基準・規格及び検査・検定(以下「基準認証等」という。)は、製品の製造や設備・施設の構造・設置について、生命、身体及び財産の保護や、災害防止、生産・消費の合理化・効率化といった様々な政策目的を達成するために、鉱工業製品等の物資や施設・設備が満たすべき基準と、当該基準に適合することを確認する方法や手続を法令等に規定する制度とされている。  
 基準認証等については、参入障壁、事業者の負担等、その有する問題点に着目して、これまで行政改革委員会等において、見直しのための方策が提言されてきている。行政改革推進本部規制緩和委員会(現「規制改革委員会」)の「規制緩和についての第1次見解」(平成10年12月15日)を踏まえ、平成11年3月30日に閣議決定された「規制緩和推進3か年計画(改定)」では、基準認証等については、各省庁において、政府の直接的な規制を必要最小限とすることを基本として、同計画別紙2の指針「基準・規格及び検査・検定の見直し」(以下「見直し指針」という。)に基づく見直しを行うこととし、また、行政運営の実態を踏まえた緩和・改善を推進する観点から、行政監察機能の活用を図ることとされたところである。  
 見直し指針においては、「基準認証等は、経済活動のグローバル化が進んだ現在においては、同時に、企業活動や消費活動に対しても、コストの上昇や選択範囲の限定等、大きな影響を与えることとなる。このため、基準認証等の制定・運用に当たっては、国民の生命、身体、財産の保護などそれぞれの制度が本来目的としている様々な政策目的の達成に支障が生じないことを前提として、こうした諸活動への影響が可能な限り小さくなるよう配慮することが重要である」との基本的考え方の下に、1)国が関与する基準認証等の範囲の見直し、2)自己確認・自主保安を基本とした制度への移行、3)基準の国際整合化・性能規定化、重複検査の排除等の見直しの観点を示している。  
 今回、見直し指針において示された考え方に沿って、基準認証等について調査を行った結果は、以下のとおりである。

1 国が関与する基準認証等の範囲の見直し
   国が関与する基準認証等の範囲について、見直し指針においては、次のような考え方が示されている。
 基準認証等が目的としている政策目的は、安全の確保や取引の効率化等様々であるが、これらの政策目的には、事故又は災害発生時の社会・経済的影響等から国が関与しなければ達成できないものがある一方、技術の進展等に伴い、必ずしも国による基準認証等によらなくとも、市場における信用獲得など、事業者による自主的な取組によって達成できるものもある。
 したがって、これら基準認証等については、真に国が関与した仕組みとして維持する必要があるかどうかについてそれぞれ改めて検証を行い、行政の関与を必要最小限とする方向で抜本的な見直しを行う。
       
   今回、見直し指針の趣旨を踏まえ、国が関与する基準認証等の範囲、許認可等の規制等について調査した結果、次のとおり、見直しを必要とするものがみられた。
  1.  事業者による自主検査や委託等による保守管理・点検等が行われ、行政検査では基準不適合がほとんどみられないことなどから、一律に行政検査として実施する必要性が乏しくなっており、民間の検査能力の活用等、検査の実施主体、実施方法等について見直しの必要があるもの
    i )  気象測器の検定(気象業務法)
    ii)  測量機器の検定(測量法)
  2.  許認可等において一定の要件・基準等を設け、製造・販売や施設・設備の設置・管理等について規制が行われているが、これらの規制が近年の技術革新、社会情勢の変化等に必ずしも十分に対応したものとなっていないなど、許認可等による規制を維持する必要性が乏しくなっているとみられるものや規制範囲が的確でないもの等がみられ、許認可等の規制の見直しの必要があるもの
    i )  食品営業の許可対象範囲(食品衛生法)
    ii)  食品営業者に対する法定監視回数基準(食品衛生法)
    iii)  医薬品一般販売業に係る医薬品の試験検査義務(薬事法)
    iv)  医療用具販売業の届出対象範囲(薬事法)
    v )  医療用具の製造承認対象範囲(薬事法)
    iv)  燃料電池発電設備のばい煙発生施設としての届出(電気事業法、大気汚染防止法)
    vii)  燃料電池発電設備の電気工作物としての区分(電気事業法)
    viii)  衛星航法装置の検査(石油備蓄法)
    ix)  エレベーターの製造許可(労働安全衛生法)
  3.  法的な根拠、位置付けが明らかでなく、これを明確にする必要があるもの
    測量機器の検定(測量法)
       
