていらっしゃるのですが、全国的にそうということでもございません。
【富沢委員】  ここで質問することではないのかもしれませんが、これは政策的には放っておくしかないのでしょうか。
【今川企画官】  光ファイバの競争を促進するにはどうしたらいいかという問題でございまして、光ファイバの競争といいましても、サービスレベルの競争と設備レベルの競争とございます。光ファイバの設備にはメタルと同じように開放義務がかかっておりまして、一旦引いてしまえば貸し出しをしなくてはいけないということで、サービスレベルの競争は、NTT東西のシェアが6割とはいえ、それなりに進んではいると思うのですが、設備レベルでどういった競争を促していくかは、もっとよく考えていく必要があるということでございます。
【富沢委員】  ADSLで、アンバンドルとか、他社の設備を使いやすくなってから急に新規参入者のシェアが増えましたよね。光もそうなっているのですか。
【今川企画官】  そこは少し構造的に違うところがございまして、基本的には、設備を開放するようなことは、同じような仕組みになっておるのですが、ADSLの場合には、既に全国くまなく、ほぼ100%引かれたメタルの電話回線があって、それを開放して他事業者も利用できるということで、参入する側も、貸してもらう手続が比較的うまくいくわけです。しかし、光ファイバの場合には、まだこれから引く話でございますので、引いていないところについては、自分で引いたらどうかというようなことにもなりますし、参入側にとってのその辺の事業リスクというのは、ADSLと光ファイバではかなり違うところがございまして、その辺が大きく影響しているのかなと思っております。
【富沢委員】  どうもありがとうございました。
【香城委員長】  ほかに、ございませんか。
【椿紛争処理調査官】  ちょっと質問させていただきたいんですが、9ページの固定電話領域の市場画定のところで、0ABJ−IP電話については、固定電話ということで今回整理をされているんですが、規制上は、現状ではNTT東日本・西日本のIP電話網については、これは一種指定設備ではありませんので、従来の固定電話とIP電話網で、規制が違っているという現状がございます。
 それと、先ほど今川企画官のお話にもありましたように、この0ABJ−IP電話というのが非常に伸びてきておりまして、10ページの1のところに小さく書いてありますが、昨年12月に85万加入だったんですが、直近の数字で、3月時点で、142万まで増えてきておりまして、かなり増えてきているという状況も踏まえまして、またこの0ABJ−IP電話を固定電話と一体として整理されたという今回の競争評価なんですが、こういったことが、今後、規制にどのように反映される可能性があるかというところをお話をいただければと思います。
【今川企画官】  まず競争評価の役割に触れさせていただきたいと思うのですが、競争評価というのは、定期的かつ客観的に分析をして、その分析結果を広く公表して、情報を共有していくというところまででございます。具体的にどういった政策をとるべきだというところまでの提言には及んでおりません。ですから、こういった形で情報をお示しして、後の具体的な政策にどう結びつけるかというのは、それぞれ担当のところが適切に判断していく。そのための情報提供というふうに我々としては考えております。
 ただし、ご指摘がございましたとおりで、よく加入電話とIP電話という分け方で0ABJ−IP電話と050−IP電話を一緒にして数字をまとめたりしがちな訳ですが、特に0ABJ−IP電話については、NTT加入電話との代替性がかなり強くなってきておりますので、そういったことも含めて、0ABJ−IP電話を含めた形での固定電話というものの認識を深めていくことが必要だと思っております。そのときに、規制体系をどういうふうに整合的にしていくのかというのも、今後出てくる問題なのかなと思っております。
 ただ、アクセス部分については、光もメタルと同様に、開放義務などがかかってございますし、既に、メタルとファイバを合わせて回線のシェアを計算することにもなっておりますので、一部それにかなっている部分もございます。我々が考え方の整理ですとか、データを提供していくことによって、その辺の規制体系や前提条件というのも徐々に見直されてくるものなのかなと、我々としては期待しております。
【藤原特別委員】  ちょっとすいません。
【香城委員長】  はい、どうぞ。
【藤原特別委員】  基本的な質問で申しわけないんですが、もう1回この0ABJ−IPの仕組みをちょっとご説明いただけますか。
【今川企画官】  はい。0ABJ−IP電話と申しますのは、光ファイバのインターネット接続を提供したときに、付加的なサービスとして提供する電話サービスです。NTTですと商品名で「ひかり電話」というのがございますけれども、光ファイバ接続だけではなくて、電話のサービスも受けませんかというものでございます。
 光ファイバを使ってIP電話をする際には、050と0ABJの2種類がございまして、0ABJというのは、地域番号が使えるようなものでございます。03や06といった番号で始まる電話番号が使える電話サービスですね。
 一方、050−IP電話は、典型的なのは例えばヤフーBBのADSL等で使うものですが、電話番号がロケーションに依存せずすべて050で始まるものでございます。
 機能的にも少し違っておりまして、例えば、緊急通報ですとか、フリーダイヤルですとか、NTTの加入電話の備えている機能の一部を050−IP電話では提供できない場合がございます。0ABJ―IP電話の方は、緊急通報などもできるようになっておりますし、かけられる相手の制約というのもほとんどなくて、NTT加入電話とほぼ同様の機能を提供するものでございます。
【藤原特別委員】  ちょっとよろしいですか。
 そうすると、9ページの図の中の左下に、NTT加入電話とあるんですが、これはメタルだけですか。光は入っていないのですか。
【今川企画官】  はい。入っておりません。メタルだけです。
【藤原特別委員】  それはメタルだけなんだ。
 そうすると、ここの左の050−IPというのは、メタル上のIPを言っているわけで、そうすると、当然ADSL上で実施するIP電話になるんですね。
【今川企画官】  はい。そういうことでございます。
【藤原特別委員】  そうすると、0ABJというのは、NTTが光ファイバケーブルを使って自分でやっている部分と、NTTの光ファイバを借りて今度プロバイダーがやっているIP電話と、両方含んでいるんだね。
【今川企画官】  はい。さようでございます。
