政策評価・独立行政法人評価委員会(第21回)議事録
(政策評価・独立行政法人評価委員会、政策評価分科会及び独立行政法人評価分科会の合同)



1.日時   平成14年12月20日(金)15時40分から17時40分

2.場所   中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
  (委員)
          村松岐夫委員長、丹羽宇一郎委員長代理、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、永井多恵子の各委員
金本良嗣、高木勇三、田辺国昭、新村保子、黒川行治、黒田玲子、松田美幸の各臨時委員
木村陽子、中山正邦、吉野直行、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山本清の各専門委員
  (事務局)
  塚本行政評価局長、広瀬官房審議官、橋口総務課長、新井政策評価官、讃岐評価監視官、水野政策評価審議室長 ほか

4.議題
 (1) 府省評価委員会から通知を受けた独立行政法人の評価結果の審議及び意見の決定(第2次分)
 (2) 平成15年度以降において評価の対象とすべきテーマに関するフリートーキング






○村松委員長
   時間が参りましたので、これより政策評価・独立行政法人評価委員会の第21回会合を開会いたします。
   本日は、まず「府省評価委員会から通知を受けた独立行政法人評価結果の審議及び意見の決定(第2次分)」――第1次分は既に行ったわけですが、第2次分ということで、独立行政法人評価について、去る11月に決定した第1次意見に引き続き、当委員会として第2次意見を決定したいということでございます。
   初めに、富田独立行政法人評価分科会長から、分科会において決定した「平成13年度における各府省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価結果についての第2次意見(案)」についてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

[府省評価委員会から通知を受けた独立行政法人の評価結果の審議及び意見の決定(第2次分)]
○富田分科会長
   それでは、私から概要について簡単に御説明申し上げ、その後、事務局から説明をお願いしたいと思います。
   お手元に「案」としてあるものがその資料でございます。
   平成13年度の独立行政法人の業務実績の評価結果につきましては、本年8月から10月にかけまして各府省の評価委員会から当委員会に対しまして通知され、公表されたところであります。これを受けまして、当委員会としては、予算、人事、業務運営等に早期に反映できるよう、11月19日に、各府省評価委員会に対しまして、個別的な事項を中心に95項目の当委員会の第1次意見を通知し、公表いたしました。
   その後、府省横断的に改善が必要と認められる事項につきまして、「第2次意見」として広く意見を述べるという立場に立ちまして、評価結果の横断的な分析を行ってまいったところであります。
   さらに、特殊法人等の独立行政法人化に関連いたしました国会での審議、特殊法人等改革推進本部参与会議における最近の議論におきましても、より一層厳格な独立行政法人評価の必要性について指摘が行われてきたところであります。
   これらを踏まえまして、独立行政法人評価の一層の向上のために必要と考えられる事項につきまして、いわば共通の「評価活動準則」に当たるものとして機能するよう、このお手元の「第2次意見」をまとめて、その取りまとめを行ってまいりました。この案文につきましては、一昨日、18日(水)に独立行政法人評価分科会を開催し、審議の上、分科会として決定したものであります。
   なお、一次意見の取りまとめから合わせますと、各府省別のワーキング・グループ――分科会の中に各府省別のワーキング・グループを作ったわけですけれども、そこで合計18回の審議が開催されまして、第1次意見の通知後、新たに設けました「財務内容の改善等についての評価方法の在り方に関する研究会」を1回開催いたしまして、それぞれの関係委員が議論を行ってまいりました。
   それでは、「第2次意見」の案文につきまして、事務局から説明していただきます。
○讃岐評価監視官 
   それでは、説明させていただきます。
   お手元にお配りした「案」というものでございます。「平成13年度における独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての第2次意見」、副題といたしまして「独立行政法人評価の厳格性・信頼性の向上のために」といたしております。
   まず1枚おめくりいただきますと「前文」というものがございます。簡単にキーワードに沿って御説明をしていきたいと思います。
   まず第1パラグラフですけれども、独立行政法人制度につきまして、その成果、その狙いの実現の成否については、中ほど以降ですけれども、評価制度が決定的な鍵を握っており、その中でも第1次的な評価を行う各府省の独立行政法人評価委員会の評価を行うという役割が非常に大きいと。さらに、今後、特殊法人改革に伴って多数の法人が独立行政法人化されるということになりますと、この評価はますます重要なものになるということを述べております。
   2パラグラフ目ですけれども、府省の評価委員会が行う毎年度の評価というのは、業務の実績に反映されるとともに、また、府省の評価委員会は独立行政法人に対して業務の運営に対する勧告を行う権限を持っておりますので、改善のための勧告まで行えるものであると。また、独立行政法人制度におきましては、中期目標期間終了時におきまして組織・業務の見直しという制度が設けられておりますので、評価というものはその見直しの基礎ともなるということからも重要性が高いものであるということでございます。そして、当委員会の活動といたしましては、この1次意見の後、2次意見に向けて、各府省の評価委員会の評価結果の横断的分析を行いましてこの2次意見を取りまとめてきたわけでございますけれども、その過程におきまして、最後の「また」という第2パラグラフの下から3行目ですけれども、特殊法人改革に関連して行われた――実際には国会審議あるいは特殊法人改革参与会議での議論、厳格な目標の設定あるいは厳格な評価の必要性について指摘が行われたということも参考といたしまして、この第2次意見を取りまとめたものでございます。
   次のパラグラフですけれども、2行目、評価の厳格性・信頼性を向上させる上で重要な事項について、政府全体としての適切な水準を確保することを狙いとしており、いわば共通の「評価活動準則」に当たるものとして機能させてもらいたいということでございます。府省評価委員会におきましても、次回以降の評価において、この内容が逐次反映されるとともに、また、本委員会においても本意見に沿って評価を行ってまいりたいということでございます。
   次のパラグラフですけれども、この準則につきましては、今後新たに独立行政法人化される法人の評価なども踏まえまして、さらに必要な充実を図ってまいりたいということを述べています。そして、その後段でございますけれども、今後の当委員会における検討課題といたしまして、一つ目として予算、収支計画等の実施状況の評価のあり方、財務に関する評価のあり方、次に効率性ということについての評価におけるとらえ方、次に評点分布のあり方の検討あるいは業務の類似する法人についての実績評価の比較・分析のあり方等についても引き続き検討いたしまして、必要な情報提供を各府省評価委員会に行ってまいりたいというものでございます。
   3ページ目でございますけれども、この最後のパラグラフにつきましては、独立行政法人制度ができたということに伴いまして、業務あるいは財務の情報についての開示というものが非常に進んできているところであるということであります。それにつきまして、積極的に評価するとともに、最後の3行、4行でございますけれども、適切にわかりやすい情報の開示により問題となる点が明確化した法人のみが議論の対象となるということではなく、むしろ開示すべき情報を開示しない法人の姿勢の方が厳しく問われるような環境が醸成されていくことが期待されているので、開示を促してまいりたいという趣旨でございます。
   4ページは「目次」でございます。今回の意見は全部で個々に47の項目があるわけですけれども、この構成といたしまして、1として、評価の基本的事項、評価に横断的に通じる事項、2〜7までは、独立行政法人通則法などに基づきまして、評価の主だった項目に沿って意見をまとめているものでございます。8といたしまして、参考事例といたしまして、いわば各府省の評価がこれから参考とすべき事例、共有すべき事例をサンプルとして挙げております。
   それでは、5ページ、1からでございます。ポイントをそれぞれ、すべての事項についてというわけではなくて、重要な項目についてポイントだけを説明していくというふうにしたいと思います。
   「(1)考え方」、「(2)意見」というふうに、それぞれの項目を分けてございます。「(2)意見」のところから参ります。ここにつきまして、大きな柱立てでございますけれども、アの「評価の進め方」の一つ目の丸のところに「関係委員会において、次の措置が講ぜられるべきである」とございまして、個々の項目を並べております。次のページをちょっと先に見ていただきますと、6ページの一つ目の丸で「関係委員会が、次の措置を講ずることを期待する」と述べております。「講ぜられるべきである」というものについては、改善の方向を示した意思表示をするとあり、「期待する」というものにつきましては、これも改善の方向を示した意思表示ではありますけれども、各府省評価委員会から法人等に対して事実上の働きかけを要請するというように、法令上の根拠に基づく行為と言うより、事実上の措置を行ってもらうことを要請する場合や、あるいは、検討に時間を要するものについては、「期待する」と書き分けております。1次意見のときと同じ考えでございます。
   それでは、主要な項目について御説明をしたいと思います。6ページの最初の一つ目の小見出しが「トップマネジメントの分析・評価の実施」というところでございます。これにつきましては、独立行政法人になったということで、国から独立した一つの法人になり自立的な運営というものが可能になっているわけですから、国とは別の法人格を有する自立的な運営を担う組織におけるトップマネジメントが有効に機能を果たしているのか、組織運営の自律性が与えられる一方、業績に対する責任と言うことも当然生じるわけですが、そのような観点から適切な経営判断を行ってトップマネージメントが組織を運営しているのか、ということを評価の前提としてやはり見ていくことは重要であろうということで、ここに書いているものでございます。
   次に、6ページの一番下に「業務や施設ごとの分析・評価の実施の検討」と書いてございますけれども、ここでは、性格が異なる多様な業務を行っている法人の評価につきましては、それぞれの業務ごとに財務情報などを適切に分析するセグメント的な管理を行うことによって有効な評価を進めていくことが必要であろうということを述べております。
   7ページに参ります。7ページの二つ目のポツでございますけれども、「年度途中における中間的な調査、分析の実施の検討」ということで、できる限り評価の作業を平準化していくということが効果的な評価を行っていくためには必要であろうと。やはり業務実績報告が年度の最後に出てきてそこから作業を始めると、一時に作業が集中して有効な評価も行い得ないのではないかというような意見も各府省の評価委員会からもあったわけでございますけれども、このようなやり方を工夫して評価を行って、有効な評価を進めていただきたいということでございます。
   次に、イといたしまして「評価結果の反映に向けた措置」ということでございますが、一つ目のポツといたしまして、「評価結果の反映の方向を明確にした評価の実施」ということで、個々の例えば試験研究業務などについて、その進捗状況が当初の計画どおりであったかということをまず評価するのが基本となるわけですけれども、その結果、その業務をこれからどうするのかと。例えば予算に反映するなどといったときには、それは進んだからもっと予算をつけていいのかどうなのかということは必ずしもそこからでは出てこないわけですので、それを、今後の業務の方向性を明確にした評価を行ってもらいたい、一部の評価委員会でこのような取扱いをしているわけですけれども、各評価委員会でもそのような取扱いが行われるということが重要であろうということから、こういう意見を述べているものでございます。
