政策評価・独立行政法人評価委員会(第26回)議事録


1.日時 平成15年6月27日(金)14時から15時30分

2.場所 中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
 (委員)
       村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、竹内佐和子の各委員
黒川行治、黒田玲子、松田美幸の各臨時委員
稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山本清の各専門委員
 (事務局)
  田村行政評価局長、柚木官房審議官、橋口総務課長、讃岐評価監視官、安治川政策評価審議室長 ほか

4.議題
         独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組の方針について






○村松委員長
 時間がまいりましたので、第26回の政策評価・独立行政法人評価委員会の会合を開きます。
 早速ですが、本日の議題に入ります。本日の議題は、「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組の方針」についての審議ということでございます。
 事務局より、説明いただきたいと思います。

[独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組の方針について]
○讃岐評価監視官
 それでは、ご説明させていただきます。
 この主要な事務・事業の改廃に関する勧告の取組の方針ですけれども、既に分科会とこの委員会で5回にわたって御審議をいただき、本日が、このような会議の場で御審議をいただく最後の機会ということになります。本日御議論いただいて、御決定いただいた上で、事務局から、来週の前半、7月1日くらいを考えておりますけれども、公表、記者発表をさせていただきたいと考えているところでございます。本日は最後の機会ということで、十分御議論いただければと思います。
 全体の説明は、既に何回か、先日の分科会でもいたしましたので、本日は、先日の分科会を踏まえてどのように修正をしたのか、さらに、それを踏まえてどのような議論があったのかということを中心に御説明させていただきたいと思います。
 前回の分科会での議論というところから、まず振り返ってみたいと思います。最も議論になりましたのは7ページでございますので、7ページをお開きいただきたいと思います。7ページは、「事務及び事業の効率化、質の向上等の状況に関する視点」ということで、その中で、その事務・事業を当該独立行政法人に引き続き行わせるということが妥当であると判断されたとしても、その中で効率化、質の向上等が十分に図られているのか、そのためにどのような方策を考えなければいけないのかということを検討するために、どのようなことを各法人に立証させなければいけないのかということで、「効率性、質の向上等の達成状況」はどうなのかということ。次に、「効率化、質の向上等に係る指標等の動向」ということで、小見出しは、今回、整理をさせていただいたわけですけれども、その中で、効率性と質の向上等に関する指標はどのように推移しているのかということを聞いた上で、財務状況についてということで、一番下のパラグラフで、コスト等の状況について、民間その他の組織と比較可能なものは比較をした上で良好と言えるかとして、さらに「比較可能なものをそれぞれ見いだすことが困難な場合には、当該事務及び事業を構成要素たる活動に分解し、これと比較可能なほかの独立行政法人、民間その他の組織の事務及び事業の構成要素たる活動を見いだすよう努め、これと比べた場合に、良好であると言えるか」というふうに、そのコストを比較できるようなところまで活動を分解して比較をしていくということによって、ひとつの指標というものが得られるのではないか、そういう問題意識を書いたものでございます。ここについて、効率性、コストだけの問題を書いているけれども、それでいいのだろうかという議論がございました。その議論については、業務の質の向上も当然見た上で、ここは、コスト、財務の状況に関して特にという趣旨で書いているものであり、効率性、質の向上等を全体として見る中で財務状況を見るときの視点であるということであったので、3つ目の「・」ですが、「特に、財務状況については」という書き出しとして、位置付けが分かるような表現にいたしました。
 また、併せて、ページは戻りますけれども、3ページでございます。3ページは、検討の視点の総論的なところで、なお書き以下に新しいパラグラフを挿入いたしました。一番下の行から始まります。『なお、特に、中期目標に基づく「新しい知の創出が期待される」研究開発については、画一的、短期的な観点から性急に成果を期待することとならないようにする等、事務及び事業の目的、内容等に応じた適切な観点から検討を行うものとする』とございまして、これにつきましては、前回の分科会での御議論で、特に黒田先生などから、研究開発などについて、あまりコストを比較するために活動を分解するということになると、それだけでは適切な比較ができないものもあるではないか、先端技術について、よくその実情を踏まえて検討をしなければいけない、配慮するべき点があるだろうという問題意識に基づく御指摘がありましたので、この「新しい知の創出が期待される研究開発については」ということについて、昨年12月に、委員会としての独立行政法人の業績評価結果についての第2次意見をまとめた時に、研究開発の評価について留意すべき点ということでまとめたのと同じ趣旨の文章を付け加えて、全体にこれがかかるのだということで整理をしました。これらの修文について、事務局として分科会長と御相談をさせていただいた上で、前回、分科会長一任となっていたものについて修正案としてまとめ、分科会長の御了解のもと、各委員にお配りをいたしました。
 その後でございますが、もう一回、黒田先生から御提案がございまして、7ページに戻っていただきますけれども、それが、今日、下線を引いてあるペンディング事項ということになってございます。一番下の「良好である」の括弧書きの「(それぞれの事務及び事業において、比較を行う構成要素たる活動とその関連活動との間で具体的な相乗効果が認められる場合には、当該効果を考慮し、良好である)」を挿入したわけでございます。黒田先生からの御提案ということで整理をさせていただいて、この場に御検討いただくためにお諮りしているものでございます。
 ここで書いているのは、コスト等を活動に分解して比較をするということであるけれども、そのコストというものを、活動をいくら分解したとしても、分解したそれぞれの活動同士の間で相乗効果というものが認められる場合というのがどうしてもあるだろう。研究機器のメンテナンス自体のコストというものを測り、そのための活動を分解することはできるにしても、その機器のメンテナンスというものが研究自体に及ぼす影響、効果というものもやはりあるであろう。そういったものについて配慮して比較をしなければいけないという問題意識が明確に表れる必要があるのではないかというお考えからの強い御提案でございましたので、このようにペンディングということで整理をさせていただいてございます。したがいまして、ここについては、この場で御議論をいただきたいと思います。
