政策評価・独立行政法人評価委員会(第25回)議事録


1.日時 平成15年5月23日(金)14時から15時40分

2.場所 中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
  (委員)
          村松岐夫委員長、丹羽宇一郎委員長代理、樫谷隆夫、永井多恵子の各委員
雨宮肇、黒川行治、黒田玲子、松田美幸の各臨時委員
稲継裕昭、武田尚仁の各専門委員
  (事務局)
  田村行政評価局長、柚木官房審議官、橋口総務課長、讃岐評価監視官、安治川政策評価審議室長 ほか

4.議題
 (1)  「独立行政法人評価年報」(仮称)の取りまとめについて(審議)
 (2)  独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組みの方針について(独立行政法人評価分科会における審議状況の報告)






○村松委員長
 時間がまいりましたので、これより、政策評価・独立行政法人評価委員会の第25回会合を開会いたします。
 本日の議題に入る前に、本委員会の事務局に人事異動がございましたので、御紹介します。当委員会の事務局である総務課政策評価審議室の水野室長が異動になりまして、後任として、安治川室長がお見えになりました。
○安治川政策評価審議室長
 安治川でございます。よろしくお願いいたします。
○村松委員長
 よろしくお願いします。
 早速でございますが、本日の議題に入らせていただきます。第1の議題は、「独立行政法人評価年報」(仮称)の取りまとめについてということでございます。事務局のほうから説明をいただいた上、御意見をいただきたいと思います。
 事務局、お願いします。

[「独立行政法人評価年報」(仮称)の取りまとめについて(審議)]
○讃岐評価監視官
 それでは、資料1ということで、独立行政法人評価年報(案)とございます。これにつきましては、今週の火曜日に独立行政法人評価分科会を開催いたしまして、大枠として分科会長に御一任いただいたということでございます。大部でございますので、分科会での議論と、その後の修正点を中心に説明させていただきたいと思います。
 まず、全体の構成は、もう何回か御覧になっていただいているかと思いますけれども、最初の2枚紙で全体の構成ということで、第1部が独立行政法人の概況、第2部が評価に関する情報を要約したもの、第3部が今後の評価に当たって、それを有効に進めるための調査研究活動を書いてございます。最後に資料編ということで、各法人ごとの数値データなどについて盛り込むとともに、中期目標・中期計画等の概要を載せているというもので、全体三百数十ページくらいになると思います。これにつきましては、さらに、必要なデータなどを補足し、また、細かい文言の修正を行った上で、6月中くらいの公表を目途に作業を進めていきたいということでございます。
 内容でございますけれども、まず、タイトルは、年報という形で、また、評価を中心としたさまざまな情報を盛り込むということで、「評価年報」という名称にしたいと考えて作っているものでございます。
 まず、「はじめに」というところですが、委員長の前文ということで、この年報を取りまとめる趣旨として、独法の運営と評価に関する情報が国民各層に提供されて、独法制度の理解の向上が図られ、制度の信頼性を高めていくという観点からまとめたものであるということでございます。
 1ページ目の一番最後のパラグラフで書いてございますけれども、ここで取りまとめたのは、運営の概況といいましても、役員の人数とか、給与の全体像とか、あるいは予算、決算の状況とか、どうしても外形的に資料として取れるものが中心となっております。公表資料の大部分はそういうものであるということでございますが、ただ、本当に独法が自律的な組織運営を可能とするような内部管理の向上とか、あるいは職員の意識の改革というものがどこまで図られているのか、そういったところも、国民の関心などが非常に高いところであると思いますし、また、そういった情報を共有することによって独法同士が切磋琢磨をしていくということも期待されるわけでございますので、今年は、そういう情報が必ずしも得られなかったということもございますけれども、そういう情報もできる限り明らかにしていき、これが明らかになることによって、さらに独法制度は向上していく、そういうことが望まれるということを改めてここに書き記してございます。
 それでは、内容ですけれども、最初のほうに制度の概要等がございまして、さまざまなデータがございます。ちょっと細かい話になりますけれども、分科会での議論ということを中心に御紹介しますと、20ページ、21ページに役員の状況を書いているところがございます。21ページで、役員のうち、国民の関心が高いものとしては、退職公務員がどのようになっているのかというデータがあります。これは国民の関心も高いということでありますし、また、これは人事制度を所管する人事・恩給局等が中心となってまとめた公表データというものがあるわけでございますので、それをここで改めて紹介しているものでございます。ただ、退職公務員、独立行政法人等の退職者の全体の役員数に占める割合でございますけれども、もともと、初年度であるので、独立行政法人に移行するような国の機関にいた人というのは果たして退職公務員なのか、あるいは独立行政法人等の退職者に入っているのかいないのか、役員数のうち、これらの退職公務員などを除いたものとしてどういうものが残るのか、そこをきちんと明確にしておく必要があろうということで、注書きを充実して記載したものであります。
 2)として、役員の報酬とございます。ここは「P」と大きく打ってございますけれども、給与の決め方も自由になったということで、基本ベースを月額で決めているものと年俸で決めているもの、さらに、調整手当というようなものを含めているもの、含めていないものがあって、数字が比較できるようなベースで記述することで正確性を高めるために、今、その作業を行っているところですので、「P」としております。ただ、22ページに表がございますけれども、全体に、国家公務員と比べたときに、どのレベルになるのか、次官級なのか、局長級なのか、あるいは、それ以下なのか、ということを大体まとめてみると、このようになりますということでございます。
 次に、35ページ以降でございます。35ページ前後に書いているのは、財務、会計についてということでございます。この財務、会計の中では、35ページの4)で、目的積立金という、経営努力と認められたものについては翌年度に積み残すことができて、それをあらかじめ決められた使途に使うことができるという、いわばインセンティブのシステムというものを独法は盛り込んだ、ここが独法の予算管理の大きなひとつの目玉ということであるわけです。この意義というものをきちんと書いて伝えるようにする必要があろうということで、最初のパラグラフの最後のところですけれども、「その額は、法人における経営努力を示す指標の一つとしても位置付けられる」ということを明確に書いてございます。
 それでは、その指標というものが、例えば、各法人ごとにどの程度であったのか、それは、全体の予算額に占める割合はどうであったのかという点と、さらに、その経営努力は、どのような理由で認められたのか、その理由まできちんと示していくということによって、さらに情報を共有し、国民にも発信し、また、こういうインセンティブの仕組みを活用していこうという意欲を促すということが確かに期待されるということになると思うのですが、本年度は初年度であったということもあり、経営努力というよりも、例えば、自己収入が増えた、美術館・博物館で非常に入場者が増えた等の理由によるものは多いものの運営費交付金をどれだけ節減して、どれだけの積立金を立てたのか、そこまで十分分析し得るに至っている状況では必ずしもなかった、まさに、そのために内部会計管理の改善を促していく必要はあろうと思いますけれども、今の段階でどのような理由で経営努力が認められたのかについて、明確な理由・データというものも十分ではないと思いますし、また、それ自身、公表するという仕組みにはなっていないわけでございまして、分科会での御議論はありましたが、そこまでのデータを記述するということにはなってございません。
 次の36ページですが、行政サービス実施コストの状況についても、独法について、新しく行政サービス実施コストというものを計算し、公表するという仕組みが導入されたわけでございますが、これは、行政サービスの実施に伴う国民負担を明らかにするという意義を持つものでありますので、その意義というものを適切に書いておこうということで、最初のパラグラフを付け加えたものでございます。
 以上、データの整理等に関して、前回の分科会であった議論を御紹介いたしました。
 次に、これは分科会長御一任ということになったわけでございますけれども、52ページを御覧いただきたいと思います。当委員会の評価活動について、御承知のとおり、ワーキング・グループを開催して検討作業を行い、1次意見、2次意見をまとめたわけでございます。ワーキング・グループの開催実績、担当府省、合計では18回開催したという情報を載せておく必要があろう、さらに、構成委員名ということで委員の名前をここで載せておくという原案であります。こういう形で明らかにするのは、この年報において初めてなわけです。分科会の中で、委員の名前までここで明らかにしておくことがどうなのであろうか、確かに中立性ということはあるわけだけれども、逆に、この人がこの担当をしているということで関係者から無用の働きかけを誘発するということは懸念されないだろうか、あるいは、実質はここで決めているのではないかと誤解を持たれないかというような、さまざまな御意見がございました。それに対しては、やはり、評価というのはオープン、透明なプロセスで行っていくということが重要であるということで、それを各府省に対しても我々は強く求めているところであって、逆に、ここで構成委員を出さないということになると、かえって不透明感が高まるということになるかもしれませんし、また、情報公開などがあったときには、出さなければいけないようなものをここに出さずに、後々出すということになると、これは逆に不適切なことになろう、やはり、これは適切に載せておくことが重要なのではないか、委員の名前自体は既に外に明らかにしているわけでございますので、この作業に携わった委員というのは、その中のマネージメントの話であるので、公開しておくのが適切ではないか、そういう御意見があったところでございます。これは分科会長御一任ということでございますけれども、先日の分科会にはいらっしゃらず、今日出席された委員の方もいらっしゃいますので、本日ここで御意見なども伺った上で、適切にお決めいただくということが必要であるということでございます。
