中央省庁等改革の推進に関する方針(平成11年4月27日中央省庁等改革推進本部決定)〔抄〕


III  独立行政法人制度関連
I  国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画(抄)
VII  各省等設置法案関連(抄)


III  独立行政法人制度関連


  独立行政法人に係る制度に関しては、独立行政法人通則法案及び独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に定めるところによるほか、次のとおりとする。

.独立行政法人制度の趣旨
   独立行政法人の制度を設けるに当たっては、事前関与・統制を極力排し、事後チェックへの重点の移行を図るため、主務大臣の監督、関与その他の国の関与を必要最小限のものとする。
(通則法案第1条、第3条等関係)

.公表
1)  独立行政法人は、通則法案において公表すべきこととされている事項のほか、その独立行政法人の「業務の概要」に関する事項その他のできる限り多くの事項についても併せて積極的に公表することとする。
2)  公表の方法については、

1  公表すべき事項の要旨の官報等による公告

2  公表すべき事項を記載した書面を事務所に備え置き、一定の期間一般の閲覧に供することに加え、電子媒体でアクセスすることが可能となるような方法等追加的に適切な方法も利用して、積極的に行うこととする。
(第3条等関係)

.個別の独立行政法人の目的、業務等
1)  独立行政法人の名称、目的、業務の範囲、組織、運営、管理その他独立行政法人通則法を補う内容等を定め、独立行政法人を設立し運営するための個別の法令(注)(以下「個別法令」という。)を引き続き整備する。
  個別法令においても、独立行政法人の特性に応じた組織、運営が可能となるよう弾力的な仕組みとする。
2)  独立行政法人の業務等が国民のニーズとは無関係に自己増殖的に膨張することを防止するため、

  独立行政法人が行う業務は、個別法令により定められる本来業務及びそれに附帯する業務に限られるものとする、

  独立行政法人による出資等は、独立行政法人の本来業務及びそれに附帯する業務に係るもの以外には認めないものとし、個別法令に定めがある場合に限ることとする。
3)  個々の独立行政法人の名称については、独立行政法人以外の者が当該名称を使用することを制限し、その名称は、「国立」という文字を用いることを含め、個々の独立行政法人の事務及び事業の内容、独立行政法人化以前の名称等を総合的に勘案しつつ検討するものとする。
(第4条、第5条、第10条等関係)

(注)個別の法令(「個別法令」)の法制上の措置方法については、今後検討するものとする。以下同じ。

.内部組織
1)  独立行政法人の役員に関するもの以外の内部組織(第7条第2項の従たる事務所を含む。以下同じ。)は、個別法令の業務の範囲で独立行政法人の長がその裁量により決定、変更又は改廃し、主務大臣に通知するものとする。
2)  上記(1)の独立行政法人の役員に関するもの以外の内部組織についての独立行政法人の長による決定、変更又は改廃は、従来型の組織管理手法の対象外とする。
(第7条等関係)

.財産的基礎等
1)  独立行政法人が出資を受ける場合は、第37条等に定める会計処理の方法に従い資本金として整理する。その場合、個別法令において資本金額に関する規定を置くものとする。
(注)出資を受けない独立行政法人は、資本金を持たないこととなる。
2)  政府が独立行政法人に出資する場合には、個別法令において、政府出資額等出資の内容に関する規定を置くものとする。
3)  個別法令においては、必要に応じて増資方法の規定を置くことができる。当該規定に基づいて具体的に増資を行う際には、中期計画の中で定めるものとする。
(注)減資は、個別法令その他の法律の定めにより行うものとする。
4)  個別法令の定めるところにより、政府は独立行政法人に対する金銭以外の土地・建物等の財産の現物出資を行うことができる。またその際は、資産評価委員会の設置など、出資財産の評価に関する規定を置く。現物出資された財産の評価は、出資時の時価を基準とすることを原則とする。
5)  必要に応じ、独立行政法人は、個別法令の定めるところにより、国有財産を無償使用することができるものとする。
  なお、国が、地方税法上の非課税独立行政法人に対して固定資産を無償使用させ、当該独立行政法人自らがこれを使用する場合には、仮に当該資産を国自らが使用していたとしても国有資産等所在市町村交付金の交付対象とされるようなものを除き、同交付金の交付対象としないよう措置する。
6)  地方公共団体や民間企業など、政府以外の者の出資を受けるためには、個別法令において、その旨及びその他必要な事項を規定するものとする。
7)  改正後の地方税法第348条第6項に基づく政令は、現在、国有資産等所在市町村交付金の交付対象となる固定資産に対しては、交付金に替わって固定資産税が課税されることとなるよう定めるものとする。
(第8条等関係)