【藤原特別委員】  両方含んでいるというのが、ちょっとわかりにくいんですよね、ここが。
【今川企画官】  はい。光ファイバを引いた場合でも、0ABJのIP電話という形でIP電話を利用する場合と、インターネット接続を利用して050のIP電話を使ってやるやり方と、両方可能は可能でございます。ただ一般的には、0ABJのIP電話の方を利用するのが多いかと思いますけれども。
【富沢委員】  すみません、もう1つ聞いていいですか。
 0ABJのIP電話の場合は、例えば、私の電話番号が今、03何とかだとすると、光に移行しても「それをそのまま使えますよ」とかNTTから言われるんですよね。
【今川企画官】  はい。NTT加入電話から0ABJのIP電話に移る場合には、番号ポータビリティがございまして、これは片方向だけでございますけれども、同じ番号を引き継ぐことができます。
【富沢委員】  できるんですね。
【今川企画官】  はい。
【瀬崎特別委員】  すみません。簡単な質問ですけど、一番最後のページで、NTT東西のFTTHが伸びているということですが、それを新規エリアでFTTHをNTT東が売るときに、ついでに0ABJ−IPもどうぞという、具体的にはひかり電話ですけれども、そんな感じで売って、そのままがばっと取り込んでいるような感じがする。直近で0ABJが伸びているのはほとんどその部分だというふうに観測している。統計じゃなくただ単に、そういうふうに見えるんですが。統計的にもそんな感じなんですか。
【今川企画官】  はい。実際、先ほど椿調査官からお話があったように、3月に0ABJのIP電話が非常に伸びておりまして、そのうちの6割強がNTT東西の「ひかり電話」になっております。
 ですから、NTT東西は光ファイバを売るときに、ひかり電話、つまり0ABJ−IP電話に入りませんか、そうすると、今までのNTTの加入電話をやめることができますよ、そして基本料が安くなりますので、今までの電話よりも安く、同じような電話機能を使うことができますよと。こういうような宣伝で売っているということでございます。
 ただし、あくまでも光ファイバとのセットの話でございまして、ひかり電話だけをというわけにはいかないですけれども。
【瀬崎特別委員】  では、NTT系の0ABJとNTT東西のFTTHというのは、かなり相関が強いわけですね。
【今川企画官】  はい。相関というよりは、まあ、イコールです。
【瀬崎特別委員】  イコール。
【今川企画官】  ええ。イコールでございます。NTT系の光ファイバのサービスを受ける方が、「ひかり電話」にも入ることができます。光ファイバに入る方が、必ず「ひかり電話」にも入るわけではないですが、「ひかり電話」に入っている方は必ずNTTの光ファイバーを利用していることになります。
【藤原特別委員】  うちなんかもそうですけれども、固定電話の基本料金、切ってしまうこともできないわけではないんですよね。光を結んで、ユーザとしては。要するに、従来の固定電話を使わないと。インターネットだけでいいということであれば、光に入っても、切ってしまうことはできるんでしょう、一応選択肢としては。ただ、そういう人はほとんどいないので、基本料金は払い続けると。だから、光を家庭に引いても、従来の固定電話のサービスはそのまま光の上で同じように提供されて、固定電話の基本料金は残ると。
【今川企画官】  今、NTTの加入電話を使われている方が光ファイバのインターネットに入ったとします。そのときに、NTTの加入電話をやめて、IP電話を使いたいと言ったときに、この0ABJ−IP電話というNTTの加入電話とほぼ同様の機能を持っているサービス、NTTのサービス名でいうと「ひかり電話」というものに入るか、あるいはプロバイダーを経由してインターネットで接続して、050のIP電話を利用するか、2つのやり方がございます。
 0ABJ−IP電話に新たに入った場合には、今までのNTT回線とほぼ同様のサービスを受けられますけれども、050−IP電話の場合には、インターネットで接続した上で、その上で電話をいたしますので、先ほど申し上げた、例えば緊急通報ができないとか、かけられる相手の範囲に制約があったりとか、幾つか制約がございまして、NTTの加入電話と同様のサービスが受けられるわけではありません。
【藤原特別委員】  そうすると、この9ページの図の、本当は0ABJを整備すると、やっぱり左側のNTT加入電話のように、実は中が何通りかに分類できるんでしょうか。
 図が全部0ABJを1つにくくってしまっているから。実際には、光ファイバの加入電話と、それの上で行われるサービスの種類というふうに分かれて、その中で、その他のプロバイダーを選ぶ050もあるという意味で、括弧には一応入っているのはそういう意味なんですか。
【今川企画官】  そうですね。加入という意味では、0ABJ−IP電話に加入をすれば通常の電話サービスができますけれども、050−IPの場合は、インターネットで接続をした上で、ISPを経由して050−IPの通話機能を実現するということになります。ここはちょっと仕組みが違うところでございます。
【瀬崎特別委員】  今のご質問は、0ABJ−IPに入ると、加入電話は同番移行するので捨てるわけですよね。だから、加入者料金は、払わないということになるんですね。
【藤原特別委員】  払わないんだ。基本料金は要らないんですか。
【今川企画官】  はい。
【瀬崎特別委員】  だから、そういう意味で、NTT加入者電話のところと……。
【今川企画官】NTT加入電話から0ABJ−IP電話に変わられる場合には、もちろん両方残される方も例外的にいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどの方はNTT加入電話を解約して、0ABJ−IP電話に移ります。0ABJ−IP電話ですと、基本料が、例えばNTTですと諸経費込みで大体九百何十円とかそんな感じでございますので、同じサービスがより安い基本料で受けられる訳です。
【椿紛争処理調査官】  NTTの光ファイバのBフレッツの加入者が340万ぐらいいまして、0ABJ−IP電話が140万で、そのうちNTTが90万ぐらいとすると、BフレッツでNTTの光を使っている人のうち、4分の1ぐらいはひかり電話に切りかえていて、その方はNTTの加入電話をやめているケースが多いと思われます。
【藤原特別委員】  なるほどね。
【香城委員長】  安いですよというのが売りであれなんですが、僕は昔の固定電話がないと、停電したときなんか困るんで、両方とも使っておりますけど。そうですね、随分伸びてるような感じですね。
