規制行政に関する調査結果に基づく勧告
―資格制度等―

平成12年9月

総務庁


 

前   書   き

 

 国が法令等に基づいて設けている資格制度(以下「資格制度」という。)と民間団体等が行っている技能審査事業を国が社会的に奨励すべきものとして認定している民間技能審査事業認定制度(以下「事業 認定制度」という。)は、社会経済の複雑・高度化に伴う各種専門知識・技能保持者に対する社会的需要等を背景に逐次設けられてきたものであるが、その全貌は必ずしも明らかになっていない。
 一方、資格制度及び事業認定制度については、これまで、第2次臨時行政調査会の答申等において、職業選択や事業活動に対する制限、行政事務の増大、国民負担の増加等の弊害が指摘され、濫設防止のほか、試験事務等の民間団体への委譲を始め、制度の仕組みの簡素化、制度運営の合理化等が提言されている。このうち、資格制度の試験事務等の民間団体への委託は進展しているが、その一層の拡充が課題となっているとともに、それ以外の改善合理化は必ずしも十分なものとなっていない面がみられる。
 また、資格制度における試験事務等の民間委託や民間技能審査事業の認定等による民間団体の行政代行的行為等について、その不透明性、所管省庁の指導監督の不十分さなどが社会的な問題として指摘されている。こうした中、公益法人に対する指導監督の適正化、公益法人の行う行政代行的行為等の透明化を図るため、平成8年9月20日、「「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について」が閣議決定された。
 この閣議決定のうち、特に資格制度及び事業認定制度の運営に関連する「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」については、各省庁が、資格付与等の事務を公益法人に委託等する場合の要件及び公益法人が独自に行っている資格付与等を推薦・認定等する場合の要件が定められ、各省庁は、これに沿った所要の措置を平成12年度末までに講じることとされている。
 この調査は、これらの状況を踏まえ、資格制度及び事業認定制度の現状及び各制度の運営の実態を調査し、関係行政の改善に資するため実施したものである。
 なお、「規制緩和推進3か年計画(再改定)」(平成12年3月31日閣議決定)においては、行政改革推進本部規制改革委員会(旧規制緩和委員会)の「規制緩和についての第1次見解」(平成10年12月15日)及び「規制改革についての第2次見解」(平成11年12月14日)において示された資格制度についての見直しの基準・視点等に基づき、各省庁は、所管の資格制度について、自主的な見直しを行うこととされている。

 


 

目   次

1 国の資格制度
  (1) 資格審査事務の在り方の見直し、適正化
    ア 事務の委託等の推進
    イ 事務の委託等・推薦等の透明化
    ウ 会計処理の適正化
    エ 指導監督の徹底
  (2) 資格要件、資格審査方法等の見直し、適正化
    ア 資格要件等の見直し
    イ 資格審査の実施方法等の見直し、試験問題等の公表の推進
    ウ 試験等手数料の適正化
    エ 申請手続等の簡素化
  (3) 資格者業務の範囲、競争制限的制約等の見直し
    ア 資格者の業務範囲等の見直し
    イ 開業資格に係る競争制限的制約の見直し
2 民間技能審査事業認定制度
  (1) 認定制度の在り方の見直し
  (2) 認定事業の運営の適正化
    ア 会計処理の適正化
    イ 資格審査の基準・実施方法等の見直し、試験問題等の公表の推進