政策評価・独立行政法人評価委員会(第17回)議事録



1.日時 平成14年6月28日(金)14時00分から14時40分

2.場所 中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
 (委員会)
        委員  村松岐夫委員長、丹羽宇一郎委員長代理、富田俊基独立法人評価分科会長、樫谷隆夫委員
 臨時委員   金本良嗣、高木勇三、田辺国昭、新村保子、黒川行治の各臨時委員
 専門委員   翁百合、中山正邦、吉野直行、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山谷清志の各専門委員
 (総務省)
       若松副大臣、塚本行政評価局長、広瀬審議官、橋口行政評価局総務課長、新井政策評価官、讃岐評価監視官、石川政策評価審議室長 ほか
4.議題 客観性担保評価に関する審議






○村松委員長
   時間がまいりましたので、これより、政策評価・独立行政法人評価委員会の第17回の会合を開会いたします。
   議題のとおり、まず「客観性担保評価に関する審議」を行いたいと思います。
   本件につきましては、これまで数次に渡って議論をしてまいりまして、ようやく熟の度に達しまして、整理がなされたわけでございます。今回はその集大成ということになるのだと思いますが、その確認をという意味もありまして、更にコメントをいただいて、その上で御了解をいただくという手続になるわけでございます。
   それではまず事務局から、資料に基づきまして説明をお願いしたいと思います。

[客観性担保評価に関する審議]

○石川政策評価審議室長
   説明させていただきます。
   長いタイトルになっておりますけれども、「実施手続等の評価の実施形式において確保されるべき客観性・厳格性の達成水準等に関する審査について(案)」という、5ページに渡る資料でございます。
   この資料につきましては、今委員長からもお話がございましたように、これまでいわゆる客観性担保評価の進め方ということで御論議いただきましたことを踏まえ、とりまとめたものでございます。
   これまでの議論におきましても、客観性担保評価として再評価の必要性の認定に至る過程に関し、取り組むべき方向性なり視点として多々御示唆をいただいてきたところであります。
   今回の資料は、これまでと重なる部分もございますが、いわゆる審査の活動においての着眼点を中心にとりまとめ、整理したものでございます。
   最初の3ページは、いわゆる客観性担保評価についての考え方、法律、それから基本方針、諸外国の例などを整理したものでございまして、後ろ2枚につきましては、基本方針において総務省が行う客観性担保評価として一連の評価活動に取り組むとされております活動のうち、審査の部分の活動に当たって着眼とするチェック事項としてとりまとめ、整理したものでございます。後ろの2枚については後で読み上げさせていただきます。
   それでは1ページ目の1についてでございますが、簡単に御説明させていただきます。
   (1)は、客観性担保評価の考え方として整理したものでございますけれども、政策評価制度では、御案内のとおり、行政機関が自ら評価を行うわけでございますが、評価は客観的かつ厳格に行われる必要があります。
   評価の客観的かつ厳格な実施が確保されていると言えるために当然保たれるべきあるいは備えておくべき事柄が充足されている必要があると考えております。いわゆる評価が政策評価として備えておくべき事柄が充足されているかというようなことが、考え方の中心になっております。
   (2)につきましては、これは法律事項でございまして、法律によりまして政策評価の客観的かつ厳格な実施を確保するため、特に強調されているような事項を抜き書きしたものでございまして、この中には、合理的な手法を用いるとか、できる限り定量的に効果を把握する、それから、知見の活用、評価書の作成というようなことがございます。
   また(3)につきましては、法律に基づきまして、政策評価の計画的な推進を図る観点から、閣議決定されました政策評価に関する基本方針におきまして、客観性・厳格性に関わる事項として整理したものでございます。
   1)としまして、適切な観点の選択。それから2)につきましては、政策効果の把握に要するコスト、得られる結果の分析精度等を考慮した適切な手法を用いるというようなこと。
   それから2ページ目でございますが、また、法律とも重なっている部分もございますけれども、できる限り政策効果を定量的に把握することができる手法を用いる。
   それから、使いますデータにつきましては、客観的な情報・データや事実を用いるというようなこと。
   それから3)としましては、合理的と認められる政策の単位により行う、あるいは適切なタイミングで行うというようなこと。
   それから4)としまして、知見の活用のあり方ということが書かれております。
