政策評価・独立行政法人評価委員会(第15回)議事録



1.日時 平成14年4月26日(金)14時00分〜16時20分

2.場所 中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
 (委員会)
      委員  村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、
樫谷隆夫、竹内佐和子
 臨時委員  宇賀克也、金本良嗣、高木勇三、田辺国昭、新村保子、雨宮肇、
黒川行治、松田美幸
 専門委員  翁百合、木村陽子、吉野直行、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、
山本清、山谷清志
 (総務省)
     若松副大臣、塚本行政評価局長、広瀬審議官、橋口行政評価局総務課長、
新井政策評価官、讃岐評価監視官、塩谷評価監視官、
石川政策評価審議室長
4.議題
 (1) 行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画の審議(「経済協力(政府開発援助)に関する政策評価」)
 (2) 客観性担保評価に関する審議
 (3) 平成14年度予算編成等への政策評価の活用状況の説明






○村松委員長
   時間が来ておりますので、これより政策評価・独立行政法人評価委員会の第15回会合を開会したいと思います。
   本日の議題に入ります前に、委員の異動がございました。独立行政法人評価分科会の大田委員が3月31日に辞任され、内閣府参事官に御就任になられました。そこで、これに伴いまして4月から松田美幸さんが臨時委員となられました。松田委員に簡単にごあいさつをお願いいたします。
○松田臨時委員
    こんにちは。
   今御紹介いただきました松田でございます。本業は麻生総研のディレクターということで、福岡を中心にセメントの製造や病院経営をしております企業グループの経営戦略策定等をやっております。昨今のニューパブリックマネジメントの動きの中で地元の福岡市あるいは福岡県の行政経営改革のお手伝いをしておりまして、昨年からその流れで国土交通省の独法の評価委員会あるいは政策評価のお手伝いをさせていただいております。そういった意味では、民間のマネジメント手法であるとか、経営改革手法を行政にということでのお話だと思っておりますので、未熟ではありますが、御一緒させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。お手元に新しい委員名簿が配布されていると思います。御参照いただきたいと思います。

[行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画の審議(「経済協力(政府開発援助)に関する政策評価」)]

