日本鉄道建設公団の財務調査結果の概要

通知先: 運輸省
通知日: 平成11年5月12日

財務の構造

 
事業の概要
  1. 公団は鉄道施設の建設、貸付・譲渡事業を行う法人として、昭和39年3月に設立
  2. 運輸大臣から鉄道の建設の指示完成施設は運輸大臣の認可を受け貸付・譲渡
    整備新幹線=(建設中)503km、(貸付)126km
    そ の 他 =(建設中)250km、(貸付)381km、(譲渡)606km、(清算事業団への承継)1,408km
  3. 建設費は、鉄道の譲渡代金と貸付料により回収
    基本的に公団が負担した費用を全て回収できる仕組み(整備新幹線と青函トンネルは例外)
財務の概要
  1. 資産総額は 4兆7,647億円。 収益・費用はそれぞれ2,560億円程度
  2. 業務収入(貸付料・譲渡収入)で管理費と利息(建設仮勘定分を除く)を賄える状況
 

経営内容とその課題 

 
整備新幹線の建設・貸付事業
建設は公的資金投入中心のスキーム。一方、貸付料はJRの受益の程度を基準に決定
長野新幹線では、例外的に、有利子負債で建設資金の一部を調達
この負債を仮に長野新幹線貸付料のみで償還した場合、借換え金利に一定の限界あり
  1. 建設財源の大部分を「公的資金」で賄うスキーム(国と地方が 2対1 で負担)
    整備新幹線の財源スキーム
  2. 一方、貸付料は、営業主体(JR)の受益が30年間で0となるように設定
     →   建設資金を貸付料から回収する仕組みではない。
    貸付料算定のイメージ
  3. 「長野新幹線」に例外的に有利子資金(2775億円)を投入(冬期オリンピック開催に間に合せるため)
  4. 仮に有利子負債を長野新幹線の貸付料(175億円)のみで償還した場合の試算
       → 3% → 償還可能、5% → 負債が残存
    想定金利
 (ポイント)
 今後、他線に例外措置(有利子負債による資金調達)が波及することがあれば、その規模や金利の動向によっては貸付料による確実な償還に影響を及ぼす恐れ
 
青函トンネル貸付事業
  
JR北海道の経営状況に鑑み、政府出資金に見合う資産の減価償却費相当分(395億円)は回収の対象外
このため、会計処理上、当該減価償却費相当分を損失として計上
  1. 青函トンネルは公団が資産として所有し、JR北海道に貸付
  2. JR北海道の負担能力に配慮し、資産(トンネル)の減価償却費分は回収の対象外
      → 貸付料は「当該年度の当該資産に係る租税及び管理費の合計額を基準」
 (ポイント)
減価償却満了時(平成59年度)において、減価償却費相当分(395億円)が累積損失額となる