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電気通信事業紛争処理委員会(第76回)議事録

議事概要 議事録 会議資料


【森永委員長】  おはようございます。ただいまから、電気通信事業紛争処理委員会の第76回会議を開催いたします。本年2月14日付で、委員長でございました香城委員が、健康上の理由により退任されましたことに伴いまして、同日付で開催いたしました第74回委員会におきまして委員長に選任されました森永でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、同委員会において、田中委員が委員長代理に選任されております。田中委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【田中委員長代理】  よろしくお願いいたします。
【森永委員長】  本日は委員4名全員が出席しておりますので、定足数を満たしております。特別委員4名にもご出席いただいております。また、本日の会議開催に当たりましては、菅総務大臣、田村副大臣よりごあいさつをいただく予定となっておりましたが、大臣、副大臣とも、残念ながら公務ご多用でございまして、ご臨席いただけなくなりました。大臣、副大臣からは、「本委員会は、発足から5年余りの間、多くの紛争を解決され、今後も信頼される第三者機関として大きな期待を寄せられております。委員、特別委員におかれましては、今後とも、存分にご活躍されることを願います」とのメッセージをちょうだいいたしております。
【小林上席調査専門官】  ここで、森永新委員長に、ごあいさつをちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。
【森永委員長】  では、改めまして、ごあいさつを申し上げたいと思います。
 振り返りますのに、この委員会が設立されましたのが2001年、たしか11月のほんとうに終わりでございました。かれこれ数年間、そしてもう6年目に入っております。2000年というところは、IT基本法が2000年、それに基づいてe-Japan戦略、及びe-Japan戦略II2とか、あるいはu-Japan戦略等々、言ってみれば、日本のIT革命の真っただ中の紛争処理委員会でございました。
 この間、香城前委員長におかれましては、とにかく、あっせんとか仲裁、新しい制度を定着させるためには、電気通信事業者の方々から信頼されることが何よりであるというお考えのもと、常に公正でかつ迅速、そして円滑な紛争処理に、ほんとうに誠心誠意努力されてきたわけでございます。まずは、香城前委員長に対しまして、心からの敬意を申し上げたいと思います。
 さて、今後でございますが、これまでもこの委員会で、いろいろ事務局のほうからご説明もいただいたんでありますが、とにかく、この数年間のおけるネットワークの伸び、それも内容的に、これまでの交換器を中心とした回線交換網から、すべてIPプロトコルを基本とするIPネットワークへの移行がどんどん進められていると。
 それにつれて電気通信サービスのほうも、非常に多様化してきております。今までのように、単なる電気通信事業者間だけの紛争にとどまらず、それ以外の非電気通信事業者の方々も、このネットワークにどんどん参加されてくるであろうと。サービスを展開されてくるであろう。そういう中で起こる、これまでにないいろいろな形の紛争が、これから出てくるのではないか。我々は重々承知しておりますので、その回ごとに勉強もさせていただいてきております。
 それから、ついこの間の委員会では、当面どういうことに重点を置いてやるべきか、4つほどにまとめてやるということも決めております。きょうの18年の年次報告にも出ると思います。
 そういう基本方針にのっとって、誠心誠意、私は私なりに努力をさせていただきたいと思いますので、委員の先生方、特別委員の先生方、そして事務局の皆様方、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【小林上席調査専門官】  ありがとうございました。
【森永委員長】  それでは、議事に入ります前に、委員会の人事、それから事務局の人事異動がございましたので、事務局のほうからお願いいたします。
【小林上席調査専門官】  委員会の人事として、任期満了を迎えられました尾畑裕特別委員には、本年2月16日付で再任いただいております。また、事務局の人事として、3月1日付で、従前の吉田参事官にかわりまして、南参事官が着任いたしております。この機会にごあいさつをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【尾畑特別委員】  3期目の2月16日付で再任をさせていただきました尾畑でございます。微力でございますけれども、精いっぱいやらせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【南参事官】  3月1日付で、事務局の参事官を拝命いたしました南でございます。縁の下の力持ちとして、引き続き事務局で遺漏なきように頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【森永委員長】  ありがとうございました。尾畑特別委員、それから南参事官、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして、議事を進めてまいりますが、本日の会議は議題1「平成18年度年次報告(案)について」から3「その他」までは公開でございます。
 議題4「現在取り扱い中のあっせん事件について」につきましては、あっせんの性格上、現時点では公開できない情報も含まれておりますので、電気通信事業紛争処理委員会運営規則第16条第1項の規定に基づき、非公開で開催いたします。
 したがいまして、傍聴者の皆様には、非公開とする審議が始まる前に退室いただくことになりますので、よろしくお願いいたします。
 議題1では、事務局から説明いただきます。当委員会は、年度終了後1カ月以内に、当該年度の紛争処理の状況について総務大臣に報告することになっておりますので、本日はその案についてご審議いただきます。
 また、議題2におきましては、本国会に提出予定の電波法等改正案の中で、当委員会の事務に関する制度見直しにつきまして、総合通信基盤局から説明いただきます。
 では、議事に入ります。議題1「平成18年度年次報告(案)について」、事務局から説明をお願いいたします。
【小林上席調査専門官】  それでは、配布しております資料1をごらんいただきたいと思います。ただいま委員長からございましたが、当委員会では委員会令第14条の規定に基づきまして、あっせん及び仲裁の状況を総務大臣に対して、年度経過後1カ月以内に報告することになっております。したがいまして、本年度もその審議を賜りたく、まずは事務局におきまして、審議のたたき台として、資料1にございますような「平成18年度年次報告(案)」を作成いたしました。
 まず、資料をおめくりいただきまして、「はじめに」でございます。ここでは、当委員会が設立から5年余の間、電気通信事業者間の紛争を迅速かつ円滑に処理する専門機関として、その専門性を生かして、短期間での紛争解決を目指すとともに、処理した事件の積極的な情報公開により、紛争の発生の未然防止に努めてきていること、また、紛争を円滑に処理するためには、紛争の当事者である電気通信事業者から見て、委員会が信頼のおける機関であることが何よりも重要なことととらえまして、外部に対して積極的な情報の公開を行い、その透明性の確保に努めてきたことを述べまして、この年次報告でも、大臣に対して行う平成18年度における紛争処理の状況に加え、当委員会が実施してきた活動状況全般についても幅広く掲載している旨を記しております。
 次のページに目次がございます。本文は第I1部、第II2部の2部構成になっております。第I1部では、委員会の全般的な活動を概観いたしまして、第II2部では、平成18年度に取り扱った紛争処理の状況を報告する構成にしております。
 そこで、具体的に第I1部でございますが、おめくりいただきまして、まず第1章で委員・特別委員の構成について取りまとめております。
 委員につきましては、委員長でありました香城委員が、本年2月に健康上の理由によりまして退任されて、それに伴い、委員長に森永委員を、委員長代理に田中委員を選任したこと、特別委員につきましては、本年2月に尾畑特別委員が再任されたことを記しております。
 次に4ページ目でございますが、第2章として会議の開催状況を整理しております。表のとおり、第69回から本日の第76回まで、計8回の委員会を開催してまいりました。
 続いて6ページ目の第3章でございます。当面の重点活動ということで、委員会では、総務省が策定した「新競争促進プログラム2010」、事務局において取りまとめました報告書を踏まえまして、第73回委員会において、当面、重点を置いて取り組んでいくべき活動を策定したことを記しております。
