主な勧告事項
|
関係省庁が講じた措置
|
1 |
事業規制 |
(1) |
参入規制の緩和 |
|
ア 需給調整規制の廃止 |
(勧 告) |
生活航路の維持方策を確立し、早期に需給調整規制を廃止すること。 |
(説 明) |
○ |
一般旅客定期航路事業(定期旅客船)、旅客不定期航路事業(遊覧船)及び自動車航送貨物定期航路事業(貨物フェリー)は 、航路ごとの需給調整
・ |
航路ごとにその性格が異なるため、需要把握方法の基準化困難。申請者も、的確な需要把握が困難として、明確な根拠なく需要に関する資料を作成 |
・ |
需要も見込め、安定的経営が可能と判断し免許したが、免許後1年で事業休止の例 |
・ |
複数事業者が競合する航路における需要見込みの判断は事業者からの提出資料に大きく依存。事業者間の調整の結果、同一船舶が、旅客フェリー→貨物フェリー→旅客フェリー→貨物フェリーと変化し、船舶の非効率な使用や利用者利便に支障の例 |
・ |
需給調整の対象となる旅客フェリーが就航する航路に需給調整規制のない内航RORO船(車両を自送方式で積卸しできる構造を有する船舶)が就航して自由に営業を実施しており、自動車の航送に係る需給調整は機能し得ない状況 |
|
|
→○ |
「規制緩和推進計画の再改定について」(平9.3.28閣議決定)において、生活航路の維持方策を確立した上で、遅くとも平成13年度までに需給調整規制を廃止することとされた。
これに基づき、運輸政策審議会において、需給調整規制の廃止に向けて必要となる環境整備方策等について、平成10年6月に答申 |
|
|
→○ |
上記答申を受けて、生活航路の維持方策の確立と需給調整規制の廃止等を内容とする海上運送法の一部を改正する法律案(以下「海上運送法の一部改正法」という。)を第145回通常国会に提出し、平成11年6月4日成立(平成12年10月1日施行) |
|
|
【所要の改正点】 |
○
|
需給調整による参入規制の廃止
・ |
一般旅客定期航路事業(定期旅客船)については免許制から許可制へ緩和し、免許基準の一つであった需給調整条項を廃止 |
・ |
旅客不定期航路事業(遊覧船)については許可基準の一つである需給調整条項を廃止 |
・ |
自動車航送貨物定期航路事業(貨物フェリー)については需給調整を行う許可制が採られていたが、当該事業区分そのものを廃止 |
|
○
|
生活航路の維持方策の確立
・ |
船舶運航計画(ダイヤ等)について、生活航路の確保上適切なものか否かを許可時に審査 |
・ |
運賃の上限額を認可 |
|
|
|
イ 貨物フェリー事業に係る規制の見直し |
(勧 告) |
貨物フェリー事業について、内航RORO船を船腹調整事業の対象外とする時期に合わせて、貨物フェリー事業と内航RORO船事業との競争条件が等しくなるよう海上運送法上の規制を最小限にすること。 |
|
(説 明) |
○ |
貨物フェリー事業は海上運送法により需給調整を伴う許可制の規制。内航RORO船を使用した内航運送業(以下「内航RORO船事業」という。)は内航海運業法により需給調整を伴わない許可制の規制
・ |
自動車の航送という機能面、旅客運送(定員12人以下)の面で、貨物フェリー事業と内航RORO船事業は同一。内航RORO船事業が内航海運組合総連合会による船腹調整事業の対象とされている一方で、長距離航路(300km超)で貨物フェリー事業との競争が激化したため、昭和58年度以降、長距離貨物フェリーについては新規の許可をしない方針 |
・ |
内航RORO船の船腹調整事業は平成10年度末までに廃止(平8.3.29閣議決定)。この結果、内航RORO船事業への参入が容易となる一方、貨物フェリー事業は依然として強い規制の下に置かれることとなり、貨物フェリー事業と内航RORO船事業との間に競争条件上の不整合が生ずることとなる。 |
|
|
→○ |
