勧 告: | 平成9年6月24日 |
勧告先: | 通商産業省 |
○ | 飲食料品工業、化学工業等の基礎原料として、アルコール専売事業により酒税を課さない形で供給されている工業用アルコールの安定的かつ低廉な供給を図るとともに、現行の専売制度下においても、規制緩和、官民の役割分担の見直し等を図る観点からその運営状況を調査し、関係行政の改善に資するため実施。 |
○ | 通商産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、関係事業者等を対象として、平成8年4月〜5月に実地調査を実施。 |
○ | 工業用アルコールには、発酵アルコールと合成アルコールがある。 | ||
発酵アルコール | : | 農産物を原料として戦前から生産。現在はNEDOのアルコール製造部門(7工場)にアルコール専売事業特別会計から生産委託。平成8年度から一部民間企業に製造委託再開。平成7年度販売量約15万5千kl。 | |
合成アルコール | : | 原油を原料として昭和40年から生産。民間企業2社にアルコール専売事業特別会計から製造委託。平成7年度販売量約10万3千kl。 | |
○ | 生産された工業用アルコールは、アルコール専売事業特別会計が全量収納(収納価格は総括原価方式で政府が決定)。アルコール専売法(昭和12年法律第32号)に基づいて指定された普通売捌人(日本アルコール販売株式会社1社)及び小売人( 418社)等を通じて需要者に販売(それぞれの販売価格も公共料金として政府が決定)。特別会計の事業益金は国庫納付。 | ||
○ | 現在のアルコール専売事業の目的は、工業用アルコールの酒への転用による酒税の脱税防止及びその安定的かつ低廉な供給。このため、工業用アルコールには変性措置(着色剤や芳香剤等を混入する不可飲措置)が必要とされ、上記の販売業者規制のほか、使用済申告等の規制措置もある。 |
○ | NEDOの7工場全体の稼働率は約77%。大規模工場の製造余力で小規模3工場の年間製造量を賄える状況。小規模工場の製造原価は大規模工場の約1.5〜2.7倍(約20万円/kl)。 |
○ | NEDOの工場は歴史的経緯から内陸部に所在。現在は輸入原料(粗留アルコール)等や製品の輸送に相当の経費がかかる状況。 |
○ | 平成8年度から民間企業への製造委託再開(委託率実績約1.2%)。今後拡大の余地あり。 |
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○ | 現在は原料の約0.1%を占めるにすぎない生かんしょは他の原料に比べ約4〜5倍割高。製造工程・設備も他に比べ別途のものが必要。 |
○ | 工場等の警備業務、原料輸送業務の民間委託は、随意契約で契約相手方が固定化し、競争性に欠けている。近隣には、より安価でこれら業務を行う者がみられる。 |
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○ | 民間企業に対する平成8年度の発酵アルコールの製造委託数量は、需要増加予測量の約半分の4,000 kl(製造量の2.4%)をめどとして実施。そのうち 2,000klは落札企業なし。 原料費・燃料費等の変動経費及び輸送費のみで製造委託予定価格を算定し、間接的経費は算定していないことも原因の一つ。適正な予定価格の設定を行えば民間委託の拡大可能。 |
○ | 政府保管庫への流量計の設置や輸送方法の改善など条件整備を求める意見あり。 |
○ | 大手を中心とした民間酒類製造企業15社の調査では、13社は製造委託への参入意欲あり。 |
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(4) | 官民の役割分担の見直し等の視点からみた今後のNEDOの発酵アルコール製造部門の在り方の検討 |
○ | 今後、発酵アルコールの民間酒類製造企業への製造委託の拡大に伴い、専売制度下でも、官民の役割分担の在り方を見直す観点からは、更に改革の余地があるとみられる。 |
○ | 一方、現状において、NEDOの発酵アルコール製造部門は、発酵アルコールを製造しているのみで、独立の企業体として他の酒類製造企業と同一レベルで競争する形にするには解決すべき問題も多いとの意見もある。 |
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○ | 合成アルコールの民間製造委託費の算定は各社ごとの総括原価方式。2社間で1kl当たり2,877円(販売価格の3%弱)の価格差あり。施設の近代化、省エネ化の差が主な原因。製造経費削減のための合理化努力を促す算定方式となっていない。 |