   それから5)でございますけれども、評価書の作成に当たりまして重要なことは、政策評価の結果の外部からの検証を可能とするということでございますが、そのために、法律で書くべき事項として、※印で7つ並べてございますけれども、これは法律に書かれている評価書に記載すべき事項ということでございます。これらについて可能な限り具体的に記載することとされております。
   その場合に使いました仮定、前提、外部要因等についても明らかにするというふうにされているところでございます。
   (4)としまして、諸外国の取組事例に当たるようなものにつきまして、GAOの監査基準、それからカナダのVFM監査マニュアル、それからジョージ・メイソンやウエスタン・ミシガン大学のチェックリストなどから、共通するような事項について、キーワード的に整理したものでございまして、外国の例としましては、設計の完全性とか、測定の信頼性、あるいは因果関係の妥当性、それから次のページに移っていただきまして、効果の特定、これは定量という意味があると思うのですが、それからデータの妥当性なり確認可能性ということ。
   それから、報告の表現ということで、これは日本では評価書ということになろうかと思うのですが、完全、正確、説得力、それから明確・簡潔というようなキーワードが見られるところでございます。
   これらのことも踏まえて、また制度、手続等において、いわゆる評価において保たれるべきあるいは備えておくべき、言わば原理、プリンシプルというのでしょうか、原理原則というようなものについて、3つの事柄ではないかというふうにまとめたものでございまして、1つ目は、評価の枠組み(計画・設計)全体に係る手順等の妥当性。きちっと手順が踏まれたものであるかどうかというようなこと。
   それから2つ目としましては、評価に使用したデータ・資料等の信頼性・妥当性。この中には、手法等に関連して、データ・資料等の使われ方の妥当性などにつきましても範疇としては入るかというふうに思っております。
   それから3つ目としては、結果を出すわけでございますけれども、そこに至る過程の根拠(説明)の整合性。筋が通っているか、また妥当であるかというロジック的な面も含めた事柄を挙げてございます。
   これらが、客観性担保評価を行う際の原理原則として整理したものでございます。
   それから、2の方につきましては、これは基本方針で定められているのですが、いわゆる審査の基本的な考え方ということになりましょうか、これも3つの要素が充足されているかどうかというような観点を中心に点検を行おうとするものでございます。これは、評価のプロセスなり結論の客観性について疑いを抱かせない程度に実施形式等の評価の実施形式において一定の水準等が達成されていることを確保しようということでございます。各行政機関によって行われます評価作業の一連の手続、プロセスというものがきちっと踏まれて、それが説明されているということが重要かと思っております。
   これらのプロセス等の説明を評価書に可能な限り具体的に記述するということになっております。これは、外部からの検証の可能性ということの担保、あるいは説明責任を果たすことの1つでございますが、そういう意味からも、一義的には評価書を通じて確認できることが必要であるというふうに思っております。
   それから、このことにつきましては4ページ以降に整理いたしました。この部分について、読み上げさせていただきます。
   実施手続等の評価の実施形式において確保されるべき客観性・厳格性の達成水準等に関する審査における点検項目等の設定についての考え方(案)。
   政策評価に関する基本方針(平成13年12月28日閣議決定) III3-2-(3)-イ-1)に規定された「各行政機関が実施した政策評価についての実施手続等の評価の実施形式において確保されるべき客観性・厳格性の達成水準等に関する審査」においては、以下を基本として点検を行う。
   点検項目としまして、1、評価の枠組み(計画・設計)に係る手順等の網羅性・充足性に関する項目。2、評価に使用したデータ・資料等の信頼性に関する項目。3、評価結果とその根拠(説明)の整合性に関する項目。
   1、評価の枠組み(計画・設計)に係る手順等の網羅性・充足性に関する項目。着眼点といたしまして、評価の対象政策の特定、把握すべき政策の効果の特定、政策効果の把握・分析手法の設定、評価の観点の設定といった、評価の結論に至るまでの評価のプロセスにおける以下のような手順等が踏まれており、そのことが示されているか。
   例としまして、aからiまで書いてありますが、a、評価の対象とした政策の範囲を明らかにすること。b、政策の目的・目標と遂行手段との対応関係を明らかにすること。c、評価に用いた当該観点を選択した理由を明らかにすること。d、(必要性の観点を選択した評価の場合であれば、)政策効果からみて、評価対象政策の行政目的が国民や社会のニーズに照らして妥当性を有しているか、行政関与の在り方からみて当該政策を行政が担う必要があるかなどを明らかにすること。e、(効率性の観点を選択した評価の場合であれば、)得ようとする政策効果と当該政策に基づく活動の費用等との関係を明らかにすること。f、(有効性の観点を選択した評価の場合であれば、)得ようとする政策効果と当該政策に基づく活動により実際に得られている(得られると見込まれる)政策効果との関係を明らかにすること。g、政策効果の把握の手法を政策の特性に応じた適切なものとし、その際、当該手法を選択した理由を明らかにすること。h、政策効果の把握を的確に行うこと。i、学識経験を有する者の知見の活用の方法及び趣旨を明らかにすること。
