主な勧告事項 |
関係政府が講じた改善措置状況 |
1 都市高速道路事業の透明性の確保 |
(1) | 経営責任の明確化及び基本計画指示手続の透明性の確保 |
(勧告) |
国土交通省(建設省)は、基本計画の指示に当たり、首都公団及び阪神公団から経営の観点からの意見を聴取する仕組みを構築すること。 |
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(説明) |
○ | 建設費の増加に伴い要償還額が増大する一方、通行台数の伸びは事業の初期段階に比べ次第に鈍化 両公団の料金収入は、近年、経済の低迷等から償還計画上の予定料金収入未満 |
○ | 基本計画の指示に当たり、両公団が経営の観点から意見を述べる仕組みなし。このような仕組みを設けることによって、両公団が基本計画の遂行に関する経営責任を認識する契機となり、効率的な事業実施のインセンティブを持ちやすくなることを期待 |
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→○ |
国土交通省(建設省)は、高速自動車国道の新たな整備計画(案)についての日本道路公団に対する意見照会の前例に倣って、今後、基本計画の指示に当たり、首都公団及び阪神公団から意見聴取を行うこととする。 |
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⇒○ |
平成12年度から基本計画の指示に当たり、首都公団及び阪神公団からの意見聴取を行っている。 |
| 【具体事例】 |
| ・ | 平成12年12月11日に基本計画の変更(案)について両公団に対して意見照会(両公団は平成12年12月15日に回答) |
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(勧告) |
国土交通省(建設省)は、首都公団及び阪神公団を施行者と予定して都市計画決定された都市高速道路については、基本計画の指示の前に、供用後の料金の見通し及びその検討において用いた国・地方公共団体の公的負担等の前提条件が公表され、これに対する国民や利用者の意見が都市高速道路事業に適切に反映される仕組みを構築すること。 |
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(説明) |
○ | 都市高速道路については、両公団が責任を持って経営を行うとともに国民や利用者の理解の下に都市高速道路の建設の決定が行われることが重要 |
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○ | 基本計画の指示の前に、償還対象路線の事業費、通行台数、料金及び償還期間、公的負担等を仮定した採算に関する検討結果が公表され、これに対する国民や利用者の意見が都市高速道路事業に反映される仕組みなし。 |
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→○ | 国土交通省(建設省)は、道路管理者(地方公共団体)への協議に際し、供用後の料金の見通し及びその検討において用いた国・地方公共団体の公的負担等の前提条件の公表並びにこれに対する国民や利用者の意見を踏まえた当該団体の議会での議論などが行われるようにする。 |
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⇒○ | 基本計画の道路管理者(地方公共団体)への協議に際し、供用後の料金の見通し等の資料を公表しており、これに対する国民や利用者の意見を踏まえた当該団体の議会での議論などが行われている。今後とも基本計画の指示の前に、このような料金見通しの公表等が引き続き行われるようにする。 |
| 【具体事例】 |
| 平成11年1月の大阪地区(大和川線等)の基本計画(阪神公団) |
| 平成11年9月の京都地区(油小路線)の基本計画(阪神公団) |
| 平成12年5月の東京地区(晴海線等)の基本計画(首都公団) |
| 平成12年8月の京都地区(新十条通線)の基本計画(阪神公団) |
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国土交通省(建設省)は、平成11年9月1日、都市・地域整備局長(都市局長)から首都高速道路公団理事長及び阪神高速道路公団理事長に対し、「高速道路に関する行政監察−都市高速道路を中心として−の結果に基づく勧告について」(建設省都道監発第59号)を発出し、勧告の趣旨を勘案し適切に対処するよう指導した。これを受けて首都公団及び阪神公団は、以下のとおり対処している。 |
(2) | 経営管理の的確化 |
| (勧告) |
償還計画に基づき、定量的な中期的経営目標を定めるとともに、これを毎年度の予算等に反映させること。 また、毎年度の決算の結果表示される償還準備金繰入額及び償還準備金額については、償還計画を達成する上で過不足があるか否かについて適切に評価し得るものとすること。 |
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| (説明) |
○ | 両公団は償還計画を達成する経営責任を課せられており、事業環境の変化の下で、より一層的確な経営管理が必要 |
○ | 償還計画の達成状況の評価に当たっては、公表されている償還準備金繰入額等と償還計画上の収支差(償還金)を対比することが有効。しかし、両者の構成要素が異なる等のため、この対比が困難 このため、償還計画に基づき、償還準備金繰入額等と対比し得る新たな定量的な中期的経営目標を定めるとともに、これを毎年度の予算等に反映させることが必要 |
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〔首都公団〕〔阪神公団〕 |
