通 知 日: | 平成12年5月29日 |
通 知 先: | 北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、 農林水産省、運輸省、建設省 |
実施時期 : | 平成11年4月〜12年5月 |
調査の背景事情等 |
○ | 内閣総理大臣から公共事業関係6省庁(北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、農林水産省、運輸省及び建設省)の大臣に対して、公共事業の効率的な執行及び透明性の確保のため、事業採択後一定期間が経過した後も未着工又は継続中の事業を対象とする再評価システムの導入及び新規の事業採択段階における費用対効果分析の活用について指示(平成9年12月) | |
○ | 公共事業関係6省庁は、平成10年度から公共事業の再評価システムを導入(国土庁は所管事業について、事業執行省庁が実施した再評価結果を予算に反映)するとともに、新規事業採択時の費用対効果分析についても、試行を含め運用する旨内閣総理大臣へ報告(平成10年3月) | |
○ | このような状況を踏まえ、公共事業の評価制度の適正な運用を推進し、公共事業の効率的な執行及び透明性を確保する観点から公共事業の評価制度の導入状況及び運用状況の実態を調査し、課題を指摘 | |
○ | 調査対象機関:北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、農林水産省、運輸省、建設省、特殊法人、都道府県、市区町村 |
調査結果 |
I | 再評価制度 | ||||||||||||||
1 | 再評価制度の導入状況及び対象事業 | ||||||||||||||
国土庁を除く公共事業関係5省庁では、直轄事業、公団等施行事業及び補助事業を対象とする実施要領を策定し、再評価を推進 | |||||||||||||||
再評価を実施する事業は、事業採択後5年間未着工、事業採択後一定期間(5年間〜10年間) 経過した事業等 | |||||||||||||||
国土庁は、自らは事業の執行を行っていないため、所管事業について事業執行省庁が実施した再評価結果を活用 | |||||||||||||||
2 | 再評価の実施状況(制度導入5省庁) | ||||||||||||||
(1)
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再評価の実施手順 | ||||||||||||||
1.
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事業を実施している地方支分部局及び公団が再評価を実施し、これに基づき事業の中止、 休止等の対応方針の案を本省庁に提出(農林水産省所管の公団施行事業については、本省が評価実施主体)。対応方針の案の策定に当たっては、学識経験者等により構成される第三者機関等から意見を聴取 | ||||||||||||||
2.
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最終的な対応方針は、i)建設省、運輸省及び農林水産省は本省庁の事業担当部局が決定。ただし、運輸省は全省的な組織を設置し対応方針のチェックを行い、必要に応じて事業担当部局に見直しを指示 、ii)北海道開発庁及び沖縄開発庁は全庁的な組織で決定 | ||||||||||||||
(2)
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再評価の方法 | ||||||||||||||
ア
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評価指標の設定状況 | ||||||||||||||
公共事業の再評価を行うための評価指標の設定状況をみると、i)建設省、運輸省及び農林水産省は、評価指標を事業ごとに設定、ii)北海道開発庁及び沖縄開発庁は、建設省、運輸省及び農林水産省が設定した評価指標を活用 | |||||||||||||||
イ
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評価指標の設定内容 | ||||||||||||||
評価指標を設定している3省について、評価指標の設定内容をみると、次のとおり | |||||||||||||||
i)
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建設省は所管全事業を16事業種別に分類、指標数の合計は145指標(1事業平均9.1指標)、うち数量的指標は68指標(46.9%) | ||||||||||||||
ii)
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運輸省は所管全事業を4事業種別に分類、指標数の合計は26指標(1事業平均6.5指標)、うち数量的指標は8指標(30.8%) | ||||||||||||||
iii)
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農林水産省は所管全事業を6事業種別に分類、指標数の合計は48指標(1事業平均8.0指標)、うち数量的指標は36指標(75.0%) | ||||||||||||||
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(3)
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再評価の実績 | ||||||||||||||
平成10年度における再評価の実施箇所は計8,207か所。このうち、事業を見直したものは175か所(2.1%、事業中止34か所、事業休止75か所、計画変更66か所)、継続は8,032か所 (97.9%) | |||||||||||||||
(4)
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情報の公開 | ||||||||||||||
1.
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再評価に係る情報の公開状況は、次のとおり | ||||||||||||||
i)実施要領及び評価指標並びに評価結果(結論)は5省庁とも公表、ii)第三者機関の議事録は、運輸省を除き要旨を公表、iii)使用した評価指標及びその内容は、運輸省を除き公表、iv)評価結果の根拠となる資料等は、5省庁とも公表範囲の拡大を検討中、v)結論に至った理由は、中止、休止等の見直しを行った事業については5省庁とも公表している が、継続して実施することとなった事業については公表していないもの(運輸省所管の港湾・海岸関係事業)あり、vi)5省庁とも、中止、休止等の事業を公表することにより予算への反映状況を公表 | |||||||||||||||
2.
