1 |
研究開発の重点的かつ効果的な推進 |
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(1) |
研究戦略の早期策定等 |
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○ |
基本目標において、研究開発の一層の効率化、活性化を図るため、前期5年及び後期5年の各期間ごとの達成目標を明確にした分野ごとの研究戦略を策定することが必要であるとされている。
しかし、現在までに水産分野の研究戦略は策定されているが、農業分野及び林業分野については未策定 |
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○ |
基本目標を踏まえて各試験研究機関では研究基本計画を定め、その中で研究課題ごとに5年ごとの段階的達成目標を設定している。
しかし、段階的達成目標を数値化している機関は皆無。研究開発を効果的かつ効率的に実施することはもちろん、課題評価を適正かつ効果的に実施するためにも、段階的達成目標については可能な限り数値化を図ることが重要
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[例] |
「土地利用型畜産における機械化技術の開発」(北海道農業試験場)は、牧草を効率的に乾燥させるための技術の開発を目標としていることから、例えば、牧草の水分含有量を一定の値にするまでに要する時間について、短縮目標等を数値化することが可能 |
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<勧告要旨>
研究開発の重点的かつ効果的な推進を図る観点から、次の措置を講ずること。
1. |
農業分野及び林業分野に関する研究戦略を早急に策定すること。 |
2. |
研究基本計画における研究課題ごとの段階的達成目標について、可能な限り数値化を図ること。 |
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(2) |
研究開発の重点的な推進 |
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・ |
農林水産省の試験研究機関(平成12年3月末現在)
「本所」:農業研究センター等29機関、「隔地研究施設」:本所の支場等として48設置(一般に気象、地形等の地域特性を活用した研究を実施する目的で設置)
本所及び隔地研究施設で年間約 5,000件の研究を実施 |
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・ |
基本目標では、国(農林水産省)の試験研究機関は、基礎的・先導的な研究を担い、県試験場は地域に密着した技術の開発・改良のための研究を行うことが期待 |
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○ |
農林水産省の試験研究機関が実施している研究の中には、以下のように、応用・開発的な内容で既に県試験場等においても取り組まれているなど明らかに国の試験研究機関として実施すべきものとはみられないもの、研究の緊急性・必要性が高いとはみられないものなどが7機関で37課題有り |
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・ |
県試験場等においても取り組まれている応用・開発的な研究(5機関21課題) |
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[例] |
「甘しょ等の焼酎廃液の有効利用技術の研究」、「甘しょ、露地野菜、飼料作物等の輪作による窒素溶脱の低減技術の研究」等については、既に県試験場等においても、同様な目的で、しかもおおむね同様の研究素材を活用した研究を実施(九州農業試験場畑地利用部) |
・ |
社会的ニーズ等からみて研究の緊急性・必要性が高いとはみられない研究(4機関5課題) |
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[例] |
「にがうり」等つる性野菜・花き栽培が屋内環境に及ぼす影響(日除け効果等)に関する研究を実施(野菜・茶業試験場施設生産部) |
・ |
本所において既に実施されているものと同内容の研究や隔地研究施設でなくても実施できる研究(2機関11課題) |
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[例] |
樹木の病害防除技術の研究等本所において既に実施されているものと同内容の研究やバイオテクノロジー等地域特性を活用しなくても実施できる研究を実施(森林総合研究所多摩森林科学園) |
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<勧告要旨>
国の試験研究機関が実施すべき研究を重点的に推進する観点から、次の措置を講ずること。
1. |
研究課題のうち、応用・開発的な研究で県試験場等において既に取り組まれているもの、社会的ニーズ等からみて必ずしも緊急性・必要性が高いとはみられないもの及び隔地研究施設における地域特性を活用する必要がないものについて見直しを行うこと。 |
2. |
研究課題の選定に当たっては、国と県等との役割分担上の位置付けを踏まえつつ県試験場等における関連研究の実施状況、研究目的・内容の緊急性・必要性等について十分検討・評価を行うこと。 |
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(3) |
研究評価の厳正な実施等 |
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・ |
大綱的指針は、国立試験研究機関等が研究開発の評価を実施する上でのガイドライン |
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・ |
農林水産省では、「農林水産省における試験研究機関及び研究課題の評価に関する指針」(平成9年7月22日。以下「農林水産省評価指針」という。)及びこれを踏まえて各試験研究機関が策定した評価実施要領等に基づいて「機関評価」及び「課題評価」を実施 |
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○ |