   5ページ目でございますが、2、評価に使用したデータ・資料等の信頼性に関する項目。着眼点といたしまして、評価に使用したデータ・資料及びそれらの収集方法等について、以下のような信頼性確保の手立てがとられ、そのことが示されているか。
   例としまして3つ挙げておりますが、a、評価の際に使用した資料・データ等を明らかにすること。b、評価に使用したデータを自ら収集している場合等においては、当該データの収集方法、測定方法等を的確なものとすること。c、評価の際に使用した仮定、外部要因等を明らかにすること。
   3、評価結果とその根拠(説明)の整合性に関する項目。着眼点といたしまして、評価の結果は、評価の各プロセスにおいて明らかとなった事実関係や政策効果の把握結果の論理的帰結となっているか。
   例としまして、a、結果に至る理由や判断の根拠が明らかとなっているか。b、評価の結果が、政策効果の把握の結果の論理的帰結となっているか。
   次の項目としまして、上記の点検を行うに当たっては、可能な限り評価書により行うこととし、必要に応じヒアリング等を行うこととする。
   上記の点検項目については、必要に応じ見直しを行うこととする。
   以上でございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。
   それでは、審議に入らせていただきたいと思います。どの部分からでも結構でございます。御発言をいただきたいと思います。2時35分くらいでこの審議を終わることになると思いますので、その辺もお考えの上、よろしくお願いします。
○金本臨時委員
   基本的に2点ほどお話させていただきたいのですが、点検項目の書き方で、余りに手順に関して強調されすぎているような気がします。
   いろいろ各省の評価を見ていますと、手順等についてはそれほど大きな問題はないと思っています。むしろ中身が問題です。手順のチェックをするのは、今非常に大きな資源を投入するということをされるような気がしてならないのですが、それは資源のロスだという気がしております。
   日本の官僚機構は、こういう手順等については割としっかりしているというか、横並びが行き届くということがあるのですが、中身はどうかというと、それぞれ各分野でそれなりの結果は、自分たちの政策が正当化できるような結果を出すということをやっておりますので、それが妥当かということをチェックする必要がある。
   そのためには、前回もお話しましたけれども、今までと違う体制を組む必要があるというふうに思っております。今、この審査は、評価局内部の人たちが、役所対役所の関係でやるというふうにされているようですが、そのレベルでは中身に関しての議論について決着をつけるのは非常に難しいというふうに思います。
   それでも部局でそれなりの方法でやっておりますが、それが最善の方法なのか、最も信頼性がある方法なのかということについて議論をしていく必要があるのですが、それを説得力をもって議論できる人間を集めてくる必要があるということがあります。そういうことをやらずに、手続的に正しいかどうかということに人材を投入するというのは税金の無駄使いだろうというふうに、私は思います。
   もう1つ、データ・資料等の信頼性、あるいは評価結果とその根拠の整合性という書き方をしてありますが、出てくる数字が信頼できるかどうかという問いの立て方というのは、余り有効でないんですね。こういうものの数字というのは、もともと誤差が非常にあるものであるということですから、誤差がない100%信頼をおけるものを要求するのはもともと無理だと。出している数字がどの程度の誤差を含んでいるか、一桁の誤差を含んでいるのか、二桁の誤差を含んでいるのかというふうなことをきちんと分析して出して、その情報をチェックする必要があるのだろうと思います。
   ですから、だれかが悪いことをしているのではないかということを審査するという方式だと、全く機能しないという気がしております。
○村松委員長
   ありがとうございました。今おっしゃられたのは、手順よりもっと中身を見るという観点から、その姿勢をもってあられるべきだとおっしゃっておられて、具体的には資料・データについて、どの程度の誤差かというようなことが重要なのだとおっしゃられたと思うのですが、もっと中身から見るということを、別の例で何かすぐに御発言いただけるようなことはあるのでしょうか。
○金本臨時委員
