メニューを飛ばしてコンテンツへ
電気通信紛争処理委員会 Englishサイトマップ支援ツールについて
文字サイズ変更アクセシビリティ閲覧支援ツール 総務省

トップへこれまでの開催 > 電気通信事業紛争処理委員会(第71回)議事録

電気通信事業紛争処理委員会(第71回)議事録

議事概要 議事録 会議資料


【香城委員長】  ただいまから、電気通信事業紛争処理委員会の第71回会議を開催いたします。本日は委員5名全員が出席しておりますので、定足数を満たしております。また、特別委員4名にもご出席いただいております。
 それでは議事に入ります。ご承知のとおり、電気通信事業というのは事業の技術的等の変動や革新の最も目覚ましい分野に属しておりますし、これに対処する行政側でも、例えば当省の総合通信基盤局などを中心として、調査研究、さらには行政的あるいは法的な対応への取り組みも果敢で、かつ徹底したものがあるように見受けられます。
 こうした状況から、私ども、紛争処理に当たる委員会としましても、事業の実態や行政の対応の新しい動きに注目して、いわば勉強を重ねていく必要があるということで、発足当時から事業の見学、視察、さらには基盤局等からの最先端の調査研究等についてのご説明を受けるといったことを続けてきたわけですが、先般の委員会で、こうした状況が最近また特に進行を早めているということから、いわば勉強会の量も質も少し増やしていったらどうかという特別委員からのご指摘がありました。そこで、本日は、こうした動向、ご意見にこたえる一方、私どもの委員会のあり方についても事務局を中心に検討を重ねた結果を、この段階での取りまとめとして説明し、委員会としての一応の姿勢を示しておきたいと思ったわけです。なかなか中身のあるあれで、時間が十分かどうかはわかりませんが、楽しみにいろいろご説明を伺いたいと思います。
 最初の議題、次世代ネットワークに関する事業者間連絡会議についてという点ですが、総合通信基盤局事業政策課の湯本調査官からご説明いただくことになっておりますので、よろしくお願いいたします。
【湯本調査官】  ただいまご紹介をいただきました、総合通信基盤局の事業政策課の湯本でございます。本日は、次世代ネットワークに関する事業者間の連絡会議につきまして、お手元の資料1に基づきまして簡単にご説明させていただきたいと思います。
 まず、お手元の資料の1ページ、右下の1というところをごらんいただければと思います。次世代ネットワークに関する事業者間連絡会議でございますが、もともと、なぜこのような連絡会議を開催するに至ったかという背景を簡単に申し上げますと、ご承知のとおり、昨今、各電気通信事業者、内外問わず、従来の回線交換網、電話網を中心とするネットワークをIP網に切りかえるという動きが加速化しております。特に海外におきましては、イギリスのブリティッシュテレコムが世界の中でいち早く、電話網のフルIP化というのを打ち出しまして、今、既にIP化の途上にございます。我が国におきましても、主要な電気通信事業者、例えばNTTにおきましては、一昨年、昨年と中期経営戦略を発表して、従来の電話網をオール光、オールIPのネットワークに変えていくと。また、KDDIにつきましても、みずからの固定電話網につきましてIP化を進めると発表しております。
 そのような状況の中で、今後いろいろ顕在化する課題についてどういったものがあるのか。また、それをどのように解決すればいいのかということについて、主要な関係事業者間で意見交換を行うといったことを目的としまして、本年の2月からこの連絡会議を開催してございます。メンバーとしましては、こちらに書いてありますとおり電気通信事業を営んでいる関係の4団体、電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本インターネットプロバイダー協会、日本ケーブルテレビ連盟といった4団体の代表者から構成されております。総務省はオブザーバーという位置づけで参加してございます。
 これまでの開催状況でございますが、こちらに書いてあるとおり、これまで計6回開催してございます。第1回目は本年2月に開催しまして、以後約月1回のペースで開催しておりまして、それぞれ各団体において、電気通信事業者であればみずからの会社のIP化の計画の概要であるとかの説明、また、それに対して実際にどのような課題があるのかといったものの整理、また、それぞれの各団体の要望とか意見といったものについて、率直な意見交換が今までなされてきております。
 続きまして、2ページ以下をごらんいただければと思います。今申し上げましたとおり、この連絡会議においては各4団体のそれぞれのメンバーからさまざまな意見が出されているわけでございますが、その中で主なものということで整理したのが、こちらの2ページ目から4ページ目までのものでございます。
 まず1点目に挙げられるのが、次世代ネットワークの相互接続性、運用性の確保といったことに関連する事項でございまして、具体的には、そもそも次世代ネットワークの基本的な考え方の整理、具体的には基本的な網構成といったようなものはどんなものであるのかとか、また、各レイヤーレベルでの接続に関する基本的な考え方、また、事業者の料金精算についての考え方。また、特にNTT東西が次世代ネットワークを構築する際は、他事業者に与える影響が非常に大きいということで、各競争事業者からも懸念が表明されていまして、この中で例えば、ここに書いてございますように、NTT東日本、西日本のネットワーク間の接続というのはどういうふうにあるのかと。また、ネットワークがIP網に移行することによって、接続の実際のポイントの場所であるとか数というのも当然変更が予想されるわけで、そういったものについてどういった考え方で整理するのか。また、各事業者間の相互接続のインターフェース、技術的な条件について早期に明確化するとともに、できる限り各事業者間で共通化してほしいといったような意見も出されております。
 また、さらに新しいネットワークで各事業者がIP網同士で接続する前に、どういった考え方で保守をしていくのかとか、また開通するに当たってどういった手順でやっていくのかということについても、早期に整理することが必要だという意見が出ております。
 続きましては、次世代ネットワークにおける各種機能に関連する事項というのが大きな意見として出されております。これにつきましては、先ほども相互接続性・運用性のところで各レイヤーレベルの接続ということを申し上げましたが、ちょっとイメージがこれだけだとわかりにくいと思いますので、ちょっと飛びますが、右下のページで18ページをごらんいただければと思います。
 この図は、日本インターネットプロバイダー協会は作成したものですが、次世代ネットワーク、NGNというのは基本的にレイヤ構造で構成されております。このレイヤ構造につきましては、今、ITU−T、国際電気通信連合の中でもNGNに関する標準化の議論が進んでおりまして、そこの中でもこのようなレイヤ構造のモデルとしていくといったことが既に決められております。具体的には、この図の左側にございますとおり、次世代ネットワークの基本的なネットワークの構造としましては、一番最下層のほうにトランスポートストラタムということで、いわゆるネットワークの転送、伝送といったものを受け持つ部分、さらにその上にサービスストラタムということで、その通信のサービス制御、具体的にここに書いてありますが、利用者の管理であるとか回線認証、プレゼンス管理、セッション管理、その他、帯域制御等々、実際のサービスの制御に関する部分、また、そのプラットフォームに関する部分というのは、いわゆるネットワークの転送の部分とは分離した形で構成されております。さらにその上のところにさまざまなコンテンツとかアプリケーションが乗ってサービスとして提供されていくといったような構造になってございます。したがいまして、 1)のNNIとか 2)のANIと書いてありますような各レイヤーレベルでの各事業者間の接続をどのように行っていくかといったようなことが一つの課題となりますし、またこれから申し上げますネットワークの中の機能、とりわけ、この真ん中にありますサービスストラタムの機能に関するものはどうあるべきかといったようなものが、課題というか論点になるということでございます。
 戻りまして、資料の2ページ目をご覧ください。今申し上げましたような次世代ネットワークがレイヤー型の構造になる中で、特に各種機能を早期に明確化することが必要ではないかといったような意見が出されております。今申し上げましたように、特にプラットフォームレイヤー、サービス制御において具体的に各電気通信事業者がどのような機能を実装していくのか。また、その機能につきまして他の事業者にオープンに提供すべき機能、もしくは新しいサービスといったものを提供する上で、複数の事業者がこういったプラットフォームの機能を活用して連携して行ったほうが望ましいと、そういったものはどのようなものがあるのかということについて、早期に関係者が議論して1点整理を行うことが望ましいといったような意見が出されております。
 続きまして3点目でございますが、次世代ネットワークへの移行に関連する事項というのも、複数の事業者から意見、論点として出されております。具体的には、ここに書いてございますように、1点目は移行のスケジュール、手順といったことで、特に次世代のネットワークというのは当然のことながら短期間で構築されるものではなくて、ある程度全国的に整備されるまでには一定の期間を要します。したがいまして、その構築に向けたタイムスケジュールや手順というのを、関係者が早期に情報共有することが必要ではないかといったようなことを言っております。
 その他、当然その移行期間に当たりましては、既存のサービスの取り扱いといったことも問題になります。特に今、NTTは次世代のネットワークにつきまして2010年で3,000万人の加入者を目指しますといったことを対外的に公表しているわけですけれども、逆に言えば、半数はまだ次世代のネットワークではない既存のデータ網の上でサービスを受けているユーザーが残っているということで、既存のサービスの取り扱いというのも非常に課題となります。ここに書いてありますように、固定電話の回線以外にも、いわゆるレガシー系のサービスである専用線であるとか、また、同じデジタル網でありますけれども、ATMの取り扱いであるとか、そういったことに関する提供条件、特にマイグレーション、移行期においてはどういうふうにそれが取り扱われるのかについても、特にNTTが提供するこういった各種サービスにつきましては、多くの事業者がNTTのサービスを利用して、さらにみずからのサービスを提供するというような特性を持っておりますので、非常に移行期間中の提供条件といったものも論点になるということでございます。
