政策評価・独立行政法人評価委員会(第16回)議事録



1.日時 平成14年5月24日(金)15時15分〜16時10分

2.場所 中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
 (委員会)
        委員  村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、
樫谷隆夫
 臨時委員  宇賀克也、金本良嗣、高木勇三、田辺国昭、新村保子、黒川行治、
 専門委員  翁百合、木村陽子、吉野直行、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山谷清志
 (総務省)
       若松副大臣、塚本行政評価局長、橋口行政評価局総務課長、
新井政策評価官、讃岐評価監視官、石川政策評価審議室長 ほか
4.議題 客観性担保評価に関する審議






○村松委員長
  時間がまいりました。少し遅れ目でございますけれども、これより政策評価・独法行政法人評価委員会の第16回の会合を開会いたします。
  この時間の前まで1時間強、二つの分科会が行われていたわけでございますが、時間的には1時間ほどでたくさん詰めた御議論で、私は両方ともちょっとだけしか出ておりませんが、大変だな、これから日程調整などいろいろしながら充実したことをやっていくのでしょうけれど、事務局にもその辺、頑張っていただかなければいけないと思いました。
  本日の議題に入ります前に、若松副大臣が先日、アメリカに出張されまして、その出張報告をしていただけるということでございます。
  どうぞよろしくお願いします。

[若松副大臣米国出張報告]

○若松副大臣
  皆様、大変御苦労様です。
  来月から月に2回、大変御足労をおかけしますが、いよいよ政策評価の制度の執行面での本番が到来いたしますので、引き続きの御協力、御指導をよろしくお願い申し上げます。
  ゴールデンウィーク中にGPRAの関係で、アメリカの関係省庁等を回ってまいりました。先生方の議論の一助となればと思って報告書を作らせていただきました。それに基づいて10分弱時間をとらせていただきまして、アメリカの現状等について御報告させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。座らせてやらせていただきます。
  まず、最初に行ったのがOMBという、日本で言うと財務省の主計局と総務省の行政評価局の二つを一つにして内閣につけたような組織でございます。御存知のようにアメリカは議員立法しか認められていない国ですが、当初、ウィリアム・ロス上院議員がGPRA、政府の業績成果法案の中身を作ったわけですが、それは内容的に不備だということで、ここのウォルター・グロスキーさんという方、かなりの高齢で顧問になっているわけでありますが、この方がわざわざ上院議員のところまで行って自ら法案を作って、それが成立したというのがGPRAの本来の由来ということを聞きまして、改めて驚いた次第であります。
  この中身でありますが、GPRAで評価をしているのが、1ページの下から10行目ぐらいのところに「現在は」とありますが、予算額の20%ぐらいがパフォーマンス予算になっております。そして、2003年度の大統領が提案した予算書の中に実際にプログラム評価が出ております。
  これが2003年の大統領が提出した予算書であります。それを省庁ごとに予算の内容と併せてGPRAに基づいた業績評価の項目ごとの、黄色丸とか赤丸がありますが、赤丸はもうだめよということですが、具体的な評価が予算書についております。我々が施行するところの業績評価の反映をどうするか、予算と業績評価、そして決算制度にも関係してくるわけです。この三つのリンクが先進国では既に検討され始めています。これも近々、この政策評価・独立行政法人評価委員会の先生方に議論していただかなければならない。おのずと財務省、主計局との縦割りではなくて、本音ベースの予算と業績評価と決算制度のリンクを真剣に考えていかなければいけない時期に来ているのかなという実感をしたのが一つの点でございます。
  2ページ目のGPRAの歴史ですが、日本の場合には今年の4月からかなり総括的に施行されたわけですが、アメリカの場合には93年にはGPRAができまして、最初の5年間はやりたいところはやっていいですよ、こういう形で進めましたので、皆さんは自分のいいところだけをアピールするために使ったということで、結果的に各省庁のやった業績評価はもうバラバラという状況でしたが、97年から全省庁的に戦略プランを作って、それで取り組み始めたというところで、初めて全省庁が業績評価の結果を予算書に盛り込んだのが2003年の大統領が出した予算書ということになります。
  あとで御説明いたしますが、退役軍人省というのがありますが、Department of Veterans Affairsという退役軍人、これは世界最強の軍隊を持つアメリカですから、1番大きな省がアメリカの場合は軍隊です。2番目に大きいのがこのVeterans Affairsというところで、 2,200万人の退役軍人、家族が 4,000万人、合わせて 6,200万人のケアをするために22万人が働いております。そこの省庁による2001年から2006年までのGPRAに基づいた戦略計画書というものが作られておりまして、これに基づいて毎年、Veterans Affairsの省がGPRAを進めている、こういう報告書が出ました。これを今、全省庁が始めているということです。