○村松委員長
   それでは、初めに行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画について審議したいと思います。まず、資料に基づきまして事務局の方から御説明をいただきたいと思います。
○塩谷評価監視官
   それでは、資料1をお開きいただきたいと思います。14年度の第1期ということで、「経済協力(政府開発援助)に関する政策評価」という資料がお手元に配布されていると思います。これに基づきまして説明をさせていただきます。
   資料は大きく分けまして2種類ございます。クリップを外していただきますと8枚ペーパーと2枚ペーパーに分かれております。
   まず、最初に8枚ペーパーの方の「第1期  行政評価等計画(案)」というところで、「経済協力(政府開発援助)に関する政策評価(総合性評価)」という欄の目的、ここに今回の調査のスタンスあるいはねらい等が濃縮されています。目的欄を全文読み上げたいと思います。
   「我が国の政府開発援助は、「政府開発援助大綱」(平成4年6月30日閣議決定)に基づき、開発途上国の自助努力の支援を基本として、これらの国における人造り、社会経済基盤及び基礎生活分野の整備等を通じた健全な経済発展の実現等を目的として実施されている(援助額:平成12年約1兆4,465億円。平成3年以降世界第1位)。
   しかし、政府開発援助については、我が国の厳しい財政事情等を反映して、「財政構造改革の推進について」(平成9年6月3日閣議決定)において、量から質への転換の必要性が指摘されているなど、その改革、見直しは重要な行政課題となっている。
   政府開発援助は、技術協力、有償資金協力、無償資金協力等多様な援助形態の下、技術協力を外務省等13府省及び国際協力事業団等が、円借款を外務省、財務省及び経済産業省の3省と国際協力銀行が、その他の有償資金協力を国際協力事業団、国際協力銀行、農林水産省及び経済産業省の所管する公益法人が、無償資金協力を外務省及び国際協力事業団が実施しており、関係機関が多数に及んでいる。
   このため、政府開発援助を効果的、効率的に実施する観点から、1)「政府開発援助大綱」において、各援助形態等の有機的連携・調整を図ることとされている、2)「政府開発援助に関する中期政策」(平成11年8月10日閣議報告)において、各援助形態を一体的にとらえた国別援助計画を順次策定し、公表すること、各種協力形態・機関間の有機的な連携を一層促進すること、政府全体を通じた連携・調整のシステムの確立を図ることとされている、3)「行政改革大綱」(平成12年12月1日閣議決定)において、関係府省間の協力関係の緊密化等を図ることとされているなど、政府全体としての取組により、その総合性を確保することが求められている。
   この政策評価は、政府開発援助について、関係行政機関の各種施策が総体としてどの程度効果をあげているかなどの総合的な観点から、一括して、全体として評価を行い、関係行政の今後の在り方の検討に資するため実施するものである。」
   この欄の調査対象機関を見ていただきますと分かりますように、ほぼ全省庁にわたっております。調査対象機関もJICA、JBIC、それ以外の関係団体、この中にはいろいろな公益法人、NGOあるいは民間のコンサルタント等、いろいろなところを考えております。
   2ページ以降の資料については、時間の関係もあり紹介は省略させていただきますが、「政府開発援助(ODA)の予算(年度)及び援助実績(暦年)」という欄、2番目の資料を御覧いただきますと、平成12年度の支出純額の実績で、我が国は1兆 4,465億ということで、これは次の表にありますように、平成3年以降、我が国は世界一の地位を占めているということでございます。
   次に2枚ペーパーの方に「「経済協力(政府開発援助)に関する政策評価」(総合性評価)の調査概要(案)」というペーパーがございます。平成14年、15年度にかけて、私どもの局でどういう形でこの調査を進めていくかということの概要でございます。
   1は行政評価等プログラムの抜粋の部分でございます。アンダーラインを引いてございますが、平成14年度、15年度にかけまして経済協力について総合性評価を実施することを明記しております。
   さらに、2は今後のタイムスケジュールを平成13年度から書いてございます。これは平成13年4月から主に技術協力を中心としまして、先行といいますか、ガイドラインを基に他省庁が関係する政策の評価という形で入っております。したがいまして、今後14年度、15年度は資金協力なりを中心に調査し、全体をとりまとめるということで、この2か年でやっていきたいと思っております。
   どういうことか、下にちょっと書いてございます。文献レビュー、これは今もやっておりますし、今後とも文献レビューは積極的にやっていきたいと思っております。
   さらに、一番下に中間報告ということで14年度に括弧で書いてございます。13年度からやっているということもありまして、できましたら今年度、適当な時期にこの委員会において中間的な報告をさせていただければと思っております。
   3の調査体制でございます。1)は私ども外務・文部科学担当評価監視官室でございますが、私ほか3ないし4人で実施するということでございます。しかしながらODAという非常に幅広いあるいは非常に専門的な分野でもございます。2)において外部有識者によるアドバイザリー・グループ4、5人程度の設置を予定しております。当然、こういう方々に調査の視点・内容・方法についていろいろなアドバイスを受けながら効果的かつ効率的な調査を進めていきたいと思っているところでございます。
   委員の皆様においてもこういうグループで適当な方がいらっしゃれば、ぜひ御推薦等をいただければありがたいと思っているところでございます。
   4の調査方法でございます。当然、関係省庁はほぼ全省庁にわたります。さらには実施機関、JICA、JBIC等の特殊法人、さらには公益法人等からの資料収集、ヒアリング等をやってまいります。2)、3)、4)と相当幅広い形での海外調査も含めまして、今後、実施する予定にしております。
   続きまして、大きな1枚表でございますが、チャート図について御説明していきたいと思います。
   御存知のように政府開発援助の目的は平成4年6月に閣議決定されております政府開発援助大綱の中で、まず開発途上国の自助努力を支援する。さらには広範な人造り、あるいはインフラストラクチャーあるいは基盤生活分野の整備を通じて、資源配分の効率、公正、さらには「良い統治」の確保を図り、その上で健全な経済発展を実現すること、これが我が国の政府開発援助の基本的な目的です。もちろん政府開発援助は外交政策の一環であることは当然でございまして、まさにそこには高度な政策判断等を伴っている部分があることは否定できないところでございます。
   政策の仕組み等については、大体皆様御案内だと思います。基本的に我が国のODAというのは二国間援助と多国間援助に分かれています。二国間援助のうちの贈与が技術協力と無償資金協力ということでございます。技術協力はほとんど全省庁にわたっています。無償資金協力は外務省、と言っても実際はJICA(国際協力事業団)がその実施促進事務をやるということですが、大体外務省を中心にやられています。さらに政府貸付という中では円借款、これはいわゆる3省体制といいますか、昔は経済企画庁を加えた4省庁体制と言われておりまして、現在は外務省、財務省、経済産業省、さらに実施機関としてのJBICがあるということです。その他の投融資、これにはJICAもございます。さらには公益法人等々、いくつかのところが投融資事業を実施しているということでございます。
   それでは、最近における「ODAを巡る動き」という真ん中の欄でございます。我が国は世界第1位の援助供与国になっている。しかし、一方で財政事情等を反映して量から質への転換、まさに成果重視の援助ということが最近強調されております。したがいまして、ODA予算そのものは12年度以降、3年連続して削減されている。特に今年度、14年度は前年度比で10%の減となっております。
   次の三つ目の○でございます。先ほど紹介しました11年8月の政府開発援助に関する中期政策、これは閣議報告でございますが、この中で次に書いてありますようなことを表明しております。特にアンダーラインを引いた部分でございます。これまで以上に国民の理解と支持を得てODAを実施していくことが不可欠だということ。さらには、これまで以上に効果的かつ効率的に援助を推進する。さらに、広く国民に対して十分な説明責任を果たすということが必要である。さらに、開発援助に対してはいろいろな援助形態がございます。こういう各種援助形態の効果的な組み合わせなどによって、国ごとの事情に適合した支援、あるいは開発の効果を増すためあらゆる援助主体の持つ利用可能な資源との役割分担と連携を念頭に置き、政府一体で進めていく。そういう包括的なアプローチが必要かなということです。
   「なお」以下で書いてありますのは、御存知のように中央省庁等の改革においての基本方針、特に中央省庁等改革基本法という平成10年にできた法律、その第19条の外務省の編成方針というところで、ODAについては外務省が対象国に関する援助方針の策定、その他の全体的な企画等について調整の中核としての機能を担うということになっております。この辺については新しい外務省の設置法の中でも明記されているところでございます。
   一番右の欄でございますが、「評価のスキーム」ということで、設問1から4まで掲げてございます。第1点は、多数の府省庁が多様な形態で実施する我が国のODAというものは、各省全体として、政府全体としてどういう体系になっているのか。その辺のところについて我々として把握していかなければいけないのかなと思っております。
   実はここのところで、四角で囲んだところでございますが、ロジック・モデルというものを把握しなればいけないと書いてございます。これは政策評価を行う前提として当然、体系的な国別の援助戦略、そういうものの存在が不可欠である。さらには、援助計画とか政策の目標、成果を事前に明確にしていないことには、評価と言っても定量的な面も含めてなかなかできないのではないか。我が国でも国別の援助計画、現在12か国でつくられていますが、こういうものの策定国を拡大していく、また、その援助計画の中身を充実することが不可欠ではないかと言われております。ロジック・モデルとはどういうものかということで、先ほど説明した資料の8ページを見ていただきたいのですが、これは外務省がコンサルティング会社に委託した調査の中で、このようなイメージが、今後、それぞれの国においてできていかなければいけないとされているロジック・モデルの一つの例でございます。戦略目標レベル、中間目標レベルあるいはプロジェクト・レベル、こういうそれぞれのレベルにおいてそれなりの指標を掲げていく。その指標に基づいて我が国がどれだけの成果を上げたかということの評価をやっていく必要があるのかなという、これは実は確立したというわけではございませんけれども、こういうことが必要なのかなということの一例でございます。
   設問の2では、我が国のODAは各種施策を展開しておりますが、計画どおりやられているか、あるいは、計画どおりの成果・結果を得ているかどうか、そういう視点から見ていきたいと思っております。
   設問の3では、先ほど言いましたロジック・モデルをどうとらえるか、作っていくかということもありますが、そういうものによって政策目標を達成しているかどうか。あるいは、どの程度効果を上げているか、その辺を見ていく必要があるのではないかということ。当然、この辺は我々の調査だけではなかなか困難だと思っております。ここに書いてありますように既存の評価結果等の文献、資料のレビューあるいは関係者・有識者等からの面接インタビューを通じていろいろな情報、数値等の収集に努めていきたいと思っているところでございます。
   設問の4点目では、そういう中で把握されたいろいろな効果について、一方では政府開発援助大綱なり中期政策で示されております総合性あるいは連携・調整、あるいは先ほど言った各種援助形態の特性の最大限の発揮、こういうような我が国の推進方針の下で本当に総合性が確保されているのかどうか、こういう観点から多角的な調査分析を行っていきたいと思っているところでございます。
   何せ被援助国が、現在160か国近くございます。これらの国すべてをカバーするというのはなかなか難しい問題がございますが、効果的・効率的なやり方でODAの全体像をなるべく明らかにしていきたいと思っているところでございます。以上でございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。このような調査計画をお持ちであるということでございますが、皆様の方から具体的な御助言、御意見、あるいは理論的なパースペクティブでもけっこうでございますので、いつものように御発言をいただきたいと思います。どなたからでもお願いいたします。
   吉野さん。
○吉野専門委員
   四つの目的は明確でいいと思いますが、第1番目の設問のところでどれぐらいの効果があるかということですが、前回申し上げましたが、長期的なODAの目的というのは日本に対してプラスの効果があるかどうかということが重要ではないかと思います。ただ、日本経済がこれだけ悪いときになぜODAで途上国に援助をするのか、そういう国民の御意見も多いですから、日本経済あるいは日本に対して長期的にプラスになっているのかどうかということも第1のところに含めていただければと思います。