 まず、1としまして、昨年6月に公表された通信・放送のあり方に関する政府与党合意において、高度で低廉な情報通信サービスを実現する観点から、ネットワークのオープン化など、必要な公正競争ルールの整備等を図ることとされ、9月にはこれを受けて閣議決定された、いわゆる骨太の方針により、総務省において通信・放送分野の改革に関する工程プログラムが発表されまして、同じ9月に、この工程プログラムの具体的な実施計画に当たる新競争促進プログラムが策定、公表されたわけでございますが、この中で重要な政策課題の1つとして、紛争処理機能の強化が取り上げられまして、具体的な施策、実施計画について示されたことを記しております。
 また、次のページでございますが、2として、事務局において取りまとめた報告書についても触れております。
 そして3として、委員会では「新競争促進プログラム2010」、事務局において取りまとめた報告書を踏まえて、第73回委員会において、当面委員会としてどのような取り組みを行っていくべきか審議いたしまして、1)紛争処理に関係する情報収集等の強化、2)委員会利用の利便性の向上、3)委員会の知見の情報発信の強化、4)制度整備への対応といった当面の重点活動を決定した旨を記しております。
 続きまして9ページ、第4章では、第3章の当面の重点活動にかかわる具体的取り組みということで、紛争処理に関係する情報収集等の強化、委員会利用の利便性の向上の観点から、また委員会の事務に関する制度見直しについて記しております。
 具体的には、紛争処理に関する情報収集の強化としまして、総務省の関係部局から関連事項について説明を受け、意見交換を行ったこと、次年度以降もこういった機会を増やすとともに、外部の専門家を招き、意見交換等の場を拡充していくことを記しております。
 委員会利用の利便性の向上としましては、事業者が容易に相談等の問い合わせを行えるように、昨年6月に相談窓口の名称を「相談窓口」と改称し、専用の電話番号、メールアドレス等を新たに設けたこと、また、昨年10月には、より見やすく、利用しやすくするために、委員会のホームページをリニューアルしたこと、次のページにございますが、関係事業者団体が地方都市で開催する会合に積極的に出向き、周知・広報活動を行ってきたことを記しております。
 そして、委員会の事務に関する制度見直しとしましては、これは本日、議題2としまして、基盤局のほうから説明していただくことになっておりますが、総務省が今国会に法律改正案を提出する予定にしているもので、無線局の新規開設者と既存の免許人の混信防止のための調整を促進するため、当委員会においてあっせん・仲裁を行う制度を内容とするものと、従来から当委員会への諮問事項となっております、電気通信事業者に対する業務改善命令の要件の見直しを内容とするものについて説明を受けたことを記しております。
 以上が第I1部でございます。
 12ページ目からは第II2部といたしまして、紛争等の処理の状況を記しております。第1章の事件処理及び総務大臣への答申、勧告の概況では、紛争等の処理の概況について整理しております。
 平成18年度中には仲裁事件、総務大臣への答申、総務大臣への勧告についてはございませんでしたが、あっせんにつきましては、14件の接続に係る費用負担に関するあっせん申請を昨年8月に受け付けまして、現在も継続して行っている旨を記しております。
 続く第2章につきまして、ただいま申し上げました、あっせん事件14件の処理状況について作成しておりますが、冒頭委員長が申し上げられましたとおり、本日の議題4に当たる非公開部分の内容でありますことから、この年次報告(案)の資料には添付しておりません。この部分につきましては、議題4でご審議いただきたいと存じます。
 それで、報告書の末尾には関係の資料を添付させていただいております。以上、平成18年度年次報告(案)を説明させていただきました。どうぞよろしくご審議をお願いいたします。
【森永委員長】  ありがとうございました。以上でございますが、今のご説明に関しまして、何かご質問、ご意見等ございましたらお願いしたい。どうぞ。
【富沢委員】  メールアドレスとか、特別につくりかえたりしたんですよね。その結果、何か変化とかはあったのかしら。特にありませんですか。言っている意味がわからない?
【小林上席調査専門官】  相談窓口については、当委員会のウェブページを刷新しまして「相談窓口」を開設し、また、先ほども申しましたが、私どもも関係事業者団体が開催する地方での会合に出向きまして、相談窓口の件についても周知しておりますので、若干増えているとは思いますが。
【森永委員長】  よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
 よろしいようでしたら、それでは、この後の手続きについて、ご説明いただけますでしょうか。
【小林上席調査専門官】  この報告書の案文につきましては、委員会にお諮りするのはきょうが初めてでございます。また、まだ3月も終わっていないわけでございますので、年次報告の最終決定は、次回予定しております委員会で、お願いしたいと考えております。
 そこで、まだ意見がございましたら、4月6日金曜日までに事務局のほうにご連絡いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【森永委員長】  ちなみに次回は、4月20日を予定していただきました。ということでございまして、もしご意見等がございましたら、4月6日までにお願いしたいということでございます。それでは、議題1はこれで終わらせていただきます。
 次に、議題2に移ります。この議題は、「電気通信事業紛争処理委員会の事務に関する制度見直しについて」、つまり電波法、それから電気通信事業法の一部改正の件でございます。これにつきましては、総合通信基盤局の藤野高度道路交通システム推進官並びにデータ通信課の大橋課長からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【藤野高度道路交通システム推進官】  総合通信基盤局の藤野でございます。当委員会の創設時にはいろいろご指導をいただきましたけれども、今回基盤局のほうで、私は電波法、電気通信事業法の改正を担当しておりまして、この件についてご説明に伺わせていただいた次第でございます。
 お手元の資料2をごらんいただきたいと思うんですけれども、表紙をめくっていただきまして、今般、電波法、電気通信事業法、それからこのほかに放送法もあるわけでございますけれども、法案を準備しております。今国会、安倍内閣が提出する法案は90本というのを予定しているんですが、まだ88本までしか提出されておりませんで、現在、与党と政府部内でまだ調整が済んでおりませんので、この法案については準備中という段階でございますけれども、電気通信事業紛争処理委員会様の事務にかなりかかわる事項の改正に係るものでございますので、今回、そういった段階でございますけれども、ご説明に伺わせていただいた次第でございます。
 1ページをごらんいただきますと、3点、紛争処理委員会に係る事項の改正について挙げさせていただいております。最初の2つが、あっせんや仲裁の対象の拡大にかかわるもの、それから3つ目が、諮問対象である電気通信事業法の業務改善命令にかかわるものでございます。
 最初の1番のほうでございますが、これが電波法と電気通信事業法の双方の改正にかかわるものでございまして、2つ目が電波法だけ、それから3つ目が電気通信事業法の改正にかかわるものでございます。
 順次ご説明させていただきたいと思いますが、最初の2つにつきまして、両方は、もともと出てきた背景が同じでございますので、まとめてご説明させていただこうかと思います。
 3ページ、めくっていただきたいと思います。今回の制度見直しの背景でございますが、1つに、無線局を開設して電波を利用していただくという制度になっておりますけれども、これは非常に量的に拡大しているというのが背景にございます。
 昭和25年が、これは電波法ができた当時でございますけれども、5,000局余りだった無線局が、昭和60年の電気通信事業への民間参入の開放を契機といたしまして、爆発的に無線局の数が増えている。現在は、1億局を突破しているという状況になっております。
 4ページをごらんいただきたいと思います。このように現在増えてきているという状況だけではなくて、今後も新しいサービス形態というものが出てくるという状況になっております。ここに掲げさせていただいておりますのは、まず、左上のほうでございますけれども、2.5GHzギガヘルツ帯というように専門的な言い方をしておりますが、その電波の周波数帯を使いまして、WiMAX等の方式により、非常に大容量の伝送の情報のやりとりができる広帯域の移動無線アクセスという手段が、間もなく実用化されようとしております。
 それから、左の下側、あるいは右の下側でございますけれども、無線LANのための周波数を拡大したのと、それから100メガ以上に、これを高速で利用できるような規格というものの標準化が進んでおりまして、こういったものがさらに量的に拡大していこう、あるいはものとしても非常に便利なものとして、世の中に出てこようとしております。