 続きまして、次世代ネットワークの構築事業者によるサービスの提供に関する事項といったことで、若干ここの論点につきましては抽象的な言葉になっておりますが、ここに書いてございますように、現状のインターネットサービス・システム・事業構造と電気通信事業者が構築する次世代ネットワークのアーキテクチャとの関係を明確化した上で、ISPなどのサービスプロバイダーが次世代ネットワークを活用する観点からの各種条件を議論したいとの意見が、主に日本インターネットプロバイダー協会から出されています。すなわち、現在ISPは、インターネット、いわゆるThe Internetに接続することをビジネスの柱にしているが、当然、そのネットワークがオールIP化していくと、各電気通信事業者が持っているネットワーク自体もオールIP化されていく。そういった状況下で、例えばISPは、どういった点をこれからビジネスの中心にしていくのかということについて、かなり危機意識を持っておりまして、その辺、実際にネットワークを構築する電気通信事業者との関係で、どういった連携や機能の活用があるのかといったことについて今後議論していきたいという意見が出されておりまして、ここに書かせていただいた次第でございます。
 その他としましては、まだこちらのほうでは議論が深まっておりませんが、FMCに関する議論、当然のことながらIPネットワークに移行するに伴って、同時に固定と移動の融合といったものも加速化すると予想されております。実際にもNTTにおきましては、中期経営戦略の中でNTT東西とNTTドコモで一体として次世代ネットワークを構築していくということをうたっております。そのような中でFMCサービスにつきましてどういった論点があるのか。また、ここに書いてありますような公正な接続ルールというのが必要じゃないかと、そのような意見が出されているということでございます。
 続きまして、4ページ目をごらんいただければと思います。その他の意見としましては、こちらに書いてありますとおり、次世代ネットワークの構築に当たっては、今この連絡会議で集まっているような関係の電気通信事業者のみならず、通信機器ベンダーであるとか上位レイヤーであるコンテンツプロバイダーなど、様々な関係者の意見を聞きながら進めていくべきではないかといった意見が出されています。
 また、特に電気通信事業者の接続に関する事項、とりわけ、接続の料金水準や精算方式等の問題については、当事者間の議論のみで結論を出すというのは実際には限界があるといったことで、できるだけ速やかに行政側の主導で別途場を設けて議論を開始してほしいといった要望も出されております。
 さらに、先ほど次世代ネットワークの国際標準につきましては、ITUで議論されているというお話をさせていただきましたが、いわゆるインターネットに関しましては、ITU以外にも、例えばIETFだとか、その他さまざまなフォーラムだとか、いろいろなところで標準化に関する議論がなされております。特に次世代ネットワークの技術仕様につきましては、独自仕様でなくて、このような国際標準を踏まえて、それを準拠したものにしてほしいといった意見も出されております。
 その他、公正競争の関係で、監視機能を強化すべきであるとか、NTT自身がブランド力をもって次世代ネットワークのトライアルや商用サービスを提供して支配的事業者になることを懸念するといった意見も出されているところでございます。
 続きまして、今後の予定でございますが、NTTは次世代ネットワークの導入に先立ち、本年の12月よりフィールドトライアルを実施予定であり、そのトライアルの参加条件や他事業者の相互接続の詳細につきまして、今年の7月に公表する予定です。つきまして、今後はこのようなトライアルに関する各種条件を踏まえつつ、今申し上げました各事業者から出された課題、意見につきまして、より詳細な議論をしていくということにしております。
 また、これに関連しまして、幅広く関係者で課題、問題意識を共有して議論するというような観点から、シンポジウムを近々開催する予定でございますが、その他、先ほど意見の中にも出てきたように、現在の連絡会議のメンバー、電気通信事業者以外の上位レイヤーの方や、通信機器ベンダー等の意見や要望を吸い上げるという観点から、今の組織体制の見直しを視野に入れて、今後、検討を進めるような予定でございます。
 最後に、今お話ししましたNTTのフィールドトライアルにつきまして、ごく簡単にご説明したいと思います。飛びますが、22ページをごらんいただきたいと思います。
 ここで掲げております参考3というのは、NTTが本年の3月に公表した資料でございますけれども、NTTは次世代ネットワークの本格的な商用サービスの前に、フィールドトライアルを実施する予定でございます。具体的には、先ほど申し上げたように本年の7月をめどに相互接続条件の提示、また参加条件といったものの詳細を公表する予定でございまして、本年の12月からトライアルを開始して、順次対象ユーザーを拡大していくというスケジュールでございます。特に第1期につきましては、当面は東京と大阪のショールームの来訪者を対象にユーザーとしておりますけれども、第2期についてはNTTグループ社員、さらに第3期にはエリア内の一般のお客様と徐々に広げていくような計画でございまして、具体的には首都圏(11エリア)と大阪(2エリア)を予定しております。
 特にサービスの概要としましては、ネットワーク的にはIPv4とv6両方に対応したものとして、そのネットワークの中では、こちらの23ページに書いてございますようなQoSの制御であるとか、IPのマルチキャスト機能、さらにセキュリティ機能、オープンなコネクティビティ等を達成すると。具体的なサービスとしては、従来のIP系のサービスに加えて、高品質なIP電話であるとか映像配信、イーサ系サービス等を提供するような予定でございます。
 具体的なネットワーク構成について、25ページをご覧ください。現在、NTTが考えているトライアルの構成としましては、先ほどのITUでのNGNのモデルに非常に近いと思いますけれども、コアネットワークというものを中心として、その上に具体的なサービス制御の機能を持つ機器を入れ、その上にアプリケーションを載せていく。またコアネットワークには、他社の次世代ネットワークであるとかPSTN、携帯電話網やISPとの接続をしていくという構成となっています。
 その他、参考としまして、2点、資料をおつけいたしました。まず、6ページをごらんいただければと思います。先ほど冒頭に、イギリスのBT、もう既に世界に先駆けてネットワークのIP化といったようなものをご紹介させていただきましたが、イギリスにおきましても、NGNukといったものが立ち上がっております。これは特に、本年の3月にOfcomが公表した報告書、「次世代ネットワークの規制枠組みの策定」を受けて、次世代ネットワークに関する独立したオープンの業界団体をつくられたといったような経緯がございます。本年4月に設立されておりまして、今、本格的な活動に向けて立ち上げの作業をいろいろ行っているという状況でございます。具体的には、このukの概要としましては、字がちょっと小さくて恐縮でございますけれども、こちらに書いてありますように総会、執行部、ワーキンググループという構成になっておりまして、特にその執行部におきましては既存のキャリア等が執行会員として入り、その他関連する企業等が会員として入っていると。具体的なワーキンググループとしましては、ここに書いてありますような技術的な課題や商業的な課題についてこれから議論することになっているということでございます。
 参考2につきましては、本連絡会議において、関係4団体からどういった課題があるのかというのをまとめて出していただいたものでございます。文量があるので、ここでは個々の説明は省略いたしますが、大体こちらに書いてございますように、各事業者から多々、今課題が出されているところでございまして、これにつきまして今後、先ほど申し上げたように、より詳細な議論、特にこれからフィールドトライアルの条件も提示され、徐々に次世代ネットワークについて各事業者はどういったことを考えているかといったことも次第に明らかになってくると思いますので、それに伴って、より詳細な議論というのはこれから行われると考えております。
 以上、簡単ですけれども、私の説明を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
【香城委員長】  ただいまのご説明に関して、何かご質問、ご意見はございますか。
【森永委員長代理】  よろしいですか。NTTが12月ぐらいからフィールドトライアルということで、内容的にも相当なもので、結果的には一つのプロトタイプというか、NGNに先駆けての日本全体の枠組みがこれでできそうな気もしますけれども。それで、2010年というのは大体のターゲットにされているわけだけれども、総務省関係のu−Japanの流れ、それからNTTのほうからすると、通信・放送の融合という意味では、2011年の放送の全面デジタル化がありますね。NTTとしても、PSTNというこれまでの固定電話の一つの区切りというか、その辺が10年ぐらいかなというふうに読んでいるようですね。この事業者間連絡会議の様子をごらんになって、いよいよ本格化してくるというのはどの辺ぐらいと読んでいたらよろしいですか。つまり、当委員会にしても、今までとはまったく異なる紛争例が随分出てくると思いますし、それに対応して先取りして勉強もしないといけないし、ある程度の覚悟というのか、大体どのぐらいからそうなりそうだとか、いろいろ予測というのが必要なわけですけれども、どんな感じですか。
【湯本調査官】  一つのマイルストーンとしましては、現在、特に次世代のネットワークで、今、先生もおっしゃいましたように、とにかく他事業者に与える影響が大きいのはNTTの構築する次世代ネットワークだと思うんですけれども、NTTの次世代ネットワークにつきましては、明確な時期は公表されていませんが、現時点では2007年度下期に商用サービスを開始する予定になっています。
【森永委員長代理】  来年でしょう。
【湯本調査官】  来年、まあ遅くとも・・・。ただ、その一方で、2007年の12月まではトライアルをやると言っているので、そのあとになるのではないかと思います。いずれにせよ、その2008年初頭ぐらいには商用サービスが始まると。その前に各事業者間で様々な接続に関する、当然行政側でルールも定めていかなくてはいけないと思いますけれども、そういったルール以外にもさまざまな細かい条件面でも各事業者間で交渉を、おそらく来年後半にやっていくことになるのではないか。ここが最初の山場になると考えられます。次の山としましては、おそらくサービスが実際に開始されていくと、また様々な問題というのが起きてくるのではないか。具体的には、当初想定していなかったけれども、実はこういった機能がオープン化してほしいであるとか、あと、先ほども申し上げましたけれども、実際には次世代ネットワークは急に立ち上がるものではなくて、徐々に構築されていって、既存のサービスというのも徐々に移行していくもの。そういった移行期が、実は非常に長いのではないかと思っていまして、当然、その過程でも、各事業者の中でも、意見というかいろいろな紛争的なものというのは起きる要素があるのではないか。