→○ | 償還計画を着実に達成していくため、償還計画に基づき、財務諸表ベースの償還準備金等の中期的経営目標を設定した(平成14年度末の償還準備金等の償還目標を11年9月に設定)。 また、この中期的経営目標(償還目標)を毎年度の予算等に反映させるとともに、決算によってその達成状況が明らかになるように、毎年度、償還準備金繰入目標を設定することとした(平成11年度の繰入目標については、11年11月に設定)。 |
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⇒○ | 平成11年度から、償還準備金繰入目標を設定し、評価している。 |
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(勧告) |
定量的な中期的経営目標に基づき、各役員が分担管理する各部門ごとの遂行目標を設定し、その達成状況を適切に評価すること。 |
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(説明) |
○ | 事業環境が変化し、公団経営が厳しい中、より一層的確な経営管必要な状況の下で、各役員が分担管理する各部門についても、それぞれ果たさなければならない具体的な遂行目標がなく、その達成状況の適切な評価が困難 |
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〔首都公団〕〔阪神公団〕 |
→○ | 中期的経営目標(償還目標)を確実に達成するために、毎年度の償還準備金繰入目標の設定と合わせて各部門の遂行目標を設定することとした(平成11年度の部門別の遂行目標を11年11月に設定)。 また、平成11年度決算に合わせ、その達成状況を評価する。 |
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⇒○ | 平成11年度から、毎年度の償還準備金繰入目標の設定と合わせて各部門の遂行目標を設定し、毎年度の決算に合わせて、その達成状況を評価している。 |
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2  業務の合理化 |
(1) 外部委託の推進 |
(勧告) |
両公団の用地取得業務のうち交渉等業務については、業務遂行上の困難性が低いと認められる案件から外部委託の拡大を図るとともに、組織・要員の合理化を行うこと。 |
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〔首都公団〕〔阪神公団〕 |
→○ | 今後、業務遂行上の困難性が低いと認められる案件から外部委託の拡大を図り、要員の合理化に努める。 |
⇒○ | 用地交渉業務等について外部委託の拡大を図り、要員の合理化に努めている。 |
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(勧告)
首都公団の管制補助業務については、交通管理司令の養成の在り方の見直し等により、外部委託の拡大を図るとともに、要員の合理化を行うこと。 |
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〔首都公団〕 |
→○ | 交通管理司令の養成計画を見直した上で、管制補助業務の外部委託の拡大を図ることとし、要員の合理化に向けて平成11年度中を目途に養成計画案を策定する。 |
⇒○ | 平成12年度に新たな養成計画を策定した。これにより、従前職員が従事してきた管制補助業務については、平成13・14年度の2年間で外部委託し、24人を削減することとしている。 |
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(勧告)
両公団の庶務業務及び資料作成等の補助業務のうち、簡易かつ定型的な業務については、非常勤職員を雇用することにより対応し、当該業務を担当する職員の他業務への配置転換等を図り、要員の合理化を行うこと。 |
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〔首都公団〕〔阪神公団〕 |
→○ | 庶務業務及び資料作成等の補助業務のうち、簡易かつ定型的な業務については、非常勤職員により対応することとし、当該業務を担当している職員については、定年退職後の不補充又は他業務への配置転換の促進等により合理化を実施する。 |
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⇒○ | 上記の方針に基づき、要員の合理化を推進している。 |
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(2) | 駐車場管理業務の合理化 |
(勧告) |
国土交通省(建設省)は、首都公団に対し、駐車場事業の経営改善を図る観点から、駐車場管理部の組織体制の合理化等を含む抜本的な経営合理化計画を策定し、計画的に経営の合理化を実施するよう指導する必要がある。 |
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(説明) |
○ | 首都公団は、平成6年度以降赤字決算の駐車場の経営改善計画(平成9年度〜11年度)を策定したが、景気回復の遅れ等による収入減、施設の老朽化による維持修繕費の増加により計画の実現は厳しい状況  一方、駐車場管理部の間接管理部門の要員が全体の40パーセントを占めるなど合理化は不十分 |
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〔首都公団〕 |
→○ |
駐車場事業の経営改善については、平成11年度中を目途に駐車場管理業務の組織体制の合理化等を含む経営合理化計画を策定し、計画的に経営の合理化を図る。 |
⇒○ |