 あと、構成は御覧いただいているとおりでございます。各府省の評価結果などを個票の形で、58ページ以降、分かりやすくまとめているものでございます。
 さらに、最後に、115ページ以降ですが、独立行政法人評価の有効性を高めるための調査研究活動ということで、樫谷先生を中心として、4人の先生方で検討をしていただいている財務の研究会において、内部の管理会計がどのようになっているのかということを照会しているところでございます。その照会結果をまとめ、掲載しようと考えているところでございますが、データを集計中のところがございますので、これは、正確なものにして載せていきたいと考えているところでございます。
 以上、分科会での審議経過等を踏まえた御説明を終わりたいと思います。
○村松委員長
 御説明いただきましたように、データに関しては、ほとんど終わっているのですけれども、まだ少し、努力中というのか、最終的な準備があるということです。そのほかの点に関しましては、分科会としては分科会長一任ということでお決めいただいているようですが、まず、中身につきまして、さらに御意見があれば、ここで伺うのがいいだろうと思います。
 もうひとつは、ワーキング・グループの構成について、分科会でも多少意見は割れたけれども、最終的には分科会長の御判断、分科会長一任ということになっています。
 その2点につきまして、御意見をいただきたいということでございます。
 まず、内容の御説明をポイント、ポイントでしていただいているわけですが、いかがでしょうか。
 お願いします。
○丹羽委員長代理
 ちょっと御質問をしたいのですが、20ページに役員の数が出ていますけれども、一般的な関心から言うと、やはり、天下り的なものがあるのではないかというのが国民の関心として結構あるし、メディアなんかもそういう形で取り上げていると思う。そうした人員構成なんかも出しておく必要があるのではないかと思うのですが、これはどこかに出ていますか。
○讃岐評価監視官
 本当の意味での天下りというのがどういうものであるか、退職公務員等がどのようになっているのかという全体の数字を21ページに書いた上で、個別の法人ごとにどうなっているのかというものにつきましては、資料編の5ページをお開けください。個別の法人ごとに、常勤、非常勤の役員が何人いて、うち退職公務員等が何人いるのか、ということを明らかにしてございます。
○村松委員長
 今、その他の職員のことをおっしゃったのですか。
○丹羽委員長代理
 全般に、こういう場合に、一般的な意識として、相当天下りが多いのではないかという感覚があります。だから、資料として出す場合は、その辺についても、どれくらいのものになっているかということが分かるようにしておいたほうがいいのではないかということです。
○讃岐評価監視官
 実際、本当の意味で公務員から行った人、独立行政法人になるような組織から行ったような人を合わせると、21ページの表で見ますと、常勤役員全体で80%くらい、残りの20%は何かといいますと、21ページの注で書いてございますけれども、民間企業の出身者や国立大学の退職者ということで、国立大学の学長をやったような人が研究機関のトップ、あるいは理事になっているような例が、大体20%くらいであるということをここで明らかにしているものでございます。
○丹羽委員長代理
 ということは、60歳を過ぎた人というか、公務員の退職者というのは、大体そういうことを指すわけですか。
○讃岐評価監視官
 そこは、例えば、退職公務員とは何なのかということですけれども、前のページの本文で、退職公務員とは、本府省の課長・企画官相当、管理職クラスくらいが前職であって、そこで、いったん辞める形をとって独法という別な組織体に行く人というもので、理事長と理事、さまざまございますけれども、理事については、まだ若い人も入っていると思います。退職公務員で理事長についている場合は、大体、言ってみれば本省の審議官級とか、あるいは局長級とか、あるいは、最終ポストを辞められたような、そういう人が多いのではないかと思いますが、年齢構成まではここでは把握してございません。
○村松委員長
 はい、武田委員、どうぞ
○武田専門委員
 今の役員のこととも関係するのですけれども、独法の理事長、理事の役員ポストと、その前の国の機関であったときの管理職というのでしょうか、そのポストの比較みたいなことは可能なのか、可能でないのか、そのあたりも関心事ではないかなという気がしますので、そのあたりをちょっとお伺いできたらと思います。
○讃岐評価監視官
 そこも、確かに、これまでさまざま議論になっているところでございまして、純然と比較できるかというと、組織のトップというものがそれぞれいたわけです、それに、独法というのは、基本として、一つの所帯を構えるに際して、監事を2人付けなければいけないということで、これまで国の内部機関であったときには監事が必要なかったわけですが、その分は、独立した組織としての内部のチェック体制の必要性ということから、当然に増える部分があって、しかも、監事2人のうち1人は民間人を充てなければならないということになっています。それに、理事長を補佐する者として理事クラスというものを何人か入れてございます。その分は、トップマネージメントがどうであったのかという捉え方だと思うのですけれども、果たして理事というものがどこにどう対応しているのか、それは、それなりの職務責任を分担していて、それなりに給料をもらっていた人なのかどうかというのは、ここはなかなか対応関係が難しいところでございます。ただ、いずれにしましても、説明といたしましては、やはり、一つの組織を構えたということに伴う必然的な増というものもあるだろうということは言えると思います。
 ただ、それにしましても、「ずいぶん増えた、増えた」というふうに言われている印象が強いのですが、本当に増えたというところは、監事が2人、必ず増えたということで、57法人ございますから、それは自動的に百何人増えて、その監事も、民間から必ず1人は登用しなければならず、非常勤監事というものが非常に多くなっているということでございます。世間のとらえ方は、若干、本当の意味での正確性というものは欠いているのかなと思います。そういったこともございまして、監事というものが、常勤、非常勤、どの程度なのか、そういったデータも20ページなどに整理をしてございます。
○村松委員長
 よろしいでしょうか。
 そのほか、ございますでしょうか。
 それでは、ここのあたりは、ちゃんとできるだけ世間の関心に応えようということでやっておられると思うので、今回、この年報の書き方でいくということで、よろしゅうございますか。
○丹羽委員長代理
 できるだけ透明度を高めるというか、情報開示をしていかないと、誤解をされるということも困りますよね。だから、その辺だけはっきりしておかれればいいのではないかと思います。
○村松委員長
 今の監事のケースのように、役員が増えているということなどそんなには知られていませんでしたね。
○丹羽委員長代理
 非常勤というのは無給ですか。
○讃岐評価監視官
 働いた時間や日数に応じて、週2時間であれば、2時間時給とか、そういうことでもらっているはずでございます。
○永井委員
 役員の報酬の書き方なども、事実こうだということを書いているにすぎない、評価しているわけではないですね。
○讃岐評価監視官
 はい。
○永井委員
 要するに、通則法の第52条及び第62条により、こうなっていると。
○讃岐評価監視官
 はい。
○永井委員
 おおむね、前と同じ水準を保つことになっているということなのですか。
○讃岐評価監視官
 まさに、我々が評価として取り組む以前の現状というものがどうなっているのか、まずそこを明らかに、透明にしようということを中心に書いているものでございまして、公表資料をさまざま、各法人ごとに出ているようなものを全部集めてみて、例えば比較をしてみると、どんなふうになっているのかとか、そういう趣旨で書いているものでございます。まさに、これを見て、国民の皆様が判断できるような、そういうデータということで考えております。
○稲継専門委員
 ちょっと質問なのですが。資料編の6ページに常勤役員の俸給月額が載っております。確定俸給月額で記されているところは分かるのですが、例えば、物質・材料研究機構理事長ですと、1,082,000円以上となっています。あるいは、その下の防災科学技術研究所でも、1,003,000円以上となっています。つまり、以上ですから、幾らでもいいという規定にも読めて、それが、右の欄で、法人の長の報酬の水準が「C」となっていまして、これは、府省の局長級の水準ということを表すわけで、これは、こういう対応でいいのかどうか、ちょっと疑問なのですが。
○讃岐評価監視官
 実際に、支給のベースとなる支給規定をもとに書いたもので、理事長について「以上」と書かれているものが若干あるわけですけれども、これは、法人ごとに、個人の業績、組織の業績を踏まえてプラスマイナスをすることができる等の規定が書かれていることを踏まえてのものであると思います。それでは、実際の支給が幾らであったのかということは、これは、毎年、財務諸表の中で役員に対する報酬というものを公表しなければいけないということで、理事長と理事、全体を合計して出てくると思います。今の段階で必ずしも公表資料としてこれ以上のものが得られないということでございますので、ベースとなるものを捉えて分類当てはめを行うという整理をいたしました。
