政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会



1.日時 平成14年7月23日(火)15時00分から17時15分

2.場所 虎ノ門パストラル「オーク」(新館5階)

3.出席者
 (分科会所属委員)
    富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫分科会長代理、竹内佐和子委員
雨宮肇臨時委員、黒川行治臨時委員、黒田玲子臨時委員、松田美幸臨時委員
宮脇淳臨時委員、武田尚仁専門委員、梶川融専門委員、山本清専門委員
 (オブザーバー) 
    村松岐夫委員長
 (総務省)
    塚本行政評価局長、広瀬官房審議官、橋口総務課長、讃岐評価監視官

4.議題
 (1) 独立行政法人評価に関する最近の動きについて
 (2) 財務省、厚生労働省、農林水産省所管独立行政法人の概要について
 (3) 財務省独立行政法人評価委員会の評価の取組について
 (4) 厚生労働省独立行政法人評価委員会の評価の取組について
 (5) 農林水産省独立行政法人評価委員会の評価の取組について





○富田分科会長
   ただいまより、政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を開会いたします。
   本日は、前回に引き続き、各府省評価委員会における評価の取組についてのご説明ということで、財務省、厚生労働省及び農林水産省の評価委員会における評価の取組について、各事務局から説明をお願いすることとしております。この議題に入ります前に、独立行政法人評価に関する最近の動きにつきまして、事務局より説明をお願いしたいと思います。
○讃岐評価監視官
   それでは、資料1−1というところですけれども、一番上には「評価の流れ」、これはこれまでも何回かご説明したものが付いてますが、2枚目をおめくりいただければと思います。基本的には評価の流れは同じなのですけれども、右側に、2週間前の平成14年7月9日に、総理及び総務大臣から、評価についての取組についての要請があったというのが最近の大きな動きでございますので、それを中心に最近の動きについてということでご説明したいと思います。
   今回は初めての独立行政法人評価でありますけれども、今後の特殊法人の独立行政法人化等を考えますと、この評価が実効あるものとなるかどうかというのが非常に大きな課題として国民から問われるところであるという認識のもとで、各府省の評価委員会の評価が始まるタイミングで、総理から直接のメッセージを送ろうということでこういう場が持たれたということであります。中身については、厳格かつ迅速な評価を行っていただきたいということと、これは各府省ですけれども、評価結果につきましては、15年度予算、役員人事報酬、当然のことながら業務運営の改善にも反映させていかなければならない、そういうことについて総理からのメッセージが直接伝えられたわけです。この場には、村松委員長、富田分科会長にもご出席をいただきました。
   そして、その場での議論といたしましては、一つスケジュール的なこととして、15年度予算編成に反映させるためには、11月初旬を目途に、当政策評価・独立行政法人評価委員会の評価も含めた評価を終わらせなければいけない、そういうことを考えると、各府省の評価委員会の評価もできるだけ早く評価結果を出していただくようお願いしたい、そういう要請が村松委員長からありました。もう1点、やはり評価の取組について、様々な、試行錯誤とか、戸惑いとか、そういうものがあるという認識が各府省の評価委員会の委員長からございまして、必要があれば連携の場を設けようという村松委員長からのご提案がありました。
   スケジュール的なものについてですけれども、左側はスケジュールの流れ図になっておりますけれども、四角の中、各府省の評価委員会が評価を行い、評価結果を公表して、総務省に通知するわけですけれども、今のところ、各府省の事務局同士でいろいろ聞いてみますと、大方は8月の下旬から9月の上旬ぐらいにはこの評価結果をまとめる方向で評価に取り組んでいます。早いところは、8月の上旬ということになろうと思います。ただし、所管法人が多いところはどうしても時間がかかるというのが今のところの状況でございまして、農林水産省と文部科学省は9月の下旬あるいは10月の初めにかかるのではないかということを今の状況として聞いているところであります。そうしますと、11月の初旬を目途に予算に反映させるものについてこの委員会での評価も終わらせるということになりますと、1ヶ月〜1ヶ月半のタイミングで相当タイトなスケジュールでこの委員会での作業を行わなければいけない。
   そうしますと、さて、それをどのように進めるのかということですけれども、ここには書いてございませんが、前回、前々会の委員会以来、評価の素案などを作って検討するためのワーキンググループを作って、そこで機動的・弾力的に検討をしていこうということで今考えているところでございまして、三つの班に分けて進めていこうということで、各委員に対しては、どうしても兼任などの関係から外れなければいけないところはないかどうかということを伺った上で、委員長、分科会長ともご相談の上でメンバーを確定させていただきたいというふうに考えております。
   8月下旬〜9月上旬に評価結果が出てきますと、それを事務局の方でも下作業をした上でご検討いただくということになろうと思います。時間の調整等々、またお時間を作っていただくということになろうと思いますけれども、どうかよろしくお願いしたいということでございます。
   一応スケジュールの話からこういうところまで話が進みましたけれども、もう一つ、連携の場を設けるということにつきまして、今、事務局の方で案を作って、委員長、分科会長とご相談を進めていかなければいけないというように考えているところであります。
   そのほか、資料につきましては、総理が閣僚懇談会で各大臣に対して発言したもの、それから各評価委員会の委員長との懇談の参加者、その場での発言の概要をお付けしております。郵送しているところもございますので、それについては省略をさせていただきたいと思います。
   最近の動向ということで、以上でございます。

○富田分科会長
   ありがとうございました。今の点はスケジュールを確認する上でも重要ですので、何かもしご質問がございますれば、いかがでしょうか。
   それでは、厳格かつ迅速な評価という総理の指示を受けまして各府省の評価委員会は評価を進められておりますので、今日はその中から引き続きヒアリングを行うということで、それに先立ちまして、事務局より、財務省、厚生労働省及び農林水産省の所管の独立行政法人の概要等につきましてご説明をお願いしたいと思います。
○讃岐評価監視官
   今日は各府省ヒアリングの4回目ということで、9府省のうち最後に残っていた3府省について行い、今日ですべての府省からのヒアリングが終わるということになります。財務省、厚生労働省、農林水産省でございます。
   まず財務省につきましては、法人は一つ、酒類総合研究所ということで、ここは昔の醸造試験所と言っていたところですけれども、酒の品質評価とか、それに関連した調査研究を行っているところでございます。
   厚生労働省は3法人ございますけれども、いずれも名前で大体直感的なイメージはつかめると思いますけれども、産業安全とか健康向上といったことについての試験研究を行っているところでございます。規模を見ますと、この4法人とも、職員数は 100人未満、予算のところの一番左側ですけれども、予算規模は10億円規模ということで、比較的小規模の機関であるということになってございます。
   それから、財務省につきまして、評価の基準ですけれども、これは個別の評価と総合的な評定となっておりますけれども、個別の評価は、それぞれの中期計画の項目ごとにA、B、C、Dの4段階で付け、それを総合して技術的に総合的な評定を付けようということを考えております。
   厚生労働省ですけれども、評価の基準は、個別項目については5段階、それから、それを総合したものについて総合的な評定を行うということが掲げられております。厚生労働省につきましては、それぞれの法人ごとに、どのような指標で評価を行うのかというような個別の評価についての基準まで比較的細かく定められております。
   次のページですが、農林水産省でございますけれども、ここは17法人という、一番多くの法人数を所管しているところであります。法人の概要につきましては、試験研究が多いのですけれども、農業者大学校とか水産大学校という文教研修施設、それから、その他というのは、肥飼料検査所とか農薬検査所とかの検査検定を行ったりするところでありますとか、種苗とか家畜の改良ということで、品種改良を行ってそれを都道府県などに交付するような作業施設等、様々、多種多様にわたっております。この中でも、中ほどよりちょっと上、農業技術分科会の一番上ですけれども、農業技術研究機構というのがございますけれども、ここは、運営費交付金が 530億円、職員数が 2,800人ということで、経済産業省所管の産業技術総合研究所に次いで大きい試験研究機関で、様々な試験研究機関が統合してできたものでございますので、職員数のところを見ますと、「長及び理事」の数が9人と多くなっております。
   農林水産省の評価の基準ですけれども、これは各法人ごとにそれぞれの分科会で定めるという形式をとってございますけれども、ただ、一つのパターンがございまして、個別の中期計画項目の評価につきましては基本的にはA、B、Cを付けるということになっております。それを総合して総合的な評定を付けるわけですけれども、これにつきまして、やり方といたしまして、A、B,C、それぞれ、3点、2点、1点というふうに点数を付けまして、それぞれの項目ごとに加重平均をいたしまして、最終的に加重平均をした平均点ととってA、B、Cというような、外面的に見るとやや機械的なやり方をとっているというところに特徴があると思います。
   私からの説明は以上です。
○富田分科会長
   ありがとうございました。
   本日は、時間が限られておりますので、ご質問につきましては各府省の評価委員会の説明の際にお願いすることといたしまして、次の議題に移りたいと思います。
   それでは、財務省独立行政法人評価委員会の評価の取組について、ご説明をいただきたいと思います。
   本日は、財務省大臣官房文書課政策評価室の有働政策評価室長及び国税庁課税部酒税課の寺内酒税課長にご出席いただきました。評価の取組についてのご説明を10分ほどでお願いいたします。ご説明の後、私どもより10分ほど質問、意見等を述べさせていただきたいというふうに思います。
   それでは、有働室長、そして、寺内課長、よろしくお願いいたします。
○有働政策評価室長
   7月9日付けで財務省の大臣官房文書課政策評価室長を拝命いたしました有働と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
   それでは、お手元にございます資料に基づきまして、順次、ご説明をさせていただきたいと思います。
   まず、独立行政法人酒類総合研究所の概要につきまして、国税庁課税部酒税課長の寺内より説明をいたします。
○寺内酒税課長
   国税庁の酒税課長の寺内でございます。私の方から、独立行政法人酒類総合研究所の概要につきまして、ご説明を申し上げます。お手元に酒類総合研究所につきましてのパンフレットがあろうかと思います。
