行政改革会議最終報告(平成9年12月3日)(抄)

 5 評価機能の充実強化

<1>  評価機能の充実の必要性
     
  (1)  従来、わが国の行政においては、法律の制定や予算の獲得等に重点が置かれ、その効果やその後の社会経済情勢の変化に基づき政策を積極的に見直すといった評価機能は軽視されがちであった。
     
  (2)  しかしながら、政策は実施段階で常にその効果が点検され、不断の見直しや改善が加えられていくことが重要であり、そのためには、政策の効果について、事前、事後に、厳正かつ客観的な評価を行い、それを政策立案部門の企画立案作業に反映させる仕組みを充実強化することが必要である。
     
  (3)  また、評価機能の充実は、政策立案部門と実施部門の意思疎通と意見交換を促進するとともに、その過程において政策立案部門、実施部門の双方の政策についての評価や各種情報が開示され、行政の公正・透明化を促す効果があることも忘れてはならない。
   
<2>  各省における評価機能の強化
     
  (1)  政策の企画立案には、政策の効果分析や評価が不可欠なものであり、政策の評価は各省の重要な機能となるべきである。このため、各省の本省組織に、明確な位置付けをもった評価部門を確立すべきである。
     
  (2)  評価の客観性を確保するため、評価指標の体系化や評価の数値化・計量化など合理的で的確な評価手法を開発していく必要がある。
     
  (3)  同時に、全政府的な観点から、政策評価の総合性とより厳格な客観性を確保するため、各省における評価機能とは別に、各省を超えた全政府レベルの評価機能の充実強化を図る必要がある。
 このためには、現行の行政監察機能の充実強化に加え、民間有識者などを加えた第三者的評価を可能とする仕組みが是非とも必要である。
     
  (4)  なお、実施部門については、目標の設定と達成度評価といった仕組みを導入するが、これは評価機能の充実方策の一環と位置付けることができる。また、実施段階での実情や問題点の把握は、政策評価の一部と考えられ、これらの情報が政策立案部門に適切に提供される必要がある。
   
<3>  評価結果の公開
     
  (1)  政策評価の眼目は、政策に必要な修正を加えるとともに、評価過程を通じて、可能な限り透明に、政策の目的、内容、実現状況、修正の必要性の有無などの議論を明らかにし、幅広く政策選択の在り方についての国民的議論を喚起していくことにある。その意味で、評価機能の的確な発揮に当たっては、評価の迅速化や情報の公開を積極的に進める必要がある。
     
  (2)  政策評価は、評価が政策に反映されてこそ意味があるものである。政策評価の実効性を確保するためにも、評価結果の政策への反映について、政策立案部門による説明責任を明確化することが必要である。
   
<4>  会計検査院による評価
   評価は、政府部内のそれとともに、政府の部外からもなされることが重要である。
 国会におけるその機能が期待されることは当然であるが、会計検査院の果たす役割への期待も大きい。この見地から、国の収入・支出の検査、会計経理の適正性という観点を主体として遂行されてきた同院の機能は、今後、国の施策や事務・事業の効果、効率性、合理性といった観点からの評価も重複していく必要がある。このために、同院の機能の充実強化を図るべきである。

(注)行政改革会議最終報告本文では、括弧数字の下の見出し数字の体裁が異なっている。

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