   次は8ページでございますが、最初のポツですけれども、「評価結果を予算等に反映できる迅速な評価の実施」ということでございまして、評価結果については次年度の予算に反映していくということが必要かつ重要であるということでございます。今年の各府省の評価結果は9月〜10月にかけて取りまとめられたということでございますけれども、最後の行に書いてございますが、次年度以降、8月末の概算要求に着実に反映することができるように迅速に評価を行っていただきたい、そういうことを述べてございます。
   次のポツですけれども、「評価結果の役職員の給与、人事等への反映状況の評価の実施」ということでございまして、これは、国会、あるいはマスコミなどで独立行政法人が取り上げられるときに、その役職員の給与が高い、あるいは人事が天下りなど、適切でないのではないかというような問題が取り上げられております。それについて、必要なものは評価結果を踏まえて、業務の実績を踏まえて適切に是正が図られていく、したがって評価が重要であるというような説明を国会などでも行っているわけですけれども、それではそれを明確にどのように進めていくのかという観点から、各府省評価委員会の評価において、このように取り組んでもらいたいという意見を述べるものでございます。評価結果の役職員の給与、人事への反映状況は、13年度の評価結果をその役員の給与などにどのように反映させたのかというのは、来年度の評価の一環として適切にフォローアップを行うという仕組みになっているわけですけれども、それに基づいて厳格に評価を行い、その結果は当然のことながら当委員会にも通知されて、当委員会も必要があれば意見を述べるということになるわけです。そのプロセスをもう一回明示的にここに書いたとともに、その際、具体的な観点といたしまして、高い業績を上げた役職員に適切な処遇が行われているか、採用年次等を重視した硬直的な処遇が行われていないか、逆に、低いにもかかわらず見直しが行われていないか、あるいは役員の人事上の措置が適切に行われているかといった観点も踏まえるべきという点を述べてございます。
   ウといたしまして、「適切な評価の基盤整備」ということでございます。最初のポツ、「数段階評価の実効性の検討」ということでございますが、実際に評価結果を見てみますと、段階数が少なく特定の段階に――中心的なところ、真ん中あたり、あるいは真ん中より少し上あたりなどですけれども、特定の段階に評価結果が集中しているものなどが散見されたわけですけれども、数段階評価の実効性を持つようなあり方というものが検討されるべきであろうということでございます。こうした観点につきましては、今後の検討課題にも前文の中で述べているというところでございます。
   次の9ページですけれども、「目標・計画の一層の定量化・具体化の検討」ということです。独立行政法人は中期目標、中期計画に沿って事務事業を進めていき、その結果を評価するわけですけれども、評価の前提としての目標・計画というのは可能な限り具体的に定めるべきということが中央省庁改革の方針として決められているわけでして、それについてまず前段の最初の2行で述べたわけです。しかしながら、現段階においては制度が発足して間もないため具体的な実績がなかなか取れないなどの状況から、具体性あるいは定量性が必ずしも十分でないものも見られたわけでありますけれども、実際に評価をやってみて定量的な業績を取ることができたものについては、それを目標・計画にきちんと盛り込むということで目標・計画の改善を図っていくべきであるという趣旨の意見でございます。
   次の10ページでございます。最初ですが、「評価に当たっての幅広い分野の専門家等の活用」ということですけれども、これにつきましては、背景として、これも実は国会審議などにおいて議論がなされた点といたしまして、各府省の評価委員会の評価委員の人選などについて見ると、その分野の専門家ではあるけれども、逆に内輪の評価というものになっていないかというような議論が行われ、附帯決議にも取り上げられたところでございます。評価委員の人選自体は主務大臣の権限ということでございますけれども、評価を進めていくに当たっての視点といたしまして、ここに書いてございますように、当該独法の業務に直接関連した分野の専門家に加えて、マネジメント、財務会計、公共政策、経済学など、当該分野にとらわれない立場の専門家の知見を適切に活用するとともに、また、法人のユーザーの見解の活用も図るべきであるということを述べて、必要があれば、場合によれば、人選などにも適切に反映させていくということが促されることを目指して書いているところでございます。
   10ページの一番下ですけれども、「監事及び会計監査人の監査報告書・意見等の活用」ということでございますが、一つは、監事の機能につきましても、監事も法人の中で大臣から任命された第三者的な機関として法人の業務あるいは財務の監査を行っているわけですけれども、評価に当たってはそうした情報を適切に把握して評価を行うということも重要であろうと。次の「また」以下ですが、これは会計監査人についてですが、一定規模以上の法人については外部監査人による会計監査というものを義務付けているわけですけれども、その会計監査人からの情報も適切な評価情報としては有用であるはずなので、ヒアリングなどを行うことによって評価を高めていくことが必要であろうというふうに述べているものでございます。
   次は11ページに参ります。11ページは、2といたしまして「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべき措置の実施状況の評価について」ということで、サービスの質の向上というのは中期目標に掲げられている目標の大きな一つの項目でございますが、この分野についての評価を行う際の留意するべき点といたしまして意見を述べているものでございます。
   11ページの一番下ですけれども、「利用者等のニーズや満足度を踏まえた評価の実施」ということでございまして、当然のことでございますけれども、利用者、顧客、受益者等の具体的なニーズあるいはサービスへの満足度を踏まえて評価を行うことが適切であるということを述べてございます。
   12ページの二つ目でございますけれども、試験研究の業務についての評価の進め方ということでございますが、基本的には、試験研究等の業務の実績の評価に当たっても、個々の業務の実施状況を中期計画と照らして分析を行うということが評価の基本となるということでございます。「また」のところは、ここの場合、定量的な指標として論文数というものを定めるということが多々見られるわけですけれども、その論文数の適切なカウントの仕方などについて留意するべきであると。なお書き以下でございますけれども、「新しい知の創出が期待される基礎研究」を行う業務ということで、この言葉自体は、総合科学技術会議の議を踏まえて定められた「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の中の言葉を引いているわけでございますけれども、先導的あるいは革新性、創造性が必要とされるような基礎研究、ナノテクノロジーとか宇宙開発とかそういったものが想定されるはずでございます。今の独立行政法人の中でも一部にはこのような高度な基礎研究を行っている法人が見られるわけです。その評価に当たっては、上述の大綱的指針の中では、画一的・短期的な観点から性急に成果を期待するような評価に陥ることにならないような評価に努めるべきであるということが述べられておりますので、そのような、限定的な分野ではあるかもしれませんけれども、そういう研究分野については大綱的指針の趣旨も踏まえて、研究の目的、内容に応じた適切な評価の観点を設ける等の配慮を行うことが必要であるという意見を述べるものでございます。
   次、飛ばしまして、14ページに参ります。「予算、収支計画及び資金計画の実施状況等の評価について」ということでございまして、これは中期目標の言葉で言うと「財務内容の改善に関する評価」ということでございます。これについてはやはり技術的な話が多いので、かいつまんで御説明をいたしますと、一番下のポツですけれども、「予算、収支計画及び資金計画と実績の対比による評価の実施」ということで、予算と決算を適切に対比して、どのようにお金が使われたのか、余ったらそれはどのような理由だったのか、それが中期目標・中期計画の達成に向けての合理化努力による節減などというふうに考えられるのかどうか、それを適切に対比して評価をするべきであると。ある意味では当然のことですけれども、余りにも当然であるからかもしれませんけれども、必ずしもすべての評価委員会でこれについて厳格に取り組まれていなかったということで、注意喚起を促すという意味も含めて、共通的に意見を述べるものでございます。
   次は15ページでございます。下から3分の1ぐらい、「運営費交付金の執行状況等と計画、予算等がかい離した場合の取扱いの検討」ですが、国から運営費交付金をもらっているわけですが、評価をしてみて、その運営費交付金が余ったというような場合が見られたわけですけれども、その原因を調べると、予算の見積りが甘かったため余った、あるいは、計画が必ずしも具体的に立てられていなかったので、本当に必要とする予算がどれぐらいなのかということが十分に見積もることができず、余った理由が節約や効率化によるものかが分析できない場合が見られたわけです。このような場合には、適切な評価を進めるということから、その前提としての予算とか計画を見直すべきであると言う意見を述べるものです。これは予算への反映事項として1次意見でも幾つかの法人に対して個別に意見を述べたところでございます。
   次に16ページに参ります。上から3分の1ぐらいのところですけれども、「運営費交付金の収益化方法の検討」とございまして、運営費交付金の収益化につきましてはこの委員会でも昨年来御議論がありましたけれども、費用進行基準というものと成果進行基準と大きく分けられているわけですが、費用進行基準というものをとると、使った費用の分だけそのお金を取り崩していいというような形になり、成果進行基準というのは、本当に成果が上がったときにそのお金を取り崩すというものでありますが、成果進行基準の仕組みを確立しないと有効な評価も行えないし、また、合理化努力によってお金が節減できたのかどうかというところの最終的な判定も難しくなる、評価の実効性の確保のためには成果進行基準というものに移していくことが必要であろう、ただし、そのための基盤整備にはやや時間がかかるところもあるはずでございますので、その検討が必要であろうということで共通的に意見を述べるものでございます。文部科学省の評価委員会においては、ワーキング・グループを作って、既に法人にそのような対応を促すという意味での対応を行っているところでございますので、文部科学省以外の評価委員会に述べているものであります。
   次に「人件費予算の分析・評価の実施」でございまして、また人事に関することが今度は財務のところから出てくるわけですけれども、人件費予算について法人が決めた計画通りに執行されているのかどうかということを評価するということになるわけですが、それはそのとおりにただ見るだけではなくて、人件費は独立行政法人通則法に基づいて業務の実績や官民の比較等に基づいて定められるということになっているわけですので、そういう観点で適切な人件費の支給状況になっているのかどうかということをよく見て、改めるべきは改めるという観点から見てもらいたいということでございます。
   次に18ページでございます。「業務運営の効率化に関する目標」でございます。これにつきましては、一つ目といたしまして、「節減目標の具体的な達成状況を定量的に把握した評価の実施」ということで、これも技術的になりますけれども、1%前後の経費節減目標というものを立てているところが多いのですけれども、その1%が果たして本当に節減されたかどうかということについては具体的な積み上げできちんと評価をしてもらいたい、ほとんどのところはまだそこまでできていなかったということでございますので、そういう評価をやっていただきたいということでございます。
