政策評価・独立行政法人評価委員会(第24回)議事録
(政策評価・独立行政法人評価委員会、政策評価分科会及び独立行政法人評価分科会の合同)


1.日時   平成15年3月28日(金)14時から15時40分

2.場所   中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
  (委員)
          村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、永井多恵子の各委員
宇賀克也、金本良嗣、田辺国昭、新村保子、雨宮肇、黒川行治、黒田玲子の各臨時委員
翁百合、木村陽子、田中常雅、梶川融、武田尚仁、山本清の各専門委員
  (事務局)
  田村行政評価局長、柚木官房審議官、橋口総務課長、新井政策評価官、讃岐評価監視官、秦評価監視官、水野政策評価審議室長 ほか

4.議題
 (1) 行政評価局が行った主要な政策評価の結果の報告(「政府金融機関等による公的資金の供給に関する政策評価」)
 (2) 平成15年度行政評価等プログラムの取りまとめに関する報告






○村松委員長
   それでは、これより政策評価・独立行政法人評価委員会の第24回の会合を開会いたします。
   本日の議題に入ります前に、委員の異動につきまして御報告をしたいと思います。
   前回の委員会において、再評価等の実施の必要性の認定についての考え方につきまして政策評価分科会でワーキンググループを活用しつつ検討を進めることとしたわけですが、3月14日の政策評価分科会において、宇賀臨時委員、田辺臨時委員、稲継専門委員にワーキンググループにおける検討作業に御参画いただくということになりました。そのために、独立行政法人評価分科会の所属委員である稲継専門委員に政策評価分科会にも所属していただく旨指名させていただきたいと思います。その点を御報告いたします。
   お手元に資料が配布してございますので、御参照いただきたいと思います。

[行政評価局が行った主要な政策評価の結果の報告]
   それでは、早速ですが、本日の議題に入らせていただきます。
   「行政評価局が行った主要な政策評価の結果」について質疑応答をお願いしたいと思います。まず、事務局より御説明をいただきたいと思います。
○秦評価監視官
   特殊法人等担当評価監視官の秦でございます。「政策金融機関等による公的資金の供給に関する政策評価の結果」について説明いたします。
   この政策評価につきましては、昨年の12月20日の政策評価分科会で調査・分析の状況を説明しております。その際に委員から出されました御意見等を踏まえて、各府省と事実確認、議論を重ねて取りまとめを行ってきたものであります。
   この政策評価の対象でございますが、金融を主たる業務とする特殊法人の11機関が行う公的資金の供給を評価の対象としております。
   それから、「政策評価の目的及び評価の観点」のうち評価の目的でございますが、政府金融機関等にはさまざまな設置目的がありますが、その活動に当たりましては、民間金融の補完または奨励を旨とすることとされております。それから、特殊法人等整理合理化計画におきましても、政府金融機関等については、民間にできることはできる限り民間に委ねるという原則の下で業務の大胆な見直しを行うとされております。こういう政府の方針と、また、政府の財政負担にも留意をする必要があることから、政府の財政負担に留意しつつ合理的なものとするということが求められております。こういう背景から、本政策評価に関しましては、2つの観点から評価を行っております。1つ目の観点は民間金融の補完機能の発現状況はどうか、2つ目の観点は資金供給手法としての効率性はどうかという2つの観点から統一的に評価を行っているものでございます。
   まず、「民間金融の補完機能の発現状況」に関しましては、民間金融機関や諸外国における公的資金の供給の状況との間で定量的な比較分析を行うとともに、これらのデータ分析だけでは把握し得ない部分もありますので、アンケート調査を実施しております。このアンケート調査につきましては、金融機関は本店・支店を含めまして約1,500、事業者は中小 3,000と大・中堅 3,000、個人につきましては 3,000ということで、約1万 1,000を対象にアンケート調査を実施いたしました。このアンケート調査につきましては、統計の専門家にも助言を受けた上で、承認統計として行っております。さらに、有識者に対するインタビュー調査を実施し、学者、シンクタンク等、26名の方に民間金融の補完状況に関する御意見を伺っております。
   2つ目の観点の「資金供給手法としての効率性の評価」でございますが、これにつきましては、コストに当たる政府の財政負担の状況を把握した上で、我が国の主たる資金供給手法であります直接貸出の手法、それから、その他の直接貸出以外の資金供給手法、保証とか保険とか証券化支援、こういった供給手法について費用対補助効果分析を行っております。この政策評価は平成14年1月から調査をしておりまして、今現在は最終のまとめの段階にあるということでございます。
   次に調査・分析結果でございますが、まず、1つ目の評価の観点であります「民間金融の補完機能の発現状況」につきましては、次のような結果となっております。これらの政府金融機関等による公的資金供給の金融市場における位置付けを見ますと、民間金融機関は、バブル崩壊以降、貸出が抑制基調にあります。一方、これらの政府金融機関等による貸出は景気対策の一環として活用され、最近においては中小企業等に対するセーフティーネットの構築のために積極的な対応がなされているということで、金融市場においてはそのシェアが拡大しております。
   お手元の図表の資料1と2を見ていただきますと、資料1の棒グラフでは、例えば、平成4年度末の貸出残高は 120兆 8,000億円ぐらいございますが、平成13年度末では160兆 9,000億円ということで、貸出残高は増加してきております。それから、資料2の金融市場における政府金融機関等の貸出残高のシェアでございますが、白丸の線でつないだものが貸出残高のシェアであります。平成13年度では20.6%で、2割強のシェアを占めるに至っております。それから、政府金融機関等による公的資金の供給を諸外国と比較をしてみますと、直接貸出の貸出残高ベースでの対名目GDP比率では、我が国は32%、アメリカでは2.4%、ドイツは9.2%というように、諸外国では直接貸出の貸出残高ベースでの対名目GDP比率の状況は10%以下となっております。したがって、我が国の公的資金の供給は、金融市場において大きな位置を占め、かつ、直接貸出の割合が高いということが特徴でございます。
   それから、公的資金の供給による民間金融の補完状況に関しまして、長期資金の供給面と民間金融機関では貸出困難な分野への資金供給による補完機能の状況を見ております。