   大体同じようなものについて、評価の手法が全然違うというのが幾つかあります。きちんと分析する前に具体例を出すとまずいので出しませんが、それぞれの手法について間違いかというと間違いではない、具体的なやり方について完全におかしいかというとそうでもないというようなことがあります。
   ただ、別の手法を適用してみると片方の便益は大きく出るということがあるんですね。これでどちらが正しいのか、望ましいのかといった議論をする必要があるということです。
   これをどういう形でやるかというのはそれぞれのケースによるというわけですが、少なくとも違う手法が実際に使われているとすると、今その使っていない手法で計算をするとどうなるかという計算をして、横並びで見たときにどちらだろうかといったふうな情報を提供する必要があるのだろうと思っております。
   では、これをどういう形でやっていくと一番有効かというのは、それぞれのケース・バイ・ケースということになりますが、それは実際を見て、それなりの手法をちゃんと分かっている人が調べてみるということなのだろうと思います。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   事務局から何か御発言はありますか。どうぞ。
○橋口総務課長
   金本先生から御指摘をいただいたことで、まず1点目は、手順が強調されすぎているということでございました。手順よりも中身だとおっしゃいまして、それは私どももこれはやはり中身であろうと思っております。
   ただ、今日十分に御説明できなかったのでございますけれども、客観性担保評価につきましては、閣議決定されました政策評価に関する基本方針に基づきまして、まず実施形式における客観性・厳格性の審査として、今日お示ししましたような実施手続等についても、客観性・厳格性の達成水準をみるのだと。それから、それは改めて政策評価が行われるべきかどうかといったような必要性の認定、これは委員会の御審議を踏まえていただくと。そして、実施すべき旨の通知、それを踏まえての各行政機関が実施したのでは十分確保できないと思われるときの総務省における客観性担保評価の実施という、こういう一連の手続をやられる中で、本日、項目としてお示ししたのは、この入り口のところの実施形式における審査ということでございました。したがいまして、御指摘いただきましたように、それは中身そのものに入るものではないというので、手順が強調されているということではなかろうかと思います。当然ながら内容についてやるということでございますが、ただ評価書が評価書として、外観的に見て、外形的に見て、備えておくべきものということでの審査、入り口のところではこういうものも求められているのであろうということでございまして、それに基づけば、先ほど申し上げましたような項目になるのではなかろうかなというふうに考えたところでございます。
   それからデータについての信頼性、整合性の問題につきましては、御指摘のとおりだと思います。私どももデータが出てくるものが1つしかないというふうには思っておりませんで、これは御指摘いただきましたように、いろいろなものもあるかと思います。そういったものも頭に置いて、ここでの信頼性、整合性というものを考えていきたいと思っております。
   それから、では具体的に体制をどうしていくかということについては、引き続きまた検討してまいりたいというふうに思っております。
   以上でございます。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   吉野委員、どうぞ。
○吉野専門委員
   私も金本委員とちょっと似たところなのですけれども、2のところで、データとか資料だけではなくて、やはりそこで使われている計量的な手法とか、それも最善の方法であるかという中身のやり方も、点検項目の中に是非含めていただければと思います。
   それから、3番目の評価結果とその根拠(説明)の整合性というところですが、これだけ見ていますと、文章でいかにうまく説明できているかというだけの評価になってしまいますと、2のところの結果をうまく反映しない可能性があると思います。
   それは論理的に文章だけでうまく説明するというのは、皆さん得意な方が多い省庁も多いかと思いますので、是非2の結果と、それから3がうまく合うようにしていただきたいというふうに思います。
   それから、2番目のところのデータとか資料に関して、例えば、いろいろアンケート調査をする場合に、どういうグループにアンケートを聞くかということによっても非常に大きな違いが出てくると思います。例えば道路ですと、車を運転する人、それから歩行者としてそこを歩く人で、全く逆の結果が出てくるわけですね。その場合に、ではそれをどうやってウエイト付けするのかと。場合によっては、もう完全に逆の相反する結論になってしまうわけです。
   ですから、そういう意味ではその結果と、それからその整合性を見るときには、やはりそれぞれどういうウエイトをつけたかとか、もうちょっと2と3を考えながらやっていただければと思います。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   どうぞ、田辺委員。