   次に20ページでございます。「人事に関する計画その他計画の実施状況の評価について」ということで、「中期目標の達成に向けた弾力的な組織・役職員数管理の観点からの評価の実施」というところですが、役職員数管理について、5年間で定員を何人にするというような人事管理の計画は法人の中期計画で定められているわけです。それに沿って役職員数管理が進められたのかという点を評価するに当たっては、弾力的な運営が可能になったわけですから、さらに効率的な効率化が進められないかという観点から適切に評価を行ってもらいたいと。特に「役職員」と書いて役員も含んでいます。役員数については法律で3人以内とか5人以内と決まっているわけですが、これは以内ということであくまでも上限であって、それより少なく配置する、空席を設けることも可能ではある。より効率的な運営によって役員数を空席にするようなことも可能であるのかないのかということをいつも意識に持って、緊張感を持って評価に取り組んでいただくことが重要である。役員が多いではないかといういろいろな批判があるわけですが、それにも応えるという一つの視点で意見を述べたものでございます。
   22ページでございますが、「総合的な評定について」ということでございまして、「評点、ウェイト、各段階の評価と評点の対応関係等の明示」ですが、個々の中期目標・中期計画の実施状況は数十項目あるのが普通ですけれども、それを最終的に集約して総合的な評定をA、B、Cで付けたり、あるいは「順調な実施状況にある」などの文章で行う場合などいろいろあるわけです。その集約の仕方について、それを評価書にきちんと明記する、あるいは特定の分野の業務の実施だけが過度に全体の評定に影響するようなことのないようにバランスよく考えるべきであるという意見でございます。
   次ですけれども、「経年的な比較が可能な評価の実施」ということで、総合的な評定を文章の形で行っている評価委員会が半分ぐらいはあったわけですけれども、次年度以降の評価において、改善しているのか、同じレベルなのか、あるいは悪い方向に向かっているのか、それが分かるようにやはりキーワードは適切にパターン化してもらいたいという意見を述べているものでございます。
   7といたしまして、24ページですが、評価結果の公表についてということで、評価の結果については公表しなければならないという義務づけが通則法の中で行われているわけですけれども、その公表の仕方といたしまして、説明責任を果たすという観点からは、中期目標、中期計画、年度計画、それに沿った業務の実績、さらにそれを踏まえた評価結果というものの適切な対応関係がわかるように公表をしてもらいたいというような趣旨を、述べているところであります。
   最後に、26ページですけれども、「評価における参考事例」ということで、必ずしも数は多くありませんし、また、これよりもっと高いレベルの取組というものも本来的には期待されるのかもしれませんけれども、初年度における共有すべきであろうと考えた事例について列挙しているものでございます。
   説明は以上でございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。
   それでは、審議に入らせていただきます。
   本案につきましては、これまで三つのワーキング・グループ及び独立行政法人評価の分科会で大変精力的に審議を重ねてきていただいて積み上げてこの文書に至ったと理解しております。
   本案につきまして何か御意見等があれば、どなたからでも御発言をいただきたいと思います。どうぞ。
○高木臨時委員
   私は以前この場で、独法の評価に関しまして、当委員会がスタンダーズと言っていいようなものを、あのときはガイドラインと申し上げたのですが、ガイドラインと言っていいようなものを作成された方がよろしいのではないかというふうに申し上げたわけなのですが、その観点からしまして今回このような形で準則というような――「準則に当たるものとして機能することが期待される」というような言い方をされておりますけれども、こういうふうな形でお作りになられたのは非常に適切であろうというふうに考えているところでございます。
   そもそも独法の評価委員会と総務省のこの評価委員会との差が何かというようなことを考えますと、当評価委員会が圧倒的に情報量が多いというところに相違があるんだと思うんですね。この情報量の多さというようなことからしますと、このようなものを作るというのはむしろ責務ではないかというふうに思うぐらいでありまして、そういったことからこのようなものを作るということを私は前に提案した次第でございます。そのようなことから、先ほど申し上げましたように、これは基本的には大いに賛成するところでございます。
   それから、内容のところなのですが、二つに大きく分けていらっしゃると。各項目八つまで項目を作って、「べき」と「期待」というふうな仕方にして二つに分けていらっしゃるところなのですけれども、「期待する」というふうに言われているところの中の手法という観点のところで期待すると言っているものの多くは、私は「べき」と言ってもよろしいのかなというようにも思うところなんですね。今の独法のところですぐにやるのは難しいというものは、これは確かに期待というような形に置いた方がいいと思います。それから、どういうふうなところをターゲットとして見ていくかというふうな部分についても、もう少し慎重に考えた方がよろしいのかなといった意味で期待するというふうに言った方がよろしいのかなと思うのですが、もう明確にターゲットとすべきだというようなところ、それから、もう標準的な手法として明らかにやるべきではないかというふうに思われるものも入っているというふうに思いますので、ちょっとその辺の区分についていかがかなというふうに思うところが幾つかあるということを意見として申し上げたいと思います。
   あと、これは一応これで取りまとめが終わり意見として公表されるということになるのですが、この「前文」のところからしますと、各評価委員会の方からこれについての意見を聞くということが想定されていないように思うのですが、しかしながら、法的なこの評価委員会の位置付けということから考えますと、手続的に一度こういうものを出しまして各評価委員会から意見を募ってその上でまとめるという手続きを取られた方が適切なのではないかなというふうに思いますので、そういった手続きを取ることをやはり私としては提案したいと思います。
○村松委員長
   前の方についてはちょっと個別的なことで、移すのか移さないのかというようなことがあると思うのですが、後の方の手続きでこれまで考えているところをお話しいただけますでしょうか。
○讃岐評価監視官
   これが本当の意味でガイドラインとして全府省の評価委員会にある意味で拘束力を有するものというようなことであれば、確かに高木先生のおっしゃるとおり、これは適切に協議を行う必要が生じ得るのではないかと思います。ただ、この2次意見につきましては、準則として機能するべきものというふうに言っているものでございまして、これはあくまでも各府省委員会に対して意見を述べるという当委員会の固有の権限に基づいて、初年度の各府省の評価委員会の評価結果を見て、それについて何らかの、より突っ込むべきとか、評価の対象を広げるべきであったとか、あるいはここが全然評価されていなかったではないかということなど、評価の向上に関する意見を述べるという固有の権限に基づいて述べたものを、共通的なものについてはできるだけ共通的な言葉でくくって書いた、それが結果として準則的なものとして機能するべきものとなっている、と位置付けて取りまとめたものでございます。
   したがいまして、各府省評価委員会と協議を行って決めているというものではございませんし、なぜそうであるかという権限的な説明は、今私の申し上げたような理解になると思います。ただ、これからこの意見が出た後には、各府省評価委員会の委員長と当委員会の委員長との懇談の場というのを設けようというふうに考えて、1次意見が出た後にも委員長からそのような提案を個別に各委員長に申し上げているところでございます。また、これが出た後に当委員会の委員長と各委員会の委員長の二者の間での意見交換も必要に応じて進めていき、各府省の評価委員会のお考えを聞き、また、この当委員会の考え方を適切に伝えていくという努力を委員長のご協力を得ながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○村松委員長
   ちょっと補いますと、まことに非公式な形ですけれども、第1次意見を公表した後に、各府省の評価委員長に、電話でですけれども、私は個別に言っていただけること等については伺ったりする努力もしまして、この委員会の役割の中に入っていることの範囲内で今のことを、そういう理解で私もこの文章を考えておりますけれども、コミュニケーションを多少とって、さらに今後も懇談の場を設けて共通の理解を高めていきたいと、そういう計画でおりました。
○高木臨時委員
   よく理解できました。できれば、今、監視官がおっしゃられたようなニュアンスを前文の中に何とか入れられないかなというふうに思いますし、最低限先ほどおっしゃられたような実務上の運用を、これだけは確保していただくということは強く委員として要望させていただきたいと思います。
○讃岐評価監視官
   ニュアンスについてはよく委員長と御相談をしながら検討していきたいというふうに思います。これがこれだけで準則的なものとして決まったというわけではなくて、今後、適切にこれの充実を図るために、修正あるいはレベルアップを図っていくということも十分考えられるところでございます。
○村松委員長
   この「『準則』の充実を図ってまいりたい」という前文がございますが、ここを主張するということでいかがでしょうか。
   黒田委員、どうぞ。
○黒田臨時委員
   一つは文章なのですけれども、文章だけではなくて実は内容にかかわることなのかもしれないことと、あと、いわゆる試験研究と言われるものに対して、2点について意見を述べさせていただきたいと思います。
   まず「前文」の1ページなのですが、文章を加えていただいたのはいいのですが、「さらに、この役割は」という第1パラグラフなのですが、「今後、特殊法人等改革に伴い多数の法人が独立行政法人に移行し、評価作業が質・量ともに増大する中、ますます重要なものとなる」で、文章として「質が増大する」というのも変だと思いますし、それから、重要なのは、多数の法人が独立行政法人に入るというよりは、多様な性格の違うものが入ってくるということに考慮しなくてはいけないのであって、十把一絡げにやってしまうところに危険があるのだろうということを思っておりますので、ここのところは「多数の法人が」というよりも「多種多様な法人が独立行政法人に移行してくる」という書き方の方がいいのではないか、また、「質が増大する」というのは文書としてもおかしいので、質の向上というのか、その辺が求められるし、量も拡大する中でますます重要になってくるんだという、そういうことが認識ではないのかなというふうに思います。
   どれが独立行政法人に入ってくるかということは、本当はこんなものが入っていいのかなと思うものがあっても今の枠組みの中では粛々と入ってくるわけでして、結局、それが何のために評価をするかということが置き去りにされて、評価のための評価にならないようにしなくてはいけないということを強く感じています。
   それは12ページのところに話は続いて移るわけなのですが、確かに総合科学技術会議で決めた国の研究開発評価に対する大綱的指針に言及していただいて大変ありがたく思っています。結局、本当にブレークスルーをする研究というのは非常に息が長いし、評価をするものとしては非常に謙虚になると本当に評価できるかどうかわからないなと思い悩むようなことであって、そんな切り捨てなんてとてもできないというのが本当の評価者の立場ではないかなと思うのです。いかに国民の税金をうまく使うかというときに、単に短期間に成果が出るか出ないかでやってしまえばまずいと。つまり、短期間に成果が出ることは――これは前の分科会でも申し上げたのですけれども、アメリカで売られている製品を買ってきて、アメリカで売られている試薬を使って書けば論文は書けるわけです、でも今そうやっていたら科学技術に使っている税金の6割〜7割がアメリカに流れてしまう、それをできるだけ止めて日本発のブレークスルーを絶対に作らなければいけないというふうに思ってみんな歯を食いしばって頑張ろうと思っているときに、評価で足を縛られてしまうことがないように是非していただきたいというのが私の切なるお願いなわけです。
