社会福祉・医療事業団の財務調査結果の概要
通知先:
厚生省
通知日:
平成11年7月30日
財務の構造
1
事業の概要
事業団は、社会福祉事業振興会(S29設立)と医療金融公庫(S35設立)とを統合し、昭和60年に設立
貸付事業
(医療貸付、福祉貸付)、
心身障害者扶養保険事業
等を実施
2
財務の概要
資産総額は2兆828億円 → 全体の
9割が貸付資産
貸付事業の主な
財源は財投借入金
、費用と収益の差は補給金・補助金で補てん(
損益=0
)
事業内容とその課題
1
貸付事業
(1) 医療貸付
○
貸付先からの繰上償還により将来の利息収入を喪失 → H10.10の制度改正により対処
○
老人保健施設の貸付けは政策的に利ざやがマイナス、利息の収支差は補給金で補てん
(2) 福祉貸付
○
福祉貸付は政策的に利ざやがマイナス、利息の収支差は補助金で補てん
(3) 貸付事業の課題
○
新ゴールドプランの下、施設整備が進む中で、公的資金の投入額は増大
○
現状では、公的コストの状況は必ずしも明らかにされる形となっていない
貸付残高の増大
S62末
H8末
・老人保健施設
(補給金で貸付収支差補てん)
16億円
→
6,350億円
・老人福祉施設
(補助金で貸付収支差補てん)
1,372億円
→
5,593億円
公的資金の投入額も増大
(ポイント)
○
事業の公的コストとその効果を明らかにしていくことが必要
2
心身障害者扶養保険事業
○
年金資産の積立て不足を解消するため、制度の抜本的な見直しを実施(H8.1)
○
最近の年金資産の運用利回りの水準では、想定利回りを下回り再び積立て不足となるおそれ
H2以降、
年金給付額>保険金+運用収入となり、年金資産の取崩し開始
H8.1に事業の抜本的な見直し・改正
→ 保険料の引上げ
→ 過去の積立て不足(1,226億円(厚生省推計))は国・地方からの財政支援により解消
見直し以降の
想定利回り=4.5%、しかし運用利回り実績=2.21%
(H5〜H7平均) → 積立て不足のおそれ
(ポイント)
○
年金資産の必要積立額の考え方を導入する等財務管理の在り方の検討や、財務状況に応じた適時かつ適切な保険料等の見直しが必要