通知日:平成11年9月24日 |
通知先:厚生省、文部省 |
実地調査時期:平成10年12月〜11年3月 |
調査の背景事情等 |
○ | 平成10年7月に和歌山県毒入りカレー事件が発生し、多数の死者が出たのを始め、全国各地の事業所、大学等において毒入りコーヒー等の毒物混入事件が相次いで発生 毒物劇物営業者や大学等の業務上取扱者における毒劇物の不適切な保管管理が指摘 |
○ | 厚生省は、「毒物及び劇物の保管管理について」(昭和52年3月薬務局長通知)により、各都道府県知事に対し、毒劇物を貯蔵、陳列等する場所は専用のものとする等の指導を行うよう指示。また、「毒物及び劇物の適正な保管管理等の徹底について」(平成10年7月医薬安全局長通知)により、各都道府県知事に対し、毒物及び劇物取締法の遵守等毒物劇物営業者等における毒劇物の適正な保管管理の徹底を図るよう指示 文部省も、業務上取扱者としての立場から、「毒物及び劇物の適正な管理について」(平成10年7月高等教育局長・学術国際局長・大臣官房会計課長連名通知)により、国立大学等に対し、毒劇物の適正な保管管理を行うよう指示 |
○ | この調査は、厚生省及び文部省における指導等を踏まえて、事業者等における毒劇物の保管管理の状況を調査 |
○ | 調査対象機関:厚生省、文部省、5府県 (青森県、栃木県、石川県、大阪府、福岡県)、毒物劇物営業者(製造業者、輸入業者、販売業者)(122)、特定毒物研究者(8)、業務上取扱者(電気メッキ事業場等(12)、大学・高等学校(12)) |
調査結果 |
○ 毒劇物の保管管理等の実態 | |||||
調査した5府県内の 154事業者等(毒物劇物営業者 122事業者、特定毒物研究者8事業者、要届出業務上取扱者12事業者及び届出を要しない業務上取扱者の6大学・6高校)においては、毒劇物の保管管理等が以下のとおり不適切 |
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1 | 毒物劇物営業者、特定毒物研究者及び要届出業務上取扱者 142事業者 | ||||
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i) | 専用の貯蔵場所、陳列場所の未設置、施錠設備なし、譲受書未徴収等保管管理に関する法令を遵守していないもの | 79事業者(56%) | ||
ii) | 他の薬品と混置等薬務局長通知からみて不適切なもの | 74事業者(52%) | |||
計104事業者(73%) (重複分除く実数) |
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2 | 大学等教育研究機関(3国立大学68研究室、3公立・私立大学27研究室及び6高校) | ||||
国立大学は、文部省連名通知を受け、全学的取組を実施、保管管理の適正化が進められている状況。公立・私立大学研究室及び高校は、文部省連名通知の内容が十分浸透されていない状況 | |||||
i) | 貯蔵場所、陳列場所に「医薬用外」等の表示なし等法令を遵守していないもの | ||||
3公立・私立大学12研究室(調査した公立・私立大学研究室の44%)、1高校 | |||||
ii) |
使用量・在庫量の未把握等文部省連名通知からみて不適切なもの | ||||
3国立大学18研究室(調査した国立大学研究室の26%) | |||||
3公立・私立大学19研究室(調査した公立・私立大学研究室の70%) 、6高校 | |||||
3 | 登録、許可及び届出の手続を励行していない事業者あり | ||||
i) | 営業の廃止の届出が励行されておらず、在庫の有無や在庫品の処分状況が不明 (11事業者) 、手続が行われないまま無登録状態で営業を継続(4事業者) | ||||
ii) | 登録された品目以外の品目を製造(2事業者)、許可を受けた研究者以外の研究者が特定毒物を使用(4事業者) | ||||
○ 保管管理等が不適切な原因 | |||||
1 | 毒物劇物営業者、特定毒物研究者及び業務上取扱者における適正な保管管理についての認識が低い、登録等の手続の周知が図られていない | ||||
2 | 府県による立入検査は、取扱数量、事故発生のおそれのある業種等により対象事業者を絞った重点的かつ計画的な実施方針なし、検査結果における指摘事項の確認等も不十分、特に各府県とも大学等教育研究機関はほとんど立入検査の対象としていない | ||||
3 | 都道府県は、法令違反の毒物劇物営業者等に対して、登録等の取消し、業務停止等の行政処分をほとんど実施しておらず、法令違反を繰り返している事業者に対しても文書・口頭指導にとどまっており、法令違反の抑制効果が上がっていない | ||||
改善所見要旨 |
厚生省は、毒劇物の保管管理等の適正化の徹底を図るため、以下の事項について、都道府県を指導すること。
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