主な勧告事項 |
関係省が講じた改善措置状況 |
第1 化学物質の排出量等届出の励行確保
(勧告)
関係省庁は、連絡会議を活用するなどして、次の措置を講ずること。
1) |
未届出事業者については、前年度の届出状況や他法令の届出台帳等の活用などにより、その把握に努め、届出を励行させるよう、都道府県等に対し、必要な助言を行うこと。 |
2) |
制度の周知啓発については、これまでの取組状況や未届出等の理由を踏まえ、届出が着実かつ正確に行われるよう、効果的に実施すること。
(厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省) |
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(説明)
<排出量届出制度とは>
化学物質の自主的な管理の改善促進と環境保全上の支障の未然防止を図ることを目的に、どのような化学物質がどういった発生源からどのくらい環境に排出されていたか等のデータを把握、 集計、公表するもの
具体的には
○ |
届出対象化学物質
慢性毒性や発がん性等により人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息等に支障を及ぼすおそれがあるとして、ダイオキシン類やトルエン(溶剤等に使用)等354の化学物質(第一種指定化学物質)を政令で指定
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○ |
届出の仕組み
届出対象化学物質を一定量以上取り扱う事業者(注1)に、毎年度の排出量等を自ら把握し、翌年6月末までに、都道府県等を経由して事業所管大臣に届出を義務付け
事業所管大臣は経済産業・環境両大臣に届出事項を通知。両大臣が集計し、家庭等からの推計排出量と併せて公表
(注1) |
1)業種(製造業等23業種)、2)規模(常時雇用者21人以上)、3)取扱量(年間1トン以上。ただし、当初の平成13、14年度は5トン以上)の要件を満たす事業者 |
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<調査結果の概要>
○ |
届出がない事業者を比較的簡易な方法(注2)を用いて当省が実際に調査し、未届出事業者を把握して未届出の理由を分析
(注2) |
ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号。以下「ダイオキシン類特措法」という。)等他法令の届出台帳や地域の企業要覧等を活用して、本届出台帳(平成14年度)と比較し、台帳になかった94事業者を選定 |
- 平成14年度台帳になかった94事業者のうち、14、15年度とも届出義務のあるのは53事業者で、2年続けて未届出のものは38事業者(注3)
- 2年続けて未届出の理由 は、 届出制度の不知(34%)や内容の理解不十分(50%)を合わせると84%(32事業者)
- 未届出事業者を把握するのに有効と考えられる、前年度の届出状況や他法令の届出台帳等を活用することについて、都道府県等に対する助言が不十分
- 18道府県等のうち、未届出事業者を前年度実績との突合等により把握しているのは50%(9道府県等)
他法令の届出台帳を活用して把握しているのは28%(5道府県等)
(注3) |
これに先立ち、排出量等の多い主要3業種を対象に実施した概況調査の結果 |
未届出事業者 |
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プラスチック製品製造業:38事業者中8事業者(21.1%)
輸送用機械器具製造業:45事業者中3事業者( 6.7%)
化学工業:87事業者中5事業者( 5.7%) |
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→1) |
〔都道府県等に対する助言〕
厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び環境省は、協議の上、関係省庁を代表して、化管法所管省である経済産業省及び環境省の連名で、都道府県等の化管法担当部局宛に発出した平成17年7月20日付け事務連絡(以下「事務連絡」という。)において、前年度の届出状況並びにダイオキシン類特措法等他法令に基づく届出台帳及び都道府県の商工労働関係部局が発行する地域の企業要覧等を活用するなどにより、未届出事業者をできる限り把握し、これらの事業者に対して、制度の周知徹底に努めるとともに、次年度において適切な届出が行われるよう督励に努めるよう助言。
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→2) |
〔制度の周知啓発〕
(厚生労働省)
排出量等の届出が着実かつ正確に行われるよう、ホームページにおいて排出量等届出制度の周知を実施しているが、届出制度の周知啓発をより効果的に実施すべく、ホームページの改訂を検討中。