   資料3、4を見ていただきますと、資料3の方で、「貸出残高の残存期間別内訳の状況」ということで、点線で結んだ線より上が残存期間が7年超の状況でありますが、左側の方の政府金融機関等においては、例えば、社会福祉・医療事業団における7年超の貸出割合は95.4%であるなど、長期の貸出が多い状況、右側の「主要行」と「地域行」と書いておりますが、これらの7年超のパーセンテージは、主要行で21.5%、地域行で32.5%ということになっております。したがって、長期資金の供給という面では、政府金融機関等は一定の補完の役割を果たしているということが認められます。それから、資料4でございますが、固定金利、変動金利であるかどうかということにつきましては、政府金融機関等は、4機関において全て固定金利による貸出しであるなど、ほぼ固定金利で行っている、一方、民間金融機関の方は、主要行で27.4%、地域行で37.1%ということで、変動金利の貸出が多いという状況でございます。
   そういうことで、長期固定金利での資金供給に関しては、政府金融機関等は一定程度の補完状況が認められる一方で、民間金融機関側の方は、貸出期間あるいは貸出の対象等で一定の限定はありますが、7年を超える固定金利の貸出割合は、ここ10年間で見ますと、1.8%から6.5%へと伸びてきております。それから、内閣府が行ったアンケート調査では、固定金利であれば10年は対応可能であるという民間金融機関の意見も示されており、長期固定については民間金融機関側も供給能力を備えつつあるということでございます。そういったことから、民間金融機関との競合が生じるような場合も推測されるということでございます。
   それから、民間金融機関の貸出困難な分野への資金供給による補完機能については、長期大規模事業など、回収が不確実な分野につきまして一定の補完状況が認められるということでございます。これはアンケート調査結果等においても、すべての業態において貸出困難な分野においては政府金融機関等が補完機能の役割を果たしているという認識を持っております。一方、民間金融機関の方では、リスク評価技術が向上してきたということで、貸出対象範囲を拡大しようという取り組みも見受けられます。それから、信用リスクが少し高い企業に対しても、高目の金利を設定してミドルリスク・ミドルリターンの商品を提供する、あるいはプロジェクトファイナンス、シンジケートローンというファイナンスにも取り組んできております。こういうことから、民間金融機関との競合が生じるような場合もあるものと推測されるということでございます。
   アンケート調査結果を見ますと、民間金融の補完機能に関しまして、借り手の事業者は総じて肯定的な認識が見られ、政府金融機関等は民間金融の補完を行っているという認識でございます。一方、民間金融機関の方では、貸出分野によってばらつきはありますが、例えば中小企業分野あるいは大・中堅企業分野、住宅とか教育という一部の分野で都市銀行等を中心に政府金融機関等の活動は補完の関係を超えているという認識が強い状況となっております。
   次に、公的資金供給の金融資本市場に与える影響について調査をいたしました。先ほど申し上げましたように、政府金融機関等は低利で20%のシェアでもって直接貸出等を行っております。そういうことから、政府金融機関等による金利設定がプライスリーダーのような役割となって、民間金融機関の方がリスクに見合った適正な金利を設定できない、結果として、市場における自由な金利形成を阻害する要因の1つとなっているおそれが考えられるということでございます。要因の1つとなっているおそれという言い方をしましたのは、自由な金利形成を阻害するというのは、この政府金融機関等の低利資金供給だけによるものではなく、これまで民間金融機関がリスク評価を十分に行ってこなかったという他の要因もあろうかと思います。それから、こういった公的資金供給を大規模、低利で行うことが、企業が資本市場から長期資金を調達するインセンティブを喪失させ、結果として資本市場の発達を阻害する要因の1つとなっているおそれも存在すると考えられます。ただし、過去に社債発行規制があったということも考える必要があります。政府金融機関等の新規貸出の金利は、高い格付の社債利回りと同程度になっております。したがって、一般の企業は、自分で社債を発行して資金を調達するよりも、政府金融機関等から借入をする方が有利になるということで、長期資金を調達するインセンティブを喪失させるおそれがあるということでございます。
   この点につきましては資料5の「政府金融機関等と民間金融機関の金利設定の状況」を見ていただきたいと思います。この資料5を見ますと、全体として、政府金融機関等は都市銀行等に比べて相対的に低い金利で貸出を行っているということでございます。アンケート調査の結果でも、民間金融機関が貸出を行うことができないような低い金利で政府金融機関が貸出を行っているという意見が多数となっております。
   次の資料6の「政府金融機関等による直接貸出に係る金利設定と社債流通利回り」でございますが、一番上の丸が格付がBBBのもの、三角がAのもの、四角がAAのものでございます。黒丸印の左側が国際協力銀行、右側が政策投資銀行となっております。これを見ますと、政府金融機関等の金利は、社債格付の高いAやAAと同等クラスとなっております。これらのクラスは債務履行能力が非常に高いということになります。したがって、政府金融機関等による低利の資金供給が金融資本市場に負の影響を与えている可能性が存在するということでございます。
   それから、このような我が国の状況を踏まえつつ、諸外国における公的資金の供給手法について調査しましたところ、諸外国では、直接貸出による資金供給は相対的に少なく、部分保証とか、証券化支援とか、リファイナンスなど、市場機能等を活用した手法がとられております。直接貸出が行われている場合であっても協調融資を原則としているので、民業圧迫の批判は生じていない状況となっております。例えば、アメリカの中小企業分野ですとSBAの部分保証は、保証契約を結ぶ際にSBAの保証が必要であるという証明書が必要とされております。それから、住宅分野ではファニー・メイとかフレディ・マックによる証券化が行われています。ドイツでは、リファイナンス、間接融資ということで、民間金融機関に一度貸出を行い、その資金をもとに民間がさらに借り手に対して貸出を行っています。その際のリスクはすべて民間金融機関が負い、融資の上限も決められているということでございます。それから、フランスは、保証と直接貸出の両方が行われているようですが、保証は、部分保証方式がとられており、直接貸出の場合は協調融資が原則とされ、かつ、貸出の条件が民間金融機関と同一の条件となっております。以上のことから、諸外国では、民業圧迫の批判は生じていないという状況になっていると考えられます。
   このような公的資金供給の手法について、アンケート調査やインタビュー調査の結果では、公的な資金供給については、保証とか証券化支援などの市場機能を活用したより間接的な手法を主体として行うべきであるとの意見が多数を占めています。
   以上のように民間金融の補完の状況については、政府金融機関等による公的資金の供給は、長期固定金利での資金供給、あるいは、長期大規模事業などの資金供給の分野においては一定程度の民間金融を補完している状況にあるということでございます。しかし、相当の規模で直接貸出の手法によってなされていることや資本市場への負の影響を与えているおそれも存在するというのがまとめでございます。