○田辺臨時委員
   2点ほどございますが、1つは客観性・厳格性の達成水準等に関する審査の、ある意味ではウエイト付けに関する問題であります。
   と申しますのも、今年度、実際上出てくるものというのはガイドラインに基づいて行われているものだと思うのですけれども、これが、今回出てくるものに対して適用されるのかどうかというのも、1つはちょっとよく分かりませんけれども、ただ、実際に見ていく際には、これは、各省庁が3つの評価を組み合わせるという形でやっていますので、事業評価で出てくるものもありますし、それから実績評価という形でやっているものもありますし、それから総合評価という形で行われているものも実際上はあるだろうと思われます。
   そのうち、恐らく実績評価に関しては、毎年毎年資源を投入してというのはかなり無駄でありまして、実際上は初年度と、それから一番最後の年度だけきちっと見て、あとは着々とやっているか否かという程度ぐらいにとどめておくのが、恐らくはいいのだろうという感じがしています。
   他方で、総合評価に関しては、ここも出発したばかりでありますので、成果自体がそもそも出ていませんので、ここに力を入れようとしても、恐らく対象自体がないということになりますので、恐らくここ数年ぐらいのところは事業評価で、これは公共事業等に関して、この政策評価制度が出発する以前からかなり進行していますので、その部分をできれば集中的に見ていただきたい。特に金本委員、吉野委員がおっしゃられたような点に関して、早いうちからコミットというのでしょうか、こちらのスタンスを明らかにしておいて精度を上げるような、もしくはやり方を向上させるような形でコミットしていただければというのが1点目であります。
   それから2点目が、ここの審査を通じて出てきて、それをどうするかという問題であります。審査をやると。その次の段階に行く場合には、恐らく再評価をしなさいということの認定に至るのだろうとは思います。
   ただ、この間の距離が、実際上ありすぎるという感じがしております。つまり、審査をして若干グレーゾーンかな、何か変だなとは思うけれども、再評価でもう1回、相手省庁に資源を投じてもらうというまではいかないということが比較的多いだろうと思われます。
   そういった際には、恐らくはこちらの委員会の側で意見を言うということに関しては、それなりに、省庁は抵抗があるかもしれませんけれども、見たぞと、ここは何らかの意見を形成して、こういうふうに感じているということを公表するとか、意見を形成して、それを相手省庁にぶつけるというような作業、もしくはアウトプットがあっても構わないのだろうと思いますし、せっかくこの審査というのでかなりのマンパワーを投入するわけですから、それは国民に対しても、それから省庁に対してもフィードバックするという意味で、そういう再評価の認定までは行かない段階でのこの委員会としての情報提供、今の政府の評価システムはどのように動いているのかというドメインに関して、何らかの意見表明か何か分かりませんけれども、それを、情報を提供するということは必要なのではないかと思っております。
   以上、2点です。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   時間の関係から言えば、大部分はとにかくできるだけ吸収をするということでいくのだと思いますけれども、質問の部分の第1点の中にありましたけれども、ガイドラインに基づいて行われた政策評価との関係とか、質問の部分があって、お答えいただいた方がいいものがあればちょっとお答えいただけますか。
○橋口総務課長
   今、吉野先生、それから田辺先生からいただきました御指摘は十分に踏まえて私ども対応してまいりたいと思います。
   その中で、ガイドライン等で示してあるもの、あるいはこれはマニュアル等も含むかと思いますが、個別具体の中身として、ガイドライン、あるいはマニュアル等の中でどうなのかという問題については、これは内容そのものに当たるものではないのかなというふうに受けとめております。したがって、この実施形式における審査の問題としてではなくて、先ほどの3ページでお示しいたしました(2)の全体の客観性・厳格性の担保の中の妥当性の問題等として受けとめてまいりたいと考えているところでございます。
○石川政策評価審議室長
   補足させていただきますが、ガイドラインに基づくものとしては、基本的には昨年度末までには各省から公表されております。
   我々が今やろうとしている、この法律に基づくものというのは、今年から出てくるというのが、こういう仕切り、指摘とか、制度上の仕切りとしてはそういう感じなのかと思っておりまして、実績評価、事業評価の一部につきましては、早いところで夏前ぐらいに出てくるかなと思っております。
○村松委員長
   どうぞ、富田委員。
○富田分科会長
   評価書が作られる対象となる事業と申しますか、政策なのですけれども、ここはどこかで合理的と認められる単位によって行うということなのですけれども、そのときに、例えば複数の目的の事業でも1つの単位とするとか、いろいろと府省によって対応も違ってくると思うのです。