   まず、研究所の沿革でございますが、見開きの下の方でございますけれども、研究所の前身であります醸造試験所、これが明治37年に設置されたわけでございます。当時は専ら経験によります清酒の醸造が行われておりました。清酒のもろみの腐敗などが頻繁に発生したといったことから、醸造技術を科学的に研究するために設置されたものでございます。翌、明治38年には、科学技術を加味した酒造技術の普及といったことを目的に醸造講習を開始いたしまして、明治44年には清酒の品質向上を目的に、第1回の全国新酒鑑評会を開催しております。これらの講習あるいは鑑評会につきましては、現在も酒類総合研究所に引き継がれているわけでございます。その後、平成7年には、昭和63年に国の行政機関等の移転についての閣議決定を受けまして、設立以来の所在であります東京都北区滝野川から広島県の東広島市に移転いたしました。昨年の4月には独立行政法人に移行したところでございます。
   研究所は酒類に関する研究機関として、法律に定められた三つの目標、すなわち、一つ目に、酒税の適正かつ公平な負担の実現を図る、第2に、酒類業の健全な発達を図る、第3に、酒類に対する国民の認識を高める、この大きな三つの目標を達成することといたしております。
   そのために様々な業務を実施いたしておりますが、そのうち主要な業務につきましては、これをまた1枚おめくりいただきますと「主要業務」とありますけれども、主要な業務として、酒類の高度な分析及び鑑定、酒類の原料から製品に至るまでの一連の醸造技術の研究開発、酒類の販売、商品に関する調査などの、酒類及び酒類業に関する研究調査、ホームページ等での特許・研究成果に関する情報提供、あるいは、微生物の分譲などにつきまして成果・普及を行う、酒類及び酒類業に関する情報の収集・整理及び提供を行う、あるいは、講習等・鑑評会等の活動を行うといったようなことを業務といたしております。
   以上、簡単ではございますが、独立行政法人酒類総合研究所の概要をご説明させていただきました。
○有働政策評価室長
   続きまして、財務省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価についての基本方針及び独立行政法人酒類総合研究所の各事業年度に係る業務の実績に係る評価につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。大きなくくりの資料3の1ページ目をご覧いただきたいと思います。
   「財務省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価についての基本方針」でございまして、ここに、評価の目的、方法、いろいろと書いてございます。財務省所管独立行政法人とございますが、現在は酒類総合研究所のみでございます。
   まず、頭書きの部分でございますけれども、評価実施に当たりまして、評価の基準についての基本的事項を「基本方針」として定めまして、更に法人の業務の特性を踏まえまして、具体的な「法人の評価の基準」を作成するということが書いてございます。
   次の1の「業務の実績に関する評価の基本方針」のところでは、主務大臣、私どもの場合は財務大臣ですが、財務大臣による中期目標の設定、研究法人による中期計画及び年度計画の策定、それらに基づく研究所の業務運営、それに続く評価委員会による評価という一連の「Plan 」、「Do」、「See 」を主要な要素といたします「マネジメント・サイクル」の流れの中で、この「See 」に当たる評価委員の評価の結果を独立行政法人自身が業務改善に役立て、また、さらには、財務大臣による新たな目標設定等へと反映させることで研究所の業務運営が効果的に実施されるものとなるよう努めるということが書いてございます。そして、この評価には、毎年度、その年度の実績についてのパフォーマンスを評価いたします「事業年度評価」と「中期目標評価」と、研究所の中期目標は5年でございますけれども、この二つがあるということを書いてございます。
   まず、2の「事業年度評価」についてでございますけれども、(1)の「評価の目的」のところでございますが、事業年度評価は法人の業務運営の改善に資することを目的とするということを書いてございます。
   (2)の「評価方法」のところでございますが、1) の「項目別評価」のところでございますけれども、中期計画に定めた項目から評価項目を設定いたしまして、そこにございますような、「順調である」、「おおむね順調である」、「やや順調でない」、「順調でなく、業務運営の改善等が必要である」というA、B、C、Dの4段階評価を行うことを基本としてございます。
   2ページに入りまして、ロ〜ヘまでは留意事項でございますが、その中で大事なものといたしましては、ロのところでは、法人が業務運営等に関して評価の結果を反映させやすいよう、数段階評価に加えまして、改善する事項、目標設定の妥当性、法人の業務の特性や評価項目の性質などに応じまして評価に際して留意した事項等についても付記することを書いてございます。ヘのところでございますが、評価は4段階を基本といたしますが、法人の業務の特性などに応じまして、その段階を追加ないし簡素化することも可能ということでございます。
   引き続きまして、2) の「全体評価」につきましてでございますが、評価の結果を法人の業務の運営の改善に反映させやすいように、項目別の評価の結果を踏まえまして、法人の業務全体について総合的な観点から、その実績を記述式により評価するということにしてございます。
   次に、(3)の「実施要領」でございますが、評価者は最終的には9月末までに取りまとめるということにしてございます。
   続きまして、2ページ〜3ページにかけまして、「中期目標評価の内容」でございます。
   (1)の「評価の目的」でございますが、中期目標評価におきましては、事業年度評価の目的と同じく、法人の業務運営の改善ということが一つございますが、このほか、財務大臣が、次期中期目標の検討や研究所の組織及び業務全般にわたる検討のための情報を提供いただくということも重要な目的となってございます。
   ただ、(2)の「評価方法」のところでございますけれども、中期目標評価につきましても、基本的に事業年度評価と大きく変わるものではないということで、基本的に、事業年度評価のやり方を準用してございます。最後の注書きのところでございますが、中期目標の評価方法につきましては、今後、事業年度の評価を行っていく中で所要の見直しを行うということにしてございます。以上が基本方針でございます。
   次に、「評価の基準」についてご説明をさせていただきます。手書きのページの4ページをご覧いただきたいと思います。
   本基準では、前にも申しました、基本方針に従いまして、研究所における事業年度評価の評価項目、評価の指標、評価書の形式及び研究所の業務の特性に関する留意事項を記載してございます。
   1の「評価項目及び指標」と2の「評価書」につきましては後ほどご説明申し上げますので、先に3の「留意事項」のところをご覧ください。
   「留意事項」の(1)のところでは、研究開発では、開始後、しばらくはいいものが出なくても、ある時に突然素晴らしいものを発見するという場合や、その逆の場合などがあるという、いわば研究開発業務の特性について配慮して評価を行うということを書いてございます。
   (2)のところでは、研究所は「国の研究開発評価に関する大綱的指針」、これは平成13年11月に内閣総理大臣決定というものでございますが、これに基づきまして、外部有識者からなる研究開発評価委員会において研究開発評価を行うということとしてございますが、評価委員会におけます事業年度評価はこの研究開発評価と整合するよう取り組むこととするということが書いてございます。
   (3)のところでは、評価の際には、これから申し上げます別紙1に記載しております評価の指標以外の事項についても公表する旨を記載してございます。
   続きまして、手書きの6ページのところをご覧いただきたいと思いますが、この横表でございます。これは項目別評価とそれぞれの評価の指標をまとめたものでございます。なお、実際の評価の際に使用していただくことを予定してございますフォームはこれではございませんで、後ほど申し上げます「評価シート」というものを使用していただくことになっております。
   この6ページの項目別評価における項目につきましては、評価の結果の分かりやすさですとか、研究所の業務運営等への反映の容易さ、さらには、評価の効率性等々を考慮いたしまして、原則といたしましては、中期計画の中の「中項目」を一つの評価の単位としてございます。また、評定欄のところで、A、B、C、D、この4段階で評価するということになってございます。そして、一番右の列が「評価のための指標」ということでございますが、これらの指標につきましては研究所の中期目標及び中期計画から抽出しているところでございます。
   8ページをご覧いただきたいと思いますが、このページから11ページまでの(3)、「酒類及び酒類業に関する研究及び調査」のところですが、研究所の主要な業務でございまして、特に詳細に評価をして、研究所の業務運営の改善に反映させることにいたしまして、中項目より下位の項目を評価の1単位ということにしてございます。さらに、これら研究開発に係る評価項目につきましては、中期計画を上回る、例えば予定外の特許が取得できたというような特に優れた実績を上げるという場合もあり得ますので、A、B、C、DにA+ の評定を加えまして、5段階としてございます。
   14ページをご覧いただきたいのですが、短期借入金の限度額など、中期計画の遵守状況等を評価する評価項目でございまして、遵守した場合には○、しなかった場合には×、この2段階で評価することとしてございます。
   続きまして、16ページが実際に委員の先生方に評価を行っていただくための「評価シート」でございます。評価項目ごとに一つずつ合計37シートを作成しております。効率的に評価していただけますよう、各シートに評価に資する一連の情報をご覧いただけるように欄を設けてございます。また、評価に至った理由、今後の業務運営の改善等のあるべき方向性などの指摘事項を書き入れるための欄も設けてございます。
   最後の17ページでございますが、項目別評価の結果を整理し、さらに、全体評価を行っていただくための「総括評価シート」でございます。以上の37の項目別評価シートと最後の一つの総括評価シート、これを合わせまして評価の結果、すなわち評価書となるようにしてございます。
   私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
○富田分科会長
   ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、質問、意見等がございましたら、ご発言をお願いいたします。
○黒川臨時委員
   二つご質問をさせていただきたいのですけれども、まず1点は、当法人の役割として、このパンフレットのところに三つ書かれてございますが、この役割とこの資料3に書かれている具体的な業務との関係が、どことどこがどういうふうに結びついているのかがよく分からないというところが1点。