   それから、2つ目の評価の観点についてであります。我が国の直接貸出の資金供給手法について、その効率性を検証するとともに、我が国の保証、あるいは、諸外国における直接貸出以外の資金供給手法について比較をしております。
   まず、直接貸出を主な業務とする政府金融機関等に係るコストに当たる政府の財政負担がどの程度になっているかについては、資料7を見ていただきたいと思います。
   政府の財政負担を出資金等の機会費用と補給金・交付金の合計額としてとらえております。政策コスト分析でもそのような考え方がとられております。このグラフを見ますと、平成11年度が財政負担が一番大きく伸びており、9,313億円でございますが、その後、利ざやの改善なり、あるいは特殊法人改革等によりまして財政負担が縮減し、平成13年度には6,905億円ということで、最近では減少傾向を示しております。
   各政府金融機関等は政策コスト分析を行っておりますが、その政策コスト分析の中で金利感応度分析も行っておりまして、例えば平成14年度で見ますと、政策コストは合計で4,163億円となっておりますが、金利感応度ということで、金利が1%上昇しますと、単純合計でございますが、下限で3,972億円、上限になりますと1兆8,000億円程度の政策コストを要するという状況になっております。
   次に、こういった政府金融機関等が保有するさまざまなリスクについて検証しております。ALM管理の金利リスクの把握、あるいは信用リスクの計量化への取り組み、こういった点に関しましては、都市銀行等の民間金融機関に比べて全般的に遅れている状況が見られます。
   これにつきましては、資料8を開いていただきたいと思います。資料8の左側の欄でございますが、「金利リスク・ALM管理の実施状況」ということで、例えば国民公庫と中小公庫は、実施はしておりますけれども、主たる管理組織が設けられていないという状況があります。また、そういう分析結果の公表状況についても、公表しているのは国民公庫と中小公庫だけということでございます。それから、右側の真ん中の欄の「信用リスクの計量化」に関しまして、システム開発中、モデル開発中ということで、いまだこの辺は着手したばかりということでございます。一方、一番下の欄でございますが、特に都市銀行におきましては、金利リスク等の管理に関しましていろいろな分析を行うとともにその結果を公表し、信用リスクの計量化等も行われている状況で、政策金融機関等は都市銀行等に比べてリスク管理等が全般的に遅れている状況が見受けられるということでございます。
   政府金融機関等も金利リスクなり信用リスクを持っておりますが、これは資料9と10を見ていただきたいと思います。資料9のBPV分析、Basis Point Value と言われておりますが、これは何を示すかといいますと、この10BPVというのは0.1%になりますが、金利が0.1%上昇した場合に現在保有している資産の現在価値がどの程度変化するかということでございます。金利が0.1%上昇しますと、一番左側ですが、分析可能な9機関の合計では1,896億円の価値が失われるということになっております。これを単位当たりで見ますと、左から2つ目の欄でございますが、民間金融機関は金利が0.1%上がりますと1億円当たりでは8万円の現在価値が喪失するということでございます。この8万円という数字と政府金融機関等の数字とを見比べてみますと、例えば2つ目の欄、日本政策投資銀行以下5つぐらいの機関が民間の金融機関よりも余計に影響を受けるという状況になっております。それから、資料10の方は延滞債権率の推移でございます。これは6カ月以上延滞しているものについて増加してきている状況が見受けられるということで、状況によってはこれらの政府金融機関は信用リスク面でも金利リスク面でもリスクが顕在化する懸念が存在するということでございます。
   次に、直接貸出の手法について費用対補助効果分析をいたしました。まず補助効果につきましては、借り手が民間金融機関から貸出を受けたと仮定した場合に比べた利子軽減相当額を測定しました。これの状況を時系列で見ますと、総じて減少傾向にあります。
   資料11でございますが、「単位貸出金当たりの補助効果の推移」ということで、総じて減少傾向を示しております。出資金等の機会費用と補給金等の財政負担を費用として、分母に費用、分子に補助効果とした比率、それから、単位貸出金当たりの純効果、これは補助効果マイナス費用という内容です。まず資料12の方ですが、「費用対補助効果比率の推移」は向上しているものもありますが、横ばい、悪化しているものもあるということでございます。向上している理由については、やはり金利低下の中で出資金等の機会費用が減少してきたということがあろうかと思います。横ばいまたは悪化しているところについては、貸し倒れの増加あるいは繰上償還、期間前償還の増加に伴なう財政支出、補給金等の繰り入れということが考えられます。
   このように、直接貸出の手法について、これらの表から見ますと、全体として見れば一定の効率性は確保しているがその優位性が低下してきている状況が見受けられるというのがこの費用対補助効果のまとめでございます。
   それから、直接貸出の手法以外の代替的な資金供給手法との比較検証も行っております。制度がいろいろ違いますので単純に比較はできませんが、部分保証、あるいは証券化支援、あるいはリファイナンスなどの手法においては高い効率性を示す場合があり得るということでございます。例えば、日本の信用保証協会による保証におきましては、費用対補助効果比率というのは1.006ぐらいになっております。中小企業信用保証制度では、アメリカの中小企業庁の部分保証では、2.257という費用対補助効果比率を示しております。それから、アメリカの証券化支援では、連邦議会予算局の報告によりますと、財政負担がないことから、0.25%程度の金利低減効果があるという報告書の内容が出ております。それから、ドイツのリファイナンスの制度になりますと、5.1という費用対補助効果の比率になっており、これも政府の財政負担が少ないということでございます。保証の関係につきましては、公的保証を受けた場合と公的保証を受けずに貸出をする場合の金利差をもとに算定したものであります。なお、利子補給とか税制は、分母、分子、それぞれが同じになりますので、費用対補助効果としては1になると思います。そういう点から見ますと、直接貸出の手法の方がまだ優位にあると考えられます。
   以上、直接貸出の資金供給手法の効率性は、効率性の面において、資金供給手法として優位性が低下している状況も見受けられる。一方、貸出の対象等によっては、部分保証や証券化支援、リファイナンスなど、市場機能等を活用したより間接的な資金供給手法においてもこれらの手法が一定の効率性を確保できる可能性が存在するということでございます。