  では、連邦議会はGPRAについてどのような認識かということですが、2ページの真ん中の方にありますが、正直言って議員はほとんどGPRAに関心を持っていないという大変ショッキングな話を聞いてしまいました。これは上院議員が中心になってやってきたわけです。特に先ほどのウィリアム・ロス上院議員など、何人かの積極的に推進した議員がすべて勇退いたしまして、今このGPRAに熱心な議員はおりません。
  ということで、次の3ページ目ですが、会計検査院、アメリカの場合には日本の会計検査院と違いまして議会に帰属しており、議会の指示に基づいてGAOが政策評価も行っているわけでありますが、このページの真ん中ぐらいに、今年の11月に中間選挙がありますので、GPRAとしては来年ぐらいから連邦議会の中にGPRAの理解を深めるべく、今、協力的な議員を募集中というか、仕込中です。塚本局長とも連携をとって行政評価局にもチームを作って、せっかくの行政評価の結果を国会で活用していただく、そのアピールをしようと考えております。
  そこで退役軍人省という、3ページの4番目でありますが、先ほど言いましたように2番目に大きな省庁ですが、4ページを見ていただきますと、2001年から2006年までの戦略的計画書という数年計画の計画書がございます。それに基づいて年度ごとに退役軍人省のGPRAに基づくプラン、計画書が出されます。こちらを見ていただきたいのですが、こういうものです。アメリカの場合にはすべてこういうものはインターネットで入手できるようになっていますが、これで2003年の退役軍人省がやろうとしているGPRAの内容が分かります。
  それで驚いたのは、実は年間計画を達成するために、毎月、月次報告書が出ております。年間の計画をよく民間の企業がやるようにグラフにしまして、毎月毎月どのぐらい達成しているか、独立行政法人がどうなっているのか、乖離度がどうなっているのか、これを毎月やっているということなんです。毎月やっているということは、毎月やるための情報をどう作るか、ここが大事であります。GPRAというのは、先ほども言いましたように業績評価にするためにいわゆる決算制度というか、財務情報システムがかなり高度でないと評価するための会計データが出てこないという前提があります。実はここが日本は全省庁的に弱いところです。
  ですから、前回御報告させていただきましたが、樫谷先生を中心に行政評価局の評価監視官の皆さんは、月に2回、公会計の勉強会を進めております。恐らく日本でこういう勉強会はここだけだと思いますが、そういったノウハウを全省庁的に共有して、いかに財務情報システムを構築して、月次の業績評価ができるようなシステムができるかどうかが我々が目指さなければいけない次の点なのかなと認識してまいりました。
  そして、その1年間の結果、これが2001年、去年ですけれども、アニュアル・パフォーマンス・レポートという、いわゆるGPRAに基づく退役軍人省の年次報告書です。これはGPRAのみです。これの細かい内容が色別に、グリーンはオーケーです、レッドはだめよ、イエローはまあまあかな、とそれぞれ評価しておりました。この内容が先ほどの翌年の予算書について、議会で予算の審議のときに政策評価はどうなっているのか、予算とあるいは決算と行政評価のリンクが行われつつある、こういう状況になっております。
  もう一つ、最後に、これには退役軍人省の年次財務報告書です。いわゆるアニュアルレポートです。決算書です。これは財務データがしっかり載っています。当然、これはGPRAも関係してくるわけでありますが、先ほど言いましたように、1年間に、アメリカはもともとレポートが好きという国民性もあるわけでありますが、年次業績評価の計画書、そして月次、更には結果としての年次の業績評価の報告書と財務報告書、この四つがうまく機能的に回りだしている。
  特に、退役軍人省がアメリカの省庁で成績がトップということで私どもは視察をさせていただきまして、彼らがやっているところの内容を把握しました。ちなみによくこれだけ財務情報システムを構築できますねと聞きましたら、私が公認会計士だからPRするわけではないんですが、会計事務所と毎週会議をして、どうデータ・システムを構築するかというミーティングをやっております、当然、先ほどの財務年次報告書も外部監査も受けております、とのことでした。どのぐらい払っているんですかと聞いたら、5億円払っているんですとのことでした。これは会計事務所にはいい話だなと思ったんですけど。
  いずれにしても、先ほどの予算と業績評価と決算というか財務のディスクロージャー、この三つをどうリンクしていくのかというのが、恐らく、これから村松委員長は大変だろうと思いますが、更に知恵を出していただいて、先進国にキャッチアップするための次の課題になるかなということを勉強いたしましたので、皆様に御報告させていただきます。
  以上で終わります。
○村松委員長