 よろしいでしょうか。
 それでは今川企画官、ありがとうございました。どうぞ、ご退席ください。
【今川企画官】  どうも、ありがとうございました。
【香城委員長】  それでは、議題の2に移ります。
 今後の紛争処理の在り方についてです。この件につきましては、第68回の委員会におきまして、事務局の活動として、今後の紛争処理の在り方について検討を行っていくという旨の報告がありました。大分まとまってきたようですので、その状況を事務局からお願いしたいと思います。
 なお、来月の6日に開催予定の総務省の懇談会「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」というところから、委員会事務局がヒアリングの依頼を受けております。このヒアリングにおきましては、委員会の現状等を紹介するわけですが、その場において、現状を踏まえて、今後の委員会の在り方について、これからご説明いただく内容の範囲内で対応していただくことになりますので、ご意見及びご議論を、その点を含めて、いただきたいというふうに思います。
 それでは、どうぞ、よろしく。
【高地上席調査専門官】  それでは、資料2を用いまして、ご説明させていただきたいと思います。
 この資料2につきましては、実は先月の末から今月の中旬ぐらいにかけまして、特別委員の先生方と委員の先生方に、事務局の検討しております資料をお送りいたしました。その資料に修正を加えたもの、これを委員限りとして配らせていただいているわけですけれども、ワーキングペーパーの概要ということでございます。
 資料3といたしまして、横紙を配らせていただいております。こちらが、今、委員長のほうからご発言がありました「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」というところが行ったパブリックコメントですね。結果の資料でございます。こちらにも、やはり紛争処理機能の強化の在り方というようなものを含めまして、パブコメが行われまして、それに対しまして、意見が出てきておるところでございます。
 今回の資料2、それからお配りいたしましたワーキングペーパーにつきましては、ここで出てきたような意見を一応踏まえた形でまとめさせていただいておりますので、資料3のほうの詳細は省略いたしますが、その内容はこちらに反映されているというご理解を賜ればと思います。
 資料2でございますが、まず「検討の目的」でございます。大ざっぱに言いますと、現在、ユビキタスネット社会形成の過程ということで、随分、電気通信事業の環境が変わってきていると。新しい紛争が起きることも想定されますので、それに対応するための検討を行っているというものでございます。
 「背景」でございますけれども、先進的なブロードバンド環境整備とIP化、それから移動体新規事業者の参入に伴う競争の活性化等が挙げられます。
 「検討事項」がそこに挙げております4点でございますが、「想定される市場環境の変化」それから「発生することが想定される紛争とその対応の方向性」、「これまでの委員会活動についての検証」、「今後の電気通信事業紛争処理委員会の在り方」、その4つの内容になっております。この項目につきまして、II2以下でそれぞれ詳細に書いております。
 まずII2の「想定される市場環境の変化」というところでございますけれども、1番目、「IP化の進展」ということで、競争状況の多様化というものが進んでおります。ワーキングペーパーの方に幾つか絵をつけておりますので、そちらを確認していただければと思いますが、6ページをお開きいただけますでしょうか。
 ここのレイヤー型ビジネスモデルという絵でございますが、これまでの電気通信事業の在り方というのは、通信サービスの部分で競争が行われてきたわけでございます。これに加えまして、IPの時代、IP化が進んできて、いろいろなデータがネットワークの上で流れるようになりますと。コンテンツとかアプリケーションと言われるような、よりサービスに近いもの、それからプラットフォームと言われるような課金サービスとか、そういうサービスの実施を支えるような機能、そういったものが通信サービスと統合されるような形で提供される例が多くなってきております。そういうものを称して、垂直的統合と呼んだりするわけなんですけれども、そういうような事業形態というものが出てきたと。
 あるいは、同じネットワークでも、一昔前は固定系、移動系というような形で分かれていたものが、だんだん融合してきたと。FMC、固定・移動のサービス融合と言われるような現象が起きてきているということで、大分、今まであった境界のようなものがあいまいなものになってきて、融合あるいは連携が進んできたという状況でございます。
 それから、IP化の進展によりまして、IPネットワーク間の相互接続というものが拡大してきております。一応7ページに簡単な絵がございますけれども、インターネットと申しますのは、いろいろなネットワークが横つなぎ、縦つなぎになってでき上がっております。そこで、例えばピアリングと言っているようなものは、同規模の事業者同士が無料でトラフィックを交換する、そういう枠組みなんですけれども、そんな形であったり、あるいは、上位のより大規模な事業者に対して接続する場合は、小さい事業者が対価を払って接続すると。それを称してトランジットというような言い方をするんですけれども、いろいろな形での接続が進んでおりまして、特にここに挙げておりますように、1ページの下に挙げてありますような、信頼性とか、セキュリティーの確保、トラフィック増大への対処、そういったことが現在心配されているような状況でございます。
 また、次世代ネットワークと呼ばれるような、IPをベースにしたネットワークの構築がどんどん進んでおりまして、将来的には通常の固定電話もこっちへ移行するのではないかということが言われているんですけれども、そこにおける接続がどうなっていくのかというようなことも議論されております。
 こういったIP化の進展の一方で、PSTN、つまり、これは普通の固定電話のネットワークなんですけれども、こちらの通信料が減少してきておりまして、トラフィックが減っておりますので、接続料が上がっていくのではないかというようなこともいわれております。
 2ページのほうにまいりますが、市場環境の変化の2番目としまして、新規事業者の参入というのがございます。1つ目の○で「競争の活性化」とございますけれども、まずご承知のとおり、携帯電話市場に新規参入があったということで、既存事業者との接続というようなことが起きるかと思います。また、番号ポータビリティの制度が始まりますので、これによって、携帯電話市場の競争が活性化するということが想定されております。