   上記の2つの調査・分析結果を踏まえまして、この評価結果においては4つの意見を提示したいと考えております。まず最初に、方向性としては、中長期的な観点からは、民間金融機関の機能回復・強化の状況を踏まえながら、貸出残高の縮減を図るためには、供給の対象となる政策分野の厳格な精査を行う必要がある。それから、個々の貸出制度の撤退時期や基準などをあらかじめ示す必要がある。
   2つ目には、資金供給の手法について、市場機能等を活用したより間接的な手法を十分考慮して政策目的あるいは証券化になじむかどうかの貸出の資金が持つ性質に応じて、最適な資金供給手法の選択を行っていくことが必要である。それから、間接的な手法に移行する場合には、効率性確保の観点から、リスクを分担する部分保証方式とするなど、モラルハザードを防ぐ工夫が必要である。それから、直接貸出を継続する必要がある場合にはリスクに見合った金利体系、金利を設定すること、それから、協調融資スキームの拡充などが必要である。
   3つ目は、政府金融機関等が持っています貸付資産の証券化でございますが、こういう証券化方式は貸出規模の縮小あるいはリスク分散、市場の活性化にもつながるということで、こういう貸付資産の証券化の拡充に向けて検討を進めていくことが重要である。
   4つ目は、リスク管理の状況でございます。まだ必ずしも十分とは言えませんので、今後、各機関においては総合的なリスク管理手法を講じることにより、リスクを定量的に把握して適切に管理する。それから、リスク情報、関係情報を国民に対して積極的に開示していくことが必要である。それから、今現在実施しております政策コスト分析について、保証業務を含める、あるいは異なる資金供給手法間におけるコスト比較を行うなどによってその内容の充実を図ることが望まれるということです。
   説明は、以上でございます。
   次に、政策評価分科会におきまして各委員の先生方から御意見をいただいておりますので、これについて説明します。
   政策評価分科会では、費用対補助効果分析の位置付けを明確にするべきであり、費用対補助効果分析もいいが、個々の政策についての効果について触れるべきではないか、それぞれの政策の社会的な便益なりを評価した上で評価を行うべきではないかという御意見がございました。個々の政策の評価ということにつきましては第一義的に各省が行うべきものであり、やり方によってはある程度グルーピングをして総務省でやるということも可能かと思います。しかし、いろいろ専門家の先生方にお聞きしたり文献等も見ましたが、政策金融等に関するアウトカムの測定手法というのがまだ確立されておらず、合理的なものがない状況でございます。そういった測定手法についてはこれからも勉強したいと思いますが、読む人が誤解しないように今回は資金供給手法としての効率性という観点からの評価であることを評価書の中で明記することとしております。
   それから、費用対補助効果分析を行う際に同一条件での比較を行うということで、民間金融機関と政府金融機関、民間金融機関が長期の資金を貸し出す際には、金利の上乗せなどの期間差補正は行っております。信用リスクの調整はどうなったかという御意見がございましたので、信用リスクの調整については政府金融機関のリスク管理債権比率等が民間金融機関に比べて低い状況にあることから、今回の分析においては信用リスクの補正は行っていないということを評価書に記述しております。
   それから、貸出先の分類とそれに基づく分析が必要ではないかという御意見がございました。今回の評価に当たっての分析は、例えば、シェア分析については、中小企業、大・中堅企業、あるいは農林・漁業、あるいは住宅・教育とか、そういった分野ごとに行っております。ここで先生が言われたのは、例えば、中小企業の中で不動産業に対する貸付、あるいはサービス業に対する貸付、卸・小売に対する貸付、そういった業種別の分類を見て評価・検討をしてみると何らかの問題があるのではないかということでございました。検討しましたが、正確なデータの入手が困難ということで、今回の評価書においては貸出対象分野別に調査分析を行っております。
   それから、意見なりの方向性としまして、ディスクロージャーに留意が必要であるという御意見がありました。これにつきましては、リスクの的確な把握と情報開示を進めるという旨を提示することとしたいと考えております。
   それから、コストとして市場に与えるマイナスの影響等について留意が必要だとの御意見について、なかなか金銭換算は難しいですが、金融資本市場に与える影響として項目立てをして、金利形成に対する影響、社債等資本市場に対する影響を盛り込むこととしたいと考えております。
   それから、呼び水効果を期待して始めたメニュー等の出口戦略につきましては、個々の貸出制度の撤退時期とか基準をあらかじめ示して、規模の肥大化を未然に防ぐことが必要であるという旨を提示することとしたいと考えております。
   それから、個々の機関の資金供給対象分野ごとに望ましい手法を提示できないかという御意見がございました。唯一こういう手法であるべきということまでなかなか提示することは難しいことでありますが、各供給手法間のメリット、デメリットやアンケート調査では、ある分野についてはこういう方式が望ましいという意見もございました。それについて触れるか、あるいは証券化になじむのはこういう資金供給の性質のものであることを評価書の中で触れることとしたいと考えております。
   この政府金融機関等による公的資金の供給について、以上で説明を終わらせていただきます。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   政府金融機関等による公的資金の供給に関する政策評価の結果についての御説明をいただいたわけでございます。御質問等がございましたらお願いします。
   どうぞ。
○翁専門委員
   ちょっと質問なのですが、費用対補助効果の計算に当たって、実際に、もうその時点で発生している不良債権に伴う償却とか引当を行った分というのは、財政の支出とされているものは費用にカウントされていると考えるのですか。現在ある不良債権については信用リスクは反映されていないというのはわかるのですが、既存の分については、もう処理してしまったものなどは結果的に費用に反映されていると理解していいのでしょうか。
○秦評価監視官
   既存のものについては、その分を補うための補給金等という形で費用に入っています。
○翁専門委員
   そうだとすると、近年の費用対補助効果の比率の低下というのは、信用リスクが顕在化したことに伴う分というのが相当あるはずです。その意味ではこの効率性という観点からだけで判断してしまっていいのかなという疑問があるのですけれども、この点はいかがなのでしょうか。
○秦評価監視官
   いろいろな考え方があろうかと思いますが、今回は効率性の観点と費用対補助効果ということで、評価を行いましたので、その旨を誤解されないように評価書に明記しておく必要があると思います。
○翁専門委員
   でも、少なくともそういう部分も多少あるはずですよね。
○秦評価監視官
   あり得ると思います。
○翁専門委員