 以上前回からの変更点を中心に簡単に御説明をいたしました。また、文言の整理、例えば「法人」となっていたり、「独立行政法人」となっていた文言を統一したとか、あるいは、全体を分かりやすいようにするために項目ごとに小見出しなどを付けて表現の工夫をしたりした点もございます。内容についての説明は以上にとどめて、ご議論をいただければと思います。
○村松委員長
 ありがとうございました。
 早速、審議に入らせていただきたいわけですが、私も、6月16日の分科会に、オブザーバーですけれども、出席しましたが、御議論が7ページのところで出ておりました。一応その趣旨を踏まえてということで分科会長一任ということになったかなと思うのですが、その後、黒田委員の御意見が出ているということで、これをとりあげさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 黒田委員から、もうちょっと御説明いただけますか。
○黒田臨時委員
 私が心配しておりますのは、経済効果を考えることは重要だけれども、実は、目に見えない、数値に表れないところに非常に効果を生むものがある。つまり、数値化しやすいことだけに目を奪われていると、かえって、国民の税金を使って何をやっているか、申し訳ないことになるのではないかという意識であります。
 7ページですが、私の意を汲んで書いていただいたのですが、私だったら、こう書きたいなという文章がございますので、紹介をさせていただきます。なぜ、そういうことを申し上げるかというと、ここは「効率化、質の向上等に係る指標等の動向」ということで、質の向上ということが書かれているにもかかわらず、効率化ばかりが書かれているような気がするからです。したがいまして、「当該事業」のところから読ませていただきますと、「当該事務及び事業に係るコスト等の状況は、これと比較可能なほかの独立行政法人、民間その他の組織の事務及び事業と比べて、良好であると言えるか。比較可能なものをそれぞれ見いだすことが困難な場合には」、この次に、「相乗効果が質の向上に資することがないかも配慮しつつ」と入れて、そのあと「当該事務及び事業を構成要素たる活動に分解し、これと比較可能なほかの独立行政法人、民間その他の組織の事務及び事業」と、あとは同じです。私が御提案、入れていただきたいと申し上げたのはこのところで、ただ、その時、「質の向上に資する」とだけ入れないで、「相乗効果に対する配慮もしつつ」とだけ申し上げたと思うのですが。もう少しポイントをはっきりすると、「効率化、質の向上に係る指標等の動向」という中見出しが付いておりますので、比較可能なものを見いだすことが困難な場合でも分解してやるという、そのことが悪いとは決して申し上げないけれども、そうなった後でも、相乗効果をみるために、もう一遍、総合して考えるという視点も忘れないでいただきたいということを強調するがために、「困難な場合には」のあとに、「相乗効果が質の向上に資することがないかも配慮しつつ、当該事務」と続けていただけたら大変ありがたいということです。
 申し上げたかった理由というのは、もう言っていただいたと思いますが、例えば、いろいろなところで外部委託ということが起こっております。大学でもそうですが、例えば、ガラス細工の外部委託、金工の外部委託、一見そのほうがいいように見えるけれども、実はそうではないと。知の共有とか、相互作用とか、そういうことがあって、必ずしも経済効果という数値で表れないところに将来大きなプラスを生む余地があるのだということなのです。前のほうに一体化したらいいかどうか書いてあるではないかと言われるかもしれないけれど、やはり、それとは少し観点が違うので、効率化で分解するときにも、ちょっとだけこのことは忘れないでほしいということを入れていただきたいというのが私の意見なのです。
○村松委員長
 はい、ありがとうございました。
 以上のような御提案があるわけですけれども、御意見を伺いたいと思います。
 どうぞ。
○山本専門委員
 今の黒田先生の御指摘はかなり的確だと思いますが、この相乗効果というのは、活動単位に分解した場合には、コスト面においても実は出てくる。と申しますのは、結果的にその活動をやめることによって浮くコストというものと、活動として算定されるコストというものは違うわけですね。そうすると、当該独立行政法人にとってメリットがあるかどうかというのは、回避可能原価を出すということになると思うのですね。そのほうが削減額というのは、より的確に出るわけですね。それがまさしくコスト面の意味の相乗効果であるわけです。そういう意味において、私は、今の説明がされる前は、この相乗効果というのは回避可能原価のことをおっしゃっているのかなというふうに理解したのですが、今の黒田委員の御発言を聞きますと、相乗効果ということにこだわられるということであれば、質とコスト面においても相乗効果というのはあるわけですから、その2つを入れたほうが、むしろ論理的には整合的だと思います。あとは、御判断はお任せします。
○村松委員長
 そのほかの御意見はいかがでしょうか。
○富田分科会長
 黒田先生は、科学技術というか、試験研究のところに特化してその重要性を指摘されているように思うのですね。もともと、当委員会にしても、独立行政法人の仕組みそのもので考えれば、当然、経営の自主性を担保しながら業務を効率化していくということが前提であって、それであるがゆえに評価としての効率性の尺度というのが、やはり必要になってくるわけですね。科学技術関係、研究開発関係についての特殊性といったらちょっと表現は悪いですけれども、それについては、さっき御紹介があったように、3ページでも示してあるわけでして、本来、形式的に独法という基準を満たしている限り、あまり特殊だ、例外だということばかり言っておれないわけですけれども、総合科学技術会議のほうで質の方の評価を、事前評価を十分に行われているというふうに思われますので、こういう書き方にしたわけです。非常に多くの特殊法人があり、その中において、コスト面においても、質の面においても相乗効果はあるのだ、つまり、ある独法が行っている主要業務の間に相乗効果がある、もっと言えば、経済学でいう結合生産ができるので、うちはこの業務も、この業務も、この業務も、ということに業務が比較優位であるところの業務に特定されないという問題もあって、そこには自ずと効率的でない面が当然残ってしまうわけですね。
 そういう意味も含めて、ここで質の向上といっているのは、サービスの量とかという意味なのです。したがって、評価が非常に困難な、要するに、仲間内とか、ピアレビューの中でしか評価できないようなものを念頭に置いたものではなくて、一般の業務についてここでは書いているわけですね。一般のというか、本来、私は、独立行政法人としてふさわしい業務が担わされているという理解に立てば、やはり、あまりここで、相乗効果だとか、あるいは比較ができないのだということばかり言っていては、独立行政法人の制度そのものが成立しにくいというふうにも考えるわけでして、財務状況について相互比較可能性ということが非常に各独立行政法人間において重要なわけですので、私は、相乗効果というのは、かえって評価を困難にし、非効率な業務がそのまま温存してしまう可能性というものを残してしまう。したがって、私は、この括弧以下のところは、黒田先生は御指摘なのだけれども、それは3ページのほうに反映したということで、要らないというふうに思います。
