政策評価・独立行政法人評価委員会(第19回)議事録



1.日時   平成14年11月14日(木)10時30分から11時50分

2.場所   中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
  (委員会)
        委員  村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、永井多恵子の各委員
 臨時委員   田辺国昭、雨宮肇、黒田玲子の各臨時委員
 専門委員   翁百合、中山正邦、吉野直行、武田尚仁、山本清の各専門委員
  (総務省)
       塚本行政評価局長、広瀬官房審議官、橋口総務課長、新井政策評価官、讃岐評価監視官、水野政策評価審議室長 ほか

4.議題
  府省評価委員会から通知を受けた独立行政法人評価結果の審議及び意見の決定(第1次分)






○村松委員長
   時間がまいりました。これより、政策評価・独立行政法人評価委員会の第19回会合を開会いたします。
   本日の議題に入る前に、まず、委員の異動につきまして御報告いたします。独立行政法人評価分科会の山谷清志専門委員が8月25日に辞任されまして、私から、政策評価分科会の田辺委員を臨時委員に指名させていただきました。田辺委員には、早速9月からワーキング・グループや独立行政法人評価分科会に御出席いただき、お仕事をして頂いております。
   それでは、本日の議題に入りたいと思います。

[府省評価委員会から通知を受けた独立行政法人評価結果の審議及び意見の決定(第1次分)]
   本日は、府省評価委員会から通知を受けた独立行政法人評価結果の審議及び意見の決定、今回の意見は第1次分でございまして、第2次分というのを予定しております。独立行政法人評価について、当委員会として第1次意見を決定したいと思います。
   それでは、初めに富田独立行政法人評価分科会長から、分科会において決定いたしました、「平成13年度における各府省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価結果についての第1次意見(案)」について、御説明をお願いいたします。
○富田分科会長
   それでは、私から概要について簡単に御説明申し上げ、その後、事務局から説明をお願いしたいと存じます。
   業績評価にかかわります評価の結果についてのポイントですけれども、全51法人、95項目について言及をしておりまして、うち、各府省の独立行政法人の評価結果につきまして、四つに分けて意見を申し述べるという形をとっております。
   あて先は独立行政法人を所管する各府省評価委員会でございますけれども、概要を51法人についてまとめてみますと、第1に、今後有効な評価を行い得るようにする視点から法人の年度計画や予算の在り方について言及したものが9法人、10項目ございます。
   第2に、重要な観点や項目の付加の余地等を指摘するものとして、9法人、9項目ございます。
   第3に、厳格ないし突っ込んだ評価の余地があると指摘するものについては、50法人、69項目を指摘しております。
   それから、各府省の独立行政法人評価委員会における積極的な評価の取組につきまして、その一層の推進を要望するということで7法人、7項目を指摘しております。
   以上が第1次意見の案のポイントでございます。事務局より説明をお願いいたします。
○讃岐評価監視官
   それでは、資料に基づきまして御説明させていただきます。
   内容に入ります前に、まず資料4で、「委員長談話」というものを用意させて頂いております。これにつきましても、先般の分科会で御審議を頂いて、案文を固めていただいたものでございます。まず、こちらから読み上げさせていただきたいと思います。
   「独立行政法人の平成13年度の業務実績に関する評価の結果についての第1次意見について(委員長談話)(案)
   政策評価・独立行政法人評価委員会委員長、村松岐夫。
   本日、当委員会は、各府省の独立行政法人評価委員会に対し、その行った独立行政法人の平成13年度の業務実績に関する評価の結果について、当委員会としての第1次意見を述べるとともに、これを公表した。
   独立行政法人制度は、明確かつ具体的な中期目標、中期計画の下で、業務について法人に自律的・弾力的な運営を確保することとする一方、厳しい事後の第三者評価を行い、その結果を業務運営に反映させることにより、業務の効率性や質の向上を図ることを眼目としており、今回の評価が、制度発足後初の業務実績に関する評価となる。
   今回の業務実績の評価については、国民の期待に応えられる厳格かつ迅速な評価の実現を求める、去る7月9日の内閣総理大臣及び総務大臣の要請があったこと等を踏まえて、各府省の独立行政法人評価委員会において評価が行われ、その結果が8月から10月にかけて当委員会に逐次通知されたところであり、この間における各府省の独立行政法人評価委員会の御努力に改めて敬意を表する次第である。
   当委員会としては、独立行政法人については、独立行政法人制度の趣旨を踏まえ、1) 法人において業務の方向性や経営戦略が法人のミッションに照らして適切かつ明確であり、業務がそれに基づき適切かつ効果的に運営され、サービスの内容の向上が図られること、2) 財務内容が健全であること及び3) 業務運営の効率化等のコスト削減努力が着実に行われることが重要であると考えており、通知のあった各府省の独立行政法人評価委員会の評価結果について、当委員会の独立行政法人評価分科会に三つのワーキング・グループを設け、これらの点がどのように評価されているか、これらの評価の基礎となるデータが適切に取り扱われているかといった視点を中心に、二次的、横断的な評価作業を、精力的に行ってきた。各府省の独立行政法人評価委員会の評価結果の多くが9月末以降に取りまとめ通知され、また、これらの評価結果における分析・評価の手法、理由・根拠データの記述、法人の経営戦略等の考慮状況等に幅があった中で、当委員会として集中的に作業を行ってきたところではあるが、作業の結果を全体的に取りまとめるまでにはなお時間を要するものと考えている。
   しかし、独立行政法人制度に対する国民の期待に応えていくためには、当委員会の意見を含めた独立行政法人の評価結果について、可能なものから法人の業務運営、予算、人事等に早期に反映させることが重要であり、先の内閣総理大臣及び総務大臣からの要請においても、これが求められたところである。このため、当委員会としては、こうした要請に応えるものとして、政府の予算編成作業のスケジュールを勘案し、51法人の評価結果に関し、中期計画・年度計画等の見直しに関わる意見を含む95件の意見を現段階で取りまとめ、本日、当委員会の第1次意見という形で述べることとしたものである。
   当委員会としては、今後、全体的な意見の取りまとめに向けて、必要な論点につき議論を深めることはもとより、実効ある評価の推進の観点から、分析・評価の手法、理由・根拠データの記述、法人の経営戦略等の考慮状況等に、各評価結果間で幅がある状況への適切な対応方策、評価結果の横断的比較を踏まえたベスト・プラクティスの共有等について引き続き議論を深め、早急に第2次意見を述べることとしたい。
   また、当委員会は、今回の意見が、各府省の独立行政法人評価委員会の評価結果と併せて、各独立行政法人の運営の改善に反映されることを強く望むとともに、広く独立行政法人評価に関わる制度運営等にも活かされることを期待するものである。同時に、各方面から今回の意見に対する忌憚のない御意見をお寄せいただき、これを今後の当委員会の活動の向上に資してまいりたい。」
   以上であります。
○村松委員長
   こういう形で委員長談話を発表するという計画でいるわけでございます。
   委員長談話と言いますけれども、実質的にこの委員会の談話でございます。何か御意見がありましたらお願いします。これでよろしいでしょうか。


(「異議なし」の声あり)

   それでは、そのような方向でやっていきたいと思います。