 それから、右上のほうでございますけれども、テレビのデジタル化というのをやっておりまして、そうしますと、これまでアナログのテレビ放送で使っていた電波が、端的に言うと、空くような状況になる、そうすると、これを新しい用途に使おうということで、現在、検討が行われています。こういった状況で、さらにどんどん、いろいろな電波の利用形態が出てくるような状況になるということでございます。
 5ページでございます。そういったことを背景といたしまして、昨年から電波の利用の制度について見直す必要があるのではないかという議論がありました。昨年6月20日、政府与党合意というのがございますけれども、ここでの合意に基づきまして、研究会が開催されております。
 そして、その検討結果が一番下のほうでございますけれども、「通信・放送の新展開に対応した電波法政の在り方」ということで報告書が公表され、いろいろな法改正に亘るような制度見直しが提言されたという状況になっております。
 6ページをごらんいただきたいと思います。この報告書についても、別途ごらんいただこうかと思いますけれども、ここにおける大きな問題意識、議論についてご紹介しております。
 1、2と書いてございますが、1、いろいろな新しい技術革新の成果を、市場に投入するような新しいサービス形態が、どんどん出てきているというのが一方である。2でございますけれども、ではあるけれども、周波数の逼迫と言っておりますが、要は、電波がどんどん利用されていっておりますので、込んできている。なかなか空き状況がないという状況が、かなり深刻になってきているということでございます。
 それで黄色の矢印が下のほうに伸びておりますけれども、こういった技術革新の成果として電波を利用するサービスが、さらにどんどん円滑に実用化されるように、電波の利用に係る法制について措置を講じる必要があるのではないかという提言がされたわけでございます。
 具体的な内容についてご紹介させていただこうと思います。冒頭に申し上げましたように、電気通信事業紛争処理委員会の事務に係る事項というのが2点ございます。
 1点目、7ページでございますけれども、無線局の開設等に係るあっせん・仲裁制度を導入しようという提言が行われたところでございます。
 この背景といいますか、どういった状況があるのかということでございますけれども、一番上のほう、青い線で囲ったところをごらんいただきたいと思います。例えば、第3世代の携帯電話新規参入がございましたし、先ほどごらんいただいたようなWiMAX、あるいは高速の無線LAN等々のいろいろな新システムを使った電波利用が、従来から、あるいはこれからも行われていこうとしている。
 ところが、電波が込んでいる状況にありますので、既に電波を使っている方々と調整をしなければ、そういった方々の利用ができないという状況になっております。この調整がすべて円滑に進んでいればいいんですけれども、いろいろ状況を調べてみますと、例えば、1年かかる、2年かかる、あるいは2年半かかるというものもあったようでございます。そういったことで、せっかく新しい技術というのが出てきても、それを新しいサービスに活かしていくということに、時間がかかっているという状況が生じているようでございます。
 それでどうしようかということが、黄色の矢印の線が延びたところでございますけれども、電波法は、基本的には、国がいろいろな電波を利用するという方々に免許を与える、あるいは登録するというのが手続きとして中心になっておりまして、既存の無線局と新しい人の間というのを、特に気にしたような手続きはなかったわけですが、両者を取り持つような、例えばあっせんや仲裁の制度を創設して、これによって混信防止に関する協議というのがあるわけですけれども、これが円滑に進むようになれば、新しいサービスがどんどん出やすくなってくるのではないかという問題意識でございます。
 そこで、あっせん・仲裁制度を創設しようということなんですけれども、その主体につきましては、これまでもそういった電気通信に関する紛争を、いろいろさばいていただいているということで、実績を積んでこられている電気通信事業紛争処理委員会にお願いしようかということでございまして、その対象と、それから、どういったものを考えるのかということを、このたびの法改正で整備していこうと考えたわけでございます。
 真ん中の3つ目の丸というところでございまして、ここがあっせん・仲裁の手続きの対象となる無線局を挙げてございます。
 法律で挙げておりますのは、電気通信業務の用に供する無線局、端的に申しますと、電気通信事業者の方が、電気通信事業のために開設する無線局でございまして、例えば携帯電話の基地局、これは端末もそうでございますけれども、あるいはマイクロ波のための中継用の無線局といったものを想定しているわけでございますが、この制度を創設しようということで検討しておりますと、電気通信事業者以外のいろいろな方々からも、ぜひやっていただきたいという要望がございまして、そういったものも法律を受けた省令で拾っていこうかということで考えているものでございます。
 それが次に掲げておりますもので、まずは電力会社です。電気事業をやっていただいている方々、MCAの方々、それから地方公共団体、都道府県や市町村の方々で、特に防災行政事務のために使っている無線局が、いろいろな調整を行った上で開設しているということでございまして、こういったものを拾っていこうかと考えているところでございます。
 もともと電波法には免許制度というのがございまして、そことのリンケージでございますけれども、こういった調整を行っていただきますと、そうすると、それだけここの分の電波が使えますよということで、免許申請に当たっても資料として出していただこうということで、この紛争が解決した成果が、そのように実際の電波利用に結びつくような形で手続きとして手当てしていこうと考えております。
 具体的に想定される事例というのを7ページの一番下のところに、ちょっと漫画のようなのが描いてございますけれども、ここに掲げさせていただいています。
 左側が現行制度で右側が新制度と書いてございます。これも典型的なパターンなんですが、かなり多くの場合はこういったもので拾えるようなんですけれども、例えば既存基地局のBというのがあると、例えば、既にサービスを行っているPHSの基地局と考えていただきたいと思いますけれども、そこで、近くの周波数帯で新しい携帯電話のシステムを組もうということで基地局を置こうかという場合が考えられるわけですけれども、そうすると、新しい基地局、新しいシステムを置こうと思うと、この電波が既存のPHSの基地局に入ってきてしまう、そうすると、PHSの通信ができなくなってしまうということが考えられるわけです。
 そうすると、現在の制度ですと、周波数はそこは込んでいるからということで、新しい人は免許できませんということになるわけです。つまり、新しい携帯電話のサービスはできませんということになるわけですけれども、右側のほうをごらんいただきますと、新制度と書いてございます、あっせん・仲裁をすること、例えばでございますけれども、既存のPHSの基地局にフィルターなどの措置をして、要するに設備として改造するわけですね、そうすると、余計な電波が入ってこなくなる、これによってPHSのサービスも使えるし、新しい基地局による携帯電話サービスも使える。両方使える。例えば、では、このフィルターについては原因者負担で、新規参入の方に負担していただこうかというふうにすると、両方ハッピーなんじゃないかということです。こういったことができないかということで、今回、考えたものでございます。
 8ページはご参考でございます。無線局の開設手続き、電波法というのは、なかなか一般にわかりやすい法律とあんまり思われておりませんので、全体の概要をちょっとここにご紹介させていただいております。
 もともと昭和25年に電波法ができたときに、免許制ということで、基本的に無線局というのは、総務大臣、当時の電気通信大臣から免許をもらって、電波を利用するという制度になっておりました。
 これには、規制緩和等がございまして、一番右端、免許も何も要らない、手続きが要らないもの、基本的には電波が弱いということですね、コードレス電話なんかがそうなんですけれども、そういったものも使っていただけるというような制度も拡張していっております。
 それから平成9年、包括免許制というのができておりまして、携帯電話の端末が典型的なんですけれども、たくさんのものをまとめて免許するということで使っていただくような制度、それから平成17年、登録制、審査をより簡便にして電波を使っていただくような制度ができております。無線LANやPHSの基地局の小型のものなんかは、ここが対象になっております。
 こういった形で、電波を使っていただくときに、下のほうに表がございますけれども、上から3つ目の欄に「開設審査」というのがございます。これは電波法で書いております、それぞれの免許や登録等を行う場合に、どういった審査がされるかが書いてあります。
 このうちの免許の場合は、3つ目に「周波数の割当可能性」というのがございます。それから4つ目に「無線局の開設の根本的基準への合致」というのがございます。基本的にここの審査に係るものでございまして、既にある無線局の人に何か妨害を与えるということであれば、ここにひっかかって、免許できないということになるわけです。同じように、包括免許の場合にも、「割当可能性」と「根本的基準への合致」という条項がございます。