 もう一つ、そのMVNOをいうものが盛んに行われるようになるのではないかということが言われております。MVNOに関しましては、10ページに絵をおつけしておりまして、その赤い棒がMVNOの事業領域ということで、いろいろなパターンがございます。下の青いほうがMNO、これは通常の移動体電話会社を指しておりますけれども、端的に申しますと、MVNOと申しますのは、移動体電話会社のネットワークの上でサービスを提供するような事業者ということで、このMVNOの接続というのもいろいろな形があり得ると。こういうような事業者が入ってきて、それぞれ、例えば法人向けのサービスとか、いろいろな市場を掘り起こしていくことで、競争が活性化していくのではないかということが言われております。
 2つ目のポツにございますけれども「事業者間の連携の在り方の多様化」ということで、既存事業者と新規事業者の間で、相互接続というか、ネットワークが拡大していく過程では、ローミングというような形で、なかなか設備が打てないところでは、相手方、競争相手のネットワークを使ってサービス提供せざるを得ないような状況もございますので、そういったものが出てまいります。
 それから、2番目に書いてあります先ほどのFMCの話で、固定の事業者と移動の事業者の連携がございます。それから、MVNOとMNO、これは10ページでごらんいただいているようないろいろな形の連携が出てまいります。
 3番目の「アクセス網の高度化」でございますけれども、ワーキングペーパーの11ページから12ページにかけて、3つほどグラフをつけてございまして、これはブロードバンドサービスが伸びているというような絵であったり、ブロードバンドの料金、日本は国際的に見ても安いと。
 それから、3番目の12ページの下の図でございますけれども、これはサービスの月間の純増数を並べているもので、最近ですと平成16年度の第4四半期以降は、FTTHがもう既にADSLを逆転しておりまして、同じブロードバンドサービスの中でも、光ファイバーのサービスが一番伸びているというような状況でございます。
 こういう中で、ネットワークのブロードバンド化とか、あるいはここには挙げておりませんが、無線のサービスも、WiMAXといわれるような新しいものが出てくるというようなことで、非常に多様になっていくと。アクセス網が高度、かつ多様になっていくということが言われているわけでございます。
 「その他の環境変化」としまして、NTT中期経営戦略の進展、それから通信・放送の融合の進展というものを挙げてございます。中期経営計画に関しましては、14ページと15ページに簡単な絵をつけておりますけれども、今年度の後半から、フィールドトライアルというものをNTTさんが始めると。何のトライアルかと言いますと、次世代ネットワークというものへNTTのネットワークが移行していく、そのための実験でございます。
 次世代ネットワークと申しますのは、基本的に最終的には、ネットワークに流れる通信も全部IPで行えるようにする、かつ、固定の通信と移動の通信を同じようなネットワークの基盤ということで、基盤をそろえてシームレスなサービスが提供できるようにしていくと。そういうようなネットワークへ移行する計画をお持ちで、そのための実験を開始すると。こんなスケジュールになっておりまして、2010年に一応、固定系で光3,000万加入というような計画をお持ちのようでございます。
 通信・放送融合については、一応16ページに絵をつけておりまして、通信・放送の融合といってこれだけに限られるということではないとは思いますけれども、電気通信事業が受け持ちますネットワークの部分、それから、上のほうにテレビ局などが並んでおりますけれども、そういったコンテンツをお持ちの事業者というものが、だんだん近づいてくるというか、いろいろなビジネス領域で重なりが出てきている、こんなことが進んでいるわけでございます。
 もとの資料2に戻りまして、2ページのIII3の方にまいります。「環境変化に伴い発生が想定される紛争とその対応の方向性」ということでございます。1番目の「IP化の進展」の関係ですと、競争の多様化、先ほどレイヤーの図をごらんいただいたと思うんですけれども、市場支配力を有する例えばネットワーク事業者がサービスとコンテンツを持っている上のほうのレイヤーの事業者と連携すると。それが仮に排他的なものであった場合には、例えば、ほかのネットワークの事業者がコンテンツを流したいとか、何か交渉したいというようなことの阻害になるおそれもございますので、そういったようなことが焦点になったような紛争というのが出てくる可能性があるのではないかということでございます。
 それから、2番目の「次世代ネットワークへの移行」の関係ですけれども、これは新しいネットワークをやはりつくっていくということで、接続の技術的な条件とか、いろいろな枠組みが変わっていくということで、さまざまな紛争が発生する可能性があるということでございます。
 3番目の「ISP間の相互接続」なんですけれども、ピアリングという、これは先ほど、同じような規模の事業者同士がただで接続しているものというふうにご説明申し上げましたが、市場環境の変化で、これが片方が仮に規模が大きくなってきたと、あるいはその規模だけではなくてほかの要因で、少しパワフルになったというような場合に、ピアリングをやめて、トランジットへ移ってくれというようなことが言えるわけでございますけれども、ちょっとそれは困るというようなことになった場合に、接続拒否とか接続条件の見直しの関係で紛争になるというケースも増加していく可能性があるのではないかというふうに考えております。
 また、セキュリティー確保とか、信頼性向上につきましても、いろいろなネットワークが横つなぎになっておりますので、なかなか統一的に条件を設定できないと。直接の、例えば、接続がない事業者が原因になって、何か顧客に問題が発生したというようなケースで、現在は通常、接続事業者同士の間で解決すればいいものが、より問題の構造が複雑になるといいますか、直接相手方でないところに何か言っていかなくてはいけないというような形での紛争も発生する可能性があるということでございます。
 3ページにまいりますが、新規事業者の参入等の関係ですと、MVNOとMNOの接続で、これも先ほどの図でごらんいただいたように、いろいろな形というか、いろいろその守備範囲を分担した形で接続するということがあり得るわけでございます。10ページの絵にありますけれども、そういうような状況の中で、これも多様な紛争が発生する可能性があるだろうということでございます。
