平成9年度さわやか行政サービス改善評価調査結果の概要

−高齢者、身体障害者等に対する行政サービスを中心として−

平成10年4月20日
行政監察局

【調査実施の背景】

o  政府は、公務員の行政サービスの向上に対する意識を徹底し、国民の立場に立った親切で真心のこもった行政を実現するため、各省庁及び特殊法人はもとより、地方公共団体の協力も得て、さわやか行政サービス運動を全国的、持続的に展開
o  総務庁は、この運動を推進するため、平成9年度は高齢者、身体障害者等に対する行政サービスを重点に実地調査とアンケート調査を実施

【実地調査】

〈調査方法〉
 18都道府県に所在する国等の372の窓口機関、公共施設(病院、駅など)における身体障害者駐車場、点字ブロックなどの施設・設備の整備状況について実地に調査
〈調査結果〉

〇 高齢者、身体障害者等に対する行政サービスの実施状況

 国等の窓口機関、公共施設におけるバリアフリー化はいまだ十分進んでいるとは言えず、必ずしも高齢者、身体障害者等が利用しやすい状況になっていない。
 今後、国等においては、今回の調査結果(アンケート調査結果を含む。)を参考に点検を進め、一層のバリアフリー化の推進が必要
  1.  身体障害者用駐車場(405か所を実地に調査)
    整備済み:192(47.4%) 未整備及び不十分:213(52.6%)
    《不十分な例》駐車スペースの幅員が狭く、自動車からの車いすの乗降に支障
  2.  点字ブロック(321か所)
    整備済み:78(24.3%) 未整備及び不十分:243(75.7%)
    《不十分な例》点字ブロックに従って歩行するとドアに衝突するおそれ
  3.  身体障害者用トイレ(395か所)
    整備済み:234(59.2%) 未整備及び不十分:161(40.8%) 
    《不十分な例》便房の入口が狭隘
  4.  エレベーター(320か所)
    整備済み又は不要:200(62.5%) 未整備及び不十分:120(37.5%) 
    《不十分な例》エレベーター内に点字表示がない
  5.  スロープ(405か所)
    整備済み:301(74.3%) 未整備及び不十分:104(25.7%)
    《不十分な例》急勾配となっているため、車いす使用者等の利用に支障
 要改善事項については、当庁が現地において措置を要請済
 特に検討を要する事項【点字ブロックの色彩及び形状】
  •  点字ブロックの色彩及び形状が統一化されていないため、国等の窓口機関、公共施設では多様な色彩、形状(調査において把握したもの約40種類)が使用され、視覚障害者のスム−ズな歩行を妨げる要因
     視覚障害者団体等からも、点字ブロックの色彩及び形状の統一化を望む意見あり
  •  点字ブロックの色彩及び形状の統一化について要検討

【高齢者、身体障害者に対するアンケート調査】

〈調査方法〉
o  18都道府県の高齢者、身体障害者3,672人に対し、利用した窓口機関等の行政サービスに対する印象等についてアンケート調査を実施
o  印象が良かった点、悪かった点を当庁が示したアンケート項目(「案内表示・案内標識の分かりやすさ」、「トイレの使いやすさ」等窓口機関15項目、公共施設15〜21項目)から選択・回答
 有効回収率 61.7%(調査票配付枚数:3,672枚、有効回収数2,266枚)
〈調査結果〉
【窓口機関】(郵便局、税務署、市町村役場等8機関)〔単位:人・箇所、以下同じ。〕
「良かった」と評価した人が多かった項目
  • 「応接態度、言葉遣いの印象」
    高齢者−−−−361/428(84.4%)
    肢体不自由者−755/945(79.9%)
    視覚障害者−−625/854(73.2%)
    聴覚障害者−−436/721(60.5%)
「悪かった」と評価した人が多かった項目
  • 「案内表示・案内標識の分かりやすさ」
視覚障害者−−397/529(75.1%)
  • 「駐車スペースの確保及び安全や便利さ」
    肢体不自由者−315/413(76.3%)
    聴覚障害者−−191/259(73.8%)
  • 【道路】(国道、高速道路等5施設)
    「良かった」と評価した人が多かった項目
    • 「案内表示、案内標識の分かりやすさ」
      聴覚障害者−−95/138(68.8%)
      高齢者−−−−25/29(86.2%)
    「悪かった」と評価した人が多かった項目
    • 「歩道・自転車道の通行の安全や便利さ」
    視覚障害者−−270/302(89.4%)
    肢体不自由者−134/162(82.7%)
  • 「立体横断施設(歩道橋など)の通行の安全や便利さ」
    肢体不自由者−86/111(77.5%)
    視覚障害者−−106/146(72.6%)
  • 【公共輸送機関】(JR鉄道、営団地下鉄、公営の鉄道・地下鉄、公営のバスの4施設)
    「良かった」と評価した人が多かった項目
    • 「応接態度・言葉遣いの印象」
      肢体不自由者−92/128(71.9%)
      視覚障害者−−134/188(71.3%)
    「悪かった」と評価した人が多かった項目
    • 「切符の購入のしやすさ」
    視覚障害者−−279/373(74.8%)
  • 「ホームの安全や便利さ」
    視覚障害者−−278/337(82.5%)
    肢体不自由者−158/208(76.0%)
  • 「FAX、電話などのコミュニケーション手段の整備、使いやすさ」
    聴覚障害者−−215/230(93.5%)