   それから、ここには入っていませんが、世界銀行も同じようなことをやっております。ちょうど昨日、世銀の会議がありました。世銀に言わせますと、日本のODAも世銀のコーディネートの中で実施しろとか勝手なことを言うわけです。ですから、全省庁的にやられるわけですが、世銀というほかの組織がまたこういうようなことをやっているわけです。そことのコーディネーションをどう考えるのか。あまり向こうの方に行ってしまいますと、世銀中心で日本はそれの手足になってしまいます。それから、日本は貧困対策のことをやられるようですが、世銀がやっていないポバティ・リダクション(貧困削減)の中身を少し研究していただいて、そういうところを日本がやっていく。例えば、世銀ですと教育の中身とか、非常にミクロなところはやっていない様子が昨日の会議で見られます。ですから、世銀のやっていないような部分を日本ができるかというのが、そちらとの関係では大事ではないかと思います。
   もう一つは、3番目にインタビュー、統計指標とございますが、インタビューはだれに聞くかによって答えは全然違います。そのあたりは気をつけていただきたい。私もアジアのことをやっていまして、いいところだけ並べればよく見えますし、悪いところを全部並べれば悪くなるというので、その点は気をつけていただきたい。
   それから、統計指標ではマクロでいきますと、特にアジア、途上国では地域のデータ、マイクロデータが非常に少ないわけです。そういうのをいかに客観的にとってこの効果を測るかということが必要ではないかと思います。
   それから、たった3、4人しかおられないというのですが、もっと人数が多くないと、ODAはこれだけ重要なものですから、そういう予算でどうなんでしょうか。3、4人で一番重要なことをやるというのは、人数が少なすぎるのではないかという気がします。
   最後は、世銀の方とお話してもODAの一番の問題点はその国の社会システム、制度がしっかりしていない。例えばターミナル・コンディションといいますか、5年間はやる、それ以上はあなたの国ができなければ引き揚げるよ。そういうことをしませんと、延々とこの援助を続けることになってしまうのではないかと思います。
   以上が感想と意見です。
○村松委員長
   大変有益な御助言だと思いますが、何かお答えになることはありますか。
○塩谷評価監視官
   いえ、ございません。参考にさせていただきます。
○村松委員長
   効果がないとやめてしまうというのもできにくいでしょうね。
○吉野専門委員
   ただ、やり続けますと、アフリカの場合がそうですが、いつまでもやり続けるわけです。それで本当にいいのか。自立ができないようになってしまいます。
○村松委員長
   僕も関係のあることがありましてやっているんですが、何年で達成できるかというと、達成できる見込みというのは、プログレスはあり得るんです。しかし、目標を達成するというのはなかなか困難です。その辺は難しいなと思いました。それは私の感想であって、今の御助言とは関係がないのですが。
○富田分科会長
   各府省がそれぞれODAについての政策評価をやられる中で、総務省としては一括して全体として評価する。そこにやる意義があるのだと思います。そのやる意義を見失わないようにしませんと、とても膨大なことだと思うんです。したがって、百数十か国云々というよりも、どこか代表的な例をいくつかとって、ここでおっしゃられるロジック・モデルを検討するとかそういうことだろうと思うんです。
   2番目は、先般、事前評価の義務づけがありました。それとこの調査との関係というのも明確にしておく必要があると思います。各府省の政策評価ですね。
   それから、国別に総合的に見ようとすると、先ほど世銀の話が出ましたが、バイの予算について各府省のものを総合的に見ようということですが、マルチの部分ですね。世銀経由とかADB経由とか、そういうものについてどう評価するのかというのが、マルチのODAの評価がないことになりはしないか。
   それから、我が国のODAというのは自助努力を支援するというのがうたい文句であって、それがゆえに有償資金でやっているわけです。その有償資金がきちんと戻っているかどうか、と言ったらおかしいですが、自助努力でやるということは、借金して、途上国がそれを自分で返していくということですので、そこのところは自助努力支援という意味で大きな評価のポイントになろうかと思います。したがって、この設問の中にはそれはないのですが、そういう観点もいるだろう。つまり、総合性の中に各府省が行っているバイの援助に加えて、マルチのものもやるということと、それから有償資金の償還に通じるところの自助努力ということ、そういうものを入れておく必要があろうということだろうと思います。
   それと、評価の主体をどちらに置くかということだと思います。僕はODAが専門ではありませんが、よく要請主義ということがあります。相手国の要請がないとやらない、要請があって初めてやるという形です。その場合、設問3にあるように評価の主体は被援助国になるだろう。果たしてそんなおこがましいことを日本でできるのか。受ける側の評価でもあるわけです。そこのところは非常に難しいと思うんです。ODAと言った途端に相手国の立場からの評価とすると言っても、相手国はしょっちゅう政変が起こるとかいろいろあるわけですから、評価の視点すら恐らく定まらないだろう。そうすると、環境とか衛生とか保健とか、もうちょっとユニバーサルな尺度みたいなものでしか結局は測れないような気がします。
   つまり評価というのは極めて政治的であり、主観的でありというか、そういうものに要請主義である限りなってしまうわけで、きれいごとではないということを言っているわけです。
   非常に膨大なテーマなので、国をある種のカテゴリーで、所得別にでも分けて、代表的なところでモデルをつくっていって、これが各府省の政策評価の参考になるようなものでないと、やりました、お勉強しましただけで終わってしまうとよろしくないように思います。ですから、他府省の政策評価委員会にインパクトを及ぼすようなものにしていく必要があると思います。その意味では、これを何のためにやるのか、目的を明示する必要があると思います。これだとODA全体を見ますという話に終わってしまって、結局、何も見られないことになったらしようがない。その言い訳として4、5人でやっていますからと言ったってだめであって、4、5人でも当然やるべきことはできると思うんです。ただ、それはこの省の役割は何かを明確に示しませんと。すべて膨大な政策の体系になっていますので、よほど戦略的に絞っていく必要があるだろうと思います。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。竹内さん。
○竹内委員
   ODAは非常に大きなテーマで、視点が重要ではあると思いますが、今おっしゃったような評価のスキームであるとか体系的なものが分かるというのだと、ある面では判断基準になるものが非常に少ない。したがって、お勉強にはなるけれども何で判断するのかというところだと思うんです。
   一つは、JBICなどとも議論しますが、果たしてODAという有償協力、つまり資金協力という形が途上国の現状に合っているかどうかについての精査が必要だと思います。
   もう一つの方法は、世銀でありますと、最近の流れですとストラクチャー・ファイナンスと言いまして、きちっと民間資本の割合を決めて、公的資金とバランスをとって、いわゆるプロジェクト・マネジメントも含めた形、つまり、作るのではなくてオペレーションも含めた形のプロジェクトの仕組みをやっていく。日本はほとんどヘッドをとっていないんです。いわば下請とODAがくっついているという形になっています。重要なことはソフトのノウハウ、途上国で開発されたものが日本でも活用できるという形。日本が進んでいる分野ばかりではなくて、途上国の方がプロジェクト・ファイナンスでいけば非常に優れたものがたくさん出てきている状況の中で、資金協力をするということが、ある面でありがたがられない時代でもあるわけです。
   その場合、高齢社会に対する援助とか社会セクターに対する援助を果たして有償でやるべきかどうか。無償に変えた方がいいのではないかというような分野もあるわけです。逆に言うと、日本のODAこそリストラをしなければいけないわけです。極端に言えばハードからソフトへ、あるいは、土木事業的なものからオペレーション的なものへという、そこに尺度を入れていきませんと、現状肯定型の評価では難しいと思います。
   ただ、そういうことを個別に議論する場かどうか分からないのですが、もう少し切り口を検討した方がよろしいかなと思います。
○村松委員長   
   山谷さん、どうぞ。
○山谷専門委員
   4点こうしたらいいかなというのがあります。まず第1点ですが、各省によってODAの進め方に若干の違いがあるのだろう、例えば経済産業省でいうと、アンタイドよりはタイドの方がいいというような、そういうものが各省によってどういうふうにばらつきがあるかを見ていただきたい。
   2点目ですが、今まではプロジェクト評価をかなり一生懸命にやってきて、それなりのノウハウもありますし、経験もありますが、多分、それとは違う評価をしなければいけない。したがって、この調査がどういうふうに違うのかということを少しお考えいただきたい。これが2点目です。
   それを考えるときの手がかりとして、最近外務省あたりが言っているのは政策レベルの評価とかプログラムレベルの評価という話をしております。いろいろなところで、では政策レベルの評価とは何か、プログラムレベルの評価とは何か、いろいろな研究をやっているわけです。その辺の研究との連携を少しお考えいただきたいのです。これが3点目です。
   最後の4点目ですが、例えば外務省でやっている政策レベルの評価というと外務省の政策なんです。総務省のこの評価委員会の特色を出すとすれば、各省の横断的なという視点が必要なので、政府レベルでの政策とは何かを少し念頭に入れていただきながら、政策レベルの評価というモデルを構築していただきたい。以上の4点です。
○村松委員長
   ありがとうございます。木村委員、どうぞ。
○木村専門委員
   富田委員がおっしゃったことと関係しますが、チャートの中で右の方に設問がいくつかあります。この設問の中で各省庁を横断するような何らかの軸が必要ではないかと思います。例えば経済成長のための人的インフラの整備であれば、平たい言葉で言えば読み書きそろばんができる識字率でもいいのですが、そういったものをどれだけ上げたか。それから、健康度であれば乳児死亡率でもいいのですが、そういった分かりやすい横の指標をとって、そういった指標、目標でもいいんですが、その下に各省庁の政策がどういった整合性があって、どのようにうまく手段が活用されているか。そういったもう少し分かりやすい横のものがあれば、いまODAが何とか事件もあって不信を買っていますが、もっと分かりやすいものになるのではないかと思います。以上です。
○村松委員長
   ありがとうございました。黒川委員、どうぞ。
○黒川臨時委員
   1点だけ。先ほど吉野委員がおっしゃったのですが、日本にとってのプラスになっているかという視点も必要だということですが、この点に関連して、例えば最近ですとこれに似たものとしてCDM(クリーン開発メカニズム)というものがあって、これなどは日本にとってODAに代わるようなもので日本にとっていいという典型的なものでございますが、そのときに日本ですとそれぞれバラバラにやっていて、非常に困るということがあって、二国間の政府レベルでまず大枠を決めて、それから例えばNGOが出て行くとか、そういうようなことをしないと末端のところで一生懸命にやっていても実は実効が上がらないということを聞いています。
   ですから、先ほどの政府全体といったときに、そういうものをヒアリングするときにぜひとも困っていることは何かとか、こういうふうにしていただければとか、困っていることをヒアリングしていただければいいのではないか。
   例えばCDMの場合ですと、オランダなどはまず国ごとに非常にハイレベルのところで条約的なものを結んでから出て行くとか、そういうようなことまで総枠を決めてということも聞いており、非常に進歩しているというか、そういうレベルだということでございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。樫谷委員。
○樫谷委員
   会計的な見地から言わせていただきたいと思います。有償・無償それぞれの協力があるわけですが、ではどういう観点から有償・無償になっているのかよく分からないところがあります。無償資金が足りないから有償にしているのではないかということで、我々は回収可能性と言うんですが、本当に貸して回収できるのかどうか、実態はどうなっているのかということも評価の対象に入れていただければと思います。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。まだ御意見がたくさんありそうですが、いつもそうですが、たくさん議題があるんです。そろそろ次に行かなければいけないと思うので、もしこれはということがございましたら、後でも事務局の方に御連絡いただければ、今おっしゃられたことを全部評価の方式にしていただくだけでも随分改善されるというか、いいなと思うので、お気付きのことがありましたら事務局の方に御連絡いただけたらありがたいと思います。

