1 調達業務の経済的かつ効率的な実施
  (1) 契約方式の見直し等
     国の契約は、機会均等及び公正性の保持の観点から、会計法(昭和22年法律第35号)に基づき、一般競争契約によることを原則とし、契約の性質又は目的等に照らし、一般競争契約によることが不可能な場合又は不適当である場合等一定の場合に指名競争契約又は随意契約によることとされている。また、予定価格(落札決定の基準とする最高制限価格又は随意契約締結の基準とする価格)が少額である場合等特別な場合には、指名競争契約又は随意契約によることができることとされている。
 さらに、予定価格の決定に当たっては、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号。以下「予決令」という。)に基づき、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならないこととされている。
 また、政府機関による調達については、内外無差別の原則の確立と手続の透明性の確保等を図るため、政府調達に関する協定(平成7年条約第23号。旧協定は昭和55年に締結)が締結され、当該協定を実施するため、国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(昭和55年政令第300号。以下「特例政令」という。)が制定されている。特例政令は、政府機関が一定額以上の特定の物品等を調達するいわゆる政府調達を行う場合は、一般競争入札について官報公告を必須とする等予決令で定められた通常の調達手続とは別の手続を行うこと等を規定している。防衛庁においては、平成9年度の場合、1,400万円以上の55品目の物品等が政府調達の対象とされている。
 一方、自衛隊の任務遂行に必要な装備品等及び役務(以下「調達品等」という。)は、艦船、航空機等の正面装備から、通信器材、燃料、被服等に至るまで広範囲にわたっているが、これらのうち、艦船、航空機等の主要な装備品、燃料等大量に購入するもの等、装備品等及び役務の調達実施に関する訓令(昭和49年防衛庁訓令第4号。以下「調達訓令」という。)の別表に具体的に規定されているものについては、調達実施本部(以下「調本」という。)が調達することとされている。また、糧食等現地調達を便とするもの等調達訓令の別表にないものについては、陸上、海上、航空の各自衛隊等が自ら調達している。防衛庁では、調本で行う調達を中央調達、各自衛隊等が自ら行う調達を地方調達と呼んでいる。
         
     今回、陸上自衛隊(以下「陸自」という。)の補給統制本部、11補給処及び支処(旧中央補給処、旧地区補給処及び支処。平成10年3月に組織を改編)、12会計隊(以下、陸自の補給統制本部、補給処及び支処並びに会計隊を総称して「調達部隊等」という。)並びに調本における平成9年度の調達契約の実施状況を調査した結果、次のような状況がみられた。
     地方調達における契約方式等
      (ア)  契約方式の選定等
         調査した24調達部隊等における契約方式別の調達実績をみると、件数では7万4,103件中6万2,230件(84.0パーセント)が、金額では845億8,062万円中713億6,629万円(84.4パーセント)が随意契約となっている。また、抽出調査した1,329件(一般競争契約352件、指名競争契約386件、随意契約591件)の契約方式の選定状況等をみると、次のとおり、契約方式の選定が不適切な例や競争性が十分発揮されていない例がみられる。
       