また、平成18年度における排出量等の届出開始に先立ち、排出量等届出の適切な実施を促すポスター等を所管する業界の事業者団体に配布し、排出量届出制度について周知する予定。
(農林水産省)
平成18年度における排出量等の届出開始に先立ち、排出量等届出の適切な実施を促すポスター及びパンフレットを都道府県及び業界団体等に配布し、排出量届出制度について周知する予定。
(経済産業省)
排出量等の届出が着実かつ正確に行われるよう、ホームページにおいて排出量等届出制度の周知を引き続き実施。
また、平成15年度の排出量等を届け出た事業者団体未加入者を含む全事業者に対し、平成17年10月に経済産業省と環境省の連名で発出したダイレクトメール(以下「ダイレクトメール」という。)において、届出をすべき化学物質を確認し適切な届出を行うよう周知。
さらに、平成17年度内に独立行政法人中小企業基盤整備機構による化管法に関する講習会を全国14か所で開催する(平成17年12月末現在13か所は開催済み。延べ1,008名参加。)とともに、平成18年度における排出量等の届出開始に先立ち、排出量等届出の適切な実施を促すポスター及びパンフレットを都道府県及び業界団体等に配布し、排出量届出制度について周知する予定。
(国土交通省)
平成18年度における排出量等の届出開始に先立ち、排出量等届出の適切な実施を促すポスター及びパンフレットを都道府県及び業界団体等に配布し、排出量届出制度について周知する予定。 また、下水道事業については、都道府県等の化管法担当部局長及び下水道担当部局長に対し発出した平成17年5月31日付けの通知において、届出制度の周知啓発について、これまでの取組状況や未届出等の理由を踏まえ、届出が着実かつ正確に行われるよう、効果的に実施することを助言。 さらに、下水道事業については、第2回全国下水道主管課長会議において、今回の勧告の趣旨を改めて周知し、届出が着実かつ正確に行われるよう助言。
(環境省)
排出量等の届出が着実かつ正確に行われるよう、ホームページにおいて排出量等届出制度の周知を引き続き実施。
また、平成15年度の排出量等を届け出た事業者団体未加入者を含む全事業者に対し、ダイレクトメールにおいて、届出をすべき化学物質を確認し適切な届出を行うよう周知。
さらに、平成18年度における排出量等の届出開始に先立ち、排出量等届出の適切な実施を促すポスター及びパンフレットを都道府県及び業界団体等に配布し、排出量届出制度について周知する予定。
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第2 化学物質の性状取扱情報提供制度の効果的な実施
(勧告)
1) |
講習会などを通じて、性状取扱情報を提供しない原因に対応した有効な啓発を行うこと。 |
2) |
報告の徴収等を通じた情報提供制度の実施状況を把握する仕組みを整備し、性状取扱情報を提供しない事業者を把握した場合には、勧告及び公表を含めた適切な措置を講ずること。 |
(経済産業省) |
(説明)
<性状取扱情報提供制度とは>
○ |
化学物質を取得した事業者に、排出量等届出(前頁参照)に必要な情報を提供し、化学物質の自主的な管理の改善の促進と環境保全上の支障の未然防止を図ることを目的に、化学物質(注1)を事業者間で取引する際、事業者に、その物質の性状及び取扱に関する情報(注2)の提供を義務付け
(注1) |
第一種指定化学物質(354物質。前頁参照)及び第二種指定化学物質(アセトアミド等の81物質)の435物質 |
(注2) |
「性状取扱情報」として記載しなければならない事項
1)指定化学物質の名称、含有率、2)化学物質が漏出した際に必要な措置、3)取扱上及び保管上の注意、4)化学物質の物理的化学的性状、5)化学物質の有害性 等 |
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○ |
経済産業大臣は、
- 提供義務のある事業者に対する性状取扱情報の提供に関する報告徴収
- 提供しない事業者に対する勧告、公表
をすることができる。 |
<調査結果の概要>
○ |
性状取扱情報の提供が必要な112事業者を調査 ⇒ 提供しなかった(注3)ことのある事業者:13%(14事業者)(提供していない理由)
- 提供の必要を認識していながら提供していない:5事業者
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相手から要求がなかったので提供しなかった
すべてに性情取扱情報を作成するのは容易ではない |
- 制度の理解不足:5事業者
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原料供給元への納品のため提供が必要と考えなかった
自社製品以外の製品も提供が必要なことを知らなかった |
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○ |
性状取扱情報の提供を受ける265事業者を調査
⇒ |