.登記
   独立行政法人に係る登記令を整備するものとする。
(第9条等関係)

.独立行政法人評価委員会
1)  主務省に置かれる合議制の機関である独立行政法人評価委員会は、主務省ごとに設置されるものであり、その委員は、外部有識者のうちから主務大臣が任命するものとする。
2)  独立行政法人評価委員会については、その事務局としての事務を行う部局を特定するものとする。
(第12条等関係)

.設立
1)  独立行政法人の新設及び改廃に係る機構管理上の審査を行う場合におけるその審査手続については、独立行政法人制度の趣旨・目的にかんがみ、必要最小限の範囲(業務範囲等)とするとともに、その審査に当たっては、関係資料等を必要最小限とするなど、できる限り簡便なものとすることとする。
2)  事務及び事業の独立行政法人への移行に際しては、当該事務及び事業に係る権利義務等の承継や引継ぎについて適切な措置を講ずることとする。
(第13条〜第17条等関係)

.役員
1)  独立行政法人の長は常勤とするものとする。
2)  監事は複数置くものとし、そのうち1名以上は外部の者を起用するものとする。
3)  第20条第1項第1号及び第2号は、経営に関して高い識見を有する者を含むものとする。
4)  独立行政法人の長等を公募する場合には、その選任手続は、公正性を担保しつつ適材を得るよう留意するものとする。
5)  欠格条項については、各独立行政法人の業務の性質等に応じ、個別法令において付加又は軽減して定めることができるものとする。
(第18条〜第25条等関係)

10.業務方法書
   業務方法書には、業務の方法に関する事項のほか、業務の委託に関する基準、競争入札等の契約に関する基本的な事項等について定めることとする。
(第28条等関係)

11.中期目標
1)  独立行政法人の中期目標は、できる限り数値による等その達成状況が判断しやすいように定めることとする。また、その内容については、各独立行政法人の業務の内容、性格に応じた目標の設定となるよう特に配慮するものとする。
2)  中期目標の変更は、特段の必要がある場合に限って行うこととし、恣意的な運用によって独立行政法人の自律性・自主性が損なわれないよう配慮するものとする。
(第29条等関係)

12.中期計画
1)  中期計画における「予算、収支計画及び資金計画」の「予算」に含むこととされている人件費の見積りは、その算定の基礎として、あらかじめ一定のルールにより見積りを行う方法か、又は計画期間中の人件費総額の見積りを行う方法のいずれかにより行うものとする。当該人件費の見積りは、役員報酬並びに職員基本給、職員諸手当、超過勤務手当、休職者給与及び国際機関派遣職員給与に相当する範囲の費用とするものとする。
2)  中期計画には、施設・設備に関する計画、人事に関する計画(人員及び人件費の効率化に関する目標を含む。)その他個別の独立行政法人の業務の性格に応じて定められる計画も含むものとする。
3)  「剰余金の使途」の具体的な考え方については、会計専門家を交えて検討を行うものとする。
4)  主務大臣による中期計画を変更すべきことの命令は、第30条第4項に定める要件の認定を厳格に行うとともに、その運用に当たっては、認可当時には予測できなかった事情の変化等により、中期計画を変更すべきことを命ずることが真にやむを得ないような特段の必要がある場合に限って行うこととし、恣意的な運用によって独立行政法人の自律性・自主性が損なわれないように特に配慮するものとする。
(第30条等関係)

13.年度計画
   年度計画においては、中期計画に定めた事項に関し、当該事業年度において実施すべき事項を含まなければならないものとする。
(第31条等関係)

