金属鉱業事業団の財務調査結果の概要

通知先: 通商産業省
通知日: 平成11年7月30日

財務の構造

 
事業の概要

事業団は金属鉱物の探鉱のための投融資、地質構造調査、鉱害防止事業等を行う法人
 (昭38年設立、48年鉱害防止業務を追加)

財務の概要

資産総額829億円(うち投融資資産250億円)、欠損金▲18.4億円

事業内容とその課題

 
1 投融資部門の運営状況
事業外収入(手元資金の運用収入)は近年急減
○  事業資金に財投借入金を充てる一方、手元資金の運用利回りは借入金利より低位
手元資金のうち約3割は余裕金
  1. 事業外収入は近年の低金利下で約4分の1に急減(S62 8.3億円→H8 2.1億円)
    平4年度以降当期損失発生(H8 約4.8億円)
    融資部門の損益の推移
  2. 手元資金運用利回りは0.83パーセント(H8)と低利
    貸付金利と運用利回りとの差(4.7%) 貸付金利と借入金利との差(0.3%)
    国内探鉱資金平均貸付・財投借入金利と手元資金の運用利回り 
  3. 約137億円の手元資金のうち一部の減額又は取崩しが可能で、他の事業資金に充当可能な資金的余剰(余裕金)→ 約37億円(減価償却費約21億円、貸倒引当金等約7億円など)
     → 平10、11年度には財投借入れに代え、手元資金で融資
(ポイント) 
今後とも、余裕金について事業資金への充当を図るなど、資金の効率的運用が課題
2 鉱害防止事業基金管理
基金の運用利回りは低く、運用益のみで坑廃水処理事業の実施は困難
通商産業省は基金の運用方法に関する規制を緩和
  1. 運用益の範囲内で指定鉱害防止事業機関に支払(不足分は鉱業権者負担)
  2. 基金の運用利回りは、運用開始(H5)以降一貫して期待運用利回り5パーセントを下回る
    (運用利回りの推移:H5 1.14%、H6 2.35%、H7 1.17%、H8 0.93%)
  3. 基金運用規制の緩和(平成10年7月)=大口定期から社債等を主体とするよう運用構成を見直し

(ポイント) 

 今後、基金の運用成績の向上に努めるとともに、その状況等を踏まえつつ基金による安定的な事業の在り方の検討が必要