○村松委員長
 当該理事長さん御自身は、「以上」ではなくて、正確に書いてくださいと思うかもしれませんけれどね、規定でやっているわけですね。
○讃岐評価監視官
 はい。規定を踏まえてということでございます。
○永井委員
 退職金の規定もこの中にありますか。
○讃岐評価監視官
 はい。退職金についても規定を作ってございます。
○永井委員
 それは書いてありますか。
○讃岐評価監視官
 今回、そこまでのものは整理をしてございません。次の課題として、公表資料を取りまとめるということで、どこまでの範囲にするのかということについて、検討していくということにしたいと思います。
○村松委員長
 どうでしょうか。よろしいでしょうか。ちょっと勉強が残っていると思うので。
 はい、どうぞ。
○武田専門委員
 御説明の中にあったかとは思うのですけれども、ルール上、経営努力の認定に基づく目的積立金は義務付けられているわけではないということで理解をしたのですけれども、実際に、主務大臣が承認するというプロセスだとか、そのあたりは何かつかむことができるのでしょうか。全く恣意的に決められるものなのか、ある一定の手続きをきちっと踏むようになっているものなのか、そのあたりをちょっと。
○讃岐評価監視官
 これは、主務大臣が財務大臣との協議を経て承認をするということになってございまして、財務省のほうで横断的に見て、一定の手続きで同意をするということになるものだと理解をしています。それが果たしてオープンにできるのか、できないのかということについてなのですけれども、これは公表する資料になっていないのですが、それはちょっとあまりにも非弾力的すぎるのではないかという御指摘かと思います。実際に、果たして初年度でどこまで本当の意味での経営努力を認めることができたのか、そこは、まだ若干試行錯誤の面ということもあります。また、資料編の23ページに、どの法人はどれくらいの目的積立金が積まれたのかというのがございますけれども、ここも、多くのところは自己収入などが予想以上だったというところが多いのではないかという傾向はつかんでございます。経営努力を明確にとらえるためには、その前提としての内部の会計管理業務に要したコストの管理というのをきちんとしないと、なかなかうまくつかめないということになってくると思うのですけれども、これから次の評価を進めていく中で、また評価に取り組んでいく中で、本当に経営努力というものはどのようにして認められるのか、そういう状況をきちんと積み上げていかなくてはいけないということだと思います。その状況を積み上げながら、どういう理由で認められているものなのかということを、我々としてもよくウォッチして、突き詰めていきたいと思いますし、また、少なくとも今後何らか我々としての考え方なり、認識なりが得られれば、そういったものをオープンにしていくということであると思っているところです。
○村松委員長
 はい、どうぞ。
○樫谷委員
 今の目的積立金なのですが。これは非常に重要な指標だと思うのですが、経営努力と認定されたものが、結局、6億600万円ということで、全体の予算が、運営交付金だけで3,600億円あって6億円ということは、0.2%に足らないわけです。丹羽委員長代理のお言葉を借りるとしたら、とんでもないと、「わずか0.2%しか経営努力をしなかったのか」みたいな誤解も、たぶん、もっといろいろされていると思います。これは非常に重要な指標だと思いますので、今後、どういう形で示していくか、ぜひ、目的積立金の開示を財務に関する研究会でも検討をしていきたいと思っております。
○村松委員長
 たぶん、大きな検討課題であると思います。
 それでは、まだこの議題は続いていますから、また戻っていただいていいですけれども、ワーキング・グループの構成委員の公表の仕方について、52ページ、53ページにあるとおりでよろしいか、分科会では、これでいこうという案であったと伺っておりますが、こういうことでよろしいかということを、一応、お諮りしたいと思います。
○丹羽委員長代理
 公表するデメリットは何ですか。
○村松委員長
 私が感じたのは、ひとつは、班ごとの意見が分科会に出て、ほぼそのまま委員会でも通るという誤解を与えることがあり得る、つまり、その過程では、ずいぶん非公式、公式の議論があり、いろいろな知識、専門の分野の方が委員でいらっしゃるわけですけれども、そういう知識が供給されて最後の決定になっているという形が十分に出ていない。あたかも、ワーキング・グループごとに全部決めているかのように誤解されるかもしれないと思ったということです。まだ、そのほか、いろいろな議論が出たのですね。どういう議論でしたでしょうか。
○讃岐評価監視官
 簡単に説明しますと、やはり、名前というものを出すということに関してなのですけれども、実績は何らか示していかないといけないだろうとしても、名前というものを出すと、この人がこの分野に関わっているということが分かると、何らかその分野に有利になるような説明とか働きかけみたいなものがその人に集中したりするような懸念はないだろうかということ。また、中立性の確保という観点から言うと、その分野からある程度離れた人が評価に取り組まなければならないが、そういう前提で取り組んでいる中で、名前というものが明らかになるということになると、本当にその分野を本当の意味で100%知っているわけではない専門家でないような人も取り組んでいるということで、逆に誤解を与えかねないのではないかということ。デメリットというのは、まさに、そういう懸念はないだろうかということでございます。
○丹羽委員長代理
 御本人たちが「ノー」とおっしゃれば別ですけれども、利害衝突がなければ、それほど大きな問題ではないのではないかと思うのですけれども。ただ、何か利害が相反するような立場の人が行うということがあると、ちょっと問題があるということだけではないだろうかと思うのですけれども。だから、ここにおられる方、ワーキング・グループの方が「いいよ」とおっしゃれば、公表してもよろしいのではないかと私は思います。
○村松委員長
 はい、黒川委員、どうぞ。
○黒川臨時委員
 私は、ワーキング・グループのメンバーとして、今、讃岐さんからおっしゃられたような論点で尽きていると思いますから、付け加えるものではありませんが、こういうものを一回公表するということで、仮に、讃岐さんがおっしゃったデメリットがあるとすると、これは大変だろうと思うのです。いったん公表したものを、デメリットがあったということで来年から削るということになると、ディスクロージャーの後退というふうに、いくら説明してもマスコミはとらえるかもしれないということも勘案して、慎重であったほうがいいのかなという気がしているわけです。
 特に、今回は、改廃の勧告というか、中期目標期間の終了までいっていないからいいようなものの、今後、そういう改廃に関する審議もどうなってくるのかということで、そのときには、もちろん、ワーキング・グループというような形をとるかどうかは分かりませんけれども、そのときに、年度の評価のワーキング・グループだった人たちは、やはり、中期目標期間の方の評価についても主として意見を言う人たちになる可能性があるわけです。そうすると、先ほどの心配事の中の、特に事情を詳しく御説明したいというようなことで個別に各委員のほうにお話に来るというようなことも、ないとは言えないと思うわけです。
 ですから、ともかく、責任はこの全員で負っているわけだから、とりあえず、ワーキング・グループの中はこの4人に責任があるわけでもないし、ただワーキング・グループということで分担しただけですから、今回は見送っておいたほうが、慎重なほうがいいのではないかというのが私の意見です。これは、火曜日の分科会に出られなかったので、一応、私としての意見は述べる義務があると思いましたので、述べさせていただきました。
○村松委員長
 武田委員、どうぞ。
○武田専門委員
 私も、慎重であったほうがいいのではないかという感じを持っています。といいますのは、マネージメントであるから公表してもいいじゃないかというお話、確かにそうだなというふうに思ってはおるのですけれども。ただ、始まって間がないということで、マネージメント自体も、形態も変わる可能性が非常にあるわけでして、今は省庁別に担当しているというものが、場合によって変わっていくかもしれないというようなこともありまして、そのあたりも考えると、あまり固定的に「これでやっています」ということは言わないほうがいいのではないかなという印象を持っています。ただ、個人的には、公表されてはダメだとかということではございませんので、それは決定に従いますけれども。そんな感じを持っております。
○永井委員
 発表の時は、名前を公表しても、作業をする前に公表しなければいいのではないですか。
○村松委員長
 今はいいけれども。
○永井委員
 イギリスなんかでも、そうですよね。いろいろな補助金、いろいろお金を配るのでも、最終的にはこうでしたということで公表し、その次はその人を取り替えるわけですよね。やはり、公共のためには、なるべく情報公開はしていったほうがいいというのが私の考えです。
○村松委員長
 黒田委員。
○黒田臨時委員
 問題なのは、来年も同じメンバーでいくだろうという憶測を与えることです。これで終わるのだったら、私は公表すべきだと思うのですが。
○永井委員
 終わるときにですね。
○黒田臨時委員
 ええ、これで終わらないで、来年も、きっと同じメンバーでいくであろうという憶測を与えることが問題だということです。
○永井委員
 続くんですね。
○黒田臨時委員
 はい。私は、こういう評価ではないけれども、他の委員会で予算の関係をやっていますが、やはり、いろいろ「御説明したい」というのがいっぱい来ます。私は、一切、大学では会わないことにしていて、御説明は4号庁舎に来てくださいと。でも、説明したい気持ちもすごくよく分かるし、今、黒川委員がおっしゃった改廃なんていうことになったら、これは法人の改廃ではなくて業務の改廃ではあるものの、その二つはかなり密接に関連しているところがあるわけで、そういうことになると死活問題ですから、結構それは関係者も真剣になると思います。