[客観性担保評価に関する審議]

○村松委員長
   次の議題でございますが、前回の委員会では資料を配布したところで時間になったわけですが、客観性担保評価についての審議をしたいと思います。事務局から説明をしていただいた上で、そこで一旦休憩をとりまして、その後審議を進めていくというようにしたいと思います。
   それでは、説明をお願いします。
○石川政策評価審議室長
   それでは、客観性担保評価の進め方について御説明させていただきます。資料2というものでございますが、総務省行政評価局の行う評価につきましては大きく2種類の活動が規定されております。一つは昨年末まで御審議いただきました評価等プログラムの関係。先ほど御審議いただきましたODAなどについて、要するに特定のテーマを決めて統一性または総合性を確保するための評価を行うということが一つでございます。
   もう一つは、各行政機関が行います政策評価の実施状況を踏まえて政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価を行うというふうにされているところでございます。このいただきました時間では、この客観性担保評価について、どのように取り組んでいけばいいのかということについて御審議賜りたいと思っております。このことにつきましては、これまでも基本方針等の御審議の過程で、外国の文献の御紹介等も含め、いろいろ御示唆を賜っておりますが、改めて審議、御示唆をいただきたいと思っているところでございます。
   それでは、お手元の「客観性担保評価活動の進め方について」という資料について簡単に御説明させていただきたいと思います。1枚目の資料でございますが、これは基本方針におきまして、総務省が行う政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価活動としてポンチ絵的に表しているものでございます。
   正確な規定ぶりにつきましては2枚目、その次のページに付けてございます。繰り返しになって恐縮でございますが、基本方針では評価法の12条に定めるいわゆる客観性担保評価の範疇における諸活動としまして、ここに挙げておりますように、各行政機関の政策評価の実施状況を踏まえまして、政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保する評価について、一連の評価活動に取り組むというふうにされているところでございます。
   まず一つ目という位置付けになろうかと思いますが、各行政機関が実施した政策評価につきまして、「その実施手続き等の評価の実施形式において確保されるべき客観性・厳格性の達成水準等に関する審査」という決め方をされていますが、こういう活動。それから、図の中ほどに書いてありますが、各行政機関が実施した政策評価のうち改めて政策評価が行われるべきもの、それから、社会経済情勢の変化等に的確に対応するために政策評価が行われるべきものという2種類のものに関し、評価の実施の必要性の認定ということでございます。
   この認定に当たりましては、当然、委員会の調査・御審議をいただきますが、必要性の認定をした場合におきましては、右の端の図にございますように、それを関係府省に通知する。関係府省に委ねていたのではできないという場合につきましては、総務省行政評価局が評価するという位置付けにされているところでございます。この場合にも、もちろん調査・御審議をいただくということと、それに併せて関係機関からの説明・意見聴取という機会も設けるというふうにされているところでございます。
   本日は客観性担保評価活動への取組の在り方ということで御議論いただくわけでございますが、図の下の方に若干簡単ではございますが、主な論点というような書き方をさせてもらっておりますが、評価結果において確保されるべき客観性・厳格性の内容とはどういうようなことか。それを効果的・効率的に審査するための基準といいますか、チェックリストのようなものが必要と考えているところでございますが、この着眼的とかポイントなどについて御示唆いただければと思っているところでございます。
   それから、この審査につきましては基本方針にも書かれていますように、行政機関が実施した政策評価について審査していくこととなりますが、各行政機関で政策評価を行ったときには、その評価書を作成しなければならないと評価法で規定されております。
   続けて説明させていただきますが、資料の3枚目、2−2というふうに書いてありますが、これもイメージ図というふうにさせていただいております。真ん中の枠の部分、これが評価書に記載すべき事項として、これも法律に規定されている事項でございますが、それを7項目列挙しております。当然、政策評価の対象とした政策ということ。それから、担当部局とか実施した時期、評価の観点、それから効果の把握の手法及びその結果。学識経験を有する者の知見の活用に関する事項。評価の結果というふうに至るような規定になっております。
   これらの記載内容につきましては、審査する場合、例えば網羅的に書かれているか、具体的か、判断の根拠などが記載されているかなど、審査の視点となるような要件。あるいは、もう少し具体的な項目といいますか、ブレークダウンしたものなどについて今後検討していくことを考えておりますが、これらについてもどのような視点で審査していけばいいのかということにつきましても御審議、御示唆いただきたいと思っております。
   評価書にはこのような事項について記載することになっておりますが、各項目ごとにどのようなことを書くのかということについて、必ずしも規定はございませんが、評価法あるいは基本方針などにおいて、それぞれの記載事項に関連すると思われる規定がございます。
   まず、「評価の対象とした政策」ということに該当するかと思われるようなものですが、「対象とする政策が、どのような目的の下にどのような手段を用いるものかという対応関係を明らかにした上で行う」というもの。それから、あとは事後評価の場合だと「合理的と認められる単位」ということが基本方針に書かれています。
   また、「担当部局、機関、実施した時期」ということがございますが、直接的には実施した時期については「適時に」とか、事後評価ですと「政策の決定後」とか、「効果の発現状況等を勘案して適切なタイミングで行う」というような規定ぶりがございます。
   「政策の評価の観点」というところにも「適時に、その政策効果を把握し、これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点」ということが法律に書かれているような事項でございまして、観点の概要と要素を基本方針では説明をしております。必ずしもこれを書くということではないかと思いますが、例えば、「必要性」の観点からの評価は、政策効果からみて行政目的が国民や社会のニーズ、上位の行政目的に照らし妥当性を有しているかなどにより行うこととされています。
   「効果の把握の手法、その結果」というところで、基本方針でかなり詳しく書いておりまして、「政策の特性に応じた合理的な手法を用い、できる限り定量的に把握」ということとか、「政策の特性に応じた、適用可能であり、かつ、政策効果の把握に要するコスト、得られる結果の分析精度等を考慮した適切な手法」ということ。「できる限り政策効果を定量的に」ということではありますが、「困難である場合には定性的に」というような書きぶきりでございます。
   基本的な考え方については各省がお決めになります基本計画において、そういう使い方といいますか、考え方について示すというようなことも書かれているわけでございます。
   「学識経験を有する者の知見の活用に関する事項」という記載事項でございますが、これは、法律で、政策の特性に応じてということでございますが、「知見の活用を図る」という書きぶりとなっております。あとは政策評価を行う過程において使用した資料ということで、「外部要因などについても明らかにする」ということ。結果につきましては、あまり詳しいものはないのですが、外部からの検証を可能とすることの重要性を踏まえ、可能な限り具体的に記載するものとするというような表現になっております。
   一番最後の資料として付けさせていただいていますが、この資料は各行政機関がいつごろ評価書を公表するか、公表と共に総務省に送付するということにもなっておりますが、そのタイミングということで概略を書かせてもらっております。これは各行政機関が作成しております基本計画から取りまとめたものでございます。事業評価などにつきましては8月、年末、年度末というようになっております。これは多くは事前評価の部分があるかと思います。また、実績評価というタイプのものにつきましては前年度の結果について6月から8月ぐらい、予算要求時期ぐらいに合わせた形で公表するというような状況となっております。以上、簡単でございますが、概略を御説明させていただきました。
○村松委員長
  ありがとうございました。それでは、ここで休憩したいと思います。10分後に再開します。3時3分までです。