  御激励いただいたのだと思うのですが、叱咤されたような気がいたしますが。(笑)ありがとうございました。

[客観性担保評価に関する審議]

○村松委員長
  それでは、客観性担保評価に関する審議に直ちに入りたいと思います。資料に基づきまして事務局からいつものようにまず説明をお願いいたします。
○石川政策評価審議室長
   今回は、審査、チェックすべき事項などを中心にしまして御議論いただくことになるのではないかと思っております。総論的に御審議いただくのは最後になるかとも思いますので、これまでの御議論で漏れていることなど、追加して御意見をお伺いしたいと思います。
   前回の御議論で、各省や分野によって費用便益のとり方などにかなりバラツキがあるとか、評価結果のチェック体制の問題とか、利害対立のあるものや効果の有無の未確定のものは再評価の対象とすべき、それから、大規模プロジェクトなどは必要性認定の対象とすべきであるとか、評価の実施時期の問題、それから評価結果の数字に幅があるのが自然ではないか、行政が担う必要性について各省が挙証責任を果たすべきだ等、審査の段階あるいは評価の必要性の認定、評価など、客観性担保評価を実施する上で重要な着眼、留意点をいただいております。より良い評価をしていくために押さえるべき要点であると思います。今後、事務的にその進め方について、引き続き検討いたしますし、また御意見等も賜りたいと考えております。
  それでは、資料に沿って御説明させていただきます。前回の御説明と重なるところがあって恐縮でございますが、御案内のように、政策評価につきましては、各行政機関がその所掌に係る政策について実施するとされているところであります。このうちいわゆる客観性担保評価につきましては、法律では総務省は行政機関の政策評価の実施状況を踏まえ、改めて政策評価が行われる必要がある場合、あるいは社会情勢の変化等に対応して政策評価が行われる必要があるという場合において、その実施が確保されないと認められるときなどにつきまして、総務省が政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価を行うとされているところであります。
  この法律に基づきまして定められました基本方針において、この一連の評価活動に取り組むとされております。一連の活動として、一つは各行政機関が実施した政策評価について審査するということであります。二つ目は、各省において評価あるいは改めて評価が行われるべきものについて評価の実施の必要性の認定を行いまして、その結果に基づき実施すべき旨の通知をして、場合によっては総務省において評価を実施するということにされているわけであります。
  これらが一連の活動とされておりまして、このような活動に取り組むに当たって、総務省として効率的、効果的にどのように取り組めばいいのか、これまでの御意見等を踏まえて主な論点として書かせていただいたものであります。
  大きく二つに分けておりますが、本日はこの客観性担保評価活動の基本的な考え方と、それから各行政機関が実施した政策評価についての審査について、その考え方を中心に御議論、御示唆をいただきたいと思っております。
  まず、一つ目にまとめてありますが、「客観性担保評価活動についての基本的な考え方」という書き出しをしておりますが、これは政策評価の客観的かつ厳格な実施の推進は目的の一つでございますが、法律が制定されまして、そこで各省に客観的かつ厳格な政策評価の実施を求めつつ、その上で総務省においても政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するためのいわゆる客観性担保評価を行うという仕組みが置かれている。この趣旨を踏まえまして、その機能を十分に発揮する必要があると基本的には考えているところであります。
  このようなことから客観性担保評価の取り組みに当たっては、具体的には政策評価が法や基本方針の求めるところに則って適切に実施されることを担保する。そういうことによりまして、評価の的確な実施を確保することを眼目にすると考えております。
  その場合、個別の政策評価について、以下、例えばというようなことで設問形式でまとめてあります。例えば政策評価は政策の効果を把握し、必要性、効率性、また有効性その他、政策の特性に応じて必要な観点から評価するとされているところでございまして、評価の対象とする政策の特性に応じて適切な観点を選択し、具体化し、総合的に評価が行われているかというようなこと。
  それから、政策効果の把握に当たって、できる限り定量的に把握するというようなことができる手法が用いられているか。これが困難な場合等にありましても、定性的に把握する手法という場合でも客観的な情報とかデータや事実が用いられているかということ。前回の御議論でも定量的な手法が用いられておりましても、数値の取り方などにバラツキがある。それから、効果の有無が未確定のものなどは再評価の対象とすべきではないかというような御示唆もいただいているところであります。
  2枚目の方に移りますが、政策評価はいわゆる合理的な単位によるということ。それから、適切なタイミングで実施されているかというような観点から見てみたいという、前回にも適切な時期とか期間で実施すべきという御意見もいただいております。