   したがって、各省庁は、指摘した事項について、以下の改善措置を講じる必要がある。
  (1) 基準認証等の範囲の見直し
    1.  気象測器の検定(気象業務法)
       気象測器の検定については、一定の能力を有する民間(営利法人を含む。)の検査を受けたものについて国の検査を省略できる新制度の導入を図るとともに、現行の検定の実施方法について民間の負担軽減を図る観点から見直しを行うこと(運輸省)。
    2.  測量機器の検定(測量法)
       公共測量の精度確保を図るために行われている測量機器の検定については、公共測量の指導を行っている国土地理院が、検定機関に係る指定の基準を示すこととし、また、民間事業者における機器検定の実施を可能とする措置を講じること(建設省)。
  (2) 許認可等による規制の見直し
    1.  食品営業の許可対象範囲(食品衛生法)
       飲食店営業の許可を必要とする自動販売機による営業の範囲について見直しを図ること(厚生省)。
    2.  食品営業者に対する法定監視回数基準(食品衛生法)
       食品営業に係る法定監視回数基準の見直しを図ること(厚生省)。
    3.  医薬品一般販売業に係る医薬品の試験検査義務(薬事法)
       一般販売業に係る医薬品の試験検査義務については、医薬品の管理の実態等を踏まえ、その在り方について検討を行うこと(厚生省)。
    4.  医療用具販売業の届出対象範囲(薬事法)
       医療用具販売業の届出が不要な医療用具の範囲を拡大すること(厚生省)。
    5.  医療用具の製造承認対象範囲(薬事法)
       医療用具のクラス分類における区分の見直し及び日本工業規格等基準の策定により、製造承認を不要とする医療用具の範囲の拡大を図ること(厚生省)。
    6.  燃料電池発電設備のばい煙発生施設としての届出(電気事業法、大気汚染防止法)
       燃料電池発電設備の改質器に係るばい煙発生施設の設置の事前届出、測定等の規制について、ばい煙発生量の実態等に即し、現行の電気事業法と大気汚染防止法との整合性を維持しつつ、規制対象から除外する範囲の拡大等を検討すること(通商産業省、環境庁)。
    7.  燃料電池発電設備の電気工作物としての区分(電気事業法)
       小出力の燃料電池発電設備を事業用電気工作物から一般用電気工作物に区分を変更することについて、今後、自動車用燃料電池等も含め、燃料及びその供給方式の開発・普及、メーカー、燃料供給者等における保守管理についての支援体制の整備等の動向を踏まえつつ検討を進めること(通商産業省)。
    8.  衛星航法装置の検査(石油備蓄法)
       領海内にある船舶に積載された石油を備蓄量に算入する場合の判断基準となる当該船舶の位置を確認するための衛星航法装置の条件として、通常各船舶が受けている船舶安全法上の検査又はそれと同等以上の検査を経ているものは、別途の検査を要しないものとすること(通商産業省)。
    9.  エレベーターの製造許可(労働安全衛生法)
       労働安全衛生法に基づくエレベーターの製造許可については、申請者の負担軽減の観点から、製造許可手続の簡素化について検討すること(労働省)。
  (3) 基準認証等の根拠の明確化
    測量機器の検定(測量法)
       公共測量に使用する測量機器の検定及び測量機種登録については、法的位置付けを含め、その在り方を検討すること(建設省)。
       
