政策評価に関する標準的ガイドライン
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平 成 13 年 1 月 15 日
政策評価各府省連絡会議了承 |
[標準的ガイドラインの性格] |
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第1 政策評価の目的及び基本的枠組み |
1 目 的 |
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(1)
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「国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底すること」 |
政策評価の実施を通じて、行政と国民との間に見られる行政活動に関する情報の偏在を改善し、行政の透明性を確保することにより、国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底し、行政に対する国民の信頼性の向上を図る。 | |
(2)
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「国民本位の効率的で質の高い行政を実現すること」 |
政策評価の実施を通じて、民間でできるものは民間に委ね、政府の行政活動の範囲について行政が関与する必要性がある分野に重点化・適正化を図るとの観点を徹底することにより、「行政サービスの利用者」としての国民が求める質の高い行政サービスを必要最小限の費用で提供する効果的・効率的な政策運営を実現する。
また、政策評価の結果を企画立案やそれに基づく実施に反映させるとともに、政策評価の継続的な実施を通じて得られる知見を行政組織が学習・蓄積していくことにより、政策の質の向上及び行政の政策形成能力の向上が図られる。 |
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(3)
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「国民的視点に立った成果重視の行政への転換を図ること」 |
政策評価の実施を通じて、政策の実施のためにどれだけの資源を投入したか(インプット)、あるいは、政策の実施によりどれだけのサービス等を提供したか(アウトプット)の上に、サービス等を提供した結果として国民に対して実際どのような成果がもたらされたか(アウトカム)ということを重視した行政運営を推進することにより、政策の有効性を高めていく。また、職員の意識改革を進め、手続面を過度に重視するのでなく、国民的な視点に立って成果を上げることを一層重視する行政運営に重点を置くことによって、国民にとって満足度の高い行政を実現する。 |
2 政策評価の基本的枠組み |
(1) 「政策評価」の概念 |
中央省庁等改革に伴い導入される「政策評価」とは、「国の行政機関が主体となり、政策の効果等に関し、測定又は分析し、一定の尺度に照らして客観的な判断を行うことにより、政策の企画立案やそれに基づく実施を的確に行うことに資する情報を提供すること」であり、 「企画立案 (plan)」、「実施 (do)」、「評価 (see)」を主要な要素とする政策の大きなマネジメント・サイクルの中にあって制度化されたシステムとして組み込まれ、実施されるものである。 |
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(a)
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国の行政課題に対応するための特定の目的や目標を持ち、 |
(b)
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これらを実現するための手段として、予算、人員等の行政資源が組み合わされた行政活動(案の段階のものも含む。)が目的に照らしてある程度のまとまりになっており、 |
(c)
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行政活動の実施を通じて、一定の効果を国民生活や経済社会に及ぼすもの |
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(a)
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政策の効果等に関する情報・データを収集し、合理的な手法を用いて測定又は分析すること、 |
(b)
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測定又は分析した結果について、政策の目的や目標などの一定の尺度に照らして検討し、客観的な判断を行うこと、 |
(c)
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政策の企画立案やそれに基づく実施を的確に行うことに資する情報を提供すること |
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(2) 評価の対象範囲 |
政策評価の対象としての政策は、多くの場合、「政策(狭義)」、「施策」及び「事務事業」と言われ用いられている次のような区分においてとらえることができる。
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(3) 評価の実施主体 |
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(注)
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「総務省」という場合には、「評価の総合性及び厳格な客観性を担保するための評価を行う、評価の専担組織としての総務省」と、「一府省として自らその所掌する政策について評価を行う総務省」という両者の立場が含まれ得るが、ここでは前者の意味で用いており、以下、「総務省」という場合には、同様の意味で用いることとする。 |
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(a)
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対応すべき行政課題を最も把握しやすい立場にある各府省が自ら評価を行い、その結果を自ら企画立案やそれに基づく実施に反映させることで、実効ある改善・見直しが行われ、政策の質の向上が図られること。 |
(b)
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各府省は所掌する政策について最も詳しい情報・データを有しており、各府省が自ら評価を行うことによってこれらの情報等が整理され、評価結果等として公表されること。国民はこれらの情報を利用して行政活動の実態を把握することが可能となり、また、政策に対する理解や行政課題に対する認識を深めることにもつながること。 |
(c)
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各府省が政策評価を通じて得られる知見を学習・蓄積し、以後の政策の企画立案にいかしていくという過程を確立することによって、その政策形成能力が高まること。 |
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(a)
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必要に応じ、学識経験者、民間等の第三者等の活用を図ること(後述イ参照) |
(b)
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可能な限り客観的な情報・データを用いて評価を行うよう努めること(後述第2の2(3)参照) |
(c)
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評価の結論のみならず、可能な限り、用いたデータや仮定等の前提条件等に関する情報の公表に努めること(後述第2の5 ア参照) |
