政策評価に関する基本方針(案)







  政府は、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号)第5条第1項の規定に基づき、政策評価に関する基本方針を別紙のとおり定める。




政策評価に関する基本方針


  我が国の行政において、国民的視点に立ち、かつ、内外の社会経済情勢の変化を踏まえた客観的な政策の評価機能を強化し、これによる評価の結果を政策に適切に反映していくことが課題となっている。このような認識の下、中央省庁等改革により導入された政策評価制度は、政策の効果等に関し、科学的な知見を活用しつつ合理的な手法により測定又は分析し、一定の尺度に照らして客観的な判断を行うことにより、政策の企画立案やそれに基づく実施を的確に行うことに資する情報を提供するものであり、その結果を政策に適切に反映させ、政策に不断の見直しや改善を加え、もって、効率的で質の高い行政及び成果重視の行政を推進するとともに、国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底するものと位置付けられる。
  政策評価については、各府省が、その所掌する政策について自ら評価を行うことが基本となる。また、各府省とは異なる評価専担組織としての総務省が、府省の枠を超えて、政策評価の総合性及び一層厳格な客観性を担保するため、各府省の政策について、統一的若しくは総合的な評価を行い、又は政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価を行う。
  これにより、各府省が行う政策評価と総務省が行う政策の評価とは、それぞれに分担する機能を的確に発揮することで、内閣の統轄の下における的確な政策評価の実施を確保するものとする。
  このような政策評価制度について、明確な枠組みを与え、その実効性を高めるとともに、これに対する国民の信頼を一層向上させる観点から、我が国は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号。以下「法」という。)を制定した。これにより、各行政機関において、明確な計画の下、政策を決定した後においてその評価を行うべき責務を明らかにし、また、適切な形で政策決定前における評価の実施も確保するとともに、総務省が行う政策の評価について、手続的側面も含めて、その内容等を明確にした。今後、政府は、この法の下、行政機関の政策について、適時に、その効果を把握し、これを基礎として必要な評価を行い、政策の見直しや改善を推進していくこととなる。
  この「政策評価に関する基本方針」は、法の下における政策評価の計画的かつ着実な推進を図るため、法第5条に基づき、各行政機関の長が定める基本計画の指針となるべき事項を定めるとともに、政府の政策評価活動において基本とすべき方針を明らかにするものである。



I 政策評価に関する基本計画の指針


1 政策評価の実施に関する基本的な方針
(1)   政策評価の実施に関する基本的な考え方
  政策評価は、各行政機関が所掌する政策について、適時に、その政策効果を把握し、これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他当該政策の特性に応じて必要な観点から、自ら評価を行うことにより、政策の企画立案や政策に基づく活動を的確に行うための重要な情報を提供するものであり、政策の決定とは異なるものである。政策評価は、これを「企画立案(Plan)」、「実施(Do)」、「評価(See)」を主要な要素とする政策のマネジメント・サイクルの中に制度化されたシステムとして明確に組み込み、その客観的かつ厳格な実施を確保し、政策評価の結果を始めとする政策評価に関する一連の情報を公表することにより、政策の不断の見直しや改善につなげるとともに、国民に対する行政の説明責任の徹底を図るものである。
  政策評価が政策のマネジメント・サイクルに組み込まれ、このサイクルが有効に機能することにより、政策の質の向上がもたらされるとともに、併せて行政の政策形成能力の向上や職員の意識改革が進み、これらにより、国民本位の効率的で質の高い行政や国民的視点に立った成果重視の行政が実現されることとなる。さらに、政策評価に関する一連の情報の公表によって、国民に対する行政の説明責任の徹底が図られることにより、政策やそれに基づく活動についての透明性が確保され、ひいては行政に対する国民の信頼の向上が図られることとなる。
  政府は、このような政策評価制度の目的を政府全体として的確に実現していくため、法及び本基本方針等に基づき制度の全政府的な実施を確保しつつ、各行政機関におけるそれぞれの政策の特性等に応じた効果的な取組を進めていくとともに、政策評価の実施の過程を通じて制度の改善・発展を図っていくものとする。