  それから、学識経験者の知見の活用につきまして、この法律にも政策評価の在り方というところで、政策の特性に応じた学識経験者の知見の活用というところで項立てされているところでございます。これらの着眼で担保していくことはどうかとも考えているところでございます。
  それから、これらは基本方針なり法律である程度方向が示されているものでありますけれども、このほかに政策評価は客観的かつ厳格な評価であるというために、当然、保たれるべき、あるいは備えておくべきようなことがありますでしょうかというようなことについて、客観性担保の評価活動全般にわたる御審議を賜りたいと思います。
  二つ目として、いわゆる審査と言われるところのものでございます。これは基本的には個々の評価書を基に行うことになると考えておりますが、その場合の審査の内容ということでございます。例えば評価書を通じて、その範囲の中で法や基本方針が求める要件との適合性というようなポイント。それから、評価の論理性という書き方をしておりますが、いわゆる評価書に表されていることがきちんとなっているかということ。その評価結果になっているかということも含めてと思っております。
  それから、基本的には政策評価の大きな目的であります説明責任を果たすというような要件もございまして、これは一般的には評価書を見て判断するということになると考えられますけれども、その評価書の記載事項が必要最小限と言いますか、網羅的に書かれているか。それから、記述につきましても具体的に書かれているかどうか。
  それから、評価書以外も含めてですが、外部からの検証が可能になっているかというようなポイント等がいわゆるチェック項目として考えられます。これ以外にもどのようなものが考えられるか、あるいは、どのような点に留意すべきかということについて御示唆いただければと思います。
  それから、各府省が実施した政策評価のうち改めて評価が行われる必要性があるという判断をする場合、これは委員会の御審議を経るということになりますけれども、どのような取組を行えばいいかということでございます。
  それ以外に評価活動の在り方として、どのような点に留意していけばいいかというような一般論を含め、論点として整理いたしました。御審議いただきたいと思います。以上です。
○村松委員長
  どうもありがとうございました。それでは、どなたからでも、どの部分からでも結構でございます。御発言をいただきたいと思います。
○金本臨時委員
  この文言を読んでいてよく分からない面がありますが、1、2と分かれていて、1の方で具体的に何をしなければいけないかということを考えますと、基本的には各省のマニュアルを見て、それでいいかということになるのだと思います。それをどういう体制でやるかということで、それぞれ御覧になれば分かりますが、かなり専門的な中身について、これをこういうふうにやって客観性・厳格性に耐えられるかを検討して何かものを言うということにならざるを得ないと思っています。それをどういう人を集めて、どういう形でやっていくかということが一番重要で、この委員会でこれから各省ヒアリングをおやりになるようですが、それでいいものが出てくるようなものではないと私は考えています。
  ですから、その外観を皆さんが見るというのが必要でしょうが、その次に何をやろうかと思ったときには、それなりの専門家をどうやって集めて、どういう体制でやっていくかということを考える必要があるのだろうと思っています。
  この辺、早めに手を打っておいていただかないと、いざやろうと思って専門家を集めようと思ったら予算がないということになりかねないと思っております。
○村松委員長
  ヒアリングをやって、マニュアルを集めて、ある程度の分析をして、そのときに更に深く評価の方法を考えていくという段階で既に専門家がいる、そういうふうにおっしゃっているわけですね。
○金本臨時委員
  そうですね。A省のものとB省のものと違う。両方とも我々の方がいいと言っている。この省の評価の仕方はどうかと疑問を呈されたときに、決着をつけられるような人員構成かということが問題になると思います。
○吉野専門委員
  2ページの2行目ですが、適切なタイミングで実施されているかということ、これは非常に重要だと思います。いつやるかということと、それぞれの政策がどれぐらいの期間をかけて効果があるか。政策によって違うと思いますので、ぜひこの点をやっていただきたい。
  それから、各省庁のいろいろな政策を評価するときには、そこで用いられたいろいろな手法なり結果のデータ、それからやり方がみんなに分かるように開示されているかどうか。ですから、逆に言いますと、それを後でだれかがフォローアップできるかどうかという体制が非常に必要だと思います。そうすることによって検証の可能性を高めると思います。
  それから、もう一つはこれは公務員の方々のインセンティブなんですが、日本の場合、民間企業もそうですが、やったことが悪いと×である。ところが、いいことにトライして、それが失敗したときにも×になってしまう。そうすると、新しい施策がなかなかできないというのが多分日本の共通点だと思うんです。