2 自己確認・自主保安を基本とした制度への移行
   自己確認・自主保安を基本とした制度への移行について、見直し指針においては、次のような考え方が示されている。
  1.  自己確認・自主保安、第三者認証
     国が関与する基準認証等の範囲の見直しを経た上で、なおかつ国が関与した制度を維持する必要がある場合においても、国は基準を設定し、市場において基準の遵守状況の監視を行う等必要最小限の関与を行うにとどめ、行政効率化の推進や、企業が負担するコストを低減するとの観点から、適切なセーフティ・ネットを整備した上で、自己確認・自主保安とすることについて検討を行う。次に、自己確認・自主保安のみにゆだねることが必ずしも適当でない場合であっても、直ちに国又は国の業務を代行する指定検査機関等による検査を義務付けることとするのではなく、自己確認・自主保安を基本としつつ、国際ルールを踏まえ、公正・中立な第三者による検査等を義務付ける仕組み(第三者認証)とすることができないかどうかについて十分な検討を行う。
 この際、一律にすべての事業者に対して自己確認・自主保安や第三者認証とすることが不適当な場合にあっては、優良な実績を有する事業者に対して選択的に自己確認・自主保安や第三者認証を認める等のメリットシステムの導入を積極的に検討する。また、自己確認・自主保安を基本とする場合においては、消費者等の市場に参加する各プレーヤーへの十分な情報提供が前提となることから、行政庁における情報公開はもとより、事業者側においても情報提供を促進する等の取組を行うことが期待される。
  2.  国又は国の代行機関(指定検査機関等)
     以上の検討によってもなお自己確認・自主保安を基本とした仕組みとすることが適当でない基準認証等については、将来における自己確認・自主保安への移行を検討しつつ、当面、国が直接実施することとしたり、指定検査機関等の代行機関を設けることとすることもやむを得ないが、この場合においても、可能な限りその業務について民間機関の活用を図るとともに、検査確認等の事務を行う主体についても、原則として公益法人以外の民間法人にも開放する等の見直しを行う。
       
   今回、見直し指針の趣旨を踏まえ、自己確認・自主保安等の範囲、指定検査機関等の指定要件等について調査した結果、次のとおり、見直しを必要とするものがみられた。
  1.  検査実施者の要件緩和、検査体制の弾力化等、自己確認・自主保安等の範囲の拡大の余地があり、その見直しを図る必要があるもの
    i )  食鳥検査制度(食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律)
    ii)  高圧ガス製造施設の認定保安検査実施者の要件(高圧ガス保安法)
    iii)  フォークリフトの特定自主検査に係る事業内検査者研修(労働安全衛生法)
  2.  自己確認・自主保安を行う上で必要とされる基準等を見直す必要があるもの
    i )  電気主任技術者の選任及び電気工作物の保安規程の策定等(電気事業法)
    ii)  主任技術者の外部委託(電気事業法)
    iii)  第二種電気主任技術者及び第三種電気主任技術者の監督範囲(電気事業法)
    iv)  ボイラーの遠隔制御についての基準(労働安全衛生法)
  3.  指定検査機関等の指定要件が公益法人に限定されており、これを見直す必要があるもの
    i )  食品の命令検査(食品衛生法)
    ii)  測量機種登録のための性能検定(測量法)
       
   したがって、各省は、指摘した事項について、以下の改善措置を講じる必要がある。
  (1) 自己確認・自主保安等の範囲の見直し
     検査実施者の要件緩和、検査体制の弾力化等
     
1.  食鳥検査制度(食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律)
   食鳥検査については、国及び都道府県に設置された食肉・食鳥処理問題調整協議会(平成11年4月27日中央省庁等改革推進本部決定)を活用し、より柔軟な検査体制の推進を含め、検査の在り方について検討すること。また、都道府県等に対しては、早朝、休日、気象条件等により緊急を要する場合の検査対応を要請すること(厚生省)。
2.  高圧ガス製造施設の認定保安検査実施者の要件(高圧ガス保安法)
   自ら保安検査を実施することができる認定保安検査実施者の認定基準について再検討することにより、コンビナート関連事業者以外の第一種製造者についても、認定保安検査実施者への移行を推進すること(通商産業省)。
3.  フォークリフトの特定自主検査に係る事業内検査者研修(労働安全衛生法)
   フォークリフトの特定自主検査を行う資格を取得するための事業内検査者研修については、その実施状況及びニーズ等を踏まえつつ、開催箇所の見直しを図ること(労働省)。
     自己確認・自主保安を行う上で必要とされる基準等の見直し
     