   結局、評価しやすさでいけば、当然単一の目的でやれば、評価もより明確にできるのでしょうけれども、ものすごく項目数も増えてくるということになると思うんですね。
   したがって、この評価書を作る場合の1つの単位というものについて、各府省と、それから行政評価局と申しますか、この委員会との間で、どういうものを1つの単位にするかということについての合意みたいなものがあるかどうかなんですね。
   以前から会議で、どれぐらい項目が出てくるのですかということを何回も私、聞いたのですけれども、結局、その評価の対象というのを一体どういうふうに捉えるかによって、評価の項目の置き方も全然変わってくるでしょうし、細かくすれば明確にできるものであっても、多様な事業にすると評価自体が複雑になるとか、何かそういうことがあると思うのです。そこらが一番基本になると思うのですけれども、そこはどうなのでしょうか。ちょっと事務局にお聞きしたいのですけれども。
○村松委員長
   各府省でそれぞれおやりになることについて、単位が適切かということはこちらも言える立場なのだと思うのですけれども、その辺、何か今分かっていることで、事務局の方で、今の御指摘にお答えできるものがあるでしょうか。
○石川政策評価審議室長
   区分けとして、政策、施策、事務事業というような言い方をしておりますが、これらを一応単位とすることになるのではないかと思っているところであります。
   その中で、事業と言われるものにつきましては、基本的には、今やっております事前評価なり事業評価といわれるものが個別の事業単位として扱われていると思っておりますし、それから政策・施策と言われるものは、ある程度事業がまとまった単位として捉えたものとなっていると考えられます。
 政策なり施策と言われる単位で捉えたときには、当然、手段としての事業が網羅的に入っているかどうか、抜けていないか、一部だけで評価していないかというようなことには十分に留意したいというふうには思っておりますが、政策単位の捉え方は、各省で判断されたものになると思います。
○村松委員長
   現状はそういうことだということです。
○新井政策評価官
   実態だけ申し上げますと、一応各省は、基本計画や実施計画を作りまして、法律上は事後評価については、基本計画の中で、主要な政策に網羅的に取り組むような形で計画を作るということになっていまして、基本計画なりを見ていただきますと、それぞれ各省どういう政策をどういう単位でやるかというのを、その中で示しております。大体各省、それは基本的に実績評価という方式で行う。
   それ以外にも方式別に分けていまして、総合評価では計画期間中に、何をやるかというのも、今年度は具体的なテーマ名を書いてそれは割と大きな単位の捉え方になると思います。
   ですから、政策も、これはずっとガイドライン以来いろいろ議論をしてきたのですけれども、政策も、狭義の政策、施策、事務事業という、ある程度体系的なものになっていますので、どの単位で、しかも社会経済情勢に即して切り口を決めてやれということになっていますから、その時々の状況によって、そこをどういうふうに切っていくかというのは、ある程度各省に委ねざるを得ない。それを実態としては、今私が申し上げたような形の中でどういうふうに切るかというのは、今説明したような状況になってきている。
   それ以外には、事後評価では、法律の中で事後評価は未着手、未了ですとか、それから事前評価については9条の関係で、政令を受けて、また、具体的に事前評価としてどういう対象をやるのかというのが基本計画で明示されていまして、具体的に評価がされていく。
   ですから、施策レベルになりますと、今のところはそういう計画を見て、全体がこれからどうなっていくのかというのは、評価局としてはウォッチをしていく必要があると思っておりますが、基本的にはとりあえずは合理的範囲ということで各省に委ねられており、今計画が大体できて、それにしたがって今後行われていくという段階にあるということだと思います。
○村松委員長
   まだ、委員の皆様には御意見がたくさんあろうかと思います。いつものようにやっていればたくさんの意見が出て、有益なものだろうと思いますが、今日は後半もございます。
   それで、今いただいた意見は事務局が整理をした上で吸収して、次回に最終結果を報告していただくということになりますので、そこで確認をもう1回していただくということになるわけだと思います。
   その間に、こういうふうにしたら改善できるというのがありましたら、これで評価をやっていくわけですので、これはやはり是非、事務局の方に言っていただきたいと思います。是非その点、私からもお願いをしたいと思います。
   それではここで、若松副大臣が御出席でございますので、ごあいさついただきたいと思います。
○若松副大臣
   ちょっと2、3分お時間をいただいて、一言御礼のごあいさつも兼ねてお話をさせていただきたいと思います。