(休憩)


[若松副大臣あいさつ]

○村松委員長
   再開したいと思います。若松副大臣がいらっしゃっていますので、ごあいさつをいただきたいと思います。
○若松副大臣
   皆さん、こんにちは。大変お忙しいところを今月も御参加いただきまして、大変ありがとうございます。今回から松田さんが新しく来られるということで、ぜひよろしくお願いいたします。
   3点ほどお話をさせていただきたいと思います。ちょうど一昨日、国会で、決算行政監視委員会で、行政評価に関する集中質疑が行われまして、当委員会から田辺先生、竹内先生が出席されました。それからジョージタウン大学の上山先生の3人が参考人ということで、これから恐らく決算行政監視委員会にこの委員会の皆様がさまざま出席要請されると思いますので、ぜひ国会議員以上のお働きをよろしくお願い申し上げます。
   そこで、3人の先生、それぞれスタンスがやや違う面があるわけですが、共通点が一つあります。予算とのリンク、これは全委員がおっしゃっていたことであります。これをどうするかということですが、アメリカとかイギリスは行政評価的な手法はやはり大蔵省というか財務省というか、アメリカの場合は予算局でありますが、そういったところが所管しているわけですが、日本の場合には行政評価に対するノウハウがそちらの方になかったということと、今までの行政監察の一つの経験ということで総務省になったわけであります。いずれにしてもこの議論が進めば進むほど、やはり予算、いわゆる財務省との連携は切っても切れない話になるわけでありまして、誤解のないように、かつ財務省というのは評価ということを主計局がやっているんですが、どちらかというと次の会計の話にも関係するわけですが、予算会計というか、予算を取って、それをどう表示するかという収支報告という非常に単純作業に終わって、それが結果としてどうなっていくかという議論がなかなかしにくい省庁になっております。それを我々がやらなくてはならないという、国全体としてややアンバランスというか、ちぐはぐになっているところがあります。そんな問題もあることを意識していただきながら、予算とのリンクを引き続き御検討いただきたいと思います。
   2点目といたしましては、そうは言っても先生方にお願いばかりでは恐縮だということで、我が政策評価局の幹部も自ら勉強していこうということで、これも当委員会の樫谷先生、梶川先生に講師を願って、公会計の勉強会を先週から始めまして、2週間に1回ずつ朝8時から勉強会を開始いたしました。
   この勉強会でありますが、公会計という定義自体がまだ固まっていない中で、特に先週、樫谷先生にやっていただいたのは企業会計、公会計と独立行政法人会計、この三つを比較しながらそれぞれの現状並びに課題、今後の方向性、こんな議論をしました。恐らくこういった研究をやっているというのは日本の国内でもここのほかあと1、2あるかないか。そのくらいのことであります。
   なぜ、こういう話をさせていただくかというと、評価という以前に当然予算があります。予算をいかにディスクロージャーするかという、ディスクロージャーというのは財務会計、またはどう管理するかという管理会計があるわけですが、会計という把握手法、この把握したものからいかに評価するかという三つにあえて分類しますと、いま予算はしっかりと取るということに対してほとんどの国会議員を含めて集中しているわけです。ここに評価局というものがあるわけです。その中の評価するための財務会計なり管理会計の情報が大きく欠けています。ここが日本の会計の弱さというか、特に公会計の基準の設定主体自体も決まっていない。こういうところでこの政策評価の皆さんがいらっしゃるということで、皆様に本当の意味での評価をしていただくには、先ほど言った公会計の整備を早急にキャッチアップしなければいけないのではないか。そういう問題意識を持ちながら公認会計士協会のお力等もいただきながら、いまタイプしております。
   結局、日本のバブルの回復が非常に遅いというのも、会計というのはある意味では切り捨て、この企業はだめだ、良い悪いを判断するまさに政策なんです。ゴーイングコンサーンという継続企業はもうだめだ、そのだめだという切り捨てを日本が渋ってきたのは会計が弱いからです。曖昧にしてきたからです。企業よりもっと曖昧なのが国であります。そういう意味で公会計というのは本当にやらなければいけないし、先ほどの予算のリンクということを考えれば、いま35兆円という実質の赤字です。債務がネットで増えています。これを直視できない国も政治もそして国民も、その前提には会計のインフラが本当に弱い。それを考えますと公会計と政策評価をさらに予算もリンクした流れ的なものをぜひつくっていかなければいけない。その意味でこちらも勉強を開始しまして、ぜひ委員の皆様方にも会計に関してもいろいろな関心を持っていただき、御提言もお願いしたいと思います。
   三つ目でありますが、この総務省におかれている評価委員会というのは、各府省のお目付役です。お目付役は怖くなければいけないということで、どう怖くなっていただけるかということでありますが、日本の場合にはどうしてもコンセサスというかムラ社会というか、方向性が一つに定まらないと実際にはなかなか動き出さないという面があるわけであります。先ほどの35兆円の純債務の増加とか非常に厳しい状況を考えると、経済財政諮問会議にしろいろいろなところが問題意識を提示し始めて、その結果、この評価委員会もできたわけであります。いよいよ方向性が一つになりつつあるのかな。そういうことで、ぜひこの委員会は各府省の政治家ですね、大臣でも副大臣でも、それとそれぞれの府省の評価局の委員長辺りを連れてきて、皆さんががっちりと、他の省に言っていただきたくないのですが、絞るという感じでぜひ厳しい評価をお願いしたい。それをお願い申し上げまして、長くなりましたがごあいさつとさせていただきます。また、来月もよろしくお願いいたします。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。お励ましいただいたと思いますが、頑張りましょうということだと思います。

[客観性担保評価に関する審議(続き)]