○黒田臨時委員
 3ページに私の意見を入れていただいたのは大変ありがたく思っているのですが、私がここに入れていただきたいと思ったのは、別に科学技術のフロンティアの開発研究だけではないのではないかと思ったからなのです。分科会で例示として事務局が説明されたのは図書館の話だったと思います。図書館には、コピー業務、貸出業務、新しい本を買う業務等があって、それぞれ分解して経済効率を見るのだという御説明があったので、私は、図書館よりはコンビニエンスストアの方がコピーは安いかもしれないけれど、やはり、図書館にあるということがどれだけ市民にとって重要なことなのかとかというようなことが出てくるのではないだろうか。あるいは、こういう本を借りたいという人がたくさん来るけれども、図書館にはないということが、新しい本の購入をする部門にプラスになりはしないだろうか。というようなことを御説明を聞いた時にちょっと感じまして、ひょっとしたら、これは先端科学技術に特化して出てくるものじゃない、ほかの業務にもそういうことがあるのではないかなというふうに、その例示を聞いて思いました。
 これが、富田分科会長がおっしゃるように抜け道になったら、それは非常にまずいと思います。御心配も、ものすごくよく分かりますので、それで比較することはできないとか、そういうことではまったくなくて、活動に分解して比較していただきたいけれど、そのときに、相乗効果もちょっと頭の隅っこに入れていただきたいということなのです。なお書きにすると強くなるから、そうではなくて、相乗効果が質の向上に、あるいは、先ほどの山本委員のお話のように経済効果も入れてもいいと思いますが、そういう「質の向上、経済効果に資することがないか配慮しながら」とか、私は「配慮しつつ」と書いたのですが、それでしっかりと活動に分解して見ていただきたいというふうに締め括れば、話は逆転しないのではないかなと思います。活動に分解してくださいといって、なお考慮してくださいというと、分解して経済効率を見るというほうが弱くなるのではないかと思って、そういう書き方を御提案させていただいたものなのです。
 私は科学技術しか分からないものですから、ほかの委員の方が、それは科学技術に関係したことであって、ほかにはまったく関係ないといわれるのでしたら、そうなのかもしれないと思うので、これは、ほかの委員の方がどうお考えになるかだけです。ただ、分科会長が、これが抜け道になったら困るということは、すごくよく理解しております。ですから、そうはならないように、文言をすごく気をつけなければいけない、何でもこれが当てはまるということになってしまったら、何のために分解したのだろうということになってしまいますので、それは非常によく分かるのですが、実は、数値に表れないような相乗効果というものを、ものすごく生んでいる例というのは、たくさんあるような気がしています。ただ、これが科学技術だけですと言われるとそうなのかもしれませんが、さっきの図書館の例で、私が、「ああ、そういう例もたくさんあるのだな」と思ったのは私の勘違いだったら、ほかの委員の方の御意見をぜひ聞かせていただきたいというふうに存じております。以上です。
○村松委員長
 ほかの方は、御意見ございますでしょうか。
 私も、少しずつこの点についての意見ができつつあるのですが、その前に、相乗効果という意味がよく分からないのです。ある構成要素に分解される要素があって、その要素と他の分解された要素との間で相互に作用して、いい効果をもたらすというようなことですか。その効果というのは、業務上の効果をおっしゃっているわけですか。そうですね。
○黒田臨時委員
 はい。
 研究なら研究、市民に対するサービスならサービス。あるいは、先ほど、山本委員がおっしゃったように、経済的にもプラスになるかもしれない。そういうことです。
○村松委員長
 私がちょっと疑問に思うのは、小さなことですけれども、山本委員がおっしゃられたようなコスト面での影響というようなものをお考えだと、ここの全体の趣旨が、財務状況で一応議論を整理するということに前回なったと思うので、その点からいうと、違う議論が入っているという感じがしないではないのですね。その点はどうお考えですか。
○山本専門委員
 いずれにしても、範囲の経済学的な要素で、質とコスト面、両方とも範囲の経済学で見るかどうかということですよね。黒田委員がおっしゃるのは、図書館業務等に見られるように、いわゆる質の面の範囲の経済性があるのだということをおっしゃっておられるのですが、僕は全然この文章を読むまでそういうふうには気づかなくて、財務に関することと書いてあったから、これはてっきり回避可能原価だと思いました。
○村松委員長
 もしも、相乗効果ということで、御懸念が回復されるという御議論ですが、それが研究開発以外の業務一般にあるかどうかということであれば、またちょっと議論が違うところがあるでしょうが、研究開発については、3ページで、「新しい知の創出が期待される」研究開発については、単純な評価をしてはいけないという視点が書いてありますので、コストが計算されて、それが直ちに、そのコストだけで全体の評価をするということにはならないというふうに理解をしてきたとは思います。
○黒田臨時委員
 それでいいものですから、私は、科学技術に対しては、これで大変ありがたいと思っているけれど、この間の図書館業務の話が出てきた時に、経済効率だけでなくて、先ほどお話ししたように、どういう本を買うかというようなところとか、市民に対するサービスとか、そういうことを考えたときに、ひょっとしたら、科学技術のフロンティアに限らないのではないのか、逆に、そういう例示を出されたので、その時に、科学技術に限らなくても、そういう相乗効果というのが市民へのサービスの質の向上につながるのではないのかなというふうに思ったので、ほかの業務にもそういう効果があるのではないかという意味で提案をさせていただいたというのが経緯でございます。ですから、科学技術に関しては大変にありがたいし、そのことをここで申し上げているのではないのです。そういう例を聞いたら、科学技術だけではないのではないのかなと思ったのです。ほかの委員の方が、そんなことは関係ないとおっしゃるのだったらいいのですが、そういうつもりで申し上げております。
○村松委員長
 はい、分かりました。
 ほかの方、御意見があれば伺いたいと思います。どうぞ。
○梶川専門委員
 この文章を読んだ印象の持ち方が各自違うのかもしれないですけれど、ただ、コストに関して、事務・事業を構成要素たる活動に分解し、ほかの事業と比べるという中で、今、まさに黒田先生がおっしゃられた相乗効果を含めたあるパフォーマンスがあれば、それを細分化して構成要素に分解して比較するということは、違うパフォーマンスを比較するわけですから、私の感覚でいうと、そういう分解は、もともとしないのではないかと思います。相乗効果を含めたパフォーマンスを、ほかに同じようなパフォーマンスを持っている何か違う機関と比べないと、違うパフォーマンスのものでコスト同士を比べても、それはほとんど意味がない。ですから、構成要素に分解するという分解の仕方が、相乗効果がないという範囲で分解をするのかなと思って読んではいたのです。読み手によってずいぶん違ってしまうので、相乗効果があれば、当然それは一括りであって、それ以上細分化してコストを比較するということは不合理な比較論ではないか、違うことをやっているのに、コストだけぶつけるというのは、ちょっとナンセンスかなと思ったのでございます。
