新規行政施策の概要とその効果


No 新規行政施策名 所管省庁 施策の概要 施策の効果
1 道路交通法の一部を改正する法律 警察庁 ・優良運転者の免許の有効期間を5年間に延長
・違法駐車対策として指定した区間に車輪止め装置を導入
・過積載車両に対する措置を強化
・優良運転者は、更新者の約50%
・指定区間の違法駐車の台数は約58%減少
・過積載の取締り件数が約45%減少
2 自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律の一部を改正する法律(自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律に改称) ・放置自転車対策の強化(原動機付自転車の施策対象への追加、鉄道事業者の責務の明確化、市町村長が撤去した放置自転車等の保管、処分等の措置の法的根拠の制定)
・自転車防犯登録の義務化
・全国の駅周辺の放置自転車台数が約9%減少
1日平均77万4,000 台(平成5年)→70万2,000 台(平成7年)
・自転車防犯登録の登録率が向上し、盗難自転車の被害回復や放置自転車所有者への連絡・返還に効果
3 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律 総務庁 ・人事院の意見の申出を受けて、一般職公務員の勤務時間・休暇制度の法体系を整備
・休日代休制度、介護休暇制度の新設
・勤務時間・休暇制度の体系化・明確化が図られた。
4 自衛隊法の一部を改正する法律 防衛庁  外国における災害、騒乱等の緊急事態に際して、外務大臣からの依頼に応じて、政府専用機を含め自衛隊が保有する航空機により邦人の輸送を行うもの。  邦人の輸送を必要とする事態が発生しなかったため、実績なし。
5 特定放射光施設の共用の促進に関する法律 科学技術庁   汎用性の高い世界最大・最高性能の放射光施設(SPring-8)の共用の促進に関する基本方針を国が定め、共用の促進のための体制を整備  SPring-8は、平成9年10月に供用を開始
6 特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法 環境庁 ・内閣総理大臣は、都道府県知事からの申出に基づき、水道水の水質の保全のための指定水域、指定地域を指定
・都道府県知事は、指定水域について水質保全計画を策定
・水質保全計画に沿って、水質保全事業及び必要な規制措置を実施
 現時点では、都道府県知事の申出がない。(現在、兵庫県において平成10年度中を目途に申出の準備を行っているところ)
7 更生緊急保護法の一部を改正する法律 法務省  新たな補助金制度を創設することにより、老朽化した更生保護施設の施設整備を実施  更生保護施設の整備の実績は、平成6年度4団体、7年度5団体、8年度5団体、9年度4団体であり、居住環境の充実と被保護者の処遇の充実が図られた。
8 戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律  戸籍事務にコンピュータシステムを導入することを可能とした。  戸籍事務をコンピュータ化した市区町村は、平成6年度2、7年度22、8年度65、9年度80であり、戸籍事務の迅速な処理と行政サービスの向上に役立った。
9 協同組織金融機関の優先出資に関する法律 大蔵省  協同組織金融機関の自己資本充実を図るため、全国レベルの協同組織金融機関(農林中央金庫、商工組合中央金庫、全国信用協同組織連合会、全国信用金庫連合会、労働金庫連合会)について、会員からの出資を補完するのものとして優先出資制度を導入
 農林中央金庫、全国信用金庫連合会について、優先出資発行を認可。その結果、自己資本比率が向上
10 証券取引法の一部を改正する法律   商法改正による自己株式取得に係る規制緩和に対応して、自己株式取得状況の開示、内部者取引規制等証券取引の公正の確保を図るための制度を整備
 企業の自己株式取得について、証券取引の公正が図られるとともに投資者保護に寄与
11 音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律 文部省 ・10月1日を「国際音楽の日」とすることを決定
・全国各地域において「国際音楽の日」記念事業を実施
 国民の間に広く音楽についての関心と理解を深める「国際音楽の日」の趣旨の普及が図られた。
12 私立高等学校等経常費助成費補助金(特別補助(教育改革推進特別経費))  私立高等学校等経常費助成費補助金の中で、新たに教育改革推進特別経費を計上し、都道府県が私立高等学校等の教育改革の自主的な取組を奨励するための特別助成を実施する場合に、国がその一部を補助  私立高等学校等の教育改革が積極的に推進される効果が期待される。
13 水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律 厚生省 ・水道事業者から要請があった場合、下水道の整備、し尿処理施設の整備等の水道原水水質保全事業の実施を促進するため、都道府県又は河川管理者は、都道府県計画又は河川管理者事業計画を策定
・国及び地方公共団体は、同計画に位置付けられた事業の実施に必要な資金の確保などの支援
 都道府県計画に従って水道原水水質保全事業が着実に進められている。
14
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律  予算措置で行われてきた中国残留邦人等の帰国や自立・定着等のための施策について、立法によりその円滑な実施を図るともに、帰国後の自立支援について総合的な整備を図る。