   本日まで大変理論的なお話が続きました。この客観性担保評価の御議論、本当にありがとうございました。これを基に各府省に対しての、各省もいろいろな反論をこれから考えてまいりますので、それに更に対応するための理論構成なり構築の議論を、本当に長々とやっていただいたのかなと思っております。決して無駄にはならないと思いますが、ここに至るまでは本当に長い道のり、御苦労様でございました。
   そして、これから分科会ということで、特に政策評価の方は丹羽分科会長を中心にやっていただくわけでありますが、今日御議論いただきますリゾート地域の開発・整備に関する政策評価、これはざっと読んでいただいても、総合保養地域整備法ですか、昭和62年にできた法律で、これがいまだに生きていて、かつ無駄なというか、使われないリゾートの造成の根拠になっていると。改めてこの政策評価の説明資料を見せていただいて、なぜこういう法律を今まで野放しにしてきたのかなと、一政治家としてもうしきりに反省しております。
   行政評価法が出る前は、サンセット方式ということで、法律に時効を設けて一定時期が来たら法律の効力をなくすと、こんなアプローチを考えていたわけでありますが、この考え方は実現せずに、結果的に行政評価法になったわけでございます。
   そういう意味で、これから更にODAですか、これが今年の目玉だと思いますが、是非とも国民の側から見て、もう目のさめるような、かなりきつめでも結構ですし、切れ味のよい、そして分かりやすいコメントをどんどんいただいて、それを勧告なり意見の表明という形で表していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
   それと、独立行政法人につきましては、富田分科会長以下やっていただくわけでありますが、これも、これから独立行政法人の決算報告書が出てまいります。これにつきまして、今、樫谷先生の4回の勉強会をしていただきまして、いわゆる公会計の勉強を今、行政評価局自らしておりまして、財務的分析力をもって1つ1つ、これもめった切りをしていきたいと、このように考えておりまして、我々行政評価局のパワーアップ、レベルアップも同時に図ってまいりたいと思いますので、是非御指導をよろしくお願いいたします。
   もう1つ、最後になりますが、私どもの副大臣室に、今回ナショナル・ミニマム研究会というものを作らせていただきました。御存知のように今、6月25日の経済財政諮問会議で閣議決定されました、特に地方の行財政改革の中で、ナショナル・ミニマムという議論がずっと言葉としてはあったのですが、では何なのかという議論がほとんどなされておりません。そういうことで、私どもの部屋のところで、果たして今、つまり35兆円という毎年の赤字という現状において、どこまで行政がサービスすべきなのか、特にこれは政策評価と関係する話でもありますので、そういった観点からも、しっかりと理論的なものも私どもの方で作っていかなければいけないかなと、そういった政策評価、更に言いますとミニマム論等も含めた、ニュー・パブリック・マネジメントの研究会も、これも同時並行で進んでおりまして、是非とも新しい行政の在り方としてのこの政策評価・独立行政法人評価委員会、大変重要な使命、私自身も再度強く認識している次第でありまして、本当に月に2回、3回とお越しいただくわけでございますが、是非とも国民のために何とぞ御協力をよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。本当に御協力、ありがとうございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。
   それでは、最後に次回の委員会の日程につきまして、事務局から説明をお願いします。

[次回委員会の日程について]

○橋口総務課長
   それでは、御説明申し上げます。
   お手元に1枚紙で6月から7月の開催日程(案)とあるかと思います。御覧いただきたいと思いますが、本日は本委員会終了後、政策評価分科会、独立行政法人評価分科会、それぞれの御議論御審議をお願いしてございます。場所は、政策評価分科会はこの場所でございますが、独立行政法人の方は法曹会館となってございます。申しわけございませんが御移動方よろしくお願いいたします。係の者が御案内申し上げますので、よろしくお願いしたいと思います。
   それからそれ以降でございますが、資料にあるとおり18日に政策評価分科会、場所が全国町村会館でございます。
   それから23日が独立行政法人評価分科会で、虎ノ門パストラルでの開催ということでございます。
   そして本委員会は7月26日、金曜日の2時からということでございます。議題はこの表のとおりでございますので、またよろしくお願いいたします。
   以上でございます。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の第17回の会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。

〔了〕