○村松委員長
 私の理解でも、比較可能なところでまず比較して、それで困難だというときには、もっと比較しやすいところまで下りて比較するという、分解というのはそういう意味ですね。そういう趣旨でおっしゃられたことで、もし、その上で比較をするべきであるならば、そこで比較をするということになるだろうと思います。
○山本専門委員
 あまり混乱しないほうがいいと思いますけれども、ここでは「良好」という表現をお使いになっているわけですね。その前では、コストが高くなっているとか、コストが適切に管理されているかということを言っているわけですね。ところが、後段の「当該事務及び事業に係るコスト等」、ここでも「等」が入っていますが、「等の状況は、良好」ということですから、これはまさしく、黒田委員がおっしゃるような総合的な質とか、私が申し上げたような回避可能原価も含めて良好という意味合いであるのだということをこの場で合意しておけばいいのではないでしょうか。
○松田臨時委員
 非常に整理の仕方が難しいのですが。この項目の上の括弧ですね、「効率化、質の向上等に係る指標等の動向」というところがタイトルとしてはあるのですけれども、それは、まず最初の「・」で説明がされていて、効率化や質の向上等を図っていくために、どのような指標が用いられているか、マネージメントの視点で、要は、改善の方向に向かうような指標をもって運営されているかどうかということが、まず論点であって、ですから、先ほどお話しされているような、相乗効果という言葉が適切かどうかは分からないですけれども、質を測るときに、何でもって測るのかというようなことは、十分に測れるものが図られているかということを、まずここで確認する。次に、「特に、財務状況については」というところからは、単純に数字で比較できるものについては分解して比較しましょう、だけど、これで全部を決めるわけではなく、ここで何か、かなり食い違いがあったり、分解したらすごくパフォーマンスが悪いものがあるけれども、重箱の隅を突っつくようにして全部ダメだからというわけではなくて、いったんニュートラルに、分解したときには、そういうものも参考にしますよという意味だとすると、質の議論は、もっと上のところの質の向上を図っていくためにとサラッと書かれています。どんな指標がという、そこに本当は、今言われたような総合的な見方だとかというものが盛り込まれているかどうかというのを、各独法のマネージメントの方とか評価委員会とかが精査していくということが求められているのかなというふうに感じているのですが。そういう理解だと違うでしょうか。
○村松委員長
 人によって、発言をすると内容がちょっと変わることがあり得るかもしれませんけれど、私も、ほぼそういうことかなと思うのです。基本的には、前段で、中タイトルになっている「効率化、質の向上」という議論について第1の「・」で書いてあって、独法に関しては財務状況の分析が重視されていますので、「・」を新たに起こして、「特に、財務状況については」ということで、細かく分析がそれまでにできていなければ、比較可能なところまで分解をするということまでしてでも、できるだけ比較という視点を持ちたいということで、おっしゃられるように、ここはかなり細かくなる可能性があるわけで、重箱の隅を突っついて出たものだけで評価をするということが趣旨ではないと思います。
 御議論はあるかもしれませんが、どうですか。
○松田臨時委員
 たぶん、黒田委員が御心配されているのは、先ほど申し上げた、効率化にしても、質の向上にしても、指標化されているところの実態が、この制度も、こういう目標管理も、まだまだ歴史が浅くて未熟なところがあるので、本当に担保されるかどうかという御心配であって、ここの後半にこだわっていらっしゃるというよりは、むしろ、本来の行為が、今後、この項目が入れられることによって本当によくなっていくのかどうかということの懸念だと思います。それは、ある意味で、こういう勧告の文章だけではなかなか担保できない、むしろ実態論の部分なのかなというふうにも思います。
○村松委員長
 これは取組の方針ですが、私ども、来年もこの委員で委員会を続けるわけで、勧告の第1回は少なくとも我々がやるわけでありまして、お互いに発言を記憶し合いながら、そういう姿勢でやっていくということかなというふうに思います。
○黒田臨時委員
 「特に、財務状況について」というのは前回は入っていなかったことなので、今回はきちんと入れていただいたのでクリアになりました。私の心配は、分解をするなとか、そういうことではまったくないのであって、質を担保してほしいということで、何のかんの言っても、数値が一人歩きをするのが現状なのですね。上の「・」というのは、どうしても抽象的な書き方になっていて、その後の方が非常に細かなことまで言及してあるので、これに引きずられることがないように、相乗効果も含めた質の担保ということを、もうちょっと上の「・」に入れていただければ、私は、それはそれでまったく構わないと思うのです。
 ここは財務状況だから合わないというのは、「特に、財務状況については」と、今回初めて加えていただいたので、前はこれがなかったから、ほかのことも言っているのだとしたら、それは絶対にダメだということで、財務状況と書いていただいたから、ここにちょっと合わないというのは、それは本当にそうなのですね。そうしたら、今度は上の「・」の方を何かちょっと担保できるようなふうにしていただければ、下はこのままでも構わないと思います。
○村松委員長
 会議体の中だけで、直ちに私が原案を申し上げるというのはなかなか大変なことでありますので、そこは信頼をしていただくということで、今の御趣旨がこの文章に反映されていないかどうかを、もう一回、事務局、分科会長とともに読み直します。そして、ちょっとだけ何かを加えることによって、あるいは書き替えることによって、趣旨がよく出るということがあれば、そこは我々で手を入れさせていただくということでいかがでしょうか。いいですか。
○黒田臨時委員
 はい。意図しているところは同じなのです。
 ただ、私は、やはり、末端にいったときに数値だけが一人歩きをする、「多様化、多様化」と言いながら、評価ということで多様化が失われるようなことになったら、かえってまずいということで、意図していることは、委員長も、分科会長も、皆、同じだと思いますので、この文章を読んだ人たちが、どういうふうに受け取って読むかという視点で書いていくということが私たちの務めではないかと思います。私たちはこういうつもりで書いているのだと言っても、末端がそう読めなかったらしようがないので、そういう気持ちで読んでみたいなというふうに思っておりますので、結構しつこく意見を申し上げて申し訳なかったのですが、同じことを思っていると思いますので、よろしくお願いいたします。
○村松委員長
 それでは、富田分科会長、よろしいでしょうか。
○富田分科会長
