―速報のため事後修正の可能性あり―

政策評価・独立行政法人評価委員会(第5回)議事要旨

(政策評価・独立行政法人評価委員会、政策評価分科会及び独立行政法人評価分科会の合同)

 

1.日時  平成13年5月25日(金) 14時00分から16時50分

2.場所  中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
(委員会)
村松岐夫委員長、丹羽宇一郎委員長代理・政策評価分科会長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、竹内佐和子、永井多恵子の各委員
宇賀克也、田辺国昭、新村保子、雨宮肇、黒川行治、黒田玲子の各臨時委員
翁百合、木村陽子、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山本清、山谷清志の各専門委員
(総務省)
塚本行政評価局長、熊谷官房審議官、鎌田行政評価局総務課長、新井政策評価官、高野評価監視官

4.議題
(1) 各府省の政策評価の取組状況について
(2) 諸外国の独立行政法人類似制度について
(3) その他

5.会議経過
(1)  事務局より、各府省の政策評価の取組状況の概要について説明が行われ、引き続き質疑応答を行った。質疑応答の主な概要は以下のとおり。
  内閣府と総務省の事業評価の項目が一致しているのは、標準的ガイドラインにおいて示した事業評価の枠組みを前提にして両府省が実施要領を策定したということと考えられる。

(2)  財務省より、同省における政策評価の取組状況についての説明に加え、政策評価に関する意見の表明が行われ、引き続き質疑応答を行った。質疑応答の主な概要は以下のとおり。
  過重なペーパーワーク、作業の重複は避け、評価の取組みのインセンティブを阻害しないような形で基本方針を策定してほしい。
  また、総務省が政策評価を行うこととしている特別会計、補助金、政府系金融機関については、財務法諸法、特別会計法諸法を所掌する財務省も総合的な観点から見ているので、総務省が行う評価と財務省が行う評価との重複や無駄な作業を避けるように従来から総務省に申し入れ、理解を得ていると承知しているが、委員会での検討でもこうした点を踏まえてほしい。

  特別会計の政策評価における位置付けについては、財務省の所掌事務を48の目標に分類した中で、特別会計はそのうちの「公正で効率的かつ透明な財政・会計に係る制度の構築及びその適正な運営」等に含まれていると考える。財務省が特別会計制度の設置を認める前提として、事業収支が明確であるか、区分経理の必要があるか、受益と負担の関係が明確であるか等の点について審査している。

  各府省の予算要求が出てきたときに、どの程度精査し、どの程度事後的にフォローできるかについては、予算は機械的に評価結果とのリンクで決まるようなものではないが、各府省が要求時に具体的でアウトカム的な目標を掲げてくれるようになれば、次の年には実績が出てくることから、実績が上がっていないようなものはおかしいと言うことができる。ただし、昨年夏の概算要求時に試行的に各省から政策評価的な資料を出してもらったところ、具体的なターゲットを設定できている例はきわめて少なく、従来の要求書の域を出ていなかった。

  財政構造改革等についての内閣の方針変更等を財務省の総合目標にどのような時期に、どのような形で反映させていくかについては、状況がまだ動いており、6月の経済財政諮問会議での骨太の方針がどうなるかや、シーリングの動向を見極めつつ、おそらく夏までには一旦整理することになると思われる。

  民間企業の場合、一つの事業等を担当する部所は、みんなが納得した数値目標を予め持っており、結果が出ないときには、こういうリターン、マイナスがあるということを納得させる必要がある。政策所管部局においては、数値化できない目標であっても、結果が出たときに次の政策へ結果をどの程度反映させるのかということを、きちんと認識する必要がある。

  総務省を中心として策定した標準的ガイドライン等により政策評価制度を運用しているが、機械的に信賞必罰があるという仕組みにはなっておらず、また人事に直結する仕組みにもなっていない。人事とリンクしないと続かない制度になる、マネジメント上何らかのプロフィットがある形にしないと持たないという意見もあるところだが、政府全体として結論は出ていないと承知。