  ですから、そこで何か新しいことをやられて、失敗はしたけれども、その試みは後で生きてきた。そういうのに対して評価はマイナスにされてしまうのか。日本全体の問題だと思うのですが、その点もぜひ考慮いただければと思います。以上です。
○村松委員長
  ありがとうございます。今、公表の話が出ているのですが、公表というのは分かりやすくされなければ、正しい客観性担保評価が行われているかというのが分からないわけです。今日のここの中では公表の議論はしていませんが、別テーマということで考えておられるわけですか。
○石川政策評価審議室長
  法律の中に当然の義務として、評価書と、それから要旨を併せて公表するということが定められてございまして、単に要旨だけですと、今いろいろ議論いただいています詳しいデータというのは多分分からないということもありますので、併せて公表するということが義務づけになっております。一般的にはどういう形で公表されているかということを常にウォッチするということはあるかと思います。
○村松委員長
  それが分かりやすいかどうかをチェックするのはここの責任ではないんでしょうか。
○石川政策評価審議室長
  分かりやすさというところが非常に難しいと思います。法律には要旨と書いてありますので、言葉を変えれば分かりやすいということかなという程度でございますが、範囲はいろいろあると思います。
○山谷専門委員
  金本先生から評価マニュアルをチェックすることの重要性の御指摘があったわけですが、それはそのとおりだと思いますが、もう1点、事前の評価に際しましては予測の前提と申しますか、便益を推計するに当たっての前提条件が各省なのか各局なのか、あるいは各事業ごとに違ってしまっていているということで便益が過大に見られるバイアスもよくかかることであります。ですから、その予測の前提条件は客観性が担保されているかどうかについて検討が必要ではないか。プロセスと同時にインプットを見るということだと思います。
  もう1点、資料の1ページの左上に大きなボックスがあります。つまり客観性担保評価活動というのが何件くらいあるのか。つまり、この委員会で再評価すべき客観性担保評価というものは何件あるのかというイメージがなかなかつかまえきれない。恐らく金本先生、吉野先生がおっしゃられたのは公共事業なりそういうものを、私もそういうイメージで申しているわけですが、そういうものだけではなくて、一体全体この評価委員会の活動対象として考えているものはどれぐらいあるのか、イメージを共通に持っておく必要があるのではないかと思いますので、事務局よりお教えいただきたいと思います。
○村松委員長
  事務局。
○石川政策評価審議室長
  昨年、ガイドラインに基づいて政策評価を実施しておりまして、それで見ますと政策の考え方、とらえ方というのはいろいろでございまして、まとめて評価書の形にしているものもいろいろございます。実績評価ですと中で政策がいっぱい分かれているといいますか、省庁によっていろいろでございますが、区分して50とか、7、80とかまちまちでございます。それをその中の政策と言われるくくりの部分で計算していったり、事業評価ですと個別に1件1件という形で箇所付けまでも含めたりしますと、相当な件数になっております。件数だけといいますか、1件1件のボリュームの違いもあるのですが、その辺も加味しなければいけないと思いますが、必ずしも1件数枚ということではないのですが、そういう意味で件数だけ、本当にアバウトですが、約1万近い件数になっているという状況でございます。
  今年もそのとおりになるということは申し上げられませんが、昨年の例ですとそのような感じでございます。
○村松委員長
  無数にあるという感じですね。
  そのほかの御意見、ございますでしょうか。
 ○山谷専門委員
  一つ質問みたいな話になるのですが、例えばコスト・ベネフィット以外の手法を使って評価をやっている、それについて、こちらでそれは違う、やはりコスト・ベネフィットでやってくださいというような言い方はできるものですか。
○村松委員長
  それは多分できる。事務局、この点、今まで考えてきたことをおっしゃってください。
○石川政策評価審議室長
  政策によりまして適切な手法を使うということがございます。確かにコスト・ベネフィットの手法が今、公共事業などでは中心的に使われているということでございます。それ以外にどこまで敷衍できるか。それ以外の政策につきまして、必ずしもこれが正しいというのはなかなか定着している部分はないかと思います。失敗するかもしれませんが、そういうものをいろいろ使いながらやっていく。当面、そんな感じかなとは思っております。
  これを使いなさいというところまでは我々としては言えないとは思います。使った結果としてはどうなのということになりますと、それはそれなりの言い方というのはできるかもしれませんが。
○山谷専門委員
  とすると、相手の省がかなり精緻な理論武装をして、我々がここでは想像もつかないような評価手法を出してきた場合に、我々が逆に教えられてしまって、洗脳といいますか、そういうことも起こる可能性もないわけではないですね。
○石川政策評価審議室長
  ないわけでもないと思います。
○村松委員長
  先ほど、事務局は別の方法の提案をして、これをやれとは言えないとおっしゃった。やれとは言えないかもしれないけれども、そこのところはグレーゾーンがあって、より良い方法を説得するということはあり得るのでしょうね。