○讃岐評価監視官
   それでは、資料1でございます。先ほど富田分科会長から、評価委員会の意見、95項目の概要について、四つの観点からまとめるとこのようになるということで説明がありました。
   まず、これについて簡単に説明したいと思います。
   評価の対象となる独立行政法人が全部で57あるわけですけれども、そのうち51法人について述べたものでございます。
   丸の一つ目といたしまして、「今後、有効な評価を行い得るようにする視点から、法人の年度計画や予算の在り方等に言及するもの」ということで例を挙げております。「予算未執行の経費がある場合の処理」とありますが、運営費交付金の執行状況について、未執行で余ったものがある場合に、それが説明できる範囲のものであれば、独立行政法人の予算の弾力化という趣旨にかなうもの、あるいは合理化努力ということで、まさしく独立行政法人制度にかなうものであります。しかし、一部には30%とか、一部の事業に関して50%を超える執行残があったわけです。
   予算の見積りが甘かったということとか、あるいはその事業を行うのにそれだけの予算を必要としなかったということが執行してみて分かったというような場合には、同じ事業を次の年度からも行っていく場合には、執行状況を踏まえた適切な予算規模が次の予算に反映される必要がありますので、そういう場合には、年度計画や予算の在り方等に言及するというものです。
   次ですけれども、「重要な観点や項目の付加の余地等を指摘するもの」ということで、例といたしまして、「研究の進ちょく状況に及ぶ等評価対象の拡大を求めるもの等」を挙げております。これは一部の試験研究機関、土木研究所とか建築研究所等においては、研究の進ちょく状況自体を評価していない場合がある。それは一つには中期目標、中期計画が、どのような分野に重点を置いて研究を行うのかという研究の枠組みだけを記載して、その具体的な年度計画、あるいは全体計画というものが示されていないということによるものです。もう一つには、それらの法人の評価を行った府省評価委員会、あるいは当該法人の考え方といたしまして、研究の進ちょく状況については、2、3年に一度把握するけれども、毎年把握するものではない。評価委員会においても、必ずしも毎年評価する必要性は、今のところ感じていないという認識があったわけです。しかし、独立行政法人制度の趣旨ということに照らして、業務の実施状況を業務の改善に反映させるという観点から考えて、業務の実施状況、進ちょく状況自体を評価していく必要があります。また、評価結果を予算に反映させていくということを考えると、業務の進ちょく状況を評価し、業務の進行と予算の執行が見合ったものになっているかを評価していくことが必要となります。このため、進ちょく状況に及ぶ評価を行うような検討を求めるという意見を述べるというものでございます。
   次に、「より厳格な突っ込んだ評価の余地を指摘するもの」ということで、例として幾つか挙げております。
   「地方機関ごとの評価」でございますけれども、まず、例えば産業技術総合研究所でありますとか、農業技術研究開発機構という、個別の法人の名前を挙げますとそういうところでございますが、大規模な幾つかの特性の異なる研究所を統合したような大規模な機関であるとか、あるいは国立青年の家、少年自然の家のように、全国に十数カ所の施設を持って事業を展開しているところ、海員学校のように、同じようにやはり全国に8カ所あるところ、美術館、博物館のようなところ、これらについての評価は、もちろん組織として包括的に行うということも求められているところです。しかし、その包括的な評価を行うに当たっては、やはりそれぞれの地方にある組織ごとに、財務情報をも踏まえた適切な評価を行わないと、包括的な評価も実効あるものとならないであろう。したがって、地方機関ごとに評価を行うことが必要であるという意見でございます。
   「ニーズを踏まえた評価」、これは具体的には、例えば経済産業研究所等では、産業構造の転換等についての課題を設定していますが、その幅は大変広いわけであります。研究テーマも相当幅広くなっているという状況があるということで、経済産業省の評価委員会においても、絞込みも必要ではないかとの認識を示しているわけですけれども、より具体的に、顧客というものを明確化して、そのニーズを反映した研究を行っているかという観点から評価を行うべきである、そのような指摘をここではしております。
   次に、「人員・人件費の効率化余地に及ぶ評価」についてででございます。具体的には、例えば日本貿易保険という独立行政法人がございますけれども、ここでは、当初法人が示した年度計画に比べて、人件費が1割程度余分に使われているということについての評価が行われていない。その理由は、予期したよりグレードの高い職員が採用されたということによるということだったわけですけれども、いずれにしても、評価委員会でそういった人件費の効率化についての評価を行っていないということについて、効率的な組織運営について評価を行うという独立行政法人制度の趣旨、あるいは通則法の趣旨から評価を行う必要があろうということで、指摘をしているものでございます。
   それから、「外部委託の効果の評価」ということですが、これは各独立行政法人に共通して、外部委託をする場合には、外部委託をする場合と、自分のところで仕事をする場合とのトータルコストの比較を行う等のやり方によって、適切に効率化が進展しているかを評価するべきである。そういう意見を述べているものでございます。
   次の丸ですけれども、「各府省独立行政法人評価委員会における積極的な評価の取組につき、その一層の推進を要望するもの」でございます。例えば、「業務の重点化」等について評価をしていくということは、評価委員会の機能を発揮していくということで、望ましいことではあろうと思いますけれども、必ずしもすべての評価委員会が初年度の段階からそういった問題意識で評価に取り組んでいるというわけではありません。
   しかし、幾つかの評価委員会については、明確に業務の重点化とか、あるいは人員配置の弾力化といったことについての問題意識を持って評価しております。具体的に言いますと、産業技術総合研究所という研究所の評価に当たっては、その研究所が目指している方向性、すなわち、純然たる基礎研究と実用化研究の中間にある、実用化を目指した第2種の基礎研究というものに重点化を図っていく、そういう法人の方向性に沿って評価を行っていくべき、重点化のための評価を行っていくべきだという意見を述べているという事例がございました。
   そのほかにも、業務の重点化、法人の方向性という今後の方向性を踏まえた評価を行っているところがございましたので、そういった積極的な評価の取組については、その一層の推進を期待するという意見を述べるというものでございます。
   次に、資料2でございます。資料2以下が、個々の法人に対して具体的に意見を述べる内容ということで、文章として示しております。
   資料2−2は、当委員会委員長から、府省の評価委員会の委員長にあてた公文書の表紙でございます。
   こちらについても読み上げさせていただきます。
   「平成13年度における○○省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての第1次意見について
   当委員会は、平成14年○○月○○日付け○○第○○号をもって、貴委員会から通知のありました「平成13年度における○○省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果」について、別紙のとおり第1次意見を取りまとめましたので、よろしくお取り計らいください。
   今回の業務の実績の評価については、貴委員会において、精力的な御努力をいただき、評価結果をお取りまとめいただいたことに対し、まずもって敬意を表します。