 委員の名前は全員公表されているので、誰がどこの担当か出さないで、何名ずつ担当したとか、そういうことだけいいのではないでしょうか。それが今回限りだったら出すべきだと思いますけれども。ということが、私が分科会でも申し上げたことです。もう一度、懸念していることを申し上げました。
○村松委員長
 私も多少経験があるのですけれども、大学の先生は時間が無限にあると思われているものですから、面会要求にはすごいものがあります。組織がありませんから、ディフェンドできないですね、その辺の問題は、確かにあります。
○黒田臨時委員
 会社の役員だったら秘書がいて、また他にも誰かいて、コントロールできますけれど、私の場合などは誰もいないので勝手に部屋まで入ってくるのです。
○村松委員長
 樫谷委員、黒川委員の順で、御発言ください。きょうは、非常に大きなテーマが後でありますので、本当は、これを早く終えたいということがあるのですが。どうぞ。
○樫谷委員
 たぶん、某所から直接質問が来て、直接回答するというようなことを求められたのですね。そのときに、こちらとしては、直接回答はしないとか、何かそういうルールを決めておかないと、どうしても直接来たり、質問状が来たり、そういうことになってしまうので。やはり、これは分科会としての結論、あるいは委員会としての結論ですので、むしろ、ルールを作ることも必要なのではないかと思います。
○黒川臨時委員
 2点。仮に出すのであれば、くれぐれも、今年はこうだったけれども、毎年フレキシブルにメンバーを変えていっていますとか、これはきちんと書いていただきたい。もうひとつ、ワーキング・グループは作業機関であり、その作業結果を踏まえ分科会で審議されるわけであるから、そうしたワーキング・グループの職責というものを明らかにしていただきたい。4人なら4人ずつ分担して、ワーキング・グループの我々はどこまで責任があるのか、全員で責任を負っているのか、ワーキング・グループが負ってしまうのか、この辺も誤解を招かないように、くれぐれも書いていただきたい。ワーキング・グループだけで6回、全体会議が1回だけだったら、「もう、実質、ワーキング・グループじゃないか」と、こういうふうに見られてしまいます。全体で職責を負っているのであれば、50何法人もあるのですから、全体会議が1回なんていうことはあり得ないわけです、それもきちんと実質的に外に見えるような形にしていただかないと、もし、ワーキング・グループが責任がなく、全体が負っているということであれば、そういうことまで考えていただきたいと思います。
○村松委員長
 ワーキング・グループは、非公式の資料を整理して、最終的な判断は分科会及び委員会で行うということで出発しているわけです。ですから、制度的理解は内部的には明確であると思いますけれども、外から見たときに、そこがそう明確ではないということを私も心配するわけです。ですから、あたかも、そこに分権化したかのように読まれるようには書くわけにはいかないだろうと思うのです。
 今の全体を通してこの辺かなと私が思うのは、今年は、今のような仕組みをもうちょっと工夫して書いて、公表する。しかし、樫谷委員がおっしゃられたように、御説明したいという主張に対しては、全員で共有したい知識ですから、事務局に御説明ください、我々は事務局から丹念に聞きます、そういうふうに言えるというルールを作っておくのがひとつの方法ですね。やはり、個別的に時間を取られるというのは大変なことだと思います。そこの辺はどうでしょうね。聞くことを拒絶するかのようなことはしない。しかし、今のように対応する。このようなルールというのは社会常識からいって変でしょうか。
○丹羽委員長代理
 いや、そんなことないと思いますよ。
○雨宮臨時委員
 決して変ではないと思います。
○村松委員長
 変ではないですよね。
○丹羽委員長代理
 個別にはお答えできませんと、スポークスマンを決めておけばいいわけですよね。
○黒田臨時委員
 「全部、村松委員長に言ってください」と言えばいいですか。
○村松委員長
 結構ですよ。事務局が受けるという意味で全部お引き受けしますから。
○丹羽委員長代理
 このワーキング・グループについての御質問は、どこどこにお願いいたしますと。
○永井委員
 意思形成過程の情報というのも、公開規定は事後にあるのですか。
○讃岐評価監視官
 はい、ございます。
○永井委員
 情報公開法は、そうですね。
○讃岐評価監視官
 意思形成過程であろうと、むしろ、そういうものを表に出すというのが情報公開法の趣旨であったわけであります。
○村松委員長
 それでいいのではないでしょうか。御説明は、できるだけ事務局にしていただく。そして、我々としては、もし、何か偶然お会いする場合があったとしても、そんなに、誰がこう言った、彼がこう言ったというようなことは、言わない。1年が終わったら、終わったことについては公表するということで、いかがでしょうか。いいですか。
 それでは、そういうことで、よろしくお願いいたします。
 私、ちょっとだけ文章が付け加わるのかなと思っています。
 私はオブザーバーでかなり出ているのですよね。ほかの方も出ていたと思うので、いろいろなオブザーバーも出て、非公式、公式のいろいろなコミュニケーションがあって、いろいろな知識が吸収されているのだ、というように書いていただきたいなと思うのです。
 それでは、この第1の議題に関しては、今まとめたような形でいかせていただくということで、よろしくお願いいたします。
 次に、「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組みの方針について」、これまでの独立行政法人分科会における審議の状況について報告をいただきたいと思います。併せて、最近の独立行政法人評価分科会での審議の状況についても報告をお願いします。

[独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組みの方針について(独立行政法人評価分科会における審議状況の報告)]
○讃岐評価監視官
 それでは、今度は資料の2ということで、タイトルは、素案といたしまして、「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組みの方針について(仮称)」としてございます。これにつきましては、次回、6月27日に、また、この場で委員会を開いていただきまして、そこで最終的に決定をいただきたいということを前提に、今、分科会で審議を進めているところでございます。分科会につきましては、今週の火曜日にありまして、さらに、また6月16日に開催をして、詰めていくというふうにしているものでございます。今の段階での資料ということでございまして、審議経過を御説明するとともに、いろいろ自由に御意見を頂戴できればと思っております。
 制度がなかなか複雑なところもございますので、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 まず、前文のところですけれども、この主要な事務・事業の改廃という仕組みでございますけれども、ちょっと文章から離れますけれども、毎年、毎年、この委員会は評価を行うということです。もうひとつ大きな柱として、中期目標期間終了時に、独立行政法人の主要な事務・事業の改廃についての勧告を行うことができるとございます。この2つ目の仕事のことで、改廃の勧告につきましては、評価とは違うプロセスでございまして、主務大臣が組織・業務の全般にわたる検討、存続、継続も含めた見直しを定期的に行う仕組みになっているわけでございまして、それに当たって、総務省のこの委員会が主要な事務・事業の改廃についての勧告を行うことができる、そういう仕組みになっているということでございます。その仕組みと、その重要性について、前文で述べているものでございます。
 第1パラグラフは、主務大臣が、そういう検討を、定期的に見直しを行うことになっている、この仕組みの重要性といたしましては、組織を、言わばサンセットのような形で定期的に見直すという、これまでの特殊法人にない、あるいは国の機関にもなかったような仕組みを設けたわけで、これが独法のシステムの中核になるものであるという意義付けを書いた上で、当委員会は、3つ目のパラグラフで、主務大臣の見直しの検討を意義あるものとする上で、的確かつ効果的に主要な事務・事業の改廃の勧告を行う必要があるということでございます。
 この方針につきましては、実は、3年で中期目標期間が終わる法人が1つございます。教員研修センターがございますので、それに間に合うような形で、今、作っているわけでございますけれども、次のページで、これからのいろいろな実績を踏まえながら、適時に必要な見直し、改善を図っていきたいということでございます。
 前文の2枚目の最後のほうのパラグラフですが、まず、「なお」のところで、これは、この委員会が勧告に取り組む基本的な考え方、基準を整理したものですけれども、もうひとつ、やはり、主務大臣が組織の見直しを行うための基準というものも必要であって、これは国会で附帯決議で求められているわけでございますので、政府全体の基準というものを、今、定めるべく検討が進められているわけですが、その中には、当然、当委員会での考え方というものを踏まえて、それに合致するような形で作ってもらいたい、そういう趣旨を書いているものでございます。
 最後のところは、各府省評価委員会との関係ということでございますけれども、各府省評価委員会も、やはり、毎事業年度、評価を行うに当たっては、業務の方向性を中期的視点も踏まえて明確にする評価を行ってもらうよう、昨年12月の当委員会の第2次意見で述べたわけですが、中期目標期間が終わる時の業務の見直しというものをも念頭に入れつつ評価を行っていく際には、この方針の考え方を参考にされることを期待する旨の要請、呼びかけを行っているものであります。