 だから、現段階では、NTTは2010年に3,000万人の加入を目指しますというかなり野心的な計画を立てておりますので、そういうことを考えると、2008年の後半ないし2009年ごろには、順調にいけば相当マイグレーションが進んでくると思うので、そういったところも一つ、大きな山場になってくるのではないかなと考えます。
【森永委員長代理】  マイグレーションというのは、従来の電話回線から光ファイバーをやること。
【湯本調査官】  そうですね。今、NTT自身は、既存サービスの取り扱いについては2010年までにスタンスを決めて発表しますということを言っておりまして、少なくとも2010年まではおそらく残る。現実にも、急には既存網はやめられないとは思うんですけれども、当然そうなってくると、両方並立する状態になってくるので、結構複雑な要因というのもいろいろ出てくるのではないかというように思います。
【森永委員長代理】  もう1つ、いろいろ紛争なんかが出てきたときに、ネットワーク接続のレイヤーがきっちり定まっていないと、いかに考慮すべきものかよくわからないという結果になりますけれども、そのNGNに関する国際標準化、これはまだまだの段階ですか。
【湯本調査官】  ITUにおける標準化につきましては、その基本的なアーキテクチャみたいなものについては既に勧告案が策定されています。たしか本年7月に採択されるのではないか。今、議論しているのは、そのあとのリリース2というところで、具体的なプロトコルの詳細であるだとか、さまざまな付加サービスであるとか、そういった周辺のことについて今、議論をしているような状況でございまして、確かに国際標準が完全に終わった段階で実サービスというよりも、同時並行的に走りながらやっていくような状況にならざるを得ないとは思います。
【森永委員長代理】  勧告は出ているわけですか。
【湯本調査官】  次世代ネットワークのフレームになる、リリース1の勧告案は出ている。
【森永委員長代理】  フレームだけですね。来年ぐらいになると、かなり具体化してくるんですか。
【湯本調査官】  そうですね。今でも、フレームといいましてもかなり具体化しているが、実際に個々のプロトコルをどうしていくだとか、そういった話になってくると、まだ議論が進んでいないところもありまして。
【森永委員長代理】  それから、ほんとうの技術的なところですよね。
【湯本調査官】  そうですね。あと、標準化自体も今の流れというのは、従来の電話網というのは非常に細かいところまで国際標準で決められて、各国がまったく同じような仕様でやっていたわけですけれども、徐々にそういった性格が少し変わってきておりまして、どちらかというと国際標準のところでは大まかな骨格というか、そういうところを中心に定めているという側面はあると思います。
【森永委員長代理】  すみません、もう1つね、この電気通信事業者協会には、電力系も入っているわけですか。
【湯本調査官】  入っています。
【森永委員長代理】  ありがとうございます。
【香城委員長】  ほかにございますか。
【富沢委員】  この際なので教えていただきたいのですが、例えば携帯電話の場合、第3世代とか世代が変わると、FOMAのように基地局を新たにつくり別のネットワークを構築しましたよね。この電話のNGN、次世代というのは、今、NTTが光電話とかやっていて、IP電話も、インターネットもできますよね。NGNが本格サービスになったら、今、私が電話をNTTと契約していたらどう変わるのでしょうか。既存のネットワークはそのままに、ただソフトウェアが変わるといった追加的なことだけなのか、全く別のネットワークを新たに構築するものなのか、このNGNのイメージがわからないのですけれども。
【湯本調査官】  NTTがまだ詳細を発表していないところもあるので、若干推測する部分もありますが、基本的に、まずユーザーから見える部分につきましては、NTTは電話網からIP網に移行するといっても、なかなかそのユーザーとの切り口、インターフェースの部分というのは変えられないのではないかと思います。というのは、それまで普通の電話を使っている人に対して、すぐにその電話を捨てなさいというのは、現実的になかなか難しいので、そのユーザーとの切り口の、最終的に電話を使う部分というのは変えられないのではないかと思います。ただ、その一方で、光の回線、特に従来、メタルから光に切りかえる場合には、当然その最終のところに終端装置等をつけていかなくてはいけないので、そこの部分は変わっていくということになると思います。ただ、そこの詳細については、まだ彼らも公表していないですし、今後、まさに議論になり得る部分かなと思っています。
 その一方で、今既にインターネット、特に光とかFTTHをやっている方がどうなるのかということについてですけれども、これは若干推測になりますが、おそらく接続される機器とかそういったことについては、そんなに大きく急に変わらないのではないかと思います。
【富沢委員】  そうすると、NTTにしてみるとバックボーンは既に光だし、確かき線点まではほぼ構築されていて、そこから先も光に変わるし、制御に関わるソフトウェアを、よりレベルの高いものに変えるとしても、そんな程度の変更イメージと理解すればよいのでしょうか。
【湯本調査官】  そうですね、一番変わるのはやはりネットワーク側というか、NTTであればNTT自身が持っているネットワークの中が大きく変わるということになると思います。
【富沢委員】  中っていうのも、線路をつくり直すのではなくて、ソフトウェアをかえるみたいな、そんなイメージですか。
【湯本調査官】  そうです。ただ、おそらくもう既にネットワーク基幹網のところはほぼ光化ができているので、そこよりもむしろ両方につく装置ですね。簡単に申しますと、今の電話網というのは電話交換機経由ですべて行っていたわけでございますけれども、その交換機を簡単に言うとコアルーター、エッジルーターというIP系の設備にすべて置きかえていくと。ただ、当面は既存の交換網も残しますと言っているので、両方とも並存するような形になっていくと思うんですけれども。
【富沢委員】  あぁなるほど、ルーターにかえる、つまりIP化するための設備変更が要るというということですね。
【湯本調査官】  そうですね、はい。
【富沢委員】  わかりました。ありがとうございます。
【樋口特別委員】  よろしいでしょうか。先ほどNTTがフィールドトライアルを始めるということでございましたけれども、国際標準の枠組みのようなものができた段階で、NTTが国際標準に、NGNの枠組みというんですか、どの程度できているのかわからないですけれども。それにある程度適合したと、今後もう少し詳しいものになるのかもしれないけれども、そういう外れたものにならないように努力しているということはあって、我々は将来、独自な仕様で行くんだみたいなことにならないのかどうか、そこら辺の点はどうでしょうか。
【湯本調査官】  今、まさにご質問があった件について、やはり関係の事業者からも何社かから懸念が表明されておりますけれども、現在のところ、NTTとしてはできる限り国際標準に準拠していくといったことは表明しております。ただ、その詳細のところに落ちていくとどうなるかという議論も実はありますが、現段階では、基本的には国際標準には準拠をしていきますと聞いております。
【香城委員長】  よろしゅうございますか。
 それでは湯本調査官、ありがとうございました。ご退席いただいて結構でございます。
 次に、議題2に移ります。議題は、「MVNOをめぐる検討状況について」です。本件につきましては、総合通信基盤局の大橋データ通信課長からご説明をお願いいたします。
【大橋データ通信課長】  データ通信課長の大橋でございます、よろしくお願いいたします。
 お手元の資料2をベースにご説明をさせていただきたいと思いますが、まずは最初に、この標題にありますようにMVNOという言葉がいきなり出てまいります。ここで書かれていることといいますのは、いわゆる携帯電話がこれからどういうように変わっていこうとしていて、それを提供する事業者側の関係がどう変わろうとしているのか。それから、市場が今どういうふうに動こうとしていて、利用者がそこにどうかかわっているのかということを中心としてご説明をし、それに対する政策の対応等、生じてくるであろう事業者間の紛争のようなものをどう見据えていくのか、そういう話が中心になっています。そのMVNOというのはそもそも何かというところからご説明をしなければなりませんので、お手元の資料の4ページ目、5ページ目をごらんいただけますでしょうか。
 まず、MVNOという言葉ですけれども、これはまだ日本語として定着をしているものがございません。したがいまして、便宜的にこれを使っておりますが、Mobile Virtual Network Operatorと呼んでいるものでございます。どういうことかといいますと、一般的に携帯電話事業者といいますのは、周波数の割り当てを受けて、みずから電気通信サービスをユーザーに提供していく存在であったわけですし、現在もそういう形でNTTドコモ、KDDI、あるいはボーダフォンという会社などが市場に参入してサービスの提供をしております。この方々とMVNOの何が違うのかという点は、Vという字、virtualという言葉が象徴しますように、MVNOの特色は周波数という割り当てを受けずに、しかし同じようなサービスを提供する社として、国際的には認識をされ、現にサービスを提供する国々が多数ございます。
 4ページ目の上にありますのが、携帯電話サービス周辺の市場構造ということで、イメージを図にしたものです。これは今日の携帯電話市場を幾つかのレイヤーに分けて模式化したものですけれども、要すれば、周波数の割り当てを受けて基地局を整備して、中継網を整備し、その上に電気通信サービスというネットワークを物理的、論理的に構築をし、そのサービス提供をみずからの責任において行い、そのサービスを利用するさまざまなアプリケーション、コンテンツプロバイダに対してそれに必要な機能を提供するという、いわゆる垂直的な事業モデルというものが、ある種、この事業の今日の成長を保証してきたといいますか、結果において非常にうまく機能して今日に至っている状況がございます。
 一方、5ページ目をごらんいただくと、固定ブロードバンドサービス周辺の市場構造と書いてございますが、これはいわゆるNTTの加入者網の開放の上に、さまざまな事業者の参入ということを政策的にある種誘導し、今日につくり上げてきている市場のアーキテクチャであります。この2つを対比していただきますときに、非常に単純化して申し上げると、携帯電話というのは非常に垂直統合的なモデルであるのに対して、固定ブロードバンドサービスというのは、どちらかというと水平的な展開が行われてきている。この固定のブロードバンドサービスの周辺に、いわゆるインターネットというものが大きく花開いてきた今日までの歴史というものがあろうかと思います。