貨物フェリー事業に係る規制については、前記閣議決定において、1.貨物フェリーの許可の調整措置を内航RORO船を船腹調整事業の対象外とする時期に併せて廃止し、貨物フェリー事業と内航RORO船事業との競争条件を整備すること、
2.貨物フェリー事業に係る需給調整規制を旅客船事業に係る需給調整規制の廃止時期に併せて廃止することとされた。
これに基づき、運輸政策審議会において、需給調整規制の廃止に向けて必要となる環境整備方策等について、平成10年6月に答申
なお、内航RORO船にかかる船腹調整事業は平成10年5月15日に廃止 |
|
|
→○ |
上記答申を受けた海上運送法の一部改正法の成立により、貨物フェリーに関する事業区分が廃止され、許可制である内航RORO船事業に1本化 |
|
(2) |
運賃・料金規制の緩和 |
(勧 告) |
需給調整の廃止に併せ全体としての運賃・料金規制の見直しを行う中で、無人車の航送に係る運賃を自由に設定させるとともに、自動車航送運賃(有人車の航送に係る運賃)の規制を大幅に緩和すること。 |
|
(説 明) |
○ |
自動車航送運賃は、有人車を航送する場合の運賃で運転者1人分の2等旅客運賃を含めた自動車航送運賃として認可。ただし、無人車の運送は貨物とされ、賃率公示の義務のみ
・ |
有人車の航送も無人車の航送も自動車の航送という機能は同一であるとして、無人車の航送運賃を認可自動車航送運賃と同額にするよう指導 |
・ |
近年、トラックについては無人車の航送が増加。認可制の自動車航送運賃は、内航RORO船より割高 |
・ |
事業者は、営業政策として認可自動車航送運賃とは別に、独自の運賃を設定・適用の例 |
|
|
→○ |
運賃・料金規制については、前記閣議決定において、価格設定の在り方の見直し、料金の多様化、弾力化の推進が決定された。
これに基づき、運輸政策審議会において、需給調整規制の廃止に併せた運賃・料金規制の緩和方策について、平成10年6月に答申 |
|
|
→○ |
上記答申を受けた海上運送法の一部改正法の成立により、運賃・料金規制の見直しが行われ、自動車航送運賃については、認可制から事前届出制に緩和 |
|
(3) |
その他規制の緩和等 |
(勧 告) |
1. |
毎年繰り返し行われる一時的な運航回数、発着時刻及び旅客定員の変更による事業計画の変更については、速やかに届出制に移行すること。 |
|
|
(説 明) |
○ |
事業計画を変更する場合は、原則として認可が必要
・ |
年末年始、夏期等の多客時に、一時的に、毎年繰り返して行われる運航回数、発着時刻、定員増についても、事業計画の変更認可の手続 |
|
|
→○ |
事業計画の変更認可を要する事項のうち、毎年繰り返し行われる一時的な運航回数、発着時刻及び旅客定員の変更については、「規制緩和推進計画の再改定について」(平9.3.28閣議決定)において、届出制にすることとされた。
これを受けて、「毎年繰り返し行われる一時的な事業計画変更認可の取扱いについて」(平成10年3月27日付け海交旅第59号海上交通局国内旅客課長通達)により、届出制に移行
|
|
(勧 告) |
2. |
航路又は使用船舶の変更に伴う事業計画変更時の安全確認検査については、事業者の自主的な習熟航海の結果等の活用を図ることとし、確認航海は原則として廃止すること。 |
|
|
(説 明) |
○ |
航路や使用船舶を変更する場合には、安全確認検査の一環として、営業航路を就航させる確認航海を実施
・ |
1.事業計画の変更認可申請書に、安全性を確認するため、使用船舶の概要、乗降施設等に関する資料を添付させていること、2.事業者は自主的に習熟航海を実施していること、3.事業場等に立ち入る安全確認検査において、習熟航海の結果の聴取等により安全性の確認が可能であることから、改めて確認航海を行わせる必要性は乏しい |
・ |
事業者の負担大(確認航海の用船料のみで310万円要した例) |
|
|
→○ |