  目標や実施要領について比較的各府省より早めに策定・公表したところ、国会から質問されるなど、公表の持つ意味合いは大きく、目標に実態が伴わない場合には、相応のリアクションがある。これが政策の改善へのインセンティブになりつつあると感じている。

  行政管理的なマネジメントと財政的なマネジメントの分類については、ニュージーランド等の例からみて、具体的には例えば補助金の交付の仕方等について、納税者サイドから見て偏っている、使いにくい等といった金額の多寡以外の部分をみるのが行政管理的マネジメントであり、費用対効果等から見てそもそも補助金としての金を出すだけの必要性があるのか、とか使い方に無駄がないかどうか等をみるのが財政的マネジメントではないかと考えられるが、行政管理当局と財政当局がそれぞれのマネジメントを分担する棲み分けは可能と考える。

  財投機関については、コスト分析を始めているが、これはコストだけでベネフィットとの比較はされていないとの指摘があるのは承知。今後はさらに工夫していく方向。

(3)  農林水産省より、同省における政策評価の取組状況についての説明に加え、政策評価に関する意見の表明が行われ、引き続き質疑応答を行った。質疑応答の主な概要は以下のとおり。
  行政評価法案では規定が見送られていることだが、政策評価を行う際しては、信頼性のある統計や調査結果に基づくデータを活用することが重要であると認識。
  また、行政評価法案における概念とガイドラインにおける概念とで一部異なるところがあり、対応に苦慮しているところ。

  79項目の政策分野の相互関係については、食料・農業・農村基本法に則して整理しており、分野の中には縦割りのものと横割りのものとがある。一方、政策手段に着目すると横割りの見方になる部分もある。実績評価を行う場合には、分野自体を取り上げる切り口と、各分野の政策手段を取り上げる切り口とがある。分野の中には重複しているものもあり、事務量から見ても今後見直していく。

  最も大切な指標としてカロリー自給率について目標に取り上げるべきとの点については、自給率が出される時点からスケジュール的に翌年度施策への反映になじまない面があるが、達成状況と要因分析を含め、別途自給率レポートという形でまとめ、最終的には「食糧・農業・農村基本計画」の5年ごとの見直しに反映することとしている。

  各分野の評価におけるABCというランクについては、達成度が90%以上であればほぼ所期の効果が出ているのではないかと考えられること、また、達成度が50%に達しない場合には、基本計画が達成できない可能性が非常に高くなるため、90%、50%を区切りとしている。

  45億円かけて米の消費量が増えたとのことだが、これは食糧庁の政策の効果ということではなく民間の努力によるものではないか。本来民間が工夫して消費量をあげるところに政策的に補助金を出してまで政策を進めていくことには違和感がある。

  政策の手段と目標との関係についてであるが、政策手段を改廃して新しいものを考えるケースと、目標そのものを見直さざるをえないケースがある。当省の場合、政策評価を行って政策の方向、目標を改定するとの結論に至った場合には、「食料・農業・農村基本計画」の中に施策の目標が書き込んであるので、基本計画そのものの改定が必要となることもある。

  施策の評価について、事業ごとにイベント等の効果から積み上げるべきというのはもっともであり、農林水産省の第三者委員会からもそのような意見をいただいている。来年度以降サブ目標を増やそうと考えており、事務量が過重になりそうな点が悩ましいが、しっかりと取り組んでいきたい。

  農林水産省の公共事業についても産業基盤投資の一つとして適切な費用効果分析を行うべきであるし、費用効果分析について反映されたものか、つまり農家が投資するものとして適切なのか、また国が投資するものとして適切なのか、更にきちんと考えていくこととしている。

