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独立行政法人制度を創設した理念は、国民に対して優れたパフォーマンスを最低のコストで提供するために、最大限の自由度を持たせる代わりに、パフォーマンスをきちんとチェックするというダイナミックな点にある。説明のあった案については、基準に従っているかどうかという官僚統制的な表現のトーンが強くなっており、独立行政法人制度本来のダイナミックな理念や趣旨が見えなくなるおそれがあるので、書き方の工夫が必要。
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独立行政法人は、国民、納税者の立場から考えると、主務大臣等による事前の関与が制限されているという意味で、立法府を通じた民主主義的な統制もかかりにくく、また、民間企業と違い市場メカニズムによる統制も効かない。言わば、それに代わりパフォーマンスをチェックするものとして各府省の評価委員会があり、その各府省評価委員会の評価がきちんと行われているかどうかについて当委員会が後ろ盾としての役割を果たすという仕組みである。このようなことを考えると、民主主義的な統制という見地からは、厳格であることが重要。
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独立行政法人制度の基にあるNPMの考え方は、組織に運営上の裁量を与える代わりに、成果やアウトプットで管理をしようというものであるが、裁量を与えずにがんじがらめの運営の下で成果だけを評価することは、NPMの効果をないがしろにするもの。統制を厳格にして当委員会としての評価の基準を明確にすることは必要なことであるが、その前提として、主務大臣や財政当局から過度の関与がないことが必要であり、その趣旨を一般論として盛り込むことが必要。
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いわゆるベンチマーキングの手法については、機械的な比較ではなく、その組織のパフォーマンス向上のために最善のベンチマーキングを組み立てることが重要。横断的に評価結果を見る場合にも、ベンチマーキングが本当に有効なものとなっているかという視点によることが必要。
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評価の結果が良いパフォーマンスに結び付いているか、例えば、中期計画を5年の期間の途中で見直した場合、それがどのように業績に結び付いているかについても、見ていくことが必要。
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各府省評価委員会の評価の結果、中期計画の見直しも行われ得ると考えられるが、当委員会としてどのように考えるのかについても議論しておくことが必要。
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各府省評価委員会の評価結果が、「公正妥当な評価であると認められるために必要と考えられる水準」を満たしていると言い得るためには、各府省評価委員会が設定する評価基準を横断的に考えてみた際に、ある一定のレベルが確保されていることが必要。
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各事業年度の評価と中期目標期間終了時の評価とでは、結果の利用という点から考えると、求められる情報の質に違いがある。前者は基本的には次年度の業務運営等に利用されるものであるが、後者は次期中期目標や中期計画の策定等に利用されるものであり、そうした見方や利用のされ方の違いを反映した評価が行われるよう、当委員会としての考え方を示すべき。また、「主要な事務・事業の勧告」についても、中期目標期間の評価をベースにして行うものと考えられ、その点の記述を工夫すべき。
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