   これにかなり意見を入れていただいたのはありがたく思うのですが、2、3さらにしつこいながらもコメントを言わせていただきますと、まず「試験研究」と「研究開発」という言葉です。科学技術基本法及び基本計画には「試験研究」という言葉は含まれておりません、全部「研究開発」になっております。それで、法律的にちょっといろいろ事務局に調べていただいたのですが、法律用語としては両者とも500〜 600ぐらい使用されているけれども、その使い分けをする明確な理由は見られなかったと。総務省の方の資料には「試験研究機関」という書き方がされているのですが、基本計画の方ではそういう書き方はありません。それで、昔は工業試験所というような場所があったのですが、試験というと何かルーチンワークだけをしているような非常に狭い範囲にとられてしまうということで、この名前の改革をしたのがかなり前のことだと思いますので、「試験研究機関」という名前はきっともう古いのではないのかなという気がしています。もしも二つを載せるとすると、「試験研究等」と「研究開発」というのは、何かどちらかが集合が大きくて、どちらかが違って、どう違うのかと逆にいろいろ疑問を生んでしまうので、この際、「研究開発等」というようなことでまとめてくださった方がいいのではないのかと。もしもそうではなくて、研究開発はやっていないけれども、いわゆる名前は変わったけれども試験研究をやっているというのは、何かそこはちゃんとディファインしないと誤解を生むのではないかなというのが1点目の意見です。
   2点目の意見は、今の前に申し上げた、基礎研究の評価のための評価だけになって本当に芽を出すものをつぶしてしまわない、だけどいいかげんにお金を使ってはいないようなことをするためには、実はリーダーが責任を持ってやるという体制を作るということが一番重要なのであって、私たちが細かくああじゃないこうじゃないと言うことではないのだろうと思います。ただ、それを言ってもこの会では始まらないのですが、この中の見出しで、「試験研究等の業務について計画との対比による評価の実施」というところなのですが、「新しい知の創出」がなお書きになった現在では――私の最初の案ではこれは先になっていたのですが、なお書きになったのであれば、ここのところは「試験研究等の業務についての評価の実施について」として、その次にすぐに「計画との対比による評価」ということは書いてありますので、ここのところはダブって書かないで、なお書きのこともありますので、「試験研究等の業務についての評価の実施」ということで、その中期目標何とか、だけど新しい知の創造はというふうに書いていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
   以上、3点意見を申し上げました。
○村松委員長
   言葉については事務局の方からまずお答えください。
○讃岐評価監視官
   ここは黒田先生の御指摘のとおり、法人の個別の業務の規定の仕方をみると、「試験研究」となっているところ、「研究開発」となっているところ、「試験及び研究」となっているところ、様々ございました。「試験研究」というふうに書いた理由ですけれども、もともと、国家行政組織法の中では、一つの区分として試験研究機関というものがあり、現在独立行政法人となった機関はこの中から移行したということがあります。また、論文数を指標にする場合の留意点を「また」以下のパラグラフに書いてございますけれども、この論文数ということについては、研究開発にとどまらずに試験を行っている機関であるとか、あるいは教育を行っている機関などがありますので、幅広くとれるように「試験研究等」というふうに書いたところでございます。なお書き以下の記述は、そのうちの研究開発に関しての評価についてのものであると整理できると考えます。全体は「試験研究等」についての記述として、なお書き以下は、そのうちの「研究開発について」の記述であると書いて、そういう記述にすることにより、整合性がとれるかどうか、黒田先生の今の御趣旨をとらえて、再度精査させていただきたいというふうに思います。
○黒田臨時委員
   よろしくお願いいたします。
   3番目の見出しのところは。
○讃岐評価監視官 
   見出しについても包括的にとらえるということを踏まえてよく検討したいと思いますがいかがでしょうか。
○黒田臨時委員
   今ですと結構限定されて一番上のだけが見出しについているのですが、そうではなく、なお書きが非常に重要な意味を持つ研究というのが多くて、特にこれから競争的資金が倍増になります。そういうことを考えると、これは額が非常に多くなってくるわけですね、5年間で倍増にするというのが政府の案ですので、そういうことを考えると見出しのところもやはり全体を包括するような見出しにしていただく方がいいのではないかなというふうに思いますので、「計画との対比による」というのを取っていただいて、その次のところにも「計画との対比」と書いてありますので・・・・・・
○讃岐評価監視官
   あくまでも最初の2行は原則を書いてございまして、すべてにかかるということでございます。
○黒田臨時委員
   そうなんですね。だから、見出しのところはそこまで書かなくてもいいのではないのかなというのが私のお願いです。
○村松委員長
   富田分科会長、それでいいでしょうか。
○富田分科会長
   黒田先生の御指摘は分科会でも議論をさせていただいたのですが、これから先は競争的資金供給も非常に増えてくるということですが、それがゆえに益々真の意味での日本発のブレークスルーにつながるものがその中からどれだけ本当の意味で期待できるかについてはなかなかわからないんです。したがって、独法という組織の基本的な考え方からいけば、やはり企画・立案というよりもその執行であって、執行というのが客観的尺度でもってコントロールできるというふうな点から考えた場合に、圧倒的に先生のおっしゃるルーチンが多くて、ブレークスルーというのはそんなにいっぱい期待できるのかなと。ただ、真の意味で期待できるものは何かということを、そういうものに競争的資金供給は限定していくということもこれから大事なわけですね。だから、そこのところはお金をたくさん出せばノーベル賞をみんな貰えるかということでもないだろうということであって、もしそういうものだったら本当に独法という組織がふさわしいかどうかということが問われるべきなんですね。
○黒田臨時委員
   全くそのとおりで、独法という組織は、分科会長が前におっしゃったように、国の業務を粛々と行うものだからとおっしゃったことに合わない独法というのがこれから益々増えてくる、それが私の前文の中で、数がふえるということではなくて、多様なものが入ってくるんだと。それに対して私たちは一律の評価をしたら潰すことにならないか――確かに多くのものは粛々とやらなくてはいけないので、分科会長がおっしゃるような評価の仕方をしなくてはいけないということは確かですけれども、本当に最先端のことをやるフロンティアの学問では5年間で何を仕上げたとか仕上げないとかということではいかない部分もあるのであって、その芽を摘んでしまうことにならないようなものを作らなくてはいけないのではないかと。だから、全部はこれでくくれないのであって、だからこそ多種多様なものが独立行政法人にしたくなくてもなりなさいと言われているところに矛盾があるのですが、それを変えることができない。しかしその一方で競争的資金もふえていく、確かに変な使い方もされるかもしれないので分科会長のおっしゃるようにいろいろなことは心配して見ていかなければいけないけれども、それと同時に、基礎的なフロンティアな研究の芽を摘まないようなこともしなくてはいけないのではないかと。だから、そこのところにがんじがらめにならないようなふうにしていただきたいというのが現場の研究者である私の考えです。
○富田分科会長
   その意味で、ここで、確かになお書きではあるわけですけれども、黒田先生の御指摘の御趣旨を踏まえまして、「画一的・短期的な観点から性急に成果を期待するような評価に陥ることとならないよう」ということで、これ自体はいわば独法評価の準則という観点から全体をまとめる中では、極めて例外的に取り上げた箇所でもあるんです。恐らくどこの独法でも府省でも、私どもがやっていることはこういう理由で絶対に譲れないということを嫌と言うほど説明されるわけでして、それは単に研究開発のフロンティア部分だけではないんですね。あらゆるものがその要求、既得権益に係る人たちにとったら極めて高い価値があるという説明をいつもなさるわけなんですね。ここではそれがゆえに、先生の御指摘も踏まえ、また、我が国のこれからの長期的な発展という観点も踏まえて、この大綱的指針ということも総理の決定事項として出し、そして、例外的にこの画一的・短期的な観点からだけでは評価しませんよということまで書いているわけでして、私としてはこれはかなり独法評価から外れた部分だとは思っているので、なお書きとさせていただきたいということなんですね。
○村松委員長
   こういうふうに考えさせていただけませんでしょうか。富田分科会長のおっしゃられるようなエージェンシーですね、よその国のエージェンシーであればこう考えるであろうというようなその対象になる業務でないものが随分日本の場合には独法化されていて、そんなのは本当は独法化はおかしかったんだという御議論なんだろうというふうに思うのですが、ここでは一応独法の理屈で最初は書いてあって、なおというのが、行数も多いし、重要な内容が書いてありますので、対等にこの新しい知の創出が期待される基礎研究というようなものについてはやはり大切に考えていくんだという趣旨も含まれているわけで、だからそれにふさわしいタイトルをつけるというようなことで調整させていただくということでいかがでございますでしょうか。よろしいでしょうか。
   田辺委員、どうぞ。
○田辺臨時委員
   どちらかというと私自身は黒田先生の発言を支持しています。
   その前に、一つは、今の独法制度が完璧に企画と執行の分離という発想でとらえられるかというと、どうもそうはなっていないということを考慮しなければならない。簡単に言いますと、政府の本体から外して独立の法人格を与えるという側面がある、それに適切なものを業務として落としていく、それは必ずしも執行という形態だけではなくて、法人格を別にしておいた方がいいというメリットがあるものもあります。研究開発はこのような理由で入ってくるのではないかということです。
   2番目は、このメリットとしては、当然ながらリーダーシップを発揮して経営を自由に行う、それは単に粛々と執行するというだけではなくて、その組織を独立したものとしてきちんと運営し、かつ、そのかわり責任を取るという体制を国から法人格を別にする形で作り上げるという側面だろうと思われます。
   ただ、3番目として、それだけだと独立させて勝手に行えということですので、税金を使って運営しているものですから、何らかの形でアカウンタビリティを問う、そのアカウンタビリティを問う仕掛けの一つとして評価というシステムがあるのだろうということです。それを考えていきますと、執行という形でとらえ、これと評価とをリンクをさせ、完全にそういうものだと理解するのは、研究機関若しくは研究開発をやっている機関に関しては難しいのではないかというのが私の意見です。
   そこから先はそれをどういうふうに表現するかということなのですけれども、試験研究と研究開発というのはなかなか使い方が違うような気がしています。あえて言いますと、試験研究機関という前の行政組織法の中で使われていた言葉がそのままこちらの方に用いられて、それが独立行政法人という形で法人格を与えられたときに、こういう表現が使われているような気がします。ですから、一つのやり方といたしましては、ここで使われているのは「試験研究等の業務」という言葉に関して使われておりますけれども、「試験研究等を行う独立行政法人の業務についての評価の実施」とかという形にして、要するに初めの全体を覆っているところは組織というかその法人に対するものであるという言い方をさせておきまして、その中の一部分として研究開発という業務というか機能がありますので、その部分はそのなお書きに対応できるという形の解釈でまとめるとすっきりするような気がいたします。そういう形で修文できるとするならば、その形で修文をお願いしたいというのが私の意見であります。
○村松委員長
   讃岐さん、何かございますか。
○讃岐評価監視官