 同じことということを強調されているのですが、実は、私が懸念しているのは、独法というのは評価で成り立ち得る仕組みなのですけれども、その評価自体が難しいのだ、質の評価は難しいのだということを言って、しかも、横並びで数字で見られると嫌だということを言っていると、これはやはり、独法制度そのものの問題点、もっと言えば、インセンティブだけ付く形にして、それで本当に国民に説明できるかどうかといったことも含めて考えると、独立行政法人の仕組みそのものを考えた場合に、先ほど、多様性を重視するとか、いろいろ言われたのですけれども、結局、ここでの必要性、有効性ということ以外に、効率性という軸で評価されるのが独立行政法人なわけでして、そこのところは、やはりきっちりとしておく必要があります。むしろ、財務状況でランキングを付けるくらいのことがあってしかるべきなのが独立行政法人だと思うのです。したがって、そういう理解が違うのであれば、やはり、ずいぶん距離が開いているということなわけです。
○黒田臨時委員
 私は、評価を意味がないとか、そういうことは一言も申し上げておりませんので、そこは誤解していただきたくないと思います。
○富田分科会長
 数字の一人歩きとか、そういうことを言われたのですけれども。
○黒田臨時委員
 それは、経済効率を分解したものだけを出すと、そうなるかもしれないということを心配しているということです。
○富田分科会長
 そんなに細かいところまで分解するというイメージは、私は全然持っていなくて、やはり、まとまったものとして評価して。
○黒田臨時委員
 この前、図書館のコピー業務の効率化ということが例示に挙げられたので。
○富田分科会長
 それは、だけど、私は適切な例だとは思わないけれど。
○黒田臨時委員
 でも、事務局が挙げられたのですよ。
○富田分科会長
 だって、結合生産だから、切るよりもまとまって行動したほうが安くなるのですよ。
○黒田臨時委員
 そうですけれども、私が挙げた例ではなくて、これを御説明された事務局が、それを例として挙げてくださったので、そこまで細かくやるのだったら、これは大変だというふうに私は思ったのですが。
○富田分科会長
 その例は、例としては成り立たないですよね。分ければ分けるほど独立行政法人は不利になるのだから。
○黒田臨時委員
 そうですよ。
○富田分科会長
 トータルとしてコストの構造を評価しましょうということを、ここで言っているわけなのですよ。そこまで御理解いただけたら、あまり違わないと思うのですよね。
○村松委員長
 たぶん、ちょっと違いはあるのです。あるのですが、この内容で了解したところでは案外違わないかもしれないと思うのです。ただ、事例が代表例ではなかったのだろうと思うのです。典型例でもなかった。ちょっと分かりやすい事例で言ったことであって、その事例に固執するのにはやめましょう。
○黒川臨時委員
 前回も問題になったのは、事務・事業という範囲がどの辺を言っているかが、きょうの議論でもそうですけれども、人によって違うということです。
 私は、事業というのを大きくとっていたので、相乗効果というような言葉を使っていたと思いますけれども、人によっては事務だというので、今の話は事務になったわけです。コピーのことを、まさか事業とは言わないと思うのです。ただ、そのときに、問題は、質のほうの向上を所与として、質が同じであればコストはどうかという、そういうふうに読めば、これはこれで読めるのかと思います。
 例えば、図書館業務は、いろいろありますよね。さっき、黒田先生がおっしゃったように、司書が選書するという業務もあるし、ナンバリングをするところまで司書がやるかもしれませんね、選書し、それを分類するというのが図書館業務の中で大事ですから。その他に、配架する業務もあるし、サービスカウンターでの受付業務もあるし、返却された本を元に戻すという業務もございますね。このような業務をどのように分解するのかということを考えると、私としては、これはいい例かとも思ったのです。
 例えば、本が戻ってきたときに、それをまた元の書棚に戻す業務を行う人と、選書の人とは同じである必要はないわけですね。黒田先生がおっしゃるように、配架する人が見ていて、どうもこの辺の本が足りないから、買っておいたほうがいいのかとか、そこまで言うのであれば確かに同じである方がいいですけれども、普通はそこは違っていてもいい。そのときに、ただ本を戻すというような業務であれば、例えば、大学の図書館だったらば、大学院生を雇って、やらせておいたっていいかもしれない。あるいは、大学院生にとっても、本がこういうふうに並んでいるのかなと思ったり、「こんな本もあるのか」ということで、かえっていいかもしれない。常勤の人よりもコストも安くなるというようなことであれば、要するに質が同じであれば、その業務はどっちの人の方が安いのかと。逆に、選書と事務の分離とはこういうことだろうと理解をしたのですね。
 分離できるようなものであれば、分離できてしまう。分離できないというようなものは、やはり初めから、梶川先生がおっしゃったように、分離すべきではない。そういうところなのだと私は思います。だから、ここは、素直に読めば、そういうふうに我々が理解すれば問題はないと思うのです。
○村松委員長
 はい、ありがとうございました。
○竹内委員
 一言だけ。今のお話ですけれども、今おっしゃっている話と、黒田委員がおっしゃっている話は、ちょっと言い方は悪いのですけれど、低レベルの技術の話と高レベルの技術の話の違いなのですね。今のようないわゆるサービスとか低レベルの技術というのは、どっちかというと比較可能なのですね。しかし、技術開発であるとか、そういうものの場合は、同質というものを見つけることも難しいわけです。逆に、質そのものの評価指標の方が効いてくるわけですね。その場合には、むしろ、おっしゃるように、類似の事例とか、ここに書いてあるような比較可能なものという低レベルの選択の話ではないのですよね。だから、2つの軸が交わっているので、少なくとも、コピーと研究開発は同じレベルの話ではないのです。
 私は、むしろ、いわゆる知的資産といいますか、そういうサービスとか研究開発の効果みたいなものを比べる評価システムそのものがきちっとできていない段階では、これが限界かなという感じなのです。つまり、高レベルのものも、低レベルのものも、今の段階では両方入っていますと。しかし、本当は、来年くらいになったら、高レベルの技術の選択の話と、低レベルのものの選択の話が一方にあって、片一方にコスト構造という話があって、ある何らかのマトリックスみたいなものにしないと、いわゆる、こういうサービスシステムとか技術を評価するシステムなんていうと、もっと評価が難しくなりますから、あるいは人の話が絡まってしまうので、私としては、今、議論をしても時間がかかるだけかなと思います。それを我々がきちっと認識していれば、今みたいな話を延々とやらなくてもいいかなというところなのです。
○黒川臨時委員
 もう少しいいですか。
 私は事業と事務とのところがすごく気になるのですけれども。先ほどの図書館の例というのは分かりやすい分解なのですけれども、実は、高レベルではなくて、中レベルくらいもあると思うのです。例えば、私もある特殊法人系統の研究員の一人なので、午前中はそちらの方の会議に出席していまして、そこでは私は逆に評価される方の立場になると思うのですけれども。その会議で感じたことは、理事長等の方々が、評価委員の意見というのを過大に考えているという問題があります。黒田委員がおっしゃったように、一人歩きするということの危険性を、私は、午前中、感じてきたところです。去年に比べて研究費は一律3割カットになっているわけで、海外調査費も3割カットになっているので、同行する研究員の数を削減しなければならないという非常に厳しい状況になっているのですね。その時に、いったいどこまで分解されるのかという問題ですが、例えば、それはたくさんのプロジェクトの集合体なのですけれども、1つひとつのプロジェクトまで分解するのか、あるいは、1つのプロジェクトの中で1回当たりの海外出張のところまで分解するのかとか、1人当たりの出張費まで分解するのかとか、どこまで分解するのかというのが非常に気になるところではあるのです。
