(1) |
調達契約における競争性の確保
(制度の概要等)
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[中央調達] |
:調本が調達 (艦船・航空機等の主要なもの、大量に購入するもの等) |
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[地方調達] |
:各自衛隊の部隊等が現地で調達 (食料、修理部品等) |
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中央調達の実績(平成9年度): |
件数 9,880件 |
金額 1兆3,200 億円 |
うち随意契約 |
件数 3,450件(35.0%)、 |
金額 1兆1,277 億円(85.5%) |
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(調査結果の概要)
○ |
調査した一般競争契約88件のうち52件(6割)が1社応札
この中には、仕様で特定製品名を例示しているため特定の企業の製品を指定しているとの誤解を与える可能性のあるもの等がみられる (X線テレビ装置等) |
○ |
一般競争契約になじむ市販品を随意契約、又は指名競争契約により調達しているものあり (整備服等) |
○ |
「長官指示」の随意契約の中には、建造設備の使用状況からみて受注可能な複数の企業があり、指名競争契約への移行の余地のあるものあり (掃海艇) |
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※長官指示: |
ライセンス国産するもの、防衛基盤の維持等について配慮を要する もの等(航空機・艦船・誘導弾等)については、契約相手方を長官が指示して随意契約(平成9年度:23件) |
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<勧告要旨>
- 特定の企業の製品を指定しているとの誤解を受ける可能性のあるものについては仕様における例示方法を改めるなど、競争契約の競争性を拡大すること。
- 市販品については、一般競争契約への移行を促進すること。
- 長官指示の随意契約について、複数の企業が製造能力を有する装備品等は原則として指名競争契約に移行する方向で検討すること
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(2) |
予定価格の算定の適正化
(制度の概要等)
・ |
[予定価格] :落札最高価格又は随意契約締結基準価格 |
・ |
予定価格算定基準訓令:予定価格は、計算価格を基準とし、計算は、原則として市場価格方式によること。ただし、防衛庁独自仕様のものは、市場価格が存在しないので、原価計算方式による。 |
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原価計算方式: |
生産費用を構成要素(材料費、加工費等)ごとに積み上げて予定価格を算定
その際、企業の見積資料を査定して行うことが多い。 |
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※原価計算
材料費等+加工費+一般管理及び販売費+利益等+輸送費等=予定価格 |
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(注1) |
下線部は、間接的な経費であり、経費率を使用して計算 (経費率:企業の財務データ等を基に算定) |
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(注2) |
経費率は、加工費率(1作業時間単位ごとの標準賃金等)と総利益率(製造原価に乗ずる一定の比率)に分類される。 |
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(調査結果の概要)
< 経費率の設定> |
○ |
経費率については、訓令の根拠規定の内容が抽象的なため、裁量の余地が大きい
- 経費率は、訓令において、基本的に企業の有価証券報告書等を基に企業ごとに計算することとされ、更に様々な調整規定が設けられているが、どのような場合にどの程度の調整を行うかについての適用基準が示されていない。
(例)同一事業分野の企業の総利益率を一番低い企業の率に合わせて調整している例、前年度からの激減又は激増を緩和するため一般管理及び販売費率を調整している例等
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○ |
経費率の設定理由が決裁文書になく、事後検証不可能 |
<見積資料の査定> |
○ |
各企業の見積資料の査定は、装備品等によって様々な方法が採られているが、各種方法の適用の在り方の統一的な基準が未確立。また、その適用理由を記録にとどめていないものあり
(例)材料費の査定に当たり、(1)既往費用に物価指数の変動率を適用するもの、(2)当該企業の過去の見積と実績の乖離率を適用するもの等 |
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<勧告要旨>
- 設定した経費率の妥当性を当事者以外の者が検証する仕組みを創設すること。
経費率の設定に当たって客観性が確保されるよう算定訓令の見直し等を行うこと。
- 過去の査定方法の集積・分析を行うなど、客観的・統一的な査定方法の研究を行い、その確立を図ること。
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