平成11年度さわやか行政サービス運動の推進状況


平成12年4月25日
総務庁行政監察局


 【運動の概要】
政府は、閣議決定(昭和63.1.26)に基づき、公務員の行政サービスの向上に対する意識を徹底し、国民の立場に立った親切で真心のこもった行政を実現するため、「さわやか行政サービス運動」を全国的、持続的に展開(毎年度、重点項目等を各省庁で申合せ)。
本運動の趣旨を広く国民に周知し、本運動を恒常的に推進するため、毎年5月を「さわやか行政サービス推進月間」と定め、各省庁及び特殊法人は、推進月間を中心に、行政サービスについての自主的な総点検等その改善に関する諸活動を集中的に実施。その結果を当庁に報告。
当庁において、当該報告に基づき、各省庁及び特殊法人における総点検結果 (行政サービスの改善実績等)を取りまとめ。
【各省庁及び特殊法人における改善状況のポイント】
各省庁及び特殊法人の3,430機関・施設の総点検結果によれば、平成11年度における重点項目(11項目)に係る改善事項(予定を含む。)は1万7,058事項。
改善事項数の多い項目は、職員の応接態度等の改善とバリアフリー等に係る施設・設備の改善に関するもの。
(1)  職員の応接態度・言葉遣い、用語等の改善に関するもの
 5,094事項、全体の29.9パーセント
(2)  高齢者、障害者等の安全・利便(バリアフリーを含む)や非喫煙者に配慮した施設・設備の改善に関するもの
3,797事項、全体の22.3パーセント
昼休み、夜間等における窓口事務の受付及び処理については、勤務体制の見直しや、インターネットの活用により進展。
〔参考〕
※   平成11年度の重点項目(「さわやか行政サービス推進協議会」(各省庁の担当課長レベルで構成)において、積極的に改善することを申合せ)
  (1) 職員の応接態度・言葉遣い、用語等の改善
  (2) 高齢者、障害者等の安全・利便や、非喫煙者に配慮した施設・設備の改善
  (3) 昼休み、夜間等における利用の改善
  (4) 申請手続等の明確化・簡便化
  (5) 事務処理の迅速化
  (6) 案内標識、案内図等の整備
  (7) 混雑状況、運行状況等に関する情報提供
  (8) 事務処理の迅速化、手続の簡便化等
  (9) 待ち時間の案内・表示
  (10)  待合室、トイレ等の清潔・美化
  (11)  施設内容等に関する情報提供
     
  【サービス改善への積極的な取組の事例】
職員の応接態度・言葉遣い、用語等の改善に関するもの
  <職員に対する「税関相談の応対心得」(マニュアル)の作成・配布>
     東京税関では、個人輸入等の増加に対応した接遇マニュアル「税関相談の応対心得」を作成し、各相談官及び関係部署に配布して活用。
  <セクシュアル・ハラスメント防止に関する研修等の実施>
     北九州工業高等専門学校では、セクシュアル・ハラスメントに関する職員一人一人の理解を深めるため、セクシュアル・ハラスメントの防止等に関する指針を制定するとともに、学生及び職員の全員を対象にアンケートによる意識調査及び研修会を実施。
  <患者サービスに関するアンケート調査の実施>
     労働福祉事業団では、医療を受ける者の立場に立ったサービスの向上を図るため、4労災病院(美唄、新潟、山陰、熊本)において、入院・外来患者を対象に患者サービスに関するアンケート調査(患者満足度調査)を実施。
高齢者、障害者等の安全・利便(バリアフリーを含む。)や非喫煙者に配慮した施設・設備の改善に関するもの
  <視覚障害者用誘導案内の整備>
     JR静岡駅では、目の不自由な利用者に対するサービスの向上を図るため駅構内のレイアウト(きっぷ売り場、改札口、トイレ等)を音声・点字で案内・誘導する音声触知案内板を設置。
  <患者の立場に立った配食方法等の見直し>
     岐阜大学医学部附属病院では、夕食の下げ膳(ぜん)を、配食から約40分後に1回しか行っていなかったが、配食から約1時間後とし、20分の間隔を置いて2回行うように改善。
昼休み、夜間等における対応その他窓口業務の改善に関するもの
  <昼休み時間の窓口対応の改善>
     法務省では、登記所の職員の勤務時間を交代勤務とする制度的な措置を講じ、実施体制の整った登記所において、登記簿謄抄本や印鑑証明書等の交付事務を中心に、昼休みにおける窓口事務の取扱いを開始。
  <税の届出書等様式のホームページでの配布>
     国税庁では、納税者が申告書等の様式をインターネットを通じて入手できるよう、様式等のホームページへの掲載・配布を開始。
その他の主な改善事例
  <全職員による駅構内の案内> 
     帝都高速度交通営団では、駅員の利用者サービスに対する意識の向上を図るため、駅員全員が「私がご案内します」と表示されたワッペンを着用し、駅構内の施設等を案内。
  <砂浜を散策することのできる車いすの導入>
     国立若狭湾少年自然の家では、身体が不自由な利用者が砂浜を散策することができる車いすを5台導入し、貸出サービスを開始。
  <利用者の手続の簡便化等による無料シルバーシートの提供>
     日本中央競馬会では、全競馬場で、競馬開催時に65歳以上の者に対して提供している無料シルバーシートについて、申込書への記入を省略するとともに、先着順に希望の席を選択できるように改善。
  <開庁時間の延長や土曜日の開庁による職業紹介の実施>
     大阪東公共職業安定所等では、月曜日から金曜日までの開庁時間を、17時までを19時までに延長するとともに、土曜日も10時から17時まで開庁。
  <休日における郵便窓口開設局の拡大>
     郵政省では、土曜日の郵便窓口開設局を204局から276局に、土曜日及び日曜日・休日の郵便窓口開設局を109局から150局に拡大。
  <インターネットを利用した入出港手続の受付>
     海上保安庁では、全国8港において、インターネットを利用したシステム (港湾EDIシステム)を整備して、海運事業者等からの電子メールによる入出港届の受付を開始し、順次、他の港にも拡大する予定。
  <プッシュホン電話での照会による書類のFAX自動送信サービスの実施>
     中小企業総合事業団では、事務処理の迅速化を図る観点から、契約者から照会の多い共済金等の額の試算、掛金の納付状況等について、契約者がプッシュホン電話で照会し、これに対する回答等をFAXで自動送信するサービスを開始。
  <各種医療相談サービスの実施>
     山口大学医学部附属病院では、地域医療への貢献及び患者サービスの向上のため、地域医療機関の医療従事者を対象とした医療相談サービス「もしもし医療相談」及び新聞紙上における一般からの医療相談「やまぐち医療相談室」の2事業を開始。
  <「掲示物ガイドライン」の作成等による掲示物の点検>
     東京逓信病院では、患者等への案内掲示について、職員による「掲示物さわやか委員会」を発足させ、「掲示物ガイドライン」を定めるとともに、利用者にとって見やすく、さわやかな印象を与えるものとなるように掲示物の掲示状況の点検を実施。
  <当番制による昼休み診療体制の充実>
     九州労災病院の放射線科では、昼休み時間における勤務体制を、常時4人の医師による診療の当番制とし、昼休み時間にも複数の医師による診療が可能となるように改善。