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専門知識の活用を期待するのか、チェック機能を期待するのか、また、どの程度の役割を期待するかなど、第三者の活用についての基本的な考え方をあらかじめ明確にしておくとともに、コスト等についても十分に勘案した上で効率的な実施にも配慮すること |
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外部研究機関、コンサルタント等を活用する場合は、評価に用いる情報・データや前提条件、得られる結果などについて委託者である各府省が適切な説明を行い得るようにすること |
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委託とする趣旨を踏まえて、外部研究機関等の専門調査研究機関としての地位を尊重すること |
第2 政策評価の実施に当たっての基本的な考え方 |
1 評価の時点 |
政策評価には、評価を行う時点によって、基本的には事前及び事後の評価があり、政策の性質によっては途中(中間)の評価がある。 |
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「事前の評価」:
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政策の実施前の時点における評価については、政策の採択や実施の可否を検討したり、複数の政策代替案の中から適切な政策を選択する上で有用な情報を提供できる。 |
「事後の評価」:
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政策を一定期間実施した後や政策の実施の終了後の時点における評価については、政策の効果に関し、実際の情報・データなどを用いて実証的に評価を行うことができる。政策の改善・見直しや新たな政策の企画立案及びそれに基づく実施に反映させるための情報を提供できる。 |
「途中の評価」:
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ある程度継続する政策の実施途上における評価については、政策の進捗状況や達成状況を把握することによって政策の的確・着実な実施の推進のための情報や、社会経済情勢の変化を踏まえた改善・見直しのための判断情報を提供できる。 |
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2 評価の観点、一般基準等 |
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3 評価の方式及び実施の考え方 |
(1) 評価の方式 |
各府省は、以下の標準的な三つの評価の方式を踏まえつつ、所掌する政策の特性や各々の分野における政策評価に対する要請などに応じて、適切な評価の方式を採用し、実施するものとする。 その際、三つの標準的な評価方式の主要な要素を組み合わせた一貫した仕組みにより評価を行うなど、実態に即した取組が可能なものとする。 |
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(2) 事業評価 |
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(3) 実績評価 |
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(4) 総合評価 |
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(a)
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実績評価において、目標の妥当性の検討や目標に対する実績の評価の際に、掘り下げた総合的な評価が必要と判断された場合 |
(b)
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法律の見直し条項による制度の見直しや、期限が到来した時限法のその後の対応の検討を行う場合 |
(c)
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各種中長期計画の策定や改定を行う場合 |
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4 評価結果の政策への反映 |
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5 評価結果等の公表 |
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第3 各府省の政策評価 |
1 実施体制・組織 |
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2 政策評価の実施要領の作成等 |
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評価対象、時点、実施主体、主な内容 |
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段階的かつ計画的に実施する場合は、その手順 |
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第4 総務省の政策評価 |
1 総務省の役割 |
総務省行政評価局は、政策を所掌する各府省とは異なる評価専担組織の立場から、各府省の政策について、統一的若しくは総合的な評価を行い、又は政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価を行う(具体的には、第1の2(3)ア(イ)の(a)から(d)のとおり。)ほか、府省と連携しつつ、ガイドラインの見直し、政府全体の評価結果及び政策への反映状況等の取りまとめ・公表、「政策評価各府省連絡会議」の開催等の事務を行う。 |
2 政策評価の実施要領の作成等 |
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3 行政評価・監視との関係 |
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第5 そ の 他 |
(1) 政策評価関係部門の連携 |
総務省は、政策評価担当組織相互間の連携を密にし、政策評価制度の円滑かつ効率的な実施を図るとともに、政策評価の取組を促進し、評価の質の向上を図るため、次のような事項について連絡・協議することを目的として、各府省の政策評価担当組織の長等により構成される「政策評価各府省連絡会議」を開催するものとする。
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(2) 人材の養成・確保 |
総務省は、各府省の協力を得て、各府省及び総務省の政策評価を担当する人材を養成・確保するため、次のような方策を推進するものとする。
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(3) 政策評価に関する所在情報の整備 |
総務省は、各府省の協力を得て、各府省の評価結果等評価に関する情報の所在情報を国民が一元的、かつ、容易に検索できるクリアリング・ハウス機能の充実を図るものとする。 |
(4) 評価手法の調査研究 |
各府省及び総務省は、それぞれの評価の実施の必要に応じた評価手法の調査研究を進めるものとする。 |
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(5) ガイドライン等の見直し |
政策評価制度は新たに導入される制度であり、実施の過程を通じてその改善・発展が図られることとなる。したがって、総務省及び各府省は、政策評価の実施状況、評価手法の研究開発の動向等を踏まえ、必要に応じガイドラインや実施要領を見直し、改定するものとする。 |
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