   独立行政法人制度に対する国民の期待に応えていくためには、当委員会の意見を含めた独立行政法人の評価結果について、可能なものから法人の業務運営、予算、人事等に早期に反映させることが重要であり、去る7月9日の内閣総理大臣及び総務大臣からの要請においても、これが求められたところです。
   当委員会としては、独立行政法人については、独立行政法人制度の趣旨を踏まえ、1) 法人において業務の方向性や経営戦略が法人のミッションに照らして適切かつ明確であり、業務がそれに基づき適切かつ効果的に運営され、サービスの内容の向上が図られること、2) 財務内容が健全であること及び3) 業務運営の効率化等のコスト削減努力が着実に行われることが重要であると考えており、各府省の独立行政法人評価委員会の評価結果を評価する際にも、これらの点がどのように評価されているか、これらの評価の基礎となるデータが適切に取り扱われているかといった視点を中心に、二次的、横断的な評価作業を、集中的に行ってまいりました。時間的な制約に加え、各府省の独立行政法人評価委員会の評価結果における分析・評価の手法、理由・根拠データの記述、法人の経営戦略等の考慮状況等に幅があったこと等から、作業の結果を全体的に取りまとめるまでには至っておりませんが、評価結果の早期の反映という要請に応えるものとして、政府の予算編成作業のスケジュールを勘案して現段階で取りまとめたものを、ここに当委員会の第1次意見という形で申し述べることといたしました。
   なお、当委員会としては、今後、全体的な意見の取りまとめに向けて必要な論点につき議論を深めることはもとより、実効ある評価の推進の観点から、分析・評価の手法、理由・根拠データの記述、法人の経営戦略等の考慮状況等に、各評価結果間で幅がある状況への適切な対応方策、評価結果の横断的比較を踏まえたベスト・プラクティスの共有等について更に議論を深め、早急に第2次の意見を述べることとしておりますので、引き続き、当委員会の審議に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。」
   次に別紙というものを付けてございます。別紙のイメージですが、「○○省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価結果についての第1次意見」として、各法人ごとに意見を列記する形としております。
   資料3が、各府省ごとの別紙を、各府省委員会ごとにまとめたものでございます。すべてを説明するわけではございませんけれども、書きぶり、あるいは全体の項目等を御覧いただくという趣旨で、主要なものについてピックアップして御説明したいと思います。
   まず、内閣府でございます。内閣府は国立公文書館1法人でございますけれども、一番上は、歴史的公文書等1冊当たりの処理経費を10%削減するということがこの法人の中期目標に示されているわけですが、それに関して、処理経費の額及び範囲を、平成13年度の実績を踏まえて早急に確定させ、その達成状況を毎年度客観的に評価することを可能とすべきであるという意見を述べるものであります。次の指摘は、各法人共通に述べているものですけれども、外部委託に関する評価を行う場合には、法人が直接実施する場合と、新規に外部委託をする場合との、人件費を含めた総コストの適正な比較、委託先の選定に当たっての競争条件の付与の有無、特定の委託先との契約の継続状況、委託業務の成果の品質管理の状況等にも着眼した評価を可能な限り行うこととすべきであるという意見を述べるものであります。三つ目の丸ですが、これも、各府省の評価委員会に共通の意見でございます。各府省の評価委員会が行った評価結果、及びそれに対する当委員会の意見については、来年度の業務実績に関する評価と併せ、その反映状況のフォローアップが行われることを期待する。フォローアップの結果が、来年度の評価結果と併せて当委員会にも通知されるということを期待するものでございます。
   次のページでございますが、これは一府省としての総務省の評価委員会に対する意見でございます。
   まず、通信総合研究所、丸の二つ目ですけれども、バイオコミュニケーション技術の基礎研究分野等に関し、個別テーマの妥当性、選択の在り方についても評価が行われており、委員会の評価機能が的確に発揮されております。このような評価の取組が引き続き推進されるべきであるといたしまして、先ほどの4分類でいくと四つ目の、「推進されるべき」という意見を述べるものでございます。
   次に、3ページ、消防研究所でございます。こちらも、経常研究の分野選定の在り方に関し、他の研究機関等では実施できないような研究への重点化という方向性を示す形での評価が行われており、委員会の評価機能を的確に発揮していく観点から、このような評価の取組が引き続き推進されるべきであるという意見を述べるものでございます。
   次に、4ページ、財務省でございます。
   財務省の所管は酒類総合研究所一つでございます。酒類総合研究所においては、酒類の販売、商品に関する調査及び研究を行っているのですけれども、その進め方に関しては、市場調査の専門家との共同研究や外部への委託、民間の知識を活用するという形で研究を進めていく必要があるという意見を、財務省の評価委員会が述べております。このような評価の取組を推進してもらいたい、という意見でございます。
   次に、文部科学省でございます。5ページです。
   二つ目、大学入試センターでございます。まず、一つ目の意見ですけれども、大学入試センターについては、運営費の9割以上を受験生からの検定料から賄っている。国からの運営費交付金は、実際の事業規模のうちの5%以下であります。そのような大学入試センターの特性の下において、効率化の目標については、運営費交付金で行う事業、すなわち、予算規模からいうと法人全体のごく一部の業務についての1%の効率化を達成するという目標が形式的に定められております。さらに、実際に運営費交付金で行う事業と、検定料収入等で行う事業との明確な区分がなされているわけではないという実態にあります。このため、実効ある効率化についての評価を行うためには、運営費交付金を充当して行う業務に限らず、業務全般の効率化についても、定量的に状況を把握をして、適切に評価を行う必要があるという意見を述べるものでございます。
   次に、6ページ、オリンピック記念青少年総合センターでございます。ここでは「ゆめ基金」という、青少年に対する健全育成のための助成事業を、初年度は100億円の基金と20億円の運営費交付金を受けて事業を行うということでございます。独立行政法人化された平成13年度からこの業務が新たに付加されたわけですけれども、助成事業を行う法人は、今のところ、ここ一つでございます。その評価の在り方ですけれども、助成金を受けて行われた事業の成果や効果等、内容面の評価も踏まえた評価を行う必要があろうと。中期目標、中期計画では、選考の手続や、そのための体制を整備するということが書かれているわけですが、実質的な評価を行うためには、成果や効果の内容面についても、まず法人で評価を行い、その評価を踏まえて独立行政法人評価委員会でも評価を行うべきであるという意見を述べるものでございます。
   次に、独立行政法人国立青年の家でございます。この法人については、まず、青少年の健全育成のためのプログラムを開発するということが一つの事業でございます。このプログラムは必ずしもこの法人で永続的に行われるプログラムではなくて、国としてのこの機関で、運営費交付金を使って行われた事業でありますので、その成果が得られれば、それを公立の青年の家に普及を図っていく。そして、新しいプログラムの開発を国立青年の家で行うというミッションが与えられております。これは、中期目標、中期計画にも明確に書いてあるので、継続的に実施すること自体が意義ではない、継続的に実施することの必要性等についても、評価を行って、その結果を明示するべきであるという意見を述べているものでございます。
   少年自然の家についても、青年の家と同様でございます。
   次に、物質材料研究機構から、8ページの放射線医学総合研究所までは比較的規模の大きい試験研究機関であります。これらの法人については、共通意見と同じ書き方で、主に外部委託に関する意見を述べております。