 私どもが今、市場の構造についての問題意識と考えていますのは、これまでは携帯電話サービスというものは、いわゆる電話を提供するサービスでありましたから、さして実は問題にならなかったのですけれども、今後、この携帯の世界にも、モバイルインターネットというものが大きく花開いてまいります。加えて、供給サイドとしてはこのサービスを非常に高速化していくという動きがあり、固定網で言うADSLサービスとか、場合によっては光のFTTHサービスのようなものと同等のスピードのものも、提供され始めようとしています。そうしますと、そもそもこの種のサービスはユーザー側からするとシームレスに利用されるほうが利便性の高い場合が多々ありますから、この固定網と有線網というものが、ある種、供給側でも融合してまいりますし、需要側でも融合してくる。そこの市場構造の次の世代のビジョンというものをどんなふうに描いていくのかということが、問題意識の背景にございます。
 次の6ページ目をごらんいただくと、携帯電話サービスの市場構造の今後ということで、あくまでこれもイメージとして書いたものですが、要すれば、前のページにあった携帯電話市場というものが、これから構造的におそらく大きく変わってくるだろうという推測を絵にしたものでして、政策的な意図としては、これを変えていく必要があるだろうとも考えております。
 MVNOといいますのは、先ほど申し上げましたように、ネットワークインフラを基本的にはみずから整備することなく、既存のネットワークインフラの上にみずからのブランドで電気通信サービスを提供していく社でありますから、絵にかくと、例えばこういうイメージのものになってこようかと思います。ただ、これは電気通信サービスという点に着目をするならば、MVNOの方々が提供するサービスは、ある部分、既存の携帯電話サービスの事業者の提供するものと近いものがあるわけですけれども、実際にMVNOとして参入する社に私たちが期待するものというのは、第4、第5のその種の競争的な事業者の参入を期待し、大きく市場シェアを広げて競争を闊達にしてもらいたいということよりも、むしろこの周辺にいる事業者方々、産業の方々が、携帯電話の垂直統合モデルの中にあって制約をされてきた、いわばいろいろな新しいビジネスチャンスというものを広げていく手段として、電気通信サービスを利用できるような市場構造に変えていきたいと考えている次第です。
 要すれば、電気通信サービスの利用者という場合には、そのサービスの利用の仕方については当然サービスを供給する側のさまざまな制限、制約を受けますが、みずからのブランドとして電気通信サービスを、いわば部品のように取り込んで、新しい付加価値を産業構造の中に創出していってもらうための事業者間のルールというものをどんなふうにつくっていけば新たな参入をこの通信分野に招き入れることができるのかということや、また、その付加価値は電気通信サービスだけではなくて、その周辺の産業、例えば端末であるとか、コンテンツ、アプリケーションであるとか、あるいは金融サービスであるとか、情報産業であるとか、その種のプレーヤーの活動を活発にし、国際競争力を高めることができますので、その辺の仕組み、仕掛けをどうしようかということが検討途上にあるというのが、この資料の内容になってございます。
 MVNOに関して、私たちが今申し上げた政策の意図として、何がしかの形で日本の市場にも多数のMVNOの参入を招き入れたいと考えている背景にありますのは、国際的な動向ということがございます。
 そのあたりは、10ページ目に海外のMVNO事情ということで整理をしたものがございまして、EUであるとか米国であるとか、あるいはアジアでも韓国、香港というところは、MVNOが市場に多数参入をしております。欧米のMVNOと日本のMVNOは、実は大きく性格が違ってくるのではないかと我々は考えていますが、少なくとも、欧米においてこの種のMVNOの参入が市場に対して大きな刺激になっている現実があるわけでして、他方の日本に、例えば3G、第3世代携帯電話に関して言うと、その参入がほとんど事実上ないということとの対比に、ある種の危機感を持っているのが私たち政策当局の現状でございます。
 この海外のMVNOといいますときに、例えばA国の例でいいますと、Virgin Mobileという会社がかつて市場に参入をし、現実にまだサービスの提供をし、成功した事業モデルといわれております。ただ、私たちが今、日本の市場の中に招き入れたいMVNOのモデルといいますのは、必ずしもVirgin Mobileのようなものではございません。と申しますのは、私たちが今考えていますMVNOの、いわば日本的なモデルといいますのは、例えば8ページ目にMVNOの動機と参入パターンと書いてあります。この中でいいますと、一番左上の無線サービスの新規参入をモデルとして思い描いているよりは、その下に挙がっていますような多様なサービス展開を、ある種、主体的に取り結んでいっていただく事業者として想定しているがために、必ずしもVirgin Mobileのようなケースを日本に期待しているわけではないと申し上げている次第です。
 では、具体的にどういうことを今我々が期待しているかといいますと、1つには、高速インターネットアクセスの有線/無線のシームレスサービスということで、いわゆるFMCと呼ばれている固定網と有線網の融合ということが、供給サイドにも事業サイドにもこれから大きなトレンドとなってこようかと思いますが、その際に、先ほど申し上げましたように携帯電話側には基本的には3社しかないよという構造だとしますと、この3社が有線系に出ていく場合には光ファイバー網の開放の上に新しいISPサービスを提供するなどいろんな工夫が可能になるわけですけれども、例えば固定側にいるISPの中には、KDDI、NTT、あるいはソフトバンクと、資本関係を持っていない会社がありますから、彼らがユーザーに対して無線の高速アクセスを提供しようとしますと、これら3社とのアライアンスを組むか、さもなければ自分自身で参入するということをしていかなければ、同じようなサービスが提供できない可能性が出てまいります。だとすると、この種のサービス産業ということを何がしかの工夫で可能にしていかなければならないのではないかと考えております。
 あるいは、これまでの携帯電話といいますのは、基本的には電話サービスとして、しかも一般的なユーザーに提供してきた部分が、データ通信サービスというものがどんどん高速化してまいりますと、むしろ個人の手に余るサービスになるかもしれません。むしろ、法人ユーザーがシステムインテグレーターの方々と一緒になって、自社のカスタマイズドしたシステムにその無線の部分を組み込んでいくというような活動が、むしろ周波数の有効利用のためにはより闊達になっていかなければいけないし、そのことが日本の企業の国際競争力というものも高めていくという潜在的な可能性もあるわけです。したがって、その種の法人顧客ニーズへの対応という点で、より柔軟な形で、通信サービスというものを単に利用者としてではなくて、そのサービスを提供する側に回っていろんな工夫をしていただくということが必要ではないかと考えております。
 あるいは、放送サービスのようなものとの融合、すなわち放送がマルチウィンドウにコンテンツを提供する場合に、無線というものを何がしか組み込んだものを提供していったりとか、あるいは金融サービスのような場合には、優良な顧客に対してある種囲い込み戦略の一貫として、例えば携帯電話端末を無料で提供して、そこにさまざまな付加価値あるサービスを組み上げていくということも、これから起きてくるだろうと思います。その他、いろいろな付加価値をどう創造していくのかということを国全体として考えますときに、既存の3社以外の方々も、この付加価値創造のプロセスの中に入っていただくということが必要ではないかと考えていますし、特に日本の場合には、データ通信領域において技術的にはどんどん高速化が進んでまいりますし、ユーザー側にもそのデータ通信に対してのある種のアレルギーがない国民性がありますし、現に浸透しているわけですから、その種の新しい領域に対して既存のキャリアの方々も加わりながら新しい市場創出ということをお願いしていきたいと考えている次第です。
 ただ、11ページ目にありますように、MVNOの難しい点は、もともと二面性が存在するところです。すなわち、MVNOは既存の事業者のサービスと競合するサービスを提供するのではないかと既存の事業者の方々は警戒をしています。一方、うまいアライアンスを組めば、むしろMVNOが持っている顧客基盤であるとかブランドとかが、どんどん自社の顧客開拓に生かせる可能性もあるという期待もございます。この種のパートナーシップというものと、競走相手というものの二面性を持つMVNOでありますから、当然にそこにはさまざまな事業者間の軋轢、対立というものが想定されるわけです。我々としては、もちろんある種の周波数というものの不可欠性があり、したがって公共の立場で事業者の方々に行動いただくために必要な規制ということも講じていく場合もあると思いますけれども、なにぶん、この種の二面性が存在するわけですから、プレーヤーの方々ですから、できるだけ事業者間の合意に基づいた多様なアライアンスということを期待したいと思っています。
 そういう面で、市場のダイナミズムということ、とりわけ迅速な合意形成ということを大事にしながら、また、既存の事業者の方々の設備投資というものが、この種のアライアンスの中で失われていくということは、これはまた別の問題を内在していますので、そういうことを避けつつ、多様なサービス選択ということをユーザーに享受いただきながらその利用者の利益保護ということを保証していくためにどういうルール整備をしていく必要があるのかということを、今議論している次第であります。
 その議論のプロセスに関して、13ページ目に少し書いてございますが、この議論は一般的な研究会方式ということを取らずに、意見公募を何度か繰り返しながら今日まで至っております。昨年の12月に、そもそもの私どもの問題意識ということを意見公募させていただき、ことしの4月に第2次の意見公募をしてございます。今回、おそらくは今月の20日前後に第3次の意見公募ということで、総務省の考え方というものを示し、その中でまたいろいろな意見をちょうだいしながら、議論を社会的に深めていきたいと考えている次第ですが、その私どもの政策的なスタンスというものの骨格を、17ページ目に書かせていただいております。
 まず基本的な私どもの認識というのは、電気通信事業法の解釈、適用という点に関しましては、この種のMVNOとMNOの関係において、事業法32条に規定をします接続に該当する場合があるといいますか、ほとんどの場合はこの接続にも該当すると考えております。したがって、この法律32条の適用になりますと、32条が規定していますように、その接続は電気通信事業者の義務ですので、したがって、その請求があった場合に、既存の事業者さんも、その請求にこたえなければならないとう原則が適用になってまいります。しかし、その同じ条の中に、例外として応じなくてもいい場合が書かれています。すなわち、サービスの円滑な提供に支障が出てくるような場合であるとか、あるいは不当にその事業者の利益を害するおそれがあるような場合については、必ずしも請求にこたえなくてもかまいませんと書いてございます。