 要するに、コストのほうの分解のところも気になりまして、できれば、ある程度一塊りのパフォーマンスの方と、それとセットのところでコストを捉えてほしいと思います。コストのほうだけ分解されてしまうと非常に困ることがあるのですね。やはり、1つの事業としてまとまりのあるようなものであれば、それで評価して欲しいというのもあるのです。黒田委員はそういうようなことも言ったのかどうか分かりませんけれども。私の研究は、中レベル程度の社会科学のほうですから、中レベル程度であっても、やはり、コストばかり分解されるということになると、いったいどうなってしまうのだろう。それから、それが過敏に、実際にはコストのところが一律そういうふうになってきているというようなことも含めて、この文章で読めるのかどうかということは、やはり気になることはあります。
○村松委員長
 その点ですけれども、事務・事業というのは、これはたぶん、行政活動というのを言うときに、事務・事業ということになっているのです。
 それは、高いレベルもあれば、中レベルもあれば、低いレベルもあるだろうと思うのですね。
 ここの読み方としては、基本的に、できるならば大きく評価したいと、大きなレベルで比較をしたいと考えていると思うのですが、できないときには分解していきましょうという方向を述べているというふうに私は理解しています。それは、梶川委員が先ほどおっしゃられたとおりで、私も同じだし、そういうふうに事務局も前に御説明になったのではないでしょうかね。
 ということでありますので、言っていることは、皆、大変有益なことで、ここで我々がちゃんと記憶しておいて、来年以降に実際に相対するのがいいだろうと思います。しかし、基本的には、伺っていると、だいたい了解は成り立っているというふうに思うわけです。ただ、もしも、ちょっとだけいじることによって、より良くなるところがあれば、それは考えたいと思います。だいぶ理解は深まりましたので、よかったと思うのですが、前回の分科会の修正を加えた原案でいくということで、よろしゅうございますか。
○松田臨時委員
 この文章のことではなくて、せっかく、こういう議論をされているので、忘れたくないのは、何のためにこれをやっているかというと、今は、勧告で、こちら側からの指摘として挙がっているようなのですけれども、本来は、当該独立行政法人のマネージメントの方々が改善点を見いだすために、自ら分解して、比較して、違いがあったら、なぜ、うちはこんなに高いのかということを見いだしてやるためのことを言っているだけだと思うのですね。本来は、それをしましょうと。それができているかどうかを確認しましょうと言っているのであって、そこを忘れると、何のためにこの議論をしているのかが、ちょっと取り違えられてしまうので、そこのところは、今後、先ほどと同じなのですけれども、マネージメントレベルを上げていくというような話の時に、またちょっと振り返ればいいのではないかなと思います。
○村松委員長
 そうですね。はい、そうだと思います。
 そうしたら、7ページの点については、そういうことで終えたということで、ほかの点もあるかと思いますが、一応これは前回の分科会で基本的には了承されたと思います。たださらに少しの努力で何か、改善というのか、重要な点等について意見が出てくれば、それはそれでまた考えるのが適当だと思うのですが、何かございますでしょうか。
 それでは、この取組の方針につきましては以上のようなことで、私と分科会長におまかせいただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次に、最近の独立行政法人評価分科会での審議の状況について、事務局より説明してください。

[最近の独立行政法人分科会での審議の状況について]
○讃岐評価監視官
 最近の独法分科会あるいは独立行政法人を巡る状況について、簡単に御説明したいと思います。きょうはペーパーは用意してございません。
 独法を巡る状況といたしまして、ひとつは、これから特殊法人等が非常に多く独立行政法人化されるという状況がございます。また、独立行政法人についていえば、国立大学法人法案というものが、今、審議されているということでございます。そうしたことを中心にして、まず、状況について説明させていただきます。
 特殊法人等の独立行政法人化は、10月1日に30法人が新たに独法として設立されるということですけれども、今、中期目標・中期計画についての策定作業が進められ、特殊法人参与会議でのヒアリングなどが行われ、準備が進められていると思います。
 国立大学法人につきましては、国立大学法人というのは独立行政法人通則法とは別の法律を作るわけですけれども、この法案の中で、評価の部分につきましては、独立行政法人通則法を準用するということになってございます。そうしますと、1次評価を国立大学法人評価委員会という文部科学省に置かれる評価委員会が行い、2次評価と中期目標期間終了時の勧告を総務省のこの委員会が所掌するという法体系、仕組みになっているものでございます。現在、法案が審議されており、既に先月衆議院で通過し、今、参議院で審議中ということでございます。参議院の審議の中で、一番大きな問題は、中期目標・中期計画について、主務大臣が関与した形でこれを作るということについて、大学の自主性、自律性ということを考えると、そういう主務大臣の関与は最小限にすべきであるという議論、中期目標を主務大臣が最終的に設定するということはどうなのかという大変強い議論があったわけです。この議論は、国立大学法人も相当額の運営費交付金を国から交付されることとなる以上、主務大臣が中期目標の策定に関して最終的な関与をするというのは、これは不可欠のことであるということで議論が進められております。
 もうひとつ、参議院の審議になってからですけれども、この評価委員会が評価をするということについての論点というものが出てまいりました。特に、国立大学法人法においては、国は、この法律の運用に当たっては、大学等における教育研究の特性に配慮しなければならないという一条が設けられている中で、国立大学法人評価委員会という第1次評価機関を作るわけですけれども、総務省の評価委員会が第2次評価を行うということについてどう考えるのか。この仕組みに関しては、独立行政法人と同じ位置付けということであるけれども、それについてどう考えるのかという議論がなされたところでございます。