14.各事業年度に係る業務の実績に関する評価/中期目標に係る事業報告書/中期目標期間に係る業務の実績に関する評価
1)  独立行政法人評価委員会による独立行政法人の業務の実績の評価は、同委員会が設定する客観的な評価(例えば、中期目標の達成度合に応じた数段階評価)基準によるものとする。
(第32条、第34条等関係)
2)  独立行政法人は、業務運営や役職員の処遇等に関して、独立行政法人評価委員会の評価結果を反映するように努めるものとする。また、年度計画や中期計画の作成に当たっては、独立行政法人評価委員会の評価結果を踏まえるものとする。
3)  主務大臣は、独立行政法人評価委員会の評価結果を踏まえて、中期目標の設定、中期計画の認可又は独立行政法人の長等の人事等を行うものとし、任期途中の独立行政法人の長の交代もあり得るものとする。
(第32条等関係)
4)  中期目標に係る事業報告書は、中期目標の達成状況が明らかになるような内容を含まなければならないものとする。
(第33条等関係)

15.独立行政法人の組織及び業務の全般の検討
   主務大臣は、組織及び業務の全般にわたる検討結果を、業務の継続(民営化、業務の改廃等を含む。)、業務運営の方法(中期目標の設定、中期計画の認可等)、組織の在り方、長等の人事等に反映させるよう所要の措置を講ずるものとする。
(第35条等関係)

16.総務省に置かれる政策評価・独立行政法人評価委員会(仮称)
   通則法に規定する政令で定める審議会として政策評価・独立行政法人評価委員会(仮称)を総務省に置くものとする。
1)  政策評価・独立行政法人評価委員会(仮称)の委員は外部有識者のうちから総務大臣が任命するものとする。
2)  政策評価・独立行政法人評価委員会(仮称)の事務局機能を果たす部局を特定するものとする。
3)  政策評価・独立行政法人評価委員会(仮称)は、独立行政法人に関する公表資料を取りまとめ、公表するものとする(独立行政法人に関する報告のためのブックレット等の定期的作成)。このため、独立行政法人の主務大臣は、公表資料を、政策評価・独立行政法人評価委員会(仮称)に対して提供するものとする。
4)  政策評価・独立行政法人評価委員会(仮称)は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、独立行政法人の主務大臣又は独立行政法人の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができるものとする。
5)  政策評価・独立行政法人評価委員会(仮称)は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、独立行政法人の主務大臣又は独立行政法人の長以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができるものとする。
6)  政策評価・独立行政法人評価委員会(仮称)の意見及び勧告については、主務大臣及び独立行政法人は尊重するものとする。
7)  独立行政法人については、その制度の趣旨にかんがみ、独自の評価等を定期的に行う仕組みが設けられるため、行政評価等の機能との重複を防止するものとする。
  総務省が府省の政策を評価するために必要な範囲内で独立行政法人に対して関連する調査を行う場合においても、原則として公表資料又は総務大臣若しくは主務大臣が保有する資料等を活用することとし、これにより難い場合には、事前に主務大臣を通じて独立行政法人に連絡を行った上で調査を行う等調査が必要最小限のものとなるようにする。
(第32条、第35条等関係)

17.財務諸表等
1)  独立行政法人の会計については、適切に情報開示を行うために、独立行政法人の財政状態及び運営状況を明らかにすることを目的とし、発生主義の考え方を導入する。
2)  独立行政法人の会計については、その財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、正しく表示するものでなければならない。また、その運営状況を明らかにするため、すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、かつ、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない。
3)  独立行政法人の会計基準は企業会計原則によることを原則とするが、公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としない等の独立行政法人の特殊性を考慮して必要な修正を加えるものとする。そのため、会計専門家を交えて細目について必要な研究を行うものとする。
4)  独立行政法人に共通に適用される包括的かつ詳細な規定や、各独立行政法人の多様性を考慮し、これを補う内容等の基準を、主務省令等で措置する。当該主務省令等においては、上記(3)の必要な修正を含むものとする。
5)  主務大臣は、財務諸表を承認後、添付書類とともに財務大臣に通知するものとする。
(第38条等関係)

18.会計監査人の監査
1)  会計監査人による監査を義務付ける独立行政法人の規模については、例えば、資本金、運営費交付金の額等を勘案して定めるものとする。
2)  独立行政法人の長は、監事の同意を得た上で、会計監査人の候補者の名簿を主務大臣に提出し、その選任を求めるものとする。
3)  会計監査人は、何時でも、独立行政法人の会計の帳簿及び書類の閲覧もしくは謄写をし、又は長その他の役員(監事を除く。)及び職員に対して会計に関する報告を求めることができる。
(第39条等関係)