○石川政策評価審議室長
  各省庁でやられているものを比較して、いい方法をとっていて、いい結果が出ているということであれば推薦するというか、推奨するというようなことは可能かと思っております。
○金本臨時委員
  その点に関連して、他省にどうこうと言うことはできると思うのですが、もう一つできるのは、総務省行政評価局側で自分たちが正しいと思っている手法で評価して、その結果を出して、おれたちの方がいいんだと主張することもできるわけですね。
  評価というのはこれで客観的、絶対的というのはまずありえないですから、そういう対話ができることが非常に重要です。
  もう一つは、山谷委員がおっしゃったように各省側が精緻なものを出してくるということは十分考えられるというか、今の状況ですと各分野については各省の方でそれなりに彼らがベストと思われる人材を確保して作っていますので、生半可なことではいい発言はできないということは事実だと思います。そこで無理して発言すると、枝葉末節をつついた形になって、評価システム全体としてまずいということになりかねない。その辺をどうするかということは私が最初に申し上げたことでもあるわけです。
○村松委員長
  どうもありがとうございました。
○木村専門委員
  直接の意見ではないですが、要望として。申し上げにくいことかもしれませんが、この委員会でこれまで感じてきたけれども黙っていたことですが、主な論点を数次にわたって議論するときがこれまでもありました。そこのところで私たちが少し戸惑うところは、これまでの議論とまた同じ意見を言わなくてはならないのかというところがあるわけです。ダブってしまうわけです。金本先生が今、「前回も申し上げたと思いますが」とおっしゃいました。
  ですから、論点を整理されるときには、論点の項目に沿って、これまで委員からどういうのが出てきているのかを示してくれる会議もあるわけです。そういうところをしてくださる方がずっと生産的だと思うんです。
  前に申し上げた意見は果たしてこの中に盛り込まれているのか、もう一度言わなくてはいけないのかなと今でも考えたりしますので、それはきっちりやっていただきたいと思います。
  もう一度言わなければならないのであれば、私は、客観性担保評価をするためには、例えば仮定と乖離した場合には説明責任をはっきりさせるというのは、非常に重要だと思います。
○村松委員長
  委員の発言はちゃんとノートはしているんです。そして、できる限り吸収すべき議論はしていると伺っていますが。
○木村専門委員
  それはそうなんですが、見てですね。
○村松委員長
  分かります。ですから、そこのところは無駄にならないような処理を、今後、努力したいと思います。
  どうぞ。
○塚本行政評価局長
  大変恐縮な御指摘をいただきました。意識はいたしておりますので、しっかりやってまいります。
○村松委員長
  どうぞ御発言ください。
○山谷専門委員
  先ほどの話と若干関連があるのですが、客観性ということを考えた場合、あえて違う手法で評価をしてみる。ですから、どこかの省が出してきたときに、それとは別の手法であえてやって、結論が違った場合に、「こう違うんですがどうですか」というような逆の意見をぶつけて相手の意見を聞く。あるいは、専門家が見て、あるいはどこかの学会でこういう手法を使ったら、それは妥当だということで客観性を専門性ですり替えるという手もありますね。そういうことは御検討されているのでしょうか、という質問になってしまうのですが、いかがなものですか。
○石川政策評価審議室長
  総務省が実施します政策評価というのは法律である程度やり方を決められておりますが、この法律に基づきますのは各省がまず実施するというのが前提といいますか、原則になっております。今、議論いただいていますような客観性担保評価で総務省が評価を実施するような場合などは、検討する必要があると思います。
  また、試行的にといいますか、テスト的にという位置付けであればこれは可能かと思いますし、今、山谷先生がおっしゃったような手法を考えるためにやってみるというようなことも検討する必要はあるかと思います。
○村松委員長
  局長、どうぞ。
○塚本行政評価局長
  補足させていただきますと、もとより山谷委員は我々の政策の評価そのものの土俵を踏まえた上での御発言と思います。この活動のイメージの一番上にある絵がございますが、結局のところ、委員会で評価の必要性の認定をしていただく。要するに、改めて評価が行われるべきものと結びつくものなどのためにどのような活動をしていくかという土俵がこのイメージの図でございます。その意味では、正に相手との議論というものの中に、今お話のあったようなものの形、これは政策の評価ではないということで実際にやってまいるということが重要であるという御趣旨とすれば、そのようなことにまで頭を膨らませてやってまいりませんと、この委員会の最終的な認定に至るという、これが客観性担保評価の本体になりますので、そこのところがなかなか出てこないことになると思っております。左側の実施形式レベルの話とも一部関連いたすものもあると思いますが、それとは別の形でどのようなものがある等々、ここのところを今我々としても引き続き検討しているということでございます。