 それから、登録制のところは、文言としては若干違うんですが、「周波数割当計画への適合性等」というのが2つ目にございます。これが同じような審査を行っておりまして、やはり既存無線局に迷惑をかけるということであれば、ここで登録ができないということになります。
 9ページをごらんいただきたいと思います。見て大分わかりにくい図で恐縮なんですけれども、真ん中のやや左よりのところに、上から下へ矢印が延びていっています。これは電波を利用する場合のいろいろな手続き等について、クロノロジカルオーダーで書いてあるものですけれども、無線局開設を検討して、赤のところですね、事前調整を既存の人とやった上で免許申請をするというパターンになっております。
 その下にいきますけれども、一たん免許がおりた後も、さらにいろいろなことを拡げようという場合には、既存の人との事前調整を行った上で、免許内容の変更の手続きというようなことが行われるわけでございます。
 この赤い部分のところを手当てしていこうというのが、今回の制度改正で考えているものでございまして、右は調整内容と書いてございますが、後でちょっとご紹介しますが、こういったものを調整した上で次に進むということになっております。
 10ページをごらんいただきたいと思います。具体的にどういったことの調整が行われているのかというところで、既存のいろいろな調整を行っていただいた例なんかで、携帯電話の事業者あるいはPHSの事業者というのが、実は非常に多いんですけれども、そこの方々に伺ったりした内容でございます。多くは大体この3つの論点について争われています。
 真ん中のところでございますが、1つ目、「干渉許容レベルについての認識差」、例えば先ほどの例で申し上げますと、これはPHSの妨害がありますよということで、じゃ、どれぐらいのフィルターを入れたら、その干渉のレベルが落ちるかということがあるわけでございます。
 既存の無線局の方は、あんまり妨害が増えないほうがいいわけですね。新しい方からすれば、これぐらいでいいじゃないかという気持ちが結構あったりする。これでPHSが使えなくなるわけじゃないでしょうというので、そこをどこら辺で合致させるかというので、まず調整がある。
 それから、2つ目でございますけれども、どうやってそういった妨害を起こらないようにするかという手段をどういうふうに選ぶか。一番簡単なのは、例えば、新しい人は出力をちょっと落とすとか、アンテナのほうを少しかえるとか、そこら辺にすれば一番いいわけですね。
 けれども、干渉低減フィルターと書いてありますが、要するに既存の無線局のほうで改造を行うというとちょっとお金がかかってくる。さらに周波数変更となると、もっと大がかりなことになってくる。だんだん重くなっていくわけですが、そういった形でどの手段をとるかというのが選ばれる。
 こういった上の2つの事項は、次の3つ目とリンケージしておりまして、3つ目は、要はだれが金を払うのか、あるいはどういう分担でやるのか、そういったところで時間がかかる場合がある。主に相互にリンケージしたこの3つぐらいのところで調整が難航することがあるということでございます。
 11ページはご参考でございますが、調整事項、一番左側のところで、こういったもので調整をすれば、黄色いところなんですけれども、免許状の内容、総務大臣からの指定事項、あるいはそれ以外の事項などがございますけれども、このように影響を与えてくるということを一覧にしたものでございます。要は、調整がうまくいけば、すんなり免許もどんどん出ていくし、そうではないと、こういった条項なんかでひっかかってくる可能性があるということでございます。
 ちょっと長くなりましたけれども、以上が最初の事項についてのご説明でございました。
 次は、これは大分簡単なんですが、2つ目の事項についてご紹介させていただこうと思うんですが、12ページでございます。
 今般の法改正によりまして、無線局の運用者の変更の制度というのを新たに設けようと考えております。これはちょっとわかりにくいんですが、どういったことかと申しますと、現在の電波法、これは昭和25年の当時からそうなんですけれども、あなたが免許人です、あなたが登録人ですとなりますと、その方だけが電波を利用してください、電波法の言い方で言いますと、無線局を運用してくださいというふうになっております。
 ところが、一時的にこの人に貸し出したいとか、あるいはこういった方に請け負って分担してやりたいというふうなニーズになかなかこたえられないということで、ほんとうに何でもかんでも免許人がすべて無線局を運用しなくちゃいけないのか、一部例外もあっていいんじゃないかということで検討したものでございまして、結論から申し上げますと、一定の場合については、免許人や登録人の方が、ほかの人に運用を任せるということができるような制度ができるんじゃないかということでございました。
 制度の概要でございますけれども、(1)でございます。こういった制度を創設するということで、(2)でございますけれども、届け出を行うことでこれをやりましょうということでございます。
 それから(3)でございますが、責任分担をきっちりしましょうということでございまして、実際に借りて使う人というのが、電波法上の運用責任を負う。例えば電波の発射の停止命令というのは総務大臣がやることができますけれども、その場合には、実際の運用者に対して命令が起きるというようになっております。
 じゃ、免許人は何もしなくてもいいのかというとそうではございませんで、内容については省令で定めることにしておりますが、実際の運用者についての監督の責任を負っていただいて、きっちりフォローしていただく。例えば、無線設備について、ただいきなり貸し出されても、免許人じゃない方というのは使い方がわからない。そうすると、下手な混信なんかも起こり得るので、そういったことをちゃんとインストラクトしてくださいといったことをやっていくことを考えております。
 (4)でございまして、今回の制度の対象でございます。2つに分かれておりまして、1つは非常時の通信でございます。地震や台風などが起こった場合に、人命救助、あるいは災害の救援を行う場合に使われる無線局について、例えば市町村の方というのは、そこのシステムというのは独立してつくられておりますので、相互に連絡がなかなかできないようになっておりますけれども、そういった隣の市町村同士やボランティアなんかにも貸し出してできるようにしようというのが1)でございます。
 それから2)が、登録制対象の無線局といっておりますが、例えばPHSの基地局、あるいは無線LANやFWAというブロードバンドです。NTTのBフレッツのサービスなんかにも使われておりますけれども、そういったFWAなどに使われているような無線局の中で、この登録制対象になっているものについては基本的に認めていこうということで、自分のエリア展開や、リセラーに対して運用を任せるといったことができるようにしようということでございます。
 一番最後の(5)でございますが、本件につきましては、省令の手当てで紛争処理委員会様のあっせん・仲裁の対象とするということを検討しようと考えておりまして、法律もまだ調整が終わっていない状況ですので、省令なんかについても、今現在、検討しているという状況でございます。
 ちょっと長くなりましたけれども、最初の2点についてご紹介させていただきました。
【大橋データ通信課長】  続けて、諮問対象の拡大のほうの案件について、ご説明を申し上げたいと思います。私、総合通信基盤局のデータ通信課長をしています大橋でございます。よろしくお願いいたします。
 先ほどご紹介がありましたように、現在、総務省は、法律の改正案をこの国会に提出する準備を進めております。その中に、これからご説明申し上げます電気通信事業法の改正というものが含まれておりまして、その改正の内容といいますのは、現在の電気通信事業法の第29条に定めがあります業務改善命令について、その発動の要件を見直す内容になっております。
 この業務改善命令の発動といいますのは、事業法の160条の委員会への諮問、あるいは161条の聴聞を行わなければならない規定に関係をしておりますので、お手元の資料に基づき、どのような改正を今行おうとしているのかということについての説明をさせていただきたく思います。
 14ページをごらんいただきまして、制度の見直しの背景について少しご説明をさせていただきますと、この電気通信事業法の改正といいますのは、この前の夏から秋にかけて社会的に問題が大きくなりました、我々が近未來通信問題と呼んでおります事案の発生に起因するものでございます。
 近未來通信問題といいますのは、昨年の夏の8月29日にある新聞社が、投資配当が自転車操業ではないかという報道を大きく取り上げ、以来、多くの関心を集めるような事案になった一件でありますが、その内容は、14ページの真ん中にありますように、国内外に設置したIP電話中継局というものを投資家に販売し、当該中継局の利用で得られた電話利用料金から配当を還元するとのふれ込みで、多数の方々から資金を集め、結果的に破綻をしたというような事案であります。