(2)   政策評価の方式
  政策評価に期待される役割を十分に果たすとともに、政策評価の効率的な実施を確保するため、政策評価を行うに当たっては、政策の特性等に応じて合目的的に、「事業評価方式」、「実績評価方式」及び「総合評価方式」(別紙)やこれらの主要な要素を組み合わせた一貫した仕組みなど、適切な方式を用いるものとする。
  また、政策評価の体系的かつ合理的で的確な実施を確保するため、その実施に当たっては、政策評価の対象とする政策が、どのような目的の下にどのような手段を用いるものかという対応関係を明らかにした上で行うものとする。

 政策評価の観点に関する基本的な事項
  政策評価の実施に当たっては、評価の対象とする政策の特性に応じて適切な観点を選択、具体化し、総合的に評価するものとする。
  政策評価の観点としては、法第3条第1項に明示された必要性、効率性及び有効性の観点がある。このうち、必要性の観点からの評価は、政策効果からみて、対象とする政策に係る行政目的が国民や社会のニーズ又はより上位の行政目的に照らして妥当性を有しているか、行政関与の在り方からみて当該政策を行政が担う必要があるかなどを明らかにすることにより行うものとする。また、効率性の観点からの評価は、政策効果と当該政策に基づく活動の費用等との関係を明らかにすることにより行うものとする。有効性の観点からの評価は、得ようとする政策効果と当該政策に基づく活動により実際に得られている、又は得られると見込まれる政策効果との関係を明らかにすることにより行うものとする。
  上記のほか、政策の特性に応じて選択して用いる観点としては、公平性の観点や優先性の観点などが考えられる。この公平性の観点からの評価は、行政目的に照らして政策効果や費用の負担が公平に分配されているか、あるいは分配されるものとなっているかを明らかにすることにより行うものである。また、優先性の観点からの評価は、これらの観点からの評価を踏まえて当該政策を他の政策よりも優先すべきかを明らかにすることにより行うものである。
  政策評価の観点の基本的な適用の考え方については、基本計画において示すものとする。

3 政策効果の把握に関する基本的な事項
  政策効果の把握に当たっては、対象とする政策の特性に応じた、適用可能であり、かつ、政策効果の把握に要するコスト、得られる結果の分析精度等を考慮した適切な手法を用いるものとする。
  その際、できる限り政策効果を定量的に把握することができる手法を用いるものとし、これが困難である場合、又はこれが政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保に結びつかない場合においては、政策効果を定性的に把握する手法を用いるものとする。この場合においても、できる限り、客観的な情報・データや事実を用いることにより、政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保を図るものとする。また、すべてにおいて、初めから高度かつ厳格な手法の適用を画一的に行うより、簡易な手法であっても、その有用性が認められているものがあれば当該手法を適用し、政策評価の実施の過程を通じ知見を蓄積して手法の高度化を進めていくことにより政策評価の質の向上を図っていく等の取組を進めていくものとする。
  政策効果の把握の基本的な考え方については、基本計画において示すものとする。
  政策効果の把握に当たっては、政策の特性も踏まえ、より包括的な政府活動の目的に照らした効果・影響についてもできる限り把握するよう努めるものとする。
  また、政策効果の把握に関しては、当該政策に基づく活動の実施過程を通じて政策効果の把握に必要な情報・データや事実が効果的・効率的に入手できるよう、その収集・報告の方法等についてあらかじめ配慮するよう努めるものとする。その際、関係者に協力を求める必要がある場合にあっては、その理解が得られる範囲内で適切な効果の把握に努めるものとする。
  なお、政策に基づく具体的活動の実施主体が行政機関以外であり、政策効果の把握のために必要となる場合にあっては、当該実施主体に対し把握しようとする政策効果やその把握のための方法等について示すなどにより、できる限りその理解と協力を得るよう努め、適切に政策効果の把握を行うものとする。