 次に、本文にまいります。1のところ、基本的考え方ですが、(1)勧告の位置付け、性格ということで、改めて、最初の2つのパラグラフで、制度、仕組みの説明を行った上で、「また」のパラグラフですけれども、毎年毎年の評価は、各府省の評価結果に対して意見を述べるというものでございますけれども、中期目標期間終了時に当委員会が行う勧告というのは、各府省の第1次的な判断、評価というものを前提にせずに、主務大臣が見直しを行うに当たって、我々が自ら直接判断を行って、それを踏まえて各府省が、主務大臣が見直しを行うこととなる、そういう性格のものであるということをここに記しているものでございます。
 (2)検討の基本的なスタンスというところでございますが。この委員会の所掌は、正確にいいますと、主要な事務及び事業の改廃についての勧告ということになってございます。しかし、主要な事務・事業をあらかじめ特定しておくということになると、検討の対象自体、非常に幅が狭くなりますし、また、一部だけが何か、仮に例えば研究業務は見るけれども、それに関連する普及みたいなものは見ないとか、そういうことになると、逆に、かえって形式的になりますし、また、中期目標・中期計画で定められている業務の内容などにつきましても法人ごとに非常に差があるということでございます。3つ目のパラグラフですけれども、形式的かつ画一的にならないように、検討につきましては、事務・事業全体が検討の対象となると、事務・事業の全体について、その改善の必要性に関する検討を大づかみに行います。その結果、必要と認められる改善の方向性が見出された場合には、その方向性に応じて改善の鍵となるべき法人の事務・事業を把握して、その改廃措置の検討を行っていこう、何が改善の鍵になるかということを見出せば、それは当然、主要な事務・事業に該当するはずであるので、ぜひ、主務大臣が組織全般を見直すに当たって、これは、ある意味で不可欠の要素と考えておく必要があるものについて、我々は見つけ出していくということを述べているものでございます。
 勧告の時期、これは、通則法の中では、主務大臣の見直しと、この総務省の委員会の勧告は中期目標期間の終了時となっているわけです。この勧告の内容の適切な反映が早期に図られることが必要であるということと、それに関しては予算編成等々のスケジュールというものも勘案しなければいけないということ等の要因を合理的に考えると、中期目標期間終了後、当委員会として速やかに勧告を行い、その勧告を踏まえて、主務大臣の予算要求、あるいは中期目標・中期計画の見直しなどの措置がとられることにより、既に新しく始まった中期目標期間の二年度目には遅くとも勧告の内容が実現されるという、そういうプロセスによることとしているわけです。当委員会としては、中期目標期間終了時、速やかに勧告を行うというプロセスが合理的であろうというふうに考えて、このように書いているものでございます。
 次に、検討の視点ということでございます。ここまではプロセスの話を書いているものですけれども、それでは、勧告を行うに当たっての検討をどのような視点で進めていくのかということですが、この視点につきましては、これからよく御議論をいただきたいと考えているものでございます。
 最初のところは、まず、事務・事業全体を大づかみに捉えて検討を行っていく、さらに、そこから、改廃措置の検討を行うべき事務・事業を絞り込んでいく際に、検討を行うための共通する視点というものをこのように考えていきたいということでございます。
 共通の視点とともに、もちろん、個別の法人ごとの特性を踏まえることも必要ですが、そこは、3の1行目に書いているところでございます。この視点の考え方といたしましては、まず構成ですけれども、(1)に、事務及び事業の在り方に関する視点とございまして、次に、2ページ飛ばしまして、5ページに、事務及び事業を現在担っている実施主体の適切性に関する視点とございまして、次に、6ページに、(3)として、当該事務及び事業の効率化、質の向上等の状況に関する視点としております。
 (1)として、事務・事業の在り方に関する視点としておりますが、ひとつとして、現在行われている事務・事業について、国としてその事務・事業を行っていく必要性からきちんと分析をして考えていかなければならない。1)として、国が関与する事務・事業として必要なものであるのか、有効なものであるのか、という視点です。
 1)の一つ目として、その事業を実施することとした政策上のそもそもの目的は何であったのか。それが既に、状況が変化して、達成されて、意味のないものになっていないか。あるいは、達成の見込みが困難になっていないか。あるいは、有効性が低下していて、何か別のやり方というものはないのかという視点を書いています。
 2つ目の「・」は、社会経済情勢、社会のニーズなどがどのように変化しているのか。
 さらに、3つ目として、その事務・事業は、国民生活及び社会経済の安定等公共上の見地から確実に実施されていくということが、必要なものとして位置付けられるのかどうか。当該事務・事業を完全に民間でやったり、地方の自主的な事業としてやることによって、何らか問題があるのかないのか。
 さらに、4つ目の「・」として、受益者等のニーズに沿っているのか。あるいは、受益者が非常に特定されているようなもので、適切でないものになっていないかどうか。そういった観点で見ていく必要があろう。
 2)として、「事務及び事業を制度的独占により行う必要性」と書いてありますが、ひとつの特定の主体に独占的に担わせる必要性のある事務及び事業であるのかという視点です。これは、独立行政法人通則法の規定の中で、独法に国として何らか関与して実施させなければいけない事業というものがあるわけですが、そのうちの定義の中でひとつの要素として、1つの主体に独占的に行わせなければいけないような事務・事業を担うものが独法であるとされている。例えば、幾つも同じ業務を担う組織があって分立すると、統一性が図られず不都合が生ずるというような事務であり、一つの主体に独占させる必要があれば、独法に担わせているわけですけれども、そういう状況が社会経済の情勢の中から変化しているということにはならないかということを見ていこうという視点です。
 次に、そういう事務・事業の性格論、必要性、有効性等に関する視点をクリアして、何らか国として確実な実施を確保していかなければいけない業務であったときに、それでは、実施主体として、独法、あるいは今の独法に担わせていくことが適切なのだろうかという視点が次であります。(2)として、現在担っている実施主体というものが適切なのか、としているものです。まず、1つ目として、事務・事業と法人の設立目的は対応しているのか、また、1つの法人で幾つかの事業を担っているときに、それは一体として担っているということが本当に必要なのかというものです。
 次ですけれども、当該事務・事業が、法人の財源にどのような影響を与えているか、財務の状況はどのようになってきているのだろうか、というものです。
 さらに、3つ目として、国の事務・事業と類似するものが、実は、民間や他の主体で行われているような場合、例えば、検査検定業務に関してそれを担う独法はございますけれど、民間の主体でも同じような検査を実施するものがあり、独法は、そのうち、高い技術レベルを必要とするものを担うこととされている。しかし、民間における技術のレベルなどが向上されてきたりすれば、独法としてその検査検定というものを行っていく必要性がどこまで継続しているのか。そういったことをきちんと見て適切な分担関係を検討する必要があろうという視点です。
 さらに、次ですけれども、それとの関連もありますけれども、民間の主体、民間の公益法人などで、国として何らか業務上の指導・監督などを行いながら業務を行っていくということで問題は生じ得るのかという視点です。
 さらに、最後の「・」ですけれども、既存の独法の多くは、公務員型の法人でございます。そうした法人の事務・事業について、公務員が引き続き担っていく必要があるかどうか、ということを見ていく必要があろうというものです。
 (3)として、事務・事業を独法に担わせることが適切であるかどうかをクリアしたとして、それでは、その独法で仕事を進めていくに当たって、効率化とか質の向上というものがどのように図られていて、何らか改善の必要性というものはないだろうかという観点から見ていく必要があろうということでございます。まず、当該事務・事業について、もちろん中期目標というものが策定されているわけで、その策定の際に達成が期待されていた効率化、質の向上等について、どこまで達成されているのかという実績も当然見る必要があるわけです。また、そういう状況を見た上で、今後、当該事務・事業について、業務の効率化、質の向上というものが、果たして本当にそのままで期待できる状況にあるのかどうか、そういう視点で見ていく必要があろう。
 次ですけれども、効率化・質の向上などを捉える際に、できる限り合理的な指標で捉えた上で、何か問題があるときには指摘をするというのが一番合理的だと思いますが、統一的な指標というものを先見的に見出すというのも、統一的に見て何が合理的な指標であるかについて、今、そこまで確立した考え方というものも必ずしもないということであるわけです。そうしますと、やはり、その法人において、どのような指標で管理をしているのか、それがどのように改善しているのか、そこを客観的に捉えるということが必要だと思います。それを、まず見ていく必要があろうということでございます。
 さらに、財務状況ですけれども、個別のそれぞれの事務・事業の財務状況というものがどのように変化しているのか。非常に悪化して、例えば、今の特殊法人などでよく言われている問題かと思いますけれども、累積債務あるいは長期債務が拡大しているような、そんな状況というものがあるのかないのか、という点を見ていく必要があろうということです。
 さらに、次は勘定区分ということで、これから入ってくる特殊法人などは、多様な事務・事業を抱えて、それぞれごとに別会計で区分しているようなものもあろうと思いますけれども、そういうもので、勘定区分が適切に機能しているか。例えば、一方で赤字、一方で黒字というふうになっているようなときに、法人としては、全体としては管理しないで、赤字のところには国からどんどんお金を注ぎ込むというような仕組みを採るということで、果たして本当に適切なのかどうか。そういう視点でも見ていく必要があろうということです。