1.  電気主任技術者の選任及び電気工作物の保安規程の策定等(電気事業法)
   共同受電の場合の電気主任技術者の選任及び電気工作物の保安規程の策定等について、電気工作物の設置及び保安管理に問題がないことを前提として、複数事業者による一括化を認める運用を明確にすること(通商産業省)。
2.  主任技術者の外部委託(電気事業法)
   工場等において業務用電力以外の電力の供給を受ける場合における主任技術者の選任について、保安が確保される一定規模の範囲において、受託業者の実態も踏まえ、外部への委託を可能とすることを検討すること(通商産業省)。
3.  第二種電気主任技術者及び第三種電気主任技術者の監督範囲(電気事業法)
   第二種電気主任技術者及び第三種電気主任技術者の監督範囲の拡大等について、事故等により他者に及ぼす影響等を考慮しつつ検討を進めること(通商産業省)。
4.  ボイラーの遠隔制御についての基準(労働安全衛生法)
   ボイラーの遠隔制御についての基準について、安全性を損なわない範囲で、対象となる遠隔制御方式ボイラーの基準、点検基準等について見直しを図ること(労働省)。
  (2) 指定検査機関等の指定要件の見直し等
    1.  食品の命令検査(食品衛生法)
       現在、公益法人により行われている検査命令に伴う食品検査については、地域による需要状況等を踏まえ、その在り方について検討すること(厚生省)。
    2.  測量機種登録のための性能検定(測量法)
       現在、検定能力を持つ唯一の公益法人で実施されている測量機種登録のための性能検定については、検査能力を有し、かつ、検査等を公正・中立に実施することができる民間法人にも拡大できるような措置を講じること(建設省)。
       
3 基準の国際整合化・性能規定化、重複検査の排除等
   基準の国際整合化・性能規定化、重複検査の排除等について、見直し指針においては、次のような考え方が示されている。
 基準の内容については、国際的活動を行う事業者にとって余分な負担を課したり、消費者の海外製品選択の余地を狭める等の弊害をもたらすことなどのないように、基準の設定に当たり、それぞれの基準が達成しようとする政策目的という観点からだけでなく、国際整合性を確保することによってこうした事業者や消費者の負担を軽減するという観点からも検討していくこととする。具体的には、ISO等の国際規格が既に存在するものについては、その妥当性を検証した上で、当該国際規格との整合化を図るほか、国際規格の存在しないものについて、我が国の規格を国際規格として採用するよう働きかけることや、外国データの受入れや国際的な相互承認を推進する。また、基準の内容が、技術革新に対して柔軟に対応できるものとなるよう、現在、仕様規定となっている基準については原則としてこれをすべて性能規定化するよう検討を行う。
 このほかにも、検査の実施に当たり、複数の基準に係る検査が行われる場合には、類似の検査事項については重複検査を排する等、事業者の負担軽減のための措置を講ずる。
       
   今回、見直し指針の趣旨を踏まえ、基準の国際整合化・性能規定化、重複検査の排除等の状況について調査した結果、次のとおり、見直しを必要とするものがみられた。
  1.  基準・規格が国際整合性に欠けるもの、性能規定化の趣旨が徹底していないもの等基準・規格の見直しや趣旨の徹底等が必要なもの
    i )  自動車の保安基準(道路運送車両法)
    ii)  自動車の車台番号等の打刻(道路運送車両法)
    iii)  シリンダーブロックへの型式の打刻(道路運送車両法)
    iv)  天然ガス自動車用燃料容器等の検査(高圧ガス保安法)
    v )  クレーンの製造許可に係る材料選択(労働安全衛生法)
  2.  検査対象に係る法適用区分の明確化が十分に徹底されていないことから検査の一部に重複がみられ、この徹底を図る必要があるもの
    エレベーターに係る法適用関係(労働安全衛生法、建築基準法)
  3.  事業者の試験データの活用や試験機関の試験データの利用、国際基準の認証等による試験方法や検定方法の見直し等が必要なもの
    i )  測量機種登録のための性能検定における製造業者の試験データ(測量法)
    ii)  耐火構造の指定に係る試験(建築基準法)
    iii)  新ガス系消火設備の技術上の基準(消防法)
  4.  検査方法等が区々となっているもの、一律に規制することの合理性に欠けるものなど、検査方法、基準等の見直しが必要なもの
    i )  高圧ガス製造施設に係る開放検査(高圧ガス保安法)
    ii)  食品営業の許可に係る施設基準等(食品衛生法)
  5.  検査申請書の添付書類や申請方法の見直しが必要なもの
    i )  高圧ガス製造施設の完成検査及び保安検査に係る申請手続(高圧ガス保安法)
    ii)  クレーンの製造許可申請に係る提出書類(労働安全衛生法)
       