  この観点から事業評価において、公共事業のB/Cについては1.0を超えることを基準としている。また、B/Cについて単に経済的な利益だけでなくどこまで一般的経済外的な利益も入れ、例えば水田の多面的な機能をどの程度反映させられるかなどについては現在調査研究を行っているところである。昨年の与党の公共事業の見直しにも触れられているので、しっかりと検討していきたい。

  特に食品表示のような規制に関わる事業については、新規でこういう導入するときに、このくらいの費用がかかるけれどもこれくらいの効果が出るといった規制インパクト分析を行ってほしい。

(4)  防衛庁より、同庁における政策評価の取組状況について説明が行われ、引き続き質疑応答を行った。質疑応答の主な概要は以下のとおり。
  「節度ある防衛力」については、我が国の平和安全の確保のために必要な防衛力であるかどうかが基本的な判断基準であり、節度ある防衛力の自主的な整備は閣議決定された防衛計画の大綱の中で用いられている表現である。なお、輸入する防衛装備の市場価格については、すべてが秘密というわけではないので、ある程度把握可能である。

  国内の安全という点では、食料の自給やエネルギー確保といった防衛庁以外の府省の政策に関連するものがあると考えられるが、他府省の政策を含めて政策評価をすることについては、現在のところは検討していない。

  防衛庁の政策評価は難しいとのことだが、防衛庁予算は約4割が人件費であり、人材の確保、育成及び維持という観点から、実績評価を数量勘定で行うなど、ある意味簡単にできる部分もあると考える。

  防衛問題は定量的に費用と効果を出すのは難しいとは思うが、運営等で可能な部分については民営化が可能な部分がないかなど、定量化できるところは定量化して評価してほしい。

(5)  事務局より、諸外国の独立行政法人類似制度について説明が行われ、引き続き質疑応答を行った。質疑応答の主な概要は以下のとおり。
  英国のエージェンシーの在り方についての評価見直しの主体は各主管省であり、評価見直しのプロセスの中では直接に第三者機関のようなものは特に指定されていない。ただし、評価の際に第三者を活用するようなことはあり得るようである。また、評価プロセスの要所に内閣府及び大蔵省への協議とエージェンシーの職員や顧客への意見照会が行われる。

  英国農水産食料省のエージェンシーである中央研究所の主な目標の一つである運営費用の回収率について、その回収対象は農水産食料省及び他の顧客のいずれをも対象とすることとなっているように、競争的に業務受注をしているエージェンシーは少なくないようである。

  我が国の独立行政法人が独立の法人格を有する府省外の組織であるのに対し、英国のエージェンシーは、事業会計(トレーディングファンド)形式であっても省内の自律組織であり、法人格を有していない。

  英国政府のイニシアチブの一つとして、マーケットテスティング(市場テスト)があり、サービス等の調達先の決定の際には官、民、あるいは官民のパートナーシップ等を含めて選択肢を検討し、最善のものを選択しているようである。エージェンシーの在り方の評価見直しのプロセス等にもこれが反映していると考えられる。

  英国のエージェンシーが民営化した場合、実態としては、政府との契約関係による受注は依然として続いているが、コストの中に資本調達コストを計上し、時価的ベースでコストを計算することで民間と同等の競争条件を確保し、それによって契約価格を決定している。

  英国内閣府の説明によれば、英国のエージェンシーのモニタリングには、各省所管のエージェンシーに対して適切に目標が設定されることを確保する観点から、大蔵省及び内閣府が組み込まれている。このように、枠組文書とそれに基づくモニタリングシステム等有している点で、他の省内組織とは運営の枠組みが異なるものと考えられる。

  英国のエージェンシーにおける目標設定状況とその実施結果には、当委員会として独立行政法人を評価するに当たっての示唆があると考えられる。

  独立行政法人の業務指標は、不明瞭にならないようできるだけ定量的な目標のウェイトを高めていく必要がある。

(6)  次回は、6月22日(金)14時から、開催予定。

以上

(文責:総務省行政評価局)