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○ | 工業用アルコールの特別会計から普通売捌人(日本アルコール販売株式会社)への売渡しは、通商産業局とこれに対応する同社の支店等との間で、アルコールの種類別ごとに日々行われている。また、需要地が製造工場所在地から遠隔地にある場合は、工場所在地から需要地近郊の政府保管庫に回送している。このため、売渡契約事務及び回送経費、回送に伴う様々な会計上の手続、輸送業者との契約事務、保管事務等は、特別会計の負担で通商産業局職員が実施し、その業務量は多大。 |
○ | これらの業務は、アルコール製造工場からの搬出段階(いわゆる庫(くら)出し段階)における同社への一括の売渡契約とすることで合理化・効率化可能。(削減可能業務量は 3,156人日) |
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○ | 工業用アルコールの酒類への転用防止のため、変性措置、需要者の使用状況等の立入検査、需要者等の受払簿の作成・記載の義務付けのほか、需要者にアルコール購入数量及び製品出来高を記載した書類を添付し申告させ、これを通商産業局が証明する制度(使用済申告・使用済証明制度)を実施。 |
○ | 申告内容は、受払簿の記載内容とおおむね同一、受払簿の記載等が一般的に未習熟な新規需要者に対する場合等を除き、立入検査時の確認で十分。証明書は、通商産業局でも使用せず、他の行政目的への利用もない。(平成7年度の使用済証明件数は約16,200件) |
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○ | 小売人の種類別規制は6種類。特種、第1、第2、第3種は、タンクローリー、ドラム缶などの販売荷姿、容量による区分のみ。指定に際し輸送・保管設備能力等の審査もなく区分の必要性に乏しい。取扱荷姿の変更に伴う指定替え申請等業者負担あり。 |
○ | 試薬アルコールの製造・販売のための第4種、薬事法に基づく日本薬局方アルコール製造・販売のための第5種は、他の種類と区別する必要はあっても、両者の区分の必要性は乏しい。 |
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○ | 戦前軍需物資(火薬類)を作っていた特定2社には、他の需要者に対するよりも安価な価格で政府が直接販売。しかし、現在は軍需物資も作っておらず直接販売する理由に乏しい。 |
○ | タンクローリーによる販売価格は、5.8klを境に2種類に分割。しかし、現在使用されているタンクローリーは、すべて8kl以上(約9割は10kl以上)で輸送の現状に適合していない。 |
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○ | 通商産業省も合理化努力継続中。(特別会計所属職員の昭和57年10月328人→平成8年4月237人(約3割減)等) |
○ | 平成7年3月の規制緩和推進計画(自主変性確認制度の導入等変性確認制度の合理化、使用済申告制度の使用の都度から年1回への変更)等による合理化(通商産業局職員10人の削減) も推進中。しかし、調査結果に基づく試算によれば、更に11人の削減可能。また、アルコール事務所(4か所)についても、業務量減により廃止可能。 |
○ | 今回の項目3−1)及び2)の措置を講ずれば、更に少なくとも18人の合理化可能。 |
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○ | 平成6年10月の工業用アルコールの販売価格(政府売渡価格、販売価格)の改定時には、改定価格表及び「円高の進展等による原料費の低下等を踏まえ」などの定性的理由の公表にとどまり情報公開不十分。 |
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○ | 通商産業省は、アルコール専売制度に関する規制緩和等の推進に資するため、諸外国の制度の調査を実施。調査結果概要は次のとおり。我が国においても同様の措置の検討の余地あり。 |
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