19.利益及び損失の処理
1)  主務大臣の承認により中期計画に定めた剰余金の使途に充てることができる額は、独立行政法人の経営努力により生じた額とする。
2)  第44条における会計的な処理の細目については、会計専門家を交えて検討を行うものとする。
3)  個別法令においては、中期目標期間が終了する事業年度における積立金の処理に関して、例えば半分を国庫納付、半分を内部留保する等、個別の独立行政法人ごとに判断し、規定するものとする。
(第44条等関係)

20.借入金等
1)  独立行政法人が長期借入金及び債券発行する場合には、個別法令において、それらを可能とする旨の規定を置かなければならない。個別法令においては、必要に応じ、認可手続、償還計画等の所要事項について、定めるものとする。
2)  独立行政法人の長期借入金及び債券発行に係る債務について政府が債務保証を行う場合には、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第3条の規定にかかわらず、個別法令で定めるところによる。
(第45条等関係)

21.財源措置
1)  考え方

  独立行政法人は、一般的には独立採算制を前提とするものではない。独立行政法人への移行後は、国の予算において所要の財源措置を行うものとする。

  なお、独立行政法人に対する移行時の予算措置に当たっては、移行前に必要とされた公費投入額を十分に踏まえ、当該事務及び事業が確実に実施されるように、十分に配慮するものとする。
2)  予算措置の手法

  独立行政法人に対する予算措置については、主務大臣が予算要求を行うものとする。

  独立行政法人に対する国の予算措置については、中期計画に定めるところに従い、運営費交付金及び施設費等を毎年度の予算編成の中で確実に手当てする。具体的には次のいずれかの方法によるものとする。
[手法1]中期計画において計画期間中の予算措置の総額を定め、国庫債務負担行為として予算に計上する。各年度予算においては、これを具体的に歳出化する。
[手法2]中期計画において計画期間中の予算額算定のためのルールや投資計画を定める。各年度の予算編成においては、ルールの具体的適用や投資計画の実現を図る。
3)  運営費交付金

  独立行政法人の事業の運営のため、国は運営費交付金を交付する。

  運営費交付金はいわば「渡し切りの交付金」として措置する。国の予算においては、独立行政法人ごとに、例えば一項一目を立て、使途の内訳は特定しない。

  したがって、運営費交付金を財源とする独立行政法人の支出予算については、その執行に当たり、国の事前の関与を受けることなく予定の使途以外の使途に充てることができるものとする。また、独立行政法人において年度内に遣い残しが生じた場合であっても翌年度に繰り越すことができるものとする。
4)  施設費等

  独立行政法人の施設費等に係る経費であって、国の予算において公債発行対象経費であるものについては、運営費交付金とは別に措置する。(注)

  独立行政法人に対する施設費は、国の予算においては、必要に応じ繰越明許費として計上する。

  措置された施設費等は、上記の枠組みの中で、中期計画に定めた範囲内で弾力的に執行する。
(注)投資的経費であっても公債発行対象でない経費は、運営費交付金の中で措置する。
5)  人件費等

  所要の予算措置は、運営費交付金の中で手当てする。

  運営費交付金の算定の基礎として、人件費等相当額について、あらかじめ一定のルールを定めることができる。
6)  寄附金・受託収入・手数料等

  独立行政法人に対する寄附金、外部からの受託収入、手数料収入、入場料収入等については、別段の定めのあるものを除き、独立行政法人の収入に直接計上することとし、国の会計の歳入・歳出外で扱う。

  独立行政法人に対する寄附金については、特定公益増進法人並みの扱いとする等の所要の措置を講ずる。

  改正後の地方財政再建促進特別措置法第24条第2項の政令で定める独立行政法人とは、個々の独立行政法人ごとに、同項における既存の特殊法人の取扱いとの均衡を勘案しつつ、国の出資の割合、国の関与の度合い、国の財政資金への依存度、法人の業務内容等を考慮して定めるものとする。
(注)同項の観点からは、出資の全額を国に依存している独立行政法人又は資本若しくは出資を有せずに国の出資に代えて国有財産を無償で使用する独立行政法人は、多くの場合、この対象になるとの推定が働く。