大綱的指針において研究開発の評価を実施するために必要とされている、1.「評価基準」を設定すること、2.「評価作業の過程で得られた諸情報」、「評価者の氏名」及び「評価実施のための具体的な仕組み」を公表することについては、農林水産省評価指針には規定なし。各試験研究機関の評価実施要領等においてもこれら事項については規定なし |
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○ |
評価結果等の公表状況についてみると、29機関中全く公表していないものが機関評価については8機関、課題評価については23機関有り低調 |
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○ |
評価結果等についての公表事項も不十分
機関評価の結果等について公表している21機関についてみると、「評価結果」については全機関が公表しているが、「評価作業の過程で得られた諸情報」及び「評価実施のための具体的な仕組み」については、それぞれ11機関及び15機関が公表していない。
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○ |
評価結果等の公表方法について、大綱的指針及び農林水産省評価指針では、インターネットを利用して公表するなど国民に分かりやすい形で積極的に情報提供することが必要とされている。しかし、機関評価の結果等を公表している21機関のうち5機関はインターネットを未活用 |
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○ |
大綱的指針及び農林水産省評価指針では、課題評価の結果について、次年度の研究計画、資金配分等に反映させることが必要とされている。しかし、29機関中4機関では研究資金を評価結果にかかわりなく、人当割り、研究室割り等により一律に配分。また、傾斜配分している25機関についてみても、平均で経常研究に係る研究費のわずか
2.4パーセント(最小 0.4最大 7.5パーセント)と低調 |
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<勧告要旨>
機関評価及び課題評価をより厳正に実施するとともに、評価の透明性、評価結果の資源配分への反映等を図る観点から、次の措置を講ずること。
1. |
農林水産省評価指針については、大綱的指針を踏まえて、評価基準の設定及び評価作業の過程で得られた諸情報等の公表に関する事項を追加すること。 |
2. |
評価実施要領等については、上記事項も含め必要な見直しを行い、これに基づいてより厳正に評価を実施するとともに、評価結果等についてはインターネット等を活用して積極的に公表すること。 |
3. |
柔軟に配分できる研究費の枠の拡充等を図り、課題評価の結果を研究費の配分に十分反映させること。 |
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2 |
試験研究機関の管理業務・現業業務の合理化・効率化等 |
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管理業務職員:1,247人(行一)、現業業務職員:1,014人(行二、海事職員)(29試験研究機関における平成12年度末の定員)
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○ |
管理業務の合理化、効率化 |
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・ |
業務量に比べて職員の配置が過大とみられる例有り
管理業務職員1人当たりの職員数に格差(本所間で最大2倍の格差等) |
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・ |
独立行政法人化に際し、所在地が近接する複数の機関が同一法人に再編される例があり、庶務、会計等の管理業務の合理化、効率化等が可能な状況 |
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○ |
現業業務の合理化、効率化 |
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・ |
畜舎の清掃など必ずしも試験研究に係る専門的な知識や経験を必要としない業務があり、民間委託等を図ることが必要な例有り(12機関及び4機関の10隔地研究施設) |
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<勧告要旨>
1. |
各試験研究機関における管理部門及び現業部門の要員配置について、業務量に対応した配置となるよう見直しを行い、要員の合理化を図ること。 |
2. |
同一の独立行政法人に再編される試験研究機関について、可能な限り管理業務を集約化すること等について検討し、これに合わせて要員の合理化を図ること。 |
3. |
現業業務について、積極的に民間委託等を推進し、要員の合理化を図ること。 |
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3 |
その他の勧告事項 |
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1. |
研究設備等の整備・利用の適正化・効率化 |
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・ |
29試験研究機関等における 551件の随意契約を抽出調査した結果、庁舎清掃等に係る契約については随意契約とする理由に該当せず競争契約に付すことが可能な例有り(24機関、46件、約1億2,000万円) |
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・ |
1,000万円以上の研究機器 228台を抽出して利用状況を調査した結果、遊休化しているもの6台(購入金額約1億6,000万円)、利用が低調なもの45台(購入金額約12億8,000万円)
有り。管理換や共同利用の徹底等が必要 |
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2. |
作業施設における業務の合理化等 |
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・ |
種苗管理センター関係:業務量(馬鈴しょ原原種の生産量)の減少に伴う要員配置の見直し等 |
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・ |
家畜改良センター関係:畜舎の清掃業務等の現業業務の民間委託等 |