1.  指名競争契約又は随意契約は、会計法及び予決令に基づき、契約の性質又は目的等に照らして一定の要件を満たす場合でなければ行ってはならないとされているが、i )年度末で納期に余裕がないこと、ii)当初一般競争に付しており、その際に応札した業者以外に応札業者はいないと判断したこと等適用要件に該当するとはみられない理由を挙げて、指名競争契約又は随意契約によっているものがみられる(漢字プリンター等19件)。
2.  予決令では、指名競争に付す場合は競争に参加する者の指名をなるべく10人以上行うこととされているが、抽出調査した指名競争契約386件の応札状況をみると、応札している業者が10社に満たないものが206件(53.4パーセント)となっている。この中には、指名業者以外にも応札可能業者があるとみられるにもかかわらず、4業者のみを指名しているもの等がみられる(感熱紙等3件)。
 また、競争契約参加資格者名簿に登録している5業者を対象に、四半期ごとに年4回の指名競争が行われているが、i )予定価格の算定に当たっては、毎回、これら5業者から見積りを徴取して、その中の最低価格を予定価格としているが、2回目以降は同額となっており、それを毎回、別の業者が提示している、ii)平成8年度及び9年度の入札結果をみると、これら5業者が順番に毎回同額で落札しているなど、競争が十分に行われていないと認められるものがある(パック牛乳1件)。
3.  食器洗浄及び清掃作業等の役務について、調査した16調達部隊等における契約状況をみると、第338会計隊(練馬駐屯地)を除くすべての調達部隊等が、価格面の問題等から、他に受注できる業者がいないとして随意契約を締結している。しかし、第338会計隊では一般競争契約(2社参加)を行っており、他の調達部隊等においても、業者開拓による競争性拡大の余地はあるものとみられる。特に、東部方面会計隊本部(朝霞駐屯地)については、一般競争契約を行っている第338会計隊と直線距離で6キロメートルしか離れていないことから、他に受注可能な業者がいないとはいえず、随意契約の適用要件に該当しないとみられる。
4.  政府米の調達については、「主食用米穀の売却要領の制定について」(平成7年11月1日付け7食糧業第817号食糧庁長官通知)に基づき、部隊に納入する登録卸売業者を選定し、当該業者について食糧事務所の指定を受けた後、指定を受けた業者との随意契約により行うこととされている。しかし、調査した15調達部隊等における契約状況をみると、国の契約における競争性確保の観点から、業者の選定に当たっては、なるべく複数の業者から見積りを徴取すべきであるが、複数業者から見積りを徴取せず、又はいずれの業者からも見積りの徴取を行わないまま、特定の1業者を選定しているもの(3調達部隊等)、特定の2ないし3の業者の中から1業者を一定期間ずつ順番に選定しているもの(2調達部隊等)等競争性が発揮されていないものがみられる。
      (イ)  政府調達の実施
         政府調達については、特例政令等に基づき、一般競争に付す場合は、官報公告を50日以上行う等一定の手続を実施することとされている。しかし、抽出調査した1,329件の中には、政府調達対象の調達品について、政府調達に関する認識が十分でなかったこと等から調達手続が遅れ、官報公告等政府調達の手続を行った場合、年度内に調達品が納入されない等として、通常の一般競争契約等によっているものがみられる(机等の事務機器等21件)。
      (ウ)  予定価格の算定
         予定価格の算定状況について抽出調査した182件の中には、市場価格の調査が十分には行われておらず、契約額が予定価格の半分以下となっているもの等がみられる(フロアシート等4件)。
     中央調達における調達要求又は契約の一本化
       中央調達について、調本は、原則として、各自衛隊等からの調達要求ごとに入札・契約を実施しているが、要求元、仕様、予算科目・事業、年度、契約相手方等が同一である場合は、契約事務の効率化の観点から、できる限り契約の一本化に努めているとしている。
 調本において、同一装備品等で契約日が同一又は近い34品目の中央調達契約を抽出調査したところ、1)要求元、予算科目・事業、要求日、納期、納地等すべて同一であるもの、2)要求日が6日間ずれていること及び事業が異なること以外は、要求元、予算科目、納期、納地等すべて同一であるもの等調達要求又は契約を一本化して事務の効率化を図ることが可能なものがみられる(発動発電機JPU-S3等6品目)。
         
     したがって、防衛庁は、陸自の調達契約における競争性及び公正性の確保等を図る観点から、次の措置を講ずるとともに、中央調達において、同一装備品等を同一時期に調達する場合等には、調達要求又は契約の一本化を推進する必要がある。
    1.  調達契約に当たっては、契約方式の適切な選定、指名業者の拡大等により競争性を拡大すること。
    2.  政府調達の対象となる調達品等の調達に当たっては、特例政令で定められた調達手続を遵守すること。
    3.  予定価格については、市場価格調査の励行等により取引の実例価格を的確に把握するなど、適正に定めること。
         
 