   まず、なお書き以下は、富田分科会長の御発言にもありましたが、研究開発のうちでもごく一部のここに書いてある特定されるものということで、もう少し限定をかけないといけないというそういう前提で書いているものでございますので、仮に修文するにしてもそこは研究開発の中でも知が創出される基礎研究というふうに極めてそれが限定されるような書き方で書くというのが必要であろうというふうに考えます。
   それから、全体のとらえ方、これは最初の2行についてのとらえ方ですけれども、これは確かに一般論をそのまま引っ張っているところでございますけれども、これは全体の構成とも関係するのですけれども、当初の意図としては試験研究あるいは研究開発の限定的な部分ということであったので、それでは試験研究ではどのようなことが前提とされるのかということをこのような形で書いたというものでございまして、田辺先生のおっしゃったこの前提はさらにもっと独法一般の外側にあるということでございます。そこは全体として試験研究についての評価のあり方ということでとらえ、その中のごく一部の限定される部分ということでとらえたので、ここは事務局としては試験研究ということ、あるいは研究開発ということにならざるを得ないのかというふうには思いますけれども。
○村松委員長
   金本委員、どうぞ。
○金本臨時委員
   私は、どうもこのなお書きの部分を新しい知の創出と基礎研究という二つでくくっていますが、これは何か研究開発の実態を見ると狭いかなという気がしています。研究開発は非常にリスクが高くて、1年単位でできるものでないものが多いですね。こういうものについて最初の計画との対比できちきち5%足りないとかと言うのはばかげていると思うんですね。そういう面で見れば、いわゆる試験研究機関の中の業務に関して言えば試験業務に近いもので、割と今年どれぐらいというのが見込めて、そのコストがどうこうとか、執行率がどうこうとかという議論ができるものもありますけれども、実態を見ていると基礎的研究ではないものについてもそれにはまらないものが結構あるかなという気がしています。その辺の目配りは少ししておいていただければなという気がしています。
○村松委員長
   そうすると、この「新しい知の創出・・・・・・」の言葉よりももう少し膨らみのある表現でないと適切に行われている研究について拘束化しすぎるという御意見ですか。
○金本臨時委員
   そうですね。計画との対比できちきちやる範囲というのはそれなりの範囲であるということで、ちょっと範囲の限定の仕方の文言が違うのかなという気がしているのですが。
○村松委員長
   山本さん、どうぞ。
○山本専門委員
   今も少し混乱していますけれども、計画との対比という表現は恐らく削ってもいいかもしれませんが、私はこの文章自身はこれでいいと思います。独法の非常に基本にかかわる議論が少しあったので整理する必要があるということであります。すなわち、組織形態の見直しというのは中期目標が終わった段階であり得るわけですから、もしこの独立行政法人が好ましくないのであればその時点で判断をするというのが法治国家ですから、それは我々は仕方がないわけですね。したがって、そういう黒田先生がおっしゃるような問題点は、むしろこの場で議論してもそれはいいと思うんです。しかし、それと今のこの準則とはやはり分けなければいけないという点があります。
   それと、実際にイギリスのエージェンシーでも、民営化になったのもありますが、元のデパートメントに戻ったものもあるわけです。したがって、日本においても、むしろ弾力的な組織形態の見直しというのは廃止とか民営化だけを考えるわけではなくて、もう少し広い概念で考えるということでこの委員会は機能すべきだというふうに私は考えております。
○村松委員長
   どなたかまだ御発言がありましたら。
   どうぞ、田辺さん。
○田辺臨時委員
   同じようなことをもう一回繰り返すようですけれども、要するに、この独立行政法人の何を評価しているのかということなのですけれども、結局、組織全体の働きというのでしょうか、つまり、こういう単位で仕事をするから独立させたんだと、それを全体評価するんだという側面が1つあります。それは組織体として評価せざるを得ませんから、中期計画で何をしたのかと、何を目的としたのかということから当然ながら導き出してくることなんだろうと思われます。それは、先ほど申し上げました「試験研究等を行う独立行政法人の」という言い方は、要するに、組織体の中の評価という側面は当然ながらある、それは計画に基づいてやらざるを得ないということであります。ただ、その組織の中の幾つかの業務若しくは機能の中に研究開発というものがあったらば、それは組織としての側面もありますけれども、それを独自に、全体を覆うような形で、他の執行業務と同じような形で評価するというのはやはりなかなか難しいところがあって、そのファンクションに関しては組織評価という形とは別に――どこかでは入ってくるのでしょうけれども、特段の配慮をしておかないと逆機能が多いということでなお書き以下のところが書かれているというのが私の解釈です。ある程度了解が取れるのでしたらそういう形で文言を読めるように書きかえていただければと思うのですけれども。
○村松委員長
   讃岐さん、何かございますか。
○讃岐評価監視官
   ちょっと私は最初に田辺先生の御趣旨を十分理解していなかったかもしれませんが、「試験研究等を行う独立行政法人の業務についての評価のあり方等」ということにして、「試験研究等を行う法人の業務の実績の評価に当たっては、原則として個々の業務の実施状況を」――これはどの独法もそうだけれども、中期計画の実施状況を評価するわけですから、「中期計画と照らして分析を行うことにより評価を行うこと」というふうにした上で、また書きはちょっと飛ばしまして、また書きはそのままにするのですが、「なお、中期目標に基づいて、新しい知の創出が期待される基礎研究を行う業務の評価であるということが明らかである業務については」、国の研究評価に関する大綱的指針にあるとおりの例外的な扱いをしましょう、と。金本先生から「新しい知の創出が期待される」という言葉について御指摘があったのですが、この言葉自体が・・・・・・
○金本臨時委員
   基礎研究の方です。応用研究でもそういうものはあり得る・・・・・・
○村松委員長
   もうちょっと広いとおっしゃったんですね。
   それで、きょうが議論の最後の日なんですね。でも、多分これまでの議論がこの文章になっていて、富田分科会長の御意見は今伺いましたけれども、研究と言って変なふうなお金の使い方をするようにそこに逃げ込んでは困るというような御趣旨があると思うんですね。だから、それは評価の段階でこれからしっかり見ていくということはできるわけでありますので、基本的にこのパターンで、それでもう少し今おっしゃられた趣旨を含めて、やはり研究というのにはこの国は今後もかかるということはありますので、ややふくらみのある表現を探す。しかし、他方で前半に書いてあるような定量的な指標に基づく、中期計画に基づくことが行われているかとか、できるだけ定量的にやっているかとか、そういうことについては今後ともしっかりやるし、ここの趣旨でやるという意味に理解していただいて、修文の方は私にお任せいただけないでしょうか。
   どうぞ、吉野さん。
○吉野専門委員
   違った点でもう一つあるのですが、よろしいでしょうか。
○村松委員長
   ここの部分ですが。
○吉野専門委員
   いや、そうではないところなのですが。
○村松委員長
   ちょっとそれはお待ちください。
   樫谷委員。
○樫谷委員
   どちらのおっしゃることもよく分かるのですが、どんなものもやはり評価をしないといけないということになっているわけですね。では、そういうものについてどういう目標を作ってどういう計画を作るか、あるいはそれをどういうふうに評価するかということについては、それを誤ってはいけないということだと思うんですよね。確かに非常に高度な創出が期待されるようなものに5%乗りますというような目標を作ったら、もうそれはそこでおしまいだと思うんですね。だから、むしろ目標の作り方なり計画の作り方が大事ですよね。作っていかなかったという事実がもしあったとしたら、それは何か評価を受けなければいけないと、しかし、だめだという評価を受けたからといって、ではそれは研究開発をやめようとかということにはならなくて、どういう理由でだめになったのかということをよく分析していただいて、それを生かすような次のステップにしていかなければいけないわけですね。
   そういう意味で、私は、何か評価をしてはいけないなというような議論になっては困るなと、あくまでも的確な目標と的確な計画と的確な評価をするということが大事だと思いますよね、どんなものでも、どんなに先端的なものであったって必ず評価のやり方はあるはずですから、それは。ということから見たら、このなお書きの文章で私は読めるのではないかなというふうな気はするのですけれども、いかがでしょうか。
○村松委員長
   ちょっと気になるのは、さっき金本委員がおっしゃられた、この鍵括弧付きの言葉だけではちょっと狭すぎやしませんかという、応用の領域というものでもあるのではありませんかという御指摘は、多分、例えばノーベル賞も応用領域をまず考えられるわけですから、ちょっと気になるんですね。
○金本臨時委員
   多分、前文のところも後文のところもある意味では正しい一般論なんだと思うんです。最初のところは、計画と照らして分析を行うということで、計画は金科玉条でやるわけではないということで、下の方もそういうことを言っているわけですね、画一的・短期的ではいかんと。間に基礎研究だけが入っているというところが何か読んでいて違和感を感じるというところなんですね。ちょっと私もすぐにどうこうというのはあれですが、どちらかというと、特段になお書きをつけたから何か混乱してしまったという感じもある話ではあります。なお書きをつけるのならば、一般的に画一的・短期的ではだめだという話があるんだと思うんですね。それの程度が非常に大きいものが基礎研究だったりというふうなことだという感じはいたします。これは今からどういうふうに修文するかというのは、私はお任せいたしますということでよいのではないかと思います。
○村松委員長
   樫谷委員がおっしゃられたように、的確な評価が行われないはずはない、そういう大原則というのは研究に対しても当然あるわけで、そこは外さないということで、これがどう読めるかというのはここでの読み方がいろいろあるようですのでちょっと私にお任せくださいと言って、また同じようなわけにはいかないのですが。
○讃岐評価監視官
   ちょっと1点だけ補足いたします。
   金本先生は違和感をお持ちになったということだと思うのですけれども、実はこれは大綱的指針に基づいてもう少し最初は長く書いていたものを、短く削ったのですが、そのときに、大綱的指針の中では、基礎研究、応用研究、開発研究の各性格が混在すると単純な区分が困難な場合が多く、そういう成果が比較的見極めやすい研究開発をやっても困難な場合があるので、個々の研究開発の内容を見極めて評価方法を設定する必要があるという文章に続いていたところでございます。
   ただ、これについて、この文章を検討したときの分科会の議論では、やはりここは拡大解釈をされて、どの独法もいわばこの適切な評価の観点、柔軟な評価ということでここになだれ込んでくるというようなことになると、それも独法評価の趣旨あるいは評価が適切に行われないということになるのではないかと。できる限り具体的に特定される必要がある、それは、つまるところ、主務大臣が中期目標で何をしろというふうに言ったのか、独法というのは主務大臣の指示とその前提として法人の目的というものがあるわけですが、そこで何らかこういう性格のものだよというのが特定されたものについてはこういう評価のやり方が当てはまるのではないかと。その特定の仕方ということで突き詰めていくと、この大綱的指針の中の知の創出が期待される基礎研究というところに行き着いたわけですが、ちょっとそこが限定的すぎるのではという御指摘があったわけですけれども、この部分の表現については、よく分科会長、委員長と事務局で御相談をさせていただかなければいけないというふうに思います。
○樫谷委員
   某省の某研究所がこういうことを理由に年度評価をしないということも出してきているので、これはちょっとひどいではないかと私は思ったんですね。そういうこともあり得るので、やはり評価はするんだと、どういう評価をするかということについては、それはいろいろな評価があるのでそれはお任せしてもいいと思うのですけれども、評価をしないという結論は必ず出さないようにしてもらいたいと思います。