   それと、もう1点は今のご質問に関係するのですけれども、業務の内容を拝見させていただいて、どうも変質というか拡大というか、業務が、今までだったら主税局の品評会だとか鑑評会というようなものだったのが、DNAとか、ゲノムというんでしょうか、そういう遺伝子のところにも関連するところまで拡大されているというようなところで、法人の目的が非常に変質しているのではないかと。もし仮にここまで来るのであれば、本日、外の農林水産関係の法人もこういうところはやっているわけでございますし、また、文部科学省の法人との関係はどうなるのか。要するに、同じような分野のものをいろいろな法人が手がけてしまって分散化してしまっているという、そういうような傾向があるのではないかと。確かにそういうことを貴法人も感じられているのでしょうか、11ページに文部科学教官との併任を認めたり、そういうようなことをお考えになっているというのも今私が言ったようなことの関係が密になってきているからだろうということで、こういう交流ということなのでしょうけれども、もしかしたらこういう業務は要らなくて、ほかのところがやる、あるいは集約してしまった方がいいのかもしれない、そういうようなことを感じた次第ですが、その辺はいかがでしょうか。
○有働政策評価室長
   まず、最初のご質問でございますが、このパンフレットに書いてございます三つの目標達成のところとこの資料3の評価項目との関係が必ずしも明確ではないのではないかというご趣旨の質問と承りました。確かにぱっとご覧いただきますと、どこがどういうふうに関係するのかがすぐにはちょっと分かりにくいところがおありかと思いますが、7ページ目以下のところで、2のところ、大項目の「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置」というのがありまして、その中に更に中項目で、(1)「酒類の高度な分析及び鑑定」ですとか、(2)「酒類の品質評価」ですとか、(3)「酒類及び酒類業に関する研究及び調査」等々書いてありまして、12ページ目に(4)の中項目で「成果の普及」となっておりまして、13ページの(5)「酒類及び酒類業に関する情報の収集、整理及び提供」、(6)で「酒類及び酒類に関する講習」と書いてあるわけです。こちらの評価項目の方は中期目標、中期計画等の記述から取ってきたもので、確かにパンフレットとはぴったりは合っていないかのような印象かもしれませんけれども、この中項目のところを(1)〜(6)までご覧いただきますと、パンフレットの1、2、3のところをいわばブレークダウンしたような内容になっている、そういう関係になっているというふうにお見取りいただければ幸いでございます。
○寺内酒税課長
   2点目のご質問についてでございますが、必ずしも的確なお答えができるかどうかは分かりませんが、確かにこの研究所の醸造試験所時代からの役割というのは、長い歴史の中で変遷があることは事実でございます。当初は、先ほど申し上げました、もろみをちゃんとしたものにするといったところから入っているわけでございますし、ちゃんとしたお酒を造ると、そういうことを通じて酒類業の発展を図るというのが明治時代に発足した当初の目的であったと思います。しかし、そういうふうな長い歴史の中で、醸造の様々なアルコールに関する試験その他の発展した研究、バイオといいますか遺伝子レベルのところまでの研究と、様々な分野からのノウハウのもとに、醸造ということをジャンル、基盤として、独立行政法人になる前に、既に醸造試験所においてもそのノウハウを持っておりました。それを、様々な分野に生かせるような、発展させていくというような方向をたどってきたというのは事実でございます。その際に、他の分野におけます研究の関係につきまして、もちろんこの分野固有のものもございますが、包含するものもあろうかと思います。その点につきましては、そういった外のところと連携を取りながら、効率的に研究をするというふうに考えてございます。
○富田分科会長
   黒川委員、よろしいですか。
○黒川臨時委員
   そうですね。
○富田分科会長
   ほかに質問、意見等がございましたら。 竹内先生。
○竹内委員 この酒類に関する分析を必要としている、つまり、この分析の必要性というのは誰が決定をしているのかということ。つまり、需要はどこから生まれてくるのか、あるいは、それぞれの業者が酒類の品質に関してはそれなりの努力をして、実験をしたり、いろいろなプロセスをやっているわけですから、何故官庁が税金を使ってこのような、さらなる研究をしなければならないのか、個々の業者がやっているのと法人とは違うのか、あるいは、還元の必要性があるのかどうかということを含めて、誰がこの研究は必要だと言っているのか。そもそも、旧財務省主計局ですから、それはお酒の税金ということと結びついてこの管轄になっているのかと思うのですが、現在誰が需要者であるのかということについて教えてください。
○寺内酒税課長
   誰がそういう研究を決定しているのかということでございますけれども、財務大臣が、中期目標の中で、研究課題についてそういったことを研究しなさいというようなことを示すということになっております。
○黒川臨時委員
   今の竹内委員のご質問は私もちょっと考えていて、多分こうかなと思ったのは、酒税との関係があって、それで非常にこの役割も「酒類業の健全な発達を図ること」というのを目標にしているということは、陰に酒税があるから、だから、業者と国税庁は一体となって、利害が一致しているというところでここは財務省の管轄になっているし、その存在理由もあるのだろうというふうに私は自分で解釈してきたのですけれども、そういうところでよろしいんですか。
○寺内酒税課長
   確かにまさしくおっしゃるとおりでありまして、利害が一致すると言うと語弊がございますが、品質の確保ときちんとしたお酒ができるということはまず重要な要素でございまして、と同時に、その他販売業についても同じように酒類業の健全な発展の中で適正な利潤が確保される、その中でまた税金が確保されるのでございますので、そういう意味では、開発研究はそういった酒類業の健全化という中で位置付けられる、そして、最終的には酒税の確保、保全する意味でつながるという、そういう役割があろうと思います。
○竹内委員
   今の、主務大臣が決定しているというのは間違いだと思うのですね。この研究を必要としているのは、お酒を造っている方々ですよね、ではないのですか。つまり、この産業の健全な発展をすべき、あるいは、研究の開発を還元すべき相手、あるいは、いいお酒のランクをきちんと鑑定して、それが保証されているものであることを必要としているのは消費者であって、そこのポイントがないということは、主務大臣というのは最もいいかげんな回答ではないのかと。済みません、そのことだけ思いました。
○寺内酒税課長
   誤解を生んでおりましたら申しわけございませんが。酒税の確保をという観点も含め品質及び酒造技術の向上等を図るといったような研究を行うのであるということを、大臣が中期目標の中で指示をしているということでございます。したがって、先生がおっしゃるように、消費者利益のためにということがあるわけでございます。
○松田臨時委員
   もしお分かりであれば参考までに教えていただきたいのですが。このような研究をしている同様の研究機関で、公的なところが日本以外の国であるのか、あるとしたら、税金の部分と、さっきも言った生産者とか消費者にかかわる研究の部分との区分はどうなっているのか、お分かりの範囲で教えてください。
○寺内酒税課長
   こうした酒類総合研究所、類似の国立の研究所は、フィンランドにはあるようであります。その他の諸国においては、大学の研究所等で行っているようでございます。中国にも研究所があるようです。
○富田分科会長
   そのほかご質問はないでしょうか。
   評価に密接にかかわる質問が余りなかったのですけれども、ちょっと私からですけれども。
   37項目を挙げられたわけですが、これは委員の方々が評価されるわけですけれども、かなり専門的な知識が必要な部分もあるし、マネジメントのセンスで評価すべきところもあるのですけれども、委員の方々の心象風景を、事務局としてどのようにご覧になっているかちょっとお教えいただきたいのですけれども。つまり、なかなかパートタイマーとして評価委員が評価してできるようなものなのかどうか。特にこれは貴独立行政法人だけについて聞いているわけではないのですけれども、そこらの感想をお聞かせいただければと思います。
○有働政策評価室長
   今、富田先生がご指摘になったことはごもっともなご意見だと思います。この私どもの評価委員会の構成が、大きく分けますと、全体的なマネジメントにお強い方と、お酒というものについて製造、流通も含めてお詳しい方がいらっしゃるわけです。それで、この夏から秋にかけましてワーキンググループを設置しまして、業務運営全般といいますか、マネジメントを見ていただける方のワーキンググループと、専門的な見地からこの主要な業務であるこういう研究等について見ていただける、もともとお酒の業界に詳しい方のワーキンググループと分けまして、それぞれのワーキンググループでこの9月にいろいろ議論をしていただこうということを考えておりますので、そういった意味で、心象風景という言葉がありましたけれども、かなり専門的な世界なのですけれども、そういったことについて十分に評価をしていただく体制を整えたいなといいますか、整えるつもりであるというような、そういうことで評価の作業を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○樫谷委員
   9月末までに評価書をまとめることになっているので、時期がちょっと遅いのではないかと思うのですが、もっと早くならないんですか。評価書の取りまとめの時期は9月末と書いてあるので、一つしかないので、もっと早くできないんですか。
○有働政策評価室長
   9月末を目途に評価書を取りまとめるつもりで作業をいたします。
○樫谷委員
   他のところは9月末ぐらいに出てくるんですね。財務省は一つしかないんですから、もう少し早く提出するとか。というのは、全体の作業は予算の問題とかあるので、その作業の進行状況で、もっと前倒しにしていただくと大変我々としても助かるということです。
○有働政策評価室長
   なるほどそういうご意見もあるかもしれませんが、実は私どもが酒類総合研究所から報告書を頂戴したのが、6月末でございます。これから作業を進めるということでございますので、お気持ちはよく分かりますけれども、8月中とかそういうことですとちょっと回数が足りないなと。かなり専門的なこともありますので、4回、5回は開いて評価の作業をしたいなと思っていますので、9月末ということでお許し願えれば大変ありがたいと思っておりますが。
○樫谷委員
   できるだけ早めに、総理からのご指示もあったと思いますが、早めにお願いしたいと思います。
○富田分科会長
   そのほかにも質問はあるとは思いますけれども、事務局を通じまして資料等のご提示をお願いしたいと思います。
   有働政策評価室長、寺内課長におかれましては、本日は、ご多忙の中、また、お暑い中ですけれども、大変ありがとうございました。
   最後に私より一言コメントをさせていただきたく存じます。