4 事前評価の実施に関する基本的な事項
  事前評価は、政策の決定に先立ち、当該政策に基づく活動により得られると見込まれる政策効果を基礎として的確な政策の採択や実施の可否を検討し、又は複数の政策代替案の中から適切な政策を選択する上で有用な情報を提供する見地から行うものとする。
  事前評価については、法第9条の規定に基づき実施が義務付けられた政策以外のものであっても、同条第1号に該当するものについては、政策効果の把握の手法等に関する研究・開発を積極的に進め、その状況を踏まえつつ順次実施に向けて取り組むものとする。なお、規制については、規制改革の推進に関する累次の閣議決定の趣旨を踏まえ、政策評価に必要な情報・データの収集を進め、積極的に実施に向けて取り組むものとする。
  事前評価については、政策効果が発現した段階においてその結果の妥当性を検証すること等により得られた知見を以後の事前評価にフィードバックする取組を進めていくものとする。
  事前評価において使用する方式の基本的な適用の考え方その他事前評価の取組方針については、基本計画において示すものとする。
  研究開発を対象とする事前評価の実施に当たっては、法及び本基本方針で定めるところによるほか、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成131128日内閣総理大臣決定)を踏まえて行うものとする。

5 事後評価の実施に関する基本的な事項
  事後評価は、政策の決定後において、政策効果を把握し、これを基礎として、政策の見直し・改善や新たな政策の企画立案及びそれに基づく実施に反映させるための情報を提供する見地から行うものとする。
  事後評価の実施に当たっては、行政目的と手段の関係を念頭に置きつつ、政策評価の結果を政策に適切に反映するために合理的と認められる単位により行うものとする。なお、各行政機関の任務やそれと一体不可分な根幹的な基本方針などの目的については、これに照らして評価を行うものとしてとらえられるのが通常である。
  事後評価は、社会経済情勢の変化等による政策の見直し・改善の必要、政策効果の発現状況等を勘案して適切なタイミングで行うものとする。
  事後評価において使用する方式の基本的な適用の考え方その他事後評価の取組方針については、基本計画において示すものとする。また、実施計画において事後評価の対象とする政策を定めるに当たっては、法第7条第2項各号の区分に沿ってこれを定めるものとする。
  研究開発を対象とする事後評価の実施に当たっては、法及び本基本方針で定めるところによるほか、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」を踏まえて行うものとする。

 学識経験を有する者の知見の活用に関する基本的な事項
  法第3条第2項第2号の学識経験を有する者の知見の政策の特性に応じての活用は、政策評価の客観的かつ厳格な実施を確保するためのものであることを踏まえ、高い識見、高度の専門的知識・能力を活用することや国民生活・社会経済への政策の関わりに関する実践的知識を活用することを基本として行うものとする。政策の特性に応じた知見の活用の基本的な考え方及びその方法については、基本計画において示すものとする。

 政策評価の結果の政策への反映に関する基本的な事項
  政策評価の結果については、各行政機関において、政策評価の結果が政策の企画立案作業(予算要求(定員等を含む。)、法令等による制度の新設・改廃といった作業)における重要な情報として適時的確に活用され、当該政策に適切に反映されるようにする必要がある。このため、各行政機関の実情に応じて、政策評価担当組織が中心となって、政策の所管部局等における政策評価の結果の取りまとめや当該結果の政策への反映を推進するとともに、予算、法令等の取りまとめ部局との間の連携を確保するなど、政策評価の結果の政策への反映の実効性を高めるための仕組み等を設けるものとし、その内容については、基本計画において示すものとする。