 3番目の「アクセス網の高度化」でございますけれども、これは、ネットワークが、仮に光ファイバーみたいな、今の電話網と違いまして新しく線路を敷設しないといけないというサービス中心になっていくというふうになりますと、線路を敷設するための電柱とか管路の利用といったようなことが新しく問題になってくるのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 こういった新しい問題がいろいろ出てくるというわけでございますけれども、対応の方向性ということで、基本的には、こういった新しい問題に対しても、電気通信事業法に基づいて処理できる部分に関しては、考え方に従って適切に処理するということでございます。中には、明確な事前ルールみたいなものが現時点で存在しないような紛争が発生する可能性もあるということでございます。例えば、レイヤーをまたがるような競争に対してどう対処するかというようなことでございますけれども、これに関しましては、電気通信事業法の趣旨を踏まえつつ、関連する諸規範を考慮して総合的に対処するという言い方にしておりまして、具体的には、独占禁止法とか、そういった競争法の考え方も踏まえて、やっていくというようなことがあろうかと思います。
 対応に当たっては、事例の状況に応じて、消費者に与える影響、それから競争への影響、あるいは現在の商慣行、取引実態への考慮というようなことが重要であるというふうに考えております。当然のことながら、既存のルールがない場合には、新しいルール整備に対しても貢献していくということでございます。
 4でございますけれども、「今後の電気通信事業紛争処理委員会の在り方」のところでございますが、これまでの活動につきましては、これはちょっと我々で書くのも口幅ったいところがあるんですけれども、いろいろヒアリング等をした結果も踏まえての記述でございますけれども、多数の紛争を短期間に解決してきたという点、それから紛争の簡易、迅速かつ円滑な解決ができているのではないかというようなところ、それから後は、電気通信事業紛争処理相談窓口というものがございまして、相談を受けるというようなことで、紛争の未然防止にも寄与しているのではないかと、そんな比較的肯定的な評価があったわけでございます。
 今後の在り方の基本的な方向性としましては、こういったことも踏まえまして、1つ目でございますけれども、中立性、専門性、迅速性を有する紛争処理機関として、従来からの諸機能を十分に活用して、効果的な紛争処理活動を行うというのが基本になろうかと思います。
 2つ目でございますけれども、IP化の進展に伴って発生することが想定される新たな類型の紛争、これに対しても、あっせん等を通じた柔軟で適切な解決策の提示、それから総務大臣への勧告等を通じたルール整備のフィードバックというものを行っていくことが重要ではないかと考えられるわけでございます。
 4ページにまいりますが、その際「留意点」としまして、1つ目でございますが、委員会のあっせん・仲裁機能、これは電気通信事業法に基づいて設けられているものでございまして、その活動を通じまして、電気通信の健全な発展とか、利用者利便の向上といった、公目的に資するものであるということが重要ではないかというようなことでございます。
平たく言いますと何でもやるわけで、あっせん・仲裁が大事だと言って何でもやるわけでない、というようなことでございます。
 2つ目でございますけれども、個別の紛争解決を図っていくということが、事前ルールがない場合には、その後のルール整備とか、あるいはそういう紛争解決が、場合によっては事後の司法手続等に対しても事例を提供するという面もございますので、そういったことも視野に入れて、透明性の高い紛争処理、それから情報公開を行っていくということが必要ではないかと考えております。
 最後に、今後の電気通信事業紛争処理委員会の在り方の具体的な話でございますけれども、例えば以下のような課題について検討していくべきであるということで、1つ目でございますが、まずは、「専門性の向上」というところがございます。いろいろ市場環境などが変わってきておりまして、技術的、制度的両面において、複雑化しております。そこで、専門性の向上のために、例えば定常的な情報収集とか調査分析といったようなこと、それから、技術的な知見を高めるための新たな取り組みとか、そういったことをやっていってはどうかというようなことを議論しております。
 それから「利便性の向上」でございます。これは、中小の事業者とか、地方の事業者のニーズにやはりこれからも、より一層、積極的に対応することが必要だろうということで、いわば敷居を下げるような取り組みをやっていくということでございます。
 3番目、「競争ルールへの積極的なフィードバック」というのは、これまでも何回かご説明したような話なんですけれども、競争ルールにフィードバックすることによって、紛争の未然防止というものが、より図れるようになるだろうと。そんなことでございますので、それもしっかりやっていくと。
 最後に「あっせん・仲裁対象の部分的拡張」ということで、これは新しい類型の紛争への対処についていろいろ議論した際に、幾つか出てきたものをくくって、ここに挙げているわけでございます。1つ目が、一方当事者が電気通信事業者、他方当事者が電気通信事業者でない場合も必要ではないかというようなことが、ヒアリング等、あるいはIP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会のパブリックコメント等でも言われているんです。例えばでございますが、電気通信事業者のポータルサイトへのコンテンツの掲載の是非とか、あるいは、コンテンツ事業者に対して、電気通信事業者が課金サービスを提供するといようなことも、特にiモードのサービスなんかで行われているわけなんですけれども、それを行う、行わないといった判断について、何か、あっせん・仲裁の対象とすることで、これからの市場環境の変化に対応できるのではないか、そんなような話でございます。
 2つ目のものでございますけれども、裁定、業務改善命令、これは、総務大臣がそういう申請を受けて行うものがあるわけでございます。例えば、事業法に基づきまして、土地利用の裁定を行うと。それから、不当な競争行為なんかに対して業務改善命令を行うと、そんなものがあるわけでございますけれども、こういったものについては、現段階では紛争処理委員会が行うあっせん・仲裁の対象になっていないわけでございますが、こういったものに対しても、いきなり土地利用の裁定を求めると、業務改善命令を求めるというだけではなくて、事業者間も委員の取り組みというものをその前に行うと。そういった道を紛争処理委員会のあっせん・仲裁対象の拡張を行うことによって選択できるようにするというようなことが必要なのではないかと。そんな内容でございます。
