動力炉・核燃料開発事業団(現 核燃料サイクル開発機構)
の財務調査結果の概要
通知先:
科学技術庁
通知日:
平成11年5月12日
財務の構造
1
事業の概要
事業団は
新しい動力炉の開発等を担う法人
として、昭和42年に設立
事業は、核燃料サイクルの確立に向けた
動力炉事業
、
再処理事業
、
核燃料事業
の三つ
2
財務の概要
国からの出資金及び補助金により事業を実施
累積欠損金1兆 6,000億円
↓
研究開発成果等が企業会計原則に照らし資産として計上されないため
事業内容とその課題
1
動力炉事業
○
「高速増殖炉」の開発目標は軽水炉並みの経済性(現状はコスト高)
○
「新型転換炉開発」は日本独自の研究開発 → コスト高により実用化は困難
「高速増殖炉開発」には事業別で最多の出資金を投入(累計1兆 500億円)
原型炉「もんじゅ」の建設コストは軽水炉の約6倍(出力単位当たりの単純比較)
運転経費約200億円(H6’)
国の開発目標は改訂
2030年商業炉実現(H6長期計画)→ 実用化時期を含め柔軟に対応(H9原子力委決定)
「新型転換炉開発」は日本独自の開発
→ 実証炉の建設中止
実証炉の発電コストは軽水炉の3倍
(ポイント)
○
高速増殖炉の実用化のプロセスにおいて、相当のコストの縮減や技術水準の飛躍的な向上が必要
2
再処理事業
○
「使用済燃料再処理」は技術開発に成功
○
「高速増殖炉再処理技術開発」は、高速増殖炉開発と一体的な技術開発
○
「環境技術開発」も核燃料サイクル技術開発の一環として欠かせず
「使用済燃料再処理」は、投入経費の
4割強を事業収入により回収
↓
民間商業施設の操業開始が具体的に予定
「高速増殖炉再処理技術開発」は使用済混合酸化物燃料から
のプルトニウム抽出などが目的
→ 高速増殖炉開発
「環境技術開発」は放射性廃棄物の処理・処分の技術開発
と密接に関連
3 核燃料事業
○
「ウラン探鉱」は事業化率が低く、現状では見通しが立たず
○
「ウラン濃縮開発」は効率性の高い技術の開発に成功、すでに民間プラントが稼働中
○
「核燃料開発」は動力炉開発と一連のサイクルを成すもの
「ウラン探鉱」は97プロジェクトを実施→ウラン市況の低迷の中、事業化の段階は1プロジェクト
「ウラン濃縮開発」の技術開発は成功、採算性あり→まもなく全面的に民間移行
「核燃料開発」はプルトニウムから混合酸化物燃料を開発生産→動力炉開発と一連のサイクル
(ポイント)
○
高速増殖炉開発と一体的な技術開発は、事業の継続が必要
4 高速増殖炉開発の今後の取組み
○
高速増殖炉とそれに関連する研究開発は、新法人でも中核的事業との位置付け
○
海外では、高速増殖炉の研究開発は停滞
○
高速増殖炉の実用化のためには、今後とも多額の公的資金の投入が必要
事故の相次ぐ発生→動燃の抜本的見直し →
「核燃料サイクル開発機構」への改組
(H10.10)
↓
高速増殖炉開発、核燃料開発、再処理技術開発等は中核的な事業との位置付け
海外の動向 → 米、英、独で高速増殖炉の原型炉を閉鎖、建設中止
高速増殖炉等の開発に今後もかなりの経費を要す(これまで出資累計の6割強投入)←→開発が成功するなら、ウランの効率的利用の実現など、多大かつ先駆的な成果
(ポイント)
○
研究開発に要する費用とその成果を明らかにし、その妥当性を論議していくことが必要