   次に、国立美術館と国立博物館、8ページ、9ページでございます。国立美術館は、近代美術館、西洋美術館等を、国立博物館は東京、奈良等の博物館を統合してできた組織でございます。国立美術館については、国立西洋美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館等ごとに、詳細な財務状況の開示、セグメント的な情報の開示が行われており、それをもとに各館ごとの評価を行った上で、全体的な効率性の評価等を行うことができるようになっておりますけれども、国立博物館についてはまだそこまでの取組はなされていない。国立美術館については、そういう取組を一層推進してもらいたいという意見を述べるとともに、国立博物館については、更に一層のセグメント情報等の整理を伴うことによって、実効ある評価を行ってもらいたいという意見を述べるものでございます。
   次に10ページ、教員研修センターでございます。この法人は、中期目標期間が3年間であり、事業の在り方の見直しについて、平成16年度末の中期目標期間の終了時に検討が行われ、その結果に基づき、所要の措置が講じられなければならないことになっています。この教員研修センターで行う事業については、研修の実施方法、内容の適切な見直しを図るという観点から、研修参加者によるアンケート調査を行い、これについては大変満足度が高いものになっております。しかし、それのみならず、研修成果の還元状況、すなわち、教育委員会とか校長等の調査から、研修を受講してきた教員がどれだけ研修成果を還元しているかという観点から評価を行うとともに、参加率、参加者の経年変化、研修生1人当たりの研修費用等を考慮するような形で、ニーズを踏まえて評価を行ってもらいたいという意見を述べるものでございます。
   次に、厚生労働省の評価委員会に対する意見、11ページからでございます。
   国立健康・栄養研究所は、受託研究を行っている法人でございます。受託費について、当初の計画段階での見積りは大変低かったのですけれども、年度途中でその数倍程度の獲得が行われたということが、実績報告から明らかになってきています。そういたしますと、当初の計画というものが、恐らく見積りが十分ではなかったのではないか、ある程度年度途中で獲得できるということが前提となっていたのであろうということです。受託費を前提として計画にきちんと盛り込まないと、計画の達成状況というものが適切に評価できないということで、法人に検討を行ってもらうことについての意見を述べるものでございます。
   11ページ、産業安全研究所と、次の産業医学総合研究所については、一部の経費について、執行率が大変低いものがあったということでございます。これについては、見積りが甘かったということが明らかになりましたので、適切な予算への反映を含めた検討を行ってもらいたいという意見を述べるものでございます。
   次に農林水産省の評価委員会についての意見でございます。まず種苗管理センター、家畜改良センター、次のページの林木育種センター、さけ・ます資源管理センターについては、中央省庁等改革の経緯の中で、本組織が独立行政法人に移行するに当たって、当初は民営化という議論があったのですけれども、そうならないで独立行政法人とするというふうに決められた際、同時に可能な限り業務の民間委託を行い、スリム化を図るということが求められた。そういう経緯を考慮した評価を行うべきであるという意見を述べるものでございます。
   次に、14ページの3番目、肥飼料検査所でございます。この法人につきましては、業務の重点化、効率化を図るという観点から、有害成分を含有する恐れが高い肥料への検査に重点化し、それ以外については検査項目を削減するという目標が立てられております。削減状況は、目標を相当上回って達成されており、検査項目の削減についての評価が定量的に行われているのですけれども、それに見合った検査の充実、本来するべき業務の充実、あるいはリスクを考えて削減を行っているかと、そういう観点からの評価結果が明示的に示されていなかったということで、その結果を明示すべきであるという意見を述べるものでございます。
   次に、農薬検査所でございます。この法人につきましては、農薬検査についての効率化について、申請から検査終了までの期間を短縮するという数量的な目標が示されております。平均の検査期間の短縮について、一部には、申請検査の推移等を見ますと、前年度・前々年度以前から申請を受けて検査が長期化しているように見える案件がある。しかし、平均的には 8.9カ月で検査が終了しているということで、実質的に相当以前からの継続案件があって、その年に終了したもの以外に、継続しているものについて、適切に考慮されているのかどうか。申請者側の理由で、追加試験が必要なもの等があればそれは仕方ないとしても、それ以外について適切に考慮されているのか、そういう観点から意見を述べるものでございます。同じく農薬検査所ですけれども、申請者の負担軽減という観点から、事前相談を行うということですけれども、これが実質的な負担の軽減となっているのか、実質的には、そこから検査が始まっているということにならないかという観点から、意見を述べるというものでございます。
   次に、16ページ、農業技術研究機構でございます。一つ目は、バイオマス資源の利用技術の開発に関する評価ということで、バイオマス資源の利用技術の開発につきましては、平成14年、今年6月の経済財政諮問会議の方針で、こうした研究開発について重点的に予算を配分するという方針が定められております。それに基づいて事業が行われているのかという評価を行うべきだということと併せて、各機関から、関連分野について相当程度の予算要求等があるという状況も踏まえて、関係機関間の連携の促進を図るという観点から評価を行うべきだという意見を述べるものでございます。
   次の項目でございます。農業技術研究開発機構につきましても、各研究所等、分立しておりますので、それぞれごとに財務情報も踏まえた評価が行われる必要があるという意見を述べるものであります。
   16ページの一番下、農業生物資源研究所でございます。評価委員会では、農林水産業のための基盤研究を行う研究所としての最終出口を明確にしたビジョンや、基礎的知見から実用化へのロードマップの明示を求めるという形での評価を評価結果の中で示しておりますので、そうした取組を推進してもらいたいという意見を述べるものでございます。
   17ページは共通的な意見が主でございますので飛ばしまして、18ページの独立行政法人国際農林水産業研究センターでございます。法人の設置目的は、開発途上にある海外の地域における農林水産業に関する技術上の試験・研究を行うことにより、それらの地域における農業技術の向上に寄与することとされております。日本国内の農業技術の向上ではなくて、途上国地域における農林水産業技術の向上ということが法人の目的となっておりますので、その研究の成果については、顧客である途上地域のニーズを把握して、評価していく必要があるという意見を述べるものであります。
   農林水産省につきましては、主な意見は以上でございます。
   次に、20ページの経済産業省でございます。経済産業研究所につきましては、冒頭の概要ペーパーでも御説明いたしましたが、1点目は、研究分野が多岐にわたり、その関連分野が広がっているという法人の業務の特性を踏まえて、顧客を明確にし、その具体的なニーズを反映した研究テーマの選択の観点を一層重視した評価を行うべきであるという意見でございます。もう1点は、この法人は、平成13年度に運営費交付金が20億円ついていたのですけれども、7億円、35%が未執行になっておりました。その原因について、もともとの計画で、本来行われるべき事業量と規模に対比して事業は行われていなかったということであったのか、あるいは効率化が行われたから7億円が節約されたのか、あるいは予算の見積りが甘かったからなのか、明確な説明を現段階ではすることができなかったということであります。同研究所の事業計画をより具体的にして、それとの対比で予算、運営費交付金の規模を定めるという対応をとることにより、計画と予算とを対比した形で評価ができるようにしないと、適切な評価が行えないため、法人において適切な措置の検討が必要であるという観点から意見を述べるものでございます。