 駆け足でございますが、資料2の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【香城委員長】  ただいまのご説明に対して、ご意見等がございましたら、どうぞ、ご遠慮なくおっしゃってください。
【富沢委員】  教えていただきたいのですが、携帯電話の例えばiモードに、いろいろなコンテンツが載っていますよね。あのコンテンツをつくって提供している事業者さんというのは、これは電気通信事業者さんなのですか。
【高地上席調査専門官】  大多数は、電気通信事業者ではなくて、むしろ利用者といいますか、電気通信事業者が提供するサービスを使って、コンテンツを売っているという立場です。
【富沢委員】  ということは、電気通信事業法には関係ない事業者ということになりますね。
【高地上席調査専門官】  そうです。
【椿紛争処理調査官】  事業法の我々の紛争処理委員会の範疇からは出てしまうんですけれども、事業法でいうところの業務改善命令等には、電気通信事業者以外でも、電気通信事業者の行っていることが不適切であれば、業務改善命令の申し立てができますので、事業法の範疇外というわけではない。
【富沢委員】  すみません。もう1度、ご説明ください。
【椿紛争処理調査官】  事業法で定める電気通信事業紛争処理委員会のあっせん・仲裁の対象外ではあるんですけれども、事業法には、業務改善命令という項目があります。そこの中で、電気通信事業者が不適切なことを行っている場合に、だれでも業務改善命令を総務大臣に申し立てることができるわけです。その場合は、コンテンツ事業者が電気通信事業者ではなくても、業務改善命令を総務大臣に、電気通信事業者を相手方として申し立てるということはできるわけです。
【富沢委員】  例えば、ドコモがコンテンツ会社に対して、非常に厳しい支配的なことを言ってきた場合に、そのコンテンツ会社が電気通信事業者であるドコモに対し、業務改善命令をしてくれと申し立てることはできると。
【椿紛争処理調査官】  そういうことです。そういう意味では、事業法の範疇には入っていると。
【富沢委員】  はい、わかりました。
 そうすると、例えば、放送番組を携帯電話で提供するなど、融合が進み始めていますよね。その場合、放送事業者というのは、コンテンツ事業者であるわけですが、そこと仮にドコモとかauとかの間で揉め事が起こった場合は……。
 放送事業者は、電気通信事業者ではないわけですけれども、そこともめごとが起きたりした場合は、業務改善命令が出る以外は、紛争処理の対象としてはあり得ないと考えればよろしいのでしょうか。
【椿紛争処理調査官】  相手が電気通信事業者である場合は、放送事業者から電気通信事業者に対して、電気通信事業者が行っている電気通信事業に対する業務改善命令は申し立てることができますけれども、そこはあくまで電気通信の世界の話ですから、放送に関して、電気通信事業法で業務改善命令はできないです。
【富沢委員】  放送事業者と電気通信事業者が何かもめごとがあったとしても、それはやりようがないと。
【椿紛争処理調査官】  それは、中身が電気通信の話であればで、相手が電気通信事業者であれば、それは電気通信事業法の範疇に入るんですが。
【富沢委員】  例えば、携帯電話に放送番組を乗せるにあたって交渉がうまくいかないというようなことが起きた場合には、電気通信事業にコンテンツを乗せる話ですけれども、相手は放送事業者ですよね。
【椿紛争処理調査官】  放送事業者に対してはできないですね。
【香城委員長】  ほかのご意見等がございましたら、お願いしましょう。
 どうぞ。
【森永委員長代理】  全体を拝見し、それからこの資料のアウトラインは先送りもしていただいているので、一応目は通しております。
 もっともなことですね。趣旨としては間違いないと思いますけれども、この委員会としての立場とすると、ある種の勉強会がやっぱり必要でしょうね。だから、まだまだ、ここに心配している紛争、まだまだのお話で、徐々に2010年ぐらいに近づいてくるとかなり挙がってきて、その中を見ると、常識的に考えて、今までどおりのルールで適用していれば済むケースもあるだろうし、あるいは、これが一番やっかいなことだけれども、とにかくシステムが違うものですから、その全然違うところに基づく、今まで経験したことのないような、何かルールを考えなくてはいかんという、それが一番重要なことになると思いますけどね。
 それから、あまり深入りし過ぎるというのもいかがなものかというようなケースも出てくるし。大きな意味で、そういった勉強会で、あまり微に入り細に入るというのではないんだけれども、大所高所的な意味での、委員会としては、勉強会を少し考えなくてはいかんだろうと。定例的なものにするのか、定例でなくても、それは構いません。何か、総務省関係で、新たな事例とか、起こってきたときでも結構なんだけど。
 そういう感想だけでございますけれどもね。
【香城委員長】  どうぞ。
【阪本事務局長】  委員長代理がおっしゃるとおりだと思います。IP化の関係で、大臣部局の方でもいろいろ検討を進めていますけれども、短期的なものと中長期的なものとあると思いますので、今後も引き続き、我々としても状況を把握しながら、必要に応じて、委員の先生方に情報提供やご意見を伺いたいと思っております。今の段階では、とりあえずはこういう形でまとめさせていだいておりますけれども、今後の検討につきましては、引き続き、またご議論いただくこともあろうかと思っております。
【香城委員長】  ぜひそれは、いつもながらですが、引き続きやっていただけると思います。
【阪本事務局長】  タイミングにつきましては委員長とご相談させていただきたいと思います。
【香城委員長】  はい、どうぞ。
【藤原特別委員】  2つございまして、1つ目はどうもパブコメの中をざっと見る限りでは、かなり紛争処理委員会に対する期待は高いというふうにうかがわれるんですね。そうなると、当然この委員会の枠組みをもっと広げろというユーザーの声は強いのかなということですよね。