 実際に、結論から申し上げますと、電話利用料金から配当を行うと言っていた部分が、その種の料金からの配当ではなくて、中継局オーナーの名目で集めた資金を、要は還元するような、文字どおり自転車操業であったのではないかというものでございます。
 この事案に関しましては、昨年の8月29日に新聞報道がありまして以降、私どもとしましては、任意のヒアリングによって事業者から状況、背景を聞いておりました。その任意のヒアリングの内容を踏まえて、電気通信事業法166条に基づく報告徴収を10月27日に実施し、さらに1カ月後の11月27日に、今度は立入検査を実施し、その結果を11月30日に公表してございます。
 11月30日に、私どもが結果を公表した後、12月4日に警視庁が一斉捜査に入っておりますので、現在はまだ捜査中という段階であります。そういう意味で、まだ逮捕者等が出ているわけではない事案でございますので、この段階で私どものほうが、実際にどういう事件であったのかということを詳しくご説明することは難しゅうございますけれども、電気通信事業法を所管する立場から、今回の夏から秋にかけた一連の動きを総括してみますに、総務省として、従来の対応について改善の余地があるのではないかということから、15ページ目のような考え方に立った法改正を進めていきたいということで、今法律を準備しているわけでございます。
 今、申し上げましたように、私どもは8月末の段階で、その報道等を見ておりますので、それ以降、任意のヒアリングを実施し、10月になって報告徴収という事業法に基づく手当てに入っていったわけですけれども、この際、我々が、電気通信事業法で授権された権限の範囲の中で、何が行えるのかということをいろいろ検討する過程で、先ほど申し上げたような報告徴収とか、立入検査の実施ということで踏み込んだわけですけれども、実は、報告徴収、立入検査というものは166条に定めがありまして、これは「法律の施行に必要な範囲において」というような限定がついてございます。
 それで、この法律の施行ということにかんがみて、この法律を頭から最後まで洗いますと、電気通信事業法29条の業務改善命令というのがございまして、この業務改善命令の中で、業務改善命令を発動する要件に「利用者の利益を阻害しているとき」という規定がございます。
 この規定に関連して、報告徴収、立入検査を実施したわけですけれども、今申し上げましたように、この事案といいますのは、もともと投資家の方々に対して、虚偽の説明をして資金を集め、その上で、大きな資金を動かして事業を運営していくということになるわけですけれども、現実問題としては、資金の循環という意味で言いますと、必ずしも電気通信サービスの提供に向けられていなかったということでございます。
 その際に利用者側に何がしかの被害があったかといいますと、決してそういう事実はありませんでした。つまり倒産に至るまで、利用者のほうには、ある種、利用の約款に基づくサービス提供は、ちゃんとなされていた状態が続いておりました。そのため、利用者利益阻害ということを根拠にして業務改善命令ということはならないということから、報告徴収あるいは立入検査の実施もなかなか踏み込めなかったということがございました。
 しかし、現実問題として、事業法は、投資家の保護ということを目的としていないとはいえ、ネットワークの構成について、あるいは現実に資金がどういう形で動いているのかについて、事業者から事情をお聞きして、必要であればそれを利用者に対して明らかにしていくということは、この電気通信事業法をもってして行うことが最も現実的な対応だと我々は考えております。
 そこで、今回の対応としては、電気通信事業法の業務改善命令の部分の規定を改めて、利用者の利益を阻害しているときということに加えて、電気通信の健全な発達というような観点を加えることによって、不適切な事業運営を行っている事業者等に対して、適時適切な対処を行えるように改めていきたいというのが、今回の改正の内容でございます。
 最初の話に返りますけれども、この業務改善命令といいますのは、電気通信事業法上、160条に「委員会に諮問した上で」、それから161条に「聴聞を行った上で」という制限、制約が入ってございます。いわゆる行政権限の事後的な発動でありますので、その乱用を未然に防止するという趣旨が、立法府の意図であろうかと思います。
 もし今後このような事態が発生した場合について、かつそれが業務改善命令の発動を要するようなものであれば、当委員会に対して諮問をさせていただき、判断を仰ぐというようなことがあるかもしれませんので、今回の改正の内容等についてご説明をさせていただきたく、本日参上した次第でございます。
 以上、ひとまず、私どものほうの説明とさせていただきたいと思います。
【森永委員長】  ありがとうございました。今のご説明はいかがでしょうか。大きく2つございましたね。あっせん・仲裁の対象の拡大は藤野さんから、今の大橋課長から諮問対象の拡大ということでございますが、委員の方々から何かご質問、ご意見は。どうぞ。
【藤原特別委員】  藤原でございます。2点ほどお尋ねをしたいと思っています。最後の近未來通信の件なんですが、本来2種の事業者としての届出だけであったということですので、いわゆるサービス約款については、当然総務省のほうには何も来ていなかったと思われるんですが、いつの時点で約款等を入手されたのかという事実上の問題と、それから今度の制度で問題があるケースというのは、大体約款を見ればほとんどわかるんじゃないかと僕は思っているんですね。
 ですから、従来は約款は、届出制の前は、全部認可のもとで審査して認めていたわけでしょう。それが届出制にしたことによって約款が全部、役所の事後的審査になったということになっているので、結局、約款が自由になっていることが問題の1つの原因なんじゃないかなと思っていまして、今度の制度では、この新しい諮問案の内容では、約款の入手等はどの段階でできるとお考えでしょうか。よろしくお願いします。
【大橋データ通信課長】  まず、ご指摘の、サービス約款をいつの時点で入手したのか、あるいはその約款を見ればほとんどのことが把握できるのではないかという点でございますが、今回のサービスに関しましては、先ほど申し上げましたように、サービスの利用者と事業者との関係を見ますと、約款に書かれているようなサービス提供条件並びにその提供の実態というものが現に存在しておりました。すなわち、約款違反ということではなく、ために、先ほど申し上げましたように、利用者の利益阻害という点からは本件の問題の本質が浮かび上がってこないという事案でございます。
 むしろ、問題となりましたのは、サービス約款のほうではなくて、投資家がその企業に対して資金を提供し、その資金に基づいて事業運営をしていく側の取引、すなわち、お手元の資料で言いますと、16ページ目のほうに、少し漫画のようなものをかかせていただいておりますけれども、この絵で言いますと、電気通信事業法が関心を持ちますサービスの約款ということに関して言いますれば、真ん中にあります近未來通信が下の絵の左側にあります利用者に対してどういうサービスを提供しているのか、これを契約として両者が取り交わす場合の内容が約款に書かれているということになりますが、今回の事案は、むしろ、この上側の投資家と近未來通信側の部分ですので、約款の中にはそれはあらわれてこないということであります。
 したがって、我々が任意のヒアリング等々で、いろいろ話をお聞きした際にも、約款の中に何が書かれているかというよりは、むしろネットワークの構成が彼らが対外的に説明している内容と一致しているかどうか、あるいはその資金の使われ方がどういう使われ方をしているのかということについて関心を持ち、ヒアリングを行い、その内容等について、必ずしも納得できるようなものではありませんでしたので、報告徴収という形に切りかえて、10月以降、対処させていただいたということになっております。
 今後についても、必要であればといいますか、そのプロセスの一部ではおそらく利用についての約款等の提出を求めていくというようなことはあり得ると思いますが、利用約款だけを見ていて問題がすべて片づくわけでもないと考えておりますので、いずれにしましても、事後の規律の中、報告徴収の段階で、我々として約款の必要が認知できる場合に、当事者に対して約款提出を求めていくという方法が、おそらく今後の手段になっていくだろうと思います。
【藤原特別委員】  すいません、もう1点。
【森永委員長】  どうぞ。
【藤原特別委員】  約款の提出を求める根拠は、今回の改正では、法的手当てはしなくても、当然に、事業法の中の解釈であるということでしょうか。
【大橋データ通信課長】  今回の業務改善命令といいますのは、29条に規定が置かれておりまして、166条には、その法律の施行に必要な限度において、事業に関し報告をさせることができるとあります。したがって、業務改善命令が発動を要するかどうかの判断について、必要な情報を事業者に対して求めていくというための規定が166条でございます。
