―速報のため事後修正の可能性あり―

政策評価・独立行政法人評価委員会(第7回)議事要旨

(政策評価・独立行政法人評価委員会、政策評価分科会、独立行政法人評価分科会の合同)

 

1.日時  平成13年7月27日(金) 14時00分から16時30分

2.場所  中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3.出席者
(委員会)
村松岐夫委員長、丹羽宇一郎委員長代理・政策評価分科会長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、
樫谷隆夫、竹内佐和子の各委員
宇賀克也、高木勇三、田辺国昭、新村保子、雨宮肇、黒川行治の各臨時委員
木村陽子、中山正邦、吉野直行、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山本清、山谷清志の各専門委員
(総務省)
塚本行政評価局長、熊谷官房審議官、鎌田行政評価局総務課長、新井政策評価官、讃岐評価監視官ほか


4.議題
(1) 各府省の政策評価の取組状況(先行的分野)について
(2) 行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画(8月着手分)について
(3) 独立行政法人の中期計画及び年度計画等について
(4) その他

5.会議経過
(1)  議事に先立ち、事務局の人事異動についての報告があった。
(2)  国土交通省より、政策評価全体の取組及び公共事業評価の取組について説明が行われ、質疑を行った。質疑の主な概要は以下のとおり。
  昨年発表された新規着工の整備新幹線における費用対効果に関し、総便益の計算期間、総費用の内訳、建設費の負担割合、すでに開業している東北新幹線等の効果についての検証等に関して説明があった。
  再評価の実施手続では、補助事業については地方公共団体が対応方針を考えることになっており、そのためには地方公共団体が事業評価等を十分理解していることが必要であるため、地方公共団体との会議の場で説明したり、地方公共団体に出向いて説明を行う「出前講座」を実施したりしている旨の説明があった。
  個々のプロジェクトの費用対効果分析をいくら精緻化しても本質的な議論にならない。公共事業全体で必要な量が確保されているか、今後どれぐらい投資すべきかといったマクロのレベルで議論することが必要であり、国民の関心もその点にあるとの指摘があった。
  公共事業について、府省間の利害調整という視点でのレビューが行われる予定や仕組みがあるのかとの質問に対し、基本的には政策調整を行っていくほか、関係府省で組織する公共事業の実施に関する連絡会議がある等の説明があった。
(3)  事務局より行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画(8月着手分)について説明が行われ、質疑を行った。質疑の主な概要は以下のとおり。
  政策評価の場合、政策目標の達成度合いが評価の重要な指標になるため、政策変更の効果を見る場合、変化の度合いだけではなく、当該政策変更のそのものの目標をまず把握し、その目標に対して変化がどれだけ近づいたのかを見る必要があるとの指摘があった。
  検査検定の基準が時代に合わなくなっており、財産の保護を目的とした法律が実際に役に立っていないという状況の下にある政策や当該法律そのものについて評価を行い、新しい提案をしていくためには、評価を行うスタッフに技術的な専門性や問題意識の明確性が求められるとの指摘があった。
  検査検定制度のような社会的規制について評価を行う場合、他の国でもその効果について定性的な形でしか分析できないことが多く、このような定性的な分析結果をどのように比較するかをあらかじめきちんと考えるべきであるとの指摘があった。
  今般の行政府が行う政策評価では、「この検定は(法律に基づく制度ではあるが)そもそも要らないのではないか」といったところまで踏み込んだ評価結果を出しうるのかとの質問に対し、社会経済情勢の変化に対応していないとか、費用に見合った効果が発現していないといった実態が明らかになった場合には、検査検定の必要性にまで踏み込んだ上で評価結果を出すことはあり得るとの説明があった。
  障害者の就業対策について評価を行う場合、施策の基になっている新長期計画や障害者プランにまで遡って評価を行うこともありうるとの説明があった。また、評価に当たっては、1)景気要因や地域要因など様々な要因の寄与度を考えるべき、2)差別の問題やバリアフリーの問題などについて障害者の就業の障害になっている要因を明らかにするための設問も含めるべき、3)障害者が働く現場に障害者を支えられる理解者がいるかといった視点からの設問も重要であるとの指摘があった。
(4)  事務局より独立行政法人の中期計画及び年度計画等について説明し、質疑を行った。委員からの指摘等の主な概要は以下のとおり。
  中期目標や中期計画等の中で「経常経費1パーセント前後の効率化」という目標が設定されているものが多く見られるが、民間の常識では低すぎて意味をなさない。そうした甘い目標を前提に評価を行うのでは十分な評価を行い得ない。そもそも目標自体の妥当性についても何らか触れるべきではないか。
  独法の中期目標、中期計画について、同種類似の調査研究業務等を行う民間企業等が達成している水準との比較やベンチマーキングが必要ではないか。
  そもそもその独法がなかったらどうであるか、また、同じような業務を行っている法人がある場合、相互にどのくらい競争原理が働いているかという観点からの評価も必要ではないか。
  そもそもなぜ独法なのかということを考えると、効率化のためのインセンティブが付与されていることも重要な点であり、その観点からは受託収入など自己収入拡大のためにいかなる目標が設定されているか等にも着目する必要がある。
  例えば論文件数のような数値目標について、件数だけは達成しても内容が十分でなくなるというような事態も想定される。評価に際してはこうした点もよく考えなければならない。
  中期目標等に関し、コスト削減という一方で当該独法の本来の使命が十分果たされていくための目標が適切に設定されているかについても見ていく必要がある。
  中期目標等における定量的目標等がどのような積み上げ方または裏付けによって作成されたのかについて調べる必要がある。
  「抽象的な目標・計画であるため十分な評価が行い得ない」という評価もあり得るのではないか。
  単に中期目標、中期計画等だけを見てもその法人のどこがどう変わっていくのかということがわからない。そのような点もよく理解した上で評価を行う必要があるのではないか。
(5)  次回は、9月28日(金)14時から開催予定。


以上

(文責:総務省行政評価局)