 それにつきまして、こちらといたしましても、2次評価なりの専門性というものが当然あるし、また、勧告につきましては、2次評価を行ってきたという知識、経験に基づいて必要な勧告を行うのだという答弁をしてきているわけでございますけれども、昨日の文教科学委員会で、一番大きな問題になったのは、あくまでも、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が評価を行うのは1次評価機関の評価結果についてであり、また、勧告についても、国立大学法人に直接勧告するのではなくて、主務大臣に勧告をして、文部科学大臣が見直しを行うというわけであるけれども、それはそれとして理解するけれども、調査権限というものが直接国立大学に及ぶのかということでございました。総務省のこの評価委員会の所掌事務といたしましては、この勧告の方針にも書きましたけれども、主務省庁と独立行政法人の長に対して、資料の提出、説明の要求等を要請することができるという規定になっているわけでございます。独立行政法人につきましては、勧告に当たりまして必要な場合、直接資料の要求等をするということを想定しているわけでございますけれども、国立大学法人については、大学の自律性とか大学の負担というものをできるだけ減らす必要があるだろうと、文教科学委員会で強い議論があったところでございます。
 そこで、昨日、いろいろな判断の中で、局長答弁として、国立大学法人の勧告等に当たりましては、国立大学法人の教育研究の特性に配慮するという規定の趣旨をどのようにこの委員会として踏まえるのかという、そういう強い議論に対する答弁として、必要な資料等の提出等の依頼は直接大学に対して行うのではなく文部科学大臣に対して要求をするという趣旨の答弁をしたところでございます。
 引き続き、国立大学法人につきましては、参議院での審議がもう少し残っているところでございます。少なくとも、今国会中、7月下旬までの会期ですけれども、そこまでに通らないと、来年4月からの施行、スタートとはならないと思いますけれども、さらにまた評価委員会についての議論があり得るかもしれません。また、追っていろいろ御説明したいと思います。
 もうひとつ、分科会に関連する問題でございますが、2つございまして、ひとつは、樫谷先生が中心となって財務内容の改善等についての評価手法の在り方に関する研究会というものを進めていただいておりますけれども、これについて、先週、会合が行われました。また、5月の下旬には、4人の先生でありましたけれども、つくばへの現地視察というものも行われました。
 その概要ですけれども、財務内容の改善等についての評価手法の在り方に関する研究会につきましては、これまでの内部管理の状況等の現況の報告、アンケート結果等の実態を踏まえて、我々が2次意見で申し上げた、特に、財務効率化についての評価を具体的にどう進めていくのかということについて、何らか考え方をおまとめいただければというふうに考えてございます。特に財務の評価については、委員長懇談会の場などでも各府省の委員長からも、具体的にどのように進めていったらいいのだろうかということについて、御指摘がございましたので、具体的に我々が2次評価でどのようなことを注目して見ていくのかということがうまく伝わるというような形でまとめていきたいと考えているところでございます。追って、また、相談をした上で、何らか委員会の見解なりとしてまとめていくということになろうかと思います。
 最後に、つくばへの現地視察ということでございますけれども、産業技術総合研究所と教員研修センターの2機関を御視察いただきました。
 産業技術総合研究所は、御承知のとおり、既存独法の中では最大規模ということで、相当先端的な部門と、経常的な計測などの部門の両方を抱えているということで、短時間ではございましたけれども、最先端のロボット、あるいは遺伝子の研究や計測の両方の現場を、簡単に見せてもらいました。実際に、最先端の技術につきましては、もちろん本当の意味での最先端で、おもしろいところを見せてくれたということなのかもしれませんけれども、そういうものが特許に結びついていたりとか、あるいは「ネイチャー」とか「サイエンス」に載っているというか、そういう説明があり、またマネージメントでも、職員の採用をできるだけ弾力化するとか、給与についても業績を反映したようなものにするとか、そういったマネジメントのやり方を非常に工夫しているという説明があったところであります。
 ひとつ、先方から、今、公務員型という組織であるけれども、特に最先端の研究分野については、より弾力性の強い非公務員型というものも十分に考えられるものであって、検討していく必要があろう、という問題意識の提示があったところでございます。
 もうひとつが教員研修センターでございますけれども、これは、まさに中期目標期間が3年で一番早く期間の終了が到来するというところでございます。中の設備は、一般の研修施設そのものであり、これを視察した後、1時間から1時間半程度、理事長、幹部と懇談をしていただきました。その中の議論のうち代表的なものを御説明いたしますと、去年の我々の評価の1次意見でも述べましたけれども、コストというものが各研修プログラムごとにどれくらいかかっているのか、あるいは各研修プログラムごとに、どれだけ受講生の希望があって、どれだけの潜在的な需要があって、それについて、例えば1人当たりのコストがどれくらいかかっているのか、というようなことをよく分析する必要があろうというようなこと、あるいは、費用負担というものはどのように取っているのか、というようなことについていろいろ伺いました。海外研修なども行っておりますけれども、そういったものについては費用の半分をセンターが負担しているということでございます。
 さらに、コストということでございますけれど、基本的には運営費交付金で研修を行うということでございまして、十分なコスト管理というところまで徹底して行っているという印象は必ずしも得られなかったと思います。
 研修の実際の成果ということでございますけれども、そもそも、全国に1つしかないこの研修機関で行う研修というものは、地方公共団体でも、それぞれ研修を行っているのですけれども、それを前提として、本当に国として行わなければいけないような、教員の中で、将来、校長とか教頭になるようなリーダーたる資質を備えるような人を育成するような研修を行う、あるいは、教科主任になるような人の育成を行うという、そういうミッションの下に研修を行っているということですけれども、そういう人が本当に現場に帰っていろいろ還元をしていくということが重要であろうけれども、まず、数十万人いる教員のうち、何%くらいの人がこの研修機関に来るのかというと、毎年だいたい1%もいかないのではないだろうか。それは、ある意味で、そういう中央の研修機関であるからしようがないだろうけれども、しかし、それでは、研修の還元というようなものがどのように図られているのか。この還元状況をよく見るということも、我々の評価委員会の1次意見で述べたわけでございます。それについては一応の調査がなされているということでございますけれども、そこを出て、リーダーたるべき資質は備えたという回答が多かったように思いますけれども、本当にリーダーになった人がどのくらいいるのかとかといったことも含めて追跡調査というものが必要ではないだろうかという問題意識について、「今後の課題である」というような答えがあったと思います。
 また、最終的には、地方でも教員の研修をしているということでございますけれども、国で本当にやらなければいけないところにここは特化するということでございましょうけれども、本当に国でしかできないこと、地方でできることをここでやっていることはないのか、国と地方の役割分担を明確にして業務に取り組んでいかなければいけないのではないかということについてどう考えるのか、という質問を投げかけたところではございますけれども、ここは十分な時間的な余裕もなく、質問を投げかけたということにとどまってございます。
