奄美群島振興開発基金の財務調査結果の概要
通知日:平成12年11月29日
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通知先:国土庁及び大蔵省
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財務の構造
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1 | 事業の概要 | |
奄美基金は、奄美群島振興開発特別措置法に基づき、群島内の中小事業者に対し、保証事業、融資事業等を実施する法人として、昭和30年に設立 | ||
2 | 財務の概要 | |
1. 保証勘定 | 資産総額264億円、保証残高 232億円、出資金累計 26億円 | |
2. 融資勘定 | 資産総額139億円、貸付残高 134億円、出資金累計 78億円、借入金残高 61億円 |
事業運営とその課題
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1 保証事業
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1. | 保証残高は、昭和60年度以降ほぼ横ばい ⇔ 224億円(S60')→232億円(H10') | |
2. | 中小事業者による利用度の低下→群島内中小事業者の信用力向上の現れ | |
・ | 保証利用度 17.4%(S60')→13.7%(H9') [参考]全国信用保証協会平均 8.1%(H9') | |
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(注)保証利用度=保証残高÷中小企業向貸付残高×100 | ||
3. | しかし、保証事業のリスクの高さに示されるように、なおその存在意義を有する。 | |
・ | 代位弁済率 2.99%(H10') [参考]全国信用保証協会平均 2.06%(H10') | |
4. | リスク管理のため代位弁済額相当額を3年間で引当てることとしており、費用(求償権償却引当金繰入等)は、平成元年度から10年度の間に6億円増加。 一方、収益は減少 |
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・ | 事業収入は横ばい (H元'2.3億円→H10'2.3億円)、運用益は減少 (H元'1.3億円→H10'0.4億円) | |
→ | 平成2年度以降、毎期当期損失を計上し、10年度末には欠損金(0.5億円)が発生 | |
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5. | 出資金は積み増しているが、近年の金利低下の影響を受け、運用益は減少 | |
→ | 運用益のみによる財務の健全化には限界 | |
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(ポイント) 出資金の一層の増額等について検討するとともに、審査や債権管理の一層の充実強化を通じて保証事業のリスク(代位弁済率)を低く抑える措置を講ずることも必要。 |
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1. | 出資金の積み増しにより利幅が拡大 | |||||
・ | 利幅 1.6%(H元')→2.0%(H10') 、借入金占有率 78%(H元')→46%(H10') | |||||
→ | 平成2年度以降、毎期当期利益を計上 | |||||
2. | H10'末、累積欠損金が1億6,800万円残存、近年、当期利益は小幅で推移 | |||||
→ | 欠損金も横ばい状態 | |||||
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3. | 延滞債権等の状況 | |||||
i | 回収不能債権は、8,900万円が残存(H10'末)。H9'以降の新規回収不能債権額は未確定 | |||||
ii | 延滞債権は減少の一方、貸付条件変更債権は急増 | |||||
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・ | 貸倒引当率は0.8/1000(S56年度以降)、貸倒引当金額は0.1億円(H10') [参考]貸倒引当率は農林漁業金融公庫 5/1000,国民生活金融公庫3.8/1000(ともにH10') |
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→ | 貸倒引当金の計上は小さく、貸倒リスクに見合っていない |
(ポイント) 貸倒リスクを明らかにし、それに見合った貸倒引当金の計上を行うとともに、保証事業と同様、経営基盤や審査の充実強化等の措置について検討することが必要。 |