 それと同時に、もう一つは委員会に正式にいろいろ申し立てをする前の事前相談がかなりやっぱり有効だということをお伺いしていまして、その事前相談については、制度的な裏づけはないんですね。事実上、事務局がサービスしているということでありまして、これについてはやっぱりもうちょっと、事務局の相談窓口を制度化したらどうかと。それについては、逆に言うと、その相談の案件の中の報告を、やっぱり委員会に何らかの形でするとか。こういう相談が来ていますよというようなことを委員会に投げるとか、何かそういう委員会をバックにした相談窓口を開設して、事実上、その相談窓口は一応委員会の了解を得ていると。要するに、事務局が勝手な相談をしていると言われると困るから、窓口を開設する以上は、その内容に適宜、委員会が相談を受けるというような、何かそういうバックボーンがあれがいいのかなとは思うので、その辺はご検討いただいたほうがいいかなと。
【阪本事務局長】  今の相談の制度的なものというのは、検討させていただきますけれども、法律に書き込むとか、そういう話はちょっと難しいのではないかと思います。けれども、相談の内容の蓄積・分析というのは我々も必要と思っておりまして、それを必要に応じて委員会に報告させていただくということは、今後あり得るかなと思います。検討させていただきたいと思います。
【香城委員長】  もう1件あるのではありませんか。
【藤原特別委員】  いや。そんなもので。
【香城委員長】  どうぞ。
【吉岡委員】  質問なんですけれども、4ページの今後の委員会の在り方の3番目の「競争ルールへの積極的なフィードバック」ということで、「紛争の未然防止機能の強化」と書かれているんですが、具体的には、これはどういう内容を念頭に置いて書かれているのか、ちょっと教えていただきたいというのが1点です。
 それから、もう1つは、この4番目の「部分的拡張」というところですが、確かにこの例で見ますと、先ほどのご説明で、融合サービスが今後増えていくというのがご説明にあったので、必要性があるのかなというふうに思います。けれども、実際に相談とか、窓口で受けていらっしゃる中で、これは改善するとすれば、具体的な規則改正等が必要になると思うんですが、ある程度短いスパンで、実際にこういう相談があって、改正する必要があるというような意見というか、感想をお持ちなのかどうかということ。 その2点について、お伺いしたいと思います。
【吉田参事官】  よろしいですか。
 今の1点目、まずは「競争ルールへの積極的なフィードバック」というのは、これはもちろん、まず一番基本に置かれておりますのは、当委員会の法的な制度として持っております勧告を今後ともきっちり活用をしていくというのが、まずは基本になろうかと思います。
 あと、それ以外のような形でといいますのは、どういうことができるのかというのは、まだこれからいろいろ検討しなければいけないと思っておるんですけれども、その勧告にまで至らないようなものでも、いろいろな形で、委員会としての何らかのメッセージを発出し、実際の競争ルールを担当する大臣部局のほうの検討状況なり何なりを反映するということもあり得るのかなと。例えば、いろいろな情報公開をやっていく中で、それは勧告という形まで至っていないけれども、その委員会として示しているいろいろな考え方というものを大臣部局として活用していくということもあろうかと思いますし、また、これはちょっと事務局の活動として、例えば、いろいろなレポートのようなものを外に、その委員会のご了承を得ながら出していくというふうなことをやっていくと。それが紛争処理委員会としては、そういうものの考え方をしているんだということが大臣部局のほうでも1つの材料として還元できるというふうなことも考えられるのではないかと。
 あと、例えば、勧告は過去に2件でございますけれども、勧告という位置づけではございませんけれども、過去に諮問答申をした中で、答申内容を受けて、制度変更されたというふうな例もございますし、勧告というものを基本にしつつ、それ以外にも委員会としてのさまざまなメッセージの出し方というのはあり得るのではないかなというのは1つの課題です。
 2つ目でございますけれども、ここは、あっせん・仲裁対象は言うまでもなく厳密に、かなり法的に今決められておりますので、ここを拡張するとなると、かなり法令上の整備が必要でございますので、これはおそらく今すぐといった短期的な手当てというのは、難しいかと思います。さらに言いますと、制度的な改正については、これはちょっと厳密に言いますと、制度の改正権を持っておりますのは、大臣であるということでございますけれども、こういうふうな今回2点、例として挙げさせていただいております点については、こういう問題意識は大臣部局のほうでやっておりますパブコメなどにも、似たようなことで入っております。制度を担当する大臣部局のほうも、こういうふうな紛争処理の機能の拡大等についての問題意識を持っているという状況下において、私どものほうといたしましても、実際に制度変更というような話になったときに、それにきっちり対応できるような検討というふうなことはふだんからやっておく必要があるのではないかという問題意識のもとで、ここに書かせていただいているということです。
 今日、明日、すぐにこれを実現していくというのは、なかなか難しいというふうに思っておりまして、多少のタイムスパンというものが必要かなと考えております。
【香城委員長】  ほかに、ございませんか。
 吉岡委員のご発言に関連して、一言、感想を持ったんですが、新しい制度ができて、相当この委員会というのは、いろいろな面で行政機関にとって重要な意味を持っていたように思います。そのことを考慮してくださったんだと思いますが、従来、大臣部局での一応の判断と違う判断を、重要な判断について幾つか下しましたときに、直ちに総務大臣は中立的な当委員会の立場を尊重して、そのとおり実施してくださったと思うんです。これは、大変ありがたいことで、それだけにまた、こちらは慎重かつ抑制的に行動をしなくてはいけないというふうに常々思っているわけです。
 先ほどの勧告に至らない場合のいろいろな意見を参考のために申し上げるということですが、勧告権限がある場合で、勧告というふうになっている場合には、今のように大臣部局で、それはよほどの支障がない限り、勧告を早期に実現するというふうに動いてくださると思うんですが、それが当委員会の意見だけで動く場合とは限りませんし、そこは勧告という形式をとらず、勧告権限がある範囲内においては、勧告という形式でなくて、参考意見として申し述べて、さらにご検討くださるようにというようなことは、法律の範囲で許される範囲なのではないかと。その範囲で、抑制的ではあるが、しかしやはり大臣部局の内部で、なかなか一度決まった法制度を変えようというところをイニシアチブをとってあれするのは、相当上の人のイニシアチブか、外部のあれがないと難しいということは、僕も行政庁にしばらくいてわかっているので、そういうことのきっかけにでもなれば、検討のきっかけにでもなればというようなところも含めてやることは、当委員会としては、十分越権行為でない許される行為ではないかなと。吉岡委員の注意を守りながら、ひとつまた検討させていただきたいというふうに思います。