 したがって、今MVNOの方々が参入をお考えになっていて、これから既存事業者の方々と交渉していく場合に、この部分で請求は権利として認められています。しかし既存事業者側がそれを拒否した場合に、この32条に書いてある円滑な提供に支障が生じるおそれがあるのかとか、その利益を不当に害するのかということを争う事業者間の関係というものが生まれてくると想定している次第です。
 この種の事業者間の接続という点に関しては、これまでは基本的には32条ではなくて33条の適用をもって争われてきた事例が多いかと思います。これは33条の場合には32条と違いまして、いわゆるボトルネック設備を有する、具体的にはNTT東日本とNTT西日本の設備利用開放ということが相当に強い国の行政関与の中でさまざまなルールが引かれてきているわけですけれども、32条は逆に言いますと33条と違って、これまで大きな問題として浮上することが少のうございました。これはもともとの固定網側が33条の接続として争われてきていますし、携帯電話に関していいますと、これまでは、さっき申し上げた垂直的な統合の中で、特に電話の場合には技術的にそもそもこの種のサービスとネットワークの分離というものがとり得ないという前提で、参入する事業者の方々もお考えになっていらっしゃったろうと思います。
 ただ、海外のいろいろな事例を見ますときに、あるいは日本の今日的な市場の構造を考えますときに、この種の新規参入ということが、技術的には相当できるだろうという判断になっております。
 きょうはちょっと時間の関係があって詳しくはご説明いたしませんけれども、これまでの2回の意見公募の中で、MVNOとして参入したいと言っている方々が要求することは技術的に可能なのでしょうかという問いに関しては、ほぼ問題なく技術的には可能でありますということが、まずコンセンサスとして成立してきております。ただ、ではそれがどういう条件で可能なのかという点に関しては、むしろ個々の事案ごとに見ていく必要がありますし、ほんとうにそれが利用者にとって利益なのかというような検証も行われなければなりません。そういう面でまだまだ個々のMVNOとMNO、既存の事業者の方々との間の意思疎通ということが十分ではないと思いますし、逆に言いますと、今は完全に背を向けているといいますか、既存の事業者側がMVNOに対して開放する意図というものが明確に示されていないところがありますが、もう少しその問題を両者が話し合う中で、具体的な実りというものがあらわれてくる余地は、我々はあるのではないかと考えていますので、現行の事業法の中、すなわち33条のような強い行政干渉を加えることなく、実績ある参入ということを実現していただきたい。
 したがって、32条のガイドライン化、1号2号というものを具体的にどういうふうに行政は今後取り扱っていくのかということを、行政の透明性、あるいは事業の予見性を高めていく観点からガイドラインに落としていくという作業を今後していきたいと考えておりますし、そのために関係の事業者の方々とのディスカッションということをしっかりやっていきたいと考えている次第でございます。そういう意味で、今回の意見公募といいますのは、総務省の、いわば政策対応として初めて、これこれこういうふうに我々は考えたい、あるいは政策対応していこうとしているということをお示しする、いわば出発点になるだろうと思っています。
 18ページ目に、MVNOのガイドラインの役割ということで、細かい字で申しわけありませんが、少し整理をさせていただき、ここに紛争処理委員会の名前が出てきております。すなわち32条ということをベースにして、今後取り扱っていくとしますと、今の1号2号という点に関して、必ずしも事業者間の合意が成立するとは思いませんので、そうだとすると事業者の側、すなわちMVNOとして参入する側は、その請求に関して何がしか問題提起をされるということがあろうかと思います。
 ただ、この32条の内容といいますのは、先ほど申し上げましたような技術的な支障がどうあるかとか、あるいは不当かどうかという、ある種の公共の利益を含めた価値判断ということがかかわってまいりますので、おそらく今のまま紛争処理委員会に持ち込まれても、基準として何を参考として判断していけばいいかという点につき、何も示されていない状況というのが現状だろうと思います。我々としては事業者に対して、こういうような考え方ですよという意味でのガイドラインをしっかりとつくり上げることによって、参考として何がしか活用いただくような工夫をうまくしていけたらいいなと思っています。一方で、先ほど申し上げましたように、そもそも個別の事案に立ち入ってみなければ判断できないものが多々あろうかと思います。したがって、その判断というものが逆に示されれば、そのガイドラインという形での共通化、一般化ということがより円滑に進むのではないかなと考えておりますので、その種のサイクルがうまくでき上がってくるような工夫が、今後できればいいなと我々としては期待している次第でございます。
 もちろん、一義的には、あらゆる紛争というものをこういう形で解決したいということではなくて、むしろ事業者間の自主的な合意を促すということがむしろメインであろうと思いますし、その行政の意図というものを示すのがガイドラインだとも考えておりますので、ある種のラストリゾート的な形の中で、この種の紛争処理の事案というものがこれから増えてくる可能性があるかもしれないという点で、この資料を用意させていただいております。
 ひとまず時間になりますので、ここまでにさせていただいて、これ以外は質疑応答の中でお答えさせていただきたいと思います。
 以上です。
【香城委員長】  ただいまのご説明に関して、ご質問、ご意見がございましたらどうぞ。
【富沢委員】  5年ぐらい前にMVNOが話題になったことがあったと記憶します。その折、垂直的なレイヤーを切って参入しやすい形にしたと記憶しています。ところが、それから数年たってもMVNOとして名乗りを上げるところが、1社か2社程度であまり活発にならなかった。一つにはMNOが自分の顧客に対応するだけで手いっぱいで、MVNOに貸す余力はありませんという話だったかと思います。確かに、ある企業はそうかもしれないけれど、他の企業は貸す余力があったのではないかと思われます。にもかかわらず、あまり名乗りを上げるところがなかったというのは、MVNOは言われるほどにはビジネスとして旨みがないので、誰も手を挙げなかったのでしょうか。個別交渉では難しいと書いてありますが、紛争処理委員会もちゃんとあるのに、参入したいのに交渉が上手くいかないと訴えてきた例は、今まで一度もありません。それとも、何か別の理由があるんでしょうか。MVNOの参入が数年前にも問題になったのにそのまま動きがなくて、何で今になってもう一度やるのかというのがよくわからないのですけれども。
【大橋データ通信課長】  幾つかの要素がありますので、ちょっと順不同で少し申し上げると、まず5年前、確かにMVNOがいわば第一次のブームになった時期がございます。これはどういう状況であったかといいますと、時期的に言うとちょうどiモードの開放問題も含めて、いわゆる携帯ビジネスというものが急速度に拡大をしていた時期です。当時、先ほど申し上げましたイギリスのVirgin Mobileという会社がヨーロッパで成功をしておりましたので、日本でも同様のビジネスチャンスがあるのではないかという気運が高まっていました。
 我々がMVNOに関するガイドラインを作成していて、しかし実態として参入してこない、その最初のガイドラインをつくったときの当時の状況といいますのは、MVNOに関する法解釈について今とは違う意見がございました。すなわち、日本においてはMVNOというものが事業法ならびに電波法上認められていないとおっしゃるキャリアの方、既存の事業者の方々がいらっしゃったものですから、我々としては、いや、そうではありません、そもそもMVNOは確かに事業法には書かれていませんけれども、MVNOとして、いわゆる事業者の方々が言っていらっしゃるような事業モデルは、現行の事業法の中でも可能なんです。したがって、参入できるんですということを明確にするため、当時はガイドラインの策定をいたしました。
 当時策定した時点から既に我々はある程度想定をしていたことですけれども、あくまでこれは参入できますと書いてあるだけで、参入させなさいという内容になっていません。したがって、MVNOのパートナーとしてホスト側に立つMNOといわれる方、すなわちドコモとKDDIとボーダフォンの方々が一緒にやろうねと言わなければ、動かないモデルであろうと我々も考えておりました。
 それはMNOの方々の閉鎖性に問題があるのかという点は、ことは多分それほど単純ではなくて、当時の事情からいうと、基本的にはまだ電話というサービスが中心ですので、MVNOとしてもし参入する社があるとすると、当時のVirgin Mobileのような、いわゆる再販型のモデルということになってまいります。再販型といいますのは、ネットワークに何か新しい価値をつけていくというよりは、企業のブランドを利用して、いわばVirgin Mobileブランドで国民に電話サービスを再販するというモデルなんですけれども、日本の場合にはヨーロッパと市場構造が違って、ドコモもKDDIもボーダフォンも――当時はまだJ−Phoneでしたでしょうか――皆さんブランドは明確に持っていらっしゃるし、そのために相当のいろいろなお金も投入してきていますから、いわゆるVirgin Mobile的なモデルが日本には入りにくかった、あるいは必要がなかったという事情があった面もあろうかと思います。
 したがって、それ以降は3Gに関して日本で活発に参入をしようという、例えば今の時点における気運というものがなかったというのが事実であります。ただ、一方で水面下では、そうはいいましてもニッチのマーケットではありますが、特に法人向けのサービスなどで3Gも利用したい、例えばPHSに関しては、このガイドラインを前後して現実に参入してきたMVNOの方々がいらっしゃいますから、この方々は3Gのアクセス網も利用して、よりマルチにサービスを提供していきたいということがニーズとしてあったとは聞いております。しかし、その点は先ほど申し上げましたように、既存の事業者の方々はノーであるということでしたから、実績として上がってこなかったというのが、今までの経緯です。
 一方、制度面から申し上げますと、もともとガイドラインをつくった時点では、再販型のモデルというのは明確に見えていましたけれども、それ以上のモデルというのはヨーロッパをはじめとしてまだ具体的には見えていなかった時点です。ましてデータ通信領域の高速サービスというものは、まだ影しか見えなかった時点ですから、どれほどの可能性があるのかということも、我々自身、その潜在力というものが評価し得ていなかったタイミングでした。しかし、その後、データ通信というものが闊達に日本のマーケットの中で立ち上がっていき、かつ、それが高速化をしてまいりますと、ニーズの側にはいろいろな新しい使い方をしたいという声が出てきますし、それから供給する側も、例えば現実に今サービスを提供している事業者の中には高速サービスを提供しながら、しかしほとんどユーザーが開拓できていないという実例もあると聞いています。そうなれば、自社の利益になるアライアンスであれば、うまいパートナーシップを組んでいく余地というのが5年前よりも相当高まっているのではないかという政策側の思いというものもございます。