  現在の地方財政再建促進特別措置法施行令第12条の2各号の規定が独立行政法人に対しても適用されるよう措置するとともに、各号の規定との均衡にも留意しながら、一定の要件のもとでの地方公共団体からの独立行政法人に対する自主的な寄附等を可能とすることについて検討する。

  国は、独立行政法人を一の受託者として、委託金を支払うことを妨げない。

  独立行政法人においては、国の複数の会計からの収入がある場合など、必要に応じて、区分経理を行うものとする。
(第46条等関係)

22.財産の処分等の制限
1)  認可の際には、処分の相手先、処分時期、処分理由は認可の内容としないこととし、また処分価格についても下限価格を認可するなど可能な限り独立行政法人の自主性を尊重するものとする。
2)  重要な財産の範囲は、当該財産の独立行政法人の業務運営における物的重要性及び当該財産処分の独立行政法人の財産基盤への影響度を勘案して定めるものとする。
3)  独立行政法人の重要な財産については、その業務目的のために第三者に使用させることができる。
(第48条等関係)

23.特定独立行政法人の役員の報酬等
1)  独立行政法人は、業務の実績を反映した報酬等の支給の状況についても公表するとともに、主務大臣に通知するものとする。主務大臣は、当該支給状況を独立行政法人評価委員会に通知するものとする。
2)  独立行政法人評価委員会は、各事業年度における業務の評価の一環として、業績を反映する報酬等の支給の基準に基づく報酬等の支給の状況が、第52条の趣旨に適合しているかどうかについても評価を行うものとし、必要があると認めるときは、当該独立行政法人に対し、勧告をすることができる。
(第52条等関係)

24.特定独立行政法人の職員の給与
1)  独立行政法人は、職員の給与について、当該独立行政法人及びその職員の業績が反映される給与の仕組みの導入を図るものとする。
2)  独立行政法人の業績については、独立行政法人評価委員会によって業務の達成目標が大幅に達成されたとの評価が得られたときや、業務の達成目標が全体として未達成との評価を受けたとき等において、これを考慮するものとすることが適当である。
(第57条等関係)

25.特定独立行政法人の職員の採用、服務等
1)  職員の採用
  職員の採用については、公正・中立性の確保に留意しつつ、従来の取扱いと比較して独立行政法人の長の判断により採用を行うことができる範囲を拡大するものとする。
2)  職員に対する服務及び懲戒

1  特定独立行政法人の長は、勤務時間、休憩、休日及び休暇等に関する規程において、職務に関連のある一定の場合の休暇を設けることにより、職務専念義務(国家公務員法第101条)を免除することが可能である。

2  職員の兼業制限(国家公務員法第104条)について、独立行政法人の長が、関連法令の定める一般的基準に従い、兼業の許可を与えることができるものとする。
3)  勤務評定
  独立行政法人の長は、勤務評定を行い、その結果に応じた措置を講じる必要があるが、勤務評定の内容、手続等は、独立行政法人の長の定めるところによるものとする。
(第59条等関係)

26.国会への報告等
1)  定員については、行政機関の職員の定員に関する法律等の法定定員制度の対象外となる。
2)  政府が毎年国会に対して行う特定独立行政法人の常勤職員の数の報告に係る事務は、総務省が行うものとする。
(第60条等関係)

27.特定独立行政法人以外の独立行政法人の役員
1)  業務の性質等に応じ一定の独立行政法人の役員に、秘密保持義務を個別法令で課すものとする。
2)  業務の性質等に応じ一定の独立行政法人の役員に、個別法令により刑法その他の罰則の適用についての「みなし公務員」規定等を置くものとする。
3)  独立行政法人の役員の報酬等の支給の状況に関しては、上記23.(1)及び(2)と同様に取扱うものとする。
4)  独立行政法人の役員の報酬等は、独立行政法人の業績の評価を踏まえたものとするよう特に配慮することが適当である。
(第62条等関係)