   必ずしも信用リスクについては全く調整をしていないというのは、今まで実現した信用コストも入っていないのではないかと読まれかねないかなと思いましたので、それは少し書いておいた方がいいのかなと思います。その点が1つです。
○秦評価監視官
   こちらの方の試算の限界なり内容なりは、評価書に明確にしておきたいと思います。
○翁専門委員
   それと、あと2点ぐらいあるのですが、手法として、リスク管理が各機関によって非常にばらつきはあるのですけれども、それなりに充実させてきているということはあるのですけれども、これは民間の金融機関だったらそれに対するバッファーとして自己資本というものがあって、それと結びつけることによってリスク管理というのが経営として完結すると思うのですけれども、こういった政府系金融機関のリスク管理をどのように経営に生かしていくのかと、政府系金融機関の経営として、その考え方について政府系金融機関ももう少ししっかり持っておくほうがいいのではないかと思います。
   それとの関係では、政策コスト分析というのは確かにやり始めてはいるのですけれども、必ずしもこれを各機関が有意義に使っているというようには思えないんですね。例えば金利感応度分析を実際にやっているようなのですけれども、それによって例えば資産と負債のリレーションというか償還期間の違いとかをうまく調整していこうというような動きにうまく結びついていないように思うので、これからの課題にも書いてあるのですけれども、政策コスト分析という手法自体も今あるものをどう政策評価にうまく活用していくかということも政府系金融機関にとっての課題ではないかなというように思います。
○秦評価監視官
   特殊法人等整理合理化計画の中でも、個々の金融機関の目的に応じた成果の測定手法を研究せよと言われております。したがって、今言われたような種々のデータ、リスク関係のデータ、機関の運営、全体に関する数値もあろうかと思いますが、そういったものを測定しながら明らかにしていく必要があろうかと思います。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   梶川委員、どうぞ。
○梶川専門委員
   調査対象の中に中小企業総合事業団の信用保険部門がありますが、その信用保証協会に間接的に支援されている保証業務に関する分析が今の御説明の中にあったのかどうか定かでなく、また、逆に評価書の中にその部分についての記述があるのかをちょっとお聞きしたいと思います。
○秦評価監視官
   資金供給手法として、信用保証協会が保証を行って、さらに中小企業総合事業団が第二次保証といいますか保険といいますかそういう形で行っており、その際の費用対補助効果を見ております。
○梶川専門委員
   保証業務自身についての分析はやっているということでございますか。
○秦評価監視官
   はい。
○梶川専門委員
   どのあたりでしょうか。例えば資料11なども、いわゆる信用保険部門についての費用対補助効果もやっておられるのでしょうか。
○秦評価監視官
   我が国の中小企業信用保証制度に関しまして、信用保証協会が 100%保証をする、これは中小企業総合事業団が7割、8割は保険ということで代理弁済の状況も増加しているということで、費用対補助効果を測定しておりまして、ここでは1を超える水準になっています。
○梶川専門委員
   ここの部分は、多分、社会的関心もかなりお集めになられているというか、これからなる部分だと思いますので、もう少し詳しく分析を、データ等も含めて記述された方がいいのではないかという気はいたしました。信用保証協会は、一時、政策的にかなりの保証をされて、それがこれから顕在化していくということについてはかなり社会的な関心が高いところではないかと思います。政策的に意味のある行為を行われたことは間違いないわけですが、それが後になって財政負担として相当見込まれるのではないかという気はしているのでございます。
○秦評価監視官
   特別保証の20兆円、10兆円、合計30兆円という経緯は記しておりますが、それのみについての分析は今回はやっておりません。全体として中小企業信用保証制度の費用対補助効果はどうであるかということで見ています。
○梶川専門委員
   では、その30兆についての分析はまだ余りされておられないということですか。
○秦評価監視官
   はい。
○村松委員長
   ほかに何かございますでしょうか。
   どうぞ。
○樫谷委員
   説明資料の7ページに「延滞債権率の推移」がありますが、この延滞債権という定義は、民間の定義の中のどこまでを汲んでいるのでしょうか。この7ページの資料10の一番上の折れ線のこのプラスのマークはどこの機関ですか。
○秦評価監視官
   プラスは中小公庫でございます。
○樫谷委員
   この公営公庫は延滞がゼロということですか。あと、資料12ですけれども、費用対補助効果比率がずっと右上に上がっているのが公営公庫ですよね。つまり、延滞はゼロだけれども、費用対補助効果は右肩上がりに上がっていますが、これは何を意味しているんですか。
○秦評価監視官
   資料12の公営公庫につきましては、出資金等の機会費用が減少したということだと思います。
○樫谷委員
   費用が減少したということを意味しているんですか。
○秦評価監視官
   金利低下によって出資金の機会費用が減少したということです。
○樫谷委員
   ということは、効率性が増したということを意味しているわけですね。
○秦評価監視官
   分母が小さくなったため、比率が上昇したという結果でございます。
○樫谷委員
   一応公共団体ですから確かにどこかで回収できるのでしょうか。実態を本当にあらわしているか、少し疑問に感じるところであります。
○秦評価監視官
   先ほどの延滞債権率は6カ月以上延滞のあったものです。
○樫谷委員
   6カ月以上の延滞ということですね。そうすると、民間のルールとちょっと違うということですか。
○秦評価監視官
   民間の方は3カ月とかであり、ここでは6カ月以上だけ取り上げております。
○村松委員長
   山本さん、どうぞ。
○山本専門委員
   間違っていたら申しわけないのですけれども、翁委員の御質問等とも関連があるのですけれども、経年変化で見る場合に、結局、貸出案件の内容構成が変わっていきますと、経年変化を見て追跡するという手法はかなり危ないという気がします。そこら辺の御議論は、一番ポイントだと思うのですけれども、政策評価分科会でなされていたのか、もし若干疑問があるのであれば文章表現を工夫する必要があるのではないかという点です。特にこの最近の10年間というのは評価にとっては若干有利になるのですけれども、金利低下のトレンドの中にあるものですから、そこら辺が場合によってはまたタームが変わってくると結果が変わってくるかもしれないので、余計にケースミックス的な要素を厳格にしないといけないのではないかということです。
○村松委員長
   そのあたりは何か御検討になっていたんでしょうか。
○秦評価監視官