平成12年5月に駐車場管理部を廃止(これに代えて東京第一管理部に駐車場管理課を設置)するとともに本社管理部営業課の組織体制の合理化により、7人を削減した。 これに加え、平成13年度の上半期を目途に経営合理化計画を策定し、計画的に経営の合理化を図ることとしている。 |
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(3) | 料金収受業務の監督業務等の合理化 |
(勧告) |
国土交通省(建設省)は、首都公団に対し、営業管理所等が所掌する料金収受業務の監督業務等について、営業管理システムの変更等による合理化を行い、営業管理所等を廃止するとともに、要員の合理化を行うよう指導する必要がある。 |
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(説明) |
○ | 首都公団における料金収受業務の監督業務については、収入に係る帳簿と証拠書類との悉皆照合を抽出照合に変更するなどの業務の合理化により、12営業管理所、9分室の組織・要員の合理化を図る余地 |
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→○ | 営業管理システムについては、平成14年度までに現行システムを更新する予定であり、その際に事後的な審査でも料金収受業務の監督業務等が効率的に行われるようにシステムを変更するとともに、営業管理所等の廃止を含めた料金収受業務の監督組織の見直しを実施し、要員の合理化を図る。 |
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⇒○ | 現行営業管理システムを更新するまでの間においても、平成11〜12年度に3か所の営業管理所をそれぞれ他の営業管理所と統合し、3人を削減した。 |
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3 | 業務委託等契約の適切化 |
(勧告) |
首都公団は、随意契約により委託等を実施している業務のうち、駐車場管理業務、施工管理業務のうち高速道路の改築工事の現場における業務、巡視点検業務のうち事業用不動産の定型的な保全・管理業務について、競争入札により委託等を実施すること。 阪神公団は、随意契約により委託等を実施している業務のうち、駐車場管理業務、建物清掃業務、巡視点検業務のうち事業用不動産の定型的な保全・管理業務、広報業務のうち企画立案を除く工事広報等業務、測量及び測定業務のうち現地実測、図面作成等の測量業務及び振動・騒音測定業務について、競争入札により委託等を実施すること。 また、首都公団及び阪神公団は、これらの業務以外で随意契約により委託等を実施している業務についても競争入札による委託等の推進を図ること。 |
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(説明) |
○ | 両公団の契約は、会計規程に基づき、一定の場合を除き競争入札が原則 |
○ | 両公団は、建設、維持修繕及び料金収受業務について、小規模案件、緊急案件等を除き、競争入札とすること(「特殊法人等の整理合理化について」(平成9年12月26日閣議決定))。 |
○ | 随意契約により委託等を行っている業務の一部を調査した結果、首都公団の駐車場管理業務等3業務、阪神公団の建物清掃業務等5業務については、全部又は一部について随意契約の相手方以外の者でも施行可能であり、競争入札が適当 |
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〔首都公団〕〔阪神公団〕 |
→○ | 駐車場管理業務等指摘のあった業務については、競争入札による委託等を実施することとした。 |
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→○ | また、勧告で指摘された業務以外で随意契約により委託等を実施している業務については、競争入札による委託等の推進を検討中である。 |
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⇒○ | 随意契約により委託等を実施している業務について、競争入札による委託を推進している。 |
【具体事例】 |
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首都公団: | 軸重カメラ運用業務(平成11年度から) |
阪神公団: | 土木関係の保守定期点検業務(平成12年度から) |
建築機械設備(軸重計)の保守点検業務(平成12年度から) |
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(勧告) |
阪神公団は、営業管理システムに係る業務委託について、業務内容に即し真に施行能力のある者と契約を行うこと。 |
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(説明) |
○ |
営業管理システムに係る業務委託について、施行能力を有する民間会社が複数存在するものの、関連法人と随意契約。同法人は、同内容の契約で民間会社に再委託 |
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〔阪神公団〕 |
→○ |
営業管理システムに係る業務委託については、業務内容に即し、平成11年度から競争入札により施行能力を有する民間会社と契約することとした。 |
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(勧告) |
首都公団及び阪神公団は、料金収受業務の委託に係る指名競争入札について、入札参加機会の拡大を図る観点から、現場代理人の資格要件の緩和について検討すること。 |
