―速報のため事後修正の可能性あり―

政策評価・独立行政法人評価委員会(第23回)議事要旨

(政策評価・独立行政法人評価委員会、政策評価分科会、独立行政法人評価分科会の合同)


日時    平成15年2月28日(金)1400分から1530

場所    中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

出席者
(委員会)
丹羽宇一郎委員長代理、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、竹内佐和子、永井多恵子の各委員
高木勇三、田辺国昭、新村保子、黒田玲子、松田美幸の各臨時委員
翁百合、木村陽子、田中常雅、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁の各専門委員
(総務省)
田村行政評価局長、柚木官房審議官、橋口総務課長、新井政策評価官、讃岐評価監視官、水野政策評価審議室長、安治川評価監視企画官 ほか

議題
平成15年度行政評価等プログラムにおける政策評価テーマ等についての審議

会議経過
 
(1)    事務局より、平成15年度行政評価等プログラムにおける政策評価テーマ等について説明が行われた後、審議を行った。審議の概要は以下の通り。
   政策評価を予算に反映する場合に、前年度の政策評価の結果が出る時期との関係で、時間軸をどのように考えるのか。
   予算と政策評価のつながりには、府省内でのリンクの問題と、財務省とのやり取りの中でのリンクの問題の二つがあり、また、各府省の政策評価担当官レベルのみならず、マネジネント・レベルにも政策評価と予算とのリンクについて意識を浸透させることが重要。今後どのように取り組むのか。
   政策評価の対象として何を迅速に行うべきかについて、目標が見えにくくなっているのではないか。会計・予算とのリンク等お金の流れを見たいのか、制度・組織の効率性を見たいのか、あるいはプライオリティーの高いところに政策的効果が現れているかどうかを見たいのか。
   公的部門全体として、問題意識を持ってから行動するまでの時間がかかりすぎる。また、技術的・制度的に解決できるもの等について、何をしたいのか不明確であり、メッセージ性がない。
   ニュー・パブリック・マネジメントに対する期待の高さと現実のギャップを埋めるべき。政策評価は、行政の目的を絶えず明確に意識することが必要。客観性担保評価においても、単に書類や手続を見るのみでなく、各府省において政策目的が明確に認識され、意識改革が進んだかという点まで含めて評価していくべきではないか。
   政策評価の焦点がどこにあるのか疑問。行政の立場から評価するのか、国民の立場から評価するのか。統一性や公平性は、国民の側から見た説得材料が必要。施策の上位テーマが何かまで議論をして、焦点を合わせた評価をすることが必要。
   今までの政策評価を見ると、政策に要したトータルのコストを把握できていない。その中でどのように予算に反映するのか、反映するとしても感覚的なものになりはしないか疑問。費用、効果を把握する仕組み、ノウハウがないので、ワーキング・グループで検討することにより、予算への反映にもつながるのではないか。また、「予算への反映」といっても、どの段階の予算なのか、地方自治体も含むのか不明確であるので、具体的に特定し、どのように改善されたかを見るべき。
   「予算への反映」という場合、評価結果がよくなければ予算を減らすという方向とともに、必ず行うべき政策であるなら予算を増やすという方向も評価の中に体系的に組み込まれているのか。国民の必要性があり、効果がでていない場合にも予算をつけるべき政策目標なのか否か等、政策目的のプライオリティを評価全体のどこに位置付けるのか。
   政策評価を行う際には、政策が悪かったのか、実行が悪かったのか、実行で悪かった部分はどこなのかの原因究明が必要。今までの政策評価はそこまで突っ込んだものとなっていないのではないか。
   「評価のための評価」には価値がない。評価の信頼性向上のためには、評価の精度を上げることが火急の課題であり、研究会を設けることは必要。また、原因分析に加え、責任の問題にどこまで踏み込んで評価できるかも一つのポイント。
   政府が失敗する状況が明確になってきているといった中で、公的部門が信用性を「担保」できるというのは認識が甘いのではないか。各府省が行ったことに対して、極めて高い担保価値を付加するだけのツールはないのが現実。「公的部門が国にとってマイナスをもたらさないためにはどうしたらよいか」という点が最大のテーマであり、このマイナスを最小にすることについての問題意識を議論の中ではっきりさせるべき。
   予算編成プロセスとのリンクを強調することは、危うい部分もあるので注意が必要。具体的には、政策評価でいう「費用」概念と、国の予算という意味での「費用」とは異なり、予算編成プロセスに集中されると、規制が政策評価から落ちる恐れがある。他方、規制インパクト分析はかなり手法が確立しており、短期的に成果を出すことが可能ではないか。
   予算とのリンクを考える際には、新規の政策の評価の情報をいかに活かすかという点、政策評価のフレームを用いて予算をゼロベースで見直す仕組み(いつ、何を、誰のイニシアティブで見直すか)をどのように作るかという点につき、当委員会の議論を通じてフレームを構築していくことが必要。
   コストを把握するフレーム、見直しの単位と基準、全体をテーマにより横並びで見直す仕組みについての作業が必要。見直し・再評価のタイミングと枠組みを制度的に構築することが検討課題。
   諸外国における政策評価導入の背景として、財政問題やその経済的環境があることを考えると、政策評価のプライオリティは、財政問題に対する施策や経済的不況を脱するための施策というところにあるのではないか。
   また、政策評価については、諸外国の例を見てもそれなりの高い成果を出すには時間がかかっている。日本では、評価及びその基礎となる会計の議論自体が緒についたばかりであり、迅速に取り組む必要があるが、段階を踏んでいくことを考えるべき。米国のGAO,英国のNAOの手法も参考にすべき。
   政府部内において政策単位で評価するスキームを作り、外部からそのデータを用いて評価することが可能となる基礎ができたことは評価する。
   統一性・総合性確保評価については新規のテーマを増やさず、手法的な蓄積を図るという方向性はよいのではないか。地道に政策評価制度を育てていくことが重要。客観性担保評価と同様、総合性・統一性確保評価に関しても考え方のフレームワークを決めていくことが当委員会の一つの役割ではないか。テーマの選定がアドホックだという印象があるので、選定基準を議論するとよい。

 
(2)    客観性担保評価活動のうち、再評価等の実施の必要性の認定に関し、改めて評価が行われるべきもの等についての考え方の整理作業を行うため、ワーキング・グループを開催することが了承され、その具体的な進め方等については、次回の政策評価分科会で審議することとされた。

(3)    「リゾート地域の開発・整備に関する政策評価」について、次回の政策評価分科会で審議することとされた。

(4)    次回は、3月28日(金)1400分から開催予定。





    以上
(文責:総務省行政評価局)