 さて、これがほんとうに既存事業者側に受けとめてもらえるボールなのかどうなのかという点は、先ほど申し上げましたように、やはりそうは言っても自社のサービスメニューとバッティングしたりとか、将来の市場に対してのある種の囲い込みということとか、いろいろな思いがあると思いますので、これがどの程度メッセージとして伝わるかというのは、これからやってみなければわからない。
 ただ、最後に書いてありますように、仮に事業者側が何がしかの紛争の問題提起ということがあった場合には、そのプロセスに従って処理されていくわけですから、むしろ事業者の方々がそういうみずからの利益に反しない中でパートナーシップを組んでいただくよう促すという意味で、事業法の解釈、運用ということを政策としては明確にする。つまり法改正をするわけじゃありませんけれども、既存の法体系の中でその解釈、運用を政策のWillとして明確にするということを、今させていただく必要があるだろうし、そのことがよりメッセージを明確に伝える方法になると考えていますので、こういうふうに、いわば第二次のMVNOをめぐるルールと、それに対する政策の対応ということがいろいろと今言われるようになっているというわけでございます。
【富沢委員】  わかりました、ありがとうございます。
【香城委員長】  よろしいでしょうか。
【吉田参事官】  ちょっと事務局からよろしいですか。
 ガイドラインの関係ですけれども、資料の13ページで、ちょっとスケジュールのご説明をちょうだいしましたけれども、本ガイドライン、最後の18ページのところで、これは当委員会とのよきサイクルとご説明ありましたけれども、それとも関係しますので、内容等については関心があるんですが、この7月以降のスケジュールというものが、もし政策当局として大体固まっているものがおありでしたら、差し支えのない範囲で教えていただきたいんですけれども。
【大橋データ通信課長】  18年度中には、このガイドラインを改正したいと思っています。秋口から年明けにかけてという、ある種広い幅を持っていますのは、もし仮に事業者間の何がしかの建設的な話し合いということが立ち上がっていくのであれば、ガイドラインのスケジュールを少し後ろにずらしてでも、その成果を踏まえたものにしたいと考えています。逆に、その種の気運がないということであれば、むしろ早くに政策の意図を示していく必要があろうかと思いますので、秋にでもガイドラインをつくっていくということにしたいと思っています。これは、もう一方でMVNOという形で参入をしていきたいという事業者の意図と、MNO、つまり既存の事業者側もアライアンスを組んでいきたいということが、事業者によっていろいろニュアンスとかレベルが違いますので、いずれにしましても既存事業者側の動静、動向というものをもうしばらく見た上で、秋から冬にかけてガイドラインを改正して公表していくということを考えたいと思っている次第であります。
 ちなみに、ちょっときょうは時間の関係ではしょりましたけれども、これは既存の3Gに関して今申し上げておりますが、新規に周波数を割り当てて参入していく新しいシステムについては、むしろ積極的にMVNOを導入していくべきだと考えていますので、それに伴うルール整備ということも、同じ時期、しっかりと精緻に議論をしてまいり、場合によってはガイドラインや、それ以外の何がしかのドキュメントということで、政策のスタンスということを明確にしていきたいと考えております。そのスケジュールも今申し上げた18年度中に、形にしていくことになろうかと思います。
【森永委員長代理】  要するに、ほとんど希望の内容を見ると、32条でいう接続に相当するものだということのようなんですけれども、この接続というのが、例えばリセール、Virgin Mobileなんかというのは、かつての第二種事業者のようなものですよね。そうではなくて、これはいろいろ形態があると思うけれども、例えば今の移動通信事業者の設備の上にサービスを乗っけるという場合、それは接続というんですか。
【大橋データ通信課長】  まず、IP化というものを背景として、これからどういうふうに行政を考えていかなくちゃいけないかというときに、まさにご指摘のように、回線と回線を横につなぎますよというような、かつての長距離網と地域網の接続だけでは済まないものが出てくると思います。
【森永委員長代理】  そうですね。
【大橋データ通信課長】  おっしゃるように、二種的なものと一種的なもの、その「的」なところが、今はどんどんどんどん、いわばそういうサービスを構成する機能がモジュール化してきていますので、非常に相対的なものになってきているということがあろうかと思います。例えばADSLに関していうと、ADSLサービスというものと、それを支えるインフラというものも、これは垂直的な関係に実はあって、しかし、これは接続ということで、32条の適用になる整理がされてきていると思いますが、その背景にある32条といいますのは、まさに電気通信回線の接続と規定しているのではなくて、電気通信設備を回線に接続するということに適用すると書いてあります。ですから、回線でないもの同士の接続があるとすれば例外となります。多分あると思いますが、この種のものは32条には基本的には当たらないと考えていくとすると、何がどうなのかということを個々を具体的な事例に則して推理していかなければ、なかなか一概には言えない問題だろうと思いますが、ただ、これも非常に基本的な枠組みとして申し上げるとすると、32条はそもそも横と横のものだけを想定しているものではないと。もちろんADSLとインフラというものも、この32条は想定しながら、あるいはかつて適用しながら運用されているということがありますので、むしろ垂直関係をどこまでどう整理していくのかということを具体化する作業が一つのテーマになっているというところです。
【森永委員長代理】  その辺が、今度のガイドラインをおつくりになるときには上がってくるわけですか。
【大橋データ通信課長】  個別事案に則してと言ってしまうと、もうガイドラインじゃなくなっちゃうんですけれども、ある程度そこの考え方を整理して示すということは透明性の確保の観点から必要だと思っていますので、上がってくると思います。
【森永委員長代理】  わかりました、どうも。
【香城委員長】  ほかにございますか。
【和久井特別委員】  サービスの新規参入というよりは、Virgin型というよりは付加価値で新しいサービスのほうですとおっしゃった理由について、一応確認させていただきたいんですけど、投資インセンティブですとか、具体的にごらんになってそこにしかビジネスチャンスはないのではないかということが、今おっしゃられたことの中心的な内容かなと思いましたが、その理解がいいのかどうかということが1点。
 あと2点目に、もし投資インセンティブの観点が主たる理由であるとしたら、特にヨーロッパの経験とかをごらんになって、何か、これは弊害だなということを具体的に認識されたといったような事情がもしあれば。
 3番目ですけれども、8ページのところでローミングと海外進出のことについておっしゃらなかったんですけれども、これについてはどうお考えですか。
【大橋データ通信課長】  まず、ビジネスという点でチャンスがあるかどうかということに関しては、さきほど日本のモデルにはなじまないと申し上げましたけれども、実は決してチャンスがないわけではない。例えば、卸の価格をしっかりと下げていけば、当然それに呼応するように新しい事業チャンスが生まれてくるわけですから、Virgin Mobile的なビジネスモデルであっても、例えば卸価格に対して行政が強くそこに介入をして、仮にですけれども半額にしなさいということをやれば、幾らでも事業チャンスはあるだろうと思います。
 ただ、我々としては、もともと携帯に関して言うとインフラベースの競争を選択していますので、その種の行政的な介入ということをできるだけしたくないと考えますと、基本的に音声の再販ということに関して言うと、そもそも音声の再販とした場合に純粋な単純再販であると接続ではありませんので、ちょっと話が違ってくるんですけれども、仮に接続だとしても、その種の介入をしないという前提で考えると、WinWinの関係が非常に成立しにくい状況にあるのではないかと考えていて、したがって日本のビジネスモデルの場合に、それでもやはり社会的な利益、公共の利益というのがあるのかということを考えますと、決して大きくはないのではないかと思われるということであります。
 したがって、投資インセンティブの関係も我々としては避けていきたいと思っていますのは、料金水準に直接介入をして、いくら以下で卸しなさいとか、いくら以下で開放しなさいということが、おそらく投資インセンティブにマイナスかプラスかはともかくとしても、中立的ではないと考えていますので、その種の介入ということをもし行わなければいけないような状況になるとすると、投資インセンティブとの関係をやはり相当慎重に考えなければいけないのではないかと考えています。ただ、今はその時期ではないと思いますし、その必要もないと思っていますので、現状の我々が考えている延長線上でこの種の投資インセンティブの問題が起きてくるとは考えていません。むしろ新しいその種のデータ通信領域というあたりに、何がしかのその種のアライアンスが生まれてくるとすると、より投資回収が加速していく可能性がありますので、そういう意味で言うとインセンティブにプラスになることもあるのではないかという期待を持ってはいます。
 それから、ローミングとの関係に関して言うと、もともとの周波数の逼迫ということをやはり心配される事業者の方々がいらっしゃって、まさにそういう問題が現にあろうかと思います。ただ、地理的に見たときに逼迫をしている地域がどこなのかというときに、ローカルエリアにおいてもしそうじゃない状況があるとするならば、第3、第4の競争事業者が入ってくる際に、むしろ地方に限って自社の網をある種利用させていくというような判断が戦略的にもあっていいんだろうと思いますから、制度側はそれをどう落ち着かせていくのかというときに、この種のMVNOとの関係を整理していかなければならないと考えています。海外の場合は、ローミングというのは基本的には再販ベースのものですのでまた少し違いますが、日本の国内においてはまさにそういう新しい第4、第5の参入の場合の新規参入促進策としてどういう政策判断を示すかということが関係してくると思っています。
【香城委員長】  よろしゅうございますでしょうか。
 それでは大橋課長、ありがとうございました。どうぞご退席ください。
 次に、議題3に移ります。議題は、「今後の紛争処理の在り方について」です。この件につきましては、事務局から説明をお願いいたします。