 したがいまして、今回、我々はこの29条の業務改善命令の中の、利用者の利益阻害というところをあえて根拠としてこの166条の発動をいたしましたが、そこに至るまでは、利用者利益が阻害されているかどうかを確認するため任意のヒアリング等々の手続きを相当踏んだ上で、事業者側からの情報等から、利用者の利益阻害に対して、かなりの程度疑わしい実態というものがあるのではないかということを認識の下で初めて動けたわけですけれども、今回の改正を踏まえれば、もう少し早い段階で、おそらく事業者の方々に必要な情報の提出を求めていくというようなことができるのではないか考えておりますので、ご質問の点については、現状でも、あるいは改正後も、報告の中で今のような約款の提出ということを求めていくことができると考えておりますが、改正後は、よりそれが迅速に行えるようになるという点が変わってくるんだろうと思います。
【藤原特別委員】  わかりました。
【森永委員長】  よろしいですか。ほかの委員の方、いかがでしょうか。どうぞ。
【富沢委員】  すいません、違うことなのかもしれないんですが、頭を整理するために教えてください。平成電電というのがありましたよね。平成電電の場合は、随分紛争処理がありまして、携帯電話料金の決め方とかで、平成電電の意見を尊重するようなことを随分一生懸命やった記憶があるものですから、つぶれてしまって、あれの場合は、たしか資金の集め方か、投資の仕方か何かのほうでつぶれた記憶があるんですけれども、あれもやはり、考えてみればものすごい定額料金をずっとやってきて、無理があったような形もイメージはできたわけなんですね。
 しかし、私たちは、ルールの中でどういうふうに考えるかということで整理したんですけれども、平成電電があっという間につぶれてしまったので、そのおかげで携帯電話の料金の仕組みとかが変わったりしてよかったんですけれども、自分としてはすごく責任を感じているんですね。
 平成電電みたいな場合も、この電気通信の健全な発達というところが今度加わると、範囲に入るものなんでしょうか。あれは、もっとこれとは違って入らないものなんでしょうか。そのレベルがよくわからないんですが。
【大橋データ通信課長】  まず、ご指摘、ご質問の点について一言で申し上げると、入ります。もう少し別の言い方をしますと、今回の改正は、近未來通信を直接の引き金にはしておりますけれども、我々の頭の中には当然平成電電問題というのがありましたので、この種のもの、一連のもの、すなわち、同じ問題以外も、これからいろいろな問題が発生してくると思っておりますから、そういうものに備えたいということが、まず法改正の背景にあります。
 それから、もう1点、これは大事なことだと思っておりますけれども、では、投資家の保護をこの事業法の改正によって手当てをするのかという点に関しては、基本的にはそれは否であると我々は考えています。
 平成電電の事案もあってのことかもしれませんけれども、そもそも投資家の保護に関しては、昨今の特別な、プロフェッショナルな方が投資をするだけではなくて、一般国民が広く、低金利の中いろいろな投資案件にかかわっていかれている状況がある中、いわゆる金融商品というものについて、より国民を保護する立場からの法改正というのが、金融商品取引法の改正等によって手当てをされております。この夏にそれが施行される予定でありますけれども、投資組合をつくって資金を集めるようなものは、文字どおり、この金融商品取引法の規制対象になってまいりますので、そういう意味で言うと、今後同じような問題発生ということが起こりにくくなるだろうという判断もしてございます。
 我々、総務省側のほうの立場に立って、これまでの2件の事案というものを改めて検証、反省していく中で、例えば、電気通信の事業の規律という観点で、私たちが平成電電問題をとらまえますときには、いわゆる競争の促進という観点で新規参入してきた事業者が、例えばNTT等の既存の事業者と公正、対等に競争していくための環境をつくるという観点から申し上げれば、これは私の個人的な意見かもしれませんけれども、必ずしも平成電電が特別に安い料金を提示してむちゃなことをしていたというふうには考えておりません。むしろ、平成電電の事業がうまく立ち行かなくなった1つの要因は、彼らのサービスの内容が、必ずしも一般国民から広く受け入れられるほどには差別的ではなかったということが原因であったかもしれません。
 そういう面で、事業の計画なり、あるいは見通しということが、事業者として、必ずしも所期に考えていたようなものではなく、そのために事業が破綻したというのが問題の本質なのであれば、そのこと自体はおそらくこれからも起きる問題だろうと思いますし、またそのこと自体は、ある意味、やむを得ない部分が出てくるだろうと思います。そのために、事業法は利用者の保護という観点から、しっかりとした手当てを打っていかなければならないと思っていますし、このようなことが1つの引き金になって競争ということに対して何がしか行政サイドが憶することがあってもならないと思っています。一方で、投資家側の資金の集め方とか、あるいは投資家の保護ということに関しては、これはかねては必ずしも十分なものではなかった中、先ほど申し上げたように金融商品取引法の改正等々がなされていますので、おそらく近未來通信を含めて、今後同じような事件ということは起きてこないようになるのではないかと考えております。
 そういう面で、近未來とか、あるいはその前の平成電電事案といいますのは、電気通信事業分野で起きていますから、今回のように、我々総務省も大いに関心を持ち、事業法としてできることをやろうという改正になるわけですけれども、実は、同様の詐欺事件というのは、今回のような平成電電のみならず、いろいろな商品、サービスで多数発生していますので、こういうものは業種横断的に対処する必要がやはり必要であろうと思います。
 そういう改正が現になされていると考えていますので、そういう面では金融庁のほうの法案、あるいは我々のほうの法案、それが成立した後の施行の連携ということをしっかりととっていくことによって、対処していくべきと考えております。ご質問の点、つまり平成電電は関係あるのかという点は大いに関係はありますが、近未來の問題の本質、すなわち、投資家の保護ということを事業法としてなし得るものではありませんが、事業法として情報の公開等々でなし得る部分があると思うので、その部分については積極的に対処していくことによって、類似の問題発生には対処していくつもりがあるとご説明をさせていただきたいと思います。
【富沢委員】  すいません、そうすると、仮に、近未來や平成電電みたいなところが、資金の集め方でおかしなことをやっているなという情報がどこかから入ってきて、それで意見も聞いて、業務改善命令をするとしても、業務改善命令を紛争処理委員がやる場合には、例えば変な差別的な料金とかをやっていれば文句が言えるわけですけれども、改善させられるわけですけれども、そういう違うところでの改善というのは命令できないわけですよね。それは、そうすると、これからもネットワークをきちんと持続的に発展させるだけのことはやってくださいねということぐらいしか言えないんでしょうか。
 その改善というところが、ヒアリングをして、より明らかにするとか、注意を喚起するということはできるんですけれども、この業務改善命令というのが何をするのかがちょっとよくわからないので教えていただけますか。
【大橋データ通信課長】  私たちが今回の法改正で、この業務改善命令の要件の見直しをする際に、一番実効ある方法として、業務改善命令そのものに期待しているかというと、実は、業務改善命令の要件を改正することによる報告徴収あるいは立入検査と、法律には書いていませんけれども、行政の責任における情報公表ということが、おそらく実行ある、あるいは迅速な対処方法になるだろうと思っています。
 今回の近未來問題に関しましても、業務改善命令の発動はいたしておりませんが、立入検査後、速やかにその情報を公開することによって、いわゆる二次被害を防ぐ、あるいは警察側の対応を促すというようなことが可能になってくるんだろうと思っていますので、まずそういう意味で、業務改善命令にもし至ることがあるとすると、それはかなり根の深いといいますか、なかなかにしぶとい案件、事案なんだろうと思います。
 逆に言いますと、そういう事案に関しては業務改善命令によって対処していかなければならないということになりますので、まさに諮問の際には、その発動が適法なものであるかどうかということをご審議いただくことになるかと思いますが、近未來問題もそうですけれども、我々が立入検査あるいは報告徴収によって明らかにしていくことは、彼らが対外的に説明してきた内容、例えば投資家から資金を集めて、それでもうけて、それを還元するんですと言っているとすれば、その内容がほんとうに正しいかどうか。
 今回の事案に関して言いますと、例えば、お手元の資料の17ページ目のほうに、我々が報告徴収をし、立入検査をした結果について公表した内容が書いてありますが、ここには当然ながら、この事件が詐欺であるということは一切書いておりません。ただ、左側の真ん中にありますように、彼らはサーバーを投資家に投資をしてもらって、それを運用して、その利益を皆さんに還元しますよとうたっていた事実があったわけですけれども、我々はその事実に対して、例えば2,466台のサーバーを彼らは保有しているけれども、そのうち7台しか動いていないという事実、あるいは、資金的に言いますと、売上高181億円を上げているうちの、3億円程度しか電気通信事業収入がないという事実を報告徴収並びに立入検査によって明らかにしております。これは彼らが対外的に説明している内容と違う内容ですので、公表しても問題ないという判断でこういうことをしてきています。