   去る7月9日の閣僚懇談会及び総理と各府省独立行政法人評価委員会委員長との懇談におきまして、総理、総務大臣から各府省評価委員長に対しまして、厳格かつ迅速な評価を実現するよう要請が行われたとともに、評価結果を、業務運営の改善、役員人事、予算等に反映するよう指示が行われたところであります。また、その他において、評価結果の予算への反映を考えると、貴委員会からの評価結果の通知を受けて行う当委員会の評価も含めて、11月初旬を目途に予算の関連については評価が終わっていることが必要となります。このため、各府省評価委員会における評価がそれに間に合うよう、できるだけ早く行われるよう配慮していただきたいとの要請も話されたところであります。貴事務局としても、これらの要請を踏まえ、委員会の評価活動に対する十全の補佐をお願いしたいと存じます。
   どうもありがとうございました。
   続きまして、厚生労働省独立行政法人評価委員会の評価の取組について、ご説明をいただきたいと思います。
   本日は、厚生労働省政策統括官付の唐澤政策評価官にご出席をいただきました。厚生労働省評価委員会における独立行政法人評価の取組についての説明を15分ほど、お願いいたします。説明の後、質問、意見等を伺いたいと思います。
   それでは、唐澤政策評価官、よろしくお願いいたします。
○唐澤政策評価官
   厚生労働省の唐澤でございます。それでは、時間も限られておりますので、資料に沿いまして簡潔に厚生労働省の評価委員会の状況についてお話をさせていただきます。
   まず、厚生労働省が所管をしております独立行政法人でございますけれども、先生方のお手元の中に1枚紙の「厚生労働省所管独立行政法人の概要」という資料がございますが、それをご覧いただきたいと思います。
   独立行政法人の概括的なことをお話しさせていただきますと、三つございますのは、まず、国立健康・栄養研究所、産業安全研究所、産業医学総合研究所の、三つの研究所が厚生労働省所管の独立行政法人でございます。これはいずれも基礎的な研究を行う研究機関ということでございます。
   それから、業務の内容につきましてはパンフレットをご覧いただきたいと思いますが、その前に職員数と予算のところをご覧いただきたいと思います。国立健康・栄養研究所につきましては、職員は40人ということでございますので、規模という意味では小規模な研究機関でございます。予算は9億 5,500万円というのが14年度の予算でございまして、そのうちの上段の9億 5,500万円が運営費交付金、それから、下段の方の自己収入が 5,000万円ということになっております。これは主に競争的資金でございまして、そういう競争的な研究資金を獲得するというのが主な自己収入の内容でございます。それから、産業安全研究所も、職員数は49人でございまして、予算の規模も12億 6,600万円というのが運営費交付金、自己収入が 800万円でございます。産業医学総合研究所は、76人の職員数で、14億 4,300万円という14年度の予算でございます。これはいずれも所在地が、新宿区、清瀬市、神奈川県の川崎市というところにございます。
   それから、業務の概要に参ります前に、厚生労働省の独立行政法人の評価委員会の委員についてお話をさせていただきます。名簿がございますので、そちらをご覧いただきたいと思いますが、委員数は全部で15名となっておりまして、委員長は黒川清東海大学総合医学研究所長、委員長代理が開原成允財団法人医療情報システム開発センター理事長となっております。全体といたしましては、研究内容が分かる専門的な委員と、それから、経済学あるいは法学あるいは経営学というような関係の先生方を中心といたしまして、15名の委員で構成がされています。
   次に、研究所の概要を少しお話しさせていただきたいと思います。まず、健康・栄養研究所のパンフレットをご覧いただきたいと思います。3ページをお開きいただきますと、この栄養研究所の組織が構成されておりまして、一言で申しますと、この研究所の研究内容というのは三つございます。一つは、栄養学の関係の研究、二つ目は健康増進ということで、運動の関係の研究、こういう関係のものが二つの大きな研究でございます。それから、三つ目に生活習慣病の研究ということで、近年、非常に生活習慣病が多くなってきておりますので、この三つの分野が主な研究分野になってございます。そのほかにこの法人の業務といたしましては、下の方にございますが、一つは、国民栄養調査という調査を毎年国で実施をしておりますけれども、その集計・分析を実施しております。それからもう一つは、食品保健機能の関係でございまして、これは特別用途食品と言われているものがありますけれども、これは例えば腎障害というような方にはたんぱく質を除去した食品を摂っていただくということがありますけれども、そうした内容になっているかどうかをここで試験するということでございます。あるいは小麦に対するアレルギーというような方がおりますけれども、そういう小麦のアレルギー源を除去した例えばビスケットというような、そういうようなものの試験をしているという、いわば実際の試験業務を実施しておるところでございます。
   それで、この研究所はいわば基礎的な研究でございますのですぐに応用研究につながるようなものはございませんけれども、近年の関係で特に重要なものを申し上げますと、糖尿病に関することがこの研究所の中では非常に重要な事柄になっております。と申しますのは、糖尿病の患者の方、あるいは、その予備軍といいますか、少し手前の状態の方というのが大変増えておりまして、こういう方というのは本来は極めてカロリーの摂取が高いということですので、人間としては自然の条件に最も適合しやすいといいますか有利な条件の人なのですが、飽食の時代にはかえって不利になっているということでございます。それで、現実に一番大きな問題になっておりますのは、糖尿病の障害などには三つの大きな障害がございまして、一つは網膜障害ということで失明、二つ目は神経障害、三つ目は腎障害ということで、人工透析の方が非常に増えております。特に高齢者の糖尿病による人工透析の医療というのは毎年増えておりますので、やはり糖尿病に対する研究というのが非常に重要になっているというのが現状の状況でございます。
   それから、次の産業安全研究所のパンフレットをご覧いただきたいと思いますが、4ページをご覧いただきたいと思います。そこに「研究所の活動」というものがございますので、左の方の「産業安全研究所」の欄をご覧いただきたいと思いますけれども、調査研究活動と国際的な協力というような事柄をこの研究所ではいたしておるわけでございます。
   具体的にどんな研究をしているかというのは次の5ページに書いてございますが、一番イメージをつかんでいただきやすいと思いますのは、まずここにございます「機械システムの安全研究グループ」、これは例えば機械に挟まれて災害に遭ったとき、例えば人間がその機械に接触をしたり、あるいは何かに挟まれるような状態のときには、自動的に機械が止まるというような形で産業の安全あるいは職場の安全を確保していくというのがこの研究所の使命でございます。それから、次の7ページをお開きいただきますと、これは、作業現場でございますとか、足場のようなものですとか、8ページの下の方にございますけれども、クレーンの安全性とか、そういう関係での労働災害あるいは事故というのは非常に多いわけでございますので、そういう事故の防止、人間のエラーも含めて、安全をどうやって確保していくかということを研究しているのがこの研究所でございます。それから、この安全研究所につきましては労働災害の調査機関になっておりますので、災害が起こった事業所に対して国で強制的な事故原因の調査をする場合にはこの研究所にもその調査の協力要請がありますので、その調査を行って、その結果を本省に提出する、こうした業務もいたしております。
   最後に、産業医学総合研究所でございます。こちらの資料につきましては5ページをお開きいただきたいと思いますが、「作業条件適用研究」というのがございますが、これは、ストレスでありますとか、あるいは長時間労働による人体への影響、あるいは職業的な疾病の発生というような事柄を研究してございます。それから、7ページをお開きいただきますと、こちらは化学物質による人体への影響。ここにございますのは内分泌かく乱物質でございますとか有害因子等の物質というような事柄、こういうような事柄につきましてこの産業医学総合研究所で研究を行っているというのが主な業務でございます。
   今度は、パンフレット以外の通常の資料の方をご覧いただきまして、厚生労働省の独立行政法人の評価の基準についてお話しをさせていただきます。
   平成13年6月という日付になっているものでございますけれども、厚生労働省の独立行政法人の業務実績の評価につきましては、総合的な評価と個別のものに対する評価の二つをあわせて行うということにしております。総合的な評価につきましては、これはいわば法人全体の状況についての客観的な評価になるわけでございますけれども、その設置目的に照らして、業務により得られた成果というものが、ここにございますような、公衆衛生、労働者の安全、あるいは健康の確保というものにどの程度寄与するものであるかということをまず第1の重点的な視点にいたしまして、評価を行ってございます。次のページをお開きいただきまして、同時に、本来の目的に対してどの程度貢献したかということと同時に、効率性、有効性等の観点から、適正に業務を実施したかどうかということで、本来的な目標と業務の効率性という観点から総合的な評価を実施していくということでございます。
   それから、個別の評価でございますけれども、こちらの方は中期目標に掲げた事項、具体的には、中期計画、それから、各年度計画に対応させていただくわけでございますけれども、そうした項目につきまして個別の評価を行うということでございます。この個別評価につきましては、SからA、B、C、Dということで、5段階の評価を行っております。
   ちょっとシートの方をご覧いただきますと、3研究所の個別的な評価の評価シートがございますので、イメージだけ申し上げますと、一番左に中期目標がございまして、中期計画、評価の視点という形で、評価というか、視点に対比をいたしまして評価をする。ここにSからA、B、C、Dの5段階の記号を付けていくという形になるということでございます。個別の項目は、研究所ごとに多少の数の違いはございますけれども、大体30項目程度の項目につきましてそれぞれ評価するという形にしております。
   それから、個別の評価につきましての留意事項につきましては、先ほどの評価の基準の方の資料に戻っていただきまして、厚生労働省の評価委員会の方で幾つか意見がございましたものを並べたものでございますけれども、一つには、数量だけでなく質についても公表する、あるいは予期せぬ事情についても考慮する、あるいは外部の専門家の研究評価、次のページに参りまして、業務実績という結果だけではなくて費用対効果、あるいは独立行政法人の利点の活用、中期計画に掲げられていない事項で顕著な業績となったような事柄、あるいはインセンティブを与える制度や環境の整備というような事柄についても併せて留意をするということでございます。こうした形で、現在、厚生労働省が所管をいたします独立行政法人につきましての評価を進めていきたいと存じます。
   なお、最後に一言ご発言をさせていただきますと、厚生労働省の独立行政法人は現在三つでございますけれども、この15年度、16年度に合わせて10個の法人が新たに独立行政法人に移行することになっております。特に、この国会時点で法案が提出されておりますけれども、16年度には国立病院が独立行政法人になります。これは全部で大体 200弱ぐらいの、法人は一つですが、病院は 200弱ぐらいありますし、そのほか、社会福祉・医療事業団でございますとか、労働・福祉事業団というような特殊法人関係のものがございまして、全部で、15年度、16年度を合わせて10の法人が新たに独立行政法人に追加されることになります。