 永住帰国者及び一時帰国者の実績は、
平成6年度 7   8   9
永住帰国
 325 世帯 399  354  243
 876 人 1,229 1,148  919
一時帰国
 139 世帯 297  278  234
 187 人  415  434  365
15 予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律 ・予防接種の対象疾病の見直し(痘そう、コレラ、インフルエンザ、ワイル病を除外し、破傷風を追加)
・予防接種を義務から努力義務へ
・予防接種の健康被害に対する救済措置の充実
 予防接種の健康被害についての救済措置の充実が図られた。
16 地域保健対策のための関係法律の整備に関する法律
・保健所法を抜本的に見直し、地域保健対策推進に当たっての理念や地方公共団体及び国の責務を定め、基本指針を国が定めることとした。
・保健所の機能強化
・3歳時検診等の母子保健事業等を市町村へ移譲
・診療所等に関する許可や届出の受理等の権限を都道府県から保健所設置市へ移譲
 住民に身近な保健サービスについて主たる実施主体が都道府県から市町村に変更されたことにより地方分権が図られた。
また、新たな地域保健の体系を構築するため、保健婦等のマンパワーの確保、市町村保健センター等の施設整備がおおむね順調に行われている。
17 社会福祉事業助成費補助金(都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業費、市区町村ボランティアセンター活動事業費) ・都道府県・指定都市ボランティアセンターが、ボランティア活動の推進のために行う広域的な広報・啓発・相談やリーダー等の養成事業に対する補助
・市区町村ボランティアセンターが、住民のボランティア活動への参加促進や登録・あっせんを行う事業に対する補助
 ボランティア活動者数( 都道府県・指定都市及び市区町村社会福祉協議会ボランティアセンターに登録又は把握している人数) は、平成6年3月の 500万人が平成9年4月には 546万人に増加
18 沿岸漁業構造改善事業費補助金(沿岸漁業活性化構造改善事業費) 農林水産省   沿岸漁業の振興と漁村地域の活性化を図るため、地域漁業活性化構造改善事業等の補助事業及び融資事業を実施  現行の沿岸漁業活性化構造改善計画は、平成6年から11年までであり、現在は計画途中であるため、現時点で定量的な評価は困難であるが、本施策によって、漁業基盤の整備、近代化施設の整備、漁村環境の整備等が着実に推進されている。
 なお、沿岸漁業活性化構造改善事業の計画総事業費は1,150 億円で、それに要する国費は 540億円余りであるが、平成8年度までの国費の実績は 284億円となっており、進捗率は約52%となっている。
19 沿岸漁業構造改善事業費補助金(沿岸地域流通加工機能強化対策事業費)  沿岸地域の活性化を緊急に図る必要のある地域において、水揚・出荷配送、処理加工及び販売施設等を整備  流通・加工機能が強化され、地域水産物の鮮度管理、衛生管理、付加価値の向上等が図られた。
20 水産業振興施設整備費補助金(内水面漁業振興整備費補助金(さけ・ます増殖振興施設整備事業費)  さけ・ますふ化放流事業の推進を図るため、さけ・ます増殖施設整備事業、さけ・ます魚道整備事業を実施する。  さけは、4年ないし5年で回帰することから、現時点では施策の効果を評価することは困難
21 水産業振興施設整備費補助金(内水面漁業振興施設整備費補助金(内水面活性化総合対策事業費))  内水面水産資源の増養殖基盤、環境保全等に係る施設等の計画的な整備を行うことにより内水面漁業・養殖業の振興を図るため、内水面基幹地域活性化事業等の補助事業や融資事業を行う。  現行の内水面総合振興計画は平成6年度から11年度までを計画期間としており、現時点で施策の総括的評価は困難
 なお、内水面活性化総合対策事業の計画総事業費は 129億円であり、これに要する国費は58億円余りだが、平成9年度までの累積進度率は61.7%となる見込み。
22 不正競争防止法

通商産業省  ・新たな不正競争の行為として、著名なブランド・マーク等の無断使用、他人の商品の形態の模倣及びサービス内容の不当表示を追加
・損害額の推定等不正競争による損害額の立証を容易にするための規定を新設
・罰金額の引上げ、法人重科の規定の新設
 改正法の実施により、近年の多様かつ巧妙化する不正競争の実態に一層的確に対応できるものとなる。
23 繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律(繊維産業構造改善臨時措置法に改称)  流通業者やデザイナーなども含む繊維産業全体の構造改善を図るため、通産大臣の承認を受けた構造改善事業計画や構造改善円滑化計画に定められた事業に対して補助金、税制、融資等による支援を行う。  繊維産業構造改善臨時措置法に基づく構造改善事業計画等の承認件数は、平成9年9月1日までで 115件
24 石油公団法の一部を改正する法律   石油公団の業務に、1)海外における可燃性天然ガスの採取及び液化に必要な資金を供給するための出資、2)海外における可燃性天然ガスの液化に必要な資金に係る債務保証を追加  民間の個々のプロジェクトへの支援策であり、民間プロジェクトの進捗状況に左右されるが、現時点では、出資・債務保証の対象となる作業が始まっていない。
25