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(説明) |
○ |
両公団の料金収受業務の委託については、入札参加希望者は、有料道路の料金収受業務の管理・監督職の経験者を現場代理人として確保しない限り、料金収受業務の委託に係る指名競争入札に参加できない状況 |
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〔首都公団〕〔阪神公団〕 |
→○ |
現場代理人の資格要件の緩和を検討中である(平成12年度に実施する料金収受業務の競争入札から適用予定)。 |
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⇒○ |
現場代理人の資格要件について、有料道路における料金収受業務の管理・監督の経験者に駐車場会社等同種業務の管理・監督の経験者を加えるとともに、管理監督経験年数を「過去5年間に2年以上」から「過去2年以上」に緩和した。平成12年度の競争入札から同資格要件を適用している。 |
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4 | 組織・要員の合理化 |
(1) 組織の合理化 |
(勧告) |
国土交通省(建設省)は、首都公団及び阪神公団に対し、経営合理化の観点から、組織体制をより効率的なものとするよう、指摘した出先機関の統合等及び本社の課組織の廃止等の組織の合理化を図るよう指導する必要がある。 |
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(説明) |
○ | 首都公団の湾岸線建設局と神奈川建設局については、今後の新規路線の事業化に伴う業務量を勘案しつつ両局の統合等の組織の再編・合理化を図る余地 |
○ | 阪神公団の神戸第一建設部と神戸第二建設部については、所掌事業の進捗状況を踏まえ、両部の統合を図る余地 |
○ | 首都公団の東京第一管理部と東京第一保全部については、速やかに統合後の移転先の選定等の条件整備を行い、両部の統合の円滑な実現を図る余地 |
○ | 首都公団の本社経理部管財課については、阪神公団が同内容で同程度の業務量を独立した課を設置せずに問題なく処理している状況からみて、廃止する余地 |
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〔首都公団〕 |
→○ | 勧告で指摘された出先機関の統合等及び本社の課組織の廃止等の組織の合理化を図っていくこととする。 |
⇒○ | 勧告を受けて次のとおり組織の統廃合を進めている。 |
| ・ | 平成13年度に湾岸線建設局と神奈川建設局を統合(これにより19人を削減) |
| ・ | 東京第一管理部と東京第一保全部の統合に必要な条件整備を進めてきた。今後、適地を選定し次第、両部の統合を速やかに図る。 |
| ・ | 平成12年度に本社経理部管財課を廃止(これにより2人を削減) |
〔阪神公団〕 |
→○ | 勧告で指摘された出先機関の統合等の組織の合理化を図っていくこととする。 |
⇒○ | 平成13年度に神戸第一建設部と神戸第二建設部を統合(これにより30人を削減) |
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(2) | 要員の合理化 |
(勧告) |
国土交通省(建設省)は、首都公団及び阪神公団に対し、経営合理化の観点から、指摘した組織を含め組織全般について業務量に対応した要員配置となるよう見直しを行い、要員の合理化を図るよう指導する必要がある。 |
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(説明) |
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○ | 首都公団本社の組織の中には、基本的な業務指標を基に、同内容の業務を所掌している阪神公団の組織と要員1人当たりの業務量を比較すると、阪神公団の組織の業務量を下回っているものあり(経理部契約課、工事検査担当調査役等)。 |
○ | 両公団の出先機関の組織の中には、同種の業務を所掌する組織間で要員1人当たりの業務量を比較すると、他の組織の業務量を下回っているものあり。 |
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首都公団: |
建設部・局の環境対策課、工事課等、管理部の経理課、交通管理課等 |
阪神公団: |
建設部の工事第一課等、管理部の道路管理課等 |
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〔首都公団〕〔阪神公団〕 |
→○ | 業務量により的確に対応した要員配置となるよう見直しを行い、要員の合理化を図っていくこととする。 |
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⇒○ | 指摘された組織を含め組織全体について要員の合理化を進めている。 今後とも業務量により的確に対応した要員配置の見直しを行う。
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【要員の合理化の状況】 |
首都公団: |
指摘された組織について、平成9年度から13年度の間に31人(10年度2人、11年度8人、12年度13人、13年度8人)を削減 上記を含め、平成9年度から12年度末までに88人を削減 |
阪神公団: |
指摘された組織について、平成9年度から13年度の間に13人(9年度1人、10年度2人、12年度1人、13年度9人)を削減 上記を含め、平成9年度から12年度末までに33人を削減 |
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