   貸出対象ということになろうかと思いますが、その対象がいろいろ変わってきているかどうか業種別とかそういったところまでは分析しておりませんが、ただ、分野別、対中小企業、あるいは対大・中堅企業、あるいは住宅というふうな分野別には、行っています。業種別までの分析はなかなか困難な状況もあろうかと思います。今後の参考にしたいと思います。
○金本臨時委員
   本文がないので、分析の中身がどうなのかという判断ができないということがあるのですが、それはそれとして、そういうことについて第三者チェックとか、我々学者でもレフェリーがいてチェックをするということですが、ほかの省でよくやられているのは委員会をつくって専門家の第三者が中身をフォローしてチェックをするということをやっているところも多いのですけれども、その辺についてどういうお考えなのか。何かその手のものがないと評価についてはまずいかなという気はいたします。
○秦評価監視官
   この評価に当たりまして、専門家の方々4人で7回ぐらい研究会を開いております。その研究員の方々にもこの方向性を説明して御納得いただいている状況ではあります。
   また、学識経験者の知見の活用ということで、公認会計士に参画をしてもらい、それから、有識者のインタビュー調査も行い、外国調査等に関して民間シンクタンクの方の委託調査を行いました。
○金本臨時委員
   それについてのお名前とか構成などが記述してないというのは何か意図があるのでしょうか。
○秦評価監視官
   研究会のメンバーは、資料編で明らかにするつもりでおります。
○翁専門委員
   さっきの関連で、梶川先生などが御指摘になった点ですけれども、費用対補助効果のところで御説明があったように、出資金等の機会費用が低下して上がった分というのは相当あって、それはやはりここ10年間の金利低下による部分で相当それが出てきていますので、そのこともきちんと書いておいた方がいいのではないかと思います。やはり相当それによる効果というのは大きいはずですので、政策コスト分析なんかを見ていても非常に大きいので、それはきちんと書いておく必要があると思います。
○秦評価監視官
   その影響はあると思います。数値のとらえ方によっていろいろ変わってくるものですから、どのように、何をとらえたかということは、表なりの注意書きでもって明らかにしておきたいと思います。
○金本臨時委員
   若干しつこいですが、こういうものについて有識者の研究会があるときに、その有識者の責任はどこまでなのか、どこまで責任を負うのかといったことがあると思います。評価書で出すときは、評価自体については役所側が責任を持つということですが、それについて研究会でちゃんと精査したならば研究会の報告書があって、それについて研究会のメンバーの方々が責任を持つといった二重体制をとっているところもありますので、その辺の仕切りをきちんとやっておかないと、研究会のメンバーの方々自体も、どこまで責任を負うべきかということについても困るのではないかという気がいたしますので、この辺をお考えいただきたいと思います。
○秦評価監視官
   研究会については、有識者のお知恵を拝借するということで、評価書そのものは総務省の責任で行います。先生方の御意見も踏まえて、各省、制度官庁も含めて議論も行ってきました。そういうことでお知恵を拝借しましたけれども、この評価書の責任は総務省でもって行うということでございます。
○田中専門委員
   全体の話の中で、例えば住宅公庫のような大きなファクターを持つものの性格、変動が全体に影響を与えているような傾向が見られると思うのですけれども、全体の傾向として表現をするときにこういう大きな特定のファクターを独自に分析をしないで大丈夫かなということをちょっと感じるのですけれども。
○秦評価監視官
   公的資金供給の中で、住宅公庫、政策投資銀行、あるいは公営公庫は、やはり相当のシェアを占めております。ですから、全体の数値で判断する際にはそれらの機関の動向に引っ張られるおそれもございますが、各機関ごとに数値そのものは全部示しておりますので、紛れのないような形にしたいと考えております。
○富田分科会長
   結論はよくマスコミなんかで出てくるような一般的なものと大きな乖離がないものになっていて、結局どのようにして政策評価をしたのかということに関心を持つわけですね。そのときに今回は2点柱を立てられて、補完ということと、それは効率的な政策体系かということなのですけれども、結局、補完でも何を補完しているんだという定義がない、信用リスクを補完するものなのか、マーケットリスクを補完するものなのかということですね。それぞれについての議論が明確ではないので、例えば分科会で出された御意見の例の一番最初のところで、信用リスクの調整についてちょっと私には理解できないところがあるように思うんですね。だから、この場に及んで最初からどうのこうのとは申し上げませんけれども、結局、補完と言う場合には、信用リスクなのか、何を補完するんですかということはやはりはっきりしなければだめだろうし、そして、それを評価するということで、評価書をつくるのであれば、結局は補完ということがきちんとなされている証明をどこに求めるんだということですね。それが求められているかどうかということを含めて評価していくということが手続としては必要なんだろうと思うんですね。だから、そこがまず第1の点です。
   それから、費用対補助効果分析については、これでいくとバイディフィニションで補助金とか利子補給というのはいつも1ということになるわけですね。では、直接融資の方が効果が高い、あるいはさっきの中小企業への特別保証だって1以上の効果があるというのは何か聞いていてどうなんだろうかなと思うんですね。たとえ機会費用を入れたとしても政策金融を用いた場合の効果は大きいんだというふうに見ていいのかどうか、そこらはちょっとにわかに信じがたいのですけれども、もう少しわかるように説明していただけませんでしょうか。
○秦評価監視官
   最初の何を補完するのかということでございますが、これは経済財政諮問会議の中で政府金融の役割ということで、1つは公共性の要件があり、もう1つは不確実性の要件がございます。この2点を備えなければ政府金融とは呼ばない、あとの不確実性だけの問題ならば政府が乗り出すということでなく少し金利設定なりを考えた民間でやり得る場合があるということが言われております。したがって、ここはやはり公共性があって、基準はまだ明確ではありませんが、不確実性のあるものという分野で民間金融を補完していくということでございます。
   それから、2点目の直接貸出等について、例えば保証・保険等ではなかなかモニタリングがやりにくいなど、そういう資金供給手法間のメリットなりデメリットがあろうかと思います。それから、利子補給あるいは税制にしても、やはり政策的によりよい方法をとる必要があるものがございます。したがって、効率性だけでもってこの供給手法をとるべきということにはならないと思いますので、政治における選択、効率性を勘案した結果の選択で最適な資金供給手法を選択すべきという意見でございます。
○村松委員長
   いろいろ御意見がありますが、私が1つ明白だと思うのは、何を評価したのかもう一度言葉を整えてくださいということ、その手続きについて検討しておいてくださいということのように思います。