   以上、概要を簡単にお話しさせていただきました。
○富田分科会長
   ありがとうございました。
   ただいまの唐澤政策評価官のご説明について質問、意見などがありましたら、ご発言を願います。
○山本専門委員
   1点だけお尋ねしたいのですが。評価の基準で、資料4−3に係ることなのですが、説明を聞いておりますと非常に素晴らしいなと思っておったのですが、総合的な評価と個別的な評価の関係でございますが、個別的な評価の、例えば国立健康・栄養研究所の個別的なシートを見ておりますと、実は総合的な評価の1) から2) の、例えば「社会的ニーズ及び行政的ニーズ」というのは9ページに入っておりますし「国民に対して提供するサービスその他・・・・・・」とか、12ページの方に「成果の積極的な普及及び活用」となっていますし、2) のやつも最初の6ページ辺りに出てくるわけですね。そうすると、結局、国民の視点に立っていわゆるニーズ等を達成しているかどうかというような評価に対して、私は外の府省の評価委員会よりも考え方としては大変評価しているのですが、せっかくのご苦労が少し、これではまずいので、どういうご議論があったのかを教えていただきたいのですけれども。
○唐澤政策評価官
   実は今進行中のところで、ミッションの作成をどういうふうに評価するか、私どもも悩んでいるところでございます。それで、この個別評価につきましては、私どもの方では全委員に記入をしてもらいまして、その平均点を算出して、そしてもう一度議論をしてもらうということを考えておるのですけれども、それを今先生がお話しになった総合的な評価にどういうふうに反映するかというところは実はこれから議論をしていただくという状況でございます。今いろいろな先生方から出ていますのは、例えば産業安全研究所のクレーンの研究のようなものについては、現実にはこの研究所以外には研究する機関がない、余りその研究そのものを行っても経済的なインセンティブは備わらないということもございまして、そういうものをどのぐらいのスパンで評価していくかということを議論されております。むしろ、評価委員会としては、研究機関については中期計画の段階で、あるいは終了の段階で、そのミッションの達成なり、あるいは全体について更に厳しく評価をしていくということで、なかなかその研究そのものは単年度では顕著な業績というのが出ることは少ないだろうというご意見が出ておりまして、まだ点数はついておりませんので私がそんなことを言うのはあれですけれども、研究所としては大体このぐらいだろうと。Aがつくというのはかなりいい研究をしないとつかないと。Sがつくのは例えば『ネイチャー』とか『サイエンス』に報告として大きく掲載されたというようなことがあればSがつきますけれども、毎年毎年研究のミッションについての評価が高いものが必ず出るということは難しいのではないかということがございます。
   そういう点では、ある意味では、個別の評価というのは、むしろ単年度の中期目標に対してどうかという視点を中心に見ていって、ミッションの達成は中期目標の方で見るようにしたらどうかと、そういうような意見もあるのが実情でございます。
○山本専門委員
   そうすると、総合評価と併せてやるということは、もう放棄されたということですか。
○唐澤政策評価官
   いや、放棄はいたしませんけれども、そこで単年度ごとにすごく素晴らしい評価が必ずできるかどうかというところを見れるかどうかというのは私どもも感じております。
   それからもう一つ、実は、これは研究所でございますので、研究機関共通の悩みではないかと思っておるのですが、研究の成果というのはなかなかその評価時点までははっきり完全にまとまった形で出てきていないということがあって、むしろ研究実績というよりは前提のものの方がよく分かるというような実情でございまして、大部評価もまだ十分こなされていないというか、やれておるのですが、こなされていないというような状況でやらなければいけないところが多少この研究所にはあると。
○村松委員長
   今のお話と関連すると思うのですが、今年は初年度ということかもしれませんけれども、ずっと研究は前から続いているわけで、完成しそうな研究もたくさんあろうかと思うんですね。そうすると、それらについては、中期計画からいうと1年目であっても、本当はもう完成するものとかが実際にはあるのではないかと思うのですが、その辺りはちょっと違う基準かなという感じがするのですけれども、どんなふうにお考えでしょうか。
○唐澤政策評価官
   研究については大体3年1クールで回っているようなものが多うございまして、やはり単年度だけで研究をまとめるというのは難しくて、3年間の資金の確保ができて、大体1クールで研究を終わらせているというのが実情ではないかと思います。今年出ているのは、前々年のものについての研究評価はできると、あるいは、中途のものは中間評価でやりますので、必ずしもまだ十分にはなっていないというのが実情でございます。
○梶川専門委員
   こちらの国立健康・栄養研究所の例を見ると、外部の研究者というのはかなりここでは受け入れて作業をされていると。と申しますのは、こちらの職員数は40名というお話でいらっしゃるのですけれども、パンフレットの2ページ目の「組織概要」を見ると、これは組織単位だけでも40を超える人がいる部門というふうになられていると思うので、組織単位と職員の人数のバランスとすれば、かなり他の研究者を外部から受け入れて全体をおやりになっているのかというのが一つ、事実関係のご質問です。
   それと関連で、この評価の中で、ほかの研究機関さんの場合、それ自身も難しいのですが、研究の内容に関する中期計画だったり評価という部分があるのですが、こちらは少し評価の視点として出てこられるのが、例えば、調査研究の業務が適切に遂行されているかとか、システムの開発状況、活用状況はどのぐらいかと、研究自身の具体的なテーマに関する具体性というのが余り評価視点として列挙されていないような気もするのでございますけれども、その辺に関して何かお考えがおありかという。外部の方が多くいるとすれば、その外部者が出す評価の研究の成果の絶対的な成果でございますが、その辺をこの研究機関としてはどのようにこの評価に考慮をされるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。いなければいないでもちろん結構でございます。
○唐澤政策評価官
   特に独立行政法人になりましてから、今、梶川先生からお話がありましたけれども、外部の研究員を活用していくといいますか、そういう研究の仕方をしていこうというインセンティブがございます。具体的には、流動研究員でございますとか、あるいは任期付きの採用。これまでは結局ずっと公務員として長く採用するという前提で行っていたものを、任期付きの、例えば5年というような形のものでございますが、それから、流動研究員というのは外部との共同研究とか、そういう者が増えてきておりますので、かなり栄養研究所にもそうした人間が現実におります。
○梶川専門委員
   今はどれぐらいおられるんですか。
○唐澤政策評価官
   そんなにまだ、もちろん何十名もはおりませんけれども、10名ぐらいではないかと。ちょっと正確には覚えておりませんが。
○梶川専門委員
   この組織体はむしろ今後の発展形なんですか。例えばこのパンフレットの1枚目の部屋とかを数えても、これだけでも30とか40という組織体にはなっていないですよね。職員数は40名しかおられませんよね。
○唐澤政策評価官
   だから、一つの研究室にたくさんの人数がいるほど研究員はおりませんので、実際はチームでやっておりますので。
○梶川専門委員
   組織単位も流動的にやられているということですね。
○唐澤政策評価官
   はい。特にこの栄養研究所では、今一番力を入れておりますのは、カロリーメーターと申しますか、密閉した部屋がございまして、そこで呼吸・代謝でどのぐらいカロリーを消費するかというのを測定する作業がございまして、そんなようなものは実際は一つの部屋で対応し得る。結局は、率直に申しまして、狭い部屋ごとに予算が配分されるわけではありませんので、研究テーマに沿って資金が出ますから、それに沿ってチームを組んで研究しているということでございます。
   それから、先ほどお話ししませんでしたけれども、独立行政法人になりまして特許の取得というのが国立研究所の時よりは出てきていまして、特許の取得というのがございます。ただ、現実に取得した特許が実用化されるかどうかというのはまたちょっとあれなのですが、そういうインセンティブはございます。
○黒川臨時委員
   これは研究法人に共通に問題かもしれないのですけれども、特に今回は労働環境のところで、労働環境の工学なんかは学会なんかも当然ありますし、私も聞いたことがありますけれども、多分ライバルというのは大学の研究機関等々でやっていると思うんですよ。ですから、こういう独立行政法人が何で必要なのか、同じような研究を各大学でもやっているのに、全部はやっていませんけれども、そういうこともやっているのに、何で必要なのか。それから、そこから出てくる研究業績は、大学は社会に対して貢献する、例えば学生が参加しますから非常に教育効果もあるわけです。そういうところに注目されてポストドクターを受け入れるとか、結構そういうのが評価項目に入ってくるのでそういうことだと思うのですけれども。
   要するに、何で今後ともこういうところが必要で、存在する理由があって、ここでやっていかなければならないのでしょうか。そういうような視点は評価する上で入らなければいけないのではないかと。そういうのは検討されたことはございますか。ここでやっているから必要、ここでしかできないんだよと。先ほど少しお話しになられた、非常に箱物がいいという形で、確かに産業医学総合研究所は私の近くというか、外側から見たことがあって、確かに天皇陛下が行幸されたぐらいの、外側から見ると、中には入れませんので、確かに素晴らしい、幾らお金かかっているんだろうなというようなところだと思うんですよね。こういうのは箱物は素晴らしいのですけれども、それであれば箱物を貸して、いろいろな研究者を、若手を呼んでやっていくとか、そういうのもあると思うのですけれども。そういう長期的な存在理由とか、長期的なビジョンとか、何故ここが国のお金で、我々の税金でやらなければいけないのか、その辺を評価する上で何かお考えになられていますでしょうか。
○唐澤政策評価官
   大変本質的なご質問をいただいたのですが、いろいろな分野がありまして、大学でも研究が行われております。ただ、大学の研究部門だけで十分なのかどうかという点が一つ。それから、三つの研究所について申し上げますと、まず、栄養学の関係は、大学の研究部門というのは基本的には弱いんです。何故かといいますと、栄養学というのは基本的には医学の範疇に入ってくるのですが、医学部で栄養学を専攻する人はほとんどいないんですね。それで、栄養関係の大学というのは女子大が多いんです。女子大では余りこういう試験管を使うような研究をしていないというとちょっと誤解があるので問題がありますけれども、なかなかこういう研究に取り組まれていないということがございます。