国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律 運輸省 ・運輸大臣は、国際観光の振興を図るため、国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等の措置による国際観光の振興に関する基本方針を定める。
・市町村は、国際会議観光都市の認定を受けることができる。
・国際観光振興会は、国際会議観光都市において開催される国際会議の円滑化を図るため、寄附金を募集し、国際会議等の主催者に対する交付金の交付などの措置を講ずるよう努める。
 国及び国際観光振興会が国際会議の開催に関し積極的に支援・協力を行った結果、国際会議の開催件数は、平成6年度 1,786、7年度 1,833、8年度 1,971と増加
26 交通施設利用円滑化対策費補助金  鉄道駅における障害者対応型エレベーター、エスカレーターの設置に対する費用の補助  この事業による障害者対応型エレベーター、エスカレーターの設置実績は、平成6年度7駅28基、平成7年度14駅28基、平成8年度15駅32基、平成9年度13駅33基であり、鉄道駅による障害者対応型エレベーター、エスカレータの設置が促進されている。
27
鉄道軌道整備費補助金(鉄道軌道近代化設備整備費等補助金(地方鉄道新線開業費))  地方鉄道新線の開業に際して、新線建設、開業に係る設備及び開業後の運営に係る助成を行う。  平成6年度以降4事業者を補助対象とし、地域住民の福祉を確保するために重要な地方鉄道新線の円滑な開業を進めるとともに、第三セクター鉄道事業者の経営の安定に寄与
28
離島航路補助金(離島航路船舶近代化建造費補助金)  離島航路に就航する船舶の近代化(高速化( 25%以上アップ)、大型化( 25%以上アップ)、フェリー化)に要する経費を補助し、離島航路の近代化を図る。  補助対象事業者は、平成6年度2、7年度4、8年度5、9年度5となっており、近代化の図られた航路では航路収支の改善が図られるものと思われる。
29 指定自動車整備促進対策費補助金   日本自動車整備商工組合連合会が行う自動車整備の近代化に伴う必要な資金の借入れに対する債務保証事業及び利子補給事業を助成するための基金の積み増しを行う。
 平成8年度の債務保証の実績は 131億円であり、指定整備工場の増加、近代化が図られている。
30 放送番組素材利用促進事業の推進に関する臨時措置法 郵政省  放送番組に利用される多様な映像・音響素材を収集し、放送番組の制作者に対して利用させるための事業に対して出資、融資等を行う。  放送番組素材利用促進事業を実施する(株)東京映像アーカイブからの実施計画を平成7年3月に認定し、現在事業開始に向けて準備
31
放送法の一部を改正する法律  我が国からの映像国際放送を発信するための制度的枠組みを整備するとともに、有料放送に係る規制を合理化するため、多重放送について、その契約約款を許可制から届出制に改正 ・平成7年4月からNHKの委託を受けた外国の無線を運用する者が、NHKが制作した番組を北米及び欧州地域において放送している。
・今後、データ多重放送への新規参入が多数見込まれており、弾力的な料金設定が可能となる。
32 短時間労働者福祉事業交付金 労働省  短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律により短時間労働援助センターとして指定された(財)21世紀職業財団が行う短時間労働者雇用管理改善等助成金の支給、短時間労働者に係る情報提供、相談援助事業等に対する交付金 ・(財)21世紀職業財団がパートタイム労働問題についての事業主、短時間労働者の相談窓口として、ソフト面の機能を発揮
・短時間労働者の雇用管理の改善の促進の成果が着実に上がっている。
33
高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律 建設省 ・不特定多数の者が利用する建築物について、都道府県知事等が計画を認定し、それについて建築基準法の手続を簡素化
・車いすの使用者のための昇降機に係る建築基準法の特例を設けた。
・高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる建築物について容積率の特例を設けた。
 認定建築物数が増加。また、各地方公共団体において条例や指針等の制定の動きが活発化
34 都市緑地保全法の一部を改正する法律 ・市町村等が策定する緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画制度の創設
・緑地保全地区の対象緑地の追加
・緑地保全地区内の土地の買入れ主体の拡大(市町村を追加)
・緑化協定制度の拡充
 緑地保全地区の指定面積、買入れ面積とも増加。市民緑地は平成9年4月現在8か所3万 8,486 平方メートルについて契約が締結されている。
35 特定ぼた山等管理事業費補助金 通商産業省(大蔵省、労働省)  新エネルギー・産業技術総合開発機構が行うぼた山の崩壊防止工事等恒久的安全化対策事業に対する補助金の交付  平成8年度の実施箇所は10件であり、崩壊による災害発生の危険のある危険ぼた山について災害の未然防止が図られた。
36 エネルギー使用合理化技術開発費等補助金(エネルギー使用合理化技術開発費補助金)  エネルギーの使用を合理化するための技術開発に対する補助  個々の開発テーマについては、基礎研究、試作設計の段階の事業から実証段階に入った事業まで様々であるが、これらの技術開発によって産業、運輸、民生各分野における省エネルギーの実現が期待される。

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