   大体これでよろしいでしょうか。
   ありがとうございます。
   それでは、ここで5分ほど休みたいと思います。5分後に再開ということでよろしくお願いします。

(休憩)

[平成15年度行政評価等プログラムの取りまとめに関する報告]
○村松委員長
   再開させていただいてよろしいでしょうか。
   次は「平成15年度行政評価等プログラムの取りまとめに関する報告」ということで、資料に基づきまして事務局から御説明をいただきたいと思います。
○橋口総務課長
   それでは、「平成15年度行政評価等プログラム」につきまして、御説明をさせていただきます。
   行政評価等プログラムにつきましては、先月と昨年の12月に本委員会において御審議をいただきました。4月1日付けで総務大臣決定ということで公表させていただきたいと考えているものでございますが、その概要、ポイントについて御説明させていただきます。
   まず、行政評価等プログラムとは何かということでございますが、行政評価局がどのような立場で何をやっているのか、行政評価局のそれぞれの業務につきましてどのようなことが要請されているのか、そして、行政評価等プログラムは、このような状況を踏まえ、行政評価局が政策評価及び行政評価・監視を重点的かつ計画的に実施するため、平成15年度〜17年度までの3年間において実施する予定のテーマ等を定めるとともに、政策評価制度の推進に関する業務、政策評価・独立行政法人評価委員会に関する業務について定めるものであるとしているところでございます。それから、毎年度見直し・改定を行うことにしております。
   また、構成としましては、「政策評価に関する計画」、「行政評価・監視に関する計画」、「政策評価制度の推進に関する業務」、「政策評価・独立行政法人評価委員会に関する業務」という4つの大きな柱立てをしてございます。先月の委員会で御説明させていただきましたことに新たに加えた点、あるいはポイントと考えられます点を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
   それでは、「政策評価に関する計画」でございますが、この部分は、行政機関が行う政策の評価に関する法律第13条の規定に基づき、総務省が行う政策の評価に関する計画に当たる部分でございます。この中では、「評価の実施に関する基本的な方針」として、「統一性又は総合性を確保するための評価」と「客観性を担保するための評価活動」について記述しておりますが、「客観性を担保するための評価活動」につきましては、各行政機関が実施した政策評価について、政策評価の結果の予算等への反映を念頭に置きながら、引き続き評価の質の向上の観点からの審査を実施し、この一環として概算要求に向けて行われた政策評価の審査については、これらの評価結果を次年度の予算等に適切に反映し得るよう、速やかに審査を行い、関係機関に通知し公表することにさせていただいています。それから、再評価等の実施の必要性の認定につきましては、再評価を実施すべき旨を各府省に示すわけでございますが、その場合、各府省が再評価を行わない場合、あるいは各府省が行ったのでは十分でないと認められる場合に総務省が評価を実施することとなっております。それで、今後は、再評価等の実施の必要性の認定及びそれを踏まえた政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価についての取組を進めることとし、このため、再評価等の実施の必要性に関して、i1 各行政機関が実施した政策評価のうち改めて評価が行われるべきもの、ii2 社会経済情勢の変化等に的確に対応するために評価が行われるべきものについての考え方を整理し、公表することとしております。この考え方の整理につきましては、政策評価分科会の下にワーキンググループを開催して検討を進めることとされたところでございまして、本日冒頭に委員長から御説明していただいたとおりでございます。
   それから、平成15年度から17年度までの3か年に実施する評価の具体的なテーマとしましては、規制改革の推進、国際化への対応、環境問題への対応等政府として統一的又は総合的な対応を要する重要課題に関し、統一性又は総合性を確保するための評価を実施することとしており、具体的なテーマは前回御説明したとおりでございます。これまでいただきました御意見につきましては、今後の調査・設計の段階で検討させていただくとともに、さらに委員の方々の御参画もいただきまして研究会を開催するなどにより、今後とも御意見を承ってまいりたいと考えているところでございます。
   次に、評価の実施に関する重要事項につきましては、特に調査、研究等の推進ということで、評価法施行2年目を迎えまして、行政評価局が行う政策の評価の質の更なる向上等を図るため、必要な分析手法等の調査、研究等を推進することにしております。具体的には、例えば検査検定、湖沼等におきまして、各テーマごとに研究会を設けまして、その調査、研究等を進めているところでございますが、今後、規制に関する政策評価の手法等につきまして調査、研究に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
   それから、行政評価・監視につきましては、「行政評価・監視の実施に関する基本的な方針」といたしまして、政府の重要行政課題の解決の促進、国民本位の行政の実現、行政改革の推進・実効確保、経費の効率的使用等のため、引き続き重点的な取り組みを推進することとしております。特に規制改革の推進などの政府の重要行政課題に係る政府関係機関からの協力要請に対しては、積極的に協力を行い、また、国民からの苦情、事故・災害、不祥事件等を契機として、早急に改善を要するものについては、機動的に行政評価・監視を行うということでございます。政府の重要行政課題に係る政府関係機関からの協力要請に関しましては、タイミングの問題もございますが、例えば、構造改革特別区域制度等の推進状況等につきましても、要請等を受けて行政評価・監視等を行ってまいりたいと考えているところでございます。
   それから、既往の勧告のモニタリングや規制制度の全体像の把握につきましても、平成14年度に引き続き実施いたします。それから、地域計画調査ということで、私どもが持っております管区行政評価局あるいは行政評価事務所等におきましても、地域における行政上の問題の具体的改善を図るため、行政評価・監視を行っていくこととしております。
   それから、大きな柱の3番目といたしましては「政策評価制度の推進」ということで、評価法を持っている制度官庁という立場から、政府全体における政策評価制度の事務を総括していくという業務でございますが、「適切な実施の推進」あるいは「予算等への反映の推進」等々をやっていくこととしております。