(2) 需給統制品目の見直し等

     陸自では、装備品等の調達、補給、整備等を行う機関として、全国に補給処及びその支処を設置しており、これらの機関が行う事務の実施の企画、総合調整及び統制業務並びに自ら装備品等の調達を行う機関として、補給統制本部を設置している。
 また、陸自では、陸上自衛隊の補給等に関する訓令(昭和34年陸上自衛隊訓令第72号)に基づき、装備品等の所要量を適切に決定し、決定された所要量に基づき必要な調達を行い、もって需給の均衡を図るため、装備品等の需給統制を行うこととされている。具体的には、装備品等の防衛上の固有性、一括調達によるスケールメリット、高度の技術の必要性等に応じて、陸上幕僚監部、補給統制本部、補給処及び部隊等が、需給統制品目の取得及び配分を行っている。
         
     今回、調達部隊等における平成9年度の需給統制品目の調達状況並びに補給処及び支処の配置を調査した結果、次のような状況がみられた。
     地方調達における需給統制品目の見直し
       抽出調査した地方調達1,329件の中には、次のようなものがみられる。
      1.  補給統制本部統制品目であるが、一般家庭への普及もかなり進み量産化されているため、現地における調達も容易であり、全国的に価格も安定しているとみられること、また、補給統制本部(当時は中央補給処)で調達することにより、各補給処に搬送する経費を更に要しているとみられること等から、輸送費等を考慮すれば、スケールメリットもほとんどないと考えられ、補給処統制品目への移行を検討する余地があるとみられるもの(ビデオデッキ等)がある。
      2.  補給処統制品目であるが、日常使用する物品であり部隊における調達も容易であることや、単価が安いため、部隊への搬送経費・労力を考えると一括調達によるメリットも少ないとみられることから、部隊等統制品目への移行を検討する余地があるとみられるもの(トイレットペーパー等)がある。
     補給処支処の統合
       陸自の補給処及び支処については、全国5区域に5補給処が配置され、それぞれの補給処の下に3から10の支処(弾薬又は燃料の補給のみを所管している支処を含む。)が計26支処配置されている。調査した11補給処及び支処(5本処、6支処)の中には、i )支処が本処の近傍に位置していること、ii)支処が所掌している整備業務の一部(外注整備の契約)を本処で実施していること、iii)支処の所在する分屯地の維持・管理のための業務の一部(糧食の調達等)が本処の所在する駐屯地と一体的に運営されていることから、補給処業務全般に対する体制の見直し、業務改善により、支処の本処への統合を含めた組織の簡素合理化を図る余地があるとみられるものがある。
         
     したがって、防衛庁は、陸自の調達業務の効率化等を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
    1.  補給統制本部等の需給統制品目について、全国で大量に販売されている物品等現地での調達に適するものについては、下級機関に統制を下ろす方向で見直すこと。
    2.  補給処支処について、本処との地理的関係及び業務上の特性等を考慮し、補給処業務全般に対する体制の見直し、業務改善により、本処への統合を含めた組織の簡素合理化を検討すること。
         
2 補給・整備業務の迅速かつ効率的な実施
   陸自の装備品等については、「陸上自衛隊補給管理規則」(昭和52年12月24日付け陸上自衛隊達第71−5号。以下「補給管理規則」という。)に基づき、補給処、野整備部隊(有事において野外で恒久的施設を用いずに応急的な整備を行う部隊)、駐屯地業務隊(以下、野整備部隊及び駐屯地業務隊を総称して「野整備部隊等」という。)及び使用部隊ごとに保管すべき品目及びその数量が定められており、当該数量を超えて保管しているもの(以下「過剰品」という。)等については後送すること、使用の見込みがないもの等については不用決定を行うこととされている。
 また、装備品等については、一般に、使用部隊、野整備部隊等及び補給処において段階的に整備が行われ、補給処で整備できない場合に外注整備により行われているが、複写機等事務用の市販品については、「通信電子器材器材別補給整備実施要領」(平成8年3月15日付け陸幕通電第80号陸上幕僚長通達別冊)に基づき、野整備部隊等又は使用部隊が努めて外注整備を行うこととされている。
         