 最後の「・」ですけれども、利用者、顧客、受益者からの費用負担の在り方ということに関してですが、サービスの対価を取っている場合、その対価の水準などは適切なのか。あるいは、本来、対価を徴収し、特定の受益者から負担を求めるような業務というものはないのかということを見ていく必要があろうというものです。
 最後の(4)ですけれども、ここまでで、さまざまな視点、観点というものを盛り込んでいるわけですけれども、それぞれごとに、さまざまな観点の中でウェイト付けというものも必要であろうという、それをよく考えることも必要になってくるだろうと思われるわけですけれども、ただ、最初からアプリオリに何らかのウェイト付けというものを考えるといっても、それはかえってあまりに形式的になって意義のあるものとはならないと思います。むしろ、各法人においてもそれぞれに事務・事業の見直しが行われているということが、当然あるでしょうけれども、その見直しの効果はどのようなものであったか、その見直しの際に、どのように指標のウェイト付けが考えられていたのだろうか、そういうことをよく検証していくということも必要なのではないかというものです。
 このように、これまでの分科会での審議を踏まえて、先生方にいただいた御意見を踏まえて、今、まとめているところでございます。ここでまとめている視点については、さまざまな御意見があろうと思います。これまでの議論を御紹介しますと、こういう視点をどんなに考えたとしても、具体的な検討のプロセスにおいては、各府省に対して、こういうことはどうなのかと問いかけて、それについて資料をもらって、それについて我々としてどのような判断を下すのかというプロセスで進めていくということになろうと思います。しかし、これまでのさまざまな組織等の見直しのプロセスの経験では、大変多くの情報が提供されることとなるが、その多くが、定性的な説明資料となり、膨大な情報はあっても改廃の判断の決め手となるような定量的なデータはなかなか得られず、結局、最後、どうして合理的に決められるのか、不透明さが残るという印象がぬぐえないのではないかという議論がありました。さて、この委員会として、もう少し合理的に、何か客観的・定量的な指標のようなもので判断するということはできないのだろうかという問題意識が、当初、非常に強くあったわけでございます。なかなか指標というものも、それ自体、確立するのも難しいわけですけれども、財務面等については何らか指標をとれないかということで、少し問題意識を盛り込んでいるわけです。また、さらに何か御意見がございましたら、いろいろ御自由に言っていただき、充実させていくということが必要かと思います。
 最後の4の、検討の手順等について簡単にコメントいたしますが、この委員会での事務・事業全体の検討の進め方ということでございます。
 まず、基本的な考え方として、一部3年がありますが、5年が終わった時に、いきなり勧告を行うということになりますと、各府省・法人にとって、いきなり5年たった時に、この事務・事業は廃止だとか改善だという勧告をすると、不意打ちということにもなりかねない。また、当委員会としても、多数の法人についての事務・事業の改廃の勧告の検討を中期目標期間の終了時に集中的に行うということは、時間的、体制的な面で十分な検討が行えないということになると考えられます。そこで、適切なプロセスというものを設けていく必要が当然あろう。
 そういう2つの観点から、まず、毎年度の評価の段階で、この委員会は、各法人の業務全般を各府省の評価結果を踏まえて精査をしていくわけですが、それに加えて、中期目標期間が終わった時の検討のためのプロセスとしても位置付けて業務を精査していこうではないか。その精査に当たっては、今申し上げたさまざまな視点、観点をもって精査していこうということを考えて、その際に、毎年、各府省の評価結果について意見を述べるわけですけれども、併せて、別途、何らか改善の必要性があるようなものが見出された場合には、これについて検討の対象であるという旨の事実上の指摘を行っていくということを、毎年、積み重ねていくことが必要であろうということを書いています。
 また、8ページの2つ目のパラグラフですが、「また、特に」とございますけれども、中期目標期間が終わる前年度の評価というのは、実は、前年度の評価は最終年度の実績まで出ていないわけですけれども、前年度の評価が行われる時には、既に予算編成も含めて次の中期目標の策定に向けた準備というものが行われているので、そこで、我々の勧告の検討の方向性を可能な限り具体的ににじませておくことが重要であると考えられます。このため、中期目標期間最終年度の前年度の評価においては、可能な限り改善の方向性について具体的な指摘を行っていく必要があろうということを書いています。
 さて、それを踏まえて、(2)具体的な措置の検討ですけれども、最終年度の評価が終わってから、次の新しい年度が始まるまでの間に勧告の内容について詰めを行っていって、最後に具体的な勧告を行うわけですけれども、それに当たっては、この委員会の所掌といたしまして、資料収集権等が認められているわけでございます。それを活用するということを改めてここで記載し、関係者にもきちんとそれを伝えておくものです。具体的には独立行政法人はもとより、主務大臣、さらには、その他の関係者からも、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を要請することができるとなっているものです。
 併せて、9ページですけれども、独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃ということになりますと、場合によれば、主務府省の政策というものに関わってくるものもあり得るわけでございますので、政策評価の結果というものも考慮に入れる必要がございましょうし、また、内閣の方針や、これまでの行政評価・監視の結果等も踏まえて行う必要があろうということを記載しています。
 また、毎年準備作業を行い、最終年度の前年度の評価においては具体的な指摘を行うというプロセスを積み重ねてきて作業を進めていくわけですが、その後に緊急に検討を行う必要性が生じることも当然想定されるわけですから、それも視野に入れておきますということを書いてございます。
 最後に、想定される措置のメニューですけれども、必ずしもこれだけというわけではないと思いますが、こういう幅で考えていく必要があろうということです。事務及び事業の廃止、あるいは民間等への移管、さらに、制度的独占の廃止。次の「○」は、補助金等、運営費交付金への依存度の縮減。さらに次ですけれども、他の独立行政法人、場合によったら、国で直接実施をするということも含めて考える。次は、民間委託というものもあるでしょうし、整理縮小、合理化・適正化。最後の「○」は、市場テストと書いてございますけれども、やはり、事務・事業について、民間で実施したほうがコストが安くなる、民間委託をしたほうが安くなるということを適切なプロセスできちんと見ていく必要があろう。これを本当は即刻やらせるということが重要なのかもしれませんけれども、ただ、そのプロセスには、どのような民間の組織等がどのような形で応札してきて、それが本当に質とコスト両面で業務の質が保たれるようなものになっているのかを検証する時間というものが必要な場合もあるでしょうから、例えば次の計画期間のしかるべき時期までに市場テストというものを行って、必要があれば措置を講ぜよという勧告もあり得るということで書いているものでございます。
 最後、10ページ、透明性の確保及びフォローアップの実施ということです。勧告内容については、公表するとともに、予算を所管する財務省、あるいは独法制度自体を所管し、個別法に定める制度の改正、廃止についての審査などを行う行政管理局があるという意味での総務省等にも通知をするとともに、また、勧告に基づいてとられた措置を適切にフォローアップをして、勧告が適切に反映されているかどうかを常にウォッチしていくということを述べたものでございます。
 以上、大変長くなりましたが、この骨格について審議を、今、分科会で進めていただいているものでございます。プロセス、さらには検討の視点の骨格等について、こういうことで整理をしていこうということで審議を進めていただいておりまして、さらに、それを踏まえて、検討の視点に盛り込むべき内容等について、適切なのか、充実させる必要はあるのか、そういったことについて御審議をいただければということで、何らか御意見があれば、いただければと思います。
○村松委員長
 ありがとうございました。
 主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組みの方針ということで、これまでも審議をしているわけですけれども、何か御意見、御質問がございましたら、どなたからでもお願いします。
 はい、どうぞ。
○樫谷委員
 基本的なスタンスのところですが、2ページの一番上に書いてありますように、当該法人が担う事務及び事業の全体に着目することなくしてはいかんということなのですが、それだけではなく、例えば、統合するとかというようなときには、当該法人だけではなくて、もう少し、その府省が行っている事務・事業を全体的に見てみないと、当該法人が行う事務・事業全体だけでは少し不足の部分が出てくるのではないかなというような気がするのですけれども、その辺は、この文章だけで解決できるということでよろしいのでしょうか。
○讃岐評価監視官
 まさに、関連する、本当に似たようなことをやっているところがあれば、当然それも含めて見るということになるものであり、その点は、後の視点のところで明確になっていると考えます。
○雨宮臨時委員
 よろしいですか。
○村松委員長
 どうぞ。
○雨宮臨時委員
 質問なのですが、前文のところで、下から3分の1くらいに、「通則法によって、主務大臣が見直しの検討を行うに当たって、必要な勧告を行う」と書いてありますが、これは、主務大臣が見直す前に勧告を行うと規定されているのですか。
○讃岐評価監視官