 ただ、全般的には、もう需要を終えた研修プログラムは幾つかやめて、別の新しいプログラムを作るという見直しは何らか行われているようでございます。
 いずれにしても、今年の評価が勧告に至る前の最後の評価となり、2回しかないですけれども、この2度目の評価は極めて重要であろうと思いますので、ここでの知見なども踏まえて、よく議論しなければいけないのかなと思います。
 以上、簡単に最近の動向を御紹介したところでございます。
○村松委員長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも、お願いします。どうぞ。
○樫谷委員
 今の国立大学法人の話なのですけれども、むしろ実態をもっと知るべきではないかという意見があるわけですね。これは、先行独法についても、もっと実態を知った上で評価をしなさいと、してくださいという意見もあるので、むしろ、文部科学省経由でやっていますと、本当に実態が把握できて、正しい判断ができるのかどうかという懸念も一方ではあるのではないかなというふうに思うので、直接資料要求することが絶対にダメだということではなく、何かの余地を残していただけたら大変ありがたいと思います。
○讃岐評価監視官
 調査は文部科学省を通じて行うということにしたとしても、接触をしてはいけないかというと、そういうことでは必ずしもなくて、もし、実態を向こうから知ってほしいというようなことがあれば、それは当然、この委員会として受け付ける、勧告のひとつのプロセスとしては、やはり、見解を聞くことはありますよということは、今の既存独法では言っているわけでございますので、見解が、もし、何かあるのであれば、それを聞くことまでは否定するものではないだろうというふうに思います。
○村松委員長
 すごくテクニカルな言い方になると思うのですけれども、勧告の筋と評価の筋はちょっと違うということになるわけですね。今御紹介いただいたのは、勧告に関わるヒアリングのような、ヒアリングというか、直接コンタクトみたいなことで、評価という議論はしておられないのですか。
○讃岐評価監視官
 評価ということについても議論がございますが、評価については、これは2次評価ということでございますので、2次評価は何なのかというと、1次評価の結果を踏まえて、1次評価が適切に行われているのかどうかの確認ということになりますので、1次評価の結果、使った資料がどのような資料で、そのデータというものが論理的に分析されて、きちんと適切な、妥当な結論が導き出されたのかということを追跡するということになりますと、1次評価を行う際に参照した資料というものが当然あるわけですので、原則としてその資料の提供をお願いするというのが基本であろうというふうに考えるところでございます。
○村松委員長
 どうぞ、武田委員。
○武田専門委員
 10月1日で30法人増えるということでございますが、今、中期目標・中期計画を策定中ということですけれども、これまで、中期目標・中期計画の在り方が評価にものすごく影響を与えていたなというふうに感じているのですけれども、そのあたりで、新規に加わってくる法人の目標・計画に対して何らかのコミットなりができるのか、あるいは、していくのかという点につきましてちょっとお伺いしたいなというふうに思うのですけれども。
○讃岐評価監視官
 この委員会としては事後的な評価ということでございますので、中期目標・中期計画は、権限的には主務大臣が中期目標を定めて、法人が中期計画を作って、主務大臣が認可し、その過程で各府省の評価委員会からは意見を聴くというプロセスが書かれてございます。しかし、この委員会は、そこまでの権限はございません。したがって、法律上の根拠に基づく関与ということはございません。
 ただ、実際の問題といたしまして、まさに、中期目標・中期計画の立て方が非常に重要だということで、その策定の指針というものが4月に作られたところでございまして、その策定の指針の中には、先般、2次意見で述べた、できるだけ具体性、定量性が必要だとか、効率性などについてどのような指標をとるかとか、この委員会での問題意識は可能な限り盛り込まれているものでございます。
 そういったところで、これまでの言ってみれば、我々が1回目の評価をしたときの教訓というものができる限り反映されているような形というものを事実上作り出そうとしているところでございます。ただ、法律上の関与はできないということになっています。
○村松委員長
 よろしいでしょうか。
 そのほか。どうぞ。
○黒川臨時委員
 今度、30法人くらい増えるということですが、特殊法人だったところが多くて、そういう意味では、富田先生がおっしゃっているようなイメージが強いところも結構あるのではないかなという気もするのです。それと、特殊法人の会計基準がその前にできておりまして、それが民間の個々の会計処理に準拠した会計処理を求めているということもあるし、また、大きな法人では公認会計士の監査もある。そういうことがあって、結構、財務的な面で評価するというのが強力な手段になると思います。
 その時にお願いがあるのですけれども、どのように会計をしていたのかとか、特に、会計監査人の御意見とかを、どの程度評価委員会としてお聞きできるのか、その辺、以前から話題にはなっていたところかもしれませんけれども、財務のワーキングでも結構ですし、今やっている業務に加えて、このテーマを、ひとつ付け加えておいていただきたいと思うのですが。
○讃岐評価監視官
 とりあえず、今、早急にまとめなければいけないものとして、今度の評価にどのように取り組むのかということでございますが、さらに、引き続き、どのようなことを検討していくのか、課題を整理していきたいというふうに思います。
○村松委員長
 どうもありがとうございます。
 それでは、よろしゅうございますでしょうか。
 最後に、次回の委員会の日程につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○橋口総務課長
 まず、次回の独立行政法人評価分科会でございますが、7月の下旬から8月上旬にかけまして開催を予定させていただきたいと思っております。平成14年度の業務実績評価の進め方について、その場合のワーキンググループの分担について、ということでご審議を賜りたいと思っております。また、詳細は別途御連絡させていただきます。
 政策評価分科会の関係では、7月下旬の開催を予定しております。客観性担保評価における再評価等の実施の必要性の認定についての考え方、あるいは、行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画について、ということで御審議を賜りたいと思っております。これについても、詳細は別途御連絡させていただきます。
 本委員会でございますが、必要に応じて開催するということで、日程等は、また、別途御連絡させていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○村松委員長
 どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の第26回会合を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

〔了〕