日本私立学校振興・共済事業団の財務調査結果の概要


通知日:平成12年1月27日
通知先:文部省

財務の構造

 事業の概要
 
(1)  事業団は、日本私学振興財団と私立学校教職員共済組合を統合し設立(平成10.1.1)
(2)  助成業務として、学校法人等に対する貸付事業、私立大学等に対する補助金交付事業等を実施
(3)  共済業務として、長期給付事業、短期給付事業、宿泊事業等を実施
 財務の概要
 
(1)  助成業務の資産総額は7,257億円 → 99%が貸付金、主な財源は財投借入金等と政府出資金
(2)  共済業務の資産総額は3兆3,168億円 → 加入者等からの掛金、補助金、運用収入等により形成

事業内容とその課題

 長期給付事業

 
 責任準備金に対する保有資産の積立て不足が拡大 ← 運用利回りが予定利率を下回って推移
 財政再計算で掛金率を見直すスキーム → それまでの欠損又は剰余は加入者負担の増減に反映
 
(1)  責任準備金は将来の給付に備えて積み立てておくべき額 → 予定利率(5.5%)を基礎として積算
(2)  保有資産と責任準備金との差額が、会計上、剰余又は欠損として計上
  保有資産>責任準備金 → 剰余
  保有資産<責任準備金 → 欠損
 
(3)  H6以降、責任準備金に対する保有資産の積立て不足が発生=累積欠損の発生(H8末 ▲712億円)
 
 
運用利回りが低下し予定利率を下回って推移
H4 5.69% → H8 4.03%
   (運用方法によって利回りに差 H8資産残高上位5位 = 4.97%〜2.25%)
(4)  累積欠損は財政再計算により解消
  →欠損額は、その分掛金率を引き上げる要因=加入者負担の増大
 
 (逆に、剰余額は、その分掛金率を引き下げる要因=加入者負担の軽減)
保有資産と責任準備金の推移
予定利率と保有資産の運用利回りの推移
ポイント
 適切な予定利率の下、資産運用の一層の効率化を図っていくことが課題
   
 宿泊施設
 
 事業の収支は悪化傾向にあり、累積欠損も拡大
 民間と比べ、客室利用率は高めであるが、収支率は悪く、人件費率や減価償却費率は高い
 
(1)  加入者等に対する福祉事業の一環として、会館(8)、宿泊所(8)、保養所(8)を設置・運営
これら施設の運営経費は営業収益と保健経理からの繰入金(福祉事業に充当するための掛金の一部)を充当
 
(2)  事業の収支は悪化傾向で、累積欠損も拡大
   
(3)
 民間の経営指標との比較(保健経理からの繰入金を除く)
客室利用率は民間より高い ←→ 収支率は民間より悪い
 
  H8
会館
76%
H8
 会館
106%  
   
民間
70%
   
 民間
99%  
人件費率・減価償却費率(対営業収益) 民間より高い

[H7.2.24閣議決定]
民間と競合する会館、宿泊施設等の新設抑制
運営の民間委託等経営の効率化
宿泊事業の損益の推移
 
ポイント
 宿泊事業の収支の改善のためには、施設の改修費や人件費の抑制を図ることが課題