○村松委員長
   休憩前に御説明いただきました客観性担保評価につきまして審議を進めたいと思います。どなたからでも御発言をいただきたいと思います。
   金本委員。
○金本臨時委員
   客観性・厳格性というのはあまり私の好きな言葉ではなくて、この言葉を厳格に解釈するとロクなことにならないのではないかという気がしております。こういうことにはまるものとしていろいろなものがあり得ると私は思っております。事前評価に関してはすでにかなりの省庁で行われていて、それを見るとこういったタイプの評価について、何かをすべきかということが、かなり緊急にしなければいけないことが、いくつかあると思います。
   一つは、各省各分野でいろいろな評価がやられていますが、その評価の手法とかマニュアル、どういう便益・費用を評価の中に入れ込むか、これを入れる、これを入れないということ、それから、どういう指標でそういうものを計算するか、こういうものについてかなりばらつきがあります。道路等基本的に同じサービスを供給しているものについても省庁局間でかなり大きな違いがある。
   これがなぜ客観性・厳格性かということですが、基本的に本当の便益・費用を客観的・厳格に出すべきですが、マニュアルが違うことによって一見客観的・厳格に見えるのですが、数字が全然違う。出したい数字が出てきているという面がある。これは早急に調べて対処しなければならないということがあります。
   もう一つ重要なのは、こういう客観性・厳格性について政府レベルの基準がない。例えば割引率ですとか安全・環境関係ですと人命の価値などといったものについて、欧米諸国ですと大蔵省とかOMBという全体を扱うところが一定の基準を設けている。その意味で客観性・厳格性を担保しているというのがありますが、今の日本ではそういうのがありませんから、各省庁の部局にとってはある意味ではお墨付きがないといった状況でもあるということです。これは何らかの格好の対応をする必要があるのだろうという気がしております。
   もう一つ、いま若松副大臣が会計基準のことをおっしゃいました。これに関しても客観性・厳格性の問題がありまして、いま事前評価ですとコストをどう出すかというと、各担当課が会計帳簿等を引っ張り回しまして、このコストはどうだというのでそれぞれの使うものについて引っ張り出してくるわけですが、会計帳簿上は例えばここの道路について人件費がいくらというのがまとまってあるわけではありません。人件費は人件費といった形でばらばらにあるやつを拾ってきて、これがコストですと言っていますが、それが正しいコストだという保証は全くない。そうすると、寄せ集めの仕方によっては少しずつ小さめにして計算をしてあって、合わせてみると全体の会計、コストとは辻褄が合わないということもあり得るという世界になっています。ですから、全体を合わせたコスト等々というものとプロジェクトごとのコストが全体で見える形になっていないと、プロジェクトのコストがクレディブルかどうかが分からないという状況になります。
   これについては民間企業でも15年ぐらい前はどんぶり勘定でそういうの分からなかったという話があります。それはもう様変わりでして、コンピュータシステムの発展によって各コアとなるアクティビティに関してはコストと収入が分けて出てくるというシステムになっている。だからこそいろいろなリストラ等が最近、わりとドラスティックにできるようになったということがございます。こういうことについてもこの客観性担保評価の一環として必要があるだろう。
   最後にもう一つ重要なのは、実際に個別にやられているものについて、必ずしもきちんとしていないものが見受けられる。通常、事前評価についてはかなりのケース、中央省庁の中でやっているというわけではなくて、その外側の方々、都道府県とかいろいろな事業主体の方々がやられていて、中央省庁の担当課セクションはそれを審査するという立場ですが、日本の中央省庁の方々は忙しいものですから、その中身をきっちり審査できる体制にもないということであります。その面でのバラツキがかなりあるようだということでありまして、これをどうするかというのも一つの問題ということになります。以上です。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。これはけっこう大変なことですね。
   山本さん、どうぞ。
○山本専門委員
   簡潔に申し上げます。客観性担保の資料2−2でございますが、これだけではないと思いますが最低盛り込まなければいけない要件として、一度申し上げたのですが、どれぐらいのマンパワーとコストをかけたかがどうしても必要であろうと思います。と申しますのは、非常に少ない人数で短期間でやって、しかも大規模プロジェクト等についてもしそうだとすれば、これは当評価委員会の必要性の認定にも持ち込み得るのではないかということでございます。
   それと今、金本委員から御指摘があったことにも関連いたしますが、政策評価を実際に担当した者のスキルが非常に重要な要素でございます。これをどうやって書かすかというのが非常に大きな問題だろうと思います。
   それとデータでありますが、データに部外者がアクセスできるかどうかが重要だろうと思います。それと、資料2−1の各行政機関が実施した政策評価のうち、改めて政策評価が行われるべきものということでございますが、私が考えるには利害対立があるもの、これはどういうことかと言いますと、政策自身の執行自体はA府省において完結するわけでございますが、当然その政策の効果の及ぶ範囲はほかの府省に及ぶことがあり得るということで、特定の府省にとって非常に有利な結果が出るけれども、もう一方においてはかなりネガティブな結果がもたらされる結果が出ることがあり得るということでございます。
   もう1点は、効果があるという説があったり、あるいは効果がないという説が学会等においても分かれている。そういうときにおいて、ある特定の府省がこれは効果がある、あるいは効果がないとした場合にはやはり当評価委員会としてはそれの妥当性についてやるべきであろうと考えております。
   それと、客観性担保評価で一番つらい点は、若松副大臣がおっしゃったことにも少しは関係するわけでございますが、冒頭に申し上げましたので恐縮なのでございますが、我々自身が各府省の政策評価の外部者としてかかわっている案件が当評価委員会の委員あるいは臨時委員、専門委員含めてあるわけでございます。これをどうするかというのもぼつぼつ結論を出すべきではないか、このように考えております。
○村松委員長
   ありがとうございました。高木委員。
○高木臨時委員
   こちらで行う評価の視点として1点入れていただきたいということですが、いただいたペーパーを拝見しますと、各省においての政策の結果についてのみを評価するという感を持たざるを得ないと思います。一昨年のガイドライン、あれはPDSサイクルで表現されておりましたので、PDSの言葉を利用して申し上げたいと思いますが、たまさかドゥの結果がよかったということもあるわけです。要はプランニング、ドゥーイングのところが必ずしも十分性がなくても、結果がよかったということもあるわけです。
   それから、プランニング、ドゥーイングのところの十分性はあったけれども、しかしながらその後の後発的な環境等の変化によりまして、結果が必ずしもいいものをもたらされなかったということもあるわけです。要は結果までに至るところのプロセスも各省においても検討されることが必要であろうと思いますし、総務省においての客観性・厳格性の観点での評価が必要なのではないかと思うところでありますので、御検討いただきたいと思います。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。田辺委員、どうぞ。
○田辺臨時委員
   客観性担保評価を見ていく際に、事業評価に関しては金本先生がおっしゃったような部分を検討していただきたいと思いますが、各省事業評価で全部覆っているわけではございませんので、実績評価で出てくるものに対してどう対応するかも考えておかなければいけないような気がいたします。
   一つ問題になりますのは、例えばGPRAとここのシステムを比べますと、GPRAでやることはほとんどできるようになっていますが、一つ違いますのは数値目標を設けないというとき、アメリカのシステムではOMBが設けなくてもいいよと許可する、ただ、それを説明してくださいという形でのある種事前示唆をかけていたわけですが、今回省庁横並びでそのシステムができませんので、事後的に意見を言うという形で目標設定をできるだけやってくださいということを促すような形のチェックはぜひ入れていただきたいと思います。
   それはアメリカでGAOがレビューをGPRAに関してやっていますので、成果に関する部分もありますが、そのやり方等、計画部分等に関してもきちっと意見を言っていますので、そういう事後的な意見方式という形でそういう部分を入れ込んでいただきたいと思います。恐らくそれをやっていくと、少しは全体のクオリティが上がっていくということになろうかと思います。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。翁委員、どうぞ。
○翁専門委員
   政策評価の観点で必要性の観点というのがございますが、そこで例えばガイドラインのところに書いてあります必要性の観点としては、一つは政策の目的が国民や社会のニーズに照らして妥当かということで、もう一つが行政関与の在り方から見て行政が担う必要があるかという、その2点が書いてあるわけです。これは担当省庁にとってはニーズに照らせば絶対に妥当であるということから政策評価を行う方向にバイアスがかかると思います。その意味で総務省の評価というのは行政関与の在り方から見て行政が担う必要があるかということについてきちんと挙証責任を果たしているかということについて、十分目配りしてチェックしていただきたいなと思います。
   もう一つは、昨今の情勢を見ても景気の動向とかそういうことで、例えば民間の金融機関も特別検査をやりましたら非常に大きな不良債権がまた出てくるという状況がございます。行政評価に関しても情勢の変化に常にアンテナを巡らせて、例えば中小企業対策においても片方で非常に重要な対策を打たなければならない反面、非常に大きなコストを生むという方向に作用しますので、そういった点にも十分アンテナを巡らせて、情勢変化にも機敏に対応していただきたいと思います。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。吉野委員、どうぞ。
○吉野専門委員
   二つありますが、一つは政策評価の場合、本来であればもっと早くすべきであったのに、そのディシジョンが遅れたという場合もあると思います。ですから、現実に必要だということが認知されて、よく言われるレコグニション・ラグ、ディシジョン・ラグ、アクション・ラグですが、省庁が何らかの理由でなかなか政策ができなかった、そういうものに対してはどういうふうに評価するのか。結局、その政策をやったけれども、半年、1年遅れたのではないか。それによる政策の効果も是非見ていただきたいと思います。
   もう一つは、どれぐらいの期間でその政策を評価するか。インフラの場合ですと3年、5年かかってそこに民間の企業が来るかもしれません。ですから、いろいろな政策によりまして何年ぐらいのスパンを考えながらやるのかということが重要だと思います。
   もう1点ありまして、民間に任せられるのに政府が入ってしまった。本来ならば民間企業あるいは民間に任せるべきところを出過ぎてしまった。こういう政策に対しては本当はいけないわけですが、政府がやるべきところなのか、あるいは民間に任せるのかという判断もどこかで入れていただければありがたいと思います。以上です。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。新村委員。
○新村臨時委員
   違う観点からですが、いま私は統計審議会の委員をさせていただいていますが、さまざまなところで評価が定量的ということが言われています。今、個別の統計がどんどん審議の俎上に載ってくるのですが、政策評価という視点を持って新しい改訂をやっていると思えない。従来ベースで改訂されています。結果が出ないと分からないのだと思いますが、定量的評価に見合ったような統計を、例えば統計審議会なり各省庁の統計部局に注文を付けるようなことをしないと、もちろん統計だけでなくて、その前に地方でどういうふうに集計するか、どういう会計方式をとるかということまで入ってくるのではないかと思うのですが、そういうものに対するインフラへの注文のようなものを1年目の評価が出そろったところでやったらよいのではないかというような感想を持っております。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。武田委員。
○武田専門委員
   まず1点は山本委員の御意見と同じになるかもしれないのですが、客観性を担保するための要件としてのネガティブリストみたいなものを御用意いただいた方がいいのではないかというのが1点感じるところでございます。
   2点目としまして、資料2−2のところに「客観性・厳格性の達成水準と審査の構造」とありますが、客観性・厳格性というのが達成水準という表現と合うのかどうかということでございまして、よく言われるコンプライアンスなどでもやって当たり前という世界もあるわけでございまして、私の感覚としましてはしっくりこないなという印象を持ちました。
   それから、これは非常に難しいと思うのですが、客観的に評価した結果の原因とか責任の所在、そういったものも言えるのかどうかというのも非常に難しい問題だとは思いますが考えていかなければいけない課題ではないかと感じております。以上でございます。
○村松委員長
   ありがとうございました。木村委員。
○木村専門委員
   今の御意見と重なるかと思いますが、事前評価における予測値と実績値との乖離の理由を明示することを義務づけることは重要だと思います。
   あと、私も何らかの形で、本人の努力にも係わらずという場合は仕方がないですが、意図的なものが見られるような場合には責任の所在を明確にすることもはっきりさせていいのではないかと思います。以上です。
○村松委員長
   分かりました。
○松田臨時委員
   実際に働いている方々の視点から考えると、仕事は書類ではなくて現場の人間がすることなので、あまり客観性の担保に走り過ぎて、本来の目的である、より良い仕事を現場の方々がやっていくインセンティブを失うようなことにならないような配慮が非常に大事ではないかと思うのが1点。
   それから、客観性を担保するために外部の専門家の方々を権威付けのために入れがちですが、政策の根本にある戦略そのものが共有されていないところで外部の専門家がお話をされると、ずれることがあるように思います。
   先ほど若松副大臣から予算があって、その把握があって、そして評価があるというお話がありましたが、その予算の前に戦略があるわけです。戦略がないものもありますので、それで客観性を担保するのは非常に難しい点もあると思いますから、その2点を運用の段階で配慮をいただければと思っています。
○村松委員長
   ありがとうございました。金本委員、どうぞ。
○金本臨時委員
   何度もすみません。一つ付け加えておきたいのは、今日本の評価というのは数字が一つしか出ないんです。将来に関わることで一つしか予測数値が出てこないというのは甚だ不自然で、その数字の信頼性についての情報がないということがあります。最近、評価関係のプロの間では幅を持った評価値を出す。ベストゲスはどれだけかということ、それから、ほぼこれぐらいは下限だろう、上限部分はこれぐらいだ、この「ほぼ」というのをどう設定するか難しいのですが、幅がどの程度かという情報も付け加えて出すということをしております。客観性を担保するためにはそういう情報は必要なのかなという気がしております。こういうことをやっておかないと、どこの見込み違いで違う結果になったかという責任を追及するのも難しいということにもなろうと思います。
○村松委員長
   まだあると思いますが。お一人だけ。
○梶川専門委員
   政策評価の観点というところでいくつかの必要性等の観点が挙がっております。これは評価の対象の政策にもよりますが、それぞれの観点の相互関係のようなものを評価によっては初めに前提として御整理いただいた形というものが提示されることが望ましいのではないかと考えます。
   例えば効率性の観点と公正性の観点をどのように考えていいのか。特に公平性という言葉の定義がときには効率性というものと、厳密にトレードオフするわけではないと思いますが、逆に効率性の悪さを公平性で語るということがあり得ないことではないと思いますので、それぞれの政策の性格によりますが、この政策に関してはどういうものの考え方をするか。この辺のそれぞれの観点をまず御整理いただいて客観性に入っていっていただければありがたいなと思います。
○村松委員長
   ごもっともでございます。皆有効打ばかりでございますから、事務局はキャッチしているわけでございまして、特に事務局の方からお答えいただくということは今日はしませんでしたが、例えば厳格性、客観性担保の意味、恐らく制度に係わるような御質問があったと思います。他の政府関係その他の活動に我々自身が関係することとの関係という仕組みに係わることについての御指摘などもあって、このあたりは少なくとも整理しておかなければいけないということだろうと思います。大体のことにつきましては、そのまま重要な参考になる御意見ということで、事務局の方で消化していただけると思います。