8 インターネットの利用その他の方法による政策評価に関する情報の公表に関する基本的な事項
  法第10条第1項に規定する評価書の作成に当たっては、政策評価の結果の外部からの検証を可能とすることの重要性を踏まえ、同項各号に掲げられている事項について可能な限り具体的に記載するものとする。なお、評価の際に使用した仮定、外部要因等についても明らかにするものとする。
  評価書の要旨は、評価書の主な内容を簡潔に記述することにより評価の結果を分かりやすく示すものとするよう留意する。
  なお、評価書の公表に当たっては、公表することにより国及び公共の安全を害する情報や個人のプライバシー、企業秘密に関する情報等の取扱いに関し、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第42号)の考え方に基づき適切に対応するものとする。
  政策評価の結果の政策への反映状況の公表は、政策評価の結果と当該結果に基づく措置状況(内容、時期、今後の予定等)についてできる限り具体的に公表することにより行うものとする。
  評価書や政策評価の結果の政策への反映状況等の公表に当たっては、インターネットのホームページへの掲載のほか、プレスリリース、広報拠点への備置き、窓口での配布等、国民が容易に内容を把握できるよう、適切な手段により行うものとし、その具体的な方法については、基本計画において示すものとする。

9 その他政策評価の実施に関する重要事項
(1)   実施体制
  政策評価の客観的かつ厳格な実施を確保するため、各行政機関において、政策評価担当組織と政策所管部局等との適切な役割分担の下で、各行政機関の実情に応じ、組織として一体的な政策評価への取組を可能とするための体制を整備するものとする。実施体制及び政策評価担当組織の果たす役割については基本計画において示すものとする。
  また、このような体制を効果的・効率的に機能させていくため、政策評価担当組織の職員を始め政策評価を担当する職員の人材の確保とその評価能力の向上に積極的に取り組むものとする。

(2)   国民の意見・要望を受け付けるための窓口の整備
  各行政機関において、政策評価に関する外部からの意見・要望を受け付けるための窓口を整備するものとし、当該窓口については基本計画において明らかにするほか、インターネットのホームページ等を活用して積極的な周知を図るものとする。また、寄せられた意見・要望については、関係する部局等において適切に活用するものとする。

(3)   地方公共団体との連携・協力
  政策評価の実施に当たっては、国と地方公共団体は、適切な役割分担の下で相互に協力する関係に立って共に行政活動を行い、それぞれ自らの行政活動の効果を把握し評価を行うものであることを踏まえ、評価の対象とする政策の特性等に応じて、政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保に関し必要な情報や意見の交換を行い、地方公共団体との適切な連携・協力を図るものとする。

II 法第20条から第22条までの規定に基づく措置に関する事項

1 法第20条の規定に基づく措置
(1)   調査、研究及び開発の推進
  調査、研究及び開発の推進に当たっては、政策の特性等を踏まえ、事前評価に必要な政策効果の把握の手法その他の事前評価の方法の開発、政策効果の把握の手法の信頼性や精度についての調査及び研究、類似事業間における評価指標や政策効果の把握の手法の共通化のための調査及び研究等について重点的に取り組むものとする。
  また、これらの調査、研究及び開発の成果についての各行政機関の間での情報の交換を推進するものとする。

(2)   職員の人材の確保及び資質の向上
  職員の人材の確保及び資質の向上については、「一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律」(平成12年法律第125号)を活用した公認会計士等の専門的・実務的な知識を有する者の採用、退職公務員のその再任用を含めた活用、評価の分野における官民交流、政策評価担当職員の人事交流、職員の意識改革を進めるための周知活動等の推進を図るものとする。また、総務省は、各行政機関の協力を得て、各行政機関における政策評価に従事する職員に対して体系的かつ継続的な研修の実施を図るものとする。

 法第21条の規定に基づく措置
  総務省は、政策評価等の実施に必要な情報の活用の促進に関し検討を進めるとともに、政策評価等の実施に必要な情報の行政機関相互間における活用の促進のためのシステムの整備を図るものとする。

