―速報のため事後修正の可能性あり―
  

政策評価・独立行政法人評価委員会(第26回)議事要旨

.日時  平成15年6月27日(金)14時から1530

.場所  中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

.出席者
   (委員)
      村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、竹内佐和子の各委員
黒川行治、黒田玲子、松田美幸の各臨時委員
稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山本清の各専門委員
(事務局)
      田村行政評価局長、柚木官房審議官、橋口総務課長、讃岐評価監視官、安治川政策評価審議室長 ほか

.議題
  独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組の方針について

.会議経過
(1)    事務局より、「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組の方針」について説明が行われた後、<共通の視点>を中心に審議が行われた。意見等の概要は以下のとおり。

   独立行政法人の事務及び事業を構成要素たる活動に分解して個々の活動のコストを比較分析する旨が盛り込まれており、それ自体は重要であると考える。ただ、それのみが強調されると、個々の活動が一体となることによって相乗効果が生じている場合、当該効果が見逃されてしまうことを懸念する。事務及び事業を分解して評価する際には、分解された個々の活動が連動することによる相乗効果という総合的な視点も必要。また、真に重要で自ら行うべき事務及び事業がアウトソーシングされることのないよう配慮することは大事だと思う。
   相乗効果という視点を入れるのであれば、コスト面だけでなく質の面からの相乗効果も入れる方が整合的。
   独立行政法人の仕組みそのものから考えれば、経営の自主性を担保しながら、業務を効率化するということが前提であり、効率性の評価は重要。
   特に財務面の評価については、各独立行政法人の事務・事業間の相互比較が重要であり、相乗効果という要素を強調しすぎるあまり、財務面の定量的な比較分析が軽視され、その結果、非効率な業務の温存につながりかねないことを逆に懸念する。
   相乗効果を記述することが、非効率な業務が温存される抜け道となってはならないということは理解している。ただ、本件項目は【効率化、質の向上等に係る指標等の動向】という小見出しの下に位置付けられており、質の向上の面が軽視されないよう、やはり相乗効果も含めた質の面についても言及されるべきではないか。
   研究開発業務において、当該業務を活動に分解することにより、活動間の目に見えない相乗効果が捨象されかねないことについて懸念しているのであれば、「3.検討の視点」の柱書きに、章全体にかかわる基本的な留意点として「新しい知の創出が期待される」研究開発について画一的、短期的な観点から性急に成果を期待することとならないようにする旨の記述をしたことにより、懸念は払拭されるのではないか。
   個々の活動間の数値に現れないような相乗効果は、先端科学技術(研究開発)に特化したものではなく、他の業務についても多くあるのではないか。
   業務を構成する活動間に相乗効果があるにもかかわらず、当該業務を機械的に活動に分解し、他の法人等の業務における相乗効果が認められない活動と比較するということは、違うパフォーマンスを比較することになり意味がない。具体的な相乗効果が認められるものと認められないものでは、活動に分解したとしても比較可能ではないという理解ではないか。
   コスト等の状況が良好ということは、総合的な質、回避可能原価も含めて良好であることを意味するということを合意しておけば、あえて相乗効果について記述しなくてもいいのではないか。
   質の向上については、様々な指標が考えられるため、独立行政法人のマネージメントや委員会が個々に精査していくことが求められているのではないか。これに対し、財務面は共通的な手法が考えられるので、<共通的な視点>に具体的な手法を盛り込んだということなのではないか。
   財務面で数値を出すと、それが一人歩きしてしまうのが現状なので、相乗効果を含めた質を考慮する必要があることを本方針中の記述の中で担保する必要があるのではないか。
   独立行政法人の仕組みを考えた場合に、効率性について言えば、法人ごとに財務状況を比較するランキングのようなものがあってもいいと思う。その際、相乗効果がある場合には、あまり細かいところまで事務及び事業を分解するのではなく、ある程度まとまったものとして、トータル的にコストを評価する必要がある。
   事務及び事業の範囲がどこまでという理解は人によって違う。分解できるものは分解できる、できないものははじめから分解するべきではないということを我々の共通理解としておけばいいのではないか。
   事務及び事業を分解する際に、事務及び事業のレベルによって比較可能な同質のものを見出すことの難易度に違いがあるのではないか。
   特に、現在はまだ知的資産、サービスや研究開発の成果を比較する評価システムができていない段階。これらは今後の課題。
   事務及び事業がどこまで分解されるのかということは非常に重要。ある程度のパフォーマンスとセットとしてひとつの事業のまとまりで評価する必要があるのではないか。
   この項目が「特に、財務状況については〜」で始まっているように、当該独立行政法人のマネージメントを行う方々が自ら財務の改善、効率性の向上のため比較可能な事務及び事業を見出すことに努めることを促しているという意味合いもあることを認識することも重要。
   相乗効果の問題については、質的な面からそれが完全に捨象されてはならないということが十分に議論され、この議論が委員会で共通に認識されたと思う。質に関する評価の部分で記述できるか検討はしてみる必要はあろう。いずれにせよ、本日の議論は議事録に残すことで、その意図を明らかにしておくこととしてはどうか。

   以上の審議の結果、本案については、委員長一任の下、必要な修正を行った後、決定することとされた。

(2)    事務局より、「財務内容の改善等についての評価方法の在り方に関する研究会」の動向及び独立行政法人現地視察結果等について報告が行われた。

  以上

(文責:総務省行政評価局)