   それから、産業安全研究所の方は、言葉は不適切なのですが、寄せ集めたような研究機関になっておりまして、例えば先ほどのクレーンのような研究は工学系の研究なんですね。それから、化学物質のところはこれまた化学系の研究になって、人間工学とはまた別、という意味で産業安全研究所の研究者というのはいろいろな団体からちょっとずつ出ている感じなんです。だから、寄せ集めみたいな研究機関なものですから、なかなかそういう点では同じようなことをやっているところが少ないのと、なかなか産業安全研究所のような研究機関はほかに大学にもないということで、競争的研究資金が取れないといいますか、そういうカテゴリーがないんですね、研究費のカテゴリーの中にないというような事情もございます。
   産業医学の方は、まだ産業医科大などがございますので、産業安全研究所に比べればよその大学でも研究を実施されていると思いますけれども、先生のご指摘になられた事項というのは、これはやはり私どもとしては常に考えていかなければいけない事柄であろうと思います。研究の成果について、どうやって本当に必要だということを理解してもらうか、あるいは、理解していただけないような水準になっているのではないかということは考えていかなければいけないことだと思っております。
○竹内委員 
   今の質問と若干関係しているわけですけれど、最初の、健康・栄養関係の研究の目的、アウトプットを見ますと、比較的はっきりしていて、政策立案と基準を作るということとエネルギー商品の基準を作るという、比較的インフラっぽい研究をしていて、一応これは比較的差別化できるのではないかというふうに見えるのですが、そういう認識でいいのかどうか。
   それから労働災害の方に行きますと、今の話にございましたように、構造物の建設現場における倒壊による人命の危険というのは、国土交通省の土木研究所でもやっているではないかというふうな分野がございます。それから、機械の安全整備に関するものも、ほかでもやっているのではないかと思うんです。むしろ化学処理に関するものは比較的差別化ができるのではないかと思うんです。今のお話だと、並列的にやっているからいいとおっしゃるのですが、この中で土木系のものは要らないのではないかと、何故労働災害のところに入れるべき研究なのかどうかというのが。
   3番目として、これで最後ですけれども、運営費交付金以外の収入の確保というところに「競争的資金」というのがあるのですが、こういうものは各省の直轄の研究所が一生懸命お取りになることが果たして日本の研究環境にとっていいのかどうか。つまり、もともと自立性が弱い、比較的政策のためにやっている。しかも、さっきの栄養に関しては比較的政策ですが、産業安全は余り目的がはっきりしない、いわゆる「社会的使命」という言い方をして、何に使うのかということははっきりしない。こういうふうなものに対して競争的資金、つまり税金ですね、税金を公的機関が公的機関に放り込むということが果たしてこれからどんどん望ましいことなのか、これによって財務が改善して良くなったという方向が正しいかどうか、これは私の基準を超えておりますので、ちょっと結論は出ないんですね。研究機関というようなところに競争資金というか税金が入って、この三つの点が気になりました。
○富田分科会長
   先に松田委員の質問を、これは最後の質問にいたしまして、唐澤政策評価官にお答えいただきたいと思います。
○松田臨時委員
   二つありまして、どちらも特に健康・栄養研究所に関係すると思うのですけれども。今もお話があったように、ここは特に政策との関係も強いですし、普通、独立行政法人の評価というのは、効率的に、小さくするためにお話が進みがちなのですけれども、例えば本当にこのことが成果に結びついて結果として医療費が将来すごく削減されれば、それをもっと充実していかなければいけないということもあると思うのですが、この研究の成果が本当の政策の結果として現われてくるようなことをどう評価していくのかというのがちょっとこの評価のスキームでは分かりにくいので、もちろん独法だけの評価ではできなくて、政策との関係だと思うのですけれども、そこにどう反映させていくのかというところを。アメリカなんかはNHにどんどんお金を入れている、それで医療費削減とかをやっているわけで、その辺りの関係をどう考えたらいいのかということ。
   それから、この研究所は研究の基礎になるいわゆる国民栄養調査のような調査の事業もしていらっしゃるのですけれども、そちらは徹底的にどう効率化するかだと思うんですね。14ページの趣旨だけを見ると、すごい税金で調査の処理をしていらっしゃるなという感じがあって、この計画の中に処理を8カ月から6カ月にというような目標も掲げておられるのですけれども、これはどこまでコンピューター化するかによってこの計画自体もどんどん変わってくるでしょうし、結果としてそれがマネジメントのいろいろな削減にどう関係するのかというその辺がちょっと見えないので、その2点について、いわゆる業務的な部分の目標のあり方について教えてください。
○唐澤政策評価官
   竹内先生のご質問の関係からでございますけれども、栄養面の方が確かにお話のように分かりやすいと、身近な、生活に関係する事柄ですから、ほかのものよりは分かりやすいです。それから、安全研究所の方は、いわば労働災害の強制的な基準づくりとか、そういう関係の研究もかなりしているものですから、そういう点では、確かに機械の安全性という観点からは土木研究所と重なるところはあるかもしれないというご指摘はあろうかと思いますけれども、労働者の労働災害という視点から研究をするという機関があとどのぐらいあるだろうかという点については、私どもは、この研究機関以外にも本当にあるのだろうかという気持ちは持っております。強制的な基準を作成するという観点からはやはり必要なのではないかと考えております。この点についてはいろいろご意見があろうかと思いますが。
   それから、競争的資金のお尋ねでございますけれども、これはなかなか難しいお尋ねだと思うのですが。独立行政法人に、あるいはこういう研究所になりましてからは、昔のような機関に対する研究資金というのは非常に減ってきておりまして、いわば機関にそのまま渡す機関研究費みたいなものはどんどん削減されているというのが実情です。だから、研究をしたいのであれば、競争的資金を自分で取りなさいと。これは独立行政法人だけではなくて、国立のまま残っている研究機関についても競争的資金を取りなさいということになっているのが今の実情でございまして、そういう点では、取れない研究者は研究ができない、それは、そもそも競争的資金の研究費というのは、そういう近いところではなくて、外の研究機関なり、あるいは外部研究者なりのところに持っていくべきではないかということが一つご意見としてございますけれども、独立行政法人について現状を申しますと、どうしても取らざるを得ない、いろいろなものを取りに行かざるを得ないというのが実情でございます。
   それから、恐縮でございますが、松田先生のお尋ねでございますけれども、栄養研究所の研究というものが本当に政策に結びついていけば、これは大変効果のあるものであろうと思います。その辺の枠組みをどうやって評価するのかという。現実に行われた研究はすべてが大型のものではございませんので、それがどうなったら次のステップに行くのかというところは、私どももどういった基準でそれを評価すべきかというのはまだこれから考えていかなければならない宿題であろうと思っております。お尋ねのような視点でこの研究所を見ながら評価をしていく必要があろうかと思います。
   それから、栄養調査の処理の関係でございますが、確かに、これはいろいろ事情があるのですけれども、今までの集計・公表については遅いというご指摘がございまして、特に研究者の方からございました。そこを、独立行政法人になりましたので、早く処理をしていこうということで、実際は栄養研究所の方でも努力をしているところです。それから、コンピューター化をどうやってしていくかというのはとても重要なことだと思いますけれども、かなり進めてはいるのですが、一番栄養調査の中でコンピューターのところをどうやって合理化するかというのは、献立の中身なんです。ある方が立てた献立を全部書いてもらいますので、その中に入っていたもの、例えばインゲンが何グラム入っていて、何本入っていて、味噌はどのぐらい使ってという、その献立を全部書いてもらうことになるのですが、非常に種類が多くなって、そこをどうやって効率化するかというのは私どもがこれから工夫しなければいけない点だと思います。
でも、これはできるだけデータを早く集計して、ほかの研究者の外の方にも使っていただけるようにしていきたいと思います。
   以上でございます。
○黒田臨時委員
   業務と基礎研究の関係というのは非常に重要です。どうしたらいいかということは私にはよく分からないのですが、やはり競争的資金を取って、そこがほかよりも優れているということを打ち出すことができればそれはいいのかもしれないと思っております。例えば環境ホルモンについては、これも環境省の国立環境研究所などでも、大学でも研究しています。今、ここでは「労働環境における」という単語がついているわけなのですが、それに特化できればいいのかなと思うのですが。
   ここからが質問なのですが、自己資金というのは、競争的資金(これは運営費交付金なのですが)だけではなくて、例えば民間から委託をされることはあり得るのでしょうか?例えばこういう研究は非常に優れているのでやっていただきたいという依頼で、民間からの委託は受けるということはあり得るのでしょうか、あるいはお考えになっているのでしょうか、お聞かせください。
○唐澤政策評価官
   民間からの研究資金でいただけるものは全部いただくというのは基本的な考え方です。ただし、現実には、まだ栄養研究所の方がそういう委託研究は受けやすいのですが、労働関係の研究機関では、特に安全研究所には現実にはそういう研究委託をしているというところはないというのが実情です。医学的な研究の部門の方はそういうこともあり得るし、可能性はありますが、ただ、余り期待はできないというのが実情でございます。
○富田分科会長
   このほかにも質問はあるかと思いますけれども、事務局を通じて資料等の提示をお願いしたいと思います。
   唐澤政策評価官におかれましては、本日は、ご多忙の中、大変ありがとうございました。
   最後に私から少しコメントをさせていただけたらと存じます。
   去る7月9日の閣僚懇談会及び総理と各府省独立行政法人評価委員会委員長との懇談におきまして、総理、総務大臣より各府省評価委員長に対しまして、厳格かつ迅速な評価を実現するよう要請が行われたとともに、評価結果を、業務運営の改善、役員人事、予算等に反映するよう指示が行われたところでございます。この評価結果の予算への反映を考えますと、当委員会も評価を行うわけですので、それも含めまして11月初旬を目途に評価が終わっていることが必要となります。ということで、貴委員会におかれましても、それに間に合うよう、できるだけ早く厳格かつ迅速な評価を行いたいというふうに存じます。
   どうも、今日は、唐澤政策評価官、ありがとうございました。
   予定より30分ほど押してしまいましたが、ここで一旦休憩ということで、5分後に再開いたします。
(休憩)
○富田分科会長
   それでは、会議を再開いたします。
   農林水産省独立行政法人評価委員会の評価の取組についてご説明をいただきたいと思います。
   本日は、農林水産省大臣官房文書課の増田調査官にご出席をいただきました。農林水産省評価委員会における独立行政法人評価の取組についての説明を25分ほどでお願いしたく存じます。そして、ご説明の後、質問、意見を申し述べたいと思います。