   今回、陸自における平成9年度の補給・整備業務の実施状況を調査した結果、次のような状況がみられた。
   在庫管理の適正化
     補給処等の装備品等のうち、二次品目(主品目の部品、附属品等)の保管すべき数量については、補給管理規則により、定数をもって定められているものを除き、前年度の被請求実績あるいは請求実績を基に定めることとされている。このため、定数をもって定められているものを除けば、前年度に被請求実績等がないものは、自 動的に保管すべき数量がゼロとなる。
 しかし、調査した補給統制本部、11補給処及び支処(5本処、6支処)、28野整備部隊等並びに24使用部隊において、10年以上使用されないまま保管されている二次品目延べ428品目を抽出して調査した結果、保管数量が定数をもって定められている初度部品(有事に即応できる態勢を整えておくため、部隊等が常に保有又は保管することが義務付けられている品目)を除くと、被請求実績等がない品目が延べ52品目あり、中には20年以上になるものが1品目みられる。また、i )法令の改正により、既に6年前に使用が禁止された装備品の部品を保管しているもの(機上無線機の部品4品目)、ii)12年にわたり被請求実績等がなく、使用見込みがないにもかかわらず、その後も補給が行われているもの等(電波高度計の部品2品目)がみられるなど、過剰品について、後送や不用決定の処理が適切に行われていないものがある。
   整備業務の迅速化・効率化
     調査した30野整備部隊等が行っている外注整備287件から抽出調査した187件の中には、全国的に相当普及している事務用の市販品であり、使用部隊の近隣にも整備を受注することが可能な業者がいるとみられるものについて、使用部隊から野整備部隊に後送された上で外注整備が行われているものがある。しかし、これらの中には、当該野整備部隊において外注整備の可否を判断するまでに時間を要したため、後送から外注までに長期間を要しているものがある(パソコン、プリンター)。
 事務用の市販品については、通信電子器材器材別補給整備実施要領に基づき、野整備部隊等又は使用部隊が努めて外注整備を行うこととされているが、同要領に使用部隊が直接外注整備を行うことができる場合の条件及びその対象品目が明示されていないことも一因となって、このような状況が生じたものとみられる。
         
     したがって、防衛庁は、陸自における在庫管理の適正化及び整備業務の迅速化・効率化を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
    1.  過剰品等については、速やかに後送又は不用決定を行わせるなど、適切な在庫管理を行うこと。
    2.  使用部隊による外注整備の基準の見直し等により、全国的に普及している市販品等近隣の業者で容易に受注可能なもの等について、外注整備を推進すること。
         
3 調本支部・調達管理事務所の業務・組織の見直し
   国の契約は、会計法に基づき、契約の適正な履行を確保するため必要な監督を行い、また、給付の完了の確認をするため必要な検査を行うこととされている。また、防衛庁が締結する契約には、航空機、艦船等製造に長期を要するもの等あらかじめ契約金額を確定できないため、中途確定条項(契約の履行の中途までの実績に基づき契約金額を確定することを定めた条項)等の特約条項を付し、契約相手方が契約履行のために支出又は負担した費用等の適否について審査する原価監査を必要とするものがある。これらの業務は、調本の地方機関として設置されている支部及び支部の下部機関として設置されている調達管理事務所(以下「調本支部等」という。)において実施されている。
         
