1. | 埋設管の腐食が原因のガス事故は、平成8年から12年までの5年間に調査した一般ガス事業者及び簡易ガス事業者(以下「都市ガス事業者」という。)において、103件発生し、このうち事業者資産に係る事故が28件(27.2パーセント)となっているが、調査した液化石油ガス販売事業者(以下「液石事業者」という。)においては発生していない。
埋設されてから相当年数経過した亜鉛メッキ鋼管等(以下「経年埋設管」という。)は、埋設環境によっては腐食等のおそれがあることから、都市ガス事業については、事業者資産である経年埋設管を対象として交換を進めていく方針の下、都市ガス事業者団体等が平成32年(2020年)を目途にポリエチレン管等の耐食性の優れた管への交換等を進めていくこととしている。一方、液石事業については、経済産業省は液石事業者に対し学校、病院、集合住宅等を対象とした経年埋設管の実態把握及び腐食測定のための点検調査を行った結果、不合格となった経年埋設管から順次交換等を進めていくこととしており、事業者団体を通じ、平成12年5月から点検調査を行わせている段階にある。
i ) | 都市ガス事業者について、経年埋設管対策の実施状況をみると、抽出した70都市ガス事業者の中には、経年埋設管の位置、延長、本数等を具体的に把握していないもの(一般ガス2事業者)、経年埋設管の本数等を把握しているが、交換計画を作成していないもの(一般ガス4事業者、簡易ガス21事業者)、経年埋設管の交換計画を作成しているものの実施が遅れているもの(一般ガス3事業者、簡易ガス1事業者)があるなど、経年埋設管対策が必ずしも進んでいないものがみられた。 |
ii ) | 液石事業者について、経年埋設管対策の実施状況をみると、抽出した32液石事業者の中には、経年埋設管の腐食測定を行っていないもの(10事業者)や腐食測定検査を行った結果、不合格となっているが、ガス漏れがないとして改善等に着手していないもの(2事業者)があるなど、経年埋設管対策が必ずしも進んでいないものがみられた。 |
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2. | 都市ガス事業者は、ガス事業法に基づき、ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定め、事業開始前に経済産業大臣又は経済産業局長に届け出なければならないとされている。
都市ガス事業者の保安業務についてみると、調査した83都市ガス事業者の中には、保安規程に記載されている組織名・技術者名が現状と異なっているもの、ガス主任技術者の代行者を指名していないもの、ガス工作物の定期的な検査を励行していないもの等保安対策を適正に実施していない事業者(一般ガス4事業者、簡易ガス17事業者)がみられた。
また、大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)に基づく地震防災強化対策地域内の都市ガス事業者の中には、保安規程において定めるものとされている「地震予知情報及び警戒宣言の伝達に関すること等」に関する記載をしていないもの(地震防災強化対策地域の抽出簡易ガス6事業者のうち5事業者)がみられた。 |
3. | ガス事業者等の行う業務の適正化を図るため、ガス事業法に基づき、経済産業大臣又は経済産業局長は、毎年、一般ガス事業者の事業の監査を行わなければならず、また、都市ガス事業者の営業所、事業所等に立入検査を行うことができるとされている。また、液石法に基づき、経済産業大臣、経済産業局長及び都道府県知事は、液石事業者又は保安機関の事務所等に立入検査を行うことができるとされている。
立入検査結果に基づく指摘事項が未改善となっているガス事業者について、経済産業局の指導状況をみると、指摘事項については、多くの経済産業局では、文書による指導を行っている中で、口頭のみによる指導にとどまっているもの(液石事業者:2局)、また、改善の報告を求めておらず改善状況の確認がなされていないもの(液石事業者:1局)、改善の報告を求めているが、改善状況を確認する資料の添付を必ずしも求めていないもの(簡易ガス事業者:3局、液石事業者:3局)がみられた。 |
4. | 簡易ガス事業者が行う「ガス事故年報」等3報告については、毎年、経済産業大臣又は経済産業局長に報告することとされており、それぞれの報告様式は、各様式ごと、各供給地点群ごとに別葉で報告することとされているため、例えば、全く該当がない場合であっても毎年十数枚のゼロ件報告を行うことが必要となっており、事務の軽減を図る観点から報告の方法を合理化する余地があるとみられる。 |