   それから、政策評価・独立行政法人評価委員会に関する業務につきましては、本委員会の事務局の機能といたしまして行政評価局が行う業務を整理したものでございます。1つ目は、政策評価関係ですが、先ほど述べたことでございます。2つ目は、独立行政法人評価関係につきましては、特に独立行政法人の関係につきまして、「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告についての審議」ということで、中期目標期間終了時に主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組についての御審議を賜るということでございます。15年度末にも中期目標期間3年のものが出てまいりますので、それについてどのような取組をお願いするかということでございまして、その御審議をお願いしたいと考えております。
   本プログラムは以上のような内容として4月1日に大臣決定ということで公表させていただきたいということでございます。
   御説明は以上でございます。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   この件につきましてはこれまでも本委員会において御議論をいただいているところであります。今の御報告に関して何か特段の御質問等があればお願いしたいと思います。
   よろしいでしょうか。
   それでは、本日予定した議題は以上でございますが、最後に、今後の委員会全体の運営について、御提案がございます。まず事務局より御説明をいただきたいと思います。

[その他次回日程等]
○水野政策評価審議室長
   今後の委員会全体の運営に関しまして、本委員会の審議の対象となる独立行政法人が今後増加する、あるいは、政策評価の客観性担保評価活動等の業務が増加するという今後の業務量増等を勘案しますと、それが委員会の開催回数増にもつながっていくのではないかということで、これまで行っておりました委員会の構成、あるいは、委員会と分科会の役割分担について御検討をいただいたらどうかということでございます。
   今までは、各分科会単独と委員全員お集まりいただいた委員会と分科会の合同会議という構成で運営してきておりました。特に合同会議につきましては、政策評価分科会と独立行政法人評価分科会の連携の確保、当初の制度の基盤づくりに当たってより広く委員の皆様方からの意見を得る必要性、制度発足に伴って、趣旨あるいは仕組み等の理解を全体で共有していただくという趣旨で開催してきておりました。しかし、当初の制度の基盤づくりに当たってより広く委員の皆様方からの意見を得る必要性及び制度発足に伴って、趣旨あるいは仕組み等の理解を全体で共有していただくという趣旨につきましては、当初の基盤づくりもほぼ終了、あるいは、制度発足後既に2年目ということでございますので、これからはむしろ制度論から運営論に移行していくのではないかということです。残る「連携の確保」につきましても、各臨時委員、専門委員には、テーマ等に応じまして、例えばオブザーバーとして参加をいただいたり、あるいは、それぞれ必要なワーキンググループ等に分科会の枠を超えて御参加をいただくということで連携の確保を図っていけるのではないかということでございます。
   具体的には、「通常案件」や「個別案件」につきまして、基本的には、分科会で御議論をいただき、議決を要するものにつきましては、委員会の7人の委員、所属する臨時委員、専門委員の方々にお集まりをいただいた委員会として議決をしていただく、これを委員会2) と整理させていただきます。したがいまして、今まで行っておりました合同会議につきましては、委員会の運営に関する事項と委員会全体にかかわる事項、あるいは、委員長が案件によっては全員にお諮りした方がよろしいのではないかという案件がございましたら、その件について合同会議を開催するということにさせていただいたらどうかということでございます。
   委員会審議の例としましては、政策評価テーマ関係につきましては、これまでは、ほとんどの段階で委員全員にお集まりいただき御審議いただき、取りまとめ中間段階での審議は、政策評価分科会ということでございました。変更案としましては、政策評価テーマ関係については、全て政策評価分科会の方で御議論いただき、議決案件を要するものにつきましては、先ほどの委員会2) のところで決定をいただくということでございます。独立行政法人の業務実績関係につきましては、これまでは大部分を分科会で審議していただいておりましたが、これにつきましては、同様に独立行政法人評価分科会で審議していただきますが、また、決定を要するものにつきましては、これまで委員全員で御審議いただいておりましたものを、委員会2) のパターンで審議していただいたらどうかということでございます。
   以上でございます。
○村松委員長
   ありがとうございました。
   こういうことでやっていく方が運営論としていいのではないかという御提案でございます。これは、本委員会の業務量が増えていくということが一方にあって、他方でより効率的・効果的な調査審議を進めていかなければいけない、しかし一体性も失ってはいけない、テーマごとに柔軟性のある機動力のある対応を各委員との関係でしなければいけないと、いろいろな要請がありますけれども、それらを勘案いたしまして、これを基本として運営をしていったらどうかということで考えているわけでございます。
   いかがでしょうか。
   では、こういうやり方で運営していくということで、前よりも実質的、運営論的になると私は理解しておりますが、この運営方法に沿ってやっていきたいと思います。
   それでは、最後に、次回の委員会の日程等を事務局より御説明いただきたいと思います。
○橋口総務課長
   まず4月の日程でございますが、4月25日の第4金曜日に、政策評価分科会を予定させていただき、案件は、平成14年度の各府省の政策評価の実施状況についての御説明をさせていただく等々でございます。
   それから、5月23日、これも第4金曜日でございますけれども、平成14年度における独立行政法人評価に関する活動状況の報告書の取りまとめに関する審議・決定ということでございまして、御意見の決定をいただくということで、先程の委員会2) の形で開催させていただきたいと考えております。
   それから、5月と6月には政策評価分科会もしくは独立行政法人評価分科会を開催させていただければと思っておりますが、その内容あるいは日程等についてはまた後日調整をさせていただければと思っております。
   それから、6月27日は独立行政法人の関係で、主要な事務事業の改廃に関する勧告の取組方針の審議・決定ということで、これも先ほどの委員会2) のパターンでお願いしたいと考えているところでございます。
   当面のスケジュールについては以上でございます。
○村松委員長
   それでは、これでいいでしょうか。
   そうすると、次回は4月25日ということですね。
○橋口総務課長
   4月25日に政策評価分科会、それから、独立行政法人評価分科会の日程等は御連絡をさせていただきたいと思っております。
○村松委員長
   では、以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会の第24回の会合を終わります。
   どうもありがとうございました。
〔了〕