   今回、調本支部等における監督及び検査の実施状況等を調査した結果、次のような状況がみられた。
   監督及び検査の効率化
     調達品等に係る監督及び検査に関する訓令(昭和44年防衛庁訓令第27号)は、調本支部等が実施する監督及び検査について、3種類の実施方式を規定している。これらは、1)監督官又は検査官が直接工場に出向いて、材料等又は調達品等の審査又は試験を行う方式(以下「直接方式」という。)、2)監督官又は検査官が直接工場に 出向くことなく、材料等又は調達品等について、国の機関又はこれに準ずる機関の検定、規格等による品質証明書等により審査する方式(以下「資料方式」という。)及び3)航空機の製造等について、監督官又は検査官が工場において品質管理システムの維持状況の評価等を行う方式(以下「品質証拠方式」という。)となっている。これらの監督及び検査の方式のうち、監督官又は検査官が直接工場に出向く必要がない資料方式は、他の方式に比べ、実施に要する時間及び経費の点で効率的であるとみられる。
 調本支部等が平成9年度に実施した中央調達の調達品に係る監督及び完成検査(調達品が納入場所に搬入されるのに先立って工場において行う検査)の実施方式をみると、監督では、1万4,069件のうち、直接方式が48.3パーセント、品質証拠方式が49.4パーセントであるのに対し、資料方式は2.3パーセントとなっている。また、完成検査では、1万1,333件のうち、直接方式が26.1パーセント、品質証拠方式が49.0パーセントであるのに対し、資料方式が24.9パーセントとなっている。
 このうち、直接方式による監督及び完成検査の実施状況について、調査した9調本支部等において監督133件及び完成検査134件を抽出調査したところ、次のとおり、効率化を図る余地がみられる。
    1.  直接方式による監督の中には、業務の大部分を占める材料の品質の確認を国に準ずる機関とされている公益法人の品質証明書の審査により実施しており、当該品質証明書を活用すれば、資料方式への移行が可能とみられるもの(航空服等4品目)がある。
    2.  直接方式による完成検査の中には、検査官が現場で抜き取った製品のサンプルについて、企業が国に準ずる機関とされている公益法人に品質証明を依頼しており、当該公益法人による品質証明を活用することにより、資料方式への移行が可能とみられるもの(儀礼用手袋)がある。
   調本支部等の配置の見直し
     防衛庁は、昭和50年7月に5支部及び6調達管理事務所を配置し、現在に至っている。調本支部等の管轄区域は、監督・検査業務の実施の効率性に配慮して定めたとされており、その範囲は、十数都道府県に及ぶ広い区域となっているもの(東京支部、大阪支部)がみられる一方で、都道府県の区域の一部とされているもの(府中調達管理事務所及び舞鶴調達管理事務所)がみられる。
 特に調達管理事務所の配置は、調達管理事務所の監督官等が企業に出向く場合や、企業関係者が書類提出等のため調達管理事務所に出向く場合の便宜のため、原則として、工場の近傍に設置するという考え方に立っているため、例えば、東京支部(東京都北区)に近接して府中調達管理事務所(東京都府中市)が設置されている。
 しかし、府中調達管理事務所における業務の実施状況をみると、監督官等が同事務所から企業の工場に出向いたり、企業に常駐している監督官等が同事務所に出向いている日数は、平成9年度で延べ1,795日となっているが、その内容は、企業が提出した申請書類の内容調整が多く、その相当部分が企業との間の情報ネットワーク を利用した通信により代替され得るものとみられる。また、企業は、監督・検査の申請書、調達品の製造に必要な図面や専用治工具の承認の申請等に係る書類を同事務所に年間約6,200件提出しているが、これらは、もとよりオンライン化に適した業務であるとみられる。
 近年、民間企業では、電子取引を取り入れるなど、業務の効率化を図っている。防衛庁においても、調達管理事務所が行っている監督・検査等のために必要な指示、報告、書類の提出等について、文書等の電子化、データベース化及び情報ネットワークの構築を図り、民間企業とのオンライン化を図ることにより、必ずしも工場の近傍に調達管理事務所を配置しておく必要はなくなるものとみられることから、調達管理事務所の配置の見直しが可能となるものとみられる。
         
     したがって、防衛庁は、調本支部等における監督及び完成検査業務の合理化を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
    1.  直接方式の監督及び完成検査のうち、国に準ずる試験・検定機関による品質証明書等により実施しているものについては、資料方式への移行を推進すること。
    2.  調達管理事務所について、企業との間の情報ネットワークの導入・活用を図ることにより、その配置の見直しを図ること。