   会場は5時半までということでありますので、効率的に議事を運びたいと存じます。
   それでは、増田調査官、よろしくお願いいたします。
○増田調査官
   農林水産省の増田でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
   それでは、私の方から農林水産省の所管になっております独立行政法人の評価基準についてご説明をさせていただきます。
   まず初めに農林水産省の独立行政法人でございますが、現在、17の独立行政法人を所管しております。類型的に申しますと、試験研究が8、文教研修が2、その外7というような形になっております。
   各法人の概要につきましてはお手元にお配りしております資料5−1に17法人の業務が、簡単ではございますが、列記されたものがあるかと思います。
   これに対しまして評価する側の体制でございますが、次のページに資料5−2という形で、評価体制を挙げてございます。全体で評価委員会は委員30名、それは四つの分科会を持ってございます。具体的には、農業分科会、農業技術分科会、林野分科会、水産分科会という形で、それぞれ各独立行政法人を分担して担当するというふうになってございます。
   評価基準の策定の手続きの関係でございますが、評価基準につきましても、基本的には各分科会でご検討いただくという形で評価基準が作られてございます。中には分科会の中で更に各委員の先生の担当の法人を決めて、言ってみればプロジェクトチームといったような形で基準を作っていただいたところもあるというふうになっております。
   お手元に17法人の評価基準すべてが渡っておるわけですが、ここでは全体的な評価基準の策定の考え方について総括的にご説明をさせていただきたいと思います。
   まず初めに、評価基準の基本的な考え方でございますが、評価基準に関しましては、平成11年に中央省庁等改革推進本部が決定いたしました「中央省庁等改革の推進に関する方針」という中で、独立行政法人制度についても取り上げられてございます。その中で評価基準に関しまして客観的な評価の基準、例えば「中期目標の達成度合いに応じた数段階評価による」というような記述がございます。単に拠り所がなかったということもございますが、基本的にはこの規定を参考にして評価基準を作ってございます。具体的には、中期計画あるいは中期目標の項目の達成度合いを判定するというための具体的な指標を設け、各それぞれの指標ごとに達成度合いに応じた評価結果を設定するというような形で作られております。また、特にその評価結果につきましては、それを次年度以降の業務運営の改善に反映していくということが重要ということから、その評価に当たりましては、その評価結果とともに、業務運営の改善すべき点など、そういうものについて勧告などを記述するという形で、広くいろいろ改善すべき点については併せて言っていただくというような形になっております。
   次に、指標を定める評価単位でございますが、評価単位につきましては、中期目標あるいは中期計画というのは通則法にそれぞれ記載すべき事項が法定されているわけでございます。これがそれぞれの各独立行政法人の中期目標なり中期計画のいわば大項目という形で項目が立ってございます。さらに、その大項目ごとに具体的な内容が中項目あるいは小項目といった形で並べられて中期計画が作られてございます。そういう中で評価の指標といたしましては、より具体的に評価を行っていくという観点から、中期計画の中項目あるいは中項目以下の小項目といった単位でそれぞれ指標を定めるというふうになってございます。
   さらに、評価の仕方でございますが、評価の仕方といたしましては、当省の場合は中期目標は基本的に5年となっておりますので、その5分の1、中期目標の5分の1を達成指標といたしまして、それを全部達成しているかと、あるいは一部達成、あるいは未達成というような考え方のもとに、原則として、達成度合い90パーセント以上をいわばA、50〜90の間をB、50未満をCというような形で、原則3段階ということで置いてございます。ただ、特に調査研究などの分野におきましては、特に優れた成果が得られるというような場合もありますので、3段階の上にSというような形で、特に著しい業績を上げたというような形のものも評価できるように4段階になっているものもございます。
   一方、中期目標の5分の1を定量的に出せるものについては、今のように、基本的になるべく定量化するということになっておるわけでございますが、一方で、特に基礎研究の研究分野などはなかなか5分の1とか定量的に測りづらいというものもございます。これらにつきましては、原則的には定量化を進めるべきだと思いますが、なかなか現状はそこまでいかないということもありまして、定性的に計画どおりに業務が順調に進んでいるか、やや遅れているか、遅れているというような形で、定性的に指標の判断をするというふうになっているところもございます。
   次に、今のは中項目あるいは中項目以下の小項目の各項目の評価の仕方でございますが、これを、例えば中項目ですと、中項目を使っていかに大項目を評価しているかというのが次の問題になるわけでございますが、これにつきましては、原則的な考え方といたしまして、下位項目の段階評価を点数化いたしまして、その点数のトータルによって上位項目の評価を決めるという形を一般に採ってございます。具体的には、各項目を全部足し上げたときの、いわば満点といいましょうか、例えばAならAを2点、Bを1点、Cを0点としたときに、「項目数×2」というのが基本的に満点というふうになるわけですが、その満点に対してどの程度達成したかということで上位項目の評価をするというのが原則になってございます。ただ、この場合、いわば単純に計算すると全部同じというふうに評価しているわけでございますが、場合によっては各項目の重要度が著しく異なっているというような場合には、機械的に点数化しますと実態にそぐわないというようなこともあることから、必要に応じて各項目間のウエイト付けをするということになってございます。
   そのような形で中項目あるいは大項目のそれぞれの項目ごとの評価をしていくわけでございますが、更にその上に総合評価というものがございます。総合評価の部分につきましては、ここは若干法人によって異なっているわけでございますが、今ご説明したように、下位項目の点数合計化というような形で総合評価をしているというものもある反面、なかなか機械的に総合評価をするには馴染まないのではないかというようなものにつきましては、各項目ごとの評価を踏まえつつ、当該評価を行うに至った経緯、あるいは特殊事情というようなものを総合的に勘案して評価を行うというような形で、単純な点数の合計化とは別に総合評価をしていくというふうになっているものもございます。また、特に総合評価を行うに当たりましては、単に評価をするというだけではなく、そういう評価をするに至った経緯ですとか、特記すべき特殊事情、あるいはその他等の併せて記載すべき事項というのを書いていただくというふうになってございます。
   以上のような形で総合評価をするというふうになってございます。
   それともう1点、これは私の方から、今日この場で事務局の方から評価基準をご説明するということで、当省の場合は7月16日に当省の評価委員会があったわけでございますが、その場で一応ご報告をしたときに、委員の先生が確認ということで言われたことでございますが、今の評価基準というのはまさに評価が始まる前の段階で作ったものであると、そういう意味で、実際に評価をしてみて適当かどうか、あるいは、次年度以降に評価をするに当たって適当かどうかというのはまだまだ検討途上であると、評価基準の中にも「評価のより適正な実施を図る観点から、随時評価手法の見直しを行う」ということが書いてあるはずだということで、今回の説明に当たりましても、委員の先生から、評価基準というのは13年度の評価を行うに当たっても随時必要に応じて見直しがされるものだということを確認してほしいというようなご発言がありましたので、あえてこの場で一言申し添えたいと思います。
   以上、基準の方は一つ一つ説明すべきなのかもしれませんけれども、時間の関係もございますので、総括的なところでご説明いたしましたが、当省からはご説明は以上でございます。
○富田分科会長
   ありがとうございました。
   ただいまの増田調査官のご説明について質問、意見などありましたら、ご発言願います。
○宮脇臨時委員
   これは分科会ごとに分けていらっしゃるわけですけれども、例えば農業技術分科会の中に農業技術と類型される同種類の法人というのがあるわけですけれども、これらの法人について相互比較をする中で、例えば分科会として、相互の役割ですとかそういうものに重複があるとか、あるいはもっと効率的に全体としてやれるのではないかとか、そういう視点というのはどこかに組み込むというようなやり方になっているのでしょうか。各事項を見ますと、例えば相互連携とか協力という部分があって、「ほかの独立行政法人との役割分担に留意しつつ研究目標を・・・・・・」という形になっているわけですけれども、分科会で一つ括ったということは、ほかの法人に比べれば類似性はあるということで、相互比較の中でそういう法人ごとの業務の関係といったところの視点というのがあるのかどうか。
   もう1点、同じような問題なのですが、農業技術研究機構などの場合には組織の中に従来の研究所あるいは研究センターというのをたくさんお持ちになっていらっしゃるわけですけれども、それぞれの研究所についての同じような機能の問題というのを積極的に取り上げるといったような視点というのはどこかに組み込まれているのか。この点は、十分は見ていませんので、もしかするとあるのかもしれませんけれども、どの辺を見たらいいのかということをちょっと教えていただければと思います。
○増田調査官
   法人における相互の関係の部分でございますが、基本的な我々の認識で言いますと、年度の評価というのは基本的に中期目標なり中期計画の達成度合いで判断をするというふうにとらえております。したがいまして、年度の評価というのは、例えばここは外の法人でやるべきだとか、あるいは重複があるというのを、もちろん併せて意見を言っていただくというようなことはあるかもしれませんけれども、評価そのものを対象としてそういうことをとらえているかというと、それは多分入っていないと思います。ただ、この独立行政法人の制度につきましては、5年ごとの中期目標の達成時においては、特に独立行政法人としてそれぞれの業務を行っていく必要性なども併せて見ていくことになりますので、そこにおいては重複などがあれば当然ご意見なりで、あるいは重複をして、かつ整理した方がいいというようなことであれば、意見はあろうかと思います。
   各法人の中の部分につきましては、私も個々の法人の中の業務について完全に熟知はしておらないわけですが、基本的には法人の中で完全なる重複はないはずであります。ただ、事業の、例えば業務の仕方とか、あるいは組み合わせの仕方とか、そういう中で、ほかの組み合わせにした方がより効率的な研究ができるというようなことであれば、それは併せて言っていただくということになるかと思いますが、クロスしているかどうかというようなことを指標に挙げているかという部分については、多分、現状では挙げていないだろうと思っています。
○武田専門委員