○村松委員長
   皆さんのおっしゃられていることは文章に私が自分で表現できるかどうかはちょっと直ちには無理なのですけれども、理解できたように思いますので、基本的にはここにある文章が基になると思います。しかし、おっしゃられたことで吸収できるものは吸収するということで分科会長と事務局に相談をして修文をしたいと思います。それで御了承いただけますでしょうか。
   ありがとうございました。
   吉野先生、どうぞ。
○吉野専門委員
   ちょっと違う点なのですが。
   今の短期と中期の話の関係で、14ページの予算とか収支とか資金計画のところなのですが、これはやはり文面で見ますと1年とか2年という非常に短期のところでの資金計画を考えているようでございまして、もしそういうふうに中期、長期のことまで考えるのであれば、やはりこういう計算の方も将来までの割引現在価値で考えるような、そういうことも本当はしていただいた方がいいのではないかなというのが感想です。
○村松委員長
   その点はどういうふうにお考えですか。
   どうぞ、お願いします。
○富田分科会長
   中期計画で言えばこれは5年なのですけれども、わずか5年と言ったらあれですけれども、5年の割引現在価値ですか。
○吉野専門委員
   5年まで含めて、あるいは、それが5年とか10年であればそこまで含めて。
○讃岐評価監視官
   ちょっと御趣旨でよく聞き取れなかったところがあるのですが、適切に評価を行う際に当たって、これからの課題として、有効な評価を行うに当たっては財務情報を活用した評価のあり方は適切に検討されていく必要があろうということで、その趣旨については「今後の検討課題」にも載っているところでございますし、また、各法人でも適切なデータをもって支出予算について評価を行っていくべきということを述べてございますので、具体的なやり方はこれから高度化を図っていく必要があろうかと思いますが、一つの考え方ということにはなろうかと思います。
○金本臨時委員
   非常に関係する点を私自身はお話ししたいと思っていて、ついでに言わせていただきますが、8ページのあたりもそうなのですが、今ここでやっているのは初年度の1年間の評価をという話で、本来、独法の評価というのは5年単位だというのがポイントで、1年間の評価について厳しくやってその次の年の予算に反映しろということだけを言っているような感じに見えるんですね、この全体のトーンが。本来、もともとのこういう独法の設立の趣旨というのは、単年度予算でぎちぎちというのは余りうまくないと、ある程度中期的なスパンで考えて、それなりに各組織で頑張っていただくということがポイントであったはずで、そういう長期的な視点というのをどこかに書いていただきたい。短期の業績で短期にということは非常に弊害が大きいんですね。私も規制の経済学を今教えていますが、民間企業の規制の場合でも、非常に短期的なコストベースで規制するというのはよくないと、だからプライスギャップを入れるとかといったいろいろな工夫がなされているわけで、そういう視点がどうもこの報告には全くないというのはちょっとまずいかなという気はいたします。
○富田分科会長
   その御指摘もそういう側面はあるのですけれども、よく前文以降からお読みいただきますと、最初の独法評価、1次評価を各府省の評価委員会がやり、2次評価は私どものところでやって、結果、その評価というのは非常に難しいと、いろいろな苦労話ばかり出てくるのですけれども、その源泉を突き詰めますと、果たして独法が明確にその中期目標を認識し、明確な中期計画を策定していたかどうかということに突き当たるんですね。ですから、ここでは繰り返しその明確な中期目標、中期計画を作ってほしいと、それが作れるように各府省の独法評価委員会は主務大臣にも提言しなさいということで、中期の重要性はまさにそのとおりなのですけれども、それ自体が不明確になっていて年度評価もできていないというところに現実があるわけですね。
   ですから、ここで最も訴えたい点は、まさに先生がおっしゃった、独法の中期的な運用ということは大事なのですけれども、その前提となるところの中期目標や中期計画というのが決して明確ではない、それがゆえに評価がいろいろな観点で難しかったということで、ここでの外因は中期計画の重要性ということで明確なものをつくっていただきたいということがあるんですね。評価の仕方を論じているよう――テクニカルにはそういう文章が多いですけれども、結局は明確な中期目標と中期計画だと、それがやはり独法の基本ですよというのがどうも私はこの第1次評価が出て公表されてから以降の我々の知見ではないかなというふうに私は見ております。
○金本臨時委員
   それはいいのですが、8ページを読むと、ここだけ初年度のものをちゃんと反映しろとだけ言っているわけですよね。これは長期的な視点に立って、今年度に中期計画を掲げたそのものと、下にぶれているかもしれないけれども、長期的な視点に立ったらことしは別の資本蓄積ということをやったんだということもあり得る話で、そういう各年の評価についても長期的な視点を入れるべきだというふうなことはどこかにある必要があるという気がしているんですね。
○讃岐評価監視官
   まずは8ページの予算のところで、若干短期的な視点が出すぎているのではないかという印象だということなのですが、ちょっとここの趣旨だけまず御説明をいたします。確かにそのとおりで、独立行政法人の予算というのは5年間の総額というものが中期目標で決まっているわけです。それを大体5分の1ぐらいを各年度の予算に査定するというわけですけれども、その査定をするときに当たって、やはり前年度の業務の実績を踏まえて幾らかの微修正というものが、実態を踏まえた予算というものがどうしても必要だろうという、そういうことから前年度の予算というものは次の年度の予算に確実に反映される必要があろうという、ある意味で、一つは短期的なところを考えての指摘であって、それさえも必ずしも評価のタイミングなどの観点からはできていなかったではないかという指摘でございます。
   それではもう少し中長期的な5年間総体の評価というものも考えるべきではないかということであるわけですけれども、そこは前文の中で、2つ目のパラグラフでは、前年度の評価というものが積もり積もって中期目標の期間の終了時の業務、組織の徹底的な見直しの基礎になるという、そういう考え方で評価をしてもらいたいという話。それから、今後の検討課題として、効率性というものをどのようにとらえるのかとか、財務情報というものをどのように――ここはこれからの検討課題でしょうけれども、場合によれば中長期的にどのようにとらえていくのかというようなそういう考え方も1つこれは検討課題としてはあり得ると思いますけれども、ここはあくまでも初年度の評価を見て初年度の評価結果について述べた意見というところからこのような意見にまとまり、また、今後さらに、一般論としてでもございますけれども、これを充実させていく必要もあるという、そういう述べ方になっているという趣旨でございます。
○金本臨時委員
   それはわかるのですが、要するに、今、各府省の評価委員会で苦労しているところと、余りピントが合わない物言いになっているなという気がしていて、こういう1年間の結果でぽんぽんとやっていくというのはある意味では簡単なのですけれども、それをやるとまずいだろうというのはあるんだと思うんですね。そういうところをどうすべきかといったところについてここの委員会が何も考えていないような感じがすると。単に表現の仕方ですけれども、やはり一番重要な問題というのは、独法化して、単年度予算から変わったところで、これをどうやっていくのが一番いいのかという話だと思うんですよね。そのときの物言いとして、やはり中長期的なことはちゃんと考えて、そのもとでの単年度のことだというふうなことがもう少しきちんと書かれていないとまずいかなという気がしているんですね。
○村松委員長
   御趣旨はわかりました。それで、その点ですけれども、むしろ議論は逆、ワーキング・グループからの積み上げのときには議論は逆で、中期計画というのは数年単位で考えていると、だけど第1年目はその数年間の最初の年であるからそれなりにちゃんとやってもらわなければ困るよというメッセージが必要だろうという議論がありまして多分こういうふうになっていたんだと思うんですね。ですから、御趣旨は全体としては考えた上での文章にはなっているのですが、「なお」をもう一回読んでみまして、そこのところがバランスよくなるようにしたいというふうに思います。全体をもう一回読んでみますけれども、おっしゃられるここは意見の違いではないと思いますので、そういうふうにもう一回読ませていただきたいというように思います。どうしても必要であれば、どこか、前書きなり、おっしゃられるように文章の問題というところがあれば、それは考えたいというふうに思います。
   実はこの後の議題もございまして、来年度の、15年度以降の総務省の評価の対象とすべきテーマに関するフリートーキングというのがございます。今のようなことでこの独法に関する第2次意見の議論を打ち切らせていただいていいでしょうか。今まで出た御意見に関してはできる限り吸収するというように、修文をする部分がありますから考えるということにいたしたいと思います。
   私個人で言えば、「前文」の出だしのところで独立行政法人制度は云々という説明があるのですけれども、そのときに企画立案と実施を分けて、その実施業務に関してできるだけ独立行政法人にしていくというふうにまずあって、そして特殊法人というのもその一環の問題として考えられて、しかも今重要になっているというような流れだと思うんですね。ですから、ちょっとその間に1行ぐらい入れたいなという感じがありまして、またその辺も御相談しますけれども、そういうことでございます。
   では、申しわけありません、ここで議論を打ち切らせていただきまして、後は私と分科会長と事務局に一任させていただくということでよろしくお願いいたします。
   それでは、5分休みましょうか。私の時計は5時10分ですけれども、5分間休憩で、15分から再開で、来年度以降の評価に関するテーマのフリートーキングをしたいと思います。

(休憩)

[平成15年度以降において評価の対象とすべきテーマに関するフリートーキング]
○村松委員長
   それでは、再開したいと思います。
   平成15年度以降において評価の対象とすべきテーマにつきましてフリートーキングをしていただくわけでございます。まず事務局から御説明をいただいた後にフリートーキングなのですけれども、今日の全体のスケジュールからいきますと、初めは40分ぐらいで終わるということだったのですけれども延びざるを得ない状況ですが、17時45分には終わりたいと思います。ただ、終わった後に、前回の委員会で取り上げましたFAZの問題に関して、ちょっと御説明をしたいと事務局で申しておりますので、2、3分いただくというスケジュールでやらせていただきたいと思います。
   それでは、事務局、お願いいたします。
○橋口総務課長
   それでは、御説明申し上げます。時間が押し迫ってまいりましたので、どうしても申し上げておきたいという点のみ御説明をさせていただきたいと思います。
   現在、行政評価局では、平成15年度以降において評価の対象とすべきテーマについての検討をしているところでございます。それは何かと申しますと、お手元の資料の一番最後の5ページを御覧いただきたいと思いますが、「平成14年度行政評価等プログラムにおけるテーマ等一覧」とございます。この見直しを始めているところでございます。平成14年、15年、16年度の政策評価と行政評価・監視のテーマを並べてございますが、現在、平成15年度、16年度、17年度のテーマを検討中でございまして、そのテーマの具体的な選定の検討に先立ちまして、委員の先生方から、テーマとして取り上げるべきものにはどういうものがあるのか、あるいは個別のテーマに関しまして、どのような視点あるいは手法で取り組めばよいか等について御意見を頂戴したいと考えているところでございます。
   もう少し今後のことを申し上げますと、委員会での御意見を踏まえまして、さらに事務的に検討いたします。そして、2月、3月には、大臣とも御相談をしながら詰めを行いまして、4月には平成15年度の「行政評価等プログラム」として大臣決定、公表という運びとしていきたいと考えております。