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評価結果の公表方法は、5省庁とも記者発表等による。インターネットによる公表は建設省で一部実施しているものの、他の省庁は未実施 | ||||||||||||||
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II | 新規採択時評価制度 | ||||||||||||||
1 | 新規採択時評価制度の導入状況及び対象事業 | ||||||||||||||
1.
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建設省、運輸省及び農林水産省では、直轄事業、公団等施行事業及び補助事業を対象とする実施要領等を策定し、本省において評価を実施 | ||||||||||||||
2.
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国土庁、北海道開発庁及び沖縄開発庁は、事業執行省庁が実施した評価結果を活用 | ||||||||||||||
2 | 新規採択時評価の実施状況(制度導入3省) | ||||||||||||||
(1)
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新規採択時評価の実施手順 | ||||||||||||||
1.
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事業を実施する地方支分部局及び公団等が評価に必要な資料を作成し、本省に提出 | ||||||||||||||
2.
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本省の事業担当部局が提出された資料に基づき評価を実施し、予算化に係る対応方針を決定。ただし、運輸省は全省的な組織を設置し、予算化に係る対応方針のチェックを行い、必要に応じて事業担当部局に見直しを指示 | ||||||||||||||
(2)
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新規採択時評価の方法 | ||||||||||||||
ア
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建設省、運輸省及び農林水産省では、新規採択時評価について、事業の投資効果を測定する費用対効果分析を実施し、これに費用対効果分析指標以外の評価指標等を含めて総合的な評価を実施 | ||||||||||||||
(注)
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費用対効果分析には費用便益分析を含む。また、便益要素とは、費用対効果分析において貨幣換算可能な便益を計測するための評価指標のことである。 | ||||||||||||||
イ
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費用対効果分析の便益要素の設定状況 | ||||||||||||||
建設省、運輸省及び農林水産省の費用対効果分析マニュアルにおける費用対効果分析の便益要素の設定状況をみると、次のとおり | |||||||||||||||
i)
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建設省は、所管全事業を11事業種別に分類し、それぞれについてマニュアルを作成、便益要素数の合計は75要素(1マニュアル平均6.8要素) | ||||||||||||||
ii)
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運輸省は、所管全事業を4事業種別に分類し、それぞれについてマニュアルを作成、便益要素数の合計は63要素(1マニュアル平均15.8要素) | ||||||||||||||
iii)
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農林水産省は、所管全事業を7事業種別に分類し、それぞれについてマニュアルを作成、便益要素数の合計は93要素(1マニュアル平均13.3要素) | ||||||||||||||
これらのマニュアルにおける便益要素の内容をみると、 | |||||||||||||||
・
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例えば環境への影響を便益要素として盛り込んでいるマニュアルは、21マニュアル中9マニュアル、 | ||||||||||||||
・
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下水道事業と農業集落排水事業等類似する事業について、マニュアルに盛り込まれた便益要素に差異がみられるものあり | ||||||||||||||
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ウ
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費用対効果分析指標以外の評価指標の設定内容 | ||||||||||||||
費用対効果分析指標以外に効果の分析を行うために評価指標を設定している建設省の評価指標の設定内容をみると、所管事業を35事業種別に分類、指標数の合計は641指標、うち数量的指標251指標(39.2%) なお、農林水産省は、平成11年8月に水産関係公共事業について評価指標を設定、指標数の合計は11指標、うち数量的指標9指標(81.8%) |
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(3)
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新規採択時評価の実績 | ||||||||||||||
平成11年度に新規採択した計4,468か所のすべてについて新規採択時評価を実施。このうち費用対効果分析を活用したもの4,148か所、分析手法を開発中のため費用対効果分析指標以外の評価指標等を活用して評価を行ったもの320か所 | |||||||||||||||
(4)
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情報の公開 | ||||||||||||||
1.
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新規採択時評価に係る情報の公開状況は、次のとおり | ||||||||||||||
i)実施要領等、費用対効果分析の要素、費用対効果分析の数値(費用便益比率)及び評価結果は3省とも公表、ii)費用対効果分析指標以外で使用した評価指標は、建設省は公表、iii)費用対効果分析において使用した数値等評価結果の根拠となる資料等は、3省とも公表範囲の拡大を検討中、iv)3省とも新規採択事業を公表することにより予算への反映状況を公表 | |||||||||||||||
2.
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評価結果の公表方法は、3省とも記者発表等による。インターネットによる公表は建設省で一部実施しているものの、他の2省は未実施 | ||||||||||||||
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[その他] | |||||||||||||||
・
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評価制度の構築・改善等に関する検討体制 | ||||||||||||||
・
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公共事業の事後評価への取組状況 | ||||||||||||||