○村松委員長
  山谷委員、よろしいでしょうか。
  どうぞ、金本委員。
○金本臨時委員
  その点について、前回、割引率とか人命の価値等といったものは、今、各省がとりあえず勝手に、ただ、どういうわけか同じ数字を使っているということがあります。それについて客観性担保評価になるかどうかというのは分かりませんが、取組をするのは非常に緊急を要するということを申し上げました。それについてどうなのかということをお聞きしたいのですが、それに関連して、今それが妙なリパーカッションになっていまして、PFIが行われていますが、PFIの評価の割引率が4%という公共事業の評価の割引率を援用することになっています。現在の市場金利が2、3%という非常に低金利になっておりますので、この4%で割り引いて、かなり単純にやりますとPFIというのは支出を繰り延べるという効果がありますので、その効果だけで便益が発生する。それがなければ便益が発生しないようなケースがあるということです。
  こういう問題を私もそれほど深刻な問題だとは思っていなかったのですが、最近、そういうことを見てみますと、かなり深刻な問題になりつつあるということで、これは早めに取り上げていただきたいという気がいたします。
○村松委員長
  事務局の方から何か発言、ありますか。
○塚本行政評価局長
  金本先生自身がおっしゃったところと関係がありますが、結局、それは客観性担保評価の土俵なのか、それとも政策評価の制度をどう動かしていくかの問題なのか、整理をしなければならないと思っております。その意味で、前回の御指摘について今直ちにお答えができない状況でございますが、そのようなところは多分、総務省しかこなせないと思いますので、どうしていくか緊急に検討したいと思います。
○村松委員長
  ありがとうございました。そのほかの御発言を。
  時間は4時ということになっておりますけれども、後半のセッションが遅れ気味だったものですから、もうちょっとだけお時間をいただきまして続けたいと思います。よろしくお願いいたします。
  ほかに御発言がございましたら、どうぞ。
  樫谷委員。
○樫谷委員
  客観的かつ厳格なという言葉の議論をしたわけですが、客観性・厳格性の達成水準ということになりますと、ある程度のポリシーなり観点を持っていないと何が客観的で、どこまでが厳格なのかということになってきますので、これはずっと挙げられたことを見ると、これは客観性を重点にしているのかなという部分と、それから厳格性を重点にしているのかなという部分が項目の中にあるのですが、何が客観と考えるか。どの程度が厳格なのか。非常に難しいと思うんです。言うのは簡単ですが、実際にやるのは非常に難しいと思うのですが、その辺のポリシーをいろいろなプロセスとして段々レベルアップしていかなければならないのですが、最低これは必要だなという目安を作れるのか作れないのかお聞きしたいと思いまして御質問したのですが。
○石川政策評価審議室長
  非常に基本的なことではありますが、先ほど金本先生からもお話がございましたように、絶対というか、点数で 100点とか言われる客観性なり厳格性というのは、だれがどうやりましてもある程度の主観、恣意が入ると思いますから、神様がいらっしゃればそういうところの位置付けみたいなのかと思うのですが、非常に難しいことであると思います。
  それから、確かに評価していく上で厳格性を追求して、ものすごく経費がかかるという場合になりますと、必ずしも厳格一辺倒でいいのか。ある程度の効率、合理性という点も加味するとなりますと、なかなか線が引きにくいかなとは思っています。当然、今後とも検討していかなければいけない課題であると考えています。
○塚本行政評価局長
  補足させていただきますが、客観性と厳格性の両方に区分していくかどうかは別として、前回の御議論でも真のものであるか、あるいは正しいものであるか、あるいはきちんとしたものであるか等、これは日本語のやさしい言い方をしていただいているわけですが、正にそういうところをはっきりさせるのがこの審査のための基準の大本であろうということで、正にその趣旨においては次回の御議論に出させていただきますが、それを作っているということでございます。
  どっちが客観性、どっちが厳格性という形でこのことをやっていくかどうか、法律の作り方の中でも必ずしも分けていないということもあろうと思います。ただ、御趣旨においてはそのとおりでありまして、ポリシーを作ろうと思っております。
○村松委員長
  やっていく過程でポリシーができるという面もありますね。何しろ、まだ見ていないというような、これからやるべきことが多いなという感じがしますけれども。
  田辺委員。
○田辺臨時委員
  この客観性担保評価のある種の目的というのは二つぐらいあるような気がしております。それは客観性担保評価のこちらでやる活動がどういう性質のものかということと若干係ってくるような気がします。
  一つは客観性担保評価という言葉になっていますが、レビューであるという側面だと思います。つまり事後的に出てきたものをこちらの方が一応見る。その見るというチェックをかけることによってある種の緊張関係を与えるという側面であります。