 そのような前後関係は明確には規定はされておりません。通則法は、第35条で、タイミングとしては、主務大臣は、「中期目標期間の終了時において見直し及びその措置を講ずる」とあり、総務省の委員会は、やはり、「中期目標期間の終了時において勧告をすることができる」となっていて、ここは、中期目標期間の終わった時に全てのことが一時に行われるという、言ってみれば観念の世界なのです。これまでの議論では、そこは合理的に解釈をしないと、すべてのことを一時に行うことはできないので、順番を適切に考えなければいけないだろうということで、それを考えるに当たって、先に主務大臣が見直しを行って、何らかの措置を講じた後で、当委員会が勧告を行うことになると、それを踏まえてさらに措置を採らなければならなくなりますが、それでは、独立行政法人に対する関与を何度も行わなければならないことになり、適切ではないと考えられます。そうすると、この制度、仕組みを合理的に動かすためにはどうしたらいいのだろうかということで、このような順番というものを、やはり、合理的な解釈としてこれしかないだろうという議論で、このように考えたわけであります。
○雨宮臨時委員
 ですから、ここで言っていることは、この表現で、主務大臣の前に行うということを規定しているわけですね。
○讃岐評価監視官
 はい、規定を明確化したということです。
○雨宮臨時委員
 はい、分かりました。
○村松委員長
 今の表現ですけれども、タイミングにウェイトを置いた文章になっているのか、それとも、「行うことができる」と書いてある権限に関連して、本委員会が与えられている役割を書くということに関心があるのかというのは、どちらになっているのでしょうかね。
○讃岐評価監視官
 基本的には、ここでは制度、仕組みを説明するわけです。その制度、仕組みが、通則法の中で、前後関係など解釈の余地が生じうるようなところについて、委員としての意思表示が明確に表れるように書いておこうということでございます。
 タイミングについては、こうですと。なおかつ、通則法では、主務大臣の検討と総務省のこの評価委員会の勧告というのは並列で、どちらをどちらに反映させるとか、そういうことは書いていないのです。まず、ここで、制度の合理的な趣旨、目的ということを考えると、こういうことで行っていくことが適切だということを書こうと。
○村松委員長
 「行うこととされている」という文章が、これでいいかということなのですが。
○讃岐評価監視官
 「主要な事務及び事業の改廃に関し、主務大臣に勧告をすることができる」というのが法律の明確な文章でございます。そこを、できる限り委員会の実務に即して、どのようにしていくのかということを明確に書いておこうと。
○村松委員長
 つまり、その文章に即して、当委員会は必要な勧告であれば行うという意思をここで書いているということですね。
○讃岐評価監視官
 はい、そうです。
○樫谷委員
 2ページの、勧告の時期のすぐ上の文章、「したがって」の文章ですが、ここでは、まず全体を大づかみにして、その方向が見つかったら集中的にやりなさいと、書いてあるわけですね。ただ、1ページの(1)の第3パラグラフに書いてあるように、年度でチェックしていき、年度である程度絞り込みをしていかなければいけないわけですね。3年、5年ですよと。そのときに、1年度目、2年度目、3年度目で、どうもこれはおかしいなということで絞り込みをしていかなければいけないわけですね。この中では、集中的・重点的にやることと、年度である程度絞り込んでいくこととの整合性はとれているわけですね。
○讃岐評価監視官
 はい。やはり、毎年毎年の段階では、全体の中で問題がどこにあるのかということを見るために、ある意味で広く浅く捉えていって、ここに問題がありそうだということになったら、本当にそれが何らか問題であるのかということを捉えるために、深く突っ込んで集中的・重点的に行わなければいけないという、言ってみれば、勧告のための検討を深めていくという趣旨のことを書いているものであります。
○丹羽委員長代理
 ひとつお聞きしたいのだけれど、全体に、中期計画の終了時点でレビューをしながらやっていこうということなのでしょうけれども、中期計画も、あるいは事務も、事業も、動かしているのは事務員とか従業員などの人間ですよね。どうも全体に独法がうまくいかない、どうも人事制度に欠陥があるのではないかというような、非常に大づかみの共通した、統一した問題点が出てきたときは、主務大臣に、人事制度を見直しなさいということも言えますか。
○讃岐評価監視官
 直接の勧告という法令上の権限の行使かどうかというのは、やはり、主要な事務・事業の改廃についての勧告ということになると思います。ただ、我々として、毎年毎年評価をし、また中期目標期間終了ごとに必要な勧告を行うに際して、何らか制度的に改善の必要な問題が本当にあるということが見出されたというのならば、それについて何らか見解を取りまとめて、それなりの政府部内の部門というものに伝わるような形で見解というものを述べるということは、当然あり得ると思います。ただ、それは、法律上の権限と、また別の話ということではあると思います。
○丹羽委員長代理
 別ですよね。勧告ですからね。こういう意見だということは言えますよね。
○讃岐評価監視官
 はい。
○丹羽委員長代理
 そうすると、結局、国家公務員法を変えなさいということにつながってしまうわけだから。そういう勧告もしうるということですか。
○讃岐評価監視官
 そこは、あくまでも、我々は、こういう独法制度というものがうまくいくように勧告をしたり評価をしたりしているわけですが、その過程で、気づいた点というか、その根本がまずいのではないか、改善の必要があるのではないかということであるのならば、こういうことについて検討することが必要ではないか、国家公務員法の問題として、こういう問題があるのではないかということを、一応突き詰めた上でまとめて、関係者に分かるような形で伝える。
○丹羽委員長代理
 場合によっては、そういう視点でもレビューしなければいかんということですね。
○讃岐評価監視官
 場合によっては、何か問題意識が見つかれば、そういうことが果たして本当にそうなのかどうかということを幅広く、第三者機関として何らか考えていくということは、当然あろうとは思います。ただ、始まったばかりの制度ですので、今ここで考えるのは、まず、法令上の権限をどのように行使するのかという、そこの基本ルールから、まず、きちんと突き詰めて考えなければいけないという段階であるということだと思います。
○松田臨時委員
 今の点に関連してなので、少し勧告の方針からは外れるかもしれませんが、私も、最近、特に気になっていたのが、この委員会としての本当の役割だとか、この委員会が出さなければいけないアウトカムは何なのかということです。中期計画が、5年分のものであれば、それが終わったその後くらいも見通して、もう一回整理をする必要があるのかなということを思っています。というのは、先ほどの年報について、分科会でも申し上げたのですけれども、やはり、まだまだ外形的な現状把握でしかなくて、本当の課題は、今御指摘があった、制度の問題なのか、あるいは、制度の問題ではなくて運用の問題なのか、組織にいらっしゃる方々の風土の問題なのかというのは、課題の分析がまだ十分にできていないと思うのです。ところが、この委員会の運営の形式が、どうしても、いわゆるスケジュールというか、課題が出てきて、それを委員会が順番にこなしていくというような形になっているので、どのタイミングで、どういう課題を抽出して、ここでレビューをしなければいけないのかということがどうしても後から気づいて、もう間に合わないということが起こりがちだと思います。ぜひ、一度、例えば、平成17年ないしは18年くらいまでの今後のスケジュールといいますか、どのタイミングで何を出していかなければいけないのか、そのために、検討課題をいつやるのか、そうすると、毎月の委員会の仕事とか、委員会から事務局の方に、こういうことをもう少し精査していただきたいとかというようなことも、より具体的になるのではないかなと思っております。
 今、ここでやっているのは、事後チェックのシステムですけれども、昨年度、プロセスのチェックをした時に分かったのは、事前の計画の作り方自体、目標設定の仕方自体がまだまだ未熟であるということがずっとあって、それをそのまま引きずって、今、プロセスチェック、事後チェックの在り方を検討しているわけです。それをいつの段階でもう少し深めるのかというようなことも早めにやっておかないと、また同じことの繰り返しになる気がしております。
 付け加えまして、こういう勧告の方針を出すにしても、レビューの年報を出すにしても、私どもが、ひとつ情報として欠けているのは、各府省の委員会の方々が、こちらから出すものに対して、どう受け止めていらっしゃるかということで、おそらく、各委員会の委員長会議とかでは議論されていると思いますけれども、まだまだ少ないので、もう少し双方向のコミュニケーションもないと、よりいい制度運用への方針が作れないのではないかなというふうに思っております。
○村松委員長
 本委員会の役割は何かということですが、我々は文章の形で議論を始めて、その前から内容的にはずっと議論が続いていたが、今、まさに、この机上にある文章のような蓄積になりつつあるわけです。委員会の席で言っていただいていいと思うし、また、非公式に言っていただいてもいいと思います。
○讃岐評価監視官
 確かに、どのように独法の運営状況を改善させていくのかとか、そういうことは、まさに全ての物事の本質にある問題意識だと思います。それをどのようにしていくのかということで、我々に与えられた法律上の権限としては、まず、事後評価ということがございますので、言ってみれば、事後評価を、ある意味で、法律の権限としては、有効に進めていくためにどのような改善が必要なのかという観点から、最初の年であったので、確かに、なかなか時間的に限りがあったかもしれませんが、目標設定の在り方とか、計画の在り方等についてまでも適切に見直しを行っていく必要があろうという趣旨の意見も述べてきたわけでございます。ただ、我々の意見の述べ方としては、評価委員会に対して述べるという、制度の仕組みとなっているわけでございますので、その下でできる限りのことをしていくというのは、これまでもとってきたつもりですし、これからもとっていかなければいけないと思います。また、委員の皆様方の多忙なスケジュールの中でうまく日程調整をしながら活発な御議論というものを行いながら、この委員会の活動を通じて独法自体の活性化を高めていくということが、結局、最終的には重要なことで、いつもそういう問題意識に沿って考えていかなければいけないということかと思います。
