政策評価制度の法制化に関する研究会(第2回)議事概要
1.日時 | 平成12年9月21日(木)9:30〜12:00 |
2.場所 | 中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室 |
3.出席者 | (研究会) |
工藤敦夫座長、宇賀克也、塩野宏、田辺国昭、の各委員 | |
(総務庁) | |
塚本行政監察局長、堀江官房審議官、松村官房審議官、 新井政策評価制度法制化担当室長、若生政策評価等推進準備室長 |
4.議題 | ||
(1) | 当面の検討の進め方について | |
(2) | 法制化についての基本的な論点について | |
(3) | その他 |
5.会議経過 | |||
(1) | 事務局より、当面の検討の進め方について説明が行われた。 | ||
(2) | 法制化についての基本的な各論点に関して、事務局からの説明の後、出席者による自由討議が行われた。 論点と討議の概要は以下のとおり。 |
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1.) | 法制の骨格(イメージ) | ||
○ | 米国、英国では、政策評価を予算と直接リンクさせたシステムとしているが、我が国では企画・立案−実施−評価という仕組みの中での評価のシステム化があり、その上で、評価と予算との関係をどのように捉えるのかという課題がある。また、予算担当部局と評価所管部局が別であるとの前提のもとで検討したシステムであるという点も諸外国の制度とは異なる点である。 | ||
○ | 環境影響評価法やPFI法は、対象を公共事業に限定している。また、諸外国の法制で行政活動全体に義務付けしているのはいわゆる実績評価のみである。今回法制化する政策評価は対象の範囲が広く、行政の全分野を対象にしようとしているし、評価の方法についても実績評価だけでなく事業評価や総合評価も対象としようとしている。これらの点から、今回の法制化は、わが国の既存の評価法制や、諸外国においても例のない独自のものを作っていくことになるといえる。 | ||
○ | 環境影響評価法は、法律に至るまでの長い検討過程がある上、対象となる大規模事業の種類や規模といった対象範囲が明確に規定されている。一方、本法制では扱う対象も圧倒的に多く、また公共事業などの一部のものを除き、これまでの検討の蓄積がない部分がほとんどである。そのあたりをどう考慮して法制化していくかが問題。 | ||
2.) | 政策評価の概念及び対象範囲 | ||
○ | 政策評価は中央省庁等改革会議からの議論の積み重ねの結果であり、法制化にあたり評価の対象となる「政策」の範囲について整理する際には、一連の議論を踏まえたうえで整理する必要がある。 | ||
○ | 法制化の対象となる政策評価について考える場合には、政策評価とその他の執行評価等を切り分ける必要がある。「政策」の概念から整理するか、実施主体で整理するか2通りあるであろうが、「政策」の概念で整理するとなると法律の中で「政策」自体を厳密に定義することが前提であるが、実際には難しいだろう。 | ||
○ | 政策の中身を事業、施策、政策(狭義)で一律に切り分けるのは難しい。標準的ガイドラインの案においては、精緻な政策評価体系を作り上げ、そこに政策を3つのレベルに一義的に分割して割り振っていく方法は、硬直的になり実効性の面で難があるとして採用されなかった。法制化するに際しても同様に考えるべきであろう。 | ||
○ | 今回法制化を検討する政策評価は、国の行政機関が実施主体となる政策評価を対象とするものであるが、特殊法人、独立行政法人、地方公共団体等の行う評価については、今回の法制との関係でどのように位置付けるのか整理する必要がある。 | ||
○ | 情報公開法では、内閣補助機関や内閣の所轄の下に置かれている機関についても、国民に対するアカウンタビリティの観点から対象に含めるとされており、同じくアカウンタビリティを導入目的としている政策評価との関係について整合性のある整理が必要である。情報公開でいうアカウンタビリティとPlan−Do−Seeのサイクルでのアカウンタビリティとは違うということかもしれない。 | ||
3.) | 政策評価の実施方法・手続 | ||
○ | 対象範囲が広範にわたる政策評価について、評価手法や評価の観点等を具体的に法律で定めることは、政策評価のシステムが画一的、硬直的なものとなり実際に機能しない弊害の多いものになる恐れが高いという問題がある。したがって、法律では標準的な評価の手法や観点などの基本的な大枠を示すのみにとどめ、個々に政策評価を実施するに際しては評価目的や対象の性質等に応じた柔軟な実施が可能なシステムとすべきである。 | ||
○ | 計画やプログラムを評価していく際に重要なのは、個々の特質に応じてどういう評価の手法で、どういった項目に重点をおいて、どういう観点から評価するかを選定することであり、この選定自体が適切であったかどうかを方法書などを作成させ、情報を公表させて外部からチェックできるような仕組みにしておくことが大切である。 | ||
○ | 政策評価を行うにあたり必要な情報を収集するに当たって、各府省と総務省それぞれについて、情報収集のためのどのような権限を有していて、その権限で必要な情報が収集できるのかについて整理しておく必要がある。その上で、必要であれば法的な手当てについても検討していく必要があるのではないか。 | ||
(3) | 次回(第3回)研究会は9月28日(木)に開催し、引き続き法制化についての基本的な論点に関して討議を行うこととされた。討議を行う論点は、1.)評価機関の在り方(第三者機関等)、2.)評価結果等の公表、3.)国会との関係、の予定。 | ||
以上
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(文責:総務庁行政監察局政策評価制度法制化担当室)
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