   次に21ページ、産業技術総合研究所でございます。この法人は、大学・民間との間の適切な役割分担の確立に関し、基礎研究の知見を産業技術として展開するための橋渡しとなる研究を担うという法人の中心コンセプトを示しております。その中心コンセプトを計画等に一層具体的に反映していくということが必要であり、そうした取扱いについて、適切な措置の検討を要請することを期待するという意見を述べるものでございます。また、この法人はもともとは工業技術院という組織だったのですけれども、全国に研究機関が地域センターとして分立しておりますので、それぞれごとに評価を行う必要があるということを述べております。
   次に、国土交通省でございます。まず土木研究所、建築研究所に共通の意見ですけれども、個々の研究業務の進ちょく状況及び予算、収支計画等の実施状況が年度評価の対象となっていないため、研究業務の進ちょく状況に係る評価結果を法人の運営等に適切に反映することや、法人が行った運営費交付金等の予算執行の妥当性を判断することが困難となる等の懸念があることから、このような年度評価における取扱いの見直しについて、検討が行われることを期待するということでございます。先ほど若干申し上げましたけれども、中期目標・中期計画が研究業務の枠組みだけを定めるものとなっており、個々の研究業務の進ちょく状況の評価が行えないものとなっている、また、実際に十分に評価が行われていないということでしたので、そのような年度評価における取扱いの見直しについて、評価委員会で検討が行われることを期待するという意見を述べるものでございます。建築研究所についても同様でございます。
   次のページ、交通安全環境研究所でございます。この法人は、自動車の審査の実施検査を行っております。これについても先ほどの土木研究所で申し上げた研究業務の評価と同様、審査業務の審査体制の整備等について中期目標・中期計画で定められているのですが、実際の検査をどのように行うのかが具体的に計画で定められていない。法人の自己評価は行われているのですが、独立行政法人評価の体系の中で、評価委員会が実際の審査業務の実施状況についての評価を行っていないということがございました。これについても、年度評価における取扱いの見直しについて検討が行われることを期待するという意見を述べるものでございます。
   24ページ、その他の研究機関については、外部委託等、研究機関についての共通の課題に関して意見を述べるものでございます。
   25ページ、北海道開発土木研究所ですが、これは土木研究所、建築研究所と同様、進ちょく状況についての評価の問題点を指摘するものでございます。
   次は25ページ、海技大学校でございます。この法人については、養成定員数を中期目標期間中に半分にするという目標を立て、実際にそれが進ちょくしているのですけれども、学生数の定員数を見ると、課程によっては削減後の定員数をなお下回っているという状況が見られる。そういう状況を踏まえ、学生の実員数に応じた教職員の弾力的な配置による更なる効率的な運営の在り方に及ぶ評価が行われるように期待するという意見を述べるものでございます。
   次に、海員学校でございます。一つ目は、海員学校は全国8カ所にあるので、必要に応じそれぞれごとに財務内容を踏まえた評価を行ってもらいたいということ。もう一つは、定員の縮減を図るという目標はあるのですけれども、就職率等を見ると、特に司ちゅう、事務課等については30%という状況であるので、そういう社会ニーズを踏まえた制度設計について抜本的に見直す必要があるという評価を、国土交通省の評価委員会が示しているということでございますので、このような評価の取組を引き続き推進していただきたいという意見を述べるものでございます。
   航空大学校につきましても、教育の質の向上による質の高い操縦者の継続的要請に関する評価を行う際には、パイロットの需要、民間におけるパイロットの養成状況等を念頭に置きつつ評価を行ってもらいたいということです。
   最後、28ページ、環境研究所でございます。共通的な意見について、この法人に該当する意見を述べるということでございますので、説明は省略いたします。
   以上でございますが、意見の書きぶりについて申し上げます。意見の語尾が、大きく言いますと三つのパターンに分かれております。一つ目は、「何々すべきである」という意見、これは評価結果そのものについて、その着眼点とか実施方法とか、もう少し口語的に言えば不十分な点を指摘するという場合に、「何々評価委員会の評価結果についてはどういうふうにすべきである」という意見を述べるものでございます。
   当委員会の所掌事務について、若干補足的に述べますと、各府省評価委員会の評価結果について、必要があると認めるときに、評価結果について当該府省評価委員会に対して意見を述べるということでございまして、「評価委員会の評価結果」について意見を述べるというのが、独立行政法人通則法に基づく当委員会の所掌事務でございます。そこを最もストレートに行くものが、「べきである」、評価結果について、こうすべきであるという意見の書きぶりであるということです。
   次に、二つ目のパターンとして、「期待する」というものがございます。2ページの三つ目の意見ですけれども、下から2行目から読みますと、「総務省独立行政法人評価委員会から、法人における適切な措置の検討を要請することを期待する」とございまして、これは、評価の前提として、予算あるいは計画について、それを適切なものとしないと適切な評価が行えないような場合、法人に対して何らかの措置を求めるものでございます。しかし、当委員会の所掌事務上、法人に対して直接ものを述べるということが規定されていないということで、工夫をした表現でございます。当委員会は、各府省評価委員会に対して意見を述べるわけですから、述べられた府省評価委員会は、これでは評価が行えないので、こういうふうにしてもらいたいという意見を述べる、すなわち、府省評価委員会において、法人における適切な措置の検討を要請してもらいたいという意見を述べるということでございまして、適切な措置の検討を要請することを我々として期待するという意見を述べるというパターンでございます。
   三つ目のパターンは、同じく通信総合研究所の「このような評価の取組が引き続き推進されるべきである」という、取組を推進してもらいたいという意見でございます。
   以上、書きぶりについての説明を最後にさせていただきました。
   私からの説明は以上でございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。
   審議に入らせていただきますが、本案につきましては、独立行政法人評価分科会の方で三つのワーキング・グループを組織いたしまして、それぞれ担当の法人につきまして精力的に御審議いただきました。
   本案につきまして御意見等があれば、どなたからでも御発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。
   どうぞ、田辺委員。
○田辺臨時委員
   これは、独立行政法人の評価に関わる初年度の意見ということですので、その意義は大きいということで、3点ほど申し上げたいと思います。
   1点目は、こういった評価の仕方を各府省評価委員会の間で共有化してほしいということです。
   恐らく各府省委員会も、具体的にどうやって評価するかということに関しては、かなりわかっていない部分があって、実際上は手探りで行っているのだろうと思います。そういった際に、言葉は悪いですけれども、レベルの低いところに合わせてこれでよいという形で収めるのではなくて、各府省の評価のやり方の中で、こんな形で工夫されているということで、だんだんレベルを上げるような形で、本委員会と、各府省委員会の間で連絡をとりつつ、評価の情報、やり方等に関しても、より質の高いものを目指して協調するという側面もあるのではないかというのが1点目です。