【高地上席調査専門官】  それでは、資料3、資料4に基づきまして説明させていただきたいと思います。と言いましても資料4の1章から3章に当たる部分につきましては、前回かなり詳しくご説明申し上げたということもございますので、資料3の概要に沿って、基本的にはご説明させていただきたいと思います。第4章の、今後の委員会の在り方についての考え方を記述した部分につきましては、適宜資料4を参照しながらご説明させていただきたいと思います。
 まず、資料3の1、検討の目的というところでございますけれども、事務局のほうで、これまで検討してまいりました目的でございますが、電気通信市場構造の大きな変化、先ほど来出ているような話でございますけれども、こういったことを背景にしまして、新しい多様性とか複雑性を備えた紛争というものが出てくると。そういう状況の中で、委員会の行っておりますあっせん及び仲裁の意義が一層高まることが想定されるわけでございます。こうした認識に基づきまして、今後発生が想定される新しい紛争について、迅速かつ円滑に対応していくための考え方について検討を行ったわけでございます。
 2といたしまして、想定される市場環境の変化についてまとめてございます。基本的には平成22年ごろまでというのを一つのターゲットにいたしまして、市場環境の変化というものをまとめたわけでございます。
 大きく4つに分かれておりまして、まず(1)IP化の進展の部分でございますけれども、まず1番目に競争状況の多様化というのがございます。IP技術がいろんなサービスとかネットワークの幅広い基盤になりますので、いろいろな事業者の間での連携みたいなものが起こってくると。特に複数のレイヤーを縦断する垂直統合あるいは連携。また、FMC、固定、移動の融合でございますけれども、こういったことを通じましたレイヤー内の水平的な統合や連携というものが出てくると。こうした中で市場支配力の強化を目的として統合や連携が行われるといったような場合には、競争に悪影響を与える可能性もあるということを指摘してございます。
  2)のIPネットワーク間の相互接続ということですけれども、IP技術が広まっていきますので、いろいろな新しい問題が出てきていると。特に信頼性とかセキュリティの確保、あるいはリッチコンテンツの配信サービスみたいなものが出てきておりますので、そういったことを背景としたトラフィック増大への対処。こういった事業者横断的な解決が必要な課題が重要になっていくということを指摘しております。
 それから、3番目でございますけれども、IPへの移行、あるいは携帯電話の普及ということを背景としまして、従来の固定電話のトラフィックが逆に減っているということもございます。
 それから(2)の部分でございます。新規事業者の参入等ということで、例えばということで、携帯電話事業分野、こちらは2事業者による新規参入が決まっております。また、番号ポータビリティの開始というものが予定されております。それから、ただいま説明がございましたMVNOの関係ということで、事業者間の競争の一般的な活性化というものが想定されてございます。そういう中で、新規事業者、既存事業者、あるいはFMCを実現するための固定、移動の連携。また、MVNO、MNOの間ということで、いろいろな形で連携が並行して進んでいくということが想定されるわけでございます。
 次に、2ページ目に移らせていただきます。3番目に、アクセス網の高度化等ということを書いてございます。現在、ブロードバンドの中心がFTTHに代表されるような超高速といわれるようなものに移行しつつある状況でございます。このような状況を考えますと、2010年代初頭ごろまでにはIP化も本格的に進展いたしまして、アクセス網の光ファイバ化というものも相当程度進むと。一方で引き続きメタル回線に依存する利用者も残り、双方が混在するような状況となることが予想されるわけでございます。また、無線アクセス技術の高度化、多様化といったようなこともさらに進展することが予想されるような状況でございます。
 4番目としまして、その他の環境変化ということで、まず1つ目の段落でございますけれども、これも今、説明がございました次世代ネットワークの関係の接続ということで、いろいろなことが課題になってくるという可能性がございます。また、通信のブロードバンド化、放送のデジタル化ということを背景にしまして、いわゆる通信・放送の融合・連携が進むということで、こうした中で電気通信事業者の関係するビジネス領域というものが、コンテンツ市場等、隣接する市場へ拡大していく可能性があるということを記述しております。
 第3章でございますけれども、2で書きましたような環境変化に伴いまして発生が想定される紛争とその対応の方向性というものをまとめてございます。基本的には、この部分では従来からの委員会の在り方を前提とした検討というものを行ったわけでございます。基本的な考え方としては、電気通信事業法において明確化されているような部分につきましては、同法の考え方に従いまして適切に紛争処理を行うと考えております一方で、明確な事前ルールが存在しないようなケースというものも出てくることが想定されるわけでございます。このような場合には、電気通信事業法の趣旨を踏まえながら、関連する諸規範を考慮して総合的に対処することが適切であると考えてございます。その場合、必要な範囲で新たなるルール整備への貢献を行っていくということが望ましいと記述してございます。
 個別の事項でございますけれども、ここも4つほどに分かれてございます。
 (1)、IP化の進展で、先ほど多少ご説明申し上げました競争状況の多様化という部分でございます。市場支配力を有する事業者が関連した排他的な連携、アライアンスというようなものが形成された場合に、公正競争を阻害するというケースが考えられるわけでございます。このようなものの中で、サービスのバンドル化に伴いまして、料金回収代行というようなことを行うと考えた場合に、その強力なアライアンスが関係する取引拒絶等があった場合には、必ずしも解決のための事業法上のルールが明確化されているわけではないために紛争が発生するという可能性も高いわけでございます。こういったものが紛争化した場合には、紛争解決の過程で得られた様々な情報から、例えば競争への悪影響があると判断される場合には、取引条件に関するアライアンス内外の同等性を確保するといったような方向での解決が図られることが望ましいと考えられるわけでございます。
 2つ目の、「次世代ネットワークへの移行」の部分でございます。次世代ネットワークの構築の過程におきまして、新たなネットワークへの接続拒否であるとか、ちょっと3ページにいきますけれども、接続条件が問題になる可能性があると。これも新しいネットワークの話でございますので、事業法による明確な事前ルールが存在しないといったような場合に、紛争発生の蓋然性が高いと考えられますので、そういったものが発生した場合には達成される利便性、競争への悪影響等を考慮いたしまして、市場に及ぼす影響を評価をし、必要であれば取引条件の合理性を確保することが望ましいと考えられるわけでございます。
 3番目の「ISP間の相互接続」でございます。これは例えばISP同士で通常ピアリングとかトランジットと言われるような形の相互接続が行われるわけでございますけれども、ピアリングという無償のサービスから、トランジットというような有償のサービスへ移行してくださいという要請が発生するような場合に、諸外国の例では一方的に接続を拒否する例も出てきたという状況がございますので、こういったような紛争。あるいはセキュリティ確保、信頼性といったようなネットワーク管理上の課題に関する紛争。また、ISPの接続というのはいろいろな事業者が横にどんどんつながっていくような形でございますので、直接の接続協定がない事業者の間で、今申し上げたような例えばネットワーク管理上の課題というようなものが問題になるということもございますので、こういった紛争が発生する可能性がございます。このような場合も、基本的には明確な事前ルールというものがない場合において、紛争発生の蓋然性が高いというわけでございますけれども、トランジット、ピアリング等の実態というものをきちんと把握した上で対応すると。あるいは消費市場や競争に与える影響をきちんと考慮して対応していくということが必要ではないかということを述べております。
 4番目の、PSTNのトラヒック減少というところでございますけれども、近年、PSTNのトラヒックの減少に従いまして、NTT東日本及びNTT西日本の接続料が上昇傾向にあるというような状況でございます。これに合わせて接続相手方の競争事業者も接続料を値上げするというような事例も見受けられるわけでございまして、こういったような状況を背景にした接続協定の細目、例えば接続料を幾らにするかというような部分でございますけれども、こういった細目をめぐる紛争が発生する可能性がございます。こういった解決に当たりましては、接続料決定を実態を踏まえた対応、あるいは接続料上昇が消費市場や競争に与える影響というものを考慮して対処していくことが必要ではないかということを記述しております。
 それから、大きな2つ目の、新規事業への参入等の関係でございますけれども、まず、MVNOとMNO間の接続等ということで、先ほど来説明があったような、いろいろな状況の中で、サービスの競合とか利害が一致しない場合に紛争が発生する可能性があると。円満な紛争解決に向けましては、今これからやっていくというようなご説明がありましたMVNOに関するガイドライン等の事業法上の整理も参考にしつつ、当委員会としましても事業者との情報交換の強化等を進めていくことが必要ではないかと記述しております。
 また2番目に、新規・既存事業者間のローミングということで、今般、新規事業者が入ってくると。そのサービスエリアの拡大の過程で、既存事業者とのローミングということが出てくることも想定されるわけでございますけれども、基本的に両者のサービスが競合するということも考えられるわけで、紛争化するという可能性もございます。紛争解決に向けては利用者利便の確保であるとか、そういったことを考慮しながら、こちらも事業者との情報交換の強化を進めていくということが必要ではないかと考えております。
 それから、大きな3つ目のアクセス網の高度化等の部分でございますけれども、まず1番目に電柱・管路等の公平な利用ということで、今後、競争事業者による光引込線の敷設の進展などが考えられる状況でございますので、電柱等の利用にかかる手続等の公平性をめぐって紛争が起こる可能性があると考えております。紛争解決に向けましては、電柱等の利用実態も踏まえながら、これまで当委員会において解決が図られてまいりましたようなコロケーションに関する紛争というようなことの経験も踏まえて対応するべきではないかというようなことを書いております。
 それから4ページにまいりまして、上の 2)ネットワーク高度化に伴うメタル線の撤去という部分でございます。メタル線から光ファイバへの置きかえが進むという状況が想定されるわけでございますけれども、メタル線撤去の際の情報開示の在り方、あるいは代替サービスの提供の在り方といったものに関しまして、紛争が発生する可能性もあると。こちらは撤去情報の早期開示とか、あるいは円滑な代替サービス提供確保で、ひいては利用者利便の確保といったような観点から紛争化した場合には解決を図るということが重要ではないかと考えております。