 法第22条の規定に基づく措置
    総務省は、各行政機関の協力を得て、広く国民の利便に資する観点から、政策評価に関する情報の所在に関する情報を一元的かつ容易に検索できるクリアリング・ハウス機能の充実を図るものとする。
  また、総務省本省及び管区行政評価局等を始めとする窓口においても、これらの情報を入手できるよう利便を図るものとする。

III  その他政策評価を円滑かつ着実に実施するために必要な措置に関する事項


 連絡会議の開催
  総務省は、政策評価の質の向上を図る観点から、各行政機関間の連絡を密にし、政策評価制度の円滑かつ効率的な実施を図るとともに政策評価に関する取組を促進するため、各行政機関により構成される連絡会議を開催するものとする。

2 各行政機関が実施する政策評価及び総務省が実施する政策の評価
(1)   各行政機関及び総務省による評価の機能分担
  政策評価制度が目的とする国民本位の効率的で質の高い行政の実現、国民的視点に立った成果重視の行政への転換及び国民に対する行政の説明責任の徹底を図るため、各行政機関による政策評価と各行政機関とは異なる評価専担組織としての総務省による政策の評価とが、それぞれに分担する機能を的確に発揮していくものとする。このため、政策を企画立案し遂行する立場にある各行政機関は、所掌する政策について、当該行政機関の任務を的確に達成する見地から評価を行い、その結果を政策に適切に反映させ、さらに、各行政機関の枠を超えた評価専担組織の立場にある総務省は、各行政機関の政策について、政府全体としての統一性を確保し又は総合的な推進を図る見地からの評価を行うとともに、各行政機関の政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価を行い、その結果に基づき関係行政機関に意見を通知し、また、必要に応じ勧告を行う。これにより、各行政機関の政策の個別的な観点からの見直し・改善や、政府における政策についての統一性や総合性を確保する観点からの見直し・改善を進め、もって、政府全体としてのより的確な政策の実現を図っていくものとする。
  このような制度上の枠組みの下、各行政機関及び総務省は、評価の効果的かつ効率的な運用を図るため、評価の実施体制、業務量、緊急性等を勘案しつつ、次により、それぞれの評価活動の重点的かつ計画的な実施を図るものとする。その際、政策評価等の実施の目的にかんがみ、評価活動を、政府全体として、総合・一体的な形で展開し、国民の期待に応えることができるよう取り組むものとする。

(2)   各行政機関の評価活動
  各行政機関は、所掌する次のような政策について、重点的かつ計画的な評価の実施を図るものとする。
1)   内閣の基本的な方針等により重点的に取り組むべきこととされた行政分野において、当該行政機関が所掌する主要な政策
2)   内外の社会経済情勢の変化を踏まえ、見直しや改善の必要があると認められる主要な政策
3)   国民からの評価に対するニーズが高く、評価を実施する必要があると認められる政策

(3)   総務省の評価活動
  総務省は、政策を所掌する各行政機関とは異なる評価専担組織として、各行政機関が担い得ない、あるいは各行政機関による政策評価だけでは十分に達成でき得ない評価を効果的かつ効率的に行う観点から、次のような評価活動を実施する。