   2点目は、評価の体制に関わる部分です。
   先ほど讃岐監視官から御説明があったと思いますけれども、これは各府省委員会の評価結果に対して、当委員会が意見を言うという構造であり、それが当委員会の権限であるということは否定できないわけです。ただ、実際上評価のやり方を見ていきますと、まず計画があって、中期計画があって、2番目には中期計画に合わせてこういうことをやりましたという業務運営の報告があって、そういう一連のデータを使って、最後に各府省委員会が評価結果を出してくるという構造になっております。
   我々自身は、最後の評価結果に対してのみ意見を言うわけですけれども、ただ、実際上、中期計画の立て方が甘すぎて評価できないという場合も多々ありますし、中期計画があるにもかかわらず、年次計画に落としてこないので、年次の評価は難しいという場合もございます。それから、例えば評価結果の中には情報としては出てこないけれども、業務運営報告の中に書かれており、それを見ない限り分からないというような場合もあるわけです。
   つまり、計画と、運営の報告と、最後の評価結果の三つは、実際上は連携しているわけですので、それを見やすい形で、なぜこういう評価が出てくるのかというのが分かるような形の制度の設計、運営方法等を考えていかなければならないという感じがしております。
   特に業務運営報告等に関しては、公表の義務付けはないと思いますけれども、国民がその情報にたどり着けることも必要ですし、中期計画に関しても、ローリング等の必要がある場合というのは、各府省委員会が措置してくれという形で、第2次意見の方で言っていくべきかもしれないということが2点目です。
   それから、3点目は、これは初年度でありますので、ここだけは譲れないという点は、かなりきちっと言っておいた方がいいと思います。それは何かと申しますと、評価の対象についてです。例えば、運営交付金の範囲が評価の対象であると、だから手数料でやっているところは評価の対象になっていないとか、受託してやっているものに関しては、評価の対象ではないというような評価方法をとっている場合があるわけですけれども、独立行政法人評価に関しましては、組織全体の活動実績が評価の対象であるということを明示的に言って、初年度からそういうものだという形で、是非とも確立していただきたいということです。
   以上、3点ほど申し上げました。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。
   おっしゃるとおりかなと思うのですけれども、何か讃岐監視官の方からありますか。
○讃岐評価監視官
   まさにおっしゃるとおりの議論が、ワーキング・グループで行われ、その方向に沿って意見を整理させて頂いていると、事務局として理解しております。
   ベスト・プラクティス等の共有化を含めて、レベルの低いところのレベルアップを図っていくということは、委員長談話等でも、幅のある状況に適切に対処していかなければいけないということを述べておりまして、そういう観点から、第2次意見を更に取りまとめていきたいと考えております。
   それから、評価の実施方法ですけれども、目標・計画・実績報告・評価とあって、評価だけを見るのではなくて、必要に応じて遡って見なければ評価ができないというものについては、遡って見ていくということと、データ等もきちんと明らかにしてもらうということについては、各府省の取組にばらつきが見られますので、第2次意見で、適切な評価のやり方について意見を取りまとめていきたいと思います。
   評価の対象については、田辺先生の言及のあった大学入試センターですけれども、手数料収入について、明確には効率化の対象となっていない。対象とすべきであるとか、あるいは受託業務について、中期目標、中期計画を達成するための業務と明確に位置付けられているものについては、適切に評価を行うべきであるという意見は、個別に第1次意見の中で述べているところでございます。
   評価結果について、評価結果の示し方、あるいは業務実績報告書、これは添付しないと評価結果が分からないところもございますし、実績報告書の書きぶり等も、精粗まちまちでございます。それが評価結果の精粗にも現れていると思います。評価が見やすい形で現れているかどうかということについても横断的に見た上で、必要な改善を図るという観点から、第2次意見を取りまとめていきたいと思います。
○吉野専門委員
   1ページ目のところにあります外部委託に関してなのですが、恐らくここには二つの面があると思います。一つは、なるべく民間に任せながら、研究をやっていただくという面。その場合には知見が民間に移ることがよいことだと思います。
   それからもう一つは、本来内部でやればできることを、いろいろな専門性の立場から外部に委託するという面。しかしその場合、外部に委託した知見は、ひいては内部に還元され、それが将来的に内部でできるようにする。外部委託には以上二つの面があると思いますので、それに関しては注意していただきたい。すべて外に任せて、全部丸投げした結果、それぞれの機関に最後は何も残らないということでは困ると思いますので、外部委託の際には、次年度から、この二面性をよく注意して頂いて、民間でできるところを任せていく方向なのか、それとも内部の方に知見を蓄積しながらやっていく方向なのかということを、できれば区別しておいていただきたいと思います。
   それから、外部委託の場合に、最近よく大学との連携ということが言われているのですが、もしおわかりになりましたら、研究機関でいろいろな大学との連携が行われているかどうか、教えていただきたいと思います。
○讃岐評価監視官
   まず、後段の方ですけれども、各試験研究機関の評価結果、あるいはその前提となる業務実績報告、更にその前提となる中期目標、中期計画の中に、大学や各種研究機関との連携を図るということが、目標として述べられているものもございます。研究の推進について実績と評価結果において連携を図っている、それについて評価が行われていたり、あるいは更に必要な連携を図るべきとの評価意見が出されているものもございます。特にバイオテクノロジーでありますとか、コンピューター・情報通信については、様々な研究機関がこれを取り扱っているという観点から、そういった情報が評価の中で取り扱われております。
   それから、委託につきましては、効率化に関する評価、コストについての評価ということで、ここに取りまとめてございます。今、吉野先生がおっしゃったのは、実際面として委託によりトンネル機関化しているのではないかという御指摘ですが、これについてどのように把握するのか、問題意識としてはあるのですけれども、この文章においては、コスト、効率性と、受託業務の成果の品質管理、外に出したものについての成果の品質というものを問うという観点からも評価を行うべきだということにしております。
   基本的には専ら効率性の向上ということで見ておりますけれども、実質丸投げをしているようなものがあれば、そういう状況が適切なのかどうかということについての評価を行っているのか否かということについては、個々の問題点として法人の評価の中で見ていく必要があろうかと思います。しかし、少なくとも今回見た中ではそういう問題点を指摘すべき法人は見当たらなかったということで、指摘は行っておりません。
   ただ、考え方については、吉野先生のおっしゃったとおりであると思いますので、評価結果を評価するに当たっての問題意識として、十分心にとめながら仕事をしていかなければいけないと思いますし、また、そういうものが共通的に、多くの独立行政法人で見つかってくるようになれば、それについて横断的に見て個々の意見として述べていくということを検討していかなければいけないと思います。