○村松委員長
 ほかに御意見はいかがでしょうか。
 スケジュール的には、どうなりますかね。これで、今日、文章としては頭出しですよね。
○讃岐評価監視官
 はい。本委員会の中で頭出しということで、また、次の分科会を6月16日に開催をして、そこで御審議をいただいて、そこで大体のものを固めた上で、27日に、また、この委員会の場でお諮りをして、決定をしていただく。その上で公表をしていくというふうに考えたいと思います。
○村松委員長
 分科会があって、さらに、この委員会がもう一回あるということですね。
○讃岐評価監視官
 はい、そういうことでございます。もちろん、それまでの間、メール等で、御意見があれば、いつでもいただければ、検討したいと思います。
○村松委員長
 そうしたら、これが本当に終わりではなくて、また、御意見は続けていただくということで、これから、どういうふうに我々の立場を決めようかというふうに検討を、審議をしていくわけですが、とりあえず、このくらいにして、そのほかの御報告をお願いします。

[委員長懇談会等]
○讃岐評価監視官
 最後に、最近の動向ということで、2点、御報告をさせていただきたいと思います。1点は、先ほど、委員長からコメントがございましたが、今週の月曜日に各独立行政法人評価委員会委員長等による意見交換というものを行いましたので、その状況と、もうひとつ、樫谷先生が中心になって財務研究会というものを開催してございます。これは、まだ中間段階でございますが、その動向について、ペーパーは用意していないですけれども、コメントをさせていただければと思います。
 まず、各独立行政法人評価委員会委員長等による意見交換ですけれども、今週の月曜日、2時から4時まで、大体2時間くらい自由に御討議いただくということで、各府省委員長、一部は代理の方でございましたけれども、お出になっていただきました。これは、昨年の8月に一回やって、それ以来ということになりまして、それ以来の大きな活動ということで、村松委員長から、総務省の委員会が昨年出した1次意見と2次意見の概要について、全てはなかなか説明できませんので、基本的な考え方などについて簡単に御説明していただきました。やはり、事後評価を行うに当たって、目標管理という、事前の目標設定とそのための事後評価が有効に機能していくという、システムとして機能していくということが重要であろう。その観点から、こういう観点で評価に取り組んでもらいたいという考え方から、個別の意見を1次意見、2次意見を通じて申し述べたということを述べた上で、さらに、個別に重要な点といたしまして、例えば、法人の長のリーダーシップ、トップマネージメントが適切に図られているか、こういうことを各府省の評価委員会とも留意して見てもらいたいという点です。あるいは、予算への反映ということを考えていくためには、2次意見でも申し上げましたけれども、8月末の概算要求に間に合うように各府省の評価を進めてもらい、そして、その評価の内容でも、進ちょく状況のみならず、それでは、その業務を今後どういう方向にしていったらいいのかという、例えば、順調であるのなら予算を増やすのか、それほど予算は必要ないので減らして別に回すのか、そういうところが明確になるように評価を行ってもらいたいという点です。さらには、最初の年の評価が終わったわけですけれども、役職員の給与等への反映状況というものも、実績というものが出たわけだから、その反映状況というものも適切に今回の評価ではフォローアップというものを行ってもらいたいという点です。そういったことを2次意見で申し上げた。ただ、膨大なボリュームがあり、また検討のため時間を要するものなども当然あるわけですので、全てが直ちに100%実現できるというわけではないだろうけれども、検討できるものをどこまで検討したのか、そのスタンスをきちんと明らかにするということも重要であるという、そういうことを踏まえて評価に取り組んでもらいたいというふうに説明していただいたところでございます。
 各府省の評価委員長から、それぞれコメントをいただきました。2時間という時間で、十分に深まった議論ということがどこまでできたのかということはあるのかもしれませんけれども、多くの委員長は、基本は、1次意見、2次意見というのもそれなりに大変重く受け止めて、あるいは厳しいものと受け止めている。また、ボリュームも大変多いものであると、それを非常に重く受け止めている。その裏返しとして、こういうことについてどう考えたらいいのか、すべてを実現しようとすると大変な作業量が要るわけだけれども、それをどのように考えたらいいのか。あるいは、懸念点として、画一的に評価がなりすぎないということが重要であろう。あるいは、全てが定量的な指標で捉えられるということも、これはなかなか難しいことであろうというようなお考えというものが表明され、また、この総務省の評価委員会はできる限り大所高所に立って評価を進めていただきたい、というようなコメントがございました。それについて、村松委員長から、改めて、1次意見、2次意見での考え方、当委員会としての考え方、また、検討できるものをどこまで検討したのか、そこをきちんと明らかにして評価に取り組んでいただきたいというような意見を総論的に述べていただきました。
 もう1点、きょう議論になった、中期目標期間終了時の勧告の取組みということに関しては、特に、教員研修センターを所管する文部科学省の評価委員会の委員長から、この委員会の取組みに注目しているということで、ひとつは、毎年毎年、改廃の方向性みたいなものを示していくということになると、あまり厳しくそれを捉えると、今度は、組織を畏縮させることになるということも懸念はされないかというような意見もございました。ただ、我々としては、先ほど申し上げたとおり、不意打ちにならないように検討を進めていく。毎年の評価の中では何らか方向性を出しつつ、しかし、その方向でどういう勧告を行っていくのかということをよく検討していく。それは段階的に行っていくということが適切だろうという、そういう考えを説明いたしました。
 また、最後になりますが、財務の関係の評価というのは、どの委員会でも初年度として取組みが難しかったということであって、どのように取り組んだらいいのだろうかという問題意識があったわけですが、これに関しては、我が評価委員会でも、財務に関する評価を高めていくためにどうしたらいいのかということで、財務評価の研究会というのを設けて、今、検討しているところであるというコメントをいたしました。
 以上、大体2時間程度で全ての委員長とのコミュニケーションというものが終わりまして、また必要に応じ、基本的には、今度の評価が終わってから、またということになろうと思いますけれども、会合を持ちたい旨の提案を村松委員長からしていただいたということでございます。
○村松委員長
 ありがとうございます。
 今、報告があったわけですけれども、何か御意見、御質問などございますでしょうか。
 私と富田分科会長と、先ほどの委員長懇談会ですけれども、出席いたしまして、2時間ですか、はじめに20分ほど御説明をして、残りは質疑応答で、本来の目的からいうと短いけれども、1時間半というのは、会話の量もそう少なくはなくて、いろいろ本音のような御意見を聞いたかなという感じもあります。聞くべきものは吸収して対応するというのがいいだろうなと思うのです。我々が、1次意見、2次意見としてアクションみたいなものを起こしたとすれば、リアクションはあるわけで、こういう御意見は出るだろうなという御意見が大体出ておりまして、参考になったわけでございます。また、この場でも還元できるかと思います。私の感想はそれくらいです。
○讃岐評価監視官
 もう1点、財務研究会というものを開催してございますけれども、それについては、今、各独法、59法人の内部会計管理の現況についてアンケート調査を行って、その結果を取りまとめております。その取りまとめを踏まえまして、次の評価において、我々の委員会としてどういう点に着目して評価に取り組んでいったらいいのか、それを明らかにすることによって、各府省の評価委員会も反射的にそういう点に着目して評価をするということになろうと思いますけれども、そういった何らかの見解というものを、今後、財務研究会で御議論をいただいて、取りまとめていこうというふうに審議を進めていただいております。また、その結果がまとまりましたら、この委員会でも御報告をするということにさせていただきます。
○村松委員長
 それでは、大体よろしいでしょうか。次回等のことについて、お願いします。

[次回日程等]
○橋口総務課長
 次回の本委員会でございますけれども、6月27日、金曜日の14時からということでございます。先ほど御審議いただきました、主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組方針についての御決定まで御審議いただければありがたいと思っております。
 分科会のほうでございますが、独立行政法人評価分科会が6月16日、月曜日、16時からということで、本日御審議いただきました勧告の取組方針について、さらに御検討をいただくということでございます。政策評価分科会のほうが、6月18日、水曜日、14時からということでございまして、各府省における政策評価の実施状況、政策への反映状況に関します国会報告について、御報告等をさせていただくということを考えております。以上でございます。
○村松委員長
 ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の第25回の会合を終わります。どうもありがとうございました。

〔了〕