  統一性又は総合性を確保するための評価活動                    
(ア) 総務省が行う統一性又は総合性を確保するための評価は、各行政機関の政策についての統一性又は総合性の確保に関し政府として指向すべき一定の方向性を踏まえ、行うものとする。その際、各行政機関の政策それぞれに共通する側面について統一した観点により横断的に評価し、又は複数の行政機関の所掌に関係する政策について、その総合的な推進を図る見地から、一括して、全体として評価するものとする。
(イ) これを踏まえ、次の政策について、重点的かつ計画的に評価を実施するものとする(これらの対象の選定について、総務省は、政策評価・独立行政法人評価委員会(以下「委員会」という。)の調査審議を踏まえるものとする。)。
1)   法令や閣議決定等に基づき政府全体としての取組が求められている主要な行政課題に係る各行政機関の政策
2)   行政機関に共通的な行政制度・システムを活用する政策
3)   複数の行政機関の所掌に関係する政策であって、法令や閣議決定等に基づき政策の総合性の確保に関する目的や講ずべき措置が明らかになっている主要なもの
4)   その他、1)から3)までに掲げる政策に準ずるものとして、国民からの評価に対するニーズが高く、統一性又は総合性の確保に関し緊急に採り上げて機動的に評価を実施する必要があると認められるもの
(ウ) 評価の実施に当たっては、各行政機関の政策評価の実施状況に留意するとともに、十分な連絡を図り、各行政機関が評価の過程において収集した情報等の有効な活用を図るなど、効率的な運用に努めるものとする。
(エ) 総務大臣は、関係行政機関における政策の企画立案に資するため、政策効果の発現状況に関する認識、評価対象に関する課題等に関し、意見を通知するものとし、さらに、評価対象とした政策について、統一性又は総合性の確保に関し政府として指向すべき一定の方向性に照らし、関係行政機関が具体的な措置を講ずる必要があると認める場合には、当該行政機関の長に対して勧告を行うものとする。
  政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価活動
  政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価について、次により、重点的かつ計画的に一連の評価活動に取り組む。
1)   各行政機関が実施した政策評価について、その実施手続等の評価の実施形式において確保されるべき客観性・厳格性の達成水準等に関する審査
2)   各行政機関が実施した政策評価のうち改めて政策評価が行われるべきもの又は社会経済情勢の変化等に的確に対応するために政策評価が行われるべきものに関する評価の実施の必要性の認定(必要性の認定に関し、委員会の調査審議を踏まえるものとし、この場合において、委員会は、改めて評価を行うことの必要性等について、関係行政機関から説明及び意見の聴取を行う機会を設けるものとする。)
3)   上記2)の結果に基づき政策評価を実施すべき旨を通知した場合において当該行政機関にゆだねていては評価の客観的かつ厳格な実施が確保されないと認めるときに実施すべき評価(当該評価の実施に関し、委員会の調査審議を踏まえるものとし、この場合において、委員会は、評価の客観的かつ厳格な実施が確保されないと認める状況について、関係行政機関から説明及び意見の聴取を行う機会を設けるものとする。)
4)   行政機関からの要請があった場合において当該行政機関と共同して評価を行う必要があると認めるときに実施する評価

 基本方針の見直し
  本基本方針については、政策評価の実施状況、政策効果の把握の手法その他政策評価の方法に関する調査、研究及び開発の成果や動向等を踏まえ、所要の見直しを行うものとする。



(別紙)



[事業評価方式]

  個々の事業や施策の実施を目的とする政策を決定する前に、その採否、選択等に資する見地から、当該事業又は施策を対象として、あらかじめ期待される政策効果やそれらに要する費用等を推計・測定し、政策の目的が国民や社会のニーズ又は上位の目的に照らして妥当か、行政関与の在り方からみて行政が担う必要があるか、政策の実施により費用に見合った政策効果が得られるかなどの観点から評価するとともに、必要に応じ事後の時点で事前の時点に行った評価内容を踏まえ検証する方式

(注) 「事業評価」は、個別公共事業に係る事前及び事後の評価を指すものとして用いられることがある。


[実績評価方式]
  政策を決定した後に、政策の不断の見直しや改善に資する見地から、あらかじめ政策効果に着目した達成すべき目標を設定し、これに対する実績を定期的・継続的に測定するとともに、目標期間が終了した時点で目標期間全体における取組や最終的な実績等を総括し、目標の達成度合いについて評価する方式


[総合評価方式]
  政策の決定から一定期間を経過した後を中心に、問題点の解決に資する多様な情報を提供することにより政策の見直しや改善に資する見地から、特定のテーマについて、当該テーマに係る政策効果の発現状況を様々な角度から掘り下げて分析し、政策に係る問題点を把握するとともにその原因を分析するなど総合的に評価する方式