―速報のため事後修正の可能性あり―

政策評価・独立行政法人評価委員会(第15回)議事要旨

(政策評価・独立行政法人評価委員会、政策評価分科会、独立行政法人評価分科会の合同)


日時    平成14年4月26日(金)1400分から1620

場所    中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

出席者
(委員会)
  村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、竹内佐和子の各委員
宇賀克也、金本良嗣、高木勇三、田辺国昭、新村保子、雨宮肇、黒川行治、松田美幸の各臨時委員
翁百合、木村陽子、吉野直行、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山本清、山谷清志の各専門委員
(総務省)
  若松副大臣、塚本行政評価局長、広瀬審議官、橋口行政評価局総務課長、新井政策評価官、讃岐評価監視官、塩谷評価監視官、石川政策評価審議室長 ほか

議題
(1)   行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画の審議(「経済協力(政府開発援助)に関する政策評価」)
(2)   客観性担保評価に関する審議
(3)   平成14年度予算編成等への政策評価の活用状況の説明

会議経過

(1)   事務局より、行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画(「経済協力(政府開発援助)に関する政策評価」)に関して説明が行われた後、審議を行った。審議の概要は以下のとおり。

   現在の日本の経済情勢を踏まえ、ODAが日本に対し長期的にどのような効果を有するかという観点を含めて評価してほしい。また、世界銀行等の国際機関が行う途上国援助との調整についても考慮すべき。評価の手法に関しては、インタビューの対象となる集団の選択やミクロな面における客観的なデータの収集が課題。
   各府省による個別のODA評価に対し、総務省の評価の意義は、全体として一括して評価を行うところにあり、その点を見失わないようにするとともに、総務省の評価は、作業量が膨大となるため、すべてではなく、代表例をとりあげる方法について検討すべき。
 各国について総合的に見るということであれば、総合性の中に二国間のみならず多国間の援助も含めるべき。また、ODAが自助努力支援であることを踏まえると、各国の返済状況も評価の大きなポイント。
 総務省の評価は、各府省にインパクトを与えるものでなければならず、そのためには、目的をより明確にし、戦略的に行うことが必要。
   ODAに関しては、何を判断基準とするかが重要。有償資金協力という援助形態が途上国の現状に合っているか、援助のハード面からソフト面への移行が必要ではないかなど、様々な切り口を検討すべき。
   外務省が検討している政策レベル、プログラムレベルの評価等を手がかりに、本調査と各府省によるプロジェクト評価との違いを検討すべき。また、各府省横断的な視点が必要であり、評価に際しては、政府レベルでの政策とは何かを念頭におくべき。
   各府省を横断する軸が必要であり、分かりやすい横の指標をとって、各府省の政策の整合性等を見ていくことが必要。
   ODAに代替しうる一つの方法として、CDM(クリーン開発メカニズム)があり、この分野で先進的なオランダにおいては国レベルで総枠を決定している点が参考となる。また、「政府全体」という点に関して、各府省が困っている点もヒアリングしてほしい。
   会計的見地から、資金の回収可能性も評価の対象に入れてほしい。

(2)   事務局より、客観性担保評価に関して説明が行われた後、審議を行った。審議の概要は以下のとおり。

   客観性・厳格性の確保に関しては、政府レベルの評価の基準がないこと、省や分野によって費用便益分析等の評価の手法やマニュアルにばらつきがあること、事業全体のコストを正確に把握することが難しいこと等の問題があり、早急な対応が必要。
   日本の評価では数字が一つしか出ないが、非常に不自然であり、その信頼性についての根拠がない。近年評価の専門家の間では、幅を持った評価値を出すということが議論されており、客観性を担保するためには、幅がどの程度かという情報も付け加えて出すことが必要。
   評価に要したマンパワー及びコスト、政策評価担当者のスキル、部外者のデータへのアクセス可能性等の項目は、最低限評価書に盛り込まなければならない。また、再評価を要するものとしては、府省間に利害対立があるもの、効果の有無が未確定な政策について特定府省が判断を下したもの等が挙げられる。さらに、当委員会の委員が、各府省の政策評価に関与しているような場合に、どのように当委員会の中立性を保っていくのかが問題。
   評価の結果だけではなく、結果へ至るプロセスを含めて、各府省の評価の客観性を担保していってほしい。
   実績評価において各府省が数値目標を設けなかった場合、総務省が事後的に目標設定について意見を言う形で全体の質の向上を促すようにすべき。
   各府省の政策評価は、「政策目的は国民や社会のニーズに照らして妥当」という方向にバイアスがかかりがちであるため、総務省が、行政関与の在り方から見て行政が担う必要があるかについて各府省が説明責任を果たしているか否かをチェックしていくことが必要。
   もっと早く実施すべきであったのに実施が遅れたような場合及び民間に任せられるにも関わらず政府が関与したような場合にどのような評価を行うのか検討が必要。また、短期と長期で政策効果の発現状況が異なることもあり、どれくらいの期間で政策を評価するのか考慮が必要。
   各種統計の改訂においては、政策評価という視点からの検討が十分でないため、一年目の評価が出揃ったところで、統計審議会や各省庁の統計部局等に、定量的評価に見合ったような統計の整備について注文してはどうか。
   客観性担保評価の実施に際し、ネガティブリストの用意も必要。また、評価の責任の所在についても何か踏み込んで言えることがあるか、考慮が必要。
   事前評価に関し、予測値と実績値が乖離する場合、その理由の明記を義務付けることが重要。
   客観性の担保に走りすぎて、現場がよりよい仕事をしていくインセンティブを失わないよう配慮することが必要。また、政策の根本戦略を共有することなしに、外部の専門家が客観性担保について議論を進めるような事態は避けるべき。
   対象政策にもよるが、客観性担保評価の前提として、政策評価の観点の相互関係を整理することが必要。

(3)   財務省より、平成14年度予算編成等への政策評価の活用状況について説明が行われた後、質疑応答を行った。質疑応答の概要は以下のとおり。

   政策評価について我々は例えば評価の観点というのは必要性、有効性、効率性という言葉を使っているが、予算あるいは税という観点で考えられる評価の観点とはずれがあるように感じるが、予算当局としてどのように整理しているかとの質問に対し、評価の観点についてはある程度共通認識があり、それほど大きな違いがあるという感じは持っていないとの説明があった。
   政策評価を有益にするにはどのようなことをすべきかとの質問に対し、政策評価は始まったばかりであり確定的なことは言えないが、ポイントは数値化でありその数値化をできるだけできるようにするというところに持っていくまでのところがまだまだこれからではないかと考えるとの説明があった。
   コストの計算をどうしたらいいのか、各省それぞれ比較的使いやすい資料でコストを計算してしまうのではないか心配しているが実際にコスト分析をされてどう感じたかとの質問に対し、コストの計算は確かにポイントである。現在は発生主義型の予算ではないが、膨大な額を国債で調達していることからその調達費用とか公共事業等の後年度の補修費等の負担といったものも単年度には要求が出てこなくとも勘案するという考えが将来的にはありうると思う。現在は現金を積み上げたコストを中心として査定を行っているとの説明があった。

(4)   次回は、5月24日(金)14時から政策評価分科会及び独立行政法人評価分科会、15時30分から本委員会と両分科会の合同会議を開催予定。


以上

(文責:総務省行政評価局)