[平成14年度予算編成等への政策評価の活用状況の説明]

○村松委員長
   続きましてもう一つの議題でございます平成14年度予算編成等への政策評価の活用状況につきまして、本日は財務省の片山政策評価室長に御出席いただいておりますので、予算編成等におきまして政策評価がどのように活用されているのか、あるいはこれからどういう御計画であるかということなどにつきまして御説明を15分ほどいただいたうえで、私どもの方からも御質問させていただくということでお願いしたいと思います。
   片山室長、よろしくお願いいたします。
○片山政策評価室長(財務省)
   ただいま御紹介賜りました財務省の政策評価室長でございます。財務省は成果重視への行政への転換、アカウンタビリティの観点から政策評価にも積極的に取り組んでおりまして、昨年5月のこちらの委員会の第5回会合におきましても財務省自体の政策評価の説明をさせていただいたところでございまして、その際には委員の先生方から大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
   また、本日は予算等への活用という財務省の政策評価についてのもう一つの重要な任務についての御説明という御依頼でございますので、お手元の資料3を用意させていただきました。資料に沿いまして簡単に御説明させていただきます。
   まず、1ページ目でございますが、根拠条文と申しますか、行政評価法、基本方針、ガイドライン等を抜粋してございます。これを受けまして、財務省の政策評価に関する基本計画におきましても、財政当局として各府省の政策評価の結果を適切に活用していくことを政策評価における四つの目的のうちの一つとして掲げております。
   また、その前の段階として、政策評価の結果の予算・税・財政投融資への反映につきまして、各府省は評価結果を踏まえて政策の改善・見直しを行い、その結果を予算要求の段階等で適切に反映するよう努めるということになっております。
   以下、次のページからは主計局、主税局、関税局、理財局、この四つが予算等への活用の査定部局としての機能を持っておりますので、その関係資料を基に説明させていただきます。
   最初が主計局の関係資料でございます。財政当局といたしましても効率的な予算編成、成果重視への行政への転換、国民へのアカウンタビリティの観点から、政策評価は予算編成における重要な判断材料の一つと考えております。平成13年度の概算要求から試行的に政策評価に係る資料の提出を求めておりますが、14年度予算におきましても、2ページ目の資料にございますように、去年の8月10日の閣議了解におけますシーリングの方針でございますが、「政策評価機能を十分に発揮し、評価結果を概算要求に適切に反映するとの観点から、施策等の意図・目的、必要性、効果・効率性等を明らかにする」。また、今年は重点7分野というものがございまして、重点7分野にかかる要望については、「民間需要創出効果及び雇用創出効果について明らかにする」というふうにされておりまして、これを受けまして各省庁に調書の提出を求めまして、その適切な活用に努めたところでございます。
   3ページ目の資料でございますが、閣議了解を受けまして各省庁にこういうことで資料の提出を求めたというものでございます。特に(3)の「施策の効果・効率性」というところでございますが、5)6)というところに線を引いてございますが、ここは新しく費用対効果分析に加えまして、効果とコストとの関係に関する分析、特別要求及び重点7分野に係る要望の施策については民間需要創出効果、雇用創出効果について分析というふうにさせていただいております。
   次のページが資料の項目の一覧表でございます。全省庁から 1,958項目、ページにいたしまして 6,661ページという膨大な資料が出てまいりまして、各担当予算係におきまして評価内容の精査を行ったところでございます。
   この資料の項目の作成の単位ですが、資料が分かりやすく具体的になるように、また省の政策(施策、事務事業)と一体的なものですが、この観点に留意したうえで、基本的に各省庁さん自らの政策、業務の性格によって御判断くださいとお任せしているところでございますが、結果的に各省庁さんが政策評価の結果としてホームページ等で公表しておられるものと同様の内容のものを出しておられるところが多いということになっております。
   次の5ページ目でございますが、今年は提出された調書の記述について非常に簡単な評価というかコメントをつけて発表したのでございますが、各省庁とも政策の意図・目的、必要性という部分につきましてはかなり明確かつ具体的に記述するようになりましたが、効果・効率性といったところは、昨年と同様定性的な分析に止まるものが非常に多くて、概観すれば昨年と比べると、学習効果といいますか、各省庁ともある程度詳細にはなってきている傾向にございまして、予算編成にとってはより役に立つようにはなってきたのですが、まだまだ改善の余地があるという印象を受けております。
   今後でございますが、6ページ目の資料は今年、予算の説明のときに対外的にも配布してつくったものでございますが、今年は政策評価結果の活用事例を四つほど挙げさせていただきました。文部科学省のスクールカウンセラー、厚生労働省の人材大国、農林水産省の担い手育成、国土交通省の合流式下水道の改善といったところを挙げさせていただきました。例えばスクールカウンセラー活動事業は、不登校等の未然防止のために教育相談制度を充実させるという目的の制度でございますが、過去の実績から不登校生の増加はスクールカウンセラー配置校では全国平均に対して増加が抑制されていたということで、効果が認められた。全国の平均が5%で、スクールカウンセラーを配置したところは1.2 %と低かったということがございます。
   また、その単価が平成13年度は約 100万円であったものが、14年度は80万円に切り詰めることができたということで、導入校数の増加に対する予算要求の抑制も図られ、費用対効果の向上が見られたということでございます。
   そのほかの三つの例につきましても、それなりに客観的な数字をもって分析されているということでございます。ただ、これは非常によくできている例の方でございまして、全体としては定量分析、アウトカムベースでの達成効果の指標がまだまだ少なかったということがございます。
   予算編成につきましては個々の施策の必要性・妥当性に加えまして、マクロ経済との関係、予算それ自体が財政政策になります。また、昨今では財政面で非常な制約がございます。また、国民世論の動向等々、さまざまな要素を考慮いたしまして総合的な判断するものでございます。そういうことで決まるわけですが、いずれにいたしましても政策評価をこういった観点から重要な判断材料の一つとして活用させていただきたいと考えております。今後もさらにトライアンドエラーで研究・検討して向上させていただきたいと考えております。
   次に、これは直接政策評価自体ではないのでございますが、7ページ目をお開きいただきますと、予算執行評価会議というものが4月1日に発足されました。これは2月8日の閣僚懇におきまして塩川財務大臣より予算が効率的かつ効果的に執行されているかを十分に把握することが極めて重要であり、そのために体制の強化を図ることにしたということで御発言いただきまして、参加の閣僚の方々にも協力をいただいたところでございます。その後、その準備をいたしまして、4月1日に発足いたしました。
   この会議の発足の趣旨は財政構造改革の一環といたしまして、予算の執行の一層の把握に努め、効率的な予算編成を行う観点から、調査計画の策定、予算執行調査の結果の検証などを行うということでございます。
   (3)にございますように、調査にありましては事業の効果が実際に実現しているか、事業の進捗していないものの要因分析、事業のコストが例えば民間と比較して建築費用等が適切かといったような観点から、地方の財務局も活用して予算執行調査を実施しております。
   8ページ目はその選定事業の一覧表でございまして、次に主税局の説明に移らせていただきます。9ページ目以降でございます。主税局では毎年度の税制改正要望に際しまして、各省庁から改正による増減収額や効果などを記載した資料を提出していただいておりますが、昨年度の税制改正作業から政策評価の実施を踏まえ、税制改正項目について、各省庁における事前・事後の客観的な政策評価が要望書の中に表れるように様式を直させていただきました。
   具体的には10ページ目をお開きいただきまして、注のところに記載要項が書いてあります。下線を引いた部分を直しております。3の「施策の必要性」につきましては、「公益性の有無、政府の関与の必要性、国と地方の役割分担や適切さ、民営化・外部委託の可否などを踏まえて記載する」ということになっております。
   また注4の「要望の措置の適正性」につきましては、「政策目的を実現する手段として、要望の措置が他の手段に比し有効であるという理由」。そもそも公平・中立・簡素という税制の基本理念の例外措置としての要望になりますので、それに値する理由といったものを記載していただいております。
   また、特に租税特別措置につきましては制度創設概ね10年を超える長期にわたるものにつきましては、その政策目的・効果等を十分吟味しつつも、公平性、中立性確保の観点からたえず見直しを行い、整理・合理化を徹底するということ、特に今年は総理からの指示もございまして、長期間制度を存置する理由は明記していただくということになっております。
   結果といたしまして、各省庁から出された要望書の中身は趣旨・目的に非常に合致したものから、精粗様々あったということがございます。例えば、こういう設備の普及を図るためにはタックス・インセンティブが必要だということだけを抽象的に書いてあったというものもあったわけでございますが、この辺につきましては特に税ということになると、予算よりもさらに難しい。手法が確立していないということもあると考えておりまして、今後もさらに要求官庁の方と相談しながら、様式や活用方法について検討していかなければならないと考えております。
   11ページ以降は、先ほど申しましたように今年は総理の指示もございまして、特に租税特別措置につきましては実質的に補助金の裏返しだという考えで、「徹底した見直しを行い、廃止を含め大幅な整理・合理化を行っていく」ということをシーリングの閣議の際に塩川財務大臣から御発言いただきまして、次の12ページ目にございますように、昨年12月の政府税調の答申におきましても、個々の措置について具体的に見直す際の視点といたしまして、政策目的・効果、政策手段としての適正性、利用実態、これは特に形骸的なものというのは非常に問題になっておりまして、こういう明確な基準をお示しいただいた。まさに政策評価の趣旨に非常に合致するものと思いますが、お示しいただいたところでございます。
   これを踏まえまして、13ページでございますが、14年度の税制改正においてどうなったかということでございますが、施策の必要性あるいは適正性、目標に達していない場合の理由等につきましてはかなりいろいろ出てきまして、そういう欄を設けましたので、これを十分吟味し、見直しに生かさせていただいたところでございます。
   企業関係の租税特別措置につきましては、昭和55年以来となる10という項目の措置を今年は廃止することができました。廃止・縮減項目が企業の租特に対する整理・合理化割合が43.6%まで向上いたしました。他方、メリハリということもございまして、沖縄振興関係の5項目を含めまして8項目を創設したところでございます。
   政府税調におきましては、特に石税調会長から経済社会システムが官主導から民主導に転換するに伴い、税制の役割も個別の経済主体の行動を妨げない21世紀型に移行してほしいという御議論がございました。こうした観点も踏まえまして、あるべき税制の構築に向けての検討の中でさらに租税特別措置もこういった政策評価的な政策目的・効果の観点を十分に吟味して、見直しを積極的に行っていきたいと考えております。
   次が関税局でございます。15ページにお示ししておりますように、平成14年度の関税改正の要望の取りまとめに当たりまして、政策評価制度の実施を踏まえまして、従来にも増して的確、厳正な審査を行いたいということで、今回から政策目的、施策の必要性、要望の措置の適正性、改正による目的達成時期といった事項を必ず含めるようにいたしまして、16ページにございますように、これが内容項目でございますが、より具体的な記載をお願いするようにいたしました。
   結果的に、次の17ページでございますが、これが平成14年度関税改正における活用の概要でございますが、全体的に要望書や説明資料はこういったことがあったので非常に充実してまいりました。また、定量的な分析に取り組んだものも出てまいりましたが、やはり多いのは定性・抽象的な記述のものということでございました。
   今回の要望につきましては、審査・協議におきましてその資料を活用し、適宜追加的な資料も求めながら審査することに使わせていただきました。定量的な分析に取り組む例もありましたが、その場合でも残念ながら措置の利用見込み額までは試算されていますが、その措置を行うことによって実現される、最も望ましい経済的なアウトカムの効果の分析まで踏み込んでいるものも非常に少ないというか、組み込んでいないものが多く見受けられたわけでございます。
   これは手法の問題として関税の場合、さらに難しいということがあるとは思いますが、国民が一番求めておられるのはこの関税措置によって国民経済的にどういう便益と損失があるのかということでございまして、その比較衡量でございますので、その辺の手法の開発にも努めて、より改善していきたいと考えております。
   最後は理財局でございます。18ページ以降でございます。財政投融資の問題でございますが、編成手続きは先ほどの本予算と概ね同じでございますが、8月10日に財務大臣からシーリングの閣議におきまして財投の要求に際しては、「財投改革の趣旨を踏まえ、民業補完性、政策コスト分析、償還確実性等の検討により、その規模の縮減及び対象事業の重点化を行うとともに、財投機関債の拡充を図っていただきたい」ということ。さらに「財政投融資の実行状況等を踏まえるとともに、社会経済情勢に的確に対応したものとされるようにお願い」したいという発言をさせていただいているところでございます。
   19ページに、要求するとき、各省にお願いしたときの資料をつけております。財投の要求に当たりましては、政策評価に関して政策の意図・目的、公的関与の必要性、民業補完性の有無、これは財投の特色ですが、その必要性、資金調達手段の適正性、財投資金の償還確実性といった手段の適正性の評価、施策の達成効果、達成時期といった項目につきまして各省庁から提出していただきまして、査定の過程の審査に使わせていただきました。
   1の政策の意図・目的、2の必要性、3の適正性につきましては定性的な評価が多かったのでございますが、4の効果達成時期につきましては大半の財投機関が定量的な評価を行ってくるようになってまいりました。
   20ページ目以降は一番国民全般に効果というか御関心のあります住宅金融公庫の例をつけさせていただいております。このような政策評価の資料の提出をいただいておりまして、21ページ目の4番に政策コスト分析というのがありまして、これは膨大な資料になりますので、別途また機会があれば御説明させていただきますが、財投機関全体に対して「政策コスト分析」を実施しております。これは財投を活用している事業の実施に伴いまして、今後、その事業が終了するまでの間に必要と見込まれる国からの補助金などの総額を一定の前提条件に基づいて仮定計算いたしまして、割引現在価値として把握してコストを算出しているというものです。
   提出資料につきましてはヒアリングして、資料の中身の精査でやってまいりましたが、14年度編成に当たっては各機関の政策目的等について、これに対する私どもの方の論点としてこういう見方があるのではないかといったものをその政策の必要性、適正性等について論点を提示し、それを財審の財投分科会で御議論いただくということを行わせていただきました。その御意見を踏まえて最終的に財投計画を編成いたしました。
   23ページにお示ししておりますのは、住宅金融公庫においてどういう議論、検討経過であったか、要求がどうであって、編成の論点があって、最終的にどうなったかを3段表にお示ししております。実際にはもっと長い資料でしたが、そのイメージを見ていただくために抜粋しております。例えば施策の必要性について、要求側がこのように言ってきたのに対して編成の論点として私どもから民業補完の観点、公庫の融資制度の縮減、重点化といったようなことを申し上げて、最終的には右のように13年度8兆 3,632億円、14年度6兆 9,363億円、決定が4兆 9,669億円ということになったということです。
   次の24ページ目以降は先ほど申し上げました政策コスト分析でございます。財投におきましては事業実施に当たって財投だけの資金調達のものと、財投とタックスマネーの組合せのものがございまして、政策コスト分析はこのように財投を活用して政策を行う場合に、今後、国から投入される補助金等の総額を割引現在価値で示して、国民の負担が分かるようにという趣旨で計算しているものでございまして、すでに平成11年度からやっておりまして、先ほど申し上げましたように今は全機関に広げて公表しております。
   コストはこのようになっているわけでございまして、やはり道路公団といったところが非常に大きいということになっております。さらに今年もう一段工夫いたしましたのは、25ページ目にございますように、前提条件を変化させるとどうなるかということがございます。これは御承知のように現在、未曾有の低金利でございますから、将来金利が上がる、あるいは事業収入の前提が変わった場合にどうなるかということで、例えば住宅金融公庫などは今の前提ですとマイナスになるんですが、仮にたった1%積算金利が上がりますと、1兆 5,624億円のプラスになる。これは当然そういうふうになるんです。そういったことも出しますと、皆さんに全体のボリューム感が分かっていただけるのかなということで、今年はそういうこともやっております。
   4局のスタンスが各々違いますので、私どもも全体をうまくまとめて説明ができたか分からないのですが、以上でございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。ただいま御説明いただいたことに関しまして、質問などありましたら、どなたからでも御発言いただきたいと思います。
   私から御質問したいことがあります。政策評価に関する標準的ガイドラインというものがございますが、我々も同意しているガイドラインとなって各省間の協議もあったと聞いております。そこで使っている評価の観点などは必要性、有効性、効率性という言葉を使ったりしていますが、ここで御説明いただいたのを見ておりますと、やや違う。例えば適正性という議論は少なかったかなと思っているんです。予算という観点あるいは税という観点で考えられる評価の基準というのか観点というものと私どもの議論しているところとずれがちょっとあるのかなという感じがします。そのあたり政策評価は非常に有益だとおっしゃっておられて、改善の余地はあるとおっしゃっておられると思いますが、そのあたりはどうなのでしょうか。私どもは一体何をやると予算当局にも有効であるか関心があるわけですが、そのあたりどういうふうに整理されたかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○片山政策評価室長(財務省)
   ガイドラインができていく過程では各省庁が私どもも含めて議論にも参加させていただき、また法律もこういった形ででき、非常に普遍的な観点につきましてはある程度共通認識があるのではないでしょうか。言葉は確かに適正性と申しましてもほかの概念にある程度敷衍されるものもございますので、それほど大きな差があるという感じは受けておりません。
   どこの局も初めてのことですので、最初の取っ掛かりということもございまして、確定的なことが言えるような状況ではないのでございますが、やはりポイントは数値化ということになるのではないかと考えております。その数値化ができるのかできないのか、あるいは、先ほど最後の方の議論を聞かせいただきましたが、数値がピンポイントであるべきなのか、幅であるべきなのか、また、数値を算出する根拠をどう評価できるのか、それが外から見て分かるようになっているのか、そういう評価の技術の難しさみたいな一番根本的なところが、霞が関全体でまだ技術が向上していないというところでございまして、まずそこから始めてノウハウが蓄積されませんと、先生がおっしゃったようなことは、さらに上のレベルのお話なのかなと考えております。やはり数値指標、アウトカムでできるだけできるように持って行くところはまだまだだと考えております。
○村松委員長
   ほかの方もいろいろあると思いますが、もう一つ、数値化のとき、いろいろなコストの計算をなさったようです。私どもも片山さんがこの部屋にお入りになる前、コストの計算をどうしたらいいのか、各省それぞれそこにある比較的使うやすい資料でコストを計算してしまうのではないか、そんなことを心配して議論していたわけです。そのあたりは実際におやりになってどうでしょうか。また、できたらサンプルというか、そちらでお使いになった資料などをいただけたら、我々の材料になるなと思って伺ったんですが、その辺は別によろしくお願いするとしまして、どうでしょうか。
○片山政策評価室長(財務省)
   基本的にB/Cは割算でございますので、分母となるコストの計算は非常にポイントでございますが、私どもの今の資料をざっと御覧になっていただいて分かりますように、今は発生主義型の予算をしておりませんので、予算書は現金会計ということで、現金で単年度にいくら要る、財投におきましては必要なローンの額がいくらであるとか、租税特別措置におきましては単年度の減収額がいくらになるかという、極めてカレントな計算でコストを見ております。
   ただ、理財局だけはやや多重的な視点で見ておりまして、政策コスト分析的なやや違った概念も入ってきます。ローンである財投につきましてはこれがやりやすいのですが、一般会計で行う事業についても、公共事業のように国債で調達しているものは金利等のコストの概念を入れていくことも必要なのではないかという御指摘もございます。
   今のところ私どももB/Cについて勉強中の段階であります。
   ですから今のところは、私どもは当該年度の必要経費的な意味での要求額がコストの基本になってくると考えておりますが、膨大な額を国債で調達しておりますので、そういった費用あるいは後年度の補修費がその単年度には要求が出てこなくても盛り込むという概念もあり得るのではないかと思うんですが、予算の方もそこまでは進んでおりません。議論の過程ではそういうものも全部見ていますが、基本的には現金予算の査定をやっているということでございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。樫谷委員どうぞ。
○樫谷委員
   今いただいた資料の中の24ページですが、今議論させていただいております政策コスト分析というのがあります。政策コストと分析期間ということがあります。この分析期間というのは年数が80年もあり十何年というのもあったりしていますが、これはどういう期間をとらえたのか御説明いただきたいと思います。
○片山政策評価室長(財務省)
   これは今、予定されている事業の費用が終了するまでの期間でございまして政策コスト分析はそういった切り口なんです。ですから、今年の事業で解散する機関、いま特殊法人の議論があるので言い方は非常に難しいのですが、そういうものではないですから、これだけで済むわけではないんですが、仮にそういうところで切ってもこれだけのものがかかるというやり方です。従って、法人の性格によって、水資源、林業などは非常に期間が長くなっているわけでございます。他方、年金担保貸付勘定などでは6年ぐらいしかないということになるわけでございます。
○樫谷委員
   そうすると、この分析期間において投入する政策コストから税金のコスト、税金と考えていいわけですね。
○片山政策評価室長(財務省)
   主に補助金等のコストです。
○樫谷委員
   税金がこれだけかかる、こういうことですね。割引率か何かでディスカウントしているわけですか。
○片山政策評価室長(財務省)
   ええ、現在価値に割り引いています。その辺のルールは本日御参加の吉野先生から御指導いただいております。
○樫谷委員
   25ページですが、前提条件を変えた場合の数字が書いてあります。これは最初から80年間とか30年間とかあるわけですが、例えば日本道路公団の業務収入が10%減ったことを前提ということは、そのスタートから50年間の毎年、10%減ったものの累計という理解でよろしいんでしょうか。
○片山政策評価室長(財務省)
   はい、そうだと思います。
○村松委員長
   そのほか、何か御意見ございますか。
   それでは、片山室長、お忙しい中を大変ありがとうございました。私どもの方の評価におきましても予算において有効な活動をしたいと考えておりますので、改善の御提案などございましたら、またよろしくお願いいたします。資料などもこちらの方からお願いすると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