 最後、 3)のその他の部分でございますけれども、今後、ネットワークがIP化されていく過程で、いろいろ接続事業者の要望に基づいて、NTT東日本及びNTT西日本のネットワークのソフトウェア等の改修というものが行われるケースもあろうかと考えております。こういった費用負担の在り方をめぐりまして紛争が発生するという可能性もあるのではないかと考えておりまして、そういったものが紛争化した場合には、網改造の要望経緯とか、あるいは網改造による受益の構造等に留意しつつ、費用の案分方法の適切性を確保するという観点から対処することが必要ではないかということが書いてございます。
 最後に、(4)その他といたしまして、こちらの総務省で行われているさまざまな取り組みについてでございますけれども、今、並行して競争ルールの整備がいろいろ行われております。こういった競争ルール整備の動向、あるいは平成15年から総務省が実施しています競争評価というものがございまして、こういった客観的なデータ等に基づいて行われる競争の評価というものの結果を注視しながら、紛争処理に活用していくということが重要ではないかと記述しております。
 4の、今後の電気通信事業紛争処理委員会の在り方についてでございます。本文というか、資料4でいきますと第4章といったあたりになるわけでございます。この4の位置づけでございますけれども、これまでご説明申し上げた今後発生が想定されます紛争及びその紛争への対応の方向性といった記述を踏まえまして、委員会が市場環境の変化に対応できるよう、これまでの活動を検証させていただくとともに、当面の取組の方向性、中長期的な課題等、今後の委員会の在り方についての検討を行ったものでございます。(1)としまして、これまでの委員会の活動評価第1節第1項〜3項関係ということでございます。ページで言いますと、31ページ以降ということになります。概要に書かせていただきましたとおり、これまで紛争の範囲、迅速かつ円満な解決により、公正な競争環境の整備を行う上で重要な役割を果たしていると総括してございます。
 資料4の32ページをちょっとご確認いただければと思うんですけれども、真ん中辺に図表がございまして、あっせん32件、平均処理日数32日間というようなことで、例えば総務大臣による裁定とか、裁判所の司法手続による紛争解決といったことに比べますと、時間費用面での負担は小さいのではないかというような認識でございます。
 また、資料3の4ページに戻らせていただきまして、このほかに相談窓口における相談業務とか、あるいは冊子の作成、ウェブ・サイトを通じた紛争処理事例の情報提供ということで、紛争の未然防止ということも果たしてきているのではないかと考えております。加えまして、勧告による競争ルールの改善というものも行われてきておりまして、この点でも一定の貢献を果たしていると考えています。
 (2)の基本的な方向性という部分でございます。
  1)としまして、新たな課題の解決における委員会の基本的な役割・意義でございます。まず基本的には、中立性、専門性、迅速性を有する紛争処理機関といたしまして、今後とも従来からの諸機能を十分に活用して、効果的な紛争処理活動を行うことが重要という認識でございます。新しい類型の紛争がいろいろ想定されるということを2章及び3章でいろいろ書いてきているわけでございますけれども、こういった新しい類型の紛争につきましても、あっせん等を通じた柔軟で適切な解決策を提示すると。あるいは、必要に応じましてルール整備への勧告ということを行っていくことが重要であると記述しております。
 5ページにまいりまして、 2)留意すべき点でございますけれども、委員会のあっせん等の位置づけでございますが、電気通信事業法に基づくということを踏まえまして、それはその活動を通じまして、電気通信の健全な発展とか、利用者利便向上といった事業法の目的に資するということが重要ではないかという記述をしております。また、紛争処理委員会の紛争解決によります個別の紛争解決の積み重ねというものが、一定の事例を提供していくという面もありますことから、今後ともほかへの影響を視野に入れた透明性の高い紛争処理及び情報公開に努めるということが望ましいという記述をしております。
 (3)今後の電気通信事業紛争処理委員会の在り方の部分でございます。
 まず 1)としまして専門性の向上ということでア、イ、ウに分かれてございますけれども、アといたしまして、定常的な調査研究活動を挙げております。昨今の様々な市場環境の変化に対応したようにいろんな知見を蓄積いたしまして、迅速かつ円滑な紛争処理を行うということで、文献調査あるいはヒアリングとか、そういったことを通じまして定常的に調査研究活動を行うということを書いております。
 それから、イとしまして関係機関や専門家との交流・情報交換という部分でございます。関連する法規範や経済理論等についても幅広く考慮して対応するということを目的に交流とか情報交換を行うというものでございます。
 ウとしまして、関連技術の動向に対応した体制整備ということで、特に次世代ネットワークの整備といったような中で、急速に技術が進歩しているわけでございます。こういったものに適切に対応できますように、技術分野の専門家を十分確保することに配慮していくということが必要ではないかということを書いております。
  2)としまして、委員会利用の利便性の向上等の部分でございます。
 アとしまして、手続き面での事業者の負担への配慮という部分でございます。テレビ会議といったものを利用しまして、地理的に委員会の利用が不便な事業者もその委員会を利用できるような形で、事業者の負担に配慮したさまざまな改善を行うということを書いております。
 イ、周知活動の強化等利用しやすい環境づくりということで、敷居の高さのようなものを感じさせないという配慮も含めまして、環境づくりに努めるということを書いております。
 それから、 3)の競争ルールへの積極的なフィードバックでございます。こちらは今後ともということなんですけれども、個別事案の紛争処理過程で得られた知見、あるいは事業者からの相談とか、上に挙げておりますような調査研究活動を通じて得られた知見を踏まえまして、委員会の考え方を明らかにするといったようなことなど、様々な機会を利用して競争ルールに対するフィードバックを積極的に行うということを書いております。
 最後、6ページにまいりまして、 4)のあっせん及び仲裁の対象範囲の見直しという部分でございます。現在の制度のもとで委員会が取り扱うことのできる範疇には入らない類型の紛争も生じつつあるということでございますので、委員会があっせん及び仲裁の対象として取り扱うことのできる事案の範囲に続いて、以下のような点について検討を行っていくことが考えられるということを書いております。
 例えば、現在どんなものが起きているのかということで申し上げますと、資料4の36ページの脚注の46と打ってあるところをごらんいただければと思うんですけれども、実際にあった問題としましては、電気通信事業者が提供するポータルサイトへのコンテンツ形態、あるいは課金サービス。これは、コンテンツプロバイダによるコンテンツ販売等に係る電気通信事業者による料金回収代行等ということをめぐりまして、事業者とコンテンツプロバイダ間でいろいろな問題があったということがございましたけれども、こういったようなことも踏まえまして、下のアとかイに挙げてありますような見直しを行ってはどうかということでございます。
 アとしましては、電気通信事業者を一方当事者とし、例えば上位レイヤーの事業者、これは電気通信事業者ではないということで、現在は委員会が行いますあっせん及び仲裁等の対象の範囲外でございますけれども、こういったものを他方当事者とするような紛争も取り扱えるようにするという考え方について検討を行っているということでございます。
 イとしましては、業務改善命令とか土地等の利用に関する裁定といったような事業法上の制度につきましては、現在、委員会は総務大臣の諮問機関として機能しております。こういったような事柄につきまして、総務大臣の行政命令権の発動に先立ちまして、当事者にあっせん等の柔軟な紛争解決手段を選択すると。例えば事前に紛争処理委員会があっせんとして取り扱って、両当事者の合意を促すということをできるようにしてはどうかという2点の考え方について挙げさせていただいているわけでございます。
 最後の行でございますけれども、このような検討を行う際には、今後、相談事案の蓄積等によりまして、ニーズを十分に把握、分析するということは当然ながら重要であると。あるいは委員会は、先ほどちょっと書いておりますが、電気通信の健全な発達等に資するための機関であるということを念頭に置きまして、事案の範囲というものにつきまして電気通信との関係性が希薄なものにまで過度に拡大することのないように留意すべきであるということを書いております。
 それから最後、資料4の38ページをごらんいただきたいんですけれども、事務局としましてこの報告を取りまとめる過程でここに挙げておりますような有識者のご助言というものをいただいているわけでございます。
 本取りまとめにつきましては、事務局の検討ペーパーということでございますけれども、ご承認がございましたら事務局の名前で来週早々にでもパブリックコメントといった形で公表させていただきたいと思っております。
 説明は以上でございます。
【香城委員長】  何かご質問、ご意見はございませんか。
 よろしいですか。それでは最後に言及されたパブリックコメントの点ですが、事務局の取りまとめ案としてできておりますので、一応これを、いわばたたき台としてパブリックコメントを進めると。さらに、委員会としてはそこに出てきた意見、それからさらに改革点なんかで少し検討を進めなきゃいけない点が多々出てくるのではないかと思いますが、それは委員会として今後、慎重かつ正確に議論してきたいと思っておりますが、今のパブリックコメントを求める点についてはよろしいでしょうか。
 それでは、そのように取り扱ってください。
 それでは、次に最後の議題4「その他」ということですが、事務局から何かございましたらどうぞ。
【小林上席調査専門官】  次回の委員会の予定でございますが、別途調整の上、ご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【香城委員長】  ほかに何かございますか。
 よろしいですか。
 少し今日は長くなりましたが、これで本日の会議を終了したいと思います。ありがとうございました。

本委員会にて配布された資料をご覧になりたい方は、電気通信紛争処理委員会事務局(電話 03−5253−5686)までお問い合わせ下さい。

事務局へのお問い合わせ・ご意見 リンク・著作権等について 電話事業者相談窓口の概要・連絡先はこちら
Copyright © 2011 Telecommunications Dispute Settlement Commission. All Rights Reserved.