 このことが、結果として何をもたらすかという点は、利用者の利益阻害は、もしかすると直接的には導き出されないかもしれませんけれども、結果においてIP電話というものに対する不信であるとか、あるいはベンチャー系の事業者に対しての資金循環がなかなかうまくいかなくなるとか、そういう電気通信事業全体に対して極めて悪影響を及ぼす事案でありますから、我々自身は、このような事実をもって業務改善命令の発動は正当なものたり得ると思っています。改善命令の内容等については、例えば、要はうその説明をしちゃならんとか、あるいはネットワーク構成等々について何がしかを是正しなさいというような業務改善命令になり得るのではないか、つまり、詐欺をやめなさいというような話には多分ならないだろう。それは別の法律がちゃんと手当てを打てたところだろうと考えております。
 したがって、今申し上げたような内容について、諮問させていただいたときに、その改善内容について適当かどうかということの判断をいただくということになるかと思います。
【森永委員長】  よろしいですか。ほか。どうぞ。
【吉岡委員】  前半のお話に対する質問が1点あるんですけれども、この無線局の開設等にかかわる紛争についてあっせん・仲裁制度を当委員会で担当するということなんですが、あっせん・仲裁をする場合の基本的な理念というか考え方なんですけれども、電気通信事業法の場合は、公正な競争の促進ということで、私たちがあっせん・仲裁する場合もそれを根本的な理念においてやってきたと思うんですけれども、今、ちょっと拝見していますと、電波法のほうでは必ずしも公正な競争の促進ということを基本的な目的に入れていませんし、さっきのご説明でも、もう既に1億以上の無線局があるということの中で、新規参入の局を、ただ公正な競争の促進のためにどんどん入れていくということが、果たして妥当なのかどうかという問題もあると思いますので、やはりそこの、あっせん・仲裁をする場合の基本的な考え方が、無線局の場合は違うのかなという印象を持ったもので、その点をお尋ねしたいんですが。
【藤野高度道路交通システム推進官】  電波法における電波利用についての基本的な考え方というのは、電波法の第1条の目的の条項にもございますけれども、公平かつ能率的な利用。こういった新しい方々にも、いろいろな形態で入っていただいてやっていくということで、今回の制度を設けた趣旨も、この能率的な利用を促そうというところを考えたわけでございます。
 具体的には、じゃ、どういった形だと能率的なのか、あるいは新しい人がどういうふうな、例えば技術的な条件であれば入っていいのかというのが、例えば新しいシステムなんかを導入するときの検討というのは、情報通信審議会の情報通信技術分科会というところで行っておりますけれども、そこで一定の考え方を提示して、基本的な部分は、省令の技術基準なんかのつくり方になりますけれども、そういった制度で落としていくという形になっておりますので、まず基本的な理念としては、能率的な利用、それからその中でどういった条件を守って電波を使っていただくかというのは、そういった意味での細則で考えていただくのかなというのが1つ。
 あとは、具体的にこういった紛争事案が生じた場合、どういった考え方、あるいはどういった情報で手当てをしていくのかというのは、今回の法改正に合わせまして、いろいろな省令なんかで手当てを行っていこうと思っておりまして、その中で、ある種、あいまいになっているのは、きっちり制度化するとかいったことで、整理を図っていこうかと考えているところでございます。
 無線局に関するさまざまな情報というのは、現在でも新しく開設しようとする方々が総務省に対して、現在、ここはどういう状況になっているのかという情報を求めることができるようになっておりまして、これは電波法の25条に規定がございますけれども、そういったところを紛争処理委員会の手続きでも活用していただいて、委員会に対しても総務大臣が情報を提供できるような形に整備するといったことも検討していきたいと考えているところでございます。
【森永委員長】  よろしいですか。
【吉岡委員】  はい。
【森永委員長】  ほかに。どうぞ。
【樋口特別委員】  先ほどの法改正に伴う問題でご質問したいんですけれども、今回の近未來通信の場合は、新聞報道などがあって、それから報告書徴収、提出、立入検査ということでございますね。それで、新たな観点を加えて、もう少しこういう報告書の提出だとか調査とか業務改善命令だとか、そういうのを出しやすくするということになると思うんですが、いわゆるその端緒ですね。そういう報告書の提出などを求める場合の端緒を、例えば新たな基準のようなものを設けておられるのかどうか、あるいは、こういうものがあったら手続きに入るとか、そういうことをやられるのか。もしそういうのがないとすると、従前と同じように新聞報道があってからということになると、前と同じじゃないかということになりかねないので、そこら辺のところをちょっとお教えいただきたいと思いますが。
【大橋データ通信課長】  ご指摘の点は、実は私どものほうも、これからどういう運用をしていくのかということを考える際に、まだ必ずしも成案を持っているわけではございません。と申しますのは、現行の事業法といいますのは、原則、参入は自由ということにしております。
 1万4,000事業者の方々に届出をいただいておりますけれども、これは基本的には通信の秘密を確保していくために、だれが通信事業者たるかということを知っておく必要があるという程度の、いわゆる我々が届出を受ける際に、内容について審査をしない内容になっておりますので、1つにはもちろん電気通信事業法を改正して、この種のものを許可などに改めていくことができれば、1つの解決方法にはなると思いますが、このようなことをすると参入そのものが、当然ながら障壁を設けることになりますので、ダイナミックな市場の発展等々に対して障害が大き過ぎる。したがって現行の届出制度そのものを改めるべきではないと我々は考えています。
 そういう中にあって、では、何がなし得るのかということを、事後規制の中で対処していくとなりますと、おっしゃるように、いつどういうものを対処としてこの種の問題解決に向けた行政側の動きが行い得るのかという点ですが、1つには、もちろん新聞報道等々を今まで以上にチェックをしていくということになるわけですけれども、それ以外に、実は、1万4,000近い届出事業者に関して言いますと、各地方の総合通信局が年に一度、その届出内容に変更があるかないかというようなことについて確認をしたりとか、あるいは地方の局に対してのさまざまな苦情の受付窓口が置かれていたりとか、そういう面の一応の情報チャンネルというものを、我々は持っております。
 したがって、おそらく私たちの課題の1つは、単に新聞報道等を受けて動き始めるということではなくて、常にそういう情報アンテナというものを鋭敏、敏感にする工夫ということが現実的な対処方針になっていくのかと考えています。
 これまで事業法に関して言いますと、届出事業者等の実態というのは、実は我々は十分に把握しきれていない部分があるわけですけれども、その実態把握ということについてもう少し注力をしていく。あるいは総合通信基盤局側の情報チャンネルということについて、もっと感度を高めていくために、要員をどう配置していくのかとか、マニュアルとして何を設けていくかとか、そういう工夫を今打とうとしている段階ですので、ご指摘の点について、今までと基本的に構造は変わらないわけですけれども、今までよりも少しでも早くに情報把握をして、少しでも早くこういうのを機動することによって二次被害が小さくなっていくと思いますので、そういう方向で当面は取り組んでいくということにしてまいりたい。
 報告書類等々について、今まで必要がなかったものを新たに求めていくというような制度化ということについては当面は考えていないということでございます。
【森永委員長】  じゃあ、どうぞ。
【和久井特別委員】  もうご検討済みだと思いますけれども、よくご存じだと思いますが、情報提供といいますか、ちょっと気がついたことといいますか、この問題、投資家のほうについては、あちらのほうの制度整備で手当てがなされるから大丈夫になってくるだろうということで、それ以外に、これに類似するような問題としてどういう問題が考えられるかなと、具体的に考えましたときに、まず一番に思いつきますのは、マルチ商法とかフランチャイズの形態をとって、不当な表示をして勧誘してといういうタイプの問題群が思い浮かぶんです。
 これについては、独占禁止法19条の不公正な取引方法の不当な欺瞞的顧客誘引とか、不当な利益による云々かんぬんというほうで対処はしているんですけれども、難しい問題で、利用者でもないし、競争事業者でもないし、中間的な性格のものなので、独禁法のほうでも苦労はしながらなんですけれども、ただ、フランチャイズの問題とかマルチ商法の問題では、一定の対処をしてきてガイドライン等も出してきていて、やはりガイドラインとか、そうしたものが出されると、こういう場合にはここに行ったらいいのかということがわかりやすくなるのではないかと思いましたので、もしかしたら参考になるようなものが、公正取引委員会にあるかもしれないし、樋口先生がおっしゃった指針のようなものを整備されていくことも、私としてはいいのではないかなという感想を持ちました。感想だけですけれども、失礼いたしました。以上です。