28.特定独立行政法人以外の独立行政法人の職員
   特定独立行政法人以外の独立行政法人の職員の地位等については、次のとおりとする。

1  職員に対する服務及び懲戒については、就業規則で定めるものとする。

2  職員の給与について、上記24.(1)及び(2)と同様に取扱うものとする。

3  業務の性質等に応じ一定の独立行政法人の職員に、秘密保持義務を個別法令で課すものとする。

4  業務の性質等に応じ一定の独立行政法人の職員に、個別法令により刑法その他の罰則の適用についての「みなし公務員」規定等を置くものとする。

5  国家公務員からの移行職員の退職手当については、国家公務員退職手当法により維持されていた水準を尊重(期間通算を含む。)して措置するものとする。
(第63条等関係)

29.人事交流の在り方
   身分・処遇関係についての制度的取扱い(退職手当、共済給付、災害補償、福利厚生等)については、人事交流の妨げとならないよう措置するものとする。

30.主務大臣の報告の聴取等
   主務大臣の関与できる事項については、法人監督に関する一般的な監督規定は置かず、個別に法令で限定的に規定する。また、必要がある場合に限り個別法令で、独立行政法人に対する公益侵害の是正要求、緊急時の主務大臣の指揮監督権等について定めるものとする。
   なお、主務大臣と独立行政法人との間で、業務に関して日常的な連絡調整等を行うことは可能である。
(第64条、第65条等関係)

31.主務大臣
   複数の府省が所管する独立行政法人については、各主務大臣の所管する事項について個別法令により定めるものとする。
(第68条等関係)

32.個別法令等の作業等
   今後は、政府において個別法令等の準備作業に着手するとともに、通則法令、個別法令等の法令事項以外についても、必要に応じ、適切な措置を講ずることを検討する。

33.労働関係への配慮
   政府は、それぞれの独立行政法人に行わせる業務及びその職員の身分等を決定するに当たっては、これまで維持されてきた良好な労働関係に配慮するものとするとされており、この点に十分配慮する必要がある。

(注)ここに引用している独立行政法人通則法案の条文は、それぞれの記述内容に関係の深い代表的なものを参照の便宜のため掲げているものであり、網羅的なものではない。




I  国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画(抄)
(編注:方針のこの章については、11年4月27日付けで閣議決定されている。)


  中央省庁等改革を推進するため、国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画を以下のとおり定める。

1  事務・事業合理化関連
   以下の国の事務及び事業の減量、効率化等を進め、行政組織の減量、効率化を図る。
.現業の改革
   現業については、事務及び事業の減量化を図りつつ、以下の取組を進める。
3)  造幣事業及び印刷事業

1  造幣事業及び印刷事業については、独立行政法人化(国家公務員の身分を与える法人)することとし、2事業の統合を含む今後のあり方について検討する。
  独立行政法人化に当たっては、通貨の安定的かつ確実な供給、通貨に対する信認の保持など、通貨製造業務の特殊性を考慮し、その特殊性に基づく安定的な雇用関係に配慮しつつ、必要な措置を講ずることとする。

2  通貨製造業務の特殊性に応じた制度の構築に要する期間等を考慮し、独立行政法人への移行の時期については、平成15年度前半とする。

3  印刷局病院については、印刷事業が移行する法人と一体として独立行政法人化する。企業会計原則に基づきその収支を明確にし、その運営についての基準を明確にして合理化を進めるものとし、民営化又は他の医療機関(例えば共済病院)との統合についても検討する。

2  独立行政法人化関連
2)

1  駐留軍等労務者の労務管理等事務については、平成14年4月に独立行政法人に移行することとする。

2  自動車検査(検査場における検査)については、遅くとも平成14年度前半までに独立行政法人に移行することとする。

3  統計センター(統計研修所を除く。)については、平成15年4月に独立行政法人に移行することとする。

4  造幣局及び印刷局(病院を含む。)については、平成15年度前半に独立行政法人に移行することとする。

5  国立病院・療養所については、平成16年度に独立行政法人に移行することとする。

1)  国立大学の独立行政法人化については、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成15年までに結論を得る。
  1.に掲げた機関以外の大学共同利用機関等については、他の独立行政法人化機関との整合性の観点も踏まえて検討し、早急に結論を得る。
2)  食糧事務(食糧検査は民営化。)については、食糧検査の民営化の状況を見つつ、引き続き検討を進める。
  動物医薬品検査所については、薬事法体系の中での在り方等を考慮しつつ、引き続き検討を進める。
  船舶検査、航空機検査及び無線等検査については、民間能力の活用状況を見つつ、引き続き検討を進める。
3)  上記以外のその他の事務及び事業についても、引き続き検討を進める。