   したがって、各省は、指摘した事項について、以下の改善措置を講じる必要がある。
  (1) 基準・規格の国際整合化、性能規定化
    1.  自動車の保安基準(道路運送車両法)
       保安基準のうち、操縦装置の取付位置基準及び座席の最小奥行寸法基準について、国際的な動向を踏まえて見直しを検討すること。
 また、サイドスリップテスタによる直進安定性の確認方法について、申請者の負担軽減の観点から見直しを行うこと(運輸省)。
    2.  自動車の車台番号等の打刻(道路運送車両法)
       自動車の車台番号又は原動機の型式の打刻制度について、打刻字体の押印又は拓本の届出以外にも、字体を確認できる写真又は図面による届出方法を検討すること(運輸省)。
    3.  シリンダーブロックへの型式の打刻(道路運送車両法)
       製作者からの委託に基づく正規輸入業者によるシリンダーブロックへの型式打刻について検討すること(運輸省)。
    4.  天然ガス自動車用燃料容器等の検査(高圧ガス保安法)
       天然ガス自動車用燃料容器等の検査について、海外におけるこれらの基準・規格の緩和の動向に対応した申請等があった場合には、基準の解釈、試験方法等を含めて、これらの海外基準・規格の受入れに適切に対処すること(通産産業省)。
    5.  クレーンの製造許可に係る材料選択(労働安全衛生法)
       平成8年の労働基準局長通達におけるクレーンの製造許可に係る材料選択の弾力化の趣旨の徹底を図ること(労働省)。
  (2) 重複規制の排除
     エレベーターに係る法適用関係(労働安全衛生法、建築基準法)
       エレベーターについては、建築基準法と労働安全衛生法(クレーン等安全規則)に係る適用区分の明確化の徹底を図ること(労働省、建設省)。
  (3) 検査・検定等の方法・内容、周期等の見直し
     事業者の試験データの活用や試験機関の試験データの利用等
     
1.  測量機種登録のための性能検定における製造業者の試験データ(測量法)
   メーカーにおける製造時の試験データを活用し、検定の効率化を図ること(建設省)。
2.  耐火構造の指定に係る試験(建築基準法)
   耐火構造の指定に当たっては、既に指定を受けたものを組み合わせた構造のうち、既に指定を受けたものと同等以上の性能があることが技術的に明らかなものについて、従前の試験成績書をもって試験が不要である場合があることを明確にするとともに、その周知・徹底を図ること(建設省)。
3.  新ガス系消火設備の技術上の基準(消防法)
   新ガス系消火設備の技術上の基準については、早急に一般基準化の検討を進めること(自治省)。
     検査方法、基準等の見直し
     
1.  高圧ガス製造施設に係る開放検査(高圧ガス保安法)
   貯槽以外の高圧ガス製造施設について、保安上問題がないことを前提に、設備の種類、構造・材質、整備・点検状況に応じて開放検査周期の延長等の見直しを行うこと(通商産業省)。
2.  食品営業の許可に係る施設基準等(食品衛生法)
   食品営業の許可に係る都道府県等の施設基準等について、明確化・合理化を助言すること(厚生省)。
     検査申請書の添付書類、申請方法の見直し
     
1.  高圧ガス製造施設の完成検査及び保安検査に係る申請手続(高圧ガス保安法)
   受検者の事務的負担を軽減するため、都道府県における完成検査及び保安検査の申請の取扱いについて、郵送による申請が可能なことを明確化し、事業者等に対する周知を図るよう各都道府県に対して徹底すること(通商産業省)。
2.  クレーンの製造許可申請に係る提出書類(労働安全衛生法)
   クレーンの製造許可申請に係る提出書類については、その必要性を見直し、不要なものを求めることのないように措置すること(労働省)。
       
4 その他公的色彩の強い民間の基準認証等の見直し
   今回、民間の自主的制度であるとされている基準認証等について調査したところ、公的なものであるとの誤認を与えることのないよう、運用等を見直す必要のあるものがみられた。
  i )  石油燃焼器具の検査制度
  ii)  消防用設備等の点検済表示制度
       
   したがって、通商産業省及び自治省は、指摘した事項について、以下の改善措置を講じる必要がある。
  1.  石油燃焼器具の検査制度
     財団法人日本燃焼機器検査協会が自主事業として行っている石油燃焼器具検査について、公的なものとの誤認を与えることのないよう、民間検査であることを明確化する方向で同協会の検査業務規程等を改正するよう指導すること(通商産業省)。
  2.  消防用設備等の点検済表示制度
     民間の自主的制度であることを改めて明確にするとともに、消防機関における運用に当たっても、その趣旨の徹底を図ること(自治省)。