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国民年金業務の適正化
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第1号被保険者の適用の促進
国民年金の第1号被保険者は、国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、被用者年金の被保険者・組合員及びその被扶養配偶者を除いた者
第1号被保険者は資格取得時に届出が必要。しかし、これが励行されていないことから、厚生省は、市区町村に対し、第1号被保険者に対する適用勧奨や認定適用を行うよう指導
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平成8年度末現在、第1号被保険者 1,936万人、未適用者数(推計) 158万人、未適用者率 8.2% |
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厚生省は、未適用者の把握に、基礎年金番号(9年1月導入)を含む被保険者ファイル未活用 |
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25年以上公的年金に加入していない者には、基礎年金は支給されず
厚生省は、25年以上の加入期間を満たすことが見込まれない者にも当然適用すべきとの見解。しかし、加入期間が不足し基礎年金そのものの受給権は発生しない者が、少なくとも4万人存在。これらの者に対し何らかの適切な措置が必要。これにより適用促進の効果もあり |
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<勧告要旨>
- 基礎年金番号を付した被保険者ファイルを活用することにより、全国的に第1号未適用者を把握するシステムを開発し、これに基づき、年金適用を的確に実施すること。
- 適用しても加入期間が不足するため基礎年金の受給権が生じない者について、特例的に保険料納付期間に応じた減額年金を支給する制度を導入することについて検討すること。
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(2) |
保険料納付の徹底等
国民年金保険料の納付期限は翌月末。現年度分は市区町村に、過年度分は社会保険事務所に納付過年度保険料滞納者に対しては、督促を行い、なお納付しない場合には滞納処分可
督促を行わない限り、保険料は納付期限の翌月から起算して2年を経過したときは時効にかかる
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現年度保険料の全国の納付率(検認率)は、近年、年々低下し8年度は82.9%
保険料の時効消滅額は、毎年増加し、8年度 4,703億円(8年度保険料徴収額の24.5%に相当)
- 保険料納付は都市部が低調。検認率が著しく低いものや急速に悪化している市区町村あり
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保険料の納付督励措置は不十分
- 調査した市区町村においては、検認率の低下原因に対応した適切な対策を実施せず
- 調査した社会保険事務所においては、滞納処分の実施例なし
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第1号被保険者となるべき者のうち、結果的に保険料を納付していない者は3分の1超(未適用者8%、免除者16%、全期間未納者10%)。このような状況は公正・公平を害し、国民年金制度に対する信頼を損なうとの意見多数 |
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検認率の低調は、個々の被保険者が自ら保険料を納付する現行の仕組みの限界に起因する面あり |
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<勧告要旨>
国民年金の保険料徴収の確保の観点から、納付方式並びに納付確保のための手続及び執行体制に関し、抜本的な見直しを行うこと。また、当面、次の措置を講ずること。
- 都道府県に対し、検認率の低い地域等について地域の特性に応じて原因分析を実施し、これを踏まえ、効果的な保険料収納対策を実施するよう指導すること。
- 社会保険事務所において、未納者に対する納付督促の的確かつ効果的な実施を図り、納付督促に応じない者については法令に定められた滞納処分手続を厳正に実施するよう、都道府県を指導すること。
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学生の保険料納付の在り方の見直し
20歳以上の学生については、従来は任意加入制であったが、在学中に生じた障害に対する年金給付の保障や満期(加入期間40年)基礎年金の確保などを目的として、法を改正し、平成3年度に第1号被保険者としての加入を義務付け。学生に係る保険料の納付義務者は本人及びその世帯主
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学生に係る保険料は親が負担している実態(保険料納付学生のうち9割以上は親が負担) |
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国民年金が適用されるべき学生のうち、免除者31%、保険料未納者10%、未適用者11%と、半数以上の者が保険料を支払っていない実態あり |
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通常収入のない学生に保険料納付を義務付け、実質的に親に保険料を負担させることとなる仕組みに疑問を呈する有識者あり |
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<勧告要旨>
第1号被保険者であって収入のない学生について、例えば在学期間中は一律に保険料納付を猶予する仕組みの導入を検討すること。 |
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