3  組織整理等関連
.施設等機関等の見直し
   施設等機関等については、事務事業合理化及び独立行政法人の活用等による見直しを行うほか、それぞれその性格に応じた再編成、統合、事務の民間委託の推進等の措置を次のとおり行う。
1)国立大学
  事務組織の簡素化、合理化及び専門化を図る等の観点から、事務の一元化を引き続き推進するとともに、人事、会計・財務、組織編制等に係る弾力化、時代の変化に合わせた事務手続の簡素化、合理化、事務処理の効率化等を進める。なお、大学審議会答申(平成10年10月26日)の指摘を踏まえ、大学改革のための法案を今次通常国会に提出したところである。
2)国立病院及び国立療養所
  平成11年3月に見直しを行った国立病院・療養所の再編成計画に基づき、機関の民間若しくは地方公共団体への移譲、統合又は廃止を推進すること等により、その再編成を一層促進する。
3)上記以外の各機関

1  試験研究機関について、その業務を国として本来担うべき機能にふさわしいものとし、その規模を適切なものとするとともに、その組織及び人員の効率化及び重点化等を推進しつつ、国として総合的に取り組む必要のある重要な研究分野及び広範な行政目的に関係する横断的な研究分野を担う中核的な機関を育成する。

2  国立医療・病院管理研究所と国立公衆衛生院の統合、検査検定業務の外部への委託、研修業務の民間能力の活用などにより、効率化を進める。

3  特別の機関に関しても、その性格に応じた見直しを行う。

.地方支分部局の整理合理化
2)今後さらに、府省の編成にあわせたブロック機関の総合化など、行政事務の効率的執行の観点から地方支分部局の整理合理化を推進することとし、引き続き検討を行うこととする。また、民営化、独立行政法人化等事務及び事業の減量、効率化を行う機関にあっては、その合理化に対応した整理を実施する。

.特殊法人の整理合理化
  特殊法人について、累次の閣議決定等を踏まえつつ、徹底して見直し、民営化、事業の整理縮小・廃止等を進めるとともに、存続が必要なものについては、独立行政法人化等の可否を含めふさわしい組織形態及び業務内容となるよう検討する。

4  定員削減関連
1)国の行政機関の職員の定員について、10年間で少なくとも10分の1の削減を行うための新たな計画は、平成12年12月31日の定員をもとに、平成13年1月1日から平成22年度の間に実施するものとし、府省編成前の適切な時期に策定する。
  当該計画に沿った定員削減を進めつつ、郵政公社の設立、独立行政法人への移行により、一層の削減を図るものとする。
  国家公務員は、上記趣旨を踏まえ、早期に実現させるため前倒しし、平成12年度採用分から毎年新規採用を減らし、公務員数を10年間で25%削減する。




VII  各省等設置法案関連(抄)


各省等の編成に当たっては、
(1)総務省は、内閣及び内閣総理大臣を補佐し、支援する体制を強化する役割を担うものとして設置されるものであり、今後の行政改革については、今次中央省庁等改革の理念を踏まえ、総務省が行政機関の機構、定員及び運営に関し、行政の総合的かつ効率的な実施を確保するため必要な政府全体を通ずる総合的な調整機能を発揮し、これを継続的かつ強力に推進していくこと、
(2)総務省による独立行政法人の新設及び改廃の審査手続については、「III 独立行政法人制度関連」において述べたように、独立行政法人制度の趣旨・目的にかんがみ、必要最小限の範囲とすること、即ち、独立行政法人制度の趣旨、特に自主性の確保を旨として、特殊法人に係る審査より簡易かつ効率的なものとなるようにし、業務範囲、役員、特段の監督権等の重要事項に絞って審査を行うこと、また、審査資料等についても、必要最小限のものとすること、
等のほか、各省等設置法等の法律案、国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画等及び基本法の編成方針によるものとする。