○村松委員長
   よろしいでしょうか。山本委員、どうぞ。
○山本専門委員
   私は原案でよいと思うのですが、1点だけ意見を申し上げます。ベスト・プラクティスという言葉の使い方に関してですが、まさしくこの談話並びに意見にもあるとおり現在幅がある状況であるわけです。独立行政法人評価は、毎年度その実績を評価していくということから言って、単年度の横断的比較を踏まえてもベスト・プラクティスは多分出てこないと思います。
   最近ちょっとこの言葉が気になりまして、諸外国の動向等を調べてみましたところ、最近はベスト・プラクティスという言葉は使わずに、ベター・プラクティス、あるいはグッド・プラクティスという言葉を使っている。その方が、毎年度改善していくということから言えばいいのでしょうし、当委員会が、これがベストのプラクティスだということを言うのはかえって危険であるという気がしています。
   実際、オーストラリア等においては一時、ベスト・プラクティスという言葉を使っていたのですが、現在はベター・プラクティスという言葉を使っていますし、イギリスにおいてはグッド・プラクティスという言葉を使っています。この原案で、私は全く異存はございませんが、第2次意見等、本委員会としての意思統一の際には、そういう文面として、このベスト・プラクティスという言葉をお使いいただけるようにお願いしたいというのが、個人的な意見でございます。
○村松委員長
   はい、わかりました。
○中山専門委員
   ちょっと一つよろしいですか、お聞きしたいのですけれども。
○村松委員長
   どうぞ。
○中山専門委員
   各府省の評価委員会へこの意見を提出するわけですけれども、これを受けた各府省の委員会の取扱いがどうなるのかということ、すなわち、各府省がこの意見を捉えてこういうふうにしますということで、また何かこちらの方へフィードバックがあるのか、あるいは言いっぱなしなのか、後のフォローというのはどういうふうになっているかということ。それからもう1点、第2次意見の時期について教えていただきたいのですが。
○讃岐評価監視官
   これについては、適切なフォローアップが行われなければいけないということでございまして、意見の1ページを見ていただいて、三つ目を少し読みますと、平成13年度業務実績に関する○○府の独立行政法人委員会の評価結果及びそれに対するこの評価委員会の意見、我々が述べた意見については、来年度行う評価と合わせて、その反映状況のフォローアップを行ってもらって、そのフォローアップの結果は、来年の評価と併せて当委員会にも通知されるような形にするということを、きちんと意見として述べております。これは、まず府省で適切にフォローアップをして、それを報告するという仕組みを創設的に作っているものであります。
   それから、第2次意見のタイミングといたしましては、年内を目途ということを考えておりまして、現在事務作業を進めております。ワーキング・グループの先生方にもまた、御審議をお願いしたいと思います。年内で言いますと当委員会は12月20日が予定されておりますけれども、そこを目途に作業を進めているところでございます。
   それから、去年の8月に、各府省評価委員会の委員長と、当委員会の委員長、分科会長との間の懇談会を行って、意見交換を行っていただいたのですけれども、今回の評価結果が取りまとまって、我々の評価結果も通知した後の段階において、また年明けぐらいにもそういう委員長同士の懇談の場を設けようかということも、委員長と相談しながら考えております。そういう場における意見交換の中で、適切な状況把握、あるいはフィードバック等を聞くような機会を設けるということも検討課題かなと考えております。
○村松委員長
   よろしいでしょうか。その他の御意見はいかがでございましょうか。
   どうぞ、武田委員。
○武田専門委員
   ちょっとピント外れな話なのかもしれないのですけれども、独立行政法人評価をすることによって、諸活動が適切であるか否かということを国民の前に明らかにするとともに、効率化がどう進んでいるかについても明らかにしていると思います。ただ、個別の独立行政法人は分かるのですけれども、全体としてどうなのだろうというところが、いま一つはっきりしないところがあるかなという気がしておりまして、当委員会の責務ではないかもしれないのですけれども、独立行政法人制度をやることによってどういう効果があったとか、そういうことが国民の前に明確になる場というのはあるのかどうかを伺いたいと思います。あるいはそういう可能性があるのかどうかといったところをお教えいただけたらと思うのですけれども。
○讃岐評価監視官
   独立行政法人制度の中で、我々は評価を所管しているのですけれども、第2次意見の後で来年度に入ってから、当委員会で行った評価、そして府省の評価委員会の評価活動全体も含めた年次活動を取りまとめたようなものを、意見としてではなくて、事実上の報告書として取りまとめ、それを公表するということも検討していきたいと思っております。その中で可能な限り、独立行政法人の全体状況がどのようなものであるのかということについて、どのような観点で捉えるのか難しいところはあるかもしれませんけれども、どのように捉え得るのか、何らかの認識を表明し得るのかについて御議論をいただきながら進めていきたいと考えます。
○塚本行政評価局長
   よろしいですか。
○村松委員長
   どうぞ、局長。
○塚本行政評価局長
   ただいまのことについて、一つ触れさせていただきますと、武田委員の御質問に関連するような話がございます。来年以降、特殊法人や認可法人が独立行政法人に変わっていくわけでございますが、その多数の法案が、現在、衆議院の特殊法人等改革に関する特別委員会で審議中でございます。
   そのときに、必ずお尋ねが出ているポイントは、まさに武田委員の御質問の点でありまして、特殊法人等を独立行政法人にすることで、結局どのようなよいことがあるのだと、こういう問いでございます。
   やはり制度から言うと、自由と規律、特に責任ある経営がどのぐらいできて、それによって、ここに出ております財務、あるいはサービスの質という点でどのように改善されるのかということに尽きると思うのですが、その点をどのように表現し、かつ実績で見てもらうかということがポイントになります。しかし、その実績は出ておりませんので、どうしても答えがはっきりしないことになっている実態が、国会のサイドではございます。
   しかし、我々としては、今讃岐が申し上げたように、自律性ということ、それから責任ある経営ということに気を付けて状況も把握しながら、対外的にも御説明していかなければならないのだろうと考えております。また、当省の行政管理局というところも独立行政法人制度を預かっておりますが、国会の議論等も見させていただきながら、行政評価局と行政管理局、両者が一体となってやっていかねばならないとも感じております。
○村松委員長
   第2次意見を取りまとめるときに、より一層、総括するような視点とか議論が行われると思うのですけれども、本日の時点でも、先ほど富田分科会長が御説明になったような、法人の年度計画や予算の在り方等に言及するものが10項目9法人あって、その内容はというように、だんだん積み上げて、それが要約的なイメージにもなってきております。今の段階ではじわじわと出てくるということではないかと思うのですけれども、更に検討を重ねていくことになると思います。
   どうぞ、樫谷委員。
○樫谷委員
   財務諸表が提示されているわけですが、財務的な分析がまだ行われていないんですね。いろいろ現状を見ておりますと、各独立行政法人も財務諸表を作成するのが精一杯というのが現状のようです。したがって、それを分析して、分析に耐えるようなデータが出てきていない。それから、財務諸表、我々公認会計士で言うと財務会計と言うのですけれども、それが効率化されているか等の指標を見るためには、財務会計では不足で、管理会計的な手法を導入しないとなかなか難しい部分があると思うんです。