   今のご質問と若干関係するのかもしれませんが、所管の独立行政法人の分科会の分け方なのですけれども、冒頭のご説明で、試験研究、文教研修、その他というご発言があったかと思うのですが、この分類としては、農業分科会、農業技術分科会、林野分科会、水産分科会という分けになっているんですね。外部から見ますと、例えば文教だったら文教で合わせるとかですね、そういうことをご検討なされた上でこういう分けになっているのか、その分類の根拠と申しますか、その辺りをお聞かせ願えますか。
○増田調査官 
   分類につきましては、例えば試験研究とか文教とか、カテゴリー別に分けるべきではないかという意見とか、そういうものがあるということは承知しておりましたが、一方において、一つには、現状で言いますと、今のこの分科会はどういう考えで分けているかといいますと、具体的には、所管の局なり、そういうのも考え、各分科会ごとに事務局を持っているわけですが、分科会の事務局がある程度動きやすいようにということも考えてございます。
   それともう一つ、特に林野、水産について研究部門とは別に分けた理由といたしましては、当省の場合、17という法人がありまして、委員数は全体で、これは審議会の共通ルールとして30というのが決まっております。そういう中で、研究分野あるいは林野の部分を複数の分科会に分けたりしますと委員の先生の配置が非常に難しくなるというような現実の問題もございまして、今のような分け方になってございます。
○松田臨時委員
   一つは農業技術研究機構についてお尋ねをしたいのですけれども、こちらはとても大きな組織で、役員の方が9人もいらっしゃいますよね。そうすると、独立行政法人全体の評価を、最終的に責任を負うのは長だと思うのですが、9人の役員の方々の責任がその評価で明確になるようなそういう仕組みになっているのかどうかというのが一つ。
   もう一つは全体的なことで、評価基準の考え方のA、B、Cのランクの付け方なのですけれども、Cは達成度合いが50パーセント未満となっているのですが、これは、一般的に考えると、もともとの目標の設定の仕方自体がよほどずれていないと50パーセント未満というのはないのではないのかなと思うのですが、こういう基準になった議論の背景というか、その辺りを。よほどチャレンジングな目標を設定している項目があるのか、それとも、その設定自体が非常に難しいものでこういうふうになったのか、その辺りを教えてください。
○増田調査官
   最初のところの役員の関係ですが、評価そのものが、評価をするに当たって、これは何とか役員の部分ですよというのはもちろんないわけですけれども、一方、役員ごとに担当というのは決まっておりますので、結果として合わせればその評価がどの役員の担当の分野かというのは分かるはずです。
   それともう一つ、50パーセント未満をCの評価にしたという明確なものはありません。そういう意味で、どこで切ればいいのかというのも非常にそれはそれで問題があるし、あるいは、今、委員がおっしゃったように、やってみたら全部がAだと、要するに、指標として、あるいは評価の基準として、そもそも馴染まないのではないのかということになれば、あるいは区切りの仕方というのは見直していくべきなのかもしれません。ただ、それもまだこれから初めての評価をするという段階ですので、そこはもう実際にやってみて、ケース・バイ・ケースで改めるべきところは改めていくということになるんだと思います。おっしゃるとおり、達成度50パーセントはそんなにあってはならないことだということも一方であるわけですけれども、事務方としても50パーセント未満ということは特段の事情がない限りはないのかなという感じは持っております。
○山本専門委員
   簡潔に申し上げますと、水産大学校だけがその評価のウエイト付けがいわゆる自主的な申告といいますか、自らがウエイト付けをしまして、それを評価委員会が修正するという、これは非常に変わった方式であるわけですね。外の府省等で例えば航空大学校等はそうではなかったわけで、農業者大学校もそうではない、それは多分大学評価学位授与機構の学士などの評価に乗ってくるので教育機関としての特性を考慮されたような気もするのですが、ちょっと私は国立大学の評価の絡みも少しあるものですから、そこら辺のお考えをお聞かせ願いたいと思うのですが。
○増田調査官
   申しわけございませんが、水産大学校については、基本的に大学の方でウエイト付けをして評価委員会に提出すると、これを参考に評価委員会の方で作っていくというふうにはなっておるわけでございますが、ちょっとそこに至った背景というのは私の方も承知しておりません。
○竹内委員
   幾つかの研究所があるのですけれども、やはり農業技術研究機構の規模が非常に大きい、研究員が 2,800人、これが大きいから問題だとかそういうことを言うつもりはないのですが、研究機構としては非常に膨大な規模のものであると。それで、研究テーマをいろいろ拝見したのですけれども、ここでやっている研究の成果をどのように活用するのかと。つまり、果物の研究とか、日本人はどのぐらいお茶を飲めばいいかとか、いろいろな研究が入っているのですけれども、ここの研究の成果は一体誰が活用するのか。
   中を見てみますと、目標値として、ここの研究員は博士号を取ることを目標とすべきであるとか、国際会議になるべく頻繁に行くことにしようとか、何か研究者を育てているという側面が強くて、我が国の非常に問題となっている農業というこの産業の本来の育成というか、そういうことについてはっきりとした評価にはつながらないような感じがするのですが。今、地方では、本当に減反であるとか、土地が余っていて、果物を作りたいのだけれども果物の技術が分からないとか、放っておくと草になってしまうとか、現場ではものすごく悩んでいらっしゃる農業者がたくさんいらっしゃって、運営とか経営とか、たくさん技術が足りないと悩んでいる方が果たしてここの研究成果を本当に使えるのかどうか。400億円に近いお金はむしろそういう人たちに直接研究資金として行った方がいいのではないかとか、いろいろなことを考えるのですが、何故これだけの、 2,800人ですか、集中的に研究をして、しかも、アウトプットの国際会議であるとか、博士号であるとか、研究者として立派になれとか、というのはここの目標設定の仕方がちょっと分からない。
   それで、どのように農業者がここの研究成果にアクセスできるのかと。インターネットも恐らく最近は、農家の方がどのぐらい使うかは分からないのですけれども、どのぐらい詳しい成果を使えるのかという、そこら辺についてお伺いしたいのですけれども。
○増田調査官
   農業技術研究機構につきましては 2,800人というかなり大きい研究機関でございますが、これは、本所というのはつくばにあるわけですが、つくばの外に各地域ごとに、各地域といっても、例えば東北、北海道とか、そういう意味での地域ですが、その地域の特性に応じた農業に関する研究というような形で、各地域にございます。各地域ごとで、地域の農業者あるいは農業関係の県の方々とか施設とか、そういうような交流は行われて、そういう場でもそれまで得た知見の活用というのは行われているというふうに思っております。そういう意味で、本所だけで、研究者だけが常に研究をしているという形にはなってございません。
   それともう一つ、確かに博士号を取るとかそういうことも書いてあるわけですが、これは職員の資質の向上の一環として、博士号を取ることそのものが目的ではないわけです。職員がよりよい研究をしていく、そういうインセンティブを与えていくという一つの方法として資格を取るとかそういうのも中期目標なり中期計画にも載せているということになっております。そういう意味で、資格を取ることそのものが目標ではないというのはおっしゃるとおりだと思います。
   また、成果の活用については、確かに、特に基礎研究の部分もあって、その活用の仕方をもっと積極的にやるべきではないかというのはおっしゃるとおりで、どんどんその成果の方法についてはより良いやり方というのを考えていく必要があるかと思いますが、中期目標の中でも、成果の公表ですとか普及の促進というようなものは計画に掲げられていて、それらについても一応どの程度の取組であったのかというのは評価の一環として取り上げられるというふうにはなってございます。ただ、委員のご指摘のように、もっとそれはやるべきではないかということについてはおっしゃるとおりかもしれません。
○竹内委員
   例えばこの研究所の規模を半減するというのは。
○増田調査官
   規模を半分にするというのは、今やっている研究を半分にするという意味ですか。それは、ちょっとご趣旨がよく分からないところがあるのですが、成果も半分になってしまうということではないのでしょうか。言ってみれば、今、掲げている中期目標で言えば、多分達成度合いは50パーセントかその近辺ということではないかなということだと思います。
○宮脇臨時委員
   事実関係だけ教えてください。今の農業技術研究機構と農業生物資源研究所なのですが、ここのいわゆる予算の「その他収入」のことなのですけれども、自己収入や委託費、この辺の、どういう割合だとか、そういうことはお分かりなのでしょうか。もしお分かりならばそれだけ教えていただきたいのですが。
○増田調査官
   自己収入か委託費かというのは、17法人の概要に付けております14年度予算の欄の一番下の項目の更に内訳というご趣旨ですか。すみません、直ちには分からないですが、基本的には委託費だと思っております。
○宮脇臨時委員
   これは後で結構ですので、どこが委託費か。大きく言って、個別名称は要りませんから。どういうところから委託があるのか。
○黒川臨時委員
   それでは、農業者大学校と水産大学校、この授業料はどのぐらいかということをちょっと。自己収入の最後の欄を人数で割ればいいということですか。というのは、例えば水産大学校にしても、1学年 200人未満で、教職員を合わせると 170人とかで非常に恵まれているので、どのぐらいの授業料を取っているのかという。農業者大学校も非常に恵まれていますよ、いい場所にあるし。
○増田調査官
   授業料については私は承知しておりませんので。
○富田分科会長
   それでは、今日の質問で出ましたことと、また、そのほかにも質問があれば、事務局を通じて資料等の提供等をお願いしたいと思います。
   増田調査官におかれましては、本日は、ご多忙の中、大変ありがとうございました。
   最後に私より一言コメントをさせていただきたく存じます。
   去る7月9日の閣僚懇談会及び総理と各府省独立行政法人評価委員会委員長との懇談において、総理、総務大臣から各府省評価委員長に対し、厳格かつ迅速な評価を実現するよう要請が行われましたとともに、評価結果を、業務運営の改善、役員人事、予算等に反映するよう指示が行われたところであります。また、評価結果の予算への反映を考えますと、貴委員会からの評価結果の通知を受けて行います当委員会の評価も含めまして、11月初旬を目途に評価が終わっていることが必要となります。このため、貴委員会におきましても、それに間に合うよう、できるだけ早く評価がなされるようご配慮をいただきたいということでございます。
   以上でございます。
   どうもありがとうございました。
   それでは、以上をもちまして、本日の政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を閉会いたします。
   本日はどうもありがとうございました。

〔了〕