   1ページを御覧いただきたいと思います。図が書いてございます。これは以前にも御覧いただいている図かと思いますが、私どもが行っております評価は、政策評価、行政評価・監視とあるわけでございます。先生方も既に御承知のとおり、政策評価については、(1)の「統一性確保・総合性確保評価」、(2)の「客観性担保評価活動」がございます。このうちの(1)の方は、実務で申し上げますと、まず各府省にそれぞれが所管・所掌する政策について自らの評価をしっかりやっていただくというのを基本としております。それで、真ん中辺に「各府省の個別政策」と「各府省が行う政策評価」とありまして、その上に、各府省では行い得ないもの、あるいは各府省が行ったのでは十分でないもの、十分に達成でき得ないものについて、私ども評価局が出ていくということになります。つまり、個別の政策については各府省で評価を行うということです。
   ただ、ここで大きな枠があるわけでございます。例えば、先ほど政策評価分科会において、「政府金融機関等による公的資金の供給に関する政策評価」について御議論をいただきました。その中で中小公庫ですとか住宅公庫等が出てきたわけでございますが、そういった中小企業政策あるいは住宅政策、これらのそれぞれの政策はそれぞれの担当省庁で評価していただく、個別具体的にものを言うのはそれぞれの省庁でございます。私どもはこれを一括して全体として見るということでございます。これまでやってきてここにその難しさがあると思っておりまして、個別にはいろいろあっても、それを全体としてどのようなものの切り方、言い方をするのかという点でいろいろ悩みもあるというところでございます。
   それから、もう1つの「客観性担保評価活動」でございますけれども、これは各府省が行った自己評価、これについて客観的かつ厳格な実施を担保するということで、いわば評価の評価に関する活動を私どもが行っているということでございます。これについては、既に各府省が平成15年度の概算要求に際しまして、それに反映させるために政策評価を実施しておりますので、これについて実施状況を見ました。そして、12月5日には第1次の審査の結果として公表したところでございますが、引き続きそういう取組を行うとともに、今後はその内容にまで立ち入った再評価、各府省が評価をし直すべきであるといったような再評価の必要性の認定にも踏み込んでいくことが必要となるのではないかということも考えております。
   以上申し上げましたとおり、各府省による政策評価と私どもの担当している政策評価、それぞれが分担する機能を発揮していくということによって政府全体としての効率的・効果的な評価の実施を図っていこうとするものでございます。
   それからもう1つ、「行政評価・監視」とございます。これは、従来私どもでは、「行政監察」と呼んできたものでございますけれども、それぞれの施策が当初企図されたように実施されているかどうか、いわば問題点主義と言っていいと思いますが、そういう各府省の業務運営の実施状況を見るというものでございます。例えば、先日17日、私立学校の振興に関する行政評価・監視結果に基づく勧告を行っております。多額の収入超過額を計上する学校法人に対して、経常費補助金の大幅な縮減の方向での見直しといったことを勧告しております。行政評価・監視ですとそういった問題点主義で、すぱっとしたものの言い方がかなりできるのではないかと考えております。こういった形で私どもの取組を進めているということでございます。
   それから2ページは、ざっと御覧いただきますと「行政評価等プログラムの策定」とありまして、この作業を今やり始めているところでございますので、これに関する御意見をいただきたいということでございます。あとは省略させていただきます。
   それから3ページ、「組織体制」。これは、御覧いただきますと、下の方の欄に「担当室」がございますが、それぞれ12〜13人前後の室員のもとにそれぞれのテーマを担当しているということでございます。
   次の4ページですが、テーマの検討に当たりまして、政府全体から見た場合の重要政策課題、こういった全体像も視野に入れながら考えていくことがやはり必要であろうということで、切り口の一例として掲げさせていただきました。「平成15年度予算編成の基本方針」に掲げられた分野でございますので、御参考にしていただければと思います。
   それから、5ページが先ほど御覧いただいた「行政評価等プログラム」でございます。
   本日はちょっと時間もございませんので、できる限りその時間内で御意見をいただきたいということでございます。またこういう機会もお持ちできるのではないかと思いますので、お気づきの点があれば本日お伺いしたいと思いますし、また、後日御連絡等をいただければありがたいと思っております。
   御説明は以上でございます。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   これは、統一性・総合性確保の評価の対象となる候補をこれから探していくと、そういう御相談ですよね。
○橋口総務課長
   はい、平成15年、16年、17年のプログラムの見直しということです。
○村松委員長
   皆様の御意見を賜りながら選定をしていきたいということだろうと思います。どなたからでも御意見をお願いします。
   どうぞ、永井委員。
○永井委員
   私が非常に重要な問題だと思いますのは、フリーター 200万人の問題でございます。これは倫理上働くのが嫌な若者がふえているというような単純なことではなくて、教育の制度と雇用との連携がうまくいかないことによるミスマッチではないかなと思っております。ですから、文部科学省の中だけで論じているのではなくて、厚生労働省、産業経済省あたりと一緒に横断的な評価の必要なテーマかなというふうに思っております。同時に、サービス残業の問題もございますし、青少年問題、つまり、我々の将来を支えてくれる若者たちが200万人今失業しているというような状態は、経済、年金、医療、福祉等にも非常に大きな影響を及ぼすものですので、これは緊急な問題だと考えております。
○村松委員長
   どうぞ、吉野委員。
○吉野専門委員
   「ヒト」と「モノ」と「カネ」という日本でよく言われる3要素があると思うのです。今、永井委員がおっしゃいましたように、失業とか少子化、教育の問題という「ヒト」に関連しているものは随分出ていると思うのですが、「モノ」をつくるところで日本は今競争力がないわけです。製造業がいろいろと弱くなりましたし、そういう意味で、「モノ」というのをどのようにとらえたらいいのか。また、「カネ」というのは金融で、銀行部門が弱いわけです。「ヒト」・「モノ」・「カネ」と言った場合に、「ヒト」は取り上げられていると思うのですが、「モノ」と「カネ」の部分が何か抜けているような気がいたしまして、それはいかがでございますでしょうか。
○村松委員長
   「カネ」と言いますと、例えば金融庁というような。
○吉野専門委員
   例えば金融庁、それでは個別になってしまうのでしょうか。それから、「モノ」と言うと、経済産業省で個別になってしまうので、やはり国の大きな課題とはならないということなのでしょうか。
○村松委員長
   そこはどのようにとらえたら広くなるんでしょうか。そのサジェスチョンがあったら承る方がいいなと思っているのですが。
○吉野専門委員
   ですから、「モノ」でいきますと、日本全体の国際競争力が失われていくというところですから、どういう形でその「モノ」に対する日本の国力をつけていくかという点。金融の場合、どうしても金融庁だけになってしまうのかもしれませんけれども、お金をうまく動かすメカニズムを日本でどうやって構築していくかということも国の重要課題としてあると思うんです。
○村松委員長
   御意見を承っておいて、どうこなすかというのは事務局に研究していただきたいと思います。
   金本委員、どうぞ。
○金本臨時委員
   まず、どういう分野を対象とするかということより、評価の中身の問題が一番大きくて、評価として外の人が興味を持って読んでいただくような中身が出てくるかどうかというレベルだという気がしています。今まで幾つかおやりになっていますが、他のところの方々はいろいろフォローされておられるようでありまして、あんな評価でいいのかという印象を持たれつつあるという状況かと思います。基本的には、評価というのは非常に専門的能力を必要とするものであって、専門的能力をどうつけるかということかと思います。それをまずやらないとちょっとどうにもならないのかなと。専門的能力のない人を何百人集めたって何もできないということですので、その辺がまず第一なのかなと思います。
   もう1つ、こういう横断的な組織でやるべきことというのは横断的なことだろうと思います。横断的なところで残っていて評価に値するものは何かというと、まず、基本的には社会資本の費用対効果分析が既に定着していて、一番蓄積があるところで、学習効果としては初心者向けに取り組みやすいところだろうという気がしております。個別の部局で評価をやっており、実はたくさん問題が残っているということは、既に何度もお話ししていますので繰り返しになりますけれども、それをやるのが先決だろうと。今、公共事業を減らせということで一般的に議論しておりますが、その点について、個別評価の中身に関して、誰も信用していないというのが多分現状だろうと思います。その辺について、これはだめとかあれはいいとかというのを黒白という形で言うのは難しいのですが、いろいろな形の言い方があり得る、また、情報提供としていろいろなものがあるということで、それをまず第一にやるべきだという気がしております。
   もう1つは、規制関係の評価というのはもうちょっと難易度が高いわけですが、評価の能力を培うには一番いい素材だろうという気がしております。金融でもよろしいですし、何でもよろしいのですが、それなりの切り口を決める必要があります。しかし、切り口を決めれば、日本ではこれまでちゃんとやっていないですから、日本の政策評価を動かしていくというか、前進させるものになるだろうと思います。個別具体のところは幾らでも対象があって、いろいろな手法とかデータとか等々がうまく使えるかという点で選べばいいということではないかという気がいたします。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   今の金本委員の御意見でもっと聞きたい部分はありますか。
   それでは、さらに事務局で検討するということでお願いします。
   どうぞ、新村委員。
○新村臨時委員
   今、例えば吉野先生は「ヒト」「モノ」「カネ」、金本先生は規制と公共投資の費用便益とおっしゃいました。要するに、切り口なんだと思うんですね。何かいい御提案ができないかと思って考えていたのですけれども、もうちょっと立体的、構造的に――私は分類するのが好きなのですけれども、分類をすることによって、要するに、どういう視点で政策評価ができるのかということから考えることが必要かなというのが、ちょっと時間がなくて建設的な御提案をするまでに至っていないのですけれども、思ったことでございます。
   要するに、総合性確保評価、統一性確保評価というときに、どういう視点でこの政策課題がとらえられるのかというような分類が1つのやり方、それからもう1つは、政策の目的に応じたジャンル分け。政策評価という視点から、そういうふうなもうちょっと立体的な分類ができないかということをまた少し考えさせていただいてコメントさせていただけたらと思います。残念ながら今日は建設的なコメントはできませんので申しわけございません。
○村松委員長
   どうもありがとうございます。その他いかがでしょうか。
   どうぞ。
○富田分科会長
   私も金本先生が御指摘されたことと共通するのですけれども、結局、評価の手法、評価のコンセプト、そういうものを基本的に持つ必要があると思うんですね。ですから、先ほどお話のあった、社会資本整備の評価、規制緩和の効果、消費者余剰への影響とか、そういう視点で捉えていくわけです。そういった評価の軸みたいなものなしに評価だ評価だと言っても、通常考える政策評価とは随分違うものになっていると思うんですね。それがゆえにこの前の環境省の問題のお話を聞いても私はちょっとぴんとこなかったんです。
   府省横断的ということであれば、例えば社会資本整備について、各府省は評価マニュアルをそれぞれ持っているわけですけれども、総務省が「評価専担組織」であるとすれば、そういう各府省の社会資本整備の評価マニュアルの評価、例えば農水省における灌漑事業の評価が、他の、例えば道路とどう違うか比較するとか、そういうことがやはり必要になってくるだろうと思います。