  それから、2番目は我々はまだ各省のを見ていませんから、政府全体でどういうふうに動いているのかという情報を持っていない。この客観性担保評価を実際上動かしていくことによりまして、政府でどういうふうに動いているのか。当初予定していた制度のファンクションが予定したとおり動いているのか否かということがある程度分かっていき、そこに問題があるならば、次にここの持っている権限の一部であるところの制度全体に関する構築というか、再構成の方に結び付つけていくことなのだろうと思います。
  その際に若干問題になりますのは、例えば先ほど金本先生がおっしゃった部分というのは、恐らく公共事業等に関わるような事業評価に関わる部分と、それから総合評価という形で出てくるものなのだろうと思います。これに関してはその評価がおかしいというのは数字が出ていますので言いやすいかもしれない。それを通じて制度的には共通化、ディスカウントレートであるとか便益項目をそろえていく制度の方に結びつけていく作業なのだろうと思います。
  他方で、各省の中でわりとウエイトを置いているけれども、比較的どうやるかよく分からないというのは、実績評価に係る部分だと思われます。そこでの基本的なこちらのスタンスといたしましては、どこが悪いというのを単体で打つというのはかなり難しいことだと思います。基本的なこちらのスタンスというのは、むしろ各省の、もしくは政府全体としての評価のクオリティを上げるためにはどういったことをしていかなければいけないのか、どういった点を共通認識として確立していくのかという点から意見を申し上げた方がいいような気がします。
  例えば、GAOなどが外からレビューをかけていますが、そこで出てくるのは実績評価の中で目的と手段体系が本当に整合的にできているのか。それから、その指標で本当に測れるのかどうかということに関する問いかけをやっていることだろうと思うんです。それがこちらがかくあれということはできませんが、問いかけることを通じて、相互に全体としてクオリティを上げていくことがある程度可能になってくるのではないかと思われますので、そこの1点狙いで撃破するものと、全体のクオリティを上げてという部分とはアプローチをちょっと異にして、両方から攻めていくことが必要になるような気がしております。以上です。
○村松委員長
  どうもありがとうございました。
○武田専門委員
  今の御意見と同じですが、客観性を担保するための手法論で、敵対しているわけではないのですが、議論していくことは非常に大切なところだと思います。客観性を担保していくためにはナレッジの共有というのでしょうか、評価のためのノウハウを共有化していくことが非常に大切だと思うんです。そのためのフィードバックの仕組みをお考えいただくと、更にいいのではないか。それが客観性の担保につながっていくという理解をしています。以上です。
○村松委員長
  どうもありがとうございました。
○梶川専門委員
  客観性を考えた場合に、一番最初に評価の対象になる事実というものが根底として非常に重要になるのではないかと思います。この事実からある種の客観的な論理というか、目的整合性のある論理で評価というものが出てくる。この場合に基本的に各省に客観的な情報であったり、データであったりというものの重要性が主張されていると思うのでございますが、一番基になる事実に対する真実性であったり、第三者性みたいな、そこに関する客観性の担保というのでしょうか、そこの部分は基本的には今の仕組みの中で言えば第一義的な評価というか、各省庁の評価の中に存在していると思うのですが、やはり一番の土台の、それが事実でないということではないのですが、情報をどのような形で採取されるかという部分について、この評価の中でどんなスタンスをとられていくかということは、少し触れておいていただいた方がいいような気がして申し上げました。
○村松委員長
  どうもありがとうございました。
  それでは、大分時間がオーバーしてしまいました。御熱心な御議論をありがとうございました。これで審議の方を終わらせていただきたいと思いますが、委員会の日程等につきまして事務局の方から今後のことを御説明いただきたいと思います。

[次回委員会の日程について]

○橋口総務課長
  次回の本委員会でございますけれども、6月28日金曜日の14時からということで予定しております。場所はこの第一特別会議室でございます。議題といたしましては、本日御議論いただきました客観性担保評価につきまして、本日の御検討も踏まえまして、具体的な資料を準備させていただきたいと考えておりますので、それについて更に御審議いただきたいと考えております。
  なお、6月28日には本日と同様、分科会を予定してございます。それぞれで御案内させていただいたかと思います。
  それから、6月にはそれぞれ単独の分科会を28日とは別に開催することを予定させていただいておりますが、具体的な日時については現在調整中でございます。決まり次第、また御連絡させていただきたいと思います。以上でございます。
○村松委員長
  ありがとうございました。
  以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の第16回の会合を終わらせていただきます。
  どうもありがとうございました。

〔了〕