[今後の独立行政法人の増加について]

○村松委員長
   今日の議題はこれで終わったわけでございますが、今後、独立行政法人の増加が見込まれるといいますか、予測されることはこの委員会でも御発言があったことがありますし、非公式にも皆さんいろいろなところで対応なさっているように思います。そのあたりのことでございますが、現況を私なりに事務局に尋ねまして整理しているのは次のようなことだろうと思います。
   現在、当委員会が対象としている法人は58法人であります。今後、独立行政法人化されるものといたしまして、まず平成15年4月までに設置が決定されているものが2法人あります。今、国会に関係法案を提出中のものとして3法人ございます。さらに昨年の12月19日に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画というのがございますが、これに基づきまして独立行政法人化されるものとして36法人がございまして、関係法案が今後立案され、提出されることになっております。
   これらの法人につきましては、独立行政法人通則法の規定に基づいて我々の委員会の対象になるということになります。
   さらにこれの方は 100%そういう文言があるということではないと理解しておりますが、現在の国立大学につきましても文部科学省が3月26日に公表した国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議の報告におきまして、大学ごとに法人格を付与する、国立大学法人(仮称)とすることが提言されております。そして、関係法案の立案作業が進められておりますが、これについても当委員会の対象になるということが推測され得るというか、想定されるというか、その確度については 100%かどうか知りませんが、非常に高い確度でそういうことを予測できるわけでございます。
   これに加えまして、3月29日に閣議決定された公益法人制度の抜本的改革に向けた取組についてというのがありますが、これにおきましていわゆる行政委託型公益法人等に該当する法人について、新たに1法人を独立行政法人化するということが決められておりますので、これも当委員会の対象となるのではないかと想定されているわけでございます。
   これらの法人は事業の内容も非常に多岐にわたっておりまして、予算・事業・規模に関しても今58で我々が考えてきております独立行政法人と比べて大きいものが多いということでございます。資金の調達手段も多額の運営費交付金を受けるものや、長期借入金によるもの等が含まれておりまして、財務面でも既存の独立行政法人とはかなり異なる面が出てくるのではないかと見ております。
   このように量的・質的に拡大していくこととなるこれらの法人から、具体的にその評価結果が個々に通知されてくるというのは大分先のことでありますし、平成16年度以降ということになるわけですが、こういうことが動いておりますので、私としては気になっておりまして、どういう現況かということを確認させていただいて、皆様にも御報告するわけでございます。
   当委員会の体制につきましても、拡充ということを含めまして、今の段階から事務局と相談していきたいと思っております。ちょっと先のことではありますが、新聞報道で皆さん御存知のとおり、次々と独立行政法人ができていくということでございますので、私の方からも確認したことを申し上げておきたい。そういうことでございます。

[次回委員会の日程について]

○村松委員長
   それでは、最後に次回の委員会について。
○橋口総務課長
   今後の委員会の日程等について御説明させていただきたいと思います。先ほど財務省から御説明がありました資料3の下に1枚紙、A4の横書きでございますが、「政策評価・独立行政法人評価委員会   5〜7月の開催日程(案)」というものがあるのではないかと思いますが、それを御覧いただきたいと思います。従来、御審議いただいてまいりました内容が制度論とか基本的方針に係わることが基本的に多かったということもございまして、月1回の合同会議、本委員会と二つの分科会議との合同会議という形で御審議をいただいてきてわけでございますが、今後、各府省ごとあるいは独立行政法人ごとといった個別的な対応を前提として御審議を賜る機会も多くなることが想定されるわけでございます。
   そこで御覧いただきますと、当面、政策評価の分におきましては、政策評価分科会の下の方を御覧いただきたいと思いますが、各府省における政策評価に関する基本計画、実施計画の策定状況、それから独立行政法人に関しましてはその右側でございますが、各委員会の評価基準のヒアリング、こういったものが御審議の対象となってくるのではないかと考えております。
   そこで、これらについての分科会方式によるヒアリングをお願いしてはどうかと考えておりまして、この表にありますように次回5月24日からそれぞれの分科会で御審議を賜ることを考えてはどうかということでございます。特に6月と7月につきましては、これまでにすでにいただいております日程のほか、各月1回ほど追加させていただきまして、6月中旬ごろ、7月中旬ごろと書いておりますが、それぞれ分科会方式で御審議を賜ってはどうかということでございます。
   御覧いただきますと、5月24日につきましては政策評価分科会におきまして行政評価局が行います政策評価の結果のとりまとめに関する御審議をいただく。独法の分科会におきましては1回目の各省評価委員会の評価基準のヒアリングをお願いする。それから、それぞれの分科会終了後、左の方に本委員会と書いてございますが、本日いろいろ御審議を賜りました客観性担保評価についての2回目の御審議をいただいてはどうかと考えております。
   それから、追加いたしました6月中旬ごろと、すでにいただいております6月28日、この2回で政策評価について各府省の政策評価に関します基本計画、実施計画の策定状況のヒアリング1回目、2回目。それから、政策評価については7月中旬までかけての3回目。独法につきましては6月中旬に2回目、6月28日に3回目、そして7月におきましては個別の独立行政法人に係わります評価方針の事前検討をお願いしてはどうかということを考えているところでございます。
   そして、7月に政策評価、独立行政法人評価において行っていただきましたヒアリング結果の御報告をいただくことにしてはどうかというのが、7月26日の一番上に書いてございます。
   それから、7月26日、そのほかにも13年度におきます各府省の政策評価の実施状況の御報告。それから、評価局が行います主要な政策評価の調査計画の御審議。また、評価局が行います主要な政策の結果の御報告、こういったものを予定しているところでございます。したがいまして、次回でございますが、5月24日ということで2時から開催させていただきまして、場所を申し上げますと、政策評価分科会におきましては 401会議室、総務省の4階でございます。独立行政法人評価分科会は同じ時間でこの会議室、第1特別会議室でございますが、この会議室を予定させていただいております。そして、それぞれの分科会終了後、この会議室で客観性担保評価に関する御審議をいただくということを考えているところでございます。
   6月中旬と7月中旬で追加した分の具体的な日取りにつきましては、早急に調整させていただきまして、追って御連絡させていただきたいということでございます。以上でございます。
○村松委員長
   ありがとうございました。それでは、以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会の第15回の会合を終わります。
   本日はどうもありがとうございました。

〔了〕