   さらには、評価を行う場合の便益についても、2つ重要な点があると思うんですね。1つは、評価の価値の原単位というか、例えば道路をつくれば何分間節約になる、それは幾らに相当するとか、こういった点についてそれぞれの社会資本整備について原単位が異なったりしているわけで、そういう原単位の客観性が担保されているかどうか。それから、もう1つ評価で大事なのは、需要予測だと思うんです。社会資本整備に限定して言っても需要予測は非常に大事でして、その需要予測が各府省それぞればらばらだとすれば困るわけですし、このところホームページでもそれぞれモデルの中身まで出ているところが多いので、それをきっちり精査していくことだと思うんですね。今回、道路公団民営化推進委員会でもやはり需要予測のことが問題になって、パラメーターのちょっとした変化で需要が大きく違う、そのパラメーターの推定の仕方自体にいろいろ問題があったという議論まで行っているわけですから。
   やはりそういうものを、通常、政策評価と言った場合にイメージするわけですね。そういうのと全然違うことをやっていると言ったらちょっと失礼ですけれども、それを政策評価だと、2次評価だと言っているような気がするんですね。つまり、政策評価とは何かといったら、やはりオーソドックスに、「手法として一番確立されている」というふうに金本先生はおっしゃったのだけれども、そういう観点だろうと思います。社会資本整備とか規制緩和、あるいは先ほどの独立行政法人評価で問題になった研究開発等は、手法的にいろいろなものがあるわけだし、これから我が国でもそういうことはきちんとしていかなければならないわけで、これも府省横断的ですよね。そういうところだと思うんです。何か集めてきて数字でこうだということではないと思うんですね。その数字をどういうふうな体系の中でつくっていき、どういう観点から評価していくかということが問われているのだと思いますね。
   そういう意味で、私は、手法がかなり確立していて、問題点もあるような――恐らく金本先生だと非常に明確に問題点を把握なさっていると思うのだけれども、そういう手法、例えば各府省の評価マニュアルを評価するといったことが求められているのだと考えています。そういうところがテーマなのではないかなと思うのですけれども。
○村松委員長
   ありがとうございます。
   永井委員、どうぞ。
○永井委員
   そういう点も非常に大事だと思うのですけれども、私は、いろいろな各府省庁がありまして、その省庁の中での、例えば教育なら教育を文部科学省だけでやっている場合には、どうしても学力だけというふうになるわけですね。つまり、大多数の者は職業を得て社会貢献していくわけですけれども、就業の観点からはどうなのかという部分が余りないんです、私の実感なのですけれども。だから、いろいろな省庁を比べながら評価をしていって、そしてその評価に基づいて、本当に適正な政策誘導をしていくことが非常に大事だと思いまして、私は、アカデミックなことというよりは、まさに現実的な政策誘導に役立つ評価をするべきだと思うんです。
   そういう観点からするともう1つありまして、例えばそれは医療なのですけれども、今は医者とか看護婦とかOT、PTとか、非常に福祉関係者などが多くなっているわけです。しかし、経済的な配分が非常にいびつな状態になっていまして、医者の取り分が圧倒的に多いわけですね、もちろん、医者はその働き方も非常に厳しいわけですけれども。その辺のところを適正にしていきながら、本当に社会資本としてよい医療というものを提供していくということも、政策横断的ということになるかどうかはちょっとわからないのですけれども、必要ではないかなと思っております。
   それからもう1つ、規制改革に関して、公益事業分野における市場参入制度というのが今はやりになっているわけですけれども、これは評価というか研究テーマだと思うのです。特養老人ホームなどで民間の業者が福祉行政をやって、非常に安くあげて、しかも一般的評判がいいというような例がぼちぼち出ております。しかし、その評価をどうするかというのを定量的ではなくて定性的に私が見ますと、介護の面から見て同じ程度の老人が入所しているんですね。非常に効率的に処理できるんだと思いますが、しかしそのことが幸せなというか人間的なことなのかというと若干違うと思います。役人がいろいろなことを考えた場合には、まだ健康だからこの人は入らなくてもいいだろうと判断されそうな人も入っていることがあるわけですね。だけどその方が健康的な感じもするんです。公益事業分野における市場参入制度というのは、今の世の中にとって非常に関心のある評価ということになるのでしょうか。総務省として研究してみるべきテーマだと感じます。
○村松委員長
   永井委員のように対象の方から考えていっても、今の場合だったら公私の関係の持ち方とか、何か省庁横断的な視点に結びつけていくことはできるだろうと思いますし、方法から考えていく場合についても御提案がありました。対象も方法もやはり両方からいけるんだろうと思うんですね。日本の評価制度は、いろいろなことができる枠組みになっているんだろうと思うんです。
○永井委員
   すみません、もう少し医療、福祉の分野で補足をします。聖路加病院に91歳の日野原先生という方がいらっしゃいますが、やはり日本の医者の教育は十数年遅れていると、いまだにどっちが注射をするかというようなことを看護婦との間で争っていて、全く福祉としての医療としては成り立っていないというようなお話をしておられました。医療と教育との関係、看護士、OTPT等の医療関係者の教育ということも非常に大きな、横断的と言えば横断的になり得るというふうに考えます。
○村松委員長
   ありがとうございます。
   どうぞ。これを最後の御意見にさせていただきます。
○松田臨時委員
   簡単に2点だけ。
   まず1つは、この政策評価の取組がどれだけ本当に国民の皆さんに伝わっているかというと、やはりまだまだ遠いと思います。私のところにもいろいろな評価の結果を送っていただいてもまだ遠いと感じるくらいですから、一般の方にはなかなか関心を持っていただけていないし、いわゆる利害関係者の方々でもまだ関心を持たれていないと思うんですね。例えば3年間のテーマを考えるというときに、戦略的に政策評価をいかに浸透させ定着させるかという観点から選ぶテーマと、いわゆる手法的にやらなければいけないテーマというふうに、組合せとそのタイミングというか、ある程度優先順位のつけ方を決めないといけないと思います。ばらばらに幾つかテーマがあってこれをやったりあれをやったりというふうになると、なかなか浸透が難しいのかなというのが1点でございます。
   それからもう1点は、やはり評価にもコストがかかっておりますよね。行政評価局の人員体制というのは、評価・監視も入っているのでこれだけ大規模な組織になっているのは否めないと思うのですが、果たして本当にそれだけの評価のコスト、さらには、各省庁の評価のコストをかけて得られるものは何なのかということを考える必要があると思います。やはりそれだけのコストをかけて得られるインパクト、例えば行政コストの削減などのインパクトの大きいものからまず手をつけることで評価の価値を皆さんが認めてくださるのではないか。評価コストのこともあわせて御検討いただけるとよいのではないかと思います。
○村松委員長
   ありがとうございます。
   これは事務局はどうお考えかは知りませんが、「独立行政法人通則法」と「行政機関が行う政策の評価に関する法律」によって全行政機関が評価活動を行ったわけですね。そして、客観性担保のための評価活動が両方ともここで行われているわけです。膨大なエネルギーが費やされているわけですが、確かにそんなに知られていないという面があるんですね。どれだけの効果が上がったのかとお金で計算してみていくら、という計算をしてみたい誘惑に駆られるんです。例えば独立行政法人の場合、頭の中でこのぐらい多分効果があったのではないかとか、そんなことをデータを見ながら考えておりまして、私は効果は確かにあったと思っているんです。それをどのようにアピールしていけるかということも、この組織を維持するためには大変重要なことなんですね。それで、コストとの関係で本当にいいのかということも今の御指摘の中にはあるわけですから、それを含めて事務局もぜひお考えいただきたいと思います。
○松田臨時委員
   そういう意味で、先ほど永井委員がおっしゃった生活関連のテーマを最初の方は重点的にやっていくことで御理解をいただくというのも戦術としてはあるのかもしれません。
○村松委員長
   その辺は、対象及び手法あるいは方法、またはその両方から検討を行い、そして、どのように我々の表現をしていくかというところまで含めて事務局で検討をしていただき、我々も意見を交換したいと思います。
   それでは、今日の議題としては終わらせていただきたいと思うのですが、先ほど申し上げたように少しお時間をいただきたいと思います。「地域輸入の促進に関する政策評価」について前回の委員会で御意見がございまして、事務局として御説明をしたいとのことですので、お聞きいただきたいと思います。
○中垣評価監視官
   前回御報告した際に、複数の委員の方から、この制度が始まったときと比べて日本の輸入に対する政策そのものがかなり変わっているとか、置かれた状況が非常に変わっている、そういうことをもう少しはっきり書くべきではないか、それをはっきり書けば結論のトーンももう少し強くなり得るのではないかという御指摘をいただき、委員長からも再検討するようにという御示唆をいただきました。その部分でございますけれども、この政策はもともと貿易黒字の縮小に重きを置いた輸入促進ということで、対米黒字の縮小というのが大きな目標だったわけですけれども、輸入の促進という政策からWTOルールにのっとった貿易投資の障壁の低減、撤廃に主眼を置いた国際経済社会と調和のある発展を狙う政策へ、要するに、二国間から多国間への貿易政策に転換してきているのだという点を記述させていただきました。
   「結論」の「新たなFAZ地域の設定に係る主務大臣の同意」という部分に関して、もう少し強く書けないかという御意見もあったのですけれども、この部分につきましては、「同意」というのがいわゆる許認可とは異なるということから、なかなか適当な言葉がないということで、「慎重に対応する」という前に「上記の状況等を踏まえ」を追加いたしました。「上記の状況」という中に今回加えました輸入政策そのものの転換も含まれているということで、ここまで書くことによって十分所管省庁にも御理解いただけるのではないか、私どもとして非常に強い意志を出しているということで、こういった記述をさせていただきたいと思っております。そういった形で、今後、大臣まで御説明をしていきたいと思っております。
   以上でございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。
   この評価結果につきましては、前回の御議論を踏まえて、私も事務局と長時間かつ何回も話をいたしました。そして、丹羽分科会長にも御説明をしてここに至ったわけでございます。考えてみれば、評価の設計段階で別のアプローチがあり得たのかもしれないという感じがしないわけでもありませんが、当委員会としても今後の課題として評価の設計段階で議論をするということをもう少し考えるということを1つの反省としまして、御了承いただきたいということでございます。
   よろしゅうございますでしょうか。
○吉野専門委員
   誠に細かいことなのですが、2001年ではアメリカへの輸出は、中国が日本を抜いていると思いますが、一番直近のデータではどのようになっているか、お分かりになればちょっと。
○村松委員長
   わかりました。その点は注意して検討いたします。
   それでは、最後に、事務局より連絡事項がございます。
○橋口総務課長
   来年1月以降の委員会につきましては、また別途御連絡をさせていただきたいと思います。
   以上でございます。
○村松委員長
   どうもありがとうございました。
   それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の第21回会合を終わります。まだ任期はありますので会合はあり得るのでしょうけれども、もしかしてこれが最後かもしれませんので、私としてはありがとうございましたと申し上げたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

〔了〕