提供されなかった(注3)ことのある事業者:20%(54事業者)
提供を求めたが提供されなかった(注3)事業者が24事業者中5事業者 |
(提供されなかった理由)
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○ |
国の対応
情報提供制度の実施状況を把握する仕組みが未整備で、情報を提供しない事業者に対する指導は未実施 |
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(経済産業省)
→1) |
これまでに引き続き、ホームページで性状取扱情報提供制度に関する情報を掲載し、性状取扱情報の提供の励行を推進。
平成17年度内に独立行政法人中小企業基盤整備機構による化管法に関する講習会を全国14か所で開催する(平成17年12月末現在13か所は開催済み。延べ1,008名参加。)とともに、性状取扱情報提供制度に関する最新情報を記載した「MSDS制度の手引き」に関するパンフレットを新たに作成し、都道府県及び業界団体等に配布することにより、化学物質の性状取扱情報提供制度の普及啓発を実施する予定。
また、性状取扱情報の提供を受けられなかった事業者からの相談を専用のメールアドレス又は郵送により受け付ける「MSDS目安箱」を平成17年9月に設置し、性状取扱情報提供制制度の実施状況を把握する仕組みを整備しており、ここで把握した情報等を基に、性状取扱情報を提供しない原因に対応した有効な啓発を行う予定。
(注) |
MSDSとは、性状取扱情報(Material Safety Date Sheet)をいう。 |
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→2) |
性状取扱情報を提供しない事業者に対し勧告及び公表を含めた適切な措置を講じるために、性状取扱情報の提供を受けられなかった事業者からの相談を専用のメールアドレス又は郵送により受け付ける「MSDS目安箱」を平成17年9月に設置し、性状取扱情報提供制度の実施状況を把握する仕組みを整備するとともに、ホームページ、プレスリリースにより本仕組みを周知。
「MSDS目安箱」に投稿された相談については、その内容を確認した上で、性状取扱情報を提供しない事業者を把握することとしており、化管法に基づく性状取扱情報を提供しない事業者に対しては、提供を促す勧告や公表を含む適切な措置を講ずる予定。 |
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第3 管理方針等に基づく化学物質の自主管理の促進
(勧告)
事業者に対し、講習会、事業者団体等を通じて、管理方針等の策定及びその必要性について一層の周知を図ること。 (経済産業省及び環境省) |
(説明)
<制度・仕組み>
○ |
事業者は、国の指針(注1)に留意して、化学物質(注2)の管理を行うとともに、その管理の状況に関する国民の理解を深めるよう努める義務あり
(注1) |
経済産業省及び環境省が、化学物質排出把握管理促進法に基づき策定した、化学物質を取り扱う事業者が講ずべき化学物質の管理に係る措置に関する指針 |
(注2) |
第一種指定化学物質(354物質)及び第二種指定化学物質(81物質)の435物質 |
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○ |
国の指針では、事業者は、次のような化学物質の管理方針等を策定し、化学物質の自主的な管理の改善を図ることが求められている。
- 管理方針:化学物質の管理の改善を図るための化学物質管理 の方針
- 管理計画:管理方針に則して、化学物質の管理の改善を図るための行動に係る具体的目標、その達成時期及び具体的方策を定めたもの
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<調査結果の概要>
○ |
管理方針等の策定が必要な219事業者を調査
- 過半数の事業者が策定していない状況
管理方針を策定していない:55%(120事業者)
管理計画を策定していない:56%(122事業者)
- 過半数の事業者が承知していない状況
管理方針の策定の必要性を承知していない:51%(112事業者)
管理計画の策定の必要性を承知していない:52%(113事業者)
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(経済産業省、環境省)
→ |
ダイレクトメールにおいて、指定化学物質管理指針における管理方針及び方針に則した管理計画を策定の上、より適切な化学物質管理を実施するよう周知。
今後とも、事業者における指定化学物質等の自主管理を促進する観点から、事業者に対し、ダイレクトメール、講習会、研修会、事業者団体等を通じて、管理方針等の策定及びその必要性について周知を図る予定。 |
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