航路又は使用船舶の変更に伴う事業計画変更認可時の確認航海については、「規制緩和推進計画の再改定について」(平9.3.28閣議決定)において、原則廃止することとされた。
これを受けて、「一般旅客定期航路の事業開始前等における安全確認について(昭和49年4月22日付け海定第32号、員労第201号)
の一部改正について」(平成10年1月13日付け海交旅第123号、海労第270号海上交通局長、海上技術安全局長通達)により、事業者が自主的に習熟航海を実施した場合は、事業計画変更後の運航開始前に行う確認航海は要しないこととした。
|
|
2 |
安全確保対策 |
(勧 告) |
旅客船の運航事業者に対する監査は、事故の発生頻度や事故の軽重を踏まえ重点的かつ効果的に実施するとともに、行政処分については、事故の軽重や累犯性を考慮した基準を作成し、これに基づき適切に行うこと。 |
|
(説 明) |
○ |
同一事業者や特定の地域に偏って監査を実施したり、負傷者が発生した海難事故を起こした事業者に対し監査を未実施。また、発生事故の規模や累犯性を考慮した処分となっておらず、処分の軽重にも地方運輸局間で格差 |
|
→○ |
旅客船の運航管理に関する監査については、「旅客船の運航管理に関する監査及び指導について(昭和49年5月27日付け海定第72号)の一部改正について」(平成10年1月13日付け海交旅第124号海上交通局国内旅客課長通達)により、以下の措置を講ずるよう指示
1. |
監査等の実施に際し、必要に応じ輸送課(貨物船担当)の協力を得ること |
2. |
監査対象が特定の事業者に偏らないよう計画すること |
3. |
事故発生頻度の高い事業者及び人身事故発生事業者の航路(特別監査を実施したものを除く。)については監査対象とすること |
|
→○ |
海難事故を生じさせた事業者に対する行政処分については、「海難事故を起こした事業者に対する海上運送法第19条第2項に基づく行政処分について」(平成10年1月13日付け事務連絡(海上交通局国内旅客課担当官から各地方運輸局運航監理官あて))により、被害の程度別、初犯・累犯別に「事業停止又は免許取消」、「安全確保命令」、「指導」を内容とする処分基準の目安を示し、処分の整合性を確保するよう指示 |
【個別事例の改善状況】 |
|
○ |
特定の地域に偏った監査の是正が進んでいる例(四国運輸局) |
|
|
|
勧告前(平成7年度)
|
|
勧告後(平成10年度)
|
香川県内 |
31事業者に対し20事業者 |
→ |
30事業者に対し15事業者 |
愛媛県内 |
37事業者に対し4事業者 |
→ |
34事業者に対し16事業者 |
|
|
3 |
船舶整備公団の事業運営の合理化・効率化 |
(勧 告) |
運輸省は、船舶整備公団に対し、組織体制の整理合理化と要員の合理化を行うよう指導すること。 |
|
(説 明) |
○ |
貨物船部の近海船課で行っている近海船の共同建造業務は、昭和61年度以降新たな共同建造を行っておらず、現在は、既に共同建造した債権管理業務のみを行っており、その業務量は、毎月20件程度と少ない |
○ |
融資部で行っている融資業務及び債務保証業務は、2課で行っているが、そのうちの1課の業務は年間30件と少ない |
○ |
客船部、貨物船部及び融資部で行っている審査、契約業務及び債権管理業務について、1人当たりの業務量をみると、いずれの業務についても、融資部の業務量が少ない |
|
→○ |
船舶整備公団の組織体制の整理合理化と要員の合理化については、平成9年10月1日、船舶整備公団と鉄道整備基金とを統合して運輸施設整備事業団を設立したことに併せ、以下のように措置
・ |
貨物船部及び融資部を統合して業務第3部に再編し、その中で貨物船部の近海船課及び融資部の第1課を廃止
これにより、貨物船部及び融資部の職員25人のうち3人を要員合理化 |
・ |
運輸施設整備事業団の設立以降平成11年度までに、船舶整備公団の業務を引き継いだ同事業団の船舶部門の職員78人のうち2人を削減 |
|
|