 これでよろしいでしょうか。
 それでは、6月6日のヒアリングには、本日の検討内容や、本日出された意見などを踏まえまして、阪本事務局長からご説明をお願いしたいと思います。
 ほかに事務局から、今の件について付加していただくことございますでしょうか。
【吉田参事官】  はい。ちょっと補足で1点。今ご説明させていただきました内容は、あくまでもまだ、事務局としての検討途中ということで、ワーキングペーパーという形でスケルトン等のみ、ご説明させていただいたわけでございますけれども、今いただきました意見等も踏まえまして、できれば次回の委員会あたりをターゲットとして、このワーキングペーパーをベースにしたものでございますけれども、一応事務局のひとまずのレポートという形で提出させていただきたいと考えております。それで今、委員長代理から勉強会等のお話もございましたけれども、今後の委員会の在り方についての検討、進め方ですとか、そのレポートの取り扱い等についても、対外的なものも含めまして、ご議論を賜ればというふうに事務局としては考えておるところでございます。
 以上です。
【香城委員長】  今最後につけ加えられた件ですが、外部の識者とか何かいろいろ協力していただいて大変ありがたいことですが、内部的な今の勉強会も含め、外部の人を含めた何か勉強会という言葉をお使いになったのですが、そういうものの機構なり何なりのごく大ざっぱなもの、こういうことも、今後考えていくというふうに書くことがいいのかどうか、その点も含めて、ちょっとご検討いただければというふうに書いておく。委員会を通るとやりやすいということであれば、大ざっぱなところで委員会で決議をしておいてあれしますし、そこはちょっとご検討願えますか。
【阪本事務局長】  検討させていただきます。
【香城委員長】  それでは、議題の3に移ります。
 その他について、事務局からございましたら、ご説明願います。
【小林上席調査専門官】  その他ということで、事務局のほうから説明がございます。
 先ほど相談窓口のお話がありましたけれども、その相談窓口の名称変更について、ご説明させていただきたいと思います。相談窓口、平成16年12月に電気通信事業紛争処理相談窓口を開設して以降、電気通信事業者からの多くの相談に対しまして、アドバイス等を実施してきたところでございますが、本日お配りした資料3の中にもありますが、紛争という名称は敷居が高いとか、大きなものととらえられがちといった事業者のご意見などがございます。そういったことも参考にいたしまして、専用の電話番号、メールアドレスを新たに設置しまして、名称を相談窓口に変更して開設したいと考えております。ご了承いただければ、お手元のほうに置かせていただいております報道資料案で公表させていただければと思っております。
 それともう1点、こうした名称変更もございますし、なお一層利用しやすくするために、委員会のウェブページのリニューアルを考えております。お手元に現在のホームページと、イメージ案を置かせていただいております。この黒電話のが現在のホームページでございまして、オレンジ色のものがイメージ案として考えているところでございまして、これでリニューアルを図っていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【吉田参事官】  1点補足でございますけれども、相談窓口の改称等につきましては、先ほど藤原特別委員のほうから、制度的な位置づけ等についてのご意見ございましたけれども、制度的な位置づけについては、これは本格的に検討いたしますとまた相当程度の時間を要する話でございますので、とりあえず事実上のものではございますけれども、できるところで少し改善をしていこうということでのものでございます。そういう意味で言いますと、今回のものは、いわば事実上やっているものについての改善案というふうに受け取っていただきたいと思います。
【香城委員長】  よくやっている行政庁の行事その他のサービス提供の内容として、とりあえずは必要に応じて、また藤原委員ご指摘の点も考えていくということにさせていただきます。
 それでは、相談窓口の名称変更、これは小さいようですが大事なことだろうと思うんですよね。案のとおり、公表することにしてください。また、委員会のウェブページのリニューアルについても、案のとおり、どうぞ進めてください。
 ほかに、何かございますか。
【富沢委員】  確認させて下さい。
 総務省のトップページには電気通信事業紛争処理委員会のHPに飛ぶボタンはないけれど、総務省の電気通信関係のページに飛ぶと、委員会のボタンがあるんですよね。たしか、トップページにボタンがでてきたのでしたっけ。
【小林上席調査専門官】  前回、富沢委員のご指摘をいただきまして、総務省のトップページに「審議会・委員会」というのもつくりまして、そこをクリックしていただくと委員会へ飛びます。
【富沢委員】  総務省のトップページからは飛べたのでしたっけ。
【椿紛争処理調査官】  電気通信事業紛争処理委員会ではないんですけれども、「審議会・委員会」という欄が総務省のトップページにできました。従来は「審議会」だけだった。そこに中「・委員会」というのを入れていただいて、そこをクリックすると、その中に電気通信事業紛争処理委員会があると。
【富沢委員】  それから、確か総務省のトップページから電気通信のページに来ると、紛争処理委員会のボタンがあるんでしたよね。
【椿紛争処理調査官】  はい。それもあります。
【富沢委員】  はい、わかりました。
【香城委員長】  小林上席からちょっと。
【小林上席調査専門官】  次回の会合の日程でございますが、別途調整の上、ご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
【香城委員長】  最後に、委員、特別委員の皆様から、何かご発言ございましたら。
 よろしゅうございますか。
 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了いたします。ありがとうございました。

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