   この前の分科会の際にも、富田分科会長に申し上げたのですが、できましたら現在の財務諸表を分析することによって、そのような問題の所在や、どこをどう工夫すれば改善できるかいうことをワーキング・グループを作って頂いて検証していって、取りまとめは第2次意見になるのかちょっとわかりませんが、そのようなことをさせていただけたらと、このように思っております。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。
○讃岐評価監視官
   今の樫谷先生の御意見につきましては、独立行政法人評価分科会でも御提案を頂いて、分科会で検討を進めていくということで、これから御相談をさせていただきたいと思っております。
   それから、本日御欠席の高木臨時委員からの御意見をお伝えしたいと思います。第1次意見の書きぶりについて「べきである」という表現が強すぎるのではないかという点に関する御意見です。
   当委員会は、高木先生の言葉をお借りすれば、府省の評価委員会と対等の関係で意見を述べる委員会であるので、「べきである」という指示にとれるような、上下関係を連想させるような意見は、受ける相手方からすると強すぎる、あるいは不快感を覚えるような意見になるのではないか。例えば、「べきである」という書きぶりについては、「望ましい」というような書きぶりとすることが適切であろうという、大変強い意見が出されました。
   この点に関しまして、私からは、ワーキング・グループを踏まえた分科会での議論で、我々の委員会として述べるべき意見については、意見として、改善の方向性を示した意思表示として述べる必要があろうということで、「べきである」という表現でこれまで審議を進めてきているところであり、分科会の先生方もそういう点を踏まえて議論をして、「べきである」というふうにしたとお伝えしております。
○樫谷委員
   その件についてなのですけれども、今日の資料3を見せて頂いて、大変具体的になり、意思をはっきり表明しているので、私は非常によいと思っております。
   今までの(案)の段階では、役人用語では非常に分かりやすいのでしょうけれども、我々民間が見てよく分からないという部分がいっぱいあったんですね。そういう意味では、「べきである」とか、「期待する」とか、はっきり分けて言うことで分かりやすくなったと思います。分かりやすく言わないと我々民間には分からない。この意見は、当然、各府省評価委員会の委員の方も見られるのでしょうし、民間人の方も見られると思うんですよね。そういう意味では、分かりやすい方がよりよいのではないかと私は思います。
○村松委員長
   そういう御意見があったことを伺いまして、私からも意見がございます。これまでワーキング・グループや分科会で積み上げてきた結論であって、言葉を選んで議論をしてこられたわけですから、私はそれを尊重するという立場で司会をしておりますし、それでよいのではないかと思っております。しかし、お一人の委員が重要な発言をされたわけですから、やはりここで御紹介を頂いて、私どももそれを伺っておくと。そして、その御意見を心して聞くという姿勢を持ちたいというふうに思っております。
   高木委員は、上下関係というようなことを御指摘になり、確かに制度はそうなっていないと思いますが、ただ、職務の違いというものがあると思います。先ほど来、各委員から御発言をいただき、あるいは讃岐監視官から説明されていることでありますけれども、各府省の評価委員会は、それぞれの所管の法人の活動を評価すると。当委員会は評価の評価を行うというのが職務であって、我々の委員会における評価では、評価がよければよかったですよねと言うし、不十分であればやはり不十分ではないでしょうかと言わなければ任務が務まらないのではないかと思うのです。
   そのときのメッセージとして、「べきである」という言葉も、「期待する」という言葉もあり得るし、まず、我々の客観的な指摘も行われなければいけないけれども、それについて我々がどう考えるかというメッセージも、独立行政法人通則法の中で期待されていると私は理解しております。
   それに加えて、中期計画の期間の終了後には、改廃を勧告などという難しい仕事が待っているわけです。そういうことを考えますと、先ほど田辺委員からも、最低限これだけの情報を確保しなければいけないという御意見がありましたけれども、やはり年次的な評価を通じて、我々の評価が蓄積していく状況を、評価委員会に、そして結果としては法人や大臣の方にも伝えていくということは重要なプロセスではないかと思っておりまして、先ほどの讃岐評価監視官の御説明でよかったのではないかと思っているわけでございます。そういう理解でよろしゅうございますでしょうか。
   それでは、時間も大分たっておりますが、本案につきまして、委員会としての意見を決定するということでよろしいでしょうか。

(「賛成です」の声あり)

○村松委員長
   どうもありがとうございます。
   それでは、そのように決定させていただきます。当該意見を、関係独立行政法人を所管する各府省独立行政法人評価委員会委員長あてに通知するということにいたしたいと思います。委員の方々からは、後ほど御決裁をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
   本日は、ここで若松副大臣においで頂いてごあいさつを頂くという予定でございましたけれども、国会の関係で御出席できなくなりました。副大臣から、本日の独立行政法人評価に関する意見の取りまとめに当たり、委員の皆様に、大変御多忙にもかかわらず精力的な議論をしていただいたことについてお礼申し上げたいという伝言がございましたので、御報告いたします。
   それでは、最後に、次回の委員会の日程につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

[次回日程等]
○橋口総務課長
   次回でございますが、個別には追って御案内させていただきますけれども、第20回本委員会が来週の金曜日、22日の1時半から4時10分までという予定でございます。場所はこちらの会議室で、三つの議題を予定させて頂いております。
   1番目といたしまして、行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画の審議ということで、「特別会計制度の活用状況に関する政策評価」、「湖沼の水環境の保全に関する政策評価」、この2件でございます。
   2番目が、行政評価局が行った主要な政策評価の結果の御報告ということで、「地域輸入促進に関する政策評価」、「容器包装のリサイクルの促進に関する政策評価」の2件を予定しております。
   それから、3番目が、平成15年度の政策の企画立案に向けた各府省政策評価の実施状況の御報告ということでございます。
   分科会の方でございますが、次回の政策評価分科会を、同じく来週金曜日、22日の本委員会終了後に開催する予定でございます。4時15分を目途、場所はこちらの会議室でございます。議題は、客観性担保評価に関する審議ということでございまして、各府省が実施した政策評価についての審査状況、平成14年度第1次分について御説明し、御審議をいただくということでございます。
   それから、独立行政法人評価分科会につきましては、必要に応じまして、ワーキング・グループ、あるいは分科会を開催させていただきますが、日程等についてはまた別途、御連絡させていただきます。
   以上でございます。
○讃岐評価監視官
   本日取りまとめていただいた意見の公表についてですが、印刷等様々な準備作業を行いまして、来週の前半、今のところ火曜日を予定しておりますけれども、委員長から会見を行っていただくという形で公表したいと考えております。日程が決まりましたら、メール等で御連絡したいと思います。
○村松委員長
   以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の第19回の会合を終わります。どうもありがとうございました。



〔了〕