【森永委員長】  どうぞ。
【藤原特別委員】  すいません、最後に、先ほどの端緒のところなんですが、一つ提案を申し上げたいと思っています。私の知る限り、現在ソフトバンクの携帯サービスの約款について、消費者センターに相当苦情が出ているということでございます。これについては、どうも新しい約款がわかりにくいとか、内容が説明と非常に違うとか、その種の紛争のように聞いています。具体的にものを見たわけじゃないんで、そういう消費者相談センターと窓口を持つということは、逆に大変なことですけれども、一つお考えになったほうがいいのではないかと。
 この手の問題はやはり最初にそこに行きますから、そのときに消費者相談センターの委員の人が、ほとんど安い給料でやっているわけですけれども、約款の解釈とかについて知識がないわけですね。そうすると聞かなきゃいけないということになって、やはり総務省に窓口がないと、そういうものは上の組織に上げていっても、最後・・・・・・、上の組織にいけば多分弁護士が出てくるかもしれませんけれども、専門的なアドバイスは非常になかなか難しいだろうと思います。
 だから、もちろん簡単に窓口を開くと膨大な苦情が来て、また皆さんの業務が立ち行かないということもあり得ますが、お考えいただくことはあっていいのではないかと思いましたので申し上げます。以上です。
【大橋データ通信課長】  ありがとうございます。今のご指摘、2点について、少し私どもの今の現状をご説明しておきますと、まずマルチ商法については、むしろ、今回の事件の本質は、マルチ商法的なところに実は根があるんだろうと思っておりますが、マルチ商法を取り締まっておりますのは、特定商品取引法という別の法律があり、それからまさにおっしゃったような公正取引委員会側の法令があり、その中にあっても、どうも現状のこの事件そのものは取り締まれないような状況にあるようでございます。
 そういう面で言いますと、まだ施行されておりませんけれども、金融商品取引法みたいなものとか、事業法のちょうど真ん中にすとんと落ちてしまっているような事件でありますから、それぞれが何をなし得るかということで、今、政府内全体としては、それをカバーすべく動き始めているということであります。
 ご指摘のように、これはいろいろな法令が関係してくるものですから、政府の中では横の連携、連絡ということをしっかりとっていく必要があるだろうということで、いろいろな対応を打とうとしておりまして、今、ご指摘をいただいたような消費者センターとの連携といいますのは、もともと一番最初、ユーザーのところが最初に、法令がどうかということを置いて、何がしかの事件なり、あるいは問題なりということで駆け込む相手として、やはり我々の苦情センターもあるんですけれども、一方の消費者センターもありますので、ここの連携をもっとしっかりとっていこうということで、これも体制、工夫をどうするかということを今、議論しておりますので、ご指摘の点を踏まえて、ちゃんと対処してまいりたいと思っております。
【森永委員長】  どうぞ。
【富沢委員】  すいません。無線局のほうの紛争なんですけれども、今現在、本省のほうで受けているのか、それぞれの電監みたいなところで受けているのかわからないんですが、大体どれぐらいの数が紛争になっているのかというのを教えていただけますか。
【藤野高度道路交通システム推進官】  これまで、こういった無線局間の調整をフォローするような制度自体はなく、今回初めて創設しますので、事実において、このようにお互いに調整している間に入ってくれというので、何の法的位置づけなく、ただ出かけていったというのはあるんですけれども、具体的に本省あるいは地方局で対応するというようなメカニズムとしては今まではなかったわけです。
 ただ、こういった問題があると、新サービスを展開していこうと思っても、なかなかできないような状況があるという話は、いろいろなところで挙げられておりまして、今回の制度整備に当たって改めていろいろ聞いてみたところ、今回の制度でフォローする範囲、全部はちょっと調べきれていないんですが、例えば、携帯電話、それからPHSの分野ですと、昨年の1年間で見たところ、何がしかの事業者間で取り決めをするに至ったものだけに絞っても9件ある。
 この9件という意味は、あんまり名前を出してはあれですけれども、仮想的な事例あれとして聞いていただければと思うんですが、例えばNTTドコモとKDDIでやりとりをした、そこで、お互いの無線局をこういうふうにしましょうということを包括的に取り決めをしたというのを1件と数えておりますので、個別の無線局の数に落としますと、相当な数になると思います。
 そういった9件の取り決めをするのに、先ほど申し上げたように、例えば1年かかったり、2年かかったりしているということでございまして、実際にはそこで取り決めをした後、また各無線局間の具体的な調整というのがあるようでございまして、一応取り決めた内容に則して、じゃあ、具体的に、例えば丸の内のここの基地局はどうしようといったことをまた個別にやるということがまた続いていくというような状況になります。
【森永委員長】  よろしいでしょうか。確かに無線局開設について、調整は今までされておったけれども、調整が難航して、それが紛争になって、それがうちへもし持ち込まれたとしたら、今までですよ、これは電気通信事業者間の紛争という意味では、この委員会で扱う事案になるんですね。
【藤野高度道路交通システム推進官】  今回やろうと考えておりますのは、電気通信事業法で設置された紛争処理委員会なんですけれども、電波法にかかわるものも扱っていただけるようにしようということでございまして、一番典型例は、ご案内のように電気通信事業者間の問題なんですけれども、例えば、電力会社とどこかの地方公共団体、かなりこれも近い周波数を使っているので、調整なんかをやっているようですけれども、そういったものについても扱っていただけるようにしようということでございます。
【森永委員長】  それは新しいところだと思いますけれども、AとBという無線局があって両方とも電気通信事業者で、無線通信サービスをしている。その紛争は、今まではなかったですけれども、あったとしたらどういうふうになりますか。
【副島紛争処理調査官】  現行の法制度で、今、先生方に取り扱っていただいている紛争処理委員会の所掌事務の中では、今回想定しておりますような電気通信事業者と電気通信事業者がいて、無線局を開設するときの前の人と後の人の混信の問題、これは直接には、現行の紛争処理委員会のあっせん・仲裁の対象に基本的には含まれないだろうと思います。
【森永委員長】  2つとも電気通信事業者であるけれども。それはどういう意味で含まれないんですか。
【副島紛争処理調査官】  ですから、基本的には、電気通信事業者間の接続なわけです。ですから、携帯電話と、平成電電の問題だとか、一部に無線のシステムがかかわってくることはありますけれども、直接今読み込むのは難しいだろうと思います。
 つまり、これは接続の問題じゃなくて、既存の無線局免許人、無線局と、新しく開設しようという無線局が出てきたときに、電波の混信が生じる。これを技術的に混信を起こさないようにフィルターを入れようという話ですので、これは直接は接続ではないわけです。もちろん紛争処理委員会の所掌事務というんですか、あっせんの対象には接続以外にも電気通信役務を円滑に提供するために、それ以外でも事業者間で契約を結ぶことというのがあるんですけれども、今回の法律案件は直接には、現状では読み込めないものになっております。
【森永委員長】  どうぞ。
【藤野高度道路交通システム推進官】  これまで電気通信事業法で扱っていただいているときには、例えば、ドコモが自分のサービスをしようというときに、ほかの人の設備を使いましょうかとか、で、そこで接続が起こったり、卸役務提供とか起こるんですけれども、今回の無線局間の調整というのは、ドコモはドコモの設備だけでサービスをやるんです、KDDIもKDDIだけでやって、ただ、自分の設備を使うときに、よそに妨害を与えたり、よそから妨害を与えられることをなくそうといった形ですので、ある種そういう意味では、これまでの考え方と大分根本は違うところがあるということです。
【森永委員長】  それじゃ、よろしゅうございますか。今までにない非常に大事な案件でございましたので、時間を随分多くとってしまいました。藤野推進官、それから大橋課長さんには改めてお礼を申し上げます。どうもほんとうにありがとうございました。どうぞご退席くださいませ。
 では次に、議題3でございます。「その他」ということですが、事務局から何かございましたら。
【小林上席調査専門官】  既にご連絡しておりますが、次回委員会につきましては、4月20日金曜日午前10時から開催を予定しております。出席方よろしくお願いしたいと思います